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2014.11.04|夕刊フジ

重要課題「消費税再増税」 首相は国民に対して説明責任を(夕刊フジコラム「ズバリ直球」14年10月30日)

 安倍改造内閣の閣僚に、スキャンダルが続出している。

 辞任した小渕優子前経産相のケースは論外だ。古参のスタッフに任せていたのかもしれないが、関係する政治団体の収支報告書をチェックしていなかった責任は免れない。まさに「一からやり直す」しかないだろう。

 松島みどり前法相には反省が感じられない。辞任報告のために首相官邸に入った際、笑顔を見せていたのも考えられない。刑事告発を受け、「法の番人」が公選法違反に問われかねない深刻さが分かっていない。

 これ以外にも、疑惑が指摘されている閣僚が何人もいる。一部のメディアは「野党がスキャンダル追及ばかりしていて、重要法案の審議が進んでいない」などと報じているが、事実に反する。衆参の各委員会では審議が続けられている。民主党はいたずらに辞任要求しているわけではない。国民に対する説明責任を果たすという、当然のことを求めているだけだ。

 さて、消費税率を来年10月から10%に引き上げるか否かが、国民的な関心事となっている。

 消費税増税法は、民主党が与党時代に成立させた。12月が再増税の判断となるが、その際の約束として、(1)議員定数削減と選挙制度改革を実現する(2)消費税は社会保障にだけに使う(3)経済状況を見て総合的に判断する-となっている。

 前出の2つは極めて不十分と言わざるを得ない。臨時国会で、定数削減や選挙制度改革を決着させる必要がある。

定数削減について、自民党は「衆院の小選挙区は減らしたくない」という姿勢だ。参院については、自民党は脇雅史前参院幹事長が座長調整案(20県を10選挙区に合区し、最大格差を約2・5倍とする)を示した。民主党はこれをベースに、全体の定数削減や東京の分区も含めた改革案(最大格差は約1・9倍)を主張しているが、自民党はまとまっていない。

 今年4月、国民に消費税増税という負担をお願いした以上、国会議員も「身を切る改革」を断行しなければならない。とりわけ、与党自民党の責任は大きい。

 確かに経済状況は厳しい。政府は10月の月例経済報告で、景気の基調判断を2カ月連続で下方修正した。世論調査でも、増税反対は7割超だ。

 ただ、消費税再増税をしないリスクもある。金利動向など、市場がどう判断するかは予断を許さない。2020年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する財政規律目標はどうするのか。難しい判断だ。私個人は、原則は再増税すべきであり、同時に、景気が腰折れしないよう、所得の低い人々への対策などをしっかり取るべきと考えている。

 いずれにせよ、安倍晋三首相が判断を下す際には、国会での議論が必要不可欠だ。消費税増税という国民生活に直結する重要課題について、国会審議を通じ、国民に対してしっかりと説明責任を果たしてほしい。 (民主党代表代行)




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