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2014.05.19|夕刊フジ

立場や意見の違い乗り越え日中首脳で話し合いを(夕刊フジコラム「ズバリ直球」14年5月15日号)

 ゴールデンウイーク中、日中友好議員連盟の一員として北京を訪問してきた。同議連には、自民党から共産党まで各党各会派の議員が所属している。会長は自民党の高村正彦副総裁で、私は副会長を務めている。

 昨年のGW中も「こういう時だからこそ訪中すべきだ」と計画していたが、中国側から「然るべき立場の者が対応する」という確約がなかったため、直前でとりやめた。

 今回は中国側の招待だった。習近平国家主席や李克強首相に次ぐ、序列3位の張徳江全国人民代表大会常務委員長と会談した。

 張氏は「私は中国・東北地方の出身だ」から始まり、戦中の旧日本軍や、安倍晋三首相の靖国神社参拝、沖縄県・尖閣諸島の国有化などを批判した。こちらも、高村氏が代表して、安倍首相の靖国参拝の真意や、尖閣諸島に対する日本政府の考え方などを説明した。

 そのうえで、「11月に北京で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議に合わせて、日中首脳会談を実現したい」という安倍首相の提案を伝えた。張氏は「(習氏に)伝える」と述べていた。

 日本と中国は、GDP(国内総生産)世界3位と2位の大国であり、隣国同士だが、首脳会談も開けない異常事態が続いている。日本企業の対中投資も頭打ちだ。中国は、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島周辺で石油掘削をめぐってベトナムと衝突するなど、その一方的かつ乱暴な行動は国際社会から批判を浴びている。

 こういうときだからこそ、立場や意見の違いを乗り越えて、両国首脳が話し合うべきである。中国もそのことは良く理解しているはずだ。

 張氏との会談と同じ日、私は中日友好協会会長の唐家●(=王へんに旋)元国務委員と2人で1時間ほど話した。唐氏は「安倍政権はいつまで続くと思うか」「民主党はどうなっている?」などと、いろいろ聞いてきた。

 私は民主党政権時代、中国がレアメタルの輸出禁止に踏み切った例などを挙げて、「中国は世界のルールを守るべきだ。国際社会の不信感を高める」「軍事費や公安費を増大するより、人民のために医療や年金に国費を注ぎ込むべきではないか」と提案をしてきた。日中関係の重要さを理解する政治家として、率直に発言したつもりだ。唐氏は反応しなかったが、そのやりとりは関係者に報告されていると思う。

 日本女子ゴルフの今季メジャー、ワールドレディスサロンパス杯の最終日(11日)のプレーをニュースでみた。最終18番ホール、中国のフォン・シャンシャンは1メートルのパーパットを外し、日本の成田美寿々が50センチのパットを決めて優勝した。4位には、韓国のアン・ソンジュがつけた。

 国際政治では、日中・日韓関係は難しいが、スポーツの世界ではルールにのっとって競い合っている。日本のギャラリーは国籍に関係なく、素晴らしいプレーには拍手を送っていた。政治家も見習いたいものだ。 (民主党衆院議員)




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