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2014.04.17|夕刊フジ

南極海での調査捕鯨禁止に遺憾 衆院の定数削減は前進(夕刊フジコラム「ズバリ直球」14年4月17日号)

 オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)は先月末、日本の南極海での調査捕鯨を国際捕鯨取締条約違反と認定し、今後実施しないように命じる判決を出した。反捕鯨国のオーストラリアが提訴していたもので、日本政府は判決を受諾するという。「極めて残念」というしかない。

 私が外相時代(2009~10年)、オーストラリアの外相とは、核軍縮や安全保障などをめぐって緊密な信頼関係を築けたが、調査捕鯨については、まったく意見が合わなかった。

 日本では古来、捕鯨が行われており、食用だけでなく、骨や皮、油など、すべての部位を大切に利用してきた。自然にダメージを与えないよう、漁は配慮して行われてきた。これは伝統であり文化といえる。私の地元・三重県にも、お祭りの山車に「鯨船」というものがあるほどだ。

 私はこうした背景を説明して、「お互いの文化の多様性を認めるべきだ」「貴国ではカンガルーを食べているではないか」と主張したが、オーストラリアの外相は「鯨は特別だ」「食べるなんてとんでもない」と、取り付く島もなかった。

 本来なら、「なぜ捕鯨がいけないのか」と正面から議論すべきだが、現在の国際社会では、多勢に無勢だ。当面は、厳密な意味での調査捕鯨の形で続けていくしかないが、鯨が「高級食」になってしまうのは避けられないだろう。

 さて、衆院の定数削減を含む選挙制度改革が、ようやく前進している。

 元々は前回の衆院解散直前、当時の野田佳彦首相と自民党の安倍晋三総裁の間で、「国民に消費税増税で負担をお願いする以上、国会議員も身を切る定数削減が必要だ」と合意したものだ。衆院選後、私は民主党の実務責任者として、各党と話し合ってきた。かなり難航したが、3つの案に集約された。

 まず、自民、公明与党は「比例代表定数のみ30削減案」を提示した。

 民主党と日本維新の会、みんなの党、結いの党、生活の党の野党5党は「小選挙区も比例区も同じ割合で削減する案」を2案示した。うち1つは、人口50万人で1議席とするもので、人口が減ると自動的に定数も削減される利点がある。

 共産、社民両党は定数削減には反対し、「現行制度の抜本改革」を主張した。

 各党とも、それぞれの意見・主張がある。「政治は忍耐だ」と、つくづく思った。これ以上、国会議員同士で議論しても進まないため、野党5党は衆院議長の下に第三者委員会を設置するよう提案した。この点は、与党も同調しており、調整を続けている。

 地元や全国各地を回っていると、「消費税は増税された。議員定数削減を早くやるべきだ」という意見を多くいただく。当然のことだ。何とか、この通常国会中に道筋をつけたいと考えている。 (民主党衆院議員)




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