平成26年2月19日 第186回国会 衆議院予算委員会「公務員人件費抑制、特殊法人・特別民間法人・特殊会社」
○岡田委員 岡田克也です。
きょうは、行革の問題を中心に、総務大臣、行革担当大臣と議論したいと思います。基本的には、私が手がけていた、あるいはやり残したことでありまして、しっかりとやっていただきたい、そういう思いを込めて議論したいと思います。
まず、国家公務員の定員の純減の問題であります。
国家公務員の人件費を抑制するという観点からは、やはり数を減らさないとその抑制はできない、こういうことになるわけで、もちろん単価の問題もありますが、これは後から申し上げますが、やはり数をいかに重点化していくか、減らしていくかということであります。
野田政権のときに、国家公務員、自衛隊を除いて三十万人、その一%、三千人の純減を行えば、これを数年間続ければ意味のある数字になる、こういう考え方で、三千人に何とか近づけようということで進めてきたわけですが、十二月に政権交代がありまして、安倍政権のもとで二千三百七十四人の純減ということになりました。
しかし、今回の補正の中で九百五十七人増ということになりまして、今年度としては差し引き千四百十七人の純減ということであります。
もちろん、九百五十七人と大幅に補正でふやしたその背景としては、独法から国への業務移管とかあるいは海上保安庁の要員増とか、そういう、補正で対応せざるを得ないものも含まれているということは承知をしておりますが、それにしても補正における千人近い増というのは異例であって、ややうがった見方をすれば、来年度の純減を確保するために補正でふやした、そういうふうに見ることもできるわけですが、この点、いかがでしょう。
○新藤国務大臣 ただいまの御指摘についてでありますけれども、まさに委員も今御質問の中で触れていただきましたように、二十五年度の当初予算における定員措置、これは二十五年の一月に決定しておるわけであります。
しかし、その後、原子力事故災害からの復興の加速化ということで、除染や廃炉の関係の要員が必要になった。それから、尖閣問題等領海警備体制の強化ということで、これは船をふやしましたので、あわせてそれに必要な人員をつけるということが発生いたしました。また、消費税の転嫁対策の強化など、この重要課題に緊急に対処していくための定員の措置をする必要があった、こういうことであります。
また、これは民主党にも、与野党合意で、自公民で合意を得た上での原子力安全基盤機構の国への移管、これも二十五年度中に実施することになりましたので、それに伴って、補正予算による増員を実施するということになったわけでありまして、いずれにしても、そのときに緊急に対応が必要な増員として補正予算で対応したものでありまして、そのような意図的な、数字を操作するような、そういったつもりはございません。
○岡田委員 そこで、現行の定員合理化計画、これは来年度で終了するということであります。したがって、新たな定員合理化計画を政府の中で現在検討されているということでありますが、五年間で一〇%以上の定員を合理化するということで、結果的には三万二千二百六人、一〇・六%の減員を実現したと。しかし、他方で定員増があるということで、純減ベースで見ますと、五年間で約五千人、一・七%しか減っていないわけであります。
いつも私はこの計画を見て思うわけですが、これだけ減らしたと言ってその数字を誇るわけですが、他方で必要性があってふやす。やはり大事なのは、差し引きどれだけ減ったか。人件費抑制という観点からはやはり純減ベースで物事を考えることが重要で、そういう意味では、新たな定員合理化計画の中にこの純減ということを織り込んだ計画にすべきではないか、こう思うわけですが、そういうお考えはおありでしょうか。
○新藤国務大臣 平成二十七年度以降の新たな定員合理化の計画につきましては、昨年の十一月に閣議決定された公務員の給与改定に関する取り扱いに基づいて、今後設置が予定されております内閣人事局において検討されることになる、このように思います。
そして、現状において国家公務員の定員管理を所管しております総務大臣として申し上げるならば、国の行政機関の職員の定員、これは、定員削減努力によりまして大幅に減少しているということであります。
岡田委員は、副総理として、また担当大臣としてこの問題に大変携わっておりましたから、よく御承知のところだと思いますけれども、現状では、現業的な部門はもう大幅に減少した。今減らしているのは、企画部門であるとか、警察や税の徴収、いわゆる権力行使部門、こういったところまでも中心としたスリムなものになっているということであります。少なくとも、昭和四十二年度に九十万人おりました国家公務員は二十六年度で二十九万七千人まで減らしているということであります。
したがって、この限られた体制の中で国の重要課題に適切に対応していく、そのためにはやはり、合理化すべきところはやる、そして、削減をする一方で、必要なところには機動的な、戦略的な定員を配置していくことが重要であるということであります。
定員の合理化計画、これは、業務の見直し等による合理化を計画的に進め、増員の原資を確保する、そのためのものであると私は考えておりまして、あらかじめ純減規模を計画的に定める場合には、そうした機動的、戦略的な対応が制約されるおそれがあるのではないか、この部分の留意は必要である、このように考えております。
○岡田委員 今まで自民党政権においても、純減計画というのを政府で決めてやってきたということはあるわけです。いや、公務員人件費の抑制をしなくていい、行革について人件費の問題を考えなくていいというなら、今の大臣のような御答弁でも結構ですけれども、やはりそういうわけにはいかないんだろうというふうに思うわけであります。
財政の現状を見たときに、やはり、公務員人件費をいかに減らしていくかということも一方で大事で、そういう意味では、今、現業部門についてはもうほぼやることはやり尽くしたという趣旨の御答弁がありましたが、本当にそうか。
私は、各大臣が現場に行ってちゃんと見てくるべきだと思うんですね、地方とか、どういう状況になっているか。そういうことまで徹底的にやって、そして、純減の余地が、減らす余地がないのかどうかということを考えるべきだというふうに思っております。
それから、政府CIOをつくって政府全体のIT化ということを進めているわけですが、そのことによってどういう作業が効率化され、そしてそこで人がどれだけ減らせるかということもこの計画の中にきちんと盛り込んでやっていかないと、何かいつの間にか、それで効率化したはずがどこかに消えてしまっている、ほかでふえてしまって消えてしまっているということにならないように、次回の定員合理化計画の中では、このIT化による成果、見込まれる成果というものをきちんと織り込んだ、そういう計画にすべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○新藤国務大臣 これは非常にいい御指摘だと思っています。
仕事がふえていくのに人を減らすんだということで、今までやっているわけです。無駄は絶対に許せないという意味で、今委員が各省のそれぞれの所管大臣が自分の組織の先端に至るまで承知すべきだと、私も全くそのように思います。
その上で、これ以上仕事をふやす、ですから、行政から外に出す部分もあると思います、しかし行政需要はやはりどんどんふえていくとなれば、工夫をしなきゃいけない。その意味で、IT化というのは、私は決め手になる。電子政府、電子自治体、これはこれまでも何度も叫ばれておりますけれども、なかなか進まない部分もございました。ここで思い切った、そういったことをやってみようじゃないかと、今、進めております。
試算でありますけれども、徹底的に頑張ると、IT化を進めることによって、電子政府によって、業務時間が約二五%カットできる、こういう試算を我々出しています。七、八年かかりますけれども、徹底的にやることによって時間が削減できるんです。その分が残業の削減になり、それから人間を減らすことにもなっていくだろう。
ぜひこれはいろいろ知恵を出していただきたいと思いますけれども、私どもも、ICT化と呼んでいますけれども、これを行政の中にどこまで入れられるか、これは大きな課題だ、このように思っています。
○岡田委員 民間であれば、投資を行うに際して、その投資がきちんとペイするためにはどれだけ効率化できるかということははじいた上でIT投資を行うというのは常識だと思うわけですが、そういうことも含めて、あるいは、その作業の手順もやはりITになじむような作業に変えていく、そういう発想も非常に重要だと思うんです。
そういうことをひっくるめて、政府CIOをつくってあるわけなので、政府CIO、民間から来ていただきましたが、ぜひそこを中心に、政府全体のITを活用した効率化、その結果としての人件費の抑制ということを真剣に考えていただきたいというふうに思います。
それでは次に、退職公務員の再任用について議論したいと思います。
六十歳を超えた場合の公務員の雇用について、民主党政権の中でもいろいろ議論がありました。定年延長という話もありました。しかし、定年延長は当面はとらず、一旦退職をしていただき再任用する、こういうふうに決めたところであります。ただし、その再任用については、定員の枠内でフルタイムで再任用するというのが民主党政権のときの考え方であります。
これは、政権がかわりまして、三月の安倍内閣の閣議決定では、フルタイム官職が原則ではあるものの、職員の年齢別構成の適正化を図る観点から再任用を希望する職員をフルタイム官職に再任用することが困難であると認められる場合には、短時間勤務の官職に再任用することができる、こういうことになったわけであります。
しかし、この考え方は、フルタイムでないということになりますと定員の外になりますので、結局、定員のたがをはめていることが無意味になりかねない、抜け道になりかねない、そういう危険性をはらんでいるというふうに思うわけです。したがって、我々はフルタイムにしたということであります。
そういう総人件費抑制の抜け穴的なことが起こるということについて、どういうふうに対応されるおつもりですか。
○新藤国務大臣 この再任用短時間職員は、新規採用とのバランスをとりつつ、雇用と年金の接続に対応するために重要な取り組みであって、今後、各府省においても利用が拡大することが見込まれると考えております。
そして、再任用短時間職員はフルタイムである定員には当たりませんけれども、総務省におきましては、毎年度の定員審査に関して、再任用短時間職員の定数についても、常勤職員である定員とあわせて、その必要性を厳しく審査しております。ですから、全体として組織が膨張することのないように管理を行っているということであります。
それから、短時間の任用につきましては、実際のニーズがどのぐらいあるか、こういったものもヒアリングをしております。思っている以上にそういったニーズもあるというふうなこともあって、私どもは、双方が、両方できるようにしよう、こういうふうにしたわけでございます。
○岡田委員 今大臣も言及されましたが、全体の定員の縛りがある中で、六十歳を超えた再任用をフルタイムで活用していくということになると、やはり若い世代にそのしわ寄せがかかりかねないという問題はあります。
それを防ぐためには、やはり四十代後半から五十代にかけて早期に退職していただく、そういう機会をつくっていかなければいけないということだと思うんです。スリム化をしていかなければいけないということだと思います。
我々のときにも、民間の人材あっせん会社を活用した再就職のあっせんとか、国はできませんから民間に、そういう仕組みを利用して、みずから選び取っていただくという仕組みとか、そういった努力はしてきたわけですが、四十代後半以降のスリム化、早期退職のやりやすい仕組みづくりについて、新たな何かアイデアがおありかどうか、お聞きしたいと思います。
○新藤国務大臣 早期の退職、インセンティブをどう与えるかということが重要だと思っています。
その意味において、平成二十四年、これは前政権、民主党政権において、そして自由民主党も公明党も賛成してやりました平成二十四年の国家公務員退職手当法の改正、これによって、早期退職募集制度を導入して、昨年十一月から、この制度に基づく退職が可能になっているわけであります。
この制度に基づいて退職した者の退職手当額については、自己都合退職よりも有利に算定をされる、そして定年前の年数に応じた割り増し措置が適用されることになっています。しかも、対象者の範囲を、従来の定年前の十年までの者から、定年前十五年前までの者に拡大するということにしました。そして、定年前の一年当たりの割り増し率についても、二%から三%に拡充する措置を講じております。
この結果、定年六十歳の者の場合は、従来では、最大でも五十歳で二〇%の割り増しでありましたが、拡充後は、四十五歳で最大四五%の割り増しになっている。そして、四十五歳の本府省課長級の例で見ると、従来と比較すると六百四十万円の割り増し、このようになっているわけであります。
ですから、この早期退職募集の実施については、既に各省庁において今募集を開始して、制度に基づく退職者が出ているという状況であります。これは年度末に調査をして六月ぐらいには公表したいというふうに思っておりますが、いろいろな工夫をしながらこの対策を続けていきたい、このように考えています。
○岡田委員 景気もよくなるのではないかという期待感がある中で、そういった第二の人生を早くみずから選び取るということも、今の環境は、順風といいますか、いい環境になりつつあるというふうに思いますので、そういうものを生かして、それから、大臣が説明された今の早期退職勧奨のための制度を活用して、ぜひこれは意味あるスリム化というものを実現していただきたいと思います。
最後に、再任用職員の給与水準について、人事院に検討を要請中であるというふうに承知しておりますが、これをどの程度にするかというのも非常に大事な話であります。
現在の検討状況をお教えいただけますか。
○新藤国務大臣 これは、官民ともに雇用と年金の接続が課題となるという中で、民間においては、五十歳代の従業員も含めた高齢層の従業員全体の給与見直しの必要性が議論されていると私も承知をしております。
公務員におきましても、五十五歳超の職員について、本年一月から昇給抑制措置を講じております。
また、五十歳代後半層の官民の給与差はなお相当程度残っている状況であること、こういったことを踏まえまして、高齢層職員の給与については、五十歳代後半の官民の給与差を念頭に置いた給与構造の見直しなど、給与体系の抜本改革に取り組むこととしております。昨年の十一月の閣議決定で、このことは人事院に要請を行っているところであります。
そして、六十歳以上の再任用職員の給与のあり方についても、今後の職務や働き方の実情、それから民間の給与実態などを踏まえて検討を行うべきと考えておりまして、私どもとしても、昨年三月の閣議決定で、人事院に必要な検討を行うように要請を行っております。
御指摘のように、この問題については適切に対応してまいりたい、このように考えています。
○岡田委員 給与体系をどうするか、給与カーブをどうするかという話は、要するに、公務員がいかに意欲を持って働くかという意味で、私は非常に重要な問題だと思うんです。民間企業であれば、こういうのは本当にトッププライオリティーの問題じゃないか。そういうことに余り、今まで我が国政府は人事院任せにし過ぎてきたんじゃないかという気がするわけでございます。そういう意味で、人事院に任せるだけじゃなくて、政府としてもぜひ並行して検討する必要があるんじゃないかと思います。
今の大臣のお話で、五十歳代後半層の検討を人事院に依頼しているということなんですが、私の理解では、民間では、やはり五十歳を超えるとフラットになるとかあるいは下がるとか、そういう企業もかなりあるというふうに認識しているわけですね。
ですから、五十歳半ばまで上がっていって、そこからフラットにするとか下げるとかいうことじゃなくて、やはり前半も含めて検討する必要があるんじゃないか。人事院に対して五十歳代後半ということで検討を依頼しているのは、私は違うんじゃないかというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
○新藤国務大臣 さまざまな観点からの検討というのは、当然必要だと思います。そして、民間がどうなっているか、官民格差というもの、こういったものもよく捉まえなければいけない、このように思っております。
ですから、まず私たちは、政府で閣議決定をして、この五十歳代後半層について見直しをいたしましょう、こういうことになりました。それをきちんと進めながら、その次の問題についても、これはやはり常に問題意識を持ちながら、頭に置きながら、まずはできることを一つずつ着実に積み重ねていきたい、このように考えます。
○岡田委員 私は、多分違うと思うんですよね。
要するに、五十歳代前半が、今のままだと上がり続けますよね。そこからフラットとか下げるとかいう話と、五十歳からフラットになったり下がったりするという、そのときの五十五歳というのはかなり、上がり続けた公務員の五十五歳とは違う水準になっているわけですから、やはりここは、もう一回人事院に、五十歳後半だけじゃなくて、前半も含めてきちっと検討の指示をした方がいいんじゃないか。あるいは、政府の中でも、人事院以外でも、もちろん、これはいろいろな民間の事例も研究された方がいいんじゃないかというふうに思うわけです。
もちろん、五十歳代をそういう形で削減するということは、それ以前の世代に厚目に配分するということにもつながるわけで、私は、五十歳後半に限っている理由がよくわからないわけですが、いかがでしょうか。
○新藤国務大臣 委員の建設的な御提案というのは、私も頭には入れたい、このように思います。
その上で、まずできること、我々が方針として定めたことを着実に進めていく。そして、今のような御意見があるということも踏まえて、いろいろな研究をしていく必要がある、このように思います。
○岡田委員 ですから、ここは一旦、五十代後半の給与カーブができてしまえば、もう一回五十歳から、根っこから見直すというのは非常に難しくなる。少なくともかなり時間を置かないとできなくなると思うんですね。給与カーブというのはそう簡単に変えられるものではないわけで、ここは、そういう意味で、しっかり英知を絞ってやられた方がいいのではないかというふうに私は思っております。
それから、六十歳を超えたときの再任用された給与水準についても、民間ではもうそのことも含めて議論が始まっているわけですね。全体の人件費をいかに合理的に配分していくかということで、今まで六十歳で定年だったのが、近い将来、六十五歳になるわけですから。それを踏まえた全体の給与カーブをどう描いていくかというのは非常に重要な話なので、ぶつ切りにして、しかも人事院に投げるのではなくて、やはり政府全体としてしっかりと取り組んでいく問題ではないか、そういうふうに思います。
もし何かありましたら、おっしゃっていただきたいと思います。
○新藤国務大臣 きょうは、とてもいい御質問をいただいていると思っているんです。それは、こういう建設的な議論をしなければいけない、公務員制度をどうするか、それから我々の国の政府の財政再建をどうしていくか、こういったことを私たちはやっていかなきゃいけないわけでありますから、そういった今の委員の意見は貴重な御提案として、それらも含めたいろいろな研究をしていく必要がある。
再三申し上げますけれども、その中で、具体的な一つ一つ、まず着実な実現をしていかなければいけない。今、委員のお話は、それをするとかえって後が困るのではないかということでありますが、それらも含めてこれは研究する余地があるということです。
そして、定員の合理化は、これは五年間の計画はもう達成をして、さらにそれを上回る削減をすることになっています。できます。
ですから、私たちは、しっかりとこの行革に取り組んでまいりたい、このように考えております。
○岡田委員 定員の合理化は、ぜひ純減ベースでの発想も計画の中に盛り込んでいただきたい。従来の自民党政権の時代にも、純減ということは意識して議論されてきたということは申し上げておきたいと思います。
あとは、地方の公務員の人件費、国と地方の公務員給与を比較する際に、ラスパイレス指数ということが問題になるわけです。総務省の方でも地方の自治体のラスパイレス指数の発表などされていますが、地方からは、ちょっと指数の算定の仕方に問題があるんじゃないか、そういう指摘もあるわけであります。例えば、国の指定職がこのラスパイレスの母数に入っていないとか、あるいは地域手当が反映されていないとか、いろいろな議論があります。
私は、具体的なことは申し上げませんが、やはりこのラスパイレス指数は非常に重要ですので、これこそ国と地方でしっかりとコミュニケーションして、お互いが納得できる指数の計算の仕方というものを合意すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○新藤国務大臣 地方公務員の給与の問題につきましては、今年度、給与の削減の協力要請をいたしました。その際に、何度も地方の皆さんと話し合いをしてきたんです。二十六年度においては、それをもとの水準に戻す、こういうことになりました。
その際に必ず出てくるのが、このラスパイレスの問題であります。私も委員と全く同じ意識を持っています。
この際、給与を本来どうすべきなのか、もっときちっと話をしよう、お互いに、おかしなところがあるならば、それを一つのテーブルにのせて議論しようではないか、今そういう実務協議をしてもらっています。
それで、指定職がラスパイに含まれていない、こういうことであります。
これは、指定職というのは、そもそもがもう昇給がないんです。それから、扶養手当が支給されておりません。ですから、そういう特殊な給与であって、これを入れることが、果たしてこのラスパイという全体の給与体系の中で望ましいのか、こういう議論をしなければなりません。ラスパイに指定職を入れるなら入れたって、全体の数値としてはそんなに大きく変わるわけじゃありませんから、そんなことで地方が国に対するラスパイの制度の不信感があるならば議論しよう、こういうことを言っています。
一方で、地方においても、わたりですとか、それから地域手当が適切でない、こういう問題を放置したままでいいのか、きちっとやろう、そしてお互いに納得できる、公務員の給料というのは国民の税金で支払われているものでありますから、これは国、地方といえども、きちんと適正化しようじゃないかということを私ははっきり申し上げて、この機会に、そこを実務的な協議をしようということで進めたいと思っています。
〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
○岡田委員 ぜひ、そこは進めていただきたいと思います。
ただ、今大臣言われた地方公務員の給与の削減の話は、私は、安倍政権が行ったこのことは、いわばこれは強制ですから、地方分権という歴史から見ると歴史的な敗北だった、そういうふうに思っております。
もう一つ、地方公務員の数の議論をするときに、今、地方公務員は二百七十七万人、しかし、それ以外に臨時、非常勤で六十万人いるということです。教師などでは、同じような仕事をしながら、非正規と正規の違いが厳然としてあるということで、しかもそれは人件費には計上されていないわけですね、臨時、非常勤の六十万人については。そうすると、いろいろな議論をするにしても、ベースが違う。もちろん、国にもアルバイトとか非正規の公務員はいるわけですけれども、特に地方にそれが非常に多いのではないか。
だから、こういうことも、まずそういう臨時、非常勤が多いということ自身が私は大きな問題だと思いますけれども、そこの是正と、あわせて、いろいろな人件費を議論するときのベースとして、そういう扱いをどうするのか、全然除いたままで、正規公務員だけで議論していっていいのかということについても、ぜひ問題意識を持っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○新藤国務大臣 これも、やはり必要な把握は行わなければいけない、このように思っているわけでありまして、我々としても、総務省として、その状況についての把握に努めております。
実際に、正規の職員が今二百七十六万人であります、公営企業も入れると二百七十六万人。かつての、平成十七年のときの三百四万人が二百七十六万人まで減っているわけでありますが、一方で、臨時、非常勤が、平成十七年の四十五万人から、二十四年四月一日でありますけれども、六十万人までふえてきている。特に、保育士ですとか教員、講師、こういったところの伸び率が高いんですね。
したがって、本来であれば、任期を限って臨時的、補助的業務に任用されるべきものであります。しかし、臨時、非常勤職員がこれだけふえているという状態の中で、やはり人件費全体を把握するという観点も留意しながら、そして、地方公共団体において、その制度の趣旨にのっとった適切な運営がなされるように、我々としては引き続き助言もしてまいりたい、このように思います。
○岡田委員 それでは、次に参りますが、特殊法人の職員の給与水準について、これは行革担当大臣にお聞きしたいと思いますが、野田政権のときに、ラスパイレスが余りにも高い特殊法人、独立行政法人の給与水準の見直しを要請いたしました。
特に、給与水準の高い五法人、日本中央競馬会、JRAですね、それから、沖縄振興開発金融公庫、沖縄科学技術大学院大学学園、日本政策金融公庫、日本銀行、この五つについては名指しして、主務大臣が各法人に対して給与水準の見直しなどの具体的な措置を着実に講ずるよう要請したところであります。
その結果を稲田大臣は昨年の四月二十三日に公表されたわけですが、私から見ると、かなり不十分じゃないか。
例えば、日本政策金融公庫など金融機関は、他のメガバンクと比較して問題ありません、こういうことであります。しかし、本当にメガバンクと比較すべきなのか。国家公務員は、中小企業も含めた給与水準との比較において今の水準が決まっております。それを、なぜメガバンクと比較しなければならないのかというのは、私は非常に理解に苦しむわけであります。
ですから、四月二十三日に公表されたわけではありますが、もっと切り込んでやるべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○稲田国務大臣 今委員御指摘の特殊法人、五法人について、民主党政権下で、委員が行政改革担当大臣のときに、各所管大臣に対して個別の見直しが要請されて、それを私もしっかりと引き継いで、各法人の給与水準の検証、見直しの結果、今御指摘のとおり、昨年の四月に公表をしたところでございます。
今御指摘のあった日本政策金融公庫等の問題でございますけれども、その給与水準の妥当性、行革担当大臣であった委員からも、その合理性を示せということであったかと思いますが、各主務大臣が当該法人の事務事業の特殊性も踏まえて判断すべきものだというふうには考えております。
日本政策金融公庫、また日銀の給与水準についても御指摘があったかと思いますが、主務大臣である財務大臣の指導のもとで、同種の民間事業者の給与水準を参照しつつ、その妥当性を検証し、またあわせて、今御指摘になった、その比較する職種の見直し等の合理化策も講じられたというふうに承知をいたしております。
いずれにせよ、国民の理解が得られるよう、法人の給与水準については、これを不断に見直して、そして必要な場合には適正を図ることが重要でありますし、先ほど御指摘になったJRAについても、農水大臣に昨年の四月に二点要請をいたしました。そして、JRAにおいて、従来存在しなかった給与の支給基準を初めて策定、公表し、役員は国家公務員の処遇を勘案する、職員は役員の給与との均衡を考慮すると明記をしていただいているところでございます。
いずれにいたしましても、委員の御指摘を踏まえて、しっかりと不断の改革に取り組んでまいりたいと思います。
○岡田委員 JRAについては、昨年の九月六日にJRAが公表した資料によりますと、今後の給与水準については、平成三十年末に一二〇台半ばに相当する水準を目指して取り組むということになっているわけです。一二〇台半ばという水準そのものは依然として高いわけで、しかもそれは、目指して取り組むと言っているだけなんですね。
私は、なぜJRAがこれだけ高い水準なのか、ほかの独法などに比べても高いわけですけれども、よくわからないわけですが、何か合理的な理由、大臣、わかりますか。
○稲田国務大臣 JRA、日本競馬会については、国の補助なく独立採算で運営して、その給与も国家公務員に準拠せず、売り上げや利益などをもとに自主的に決定されてきて、そのため、平成十年ごろまでの好調な業績を反映して高水準になったのではないかというふうに理解をしております。
しかし、委員が御指摘のとおり、私もこの給与水準は極めて高いというふうに認識をしておりまして、平成二十四年の要請に加えて、昨年四月に、給与水準の設定の考え方の抜本的な見直し、そして年限を決めた給与の具体的な見直しをJRAが行うよう、私から農水大臣に書面と口頭で要請をした結果、先ほど御指摘のような回答が返ってきたわけであります。
しかしながら、平成三十年末に指数を一二〇台半ばにするというのがそれで十分なのかという御指摘でありますが、給与は非常に重要な勤務条件であって、職員の理解を得ながら見直していくことも必要だというふうに思っております。
しかしながら、今回の取り組みで十分とは私も考えておりません。JRAの給与水準が社会一般の情勢に適合したものになるよう、毎年度の給与の水準の公表の機会を通じて、農水大臣にも要請してまいりたいというふうに思っております。
○岡田委員 公営ギャンブル、その上がりというのは公益のために使われるわけで、それが高い給与の中に消えてしまうということは、やはり私は避けなければいけないことだと思います。
最後に、総務大臣に一つだけ。
我々、国と地方の協議の場などをつくって、知事会や市長会、町村会の代表の方といろいろ議論する機会は多かったんですが、私、非常に感じるのは、やはり相互不信。相互不信というのは、国に対する不信じゃなくて、県と市町村との間の極めて大きな不信感といいますか、それが感じ取れるわけであります。
やはりそういうものがあると、道州制とかあるいは分権とかいっても、きちんと進んでいかないということにもなるわけで、これはやはり国にも相当責任があると思うんですね、そういう事態を招いたことは。
総務大臣として、そういったことの解消にぜひ努めていただきたいと思うんですが、御決意があればお伺いしておきます。
○新藤国務大臣 私も、総務大臣になりまして、やはり一番、団体関係でお会いする頻度が高いのは、地方団体の皆さんです。知事会、市長会、町村会、そして議長会ですね。それぞれの皆さんとは、かなりの頻度でお会いをいたします。
そして、不信があるということもあるかもしれませんが、根底にあるのは、そもそも立場が違う、そして置かれている役割が違うわけですから、当然、そこに意見の相違が出てくると思います。それを調整して、客観的に、総合的、全体的な立場から意見を言っていくのが国の役割だと思います。
ですから、私は何度も申し上げておりますけれども、国と地方を対立の概念で語ってはならない、そして、地方の中もそういった対立の概念で判断してはならないんだと。それぞれ役割があって自分たちの主張をするんですから、それをいかにしてそれぞれがよくなっていくか、そういうことを私たちが調整する役割を果たしていかなくてはいけないんだ、そして、それは言葉のときもあれば、具体的な制度としてそういったものを国が打ち出していく必要がある、このように日ごろから考えております。
○岡田委員 終わります。