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2014.03.06|夕刊フジ

集団的自衛権の行使容認 国民の理解が不可欠(夕刊フジコラム「ズバリ直球」14年3月6日号)

プロ野球・楽天から、米大リーグ・ヤンキース入りした田中将大投手のオープン戦初登板は見事だった。フィリーズ戦の五回、3番手としてマウンドに上がり、ヒット2本を打たれたものの、3奪三振、要所を締めて2回無失点で抑えた。実に、堂々としたピッチングだった。

ヤンキースは特別な球団なので、プレッシャーや苦労も多いと思う。ただ、チームには黒田博樹投手やイチロー選手もいる。私は楽天時代から田中投手を応援してきた。昨年の日本一は忘れられない。どうか、大リーグの歴史に残る投手になってほしい。

さて、ウクライナ情勢は深刻だ。

同国はロシアと欧州の間にある。親EUの野党勢力が先月末、親ロシアのヤヌコビッチ前大統領を失脚させ、政権掌握を果たした。プーチン大統領としては、ソチ冬季五輪の間は我慢していたのだろうが、五輪閉会後にロシア軍を一気に展開させて、同国南部クリミア半島をほぼ掌握した。

クリミアはロシア系住民が人口の約6割を占めるなど、親ロシア感情が強い。ロシアが誇る黒海艦隊の本拠地でもあり、プーチン大統領としては絶対に手放したくないのだろう。

ロシアの軍事介入に対し、先進7カ国(G7)と欧州連合(EU)が非難声明を出すなど、事態は極めて緊迫している。

これをきっかけにウクライナが内戦状態になることも、かつての冷戦時代のような米欧・ロシア関係に戻ることも、悲劇でこそあれ、何のプラスもない。日本自身ができることは限られているが、ロシアやウクライナ、米国、EUなど関係各国が冷静・慎重に対処するよう、しっかり働きかけてほしい。

衆院で2014年度予算案が可決され、予算審議の舞台は参院に移った。衆院の予算委員会では、私は、安倍晋三首相が進める憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を容認することの問題点を、何度も議論した。

衆院での議論で、問題点の輪郭は見えてきたと思う。入院していた内閣法制局長官も復帰し、参院でもさらに議論が深まることを期待したい。ただ、この問題は、中身の詰めと同時に、「国民の理解」が不可欠だ。

集団的自衛権の行使容認は「海外で武力行使をしない」という戦後の大きな方針を変えて、日本の国のかたちを変えるものだ。単なる法律改正などとは次元が異なる。国民の方々に広く集団的自衛権について理解していただき、その是非を考えてほしい。

そのためには、解釈変更の閣議決定前に、国会で徹底的に議論することが不可欠だ。与党内からも、私の質問や主張に対し、賛同の意見をいただいている。安倍首相にはもう少し、謙虚になってもらいたい。(民主党衆院議員)




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