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2013.02.28|夕刊フジ

国益損なう”ネガティブ”発言 日米首脳会談(夕刊フジコラム「ズバリ直球」13年2月28日号)

 安倍晋三首相は先週末、ワシントンを訪問し、オバマ大統領との日米首脳会談を行った。会談が成功裏に終わったことは、率直に評価する。そのうえで、2つのことを指摘したい。

 まず、安倍首相が記者会見で「この3年間で著しく損なわれた日米の絆と信頼を取り戻し、日米同盟が完全に復活した」と述べたことには、首をかしげざるを得ない。

 オバマ大統領は「日米関係が損なわれていた」と一切発言していない。あくまで安倍首相の個人的見解だ。それどころか、クリントン前国務長官は退任直前、日米外相会談後の共同記者会見で「(4年間の在任中)日米両国は前例がないほどの協調を享受した。北朝鮮やアフガン、イランなどの地域的・国際的課題に取り組み、東日本大震災に協働して対応してきた。日本国民と日本の指導者の皆様に対し、日米同盟への協力とコミットメントに御礼申し上げたい」と語っている。

 クリントン長官の在任中、3年3カ月は民主党政権だ。普天間飛行場移設問題で一時期厳しい局面はあったが、それ以外は、民主党政権下で日米同盟を深化させてきた。特に、野田佳彦政権時代はそうだった。安倍首相がご自身の成果を強調したいのは分かるが、事実に反するネガティブな発言は、日本の国益を損なうだけではないか。

 もう1つ、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)関する日米共同声明についてだ。

 声明文は「全ての物品が交渉の対象とされる」と確認したうえで、「日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに2国間貿易上のセンシティビティーが存在することを認識しつつ(中略)、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」としている。

 文書で確認した意味はあるが、基本的に米国が主張してきたことを変更するものではない。これで、大きく状況が変わったとはとても言えない。

 私はTPP交渉参加に賛成の立場だが、昨年末の衆院選で「聖域なき関税撤廃が条件である限り、TPP交渉参加に反対」と主張していた自民党議員はどうするつもりだろうか。言うまでもなく、選挙公約は重い。安倍首相を含めて、明確な説明を聞いてみたい。

 民主党は24日、党大会を開き、2013度活動方針を決定し、綱領や党改革創生本部報告を採択した。衆院選後、わが党は政権運営の総括と党再建に向けた議論を積み上げてきた。これを一区切りとして、前を向いて進むべきだ。自民党政権が行き詰まったとき、それに代わりうる政権政党は民主党しかない。(民主党衆院議員)




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