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2012.09.12|記者会見

副総理としての定例記者会見(平成24年9月11日)

岡田副総理記者会見要旨 平成24年9月11日
(平成24年9月11日(火) 15:00~15:24  於:合同庁舎4号館1階108会議室)

1.発言要旨
 私からは2点。
 まず、松下大臣の御逝去に対して、心から哀悼の意をあらわしたいというふうに思います。
 先週の金曜日に、閣僚懇で私が、例の閣議閣僚懇の記録、議事録の問題を説明して、各閣僚の御意見をいただいたわけですが、そのときに松下さんが手を挙げていただいて、あまり閣僚懇の中身は言っちゃいけないことになっていますが、こういう場ですからお許しいただきたいと思うんですが、「岡田副総理の御説明で進めていただいていいと思います。賛成です。」というふうにおっしゃっていただいたのが、金曜日ですから、非常に記憶に残っております。そのときに、今日を予想することは全くできなかったわけで、非常に本当に残念に思っております。内閣の中でも非常に安定感のある発言で重きをなしておられた方ですので、本当に残念に思っているところであります。
 それからもう一点、尖閣諸島の取得保有ということで、今日、予備費について決定をいたしました。内容については官房長官が既に会見でお触れになっていることで、繰り返しませんが、尖閣諸島、個人が持つよりは国が持ったほうが安定的に管理できると、従来の賃借だけではなくて所有権まで移したほうが安定的に管理できるということで、今回の決定を行ったものですから、中国側からは、いろいろな発言もあるようですけれども、是非日本政府の真意というものもしっかりと御理解いただいて、お互いこういったことで重要な日中関係というものが損なわれることのないようにしていかなければいけないというふうに思っております。戦略的互恵関係をさらに深めるための努力ということは双方に求められていると、当然日本にもその努力が求められているというふうに考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答
(問)【冒頭発言関連】
 フリーランス記者の上出です。今、尖閣の問題で、中国政府は是非、日本政府の真意を酌み取ってほしい、と。この真意ということについてもう少し説明していただけますか。
(答)私、「真意」という言葉を今使いました?

(問)日本政府の真意を酌み取っていただきたいというふうな。
(答)僕、「真意」と言ったかな。

(問)だから、何か意味があるのかなと思いました。
(答)いや、ですから、安定的に尖閣諸島を管理するために行ったということを、そういうことだということを、閣議決定を理解してもらいたいということです。
(問)分かりました。

(問)朝日新聞の河口です。尖閣の関係でお尋ねしますが、自民党の総裁選はまだですけれども、そんな中での尖閣の国有化後の取り扱いといいますか、施設を整備すべきだとかという意見も出ておりますが、その辺りについてはどのようにお考えになられるというか、また、こういった、例えば使い方といいますか、ありようによって総裁選や代表選なんかで議論をされることについてどのようにお考えになりますか。2点についてお願いします。
(答)まず、政府としては何か決めたということはございません。現時点で特に何らかのことを考えているわけではないということです。自民党の議員が個人としていろいろ言われることは、それは結構かと思いますけれども、我々は政権政党でありますので、しっかりと、国益にとって何が必要かと、そういう視点で物事を進めていきたいというふうに思っております。

(問)【その他】
 朝日新聞の河口です。民主党の代表選の関係でお尋ねします。昨日の共同記者会見の中でも、例えば、鹿野候補などは、野田政権の意思決定がどういうふうになされたかというのがはっきりしないと、民主党のガバナンスといいますか、統治がしっかりしていないというような御指摘をされておられますが、こういった御指摘について、例えば、政策決定ですとか意思決定についての批判があるわけですけれども、この辺りについてはどのようにお考えになりますか。
(答)もう少し具体的に指摘していただいたほうがいいですね、どういうことについての意思決定なのか。政府としては、それは閣議で最終的には決めているわけだし、それから、党は党で政調や役員会、あるいは常任幹事会と、それぞれ組織があるわけですから、何について、どういうところが本題なのか、ということを明確に言うべきだと思います。少なくとも、野田さん以外の3人の候補者は、いずれも閣僚の御経験もおありですから、ちょっと私には理解に苦しむことですね。

(問)朝日新聞の河口です。すみません、先程の関連で意思決定のお話ですけれども、野田政権発足直後から、野田政権としての党と内閣を含めた最高意思決定機関といいますか、そういった組織として政府・民主三役会議というのがつくられたわけですけれども、この政府・民主三役会議が、いわゆる党と政府、内閣の調整をして、何らかの政策の意思決定に役立ったというか、何かを決めたというようなことがあまりなかったんじゃないかと思いますが、この辺りきちんと機能しているかどうかについてお尋ねします。
(答)政策については、当然閣議で最終決定するわけで、政府の決定としてはね。それは党で決めるわけではないんですね。自民党だって同じだと思うんです。総務会でいろいろなことを決めますが、最終的に閣議で決めなきゃ政府として決めたことにならないわけであります。ですから、政府・民主で様々な意見交換、あるいは情報の共有ということをして、方向をお互い確認して、その方向で党、政府で動いていくという意味では非常に有用な機関だと私は思いますが。

(事務方)その他御質問よろしいでしょうか。
(答)質問なし。そろそろ発言回数で入場制限するか。せっかく機会をつくっているので、皆さん発言していただいたほうがいいかなと思いますが。はい、どうぞ。

(問)北海道新聞の山岡です。先日、谷垣総裁が、総裁選を辞退するということになりましたが、昨日の共同会見でも野田総理が「先日の3党合意については、谷垣総裁がいなければなかなかできなかった」というふうな趣旨の発言をされたと思うんですが、今回の件については、総裁側のほうに岡田副総理として何らかのアクションといいますか、辞退されたという後に連絡をとられたりとか、そういったことは、周辺の方も含めてあったんでしょうか。
(答)それはありましたけれども、御本人にはしていません。

(問)北海道新聞の山岡ですが、可能な範囲で結構ですが、どなたに、どういった趣旨の発言をされたのかということを……
(答)それは、私はどなたにお会いして、どういう話をした、あるいはどなたに電話して、どういう話をしたということは言わないということにしておりますので。これは、政治家にとって重要な財産ですので、そういったことを言わないということ。申し訳ないです。

(問)NHKの田村です。今の総裁選の関連でお伺いしたいんですが、谷垣総裁が、これまで野党の総裁としてずっと3年間対峙してきたわけですけど、谷垣さんが今回総裁選の立候補を辞退したことを副総理としてどのように受け止めたかと、あと石原幹事長が、岡田副総理が幹事長時代にカウンターパートとしていろいろ協議等をしてきた相手だと思うんですが、石原幹事長に対する評価というのを、副総理はどういった評価をされているかお伺いできれば。
(答)自民党の中で総裁選挙がこれから正式にスタートするわけで、そこの候補者になっている方々について、私が公の場でコメントするということはございません。それはそれぞれの党の中で選挙を進めていただくわけで、他党が何かそれに介入しているとか、影響を及ぼすかのような、そういうことは避けなければいけないというふうに思っております。したがって、石原幹事長の件については、私はコメントを控えたいと思います。
 谷垣総裁は、3年間、厳しい状況の中で、非常に努力されて党内をおまとめになられたと思います。民主党もなかなか大変なところはありますが、自民党も野党に初めてなったということもあったとは思いますが、なかなかまとまりが難しい。これは、社会保障と税の一体改革のときにも実感したことですが、いろいろな意見があってまとまりにくいということはあったというふうに思います。そういう中で大変御苦労されている総裁、去年は幹事長として私、総裁を見ておりましたし、今回は政府の中から見ておりますが、大変な御苦労だったなというふうに思います。残念なことだというふうに思っています。

(問)フリーランス記者の上出です。今のに関連しまして、消費税、それから一体改革ですね、これについてはいろいろな評価はありますが、マスメディアの社説なども、「新しい政治の一歩」あるいは「歴史的な政治の一歩」と、それがやはり3党合意ということが大きな推進役になっているということをあわせて評価していると思うんですけれども、その一方の相手が谷垣さんであるということで、そういう一種の共感というか、戦友と言ったらあれですが、お互い厳しい国民の批判もある、党内の批判もある中でやってきたという意味では、そういう共感する部分、あるいは一緒に、大げさに言えば政治の新しい局面をつくったという、そういう連帯感みたいなものというのはお感じになりますでしょうか。
(答)3党合意というのは、これ社会保障と税の一体改革に関するもの、昨年は復興についても3党間で協議しながら進めてきたということはあります。これは要するに衆参のねじれの中で、そうしない限りは前に進めなかったということで、大変なエネルギーと努力を要したわけですけれども、そういう中で、やはり最大野党の自民党の理解というものがあって初めて可能になったわけです。徹底的に野党に徹して戦おうと思えば、そういう選択がなかったわけではありませんが、そうすれば政治は前に進まなかったわけで、谷垣さん、よくいろいろな面で共通の土俵に乗っていただいたというふうに感謝をしております。これからも社会保障と税の一体改革については3党で合意したわけですから、合意したものが効力がなくなったとか、そういうことを言う方もいらっしゃいますが、それは党と党の間で、しかも、法律になっているわけですから、この社会保障と税の一体改革に関して言えば、3党で協力していくということは、これからもしっかりと進めていかなければならないというふうに思います。
 もう少しこの協力関係を広げることができるかどうかというのは、これは現時点では何とも言えない。新しく選ばれた両党の代表者がどういうふうにこれをさらに広げるのかどうかということについては、代表選挙が終わった後、それぞれ次第に明らかになってくることかなと思います。
 ただ、私の感想を言わせていただければ、このねじれは参議院選挙までは続きますので、それまでの間、別に連立を組むとかそういうことを言っているわけではないんですが、重要な問題についてはよく協議をして前に進めていくということは必要だというふうに思っています。

(問)そういう中で、積み残した法案も結局あると思うんですが、一番岡田さん、優先順位をつけるのは難しいでしょうけれども、一番残念だった、やはり今国会で通過しないことになって、その辺のことについて分かりやすく説明していただけますか。
(答)いろいろありますが、私が責任を負っている法案もありますので、それぞれ大事なんですが、しかし、やはり特例公債法案の問題が最も心残りということです。従来から申し上げているように、これは予算と表裏一体の関係にある法案ですので、それが通っていないということは、これは非常に大きな問題ですし、「この法案を通さないと総理大臣を辞めろ」とか、「解散の日程を決めろ」とか、去年、今年とやってきていますので、こういった政治は早く脱しなければいけないというふうに思います。
 自民党の中にも、こういうことを取引の材料に使うのは避けるべきだという意見もあります。まさしく私はそうだと思います。1年以内に総選挙があるわけで、私はこういうときにこそ主要な政党間で特例公債法については、例えば予算と同じ扱いをして予算案が成立するというのであれば、この法律も通すとか、あるいはそもそも毎年毎年法律を出すということではなくて、特例公債法をしばらく出し続けなきゃいけないということは誰の目にも明らかですから、毎年出さなくてもいいような方法を考えるとか、そういうことについて、総選挙が終わるまでのこういう時期に、主要な政党間で合意をするということは、私は非常に意味のあることではないかというふうに思っています。是非、それぞれの総裁選挙、代表選挙でもそういうことが議論になればいいなというふうに思っているところです。

(問)TBS、鳥山です。最初のお話の中、松下大臣の件なんですが、訃報の後、周辺からは、「内閣の大黒柱だった」ですとか、「重要な存在だった」という声がありましたが、副総理から見て内閣の中で、そして連立を組んでいる政権与党の中で、どのような存在だったか、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。
(答)最初に申し上げたつもりですけれども、ベテランの議員で、しかも、大変誠意を持って仕事に当たられる方だったので、その発言は重みを持って閣内でも受け止められ、しかも、国民新党の代表として入っておられたわけですから、与党のかなめとしての存在感があったというふうに思います。

(問)朝日新聞の河口です。最近といいますか、岡田副総理が、要するに、党といいますか、決めたことについてはきちんと、それまでの議論があっても従うべきだという御発言をよくなさっていますけれども、かなりこの間も民主党内では、党内でも議論が分かれて、結果的に離党者も出るような事態にもなったわけですけれども、ここまで激しい議論といいますか、意思決定をしたときに、それに従わないというか、うまく回らないのは何に起因するというふうにお考えになっておられますか。党の文化と言ってしまえばそれで終わってしまうんですけど、その原因といいますか、そこは、なぜ意思決定にうまく従わせることができない、従わないという原因があるのか、この辺りはどのように分析されておられますか。
(答)いろいろな理由はあると思います。一つは、非常に困難な問題に直面しているということですね。TPPもそうだし、原発についてもそうです。野党であれば、これはあいまいさを残した決着が可能です。現に自民党は、この二つの問題についてクリアな答えを今出しているとは思えないわけですね。しかし、我々与党ですから、きちっと最終的な答えを出さなきゃいけない。そういう中で起こっていると。非常に難しい、TPPにしても原発にしても、非常に難しい問題ですから、消費税の引き上げもそうですね。一内閣で負うにはあまりたくさんの重要な問題に直面しているということが一つあると思います。
 もう一つは、やはり我々は与党としての責任といいますか重みといいますか、そういうものにまだ十分慣れていない部分があるということで、野党のときには、先程言った、あいまいさを残すことが可能ですから、いろいろな意見があってもいいんですが、政府与党である限りは、最終的には一つにまとまらなきゃいけないと。そこの自覚が十分ではないということかと思います。
 もう一つ言わせていただければ、やはりいろいろなことを議論する前から「絶対賛成しない」みたいな、そういう風潮がなきにしもあらずで、そういうカルチャーをもう一回変えなきゃいけないと。昔からそうだったとは私は思いません。野党時代に、先程言った、野党と与党の責任は違うわけですが、しかし、そうは言ってもやはり、議論して最終的にはまとまるという、そういう党のガバナンスというか、そういうものはある程度あったと思いますが、自分の意見に合わなければ絶対に従わない、あるいは言うことをきかないみたいな、そういう感じがここ二、三年なきにしもあらずです。そういうものは克服していかなきゃいけないというふうに思います。そういうものが、国民からも見られていると思うんですね。だから、内閣支持率も決して高くはないですが、しかし、非常に難しい中で、野田政権の支持率というのは、そこそこ維持しているわけですね。党の支持率はそれよりもはるかに低いわけで、それはなぜなのかということをよく考えないといけないというふうに思います。それは、リーダーである野田さん一人の責任ではないということを自覚しないと、国民からはさらに批判されるだけだというふうに思います。

(以上)




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