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2012.07.04|記者会見

副総理としての定例記者会見(平成24年7月3日)

岡田副総理記者会見要旨 平成24年7月3日
(平成24年7月3日(火) 15:00~15:26  於:合同庁舎4号館1階108会議室)

1.発言要旨

 私からは、冒頭は、規制改革について一言申し上げたいと思います。
 規制改革というのは、日本の成長戦略の柱の重要な一つであるということと、それから行政刷新会議の下での規制・制度改革委員会、これは先般、名前を変えて体制を強化したところですが、ここで議論をしてきたわけであります。
 今般、一つのまとめに至りましたので、皆さんにそれぞれ少し説明もさせていただいたとは思いますが、私からも一言申し上げたいと思います。
 今回、特に力を入れた幾つかの分野、一つは航空分野における規制・制度改革ということで、航空機修理に係る重複規制、各省庁の規制や、無線機に関する規制の見直しというものを進めることにしております。
 航空分野はそれぞれの国において規制がありますが、国際的な基準と違うということになりますと、規制がそれだけ重くなっているということになれば、これは競争力という観点から見て、問題を生むわけですし、国内も従来の体制からLCCの新規の参入などもありまして、むしろそういうものを促進していくためにも、古い規制が妨げになってはいけないということで、見直しを行うこととしたところであります。
 もう一つは医療機器分野における規制・制度改革。今、医療機器につきましては薬事法の規制ということになっております。勿論、薬と医療機器というのは、中身も違えば、当然規制の対応も違ってくるべきでありまして、薬事法の中に医療機器の章を新設し、そして規制の内容も薬とは違う形にするということで、より適切な規制を行っていくというふうにしなければならないと考えております。具体的な審査について、民間機関の活用拡大ということを考えているところであります。
 本来、医療機器についても、日本のエレクトロニクス分野というのは、ここ数年はともかくとして、日本が伝統的に非常に強い分野でありますので、医療機器についても、本来日本がもっと国際競争力を持って然るべきだと思いますが、現実には2.3兆円の市場規模に対して6,000億円の輸入超過ということになっております。これも日本の独特の規制というものが、そういったことに一因となっているというふうにも考えられるわけで、規制の見直しというものが必要であると考えております。
 そのことは、また医療機器、あるいは医療技術のイノベーションが促進されるということは、国民の健康福祉の増進という観点からも望ましいことだということになるわけであります。
 それから、医薬品分野におきましては、ワクチンに関する様々な制度の見直しを進めていくということであります。
 欧米各国で一般的に入手可能なワクチンを、国民の皆様に迅速かつ低負担で提供できるような環境整備をするということであります。
 それから、日本とEUの間でのEPAの交渉。これは私が外務大臣のときから取り組んでいるわけですが、交渉開始というテーブルに乗るかどうかという非常に重要な場面になっております。
 そういう中で、EU側から出てきておりました様々な指摘、自動車に関わる安全基準などの各種基準の国際基準との整合性の確保、それから自動車整備工場の立地の面積制限の緩和、それから食品添加物の指定手続の簡素化、迅速化。こういったEUから非関税措置ということで要望が出ておりましたことについても、大きく前進させることで、日・EU間のEPAの早期交渉開始ということに繋げたいというふうに考えております。
 詳細については、資料などを御覧いただければと思いますが、来週には閣議決定を行って、正式に政府の決定にしたいというふうに考えております。
 一部メディアなどに出ましたので、このタイミングで皆さんに御報告をする次第でございます。
 私からは以上です。

2.質疑応答
(問)【規制・制度改革関連】
 共同通信の関と申します。二つお願いします。一つは、今回取りまとめた項目の中に、成長分野でのいわゆる規制緩和、規制改革に関する部分もあると思うのですけれども、政府が間もなく取りまとめ予定の日本再生戦略との位置付け、あるいは関連性について、例えば何かの形で反映させるようなお考えというのは、今のところあるのでしょうか。
(答)反映させるというか、それぞれ政府の決定ですから、反映させるというか、それはまとめ方の問題であって、内容的にはここでまとめたもの、閣議で決まればこれが決定であると、それを再度その中で取り上げるかどうかと、こういう問題だと思います。

(問)それと、もう1点。41項目今回取りまとめられて、多くは24年度中に検討、結論ということになっています。今後のフォローアップが大事かと思うのですけれども、副総理のお考えとしては、当然全部ということになると思うのですが、どの程度この中で実際の規制改革に繋げたいというお考えでしょうか。
(答)基本的に取りまとめた以上は、全てというふうに考えています。そのためにしっかりフォローアップすると。勿論、タイミング的に多少時間がかかるものも出てくるかと思いますが、各省庁とも議論をしながらまとめたものですから、それは実現する必要があるというふうに考えています。

(問)日経新聞の宮坂と申します。今回、日本の再生とか復興とか、そういった分野で、先般、エネルギーの分野もまとめられたと思うのですけれども、今回、農業の分野というのも新しい枠組みで始まっているかと思うのですが、今後、新しいワーキンググループとか、取り扱っていきたい部分に関して、副総理の今の考えの部分を教えていただければと思います。
(答)今、考えているのは、農業以外に医療ということです。

(問)朝日新聞の河口と申します。我々も説明をいただいて、意外な規制が残っているものだなと思いましたが、特に印象に残ったといいますか、これはやはりかなり例えば新規事業ですとか、新規参入に対して足かせになっていたなという印象に残られたような事業というか、規制はありますでしょうか。
(答)どれがということはありません。ただ、規制というのは気をつけないと、時代が変化してもそのまま残されてしまうと、そのうち既得権が発生して、その規制が新規参入に対して参入障壁になると、そういうものだと思うのですね。ですから、全体的に見直しながら、そういった規制を取り除いていくということは、不断に求められることだと思います。
 ただ、全体、全て見直していくというのは、限界もある。時間にも、マンパワーにも限界あるわけですから、そういう意味で非常に重要な分野ということで、エネルギーはフォローアップしていきますが、農業と医療というところを中心にしっかりと、ある意味で大きな構えで見直しをしていきたいというふうに考えているところです。

(問)フリーランス記者の上出です。今の関連ですが、この農業と医療というのは、最近ちょっと聞こえなくなりましたが、TPP。これのいろいろな国際的な圧力とか、基準とかの問題でも出てくるのですが、このTPPとある程度連動するような形でのこの作業にもなるのでしょうか、それを意識した。
(答)TPPの議論の中で、医療というのは実はあまり出てこないのですね。農業は確かに重なるところはあります。しかし、これは国内の規制をどうするかという問題ですから、我々規制改革を司る者としては、そういう視点でしっかりとやっていきたいというふうに思います。

(問)結果として繋がることがあるというぐらいですか。
(答)TPPそのものは、まだ交渉に参加するかどうかということを政府としては決めておりませんので、私が今ここで、迂闊にも何か発言しないほうがいいと思います。

(問)朝日新聞の河口です。先ほど御指摘になっておられましたが、EUとのEPA交渉、かなり要望もあったかと思いますが、今回の規制改革といいますか、これでかなり回答という、日本側からの回答という意味では、環境整備が整ったということですか。
(答)かなり具体的な進展があったというふうには、EU側にも捉えてもらっているというふうに思います。ただ、EU側にはEU側の事情もあるということですから、しかもこれだけ経済が悪い中で、EUの中にもいろいろな意見が国によってあるということなので、そういった議論はこれからだと思います。
 しっかりと我々としても、これだけの努力をしたということ。それから日本にとって、EUというものがどういう存在かということを、ある意味ではこれは日・EUのEPAができるか、できないかによって、かなり変わってくるということ、そういうことをしっかり理解していただきたいというふうに思っております。

(問)【その他】
 フリーランス記者の上出です。昨日の確かNHKニュースだったと思ったのですが、オスプレイの配備に関して、岡田副総理のコメントが出ていまして、日米安保条約という制約の中では、最大限やっているということをおっしゃっていました。
(答)一昨日ね。

(問)一昨日ですか。それで、そういう根本的な安保条約の制約、いわゆる接受国通報ですか、このことを出さないと説明ができないということが逆にオスプレイというのは、正当性というものがなかなか一般国民に分かって貰うのが難しいということにも繋がると思うのですが、如何でございましょうか。
 最後の切り札としては、アメリカの言い分だからということになってしまうのですけれども、そこに持っていってしまっていたような気がしたので、全部放送されたわけではないと思うのですが。
(答)おっしゃっている意味がよく分からないのですが、基本的に事前協議の対象というのは、日米安保条約、それに基づく交換公文の中で規定されておりますから、そこには該当しない。逆に言うと、それはアメリカ側が自ら決められると、そういう約束事になっているということです。
 しかし、そうはいってもやはり日本政府としても、国民の生命、財産に関わるような話について、アメリカ側ときちんと話し合いをしなければならないということで、そういったことは進めてきていると、しかし最終的に決める権限はギリギリ言えばそれはアメリカ側にあると、そういうことです。

(問)おっしゃることは分かるのですが、それだと今の沖縄の人たちの「絶対受け入れられない」というようなことを言っている説明にはならないのではないかと思うのですが、具体的にこういう手立てでやると、民主党が政権を取ったときに言っていた自民党とは違う、そういうアメリカとの関係、そういうものとの関係では何かないのでございましょうか。
(答)ですから、オスプレイが船に載って出たということはあっても、それが日本の空を飛ぶかどうかというのは、また別の問題ですから、きちんと安全性を確認、少なくとも日本が理解できるような、そういう説明を求めているということです。

(問)朝日新聞の河口です。昨日、小沢元代表と50人の方が、合わせて50人の方が離党されたわけですけれども、この50人の方が離党された今後の影響と、また政権交代、一緒に皆さんと成し遂げられた小沢一郎さんが他党へ出ていかれたということについての、この事態についての影響という、この2点お伺いできますか。
(答)まず、正確に申し上げれば、50人の方の離党届が提出をされたということで、まだ受理しているかどうかというのは、私は受理したということは承知しておりません。
 離党届が提出されたということは、非常に残念なことだというふうに思っております。手続を経て、党の中でかなりしっかりとした、激しい、しっかりとした議論を行って閣議決定し、国会に提出をし、採決に至ったものですから、それが考え方と違うということで反対をされ、かつ離党届を出されるということは、非常に残念なことだと申し上げておきたいというふうに思います。
 いろいろな影響というのは、それは数も減るわけですし、当然あるとは思います。しかし、そういったことを乗り越えて、社会保障・税一体改革を始め、国民のために必要だというふうに考えられることを野田政権として一つ一つ成し遂げていくことが必要だし、そのことが国民の期待に応えることになるというふうに思っております。

(問)世界日報の山本と申します。実は玄葉外相の発言との関連でこの質問をちょっと考えたのですけれども、日本の外交について、玄葉外相が「時代に適応して変わり続ける種が強いのだ」という発言をされて、進化論的な政権運営についての発言ということで、少しメディアでも論議があったのですけれども、岡田外相の発言もちょっと見てみましたら、すみません、岡田副総理の発言で、6月22日の記者会見の冒頭に、閣僚懇での行政事業レビューについて御説明されまして、「行政事業レビューというのは、事業仕分けの進化形としてある」と表現されて、「そのフォローをしっかりするように」と、各大臣に言われたと会見録があったのですけれども、ちょっと変な話になってしまうかもしれませんが、進化論という概念では、進化というのは自然に任せておく中で、自然に変化してきたというものだと私は思っているのですけれども、この外相発言もあった中でのこの「進化」という表現を副総理はどういう意味合いでお使いになられたのかということをまず1点お伺いしたいと思っております。
(答)言葉のとおりです。私はもう少しはっきり申し上げたのは、行政改革懇談会の席で、「強いものが生き残るのではなくて、変化に対応したものが生き残るのだ」ということを申し上げたことがあります。
 別にこれは進化論という考え方を私が信じているから申し上げたのではなくて、もう少し一般的に受け止めていただければと思います。

(問)その関連なのですけれども、岡田副総理もそうおっしゃっているということで、ちょっと納得いったのですが、進化論ということではないという考え方の中で表現ということで、前原政調会長も外相時代に同じようなことを言われたので、そういう話は民主党のリーダーの方々の中で、そういう表現が最近よく使われるようになっていると理解してよろしいのでしょうか。
(答)分かりません。他の人のことは私は分かりませんから。ただ、変化への対応能力ということは、非常に重要だというふうに思います。

(問)それはマニフェストにこだわらないで、状況に応じて政策を対応的にやっていけばいいのだという、そういうようなこととの関係というのは、特にあるのでしょうか。
(答)ございません。

(問)共同通信の蒔田ですが、小沢さんらの離党届提出の関連なのですが、昨日の会見で小沢さんが民自公の3党合意について、これは二大政党制や民主主義の否定であるというふうに批判をされました。このことについて、どのように思われるでしょうか。
(答)現在、我々与党として日本の政治を前に進めることに責任を持っております。与野党がねじれている中で、自民党や公明党と合意せずして法案を通せるすべがあれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

(問)朝日新聞の河口です。先程ちょっとお尋ねした点でお答えをいただいていない点がありましたので、改めて。
(答)ちょっと待ってください。それで、今のことにもうちょっと申し上げれば、二大政党制というのは一方の主張を100%通すということにその意義が必ずしもあるわけではなくて、場合によっては二大政党がお互い歩み寄っていい答えを見いだすということも、二大政党の意義だと私は思っております。数が多ければ、それが常に100%通すということが必ずしも二大政党制の下での民主主義だというふうには、私は考えておりません。

(問)朝日新聞の河口です。先程ちょっとお尋ねした点で、小沢さんが離党届を出されたというか、恐らく離党されると思いますが、その影響というのをお尋ねしたのですが、もう少し具体的にどういうことをお尋ねしたいかと申し上げると、小沢さん、民由合併の前といいますか、その前に非常にプロセスというか、プロセスの透明性であるとか、そういった点について非常に重視してきた党運営だったと思うのですが、小沢さんの場合、非常に結果を重視するといいますか、例えば選挙区の候補者の選定であるとか、資金の配分であるとか、そういったものについては、かなり独自の判断といいますか、プロセスの透明性というか、プロセスというよりは、その結果に力点を置いたような運営の仕方をされるような手法だと思いますが、その辺り民由合併前といいますか、そういったところを小沢さん的なものと民主党的なものといいますか、そういったものの違いというものをどのようにお感じになっていて、仮に今後、小沢さんが出られた場合には、どういうふうに民主党の形としては成っていくのかという、この辺りを。
(答)まあ10年間一緒にやってきたわけですから、それ以上前に遡って、どうだ、こうだというのは、あまり生産的なことではないというふうに私は思います。

(問)度々すみません、共同通信の関と申します。離党届の関連で1点だけお願いします。
 行政改革を担当されている副総理として、「増税の前にやるべきことがある」という主張を小沢グループ、小沢元代表はかねがねされていると思うのですが、その中には一つ行政改革もあると思うのですけれども、党でやっている行革調査会の議論に必ずしも小沢さんを中心としたグループの皆さんがあまり積極的に参加されていなかったりという現実が一方ではあるかと思うのですが、おっしゃっていることと実体があまり伴っていないのではないかというふうに思うのですけれども、副総理はその辺りはどのように認識されていますでしょうか。
(答)行革を党で一生懸命やって貰っているのが階さん、事務局長である階さんです。ですから、階さんなんかは一番よくお分かりだと思いますが、いろいろなことに取り組んで、実績はかなり上がってきております。何も進んでいないと言われると、それはちょっと私としては、強い違和感を感じざるを得ないということです。
 今回、離党届を出された方の中にも、政府の中にあって、例えば、菅政権、野田政権で閣僚や政務三役をお務めになった方もいらっしゃるわけですから、何もできていないとか、やっていないというのは、自らも含めてということになるわけで、私はもう少し言い方があっていいのではないかと思います。

(問)フリーランスの安積です。谷垣自民党総裁が3党合意に基づいて、一体改革法案を参議院も通して、その後で解散に追い込むと。理由というのは、民主党が政権担当能力がないからというふうに言われているわけなのですけれども、政権担当能力のないところとよく合意したなというふうに普通は思っているのですが、この辺りのところ、副総理としてはどういうふうにお感じになっていますか。
(答)私も谷垣さんの立場なら同じことを言うだろうと思います。

(問)というのは、要するに解散に追い込むということは、担当能力がないからということだけで解散に追い込むというふうにおっしゃるということなのですか。
(答)私が野党の党首であれば、同じようなことを言うかもしれないということです。別にそのことを一々目くじらを立てるつもりはありません。

(問)朝日新聞の河口です。今回、会派の異動ですとか、そういったものが発生しますので、参議院の審議、特別委員会、特にですね影響が出ると思いますが、この辺りのところの御懸念というのは、具体的にはどういったところがあるでしょう。
(答)多少時間が、スタートが遅れるということは懸念されますが、ただ3党間で合意したものであり、かつ参議院側も衆議院で可決されたことについて、しっかり議論は必要だけれども、同時に成立させる必要はあるというふうに多くの方々は思っていただいているというふうに確信をしておりますので、しっかりと審議を行って、そして成立させたいというふうに思っております。

(以上)




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