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2011.03.10|夕刊フジ

前原氏辞任「極めて残念」 マスコミの批判は無責任(夕刊フジコラム「ズバリ直球」11年3月10日号)

 民主党の岡田克也幹事長(57)が、混迷する政局の中、連載「ズバリ直球」の特別インタビューに応じた。外国人献金問題で前原誠司氏(48)が外相を辞任したことをはじめ、2011年度予算案や関連法案を審議している国会の現状、財源の裏付けもなく「減税」を叫ぶポピュリズム政治などについて、岡田節を炸裂させた。

 ――前原氏が辞任した

 「極めて残念だ。法律で禁じられた献金だが、前原氏は『献金を知らなかった(=故意ではない)』と説明している。金額も少なく、辞任しなければならない話だったとは思わない。首相や外相が短期間で交代することは国益を損ねる。ただ、本人が熟慮の上で決断したことであり、これ以上は言わない」

 ――11年度予算案が衆院を通過した

 「これで年度内の予算成立は確定した。衆院予算委員会はいい政策論争ができ、一度も止まらなかった。野党の方々にもお礼を言いたい。予算は国民生活に直結し、社会保障や地方行政を支える国の根幹だ。参院でも前向きな審議をしてほしい。政党や国会が機能しなければ、国民は政治を見放す。危機感を持って、私も努力したい」

 ――野党は予算関連法案のいくつかに反対だ

 「(赤字国債を発行する)特例公債法案は特に重要だ。特例公債が発行できず歳入欠陥が生じれば、国債の格下げや金利の上昇を招くかもしれない。住宅ローンや設備投資にも影響が出て、景気の先行きも不透明になる。約38兆円のうち、約21兆円は国債の償還や利払いの費用。大半は、自民党政権や自公政権時代に発行されたもの。よく考えてもらいたい」

 ――子ども手当法案にも一部野党は反対だ

 「子ども手当法案が成立しなければ、4月1日から児童手当に戻るが、新年度最初の支給には間に合わないだろう。手当も、子ども1人1万3000円から、所得制限付きで月5000円(3歳以上の第1子と第2子の場合)に大幅減額となる。中学生には1円も出ない。わが党は少子化時代を迎えて『社会全体で子育てを支援する』という理念で政策転換を行った。ただ、法案が通らなければ元も子もない」

 ――岡田氏が子ども手当について「児童手当の改正でも新法でも、中身が問題だ」とNHKで語ったことが「マニフェスト違反」と批判された

 「政府・与党はマニフェスト実現のため、全力で努力している。1年半で実現した政策はたくさんある。ただ、衆参ねじれの中では、野党が賛成しなければ法律は決まらない。夕刊フジを含め、マスコミは批判するが、固執して手当がなくなってもいいのか。現実を踏まえずに批判するのは無責任。子どもを持つ家庭の立場で、実現できる範囲で最善を尽くす。それが政治の責任だ」

 ――こうした中、名古屋市の河村たかし市長らが立ち上げた「減税日本」が、統一地方選などで注目を集めそうだ

 「自動車産業が回復しつつある愛知県や名古屋市はまだ恵まれている。だが、他の大多数の自治体には余裕はない。国も莫大な借金を抱えながら、持続可能な社会保障制度と財源について議論している。財源の裏付けもなく『減税』と叫ぶのはポピュリズムだ。本気で主張するなら、社会保障を含む歳出の大幅カットも議論しなければ」

 「民主党は『次の総選挙までは消費税を上げない』と約束しているが、議論もしないという無責任な立場はとらない。次の総選挙では、今後の社会保障制度のあり方と消費税増税を提案することは避けられないだろう」

 ――菅直人内閣や民主党には厳しい局面だ

 「菅首相は、予算関連法案を何が何でも成立させて『国民生活を守る』という強い覚悟を持っている。私を含め、閣僚や党幹部は全力で支える。野党各党とは誠意を持って話し合いたい。国民のために何が大切なのかを一緒に考えてほしい」




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