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2010.11.25|記者会見

民主党幹事長としての記者会見(11月25日)

岡田克也幹事長/記者会見要旨
2010年11月25日(木)
編集・発行/民主党幹事長室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
http://asx.pod.tv/dpj/free/2010/20101125okada.asx

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■冒頭発言
○北朝鮮による韓国への砲撃事件
○国会の状況について
○企業団体献金に関する民主党のこれまでの対応について
■質疑
○北朝鮮砲撃事件の沖縄県知事選への影響
○国会運営
○北朝鮮による拉致被害者の救出
○松崎哲久衆議院議員の発言
○企業団体献金の取扱い
○「大阪都」構想
○仙谷官房長官の問責決議案提出
○補正予算の効果
○ネットメディア
○三重県知事選挙への対応
○野党からの小沢元代表の国会招致に関する要請について
○陳情要請対応本部の取り組み
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■冒頭発言

○北朝鮮による韓国への砲撃事件

【幹事長】私からは、まず、北朝鮮による韓国の砲撃につきましては、時間も
少し経ちましたが、非常に重大な事件であり、まず韓国で犠牲になった方々に、
お悔やみ・お見舞いを申し上げたいと思います。

そして、この件は天安(チョンナン)号(韓国・哨戒艦沈没)事件の問題と
一つの流れの中にある話で、北朝鮮側が機会を見てそういった攻撃を加えてく
る。もちろん現時点においては彼らの言う一定の範囲の中にはとどまっている
わけですが、いつでもそういうことが起こり得るということを、改めて想起さ
せたと思います。再発を抑止していくためには、日本と韓国とアメリカとの連
携、そして中国・ロシアを巻き込んだ北朝鮮に対する働きかけが非常に重要で
あると思います。韓国側が望むということであれば、国連の場での議論も必要
になると思いますが、そういったことはあくまでも韓国がまず決めることです
ので、そういったことを踏まえて、日本としてできるだけの協力をしていかな
ければならないと思っております。

○国会の状況について

国会のほうは、明日、補正(予算案)が上がる可能性が高いということで、
今日まで総理はじめ閣僚の皆さんに大変ご努力いただき、あるいは予算委員会
の現場も大変な汗を流していただきましたが、ようやく国民生活にとって密接
な影響がある補正が成立するということであれば、大変喜ばしいことだと思っ
ています。

問責の話などもありますが、まだ重要な法案もたくさんあります。すでに衆
議院で可決されているもの、あるいはその見通しが高いものについては、でき
るだけ国民生活への影響を考え、この国会で成立させていただきたい。改めて
お願いしたいと考えております。

○企業団体献金に関する民主党のこれまでの対応について

最後に、企業団体献金への対応について、1枚紙をお配りさせていただきま
した。今日、何人かの議員の皆さんが来られて、企業団体献金に対する考え方
をお伝えいただいたうえで、意見交換をいたしました。若干、従来の流れに対
して正しい理解ということが、改めて確認したいと思いましたので、この紙を
お示しして、従来の考え方について少し丁寧にご説明をしたところであります。

そして、今後の企業団体献金の禁止につきましては、政治改革推進本部の役
員会で、具体的に法案を出すという前提で議論をしているということも説明を
したところであります。

われわれの考え方は、3年間という期間の中で順次廃止をしていくというこ
とですが、それについては若干の意見が、今日お見えになった議員の皆さんか
ら示されたわけでありますが、これはさんざん議論をしてこういう形になって
いるわけで、もちろん、なおご意見があれば(政治改革推進本部の)総会など
で意見交換はしていくことはやぶさかではありませんが、マニフェストにも書
かれたことであるということを改めて説明をしたところであります。

なお、この紙については、こういう流れにあるということを、若干の解説を
付けて、メールで全議員に送っておこうと思っております。民主党は開かれた
党でありますので、幹事長に意見があるということであれば、どんどん言って
きていただければいいと。

ただ、一言今日申し上げたのですが、党の中での意見のときに、何か署名を
集めるというやり方は、私はあまり好ましいものとは思っていない。意見があ
ればすぐ言っていただければいいと、そう申し上げたところであります。

■質疑

○北朝鮮砲撃事件の沖縄県知事選への影響

【記者】冒頭のご発言にあった北朝鮮の砲撃について。現在、沖縄県知事選が
行われている。米軍問題などもあったが、隣国での有事で、こういった安保の
話が沖縄県知事選に影響を与えるのかどうか。

【幹事長】今、選挙中ですので、与党幹事長が何か感想を述べることが選挙に
影響を及ぼしかねないということで、ここは慎重に考えたいと思います。

○国会運営

【記者】先ほど、自民党・国民新党などで、与野党の幹事長会談の実現に向け
て、行いたいということが決まったようだ。その幹事長会談の中で小沢さんの
国会招致の問題を話し合いたいということが、自民党から特に要望があるよう
だが、どのように対応するお考えか。

【幹事長】幹事長会談をやるかどうかはまだ決まっていないと理解しておりま
す。一方で、問責(決議案)が出て仮に国会審議が止まることになりますと、
そういう中で幹事長会談を、問責で止まったということに関して、開くという
ことはあるかもしれませんが、問責を出して国会審議が止まるということは大
きなことであります。それと無関係に「幹事長会談を開きます」「わかりまし
た」ということではないのだと私は思うんですね。やはり国会を正常に運営し
ていくという中で、必要に応じて幹事長レベルでも意見交換をするということ
ではないかと思っています。

【記者】国会が正常化するか不正常になるかをしっかり結論がつかないと、別
の小沢さんの問題について幹事長会談を行いたいと言っていることに応じる、
応じないというのは判断できないということか。

【幹事長】これは物の言い方の問題だと思いますが、国会はもう審議しません、
幹事長会談は開きなさい、というのはいかがなものか、ということを私は申し
上げているわけです。

【記者】幹事長会談の関連で、QT(党首討論)の申し入れも行いたいという
ことだ。菅総理大臣が誕生してから党首討論がまだ開かれていない状況の中で、
この野党側の要望についてどのように答えていく方針か。

【幹事長】これは党として、これから国対委員長ともよく相談してみたいと思
います。ただ、これだけ総理は(国会の委員会審議に)出ております。明日も
そうですね。その中でまたQTをというのは、自民党時代にはあり得なかった
話ですので。総理が国会に出ないときにQTというのは設定されてきたという
のが普通だと思いますので、総理も国会にずっと出ずっぱりで、もちろん国会
も大事な仕事ではありますが、総理大臣としての十分な職務の時間もとれない
という状況にある中で、次々に要求が出る。しかも、問責で不正常になるかも
しれないというのは、もう少し整理が要るのだと思います。問責は出て可決さ
れても、それは総理大臣が国会に出てくるのだということなのかどうかという
こともわからないんですよね。もう少し議論が整理されないと、われわれ、一
つひとつのことについてお答えするということにはならないのじゃないかと思
っています。

【記者】国会審議の終盤大詰めの段階で、自民党が、仙谷長官であれ、馬淵国
交大臣(であれ)の問責を提出しようという動きについてはどのように受け止
めているか。

【幹事長】どういう理由で問責に値するとお考えになるかということが示され
ないと、なかなかコメントはしにくいと思います。いずれにしても、「閣僚が、
その任にあらず」ということは、それなりのきちんとした理由というものが必
要なのじゃないかと思います。

【記者】過去、閣僚で(問責が)可決されたケースが3例あると思う。いろい
ろな理由はあれ、その後、次の国会までには辞任に及んでいる。(仮に問責決
議案が提出されて)可決された場合、その進退を含めた対応についてはどのよ
うにお考えか。

【幹事長】仮定の議論はお答えしないほうがいいと思います。まだ可決されて
いませんから。

【記者】今日の衆議院本会議で、展覧会における美術品の補償に関する法案が
通過した。与党時代のころから公明党が2年越しでずっと要望してきた法案で、
修正議決された。参議院に行くと、文科委員長が自民党だが、問責が出て、Q
Tが出て、あるいは補正の採決が遅れてということになると、12月3日の会
期末までに参議院本会議はあと2回ぐらいしか開けないと思う。この法案の扱
いに関してはどのように考えるか。

【幹事長】個々の法案の扱いは国対に任せてあります。ただ、最初に申し上げ
たように、できるだけ衆議院を通過した法案については、一つでも多く可決・
成立ということを期したいと考えています。まだ衆議院を通過していないもの
でも、例えば朝鮮王朝儀軌等の文書に関する協定とか、そういったものもでき
るだけこの国会で成立したほうが望ましいと思いますが、いずれにしてもそれ
は相手のある話、野党の中にもいろいろなご意見がおありだということであり
ますので、ぜひわれわれとしては努力したいと思っております。

【記者】一般論で構わないが、問責決議案が可決されて、そのまま閣僚が辞任
せずに閉会した場合、次の国会においてもその決議の効力は続くものとお考え
か。

【幹事長】いろいろな仮定を置かれていますので、私はそういうものにはお答
えしないほうがいいと思うんです。一般論ということで、前に他の質問でお答
えしたところ、幾つかの新聞社が一般論ということを飛ばしてお書きになった
りしたこともありますので、そこはきちんとルールが守られるということでな
いと、一般論としてお答えしたけれども、そうではないという前提でお答えし
たように報じられることもありますので、そこはお互い気をつけて私も答弁し
なければならないというのは残念です。別に(今質問した)朝日新聞社が(そ
のように書いた)、と言っているわけではないですよ。

【記者】今の質問で、これは一政治家としての法令解釈としてお考えをお伺い
したい。法令の解釈としての問責の効力について。

【幹事長】法令の解釈の問題じゃないんじゃないですか。問責決議の効力とい
うのは、別に法律に書いてあるわけじゃありませんから。

○北朝鮮による拉致被害者の救出

【記者】菅首相も今日の午前の予算委員会で、(今回の砲撃事件について)ま
た朝鮮戦争を勃発させかねない極めて重大な案件だと言っている。あらゆる事
態を想定して日本側も対応の準備をしておく必要があると思う。その前提で、
韓国にもそうだが、北朝鮮にも拉致された日本人が一定数いるはずだが、こう
いう人たちの動乱時における救出についてもやはり詰めておかなければいけな
いと思うが、その辺はいかがか。

【幹事長】今、北朝鮮の中のどこにどういった日本人がおられるかということ
は、率直に言ってきちんと把握できているわけではありません。拉致された
方々、あるいは日本人妻の方も含めて、それがはっきりとしているわけではあ
りませんので、具体的にどういう救出があり得るかというのをお答えするのは
そう簡単ではないと思います。しかし、もちろん日本人の生命が危機に瀕する
ということであれば、国としてはそういうことがないように全力を挙げなけれ
ばいけないと思っています。

【記者】その問題について、自民党のほうは積極的に議論したい気持ちがある
ようだが、その辺はいかがか。

【幹事長】積極的に議論することはいいと思いますが、具体的にどういうこと
をおっしゃっているのか。つまり先ほど言ったようなことをわかっているなら
別ですけれども、もし政党間でそういう議論をしたいというなら、私はそれを
拒むものではありませんが、どういう前提で議論されているのかちょっとわか
りませんので、コメントのしようがありませんし、自民党からそういう話は私
のところには来ておりません。

○松崎哲久衆議院議員の発言

【記者】入間基地においての松崎議員の発言の件について伺いたい。幹事長は
先週18日の会見で事実確認について「話を聞く必要があるのか、という感じ
だ」と答えた。22日の参議院予算委員会において北澤(俊美)防衛大臣が、
松崎議員の件については、副大臣から党のほうに調査を依頼している、と答え
た。この調査は受けたか。

【幹事長】松崎議員から、私ではありませんが、(滝)総務委員長がお話を聞
きました。私のところにはまだ報告が上がってきておりませんが、話は聞いて
おります。

【記者】その件について、10日に出された防衛省の事務次官通達と関連があ
るのではないかという話があり、入間基地における松崎議員の言動についての
真相究明が非常に大事になると思うが、どういうことを弁明したかという結果
について公表するつもりはあるか。

【幹事長】今のところその予定はありません。いずれにしても、それは松崎議
員の報じられた言動について事実確認をしたということであります。そのこと
と通達の話は、直接にはリンクしていないと私は承知をしております。

○企業団体献金の取扱い

【記者】企業団体献金の関係だが、10月に保留になっていた企業団体献金の
取り扱いを元に戻したということで、地方の有権者などからも、企業団体献金
の受け入れを再開するのではないかという、誤解だと言われると思うが、声が
かなり出ている。なぜそのような誤解が生じたとお考えか。

【幹事長】まず、1月から事実上、全面的に受け取っていなかったということ
は報じられていませんし、多くの方はご存じなかったと思うんですね、そこの
ところの事実を。それを元に戻すんだと、保留を止めるのだということを私は
発表したわけですが、1月の話がない中で、「解除した」ということで、一部
のメディアは確かに間違えて、全面的に何か企業団体献金を受け取るというよ
うな報道も一部ありました。そういうことが、誤解を生んだのではないかと思
います。

【記者】今年1月16日の党大会で、これはホームページで誰でも取り出せる
が、「民主党2010年度予算編成における基本方針、公約実行政権運営及び
参議院選挙勝利のための予算」という定期大会議案が出されている。この5番
目に、党員・サポーターの拡大などをしていくと。「また、企業・団体からの
寄付及び政治資金パーティーの開催については、より一層の透明性の向上を図
るとともに、学識者の意見等を参考にして対応を検討する」と書いてある。こ
の1月16日の執行部の報告は、大会には2000人ほど出席していたという
ことだが、嘘の報告だったということになるのではないか。

【幹事長】どういう点が嘘だというのですか。

【記者】今日、幹事長が配った紙の中で、これまでの対応について「本年に入
り」となっているが、これはもう2カ月ほど前から会見で「1月に決まってい
た」と。ただ内々にで、常幹の議事録にも残っていない、ということだ。

1月の何日かというのは今まで伺っていないが、1月16日の党大会の議案
で、満場一致で2000人によって決められたものだが、企業団体からの寄付
云々については学識者の意見等を参考にして対応を検討する、ということがは
っきり書いてある。ということは、その当時の執行部、鳩山代表と小沢一郎幹
事長は、党大会の2000人の国会議員・地方議員・代議員、民主党のコアの
メンバーに対して、党運営に関して正しい情報を提供せず、そのまま決めてし
まったのではないかと思うが。

【幹事長】決定ではないと私は理解しているわけです。ここにも書いておりま
したが、正式に決めたわけではなくて、保留していたと。その受け入れを全面
的に保留していたということです。「受けない」と決めていたわけではない。
その保留を今回解除したわけですけれども、その辺の事実関係の認識について
正しく伝わっていないのは残念なことだと思います。

【記者】今日、一部報道で、年内の(企業団体献金の)受領は行わないという
ことが伝えられている。事実関係と、どういう理由からか。

【幹事長】まだ決めておりません。ただ(国や自治体と1件の契約額が)1億
円以下ということを、どう確認するのかとか、技術的な問題が残っているんで
すね。そういったことがまだ詰まっていないということで、現実には今、受け
入れはしていないということです。

【記者】1月16日の党大会の話を先ほどしたが、その前日、1月15日に何
があったかというと、陸山会への強制捜査があった。仮定の質問にはお答えで
きないと言われるかもしれないが、あくまでも私の推論として、ひょっとして
小沢幹事長が自らの陸山会に関する個人の「政治とカネ」に関する疑惑に関し
て、世論を納得させるために、こういうふうに国民改革協議会のほうを使った
といったことがあるのではないかなと思うが、いかがお考えになるか。

【幹事長】仮定の質問にはお答えできません。

【記者】先ほどの関連で、1億円以下の企業団体(からの寄附)については、
来年1月以降は受け入れるということでいいか。

【幹事長】定義をまずきちんとしないと、1億円以下かどうか判断できません
ので、そういう議論を今詰めているということです。別に1月とかそういう問
題ではないと思います。いずれにしても、先ほど言いましたように、マニフェ
ストの枠の中でやっていることで、あまりそういうことを聞かれるのは、私は
よくわからないんですね、実は。

今日来た皆さんにも申し上げましたが、例えばこの党は、現金のやり取りを
今までやってきたけれども、これを止めたとか、組織対策費として何億円個人
にということを止めたとか、そういうことを私が幹事長に就任して以来進めて
きております。そういうことをあまり報じられることなく、このわずかの献金
を保留していたものを解除することのみが何度も取り上げられるというのは、
私にとりまして非常に不本意なことであります。

【記者】今日は、代議士会のあいさつでも、先ほど冒頭でも、今日お昼に議員
の方が20数名いらしたことに関して、「幹事長室はオープンなので意見交換
するのはいいが、署名というのはあまり好ましくない」ということを、2回お
っしゃっている。どうしてそのように幹事長は思うのか。

【幹事長】まあ、党の中ですからね、わざわざ署名しなくても、来られたらい
いわけですね。今回だけではなくて従来から、何かあるとすぐ署名、というこ
とが結構この党には昔からあるんですね。あまりコミュニケーションをとらな
いというなら別ですが、コミュニケーションをとるつもりがあるわけですから、
わざわざ紙で回すということを組織の中の話としてする必要はないのじゃない
かなと思っております。あまりいいやり方ではないと、私は思っています。

【記者】「企業団体献金に関する民主党のこれまでの対応について」という一
覧の中で、本年に入り、執行部の判断により、受け入れを全面的に保留したと。
この保留について幹事長は、以前、どういう経緯で保留になったかわからない
とおっしゃっていたと思うが、この時期、幹事長を務めていたのは小沢さんだ
と思う。

なぜここで保留になったのかということについて、小沢さんからその経緯を
聞く考えはないか。たまたま国会招致問題で、ご自身で出ていただきたいとい
うことで再会談を求めているところでもある。あわせて献金の経緯について聞
きたいということはないか。

【幹事長】保留というのは事実行為ですから、それが大きな決定ではないので、
いちいち聞く必要は、私はないのじゃないかと思っております。

【記者】民主党の党運営に必要な資金、政党交付金の占める割合が非常に高く
て、税金に頼って党運営を行うのは好ましくないということを幹事長は常々言
っている。どういう点でよくないのか。

【幹事長】本来、政党活動というのは、国から独立したものでなければならな
いと思うんですね。ということは、やはり活動資金についても、本来、自らし
っかりと確保していくべきものだと思います。それが全部税金だと、いわば国
の機関みたいなものですから、それで本当に政党活動として健全と言えるかと
いうと、私は必ずしもそうは言えないのじゃないかと。個人献金であれ企業団
体献金であれ、3年後には個人献金しかだめになるわけですけれども、それ
(献金)を集める努力というのは幹事長の役割の一つではないかと思っている
わけです。

【記者】幹事長の企業団体献金に関する考え方はよくわかるが、いずれ廃止を
目指されているわけだから、今のうちから自粛して、個人献金を増やす努力を
するといったお考えはないのか。

【幹事長】それは並行してやっていくということですね。全部廃止してストッ
プしてしまったときに、党本部はだめで、県連はいいとか総支部はいいとかい
うことにはならないんじゃないかと思うんです、論理的には。しかし実際には、
パーティーをやっていない、あるいは献金を集めていない県連もないわけでは
ありません。そういうところはおそらく議員が拠出したりして必要な経費を賄
っているのだろうと思います。私もこの前も滋賀と大阪のパーティーに出席し
てまいりましたが、努力をしてパーティー券をお願いして、そのお金で統一地
方選挙とか、あるいは県連の事務局のスタッフの人件費とか、そういうものを
賄っているということは承知をしておりますので、それを全部止めてしまった
らどうするのかという問題が直ちに出てきます。

政治家でも、総支部の総支部長として献金を集めたり、あるいは資金管理団
体でパーティーをやっている人はいます。それを直ちに全部止めろというのは、
いろいろな、多様な政治家がいて、そういうものに全く頼らずに個人献金だけ
でやっておられる方、あるいは個人献金も集めずに、党からのお金だけでやっ
ている人もいます。そういった多様性というものはある程度前提にして組み立
てていかないと、いきなりルールを変えるということは、私は好ましいとは思
わないわけです。

それから、そもそも政治改革推進本部長としてこの法案をまとめたときに、
私は2つのことを前提として確認したうえでこの法案を取りまとめたわけです。
一つは、一部にいう「献金はだめだけれども、パーティーはいい」と、こうい
う議論がありました。それは違うだろうと。それは役割としては一緒なので、
やはり献金を禁じるだけではなくて、パーティーもあわせて禁じなければそれ
はおかしいということが一つ。

もう一つは、党で自主的にある程度やることはいいけれども、しかし、一方
で自民党はその間、自由に献金も集めパーティーもやるわけですから、あまり
自分の手を縛り過ぎるというのはいかがなものかと。それはやはり法律で同じ
条件の中でやるというのが基本ではないかと。

この2つについては私、何度も確認をして、当時は、皆さんのその了解のも
とでこの法案を出したという経緯がありますので、その前提を変えてしまうと
いうことについては、そう簡単にはできないことだと思っています。

【記者】「政治とカネ」に関して民主党は非常にきれいだというのが、この党
の売りだったと思う。幹事長が今おっしゃることはよくわかる。であれば、一
定の期限を切って、企業団体献金あるいはパーティーを少しずつ縮減していく
目標値みたいなもの、暫定措置というか、そういうものを党のほうで出す。あ
るいは、いずれなくなるわけだから、いろいろな党の組織に対してそういうこ
とをしていくというお考えはないのか。

【幹事長】ええ、その辺は今、政治改革推進本部で議論しているところですが、
3年後(に企業団体献金は)なくなるんですね。だから、一遍になくなるとい
うのも大変ですので、段階を経てなくしていくと。3年後になくなると。そう
いう経過措置ですが、そういうものは必要だろうと考えているわけです。

いずれにしても、政治改革についてこれだけやってきた私が言っていること
なので、それが何か古い政治に戻るかのような印象を与えているのは、残念な
ことだと思います。ずっと流れを追ってきてくれた記者の皆さんにはそれはよ
く理解されていることだと思いますが、まあ、人も変わりますから、はい。

【記者】政治家個人の団体の資金集めのほうで、先ほど、多様性を前提にして
やっていきたいということだが、幹事長はご自身、通産省出身ということで、
有利だなと思われたことはあるか。

【幹事長】新人議員のころは、当時は献金も集められたんですね。私は、パー
ティーはしばらくやっていませんでした。10年ぐらいたってからじゃないで
すかね、パーティーが(開催)できたのは。それまでなかなか自分の力ではで
きませんでした。当時は企業献金を政治家が集めることができたわけですが、
私の経歴というのはそれなりに役に立ったとは思います。

【記者】個人献金制に移行した場合、岡田幹事長のように有名な方はいろいろ
な人から献金が集まると思うが、地道に活動されている無名な議員はそんなに
集められるのかなという疑問もある。そこのところはどうか。

【幹事長】自分の地元でお願いするということが基本になるのだろうと思いま
す。あとは、それは知名度が高いほど有利ですから、なるべくテレビに出よう
とか、そういう傾向ができるかもしれませんね。基本はやはり自分の選挙区を
中心にお願いしていくということだと思います。税制上の優遇措置もあわせ考
えるということで今いろいろ検討しておりますので、そういうことも説明しな
がら、ご寄附をいただくということになると思います。

【記者】優遇税制ができても、日本で政党や政治家に対して個人献金はあまり
根づいていないと思う。その辺を今後どのように広げていきたいのか。

【幹事長】それは政治家だけではなくて、NPOとか学校法人とか、そういっ
たところに対する寄附税制も今並行して検討しておりますが、そういう寄附文
化というものをやはりつくっていかなければいけないということだと思います。
意識改革というか、それはなかなか大変なことですけれども、だからこそ3年
間という期間をもってそういうことを定着させていこうと考えているわけです。

○「大阪都」構想

【記者】先日、幹事長が大阪に行かれたときの「大阪都構想」をめぐる発言に
対して、橋下大阪府知事が「幹事長の発言は間違えている」とおっしゃったこ
とについて、どうお考えか。

【幹事長】どこがどう間違っているかということを言っていただければ、より
いい議論になるのではないかと思います。私の理解では、大阪市が持っている
権限を、大阪市を分割して区に全部持っていくということではなくて、一部は
大阪府に持っていくのだと思うんですね。「成長戦略は府がやるんだ」という
ことも言っておられるわけですから。従って、今、大阪市が持っている権限の
一部が府に行くということは、否定できないことだと思うんです。そうでない
というなら、全部区に持っていくのだというのであれば、そうおっしゃってい
ただければいいんですが。

一部を府に持っていくというときに、それが基礎自治体でできることはなる
べく基礎自治体でやるという考え方と整合性があるかどうかという議論が出て
くるわけです。ですから、今、市が持っている権限の全体、その中のどこがど
こに行くのかということを明らかにしていただければ、議論がより生産的にで
きると思います。そこがはっきりしない中で「間違っている」と言われても、
何が間違っているのかもよくわからないということだと思います。

○仙谷官房長官に対する問責決議案提出

【記者】この会見中に、みんなの党が仙谷長官に対して、中国漁船の問題で危
機管理が問われている中で、今回の北朝鮮の問題でも危機管理を怠ったという
理由で、問責(決議案)を提出したが、受け止めを。

【幹事長】北朝鮮の問題で危機管理を怠ったというのは、具体的に見てみない
とわかりませんが、私はきちんと対応されていると思います。何を怠ったのか
ということは、みんなの党が言われているのだと思いますが、今確認できませ
んので、それ以上のことは申し上げられません。

いずれにしても、「閣僚が、その任にあらず」ということは、きちんとした
理由があってなされるべきことで、あまりそれを手段として使うようなことは
あってはならないということは申し上げておきたいと思います。今回がどうか
というのは、よく(内容を)見てみないと判断できないと思いますが。

私は、仙谷長官は非常に官房長官としての職責をきちんと果たされていると
確信しております。

○補正予算の効果

【記者】予算の関連だが、このまま明日にも仮に通ったとして、この先この関
連予算でどういう「元気な日本」になっていくのか。今、不況と言われている
が、補正を含めて予算措置をすることによって日本はどう復活していくのか、
ビジョンがあれば伺いたい。

【幹事長】補正の中身については、本来予算委員会の中で議論されるべきだと
思いますが、十分な議論がなされたのか、別な話が多かったのかというのはあ
ると思います。いずれにしても5兆円の補正予算、それぞれ中身を一々申し上
げる必要はないと思いますが、現在の円高もあって景気の先行きが非常に不安
感を与えている中で、補正が通るということは多くの国民に希望を与えること
だと思います。ただ、ここで留まるのではなくて、さらに来年度予算をしっか
りとしたものをつくっていく必要があると思います。

○ネットメディア

【記者】小沢元代表が、昨日パーティー(市民や国会議員の集会)にインター
ネットについて(ビデオ)メッセージを出した。ネットメディアについて、自
分自身の意見が非常に伝わりやすいので、今後もそういったものを非常に重要
視していきたいという趣旨の発言をされた。先日もニコニコ動画というネット
動画のインタビューに答えるなど、小沢さんはネットメディアに対して積極的
に自分の意見を最近出す傾向が非常にある。ネットメディアを重要視している
小沢さんの姿勢について、ネットメディアというものを岡田さんがどうとらえ
ているかも含めて、意見をお聞かせいただきたい。

【幹事長】小沢さんがどうとらえているかというのは、小沢さんの判断ですか
ら、私がコメントすることはないと思います。ネットメディアについて私自身
がどう考えているかといえば、一部切り取られることが少ないという意味では、
私は非常に重要な手段だと思っております。ですから、いろいろな報道に対し
て反論したいときにネットでお話しするとか、あるいは私自身のブログ、これ
も画像も流れているわけで、そこで意見を言うと。そうすると途中で一部が切
られるということがありませんので、丁寧にお話しすることができるし、誤解
を招くこともない。そういうメリットはあるということだと思います。

【記者】公党の代表を務められた公人であれば、ネットメディアのみならず、
いろいろなメディアからの取材を通して国民の知る権利にこたえる義務を背負
っていると思う。ネットメディアだけの取材に応じて他の取材には応じなかっ
たり、国会での説明責任を果たしていなかったりするように思われるが、その
あたりのバランスをどう思われるか。

【幹事長】国会の話は別だと思いますが、基本的に政治家がどのメディアでど
のように自らの意見を述べるかというのは、その政治家が決めることだと(思
います)。特に代表とか幹事長とか、そういう公的立場にないということであ
れば、基本的にはその政治家にゆだねられている部分はあると思います。それ
以上のことは私はコメントいたしません。それぞれの判断という部分もあると
思いますので。

○三重県知事選挙への対応

【記者】今日、三重県の野呂知事が3選不出馬を表明した。それについての感
想と、今後の知事選への民主党としての、候補者擁立も含めての対応を。

【幹事長】民主党推薦の野呂知事で、8年間大変ご努力をされてきたことは、
本当にご苦労さまでしたと申し上げたいと思います。野呂さんならではの文化
の薫り高い県政をやられたと思います。次、お出にならないということを明確
にされたわけですので、われわれとしては候補者の選定を急がなければいけな
いと思います。

○野党からの小沢元代表の国会招致に関する要請について

【記者】11月2日の与野党幹事長・国対委員長会談で、野党側から小沢さん
の国会招致に関して、遅くともこの国会中に結論を出すべきではないかという
問いかけがあった。それに対して、岡田幹事長は「幹事長としての責任でそう
いったことの実現について努力したい」と言われたと思う。現時点で、野党に
約束したことについて、その約束を果たした、クリアしたとお考えか。

【幹事長】努力はしておりますが、まだ結果が出ていないことは事実だと思い
ます。しかし、野党の皆さんも、そもそも予算委員会をやっていたわけですし、
明日はそのための議論の場もあるわけですから、そういうところでご議論いた
だければと思っています。

【記者】小沢さんの関係で「努力はしているが、結果は出ていない」とおっし
ゃったが、この「努力はしている」というのは、小沢さんに再会談を申し込ん
でいることをとらまえてということか。

【幹事長】プロセスはお話しすることはありません。

【記者】プロセスはお話ししないということだが、国会で同じように総理が聞
かれても、「プロセスなのでお答えできない」と政府側は答弁するのか。

【幹事長】それは総理に聞いていただかないと。どう答えるかは、総理がお考
えになることでしょうから。

【記者】小沢さんの国会招致に関連して、幹事長は「幹事長の責任で」という
言い方で今国会での実現の努力を約束していると思う。もし実現しなかった場
合、どういった形で責任を果たされるおつもりか。

【幹事長】まだ国会をやっておりますので、そういう仮定の議論にはお答えし
ないほうがいいと思います。努力をしているところです。

【記者】本人申し立ての政倫審ではなく、委員申し立ての政倫審の開催といっ
たことを考えているか。

【幹事長】何度か申し上げておりますのは、やはり今まで実績のある政治家で
すので、ぜひご自身の判断で、政倫審でお述べいただきたいと考えております。
これは私だけではなくて、役員会で確認された方向性であります。

○陳情要請対応本部の取り組み

【記者】幹事長が新たに(対応本部を)設置して、陳情の窓口を幹事長室以外
にも、他の組織にも広げるなど、システムを多少変えたと思う。12月の予算
編成を前に陳情が本格化していると思うが、前とどこが変わったと感じるとこ
ろがあったら教えてください。

【幹事長】私は前を知りません。それから後も。今日たまたま私は一つ、陳情
を受ける側でお話を聞きましたが、基本的には、本部長は枝野さんですし、私
は(面談に)参加はしておりません。どうしても必要なものは、私に最終的に
上がってくるという仕組みですので、なかなか申し上げにくいんですよね、前
との比較を言われても。ただ、それぞれ思い入れを持って国に実現をお願いに
来られるわけですから、それはなるべく丁寧に受け答えしたほうがいいと考え
ております。




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