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2010.06.15|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年6月15日)

外務大臣会見記録(平成22年6月15日(火曜日)16時47分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)タジキスタンへの緊急無償資金援助について
(2)大使人事について
(3)サッカー・ワールドカップについて
○韓国哨戒艦の沈没事案
○大使人事
○キャンベル米国務次官補の訪日
○北東アジア地域における安全保障環境
○米軍再編問題
○カルザイ・アフガニスタン大統領の訪日
○湾岸戦争時の支援
○外交政策の策定
○大使館配置の日本画紛失事案
○内閣支持率
○いわゆる「密約」問題に関する調査

冒頭発言
(1)タジキスタンへの緊急無償資金援助について

【岡田大臣】私(大臣)からは、1つは、本日の閣議でタジキスタン及び周辺国におけるポリオ対策のための緊急無償資金協力について決定をいたしまして、約20万ドルであります。タジキスタンの周辺国がポリオワクチンを入手できるようにするために、約35万人分のポリオワクチンの購入及び輸送を支援するというものであります。ユニセフを通じての緊急無償資金協力ということであります。

(2)大使人事について

【大臣】大使の人事は夕刊で既に報じられておりますが、本日の閣議で決定されたものと、承認されたもの。決定されたものは、中国、オーストラリア、ギリシャ、在関西特命全権大使。承認されたものが、国連代表部、カナダ、大韓民国、エジプトであります。これは報道されておりますので、ご案内のとおりであります。何かご質問があれば申し上げたいと思います。

(3)サッカー・ワールドカップについて

【大臣】最後に、昨日、私(大臣)も前半を見て寝てしまったのですが、1点取ったところで確信をして安心して寝ましたが、サッカーのワールドカップ、対カメルーン戦で勝利をして非常によかったと思います。岡田という名前が叩かれていると、少し心を痛めておりましたが、非常によかったのではないかと思っております。南アフリカのマシャバネ外相との間では、決勝戦まで日本が行けば、もう一度南アフリカに来るという約束をしたのですが、1回でそこまで望むのは高望みでありますが、まずは勝ち残って決勝リーグに行っていただきたいと思います。

韓国哨戒艦の沈没事案
【共同通信 斎藤記者】哨戒艦沈没の関係でお伺いします。先日、国連安保理で15か国が参加して非公式協議を行って、その後、議長国メキシコの国連大使が、この事件について懸念を表明した議長所感を発表したと聞いております。これは記録に残さない非公開の話し合いで、議長の所感も拘束力がないということのようですが、大臣は今回の安保理の対応についてはどう受け止めるか。そして、鳩山前総理は李明博大統領に、日本は率先してこの安保理対応に取り組むと約束されている訳ですが、実際にこれまでどう取り組んできたのか、今後どのような成果をこうした状況の中で出そうとしているのか、この辺も併せてお願いいたします。

【大臣】まだ、ここで何か決めた訳でございませんので、途中のプロセスについては特に申し上げることはございません。日本政府としては、韓国政府と緊密に連絡をとりながら、1つは非常任理事国としてさまざまなアドバイスも行ってまいりましたし、そして韓国政府として何を望むのかと、そこをしっかり把握をしながら共同歩調を本日までとってまいりました。今後、もちろん、他の構成国、メンバーがどういった対応をとるのかということも見ながら、最もいい結果が残せるように協力をしていきたいと思っています。

【共同通信 斎藤記者】鳩山内閣は5月下旬に安全保障会議を開いて、朝鮮半島情勢の深刻な懸念、危機意識は閣僚間で共有したと理解している訳なのですが、その後、国連の動きを見てみますと、イスラエル軍がパレスチナ自治区で支援船を攻撃した事件とか、或いはイラン核問題の制裁論議が先行したという状況があると思います。当の韓国では統一地方選が行われて、李明博政権が痛手を負うという結果に終わったりして、いろいろな変化があったということです。更に直接関係ないのですけれども、それこそワールドカップで韓国が勝って、韓国国内で非常にそういったものの関心が出てきたりして、世論的にも沈没の調査結果が出たときと、何かムードといいますか、合理的なものではないのですが、雰囲気の変化というのもあるやに聞いております。実際、朝鮮半島情勢の緊張感というのが薄らいできているのかどうか、それに伴って日本政府として何か姿勢を修正するといいますか、そうした局面もあり得るのかどうか、この辺の現状認識と展望をお願いします。

【大臣】安保理でのイランの議論が先行するということは、当初から予定されていたことであります。イスラエルの件は、確かにそういった出来事が起きて急遽ということになりましたが、これは時間をとったものではありません。今、北朝鮮との関係で状況が変わったかと言えば、答えは「NO」であります。北朝鮮は相変わらず、非常に、ある意味では、挑発的なことを言っている訳でありますし、状況が何か改善したという根拠を私(大臣)は持ち合わせておりません。緊張感を持ってしっかり対応するということです。そして、こういったことが再発されないように、安保理の場でもしっかりとした議論が求められると思っています。具体的にどうするのかということは、それは韓国政府とよく相談をしながら進めていきたいと考えております。

大使人事
【毎日新聞 西岡記者】次期中国大使の件で、民間人を起用された狙いについて、大臣のお考えをご紹介いただけますか。

【大臣】民間人というより、適材適所ということで考えた訳であります。ただ、私(大臣)が外務大臣に就任する以前から、そういった大使のポストというのは非常に重要でありますので、国を代表する訳ですので、余り狭い範囲から選ぶというよりは、広く人材を求めるべきであると考えてまいりました。そういう中で、中国大使にタイミング的に正しい人を選ぶということになって、非常に日本にとって重要な国でありますし、人物的にも優れた人がいれば、民間からと考えて、人選に当たったところであります。丹羽さんは伊藤忠商事という会社の改革、かなり厳しい状況にあった会社の建て直しに辣腕を発揮された方でありまして、改革派経営者としての実績は多くの方が認めるところだろうと思います。そういう実績に加えて、もちろん中国に対しても土地勘があるというか、理解もあるということで、私(大臣)は適任であると考えております。今回、ギリシャ大使に対しても、野村ホールディングスの元COOに就任していただいた訳でありますけれども、そのほか何人かの商社出身の大使が誕生して、現在、大使として活動していただいております。そういったことが刺激になって、全体が活性化すればいいなと思います。いずれにしても、中国という日本にとって非常に重要な国の大使になられる訳で、私(大臣)は丹羽さんの役割というものは非常に大きいし、民間出身の大使がこれから定着していくかどうかの試金石と言っても過言ではない、そういう意味で非常に頑張っていただきたいと思います。丹羽さんにこの話を最初にしたときに、即座に丹羽さんが言われたのは、「自分は企業の経営者として今までやってきた。しかし、残された人生を国とか国民のために尽くしたい。それがどういう形があるかということを考えていたので、大使の仕事というのは非常にやりがいがある」と仰っていただいた訳ですけれども、そういうニュアンスの心意気を非常に期待したいと思います。

【毎日新聞 西岡記者】もう一点なのですが、中国に民間の大使が就任されるということで、中国に進出する他の日本企業などが新大使の出身企業とのつながりを警戒して、大使館側との情報交換を躊躇したりする可能性を指摘する意見が出ているのですけれども、この点について、新大使に何らかのご意見というものをお伝えになられるお考えというのはおありでしょうか。

【大臣】経済界でそういうことは殆どないと思います。丹羽さんという人がどういう人かということは皆さんご存じな訳であります。伊藤忠商事の社長、会長の経験者でありますが、その関係は完全に断ち切ってやられるということで、また逆にそうでなければ、大使などは絶対できない訳であります。中にはそういった雑音といいますか、そのようなことを言われるかもしれませんが、結局、それでは民間大使というのはあり得ないということになる訳で、私(大臣)は、丹羽さんはそこは見事にきちんと日本国大使としての役割を果たしてくれると確信をしております。

【ジャパンタイムズ 伊藤記者】今回、野村證券の顧問をギリシャ大使に決定された狙い、またはどういうことを期待されているかをお聞かせください。

【大臣】これはタイミング的にギリシャが非常に注目を浴びている、そういうタイミングになりましたが、それは偶然です。これは2ヵ月前から準備をしてきたことでありますので、今のギリシャの金融財政状況とは切り離して考えていただければと思います。ただ、様々な民間で経験を経てきた、立派な見識のある方を大使にということは、政権交代の前からも行われてきたことで、商社出身の大使というのは今までもブルガリアとアフリカにお二人で、3人くらいいらっしゃると思うのですが、そういったことの一環だとお考えいただければと思います。

キャンベル米国務次官補の訪日
【朝日新聞 鵜飼記者】キャンベル国務次官補が今週後半来日するように聞いておりますけれども、その訪問の意義付け、普天間との関係だとか、そういったところを伺えますか。

【大臣】率直に言うと、私(大臣)は具体的にフォローしている訳ではありませんので、よく来られる訳ですから、もちろん、この哨戒艇の沈没事案もあるし、普天間の問題も、政権が変わったということもあると思います。さまざまなことでお見えになると思います。

【朝日新聞 鵜飼記者】専門家の協議というのは、もうすぐ始まるかと思いますが、このスケジュール感というのを、今決まっているものがあれば教えていただけますでしょうか。

【大臣】まだ、具体的なことは今申し上げる段階ではありません。政権も変わりましたので、今までの流れとかこれからの持っていき方について、もう少しよく相談をしなければいけないと考えております。もちろん、8月末という締め切りがあることも認識をしておりますので、そう時間がかかるということではないと思います。

北東アジア地域における安全保障環境
【琉球新報 滝本記者】昨日、本日と代表質問があって、抑止力について、菅総理に「過去の発言との整合性」ということで、「過去にこのような発言をしたけれども、今回の所信表明では」ということでの比較のお話とか、質問があったりするのですけれども、その中で、かつては米ソの冷戦の終結後の状況であるとか、或いは9.11があってというような状況を説明されて、その時代の変化によってとご説明されていました。そこでお伺いしますけれども、今の北東アジアの安全保障環境というものが、「過去に比して、特筆、何か不安定性が突出している状態なのだ」と言えるような状況にあるとお考えでしょうか。

【大臣】総理がどういう観点で言われたかというのは、発言された以上のことは私(大臣)はわかりませんので、それは直接官邸でお聞きいただいた方がいいかと思います。いずれしても、本日もいろいろ質問が出ましたが、私(大臣)が本日確認した限りでは、菅さんの発言も2005年辺りまです。それ以降、最近、そういった発言があったとは必ずしも私(大臣)は認識をしていない訳です。確認はしておりませんけれども。そして、総理がそういった外部環境の変化ということを言われたことは事実ですが、何をもってそう言われたのかというのは、私(大臣)自身が総理のお考えを想像して申し上げるべき話ではないと思います。

【フリーランス 小山氏】中国のヘリコプターが自衛艦に接近するという事件がありましたが、これについて元米国防総省の高官のポール・ジアラさんは、やはり普天間問題で日米同盟の抑止力が弱まったことが原因していると言っています。また、韓国哨戒艦の撃沈事件については、元ホワイトハウスの国家安全保障会議のアジア上級部長のビクター・チャーさんが、これも例の普天間問題で日米の抑止力が弱まったためにああいうものが起きたのだと述べています。要するに北朝鮮が強硬策をとりやすい環境を作ったのは鳩山首相だと名指しでイギリスのファイナンシャル・タイムズで書いていましたけれども、両方とも普天間問題で東アジア情勢が非常に不安定化してきたということを懸念している訳ですけれども、それについてお考えはいかがでしょうか。

【大臣】それぞれいろいろなご意見はあるかと思いますが、私(大臣)はいちいちコメントはいたしません。ただ、例の韓国の哨戒艇の沈没事案などは、北朝鮮にとっても、私(大臣)は、ある意味では誤算といいますか、痛手だったことは間違いないと思います。つまり、六者協議、特に米朝協議というものに、ある意味で北朝鮮は意欲を示していたと思いますから、そういう話が全部サスペンドされてしまった訳ですから、そういう意味では、なぜああいう事件が起きたのかというのは、非常に想像が難しいのですが、そういうものを全部単純化して普天間のせいだと言うほど、私(大臣)は大胆ではございません。

【フリーランス 小山氏】自衛隊と中国のヘリコプターの件に関しては、ジアラさんの話によると、中国側がそれを認めているということです。

【大臣】いちいちコメントをする必要もないとは思いますが、ジアラさんも今、政府の人間ではありませんし、どういうルートでどういう情報を得て仰っているのかということは確認するすべもありませんから、それ以上コメントはいたしません。

【フリーランス 上出氏】具体的に、菅総理の認識ということではなくて、岡田外相自身の認識として、かつて北朝鮮情勢が非常に緊張したときも、20年ぐらい前にあった訳です。そういうことも含めて今の状況というのは、本当に具体的にそのときと違うのかどうかというご認識は、この10年ぐらい比べた中でありますか。特に危険なのかどうかということです。

【大臣】非常に難しいご質問だと思いますが、ただ、魚雷攻撃によって46名の人の命が失われているというのは、それ自身極めて異常なことであって、同様のことが、或いはそれに続くことが何か起こらないということを断言はできないということであります。ですから、緊張感を持ってしっかり対応しなければいけないと思います。

米軍再編問題
【日経新聞 山内記者】普天間問題ですが、先ほど大臣、8月末の締切りがあると認識されていると仰っていましたが、これについて、かつての外相は日米関係に強い懸念を示されていたこともあったと思います。その状況で8月末という期限がもし達成できなかった場合、もしくはずれ込んだ場合、日米関係の影響はどう見ていらっしゃいますか。

【大臣】余り仮定の議論はしない方がいいと思います。これは、両政府間で合意をいたしましたので、それができないということを私(大臣)は言うつもりはございません。しっかりと対応していかなければいけないと思います。

【共同通信 井上記者】今の8月末の締切りですが、共同声明では専門家の検討を終えるという期限となっていますが、この「専門家の検討を終える」というのは、工法、場所等について一本化すると、ここにこういう形でつくりますという結論を出すという解釈でしょうか。

【大臣】場所は「辺野古崎及びその周辺海域」とは書いてあると思います。したがって、そういう前提の下での場所決めの話ですが、一本になるかどうかということについては、あそこに書いてあるとおりであります。それをそのままお読みいただきたいと思います。

【共同通信 井上記者】あれをそのまま読んでも、なかなか分かりにくくてお尋ねしているのですが、検討を終えるということは、検討を終えた段階で、位置と工法が決まっているということなのかどうかについてお尋ねします。

【大臣】「位置、工法について技術的検討を行う」と書いてある訳です。それ以上でもそれ以下でもありません。それ以上のことを私(大臣)は想像で今、言うべきではないと思います。あそこで合意されたとおりです。

【共同通信 井上記者】ということは、8月末の時点で複数のオプションというか、専門家の協議によって、こういう工法もあり得る、あういう工法もあり得ると複数のオプションが残るということもあり得るということでしょうか。

【大臣】それを私(大臣)が言いますと、私(大臣)がそう言ったとなりますので、それを言うつもりはありませんが、いずれにしても、それは技術的な検討なのです。技術的に可能かどうかという検討を行うということであります。最終的には2+2でということになる訳です。

【朝日新聞 鶴岡記者】鳩山前総理は、日米の文書以外にも発言で現行案は自然への冒とくなどと発言しましたけれども、新しい菅内閣も鳩山前総理の自然への冒涜といった発言を踏襲して、それを尊重していくのか、或いは文書がすべてであって、文書に書かれていないような発言には縛られずに、自由に位置や工法を検討していくのでしょうか。

【大臣】自然への冒とくという言葉を、当時の鳩山総理がどういう意味で仰ったのかということは、私(大臣)は、想像では物は言えますけれども、その言葉以上のことを私(大臣)はコメントするつもりはありません。それは鳩山総理が仰ったときに、ここで聞かれたときにも、「それは総理にお聞きください」と私(大臣)は答えているはずです。

【琉球新報 滝本記者】8月末ということですけれども、これは検討を踏まえた8月末の何らかのものというか、それが結論なのか、検討の結果と言えるものは公表されるのでしょうか。

【大臣】そのことについても、日米で何か合意をしたということではありません。したがって、私(大臣)も今、急に聞かれて、どう答えたらいいのかとまどってしまうのですが、それをこれから相談して決めていくということでしょうね。
 いずれにしろ、技術的な観点からの検討なので、技術的に可能なものがそこで絞り込まれて、それが1つになるのか、複数になるのかというのは、それもこれからの議論だと思いますが、絞り込まれて2+2で最終的に決定する。その過程において、沖縄の皆さんにも理解を求める努力をするということでありますので、それ以上のことは言い難いです。

【琉球新報 滝本記者】昨今の日米協議の過程などを振り返っても、具体的な工法、或いは場所、位置も決めることにも、沖縄県が中に入って、協議会という場で決めてきた経緯がありますけれども、そういう意味で、これは日米間の専門家の議論だということは以前に仰られましたが、それと並行して地元の理解という部分なのですが、技術的に可能ということについては、地元の協力なり、そういう意味での実行可能性という概念の中に、地元の理解という部分も含めた意味での実行可能性ということでの地元の協議に入る協議体というようなものをつくられるというイメージはおありでしょうか。

【大臣】ここは気をつけて言わないと、またこの前の報道みたいになってしまいますけれども、技術的に検討するということです。技術的に検討する前提は、沖縄の皆さんに受け入れてもらえる案でないとできないわけですから、そういうことも念頭に置きながら、しかし、技術的にできなければこれはまた造れませんので、そういったことを総合的に判断しながら考えるということです。
 しかし、8月末というのは、どちらかというと専門家による、技術的に可能かどうかということに重点が置かれます。その後、最終的にそれが沖縄県民の皆さんに受け入れられて、現に可能かどうかという政治的判断は、その後の2+2での決定に至るまでの間になされるということです。
その間に県民の皆さんの理解が得られれば一番いいと思いますが、沖縄の現状は、そういう状況といいますか、そう簡単な状況ではないと思いますので、その辺りをどう考えていくかということは、8月末に技術的に可能になった以降、2+2、つまり政治レベルで見定めていくということになると思います。

【毎日新聞 野口記者】さっきほどから何度も仰っている日米の2+2なのですけれども、普天間の工法について決める2+2と、今年の1月のハワイでの外相会談のときに、同盟深化の関係で今年前半にも2+2を開くと仰っていたのですが、この2+2というのは、同盟深化のための2+2の中でそういった普天間の工法についても確認するのか。それとも別々の同盟深化のものと普天間と両方考えているのか、いかがでしょうか。

【大臣】それはそのときになってみないとわからないですね。まず、同盟深化のための結論がそこで出るのかどうかというのは、これからの議論の進捗状況ですので、高級事務レベルではいろいろ議論をしておりますけれども、議論はまだ閣僚レベルではやっていないのです。ですから、それが同じ2+2の中で一緒にできるのか、あるいはタイミングがずれるのかということは、これからの状況次第です。

【共同通信 比嘉記者】今日、沖縄県の仲井真知事が菅総理と会談をされましたが、先ほど沖縄の状況はそう簡単ではないと大臣は仰いましたけれども、今後、沖縄の理解を求めていくスケジュールとか、あるいは菅内閣としての体制ということについて、改めて教えてください。

【大臣】そういったこともこれからよく閣僚間で議論しなければならないと思います。いろいろな議論があり得ると思いますけれども、まだ関係閣僚で集まって議論はしておりませんので、私(大臣)も官房長官には、今までのいろいろな経緯とかお話をかなりしておりますが、最終的にどういう体制でやっていくかということは、まだ決めておりません。いずれにしても、それはきちんとチームワークを持って、そして県民の皆さんの理解を得るための努力というものは、それぞれがチームワークを持ちながらしっかりとやっていかなければいけないと思います。

【週刊金曜日 伊田記者】沖縄の理解を得るためとして、外務報償費が使われるとしたら、それは使い道としては適正だとお考えになりますでしょうか。理解とか情報収集も含めてです。

【大臣】なかなか一般論としてお答えするのは難しいのですが、外務報償費というのは、通常では得られない情報を取るために使うということはあります。それ以上のことを申し上げるのはいかがかと思います。ただ、誤解を招かないように適正に使用していかなければいけないと、一般論として申し上げておきたいと思います。

カルザイ・アフガニスタン大統領の訪日
【共同通信 斎藤記者】アフガニスタンについてお伺いします。カルザイ大統領が日本に来られます。これは首脳会談と聞いていますけれども、日・アフガン首脳会談でどのような議題で、どういった話が進むのか、どういった成果を得るつもりなのかということと、それから5年間50億ドルというパッケージがありますけれども、この進捗状況について、やはり議論されるのかどうか、今後どのように取り組んでいくのか、この辺も併せてお願いします。

【大臣】カルザイ大統領がおみえになるということで、総理と首脳会談を行われます。私(大臣)もそれに先立って表敬をする予定にしております。それから、大統領だけではなくて、ザヒルワル財務大臣、それから外務大臣もおみえになりますので、私(大臣)もバイの会談も、お二人としたいと考えております。
 日本としては、しっかりとアフガニスタンを支えるということで、ご指摘の5年間、最大50億ドルということもコミットしているわけであります。一部はもう既に使われておりますが、しかし、その前提として、それが適正に使われなければいけないわけであります。
 私(大臣)は、そういう意味で、国民の税金ですから、それが適正に使われるために、まず、アフガニスタンとして、これからどういった国造りをしようとしているのか、先般、和平ジルガも開催されましたが、これからカブール会議が7月に予定されております。それに向けて、彼らが国づくりというものをどう考えているのかということをじっくり聞かしていただきたいと思います。そういう中で、日本としてどういう役割を果たしていくか。もちろん、大きな方向性は日本として持っておりますけれども、具体的にどういうようにアフガニスタンの国造りを日本が手伝っていくのかということについて、より明確な感触を持ちたいと考えております。
 先般、大統領は、オバマ大統領とも会われまして、非常にいい雰囲気の会談が行われたと聞いております。国際社会等では、大統領に対して、もっと汚職の問題とか、ガバナンスの問題とか、いろいろ厳しい注文も付けつつも、やはりカルザイ大統領を支えてしっかりとアフガニスタンの国造りをやっていかなければいけないという共通認識が、今、世界にあると思います。
 そういう中で、今、日本は軍を出しておりませんし、そして、しっかりとした民生支援を今までやってまいりましたので、アフガニスタン政府から信用されていますし、そういう状況の中で、しっかりと突っ込んだ意見交換ができればと思っています。

【共同通信 斎藤記者】今のフローアップですけれども、今、大臣も仰られたとおりで、まさにアフガン政権の適正な行政といいますか、汚職の問題が出ていると、ほかにもさまざまな問題が出ている中で、大臣が仰られた国民の税金を使って、5年間50億ドルというかなりの額を支援するわけなのですが、それが適正に使われているかどうかを具体的にどうチェックしていくのか、現場は、何分、直接日本政府関係者が見るというのも非常に危険を伴う、なかなか難しい場所もあると思います。そうした中で、どういう形で担保していくのか、何かアイデア、或いは現在どういうように運営しているのかどうかも含めてお伺いしたいと思います。

【大臣】その話は、大統領と話し合いをした上で、この場でご披露した方がいいと思います。余り先立っていろいろ申し上げることはいかがかと思います。
 ただ、日本政府としては、今まで治安の改善の問題、そして、元タリバン兵士の再統合の話、それから農業とか教育といった面での支援ということで、かなり積極的に進めてまいりました。そういうものは有効に使われてきたというふうに考えておりますけれども、治安状況が悪化する中で、今後、更にそれがきちんと使われるように確認をしなければならないというふうに思います。
 別に、今、アフガニスタンに全然人がいないわけではありませんので、ある程度のことは、もちろんできるわけであります。

【共同通信 斎藤記者】かつて湾岸戦争のときに、小切手外交ということで随分批判されたということがあったと思います。当時、小切手外交だといって批判された湾岸戦争当時の支援と、それから今回のアフガニスタン・パキスタンの支援、質的にどう違うのか、小切手外交という批判を受けない、そうした措置は取られているのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

【大臣】当時、小切手外交という批判が、そういう言葉があったことは事実ですけれども、どういう意味で言われたかというのは、人によってかなり受け止め方が違うと私(大臣)は思います。自衛隊を出さなかった代わりに金で解決したという意味で言われている方もいらっしゃいますし、ただ、私(大臣)もあのとき、20年前の記憶ですけれども、最も批判されたのは、「too late,too small」ということだったのだと思います。ですから、非常に小出しにコミットしていったということに対して、国際世論が沸騰したということであります。最終的には110億ドルまでたしか行ったと思いますが、最初は20億ドルとか30億ドルとか、そういうことだったわけで、今回は、そういう意味での批判というのはないと、日本はよくやっているというのが、これはアフガニスタン政府だけではなくて、国際社会の中でもそのように言われていると思っております。
 金だけという批判も、私(大臣)は当時国務省の皆さんと会う機会があって、国務省から「米国政府としては非常に感謝している。これだけのお金を出してもらって、しかも増税までして資金を調達した。それは普通の国ではあり得ないことである」と言われたことを、非常によく記憶をしております。

湾岸戦争時の支援
【フリーランス 小山氏】湾岸戦争で、ダーランにいて取材をしていましたけれども、当時聞こえた批判というのは日本は人的貢献を全くしなかったということです。しかも、医師100人を送ると言っておきながら、一人も送らなかった。公的に約束しておきながら、一人も送らなかったと。救急車を百数十台送ったのは良かったけれども、ハンドルの位置が違ったから1台も使えなかったと。またリアド空港ですが、欧米の民間旅客機が使っていたのに、日本側はそこは危険だからと言って航空自衛隊の輸送機を派遣しなかった。欧米の民間旅客機が使っていたのに航空自衛隊は危ないと言って行かなかったというようなもろもろのことが重なって批判されたわけです。

【大臣】ですから、いろんなご意見があると思いますが、そのことと小切手外交という批判が直結しているのかどうかということですね。今は小切手外交についての議論していたわけです。いろいろな批判があったことは私(大臣)もよく承知しております。

外交政策の策定
【世界日報 山本記者】菅首相になりましてそれまでの鳩山首相の迷走外交、或いは特に普天間の問題について、同じ有力閣僚をやりながら、どうアドバイスしたのかという議論がいろいろと国会の中で野党の方から出ていると思うのですが、岡田外相もその一端を担っておられると思うのですが、これに関しては普天間ではなくて、東アジア共同体という概念も鳩山首相は出されまして、米国側に何の相談もなく国連総会でその構想をぶち上げたりということで。今日の私どもの新聞でアーミテージ元米国副長官にインタビューしているのですが、同じように「鳩山首相は東アジア共同体構想に意欲を示したが、米国には何の説明もなかった。その構想は米国を除外する物だった」と述べていらっしゃるわけです。その上で、こうした新しい外交構想を進めるときに、岡田外相が協議に加われたのか、それとも鳩山首相の独断だったのか、それとも民主党の通式として東アジア共同体との米国の事前の相談なくやっていくべきだという判断だったのか、そこについて教えていただけますでしょうか。

【大臣】まず、今、アミテージ氏は政府の人間ではありません。そのことはまず申し上げておきたいと思います。そしていろいろなアイデアがある時に、具体的な政策であれば同盟国として米国と緊密に協議するということはあると思いますが、東アジア共同体というのは非常にふわっとしたアイデアですから、そのこと自身何か事前にすりあわせをする必要があるのかどうかというのは、それは意見が分かれるところであると思います。いずれにしても東アジア共同体ということは決して新しい話ではなくて、我々のマニフェストにも書いてあるわけですし、もっと言えば2005年に私(大臣)が代表である時に打ち出した考え方でありまして。民主党と共に長くある話で、そのことを米国が知らなかったはずはないと私(大臣)は思います。

【世界日報 山本記者】首相の立場でこれを公的な外交の場で語られたというのはおそらく初めてであったのではなかったと思うのですが。そういう意味での違いというのはあるのだと思うのですが。

【大臣】少なくとも米国の政府から、今のアミテージさんがどう言われたか私(大臣)は承知していませんが、そういう意味のことを言われた記憶は私(大臣)は全くございません。

大使館配置の日本画紛失事案
【週刊金曜日 伊田記者】本日閣議決定されました質問主意書に対する答弁についてお聞きします。外務省が1992年に購入し、在ウズベキスタン大使館に配置された後に所在がわからなくなった日本画「潮の舞」に関しての答弁書です。自民党政権の昨年5月21日に大使館より報告があってから、政権も交代しましたけれども、1年以上新たな報告がないと本日、答弁書が出ました。いろいろと優先順位がある問題だとはわかっておりますけれども、政権交代をしてなお1年以上経っても調査が終了していないことから、対外的に説明を行っていない、いずれにしても責任を有する立場から引き続き調査を行っていく考えであるというのは、1年も経過してこの答弁というのは、国民に対する説明責任を重視されている民主党の立場からしていかがなものかと思うのですが、大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】その絵画は国民の税金で購入されたものだと思いますので、そういう意味では、それが無くなったということについては、深刻に受け止めなければならないと思います。そういう意味で調査もしているわけですが、いろいろ人も変わったりして、確認してもよく分からないというのが現状であります。どこかで見切りをつけて、分からないなら「分からない」という結論を出さなければいけないと思います。ちなみに極めて高価な物ではないと聞いております。

内閣支持率
【フリーランス 上出氏】政治状況について、少し経ちましたが、各社が一斉に世論調査をしまして、V字型で民主党、菅内閣の支持率が大変高くなっています。今後の沖縄の問題、細かい沖縄の県民の反応はわかりませんが、そういうことも含めまして、一般には小沢離れとか菅総理の人柄もあるのでしょうけれども、どうしてこんなに高いのか、一閣僚としてどういうように受け止めておられるか、改めて教えてください。

【大臣】基本的に政権交代をした去年のあの熱気、民主党に対する期待感はずっとあったんだと思います。ただ、現実を見ると、「政治とカネ」の問題とか、普天間もその一つかもしれませんが、様々な迷走と映ることに対して、がっかりしていたと、もう一回、一年前に戻って期待したいと、多くの国民の皆さんが考えて頂いているのだと思います。ただ、これから参議院選挙の投票日まで時間もありますし、しっかりと対応していかないといけないと、一時的なものになってしまう可能性もあると思います。
 普天間の問題もその一つの理由だと申し上げましたが、日米合意については国民の過半数が支持しているという調査結果が多いということも事実だと思います。

いわゆる「密約」問題に関する調査
【大臣】先般、インタビューを受けまして、共同通信社から配信されましたが、あまり記事にはならなかったのですが、例の密約の問題について、国会なり、こういう場でご質問を頂ければ是非答えようと思っていた点があるのですが、一つは既に報道されておりますが、朝鮮半島有事の際の扱いについてであります。朝鮮半島有事について、50年前の安保条約を作った時に、そういうものがあったということは我々の調査で明らかになっている訳です。その後、佐藤総理が「前向きに、迅速に」という表現で、それを置き換えたというように考えている訳ですが、米国側は必ずしもそれに同調しているかどうかは明らかでないということでありました。今回、それに対してまず、そういった「朝鮮半島有事の際に事前協議を必要としない」といったものはないということは確認をされております。その上で、どう対応するのかということで、朝鮮半島でそういった大きな変化があれば日本の平和と安定にとって非常に大きな影響を及ぼしうる事態になる可能性は高いということでありますが、日本としては「事前協議に対して、適切かつ迅速に対応する」ということで、米国政府との間でも確認をしたということです。
 もう一つは、沖縄の核持ち込みに関して、佐藤内閣で密約があったのではないかということ、紙は佐藤信二さんのご自宅から出てきたのでありますが、このことについて、日本国政府としては、「少なくとも、今その密約は有効ではない」と考えている訳です。そもそも、「外交当局が全く関与していない、首脳同士がサインをしただけであり、しかも、それは政府の中で引き継がれていないということをもって、そういう密約はなかった」というのが我々の考え方ですが、仮にあったとしてもそれは有効ではないと考えておりますが、この点についても米国政府としても「そういう密約は、少なくとも今や有効ではない」ということは確認されているということです。そういったことについて、お聞き頂ければ私(大臣)は答えるつもりでこの3ヶ月位我慢していたのですが、国会も終わってしまって、お話しする機会がなくなるといけませんので、改めて、申し上げておきたいと思います。

【共同通信 西野記者】弊社は非常に大きく扱っております。

【大臣】ただ、新聞に掲載されなかった。

【共同通信 西野記者】新聞に載らないのではなくて、大臣が目にしておられないのだと思います。

【大臣】失礼しました。

【共同通信 西野記者】全国各地の地方紙には大変たくさん掲載されております。そういった事実を踏まえた上で、責任ある発言をして頂きたいと思います。その上でお伺いします、二点目の沖縄の密約の関係ですが、米政府としては「そのような密約はもうない」と、要するに元々米政府は、これは密約であるというように思っていた、ところが、今回の調査の中で「最早(密約は)ない」というようになったということなのでしょうか。

【大臣】正確に申し上げたいのですが、「今、そういうものは効果がない」ということです。当時どうだということは、米政府が何か言ったということはありません。

【週刊金曜日 伊田記者】先程の二点について米政府と確認をしたと仰いましたが、これはいつ、どういった形で確認をされたのでしょうか。

【大臣】密約についての最終的な報告を記者会見で皆さんにお話ししたと思いますが、有識者の調査報告が出たときです。外務省としての報告と有識者の報告をご説明したと思いますが、その前の時点です。

【NHK 別府記者】確認ですが、朝鮮半島有事の事前協議というのは、すごい基本的な質問ですが、今もその制度はあるということでよろしいですか。

【大臣】ですから、そういう朝鮮半島(有事)のときに事前協議をしないという密約は、今ない訳ですから、当然、事前協議の対象になっているということです。

【NHK 別府記者】そもそも論を事前協議するという根拠になるのは、安保条約ということでよろしいですか。

【大臣】安保条約を結んだときの、岸ハーター交換公文です。

【週刊金曜日 伊田記者】つまり、事前協議をするということは、事前協議を受けるということだと思いますが、そういった事態に陥った場合には、非核三原則の「持ち込ませない」を協議するという、そこを外れる可能性があるという理解でよろしいのでしょうか。

【大臣】どちらの話について言っているのですか。

【週刊金曜日 伊田記者】朝鮮半島有事です。

【大臣】朝鮮半島有事のときに、基本的には、そういった核の持ち込みということは、ないと我々は考えています。しかし、論理的に考えて、そういうことが仮にあったとして、事前協議されたときに、基本的に非核三原則というものを我々は持っておりますので、それに基づいて対応するということになります。いずれにしても、我々としては、「適切かつ迅速に」ということで、そういう意味では「ニュートラル」、今までは「前向きに」というようになっていた訳ですが、そういった表現は取っておりません。

【フリーランス 上出氏】ダメ押しの確認ですが、要するに、一連の問題になった4つの密約を含めて、国民から疑問が出ていて、岡田大臣が就任のときに「これは明らかにしなければならない」と言った問題について、国民から疑惑を持たれるような、隠したり、嘘を言ったりとしている状態は一切ない、解消されたと取ってよろしいのでしょうか。

【大臣】それはございません。4つの中、第1の密約は、随分国会でも議論されました。一時的な寄港が含まれるかどうか、そこについては解釈が違うということを、私(大臣)は申し上げた訳であります。そして、2番目、3番目です。4番目は、その時に、ある意味では、お金をどう扱うかの話で、その時点で終わっている話でありますので、これで最終的に全部、ある意味での決着といいますか、着地が出来ているということであります。

【フリーランス 小山氏】「事前協議」という言葉ですが、それは日本側の認識であって、米国側の認識は「事前通知」だということだと思います。

【大臣】それは合意され、書かれたとおりであります。我々は、「通知」とは全く考えておりませんし、米国側がそういうように思っている根拠をむしろ、お尋ねしたいと思います。

【フリーランス 小山氏】正確に何年というのは分かりませんが、1960年頃、国務省の報道官がそのように日本のマスコミ関係者に説明しています。

【大臣】我々は、昔の報道官とお話をしている訳ではなくて、日本政府と米国政府として協議をしております。

【朝日新聞 鶴岡記者】昔の佐藤内閣の「前向きに」と今回は違うというのは、日本は「ノー」と拒否をする場合もあるということを強調されたいのでしょうか。

【大臣】ニュートラルであるということです。そこに書かれたとおりに読んで頂ければと思います




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