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2010.05.28|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年5月28日)

外務大臣会見記録(平成22年5月28日(金曜日)14時30分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)日米共同声明について
(2)チリにおける大地震に対する緊急無償資金協力について
(3)モッタキ・イラン外相の訪日について
○米軍再編問題
○対北朝鮮制裁措置
○北方四島ビザなし交流
○日中韓首脳会議
○調査捕鯨(豪州政府による国際提訴)
○尖閣諸島に関する総理発言
○報償費

冒頭発言
(1)日米共同声明について

【岡田大臣】それでは、私(大臣)から3点。第1点は、今朝、明らかになりました日米安全保障協議委員会の結論、いわゆる2+2の結論についてであります。この点はもう国会、先ほど委員会で私(大臣)から説明をいたしましたが、普天間飛行場の移設問題については、5月末に向けて日米間で閣僚レベル、審議官級レベルなどで精力的に協議を重ねてまいりました。その過程で、私(大臣)はルース駐日米大使と度重なる協議を行うとともに、クリントン国務長官とも協議を行ったところであります。これらを経て、本日、私(大臣)と北澤防衛大臣、クリントン国務長官、ゲイツ国防長官からなる日米安全保障協議委員会の共同発表を発出に至りました。その内容については、以下のとおりであります。
 第1に、普天間飛行場の代替施設の建設については、1,800mの滑走路を持つ代替の施設をキャンプ・シュワブ、辺野古崎及び隣接する水域に移設することといたしました。この点に関し、専門家の検討を2010年8月末までに完了させ、両政府における検証と確認を次回の日米安全保障協議委員会までに完了させることといたしました。この関連で普天間飛行場の代替の施設の具体的な位置、配置、工法などは、今後米側と協議を行う予定であり、現時点で詳細を予断することは差し控えるものの、その上で申し上げれば、共同発表は現行環境影響評価の枠内との前提に立っているわけではなく、一方で代替施設の環境影響評価手続及び建設について、著しい遅延が出ないようにしていくことになっているところでございます。
 第2に沖縄の方々の過重な負担を低減すべく、8つの分野において今後具体的な措置を講じていくことになりました。具体例としては、訓練移転について、沖縄県外への訓練移転を拡充していくとともに、グアム等国外への訓練移転も検討していくことになりました。この関連で、適当な施設の整備がなされるとの前提の下に、徳之島の活用も検討していくことになりました。
 環境分野については、環境事項の際の米軍移設区域への合理的な立入、返還前の米軍移設区域への環境調査のための合理的な立入を含む、環境に関する合意について速やか、かつ真剣な検討を行うこととなりました。
 訓練区域については、沖縄県からの要望を踏まえ、沖縄本島東方海域にあるホテル・ホテル訓練区域の使用制限を一部解除することになりました。嘉手納の騒音軽減についても、更に検討を行っていくことになりました。
 グアム移転及び嘉手納以南の施設区域の返還については、これを着実に実施することを確認いたしました。この関連で、嘉手納以南の施設区域の返還については、産業的価値の高いと考えられる国道58号線沿いのキャンプ瑞慶覧のいわゆるインダストリアル・コリドーと、牧港補給地区の一部を新たに優先返還の地域とすることと決定いたしました。
 以上のほか、詳細については、お配りした共同発表をごらんいただきたいと思います。
 共同発表にあるとおり、北東アジアにおける最近の安全保障情勢は、日米同盟の重要性を再確認させるものであります。そうした中で、沖縄を含む日本における米軍の堅固な前方プレゼンスは、我が国の防衛及び地域の安定を維持するために必要な抑止力を提供するものであると認識をしております。
 こうした考えに立って、沖縄の方々には、引き続きご負担をお願いせざるを得ませんが、政府として普天間飛行場代替施設の問題について地元の理解を得るべく、引き続き誠心誠意努力を続けていきたいと考えております。同時に、沖縄の方々の負担の軽減を図るべく、今般合意した諸措置を速やかに実行に移していく所存でございます。
 以上が日米合意案に対する私(大臣)からのコメントです。

(2)チリにおける大地震に対する緊急無償資金協力について

【大臣】チリにおける大地震被害に対する緊急無償資金協力についてです。本日、我が国政府は、先般の大地震被害からの復興努力を行っているチリ政府に対し、1億9,500万円を上限とする緊急無償資金協力を行うことと決定いたしました。
 この協力では、チリ政府の要請に応え、震源地に近い地域における仮設病院の設置及び関連資機材の供与など、医療分野での支援を行うことにしております。本件は、今日、閣議で報告をしたところであります。

(3)モッタキ・イラン外相の訪日について

【大臣】第3点、モッタキ・イラン外相の訪日に関してです。イランのモッタキ外相は、5月30日から31日までの日程で日本を訪問し、日イラン外相会談を実施することとなりました。なお、今回の訪問は、イラン側の要請に基づくものでございます。正確には30日の夜に着いて、31日の夜に発つということです。
 日本政府のイランに対する考え方というのは、この場でも申し上げたことがあると思いますが、累次の安保理決議に従わず、その核活動が平和目的であるとの主張について、国際社会の信頼確保の責任を果たしていない。20%濃縮活動の継続というさらなる安保理決議違反の状態が続いており、こうした状態が続く限り、追加制裁は必要であると考えております。
 他方で、今回、ブラジル政府及びトルコ政府との間に低濃縮ウランの扱いについて合意ができたこと、そのこと自身は評価をし、その確実な実施を求めるものでございます。
そういった日本政府の基本的考え方を理解した上で、なお、是非、日イラン外相会談を実施したいということでありましたので、それをお受けするということにしたところです。
 今回のモッタキ外相の訪日の機会をとらえ、核問題の平和的外交的解決に向けた働きかけを実施する予定です。

米軍再編問題
【フリーランス 岩上氏】普天間の関連でご質問させていただきたいと思います。日米共同声明を出すというところまでたどり着いたわけですけれども、この時点で振り返っていただいて、この辺野古に決まった経緯についてお伺いしたいのですが、この辺野古が一番相応しいと岡田大臣ご自身が認識されていたのはいつごろのことなのでしょうか。また、どの閣僚がどの時点でこの辺野古案を最も相応しいとお考えになったのか。
 この8か月、途中途中で、質問させていただいて、まだ話すべきときではないといつもご回答いただいておりましたが、1つ答えが出て開示されたわけですから、どの時点でどういう経緯で、恐らく閣僚でもそれぞれ足並みは違ったかもしれませんが、その辺りの経緯をつまびらかにしていただけないでしょうか。

【大臣】政府が意思決定するに当たって、その経緯を細かくお話しするということは普通やっておりません。私(大臣)に関するご質問であれば、この場でも昨年の10月に、県外移設というのは事実上難しいということで嘉手納統合ということを検討すべきだということを申し上げたということです。その後も現行日米合意案というものは、ゼロベースという言葉の中には含まれているということは申し上げてきたところであります。
 ただ、今回の決定は、日米合意案に戻ったというものではございません。ここに書いてありますように、具体的な代替施設の位置、配置及び工法については、専門家でこれから検討するということになっております。
 もちろん、環境影響調査の著しい遅延が生ずることなく、建設及び環境影響評価手続が完了するということが大きな枠組みとしてはありますけれども、その枠の中で具体的にどうするかということはこれから決めるということです。

【朝日新聞 鵜飼記者】関連して質問させていただきます。これだけいろいろ検討されてきて、結果だけ知らされるというのでは国民も納得できないと思いますので、なぜ辺野古が一番相応しいとなったのか、理由を説明していただけますでしょうか。

【大臣】総理も仰っておられますように、県外で適切な移設先というのは残念ながら見当たらなかったといいますか、具体的に特定できなかったということの中で、沖縄県内でも幾つかの候補地がありました。しかし、全体のかかる時間とか、地元の状況とか、もちろん、辺野古崎地区についても市長は明確に反対と言っておられるわけで、決して地元の理解があるわけではありませんが、ほかの地域についても同様の反対があり、そういう中で辺野古崎地区というものが日米間で協議した結果、最も望ましいという結論に至ったものであります。

【テレビ朝日 山本記者】沖縄県側の了解をいつぐらいまでにとりつけるかという話ですが、専門家は8月末日までに候補位置を検討すると言っていまして、その後もSCCで完了させると書いてありますが、そのぐらいの時期を目途に考えているのか、それとも11月の沖縄知事選の後にまで持ち越されるというお考えでしょうか。

【大臣】ここに書いてあるのは、検証及び確認を次回のSCCまでに完了させるということでありますので、それまでに沖縄の理解を得ることを想定しているわけです。

【フリーランス 上杉氏】昨年の総選挙で民主党政権は、沖縄の基地移転に関しては鳩山総理自ら、「できれば国外、最低でも県外」ということで選挙を戦いましたが、結果としてこの共同発表を見ると、その政策の実行はできなかったとしか読めないのですが、外務大臣として、その辺りはどのように認識されていますでしょうか。

【大臣】ここは総理ご自身が率直におわびを言われたと思います。県外ということでさまざま模索をしましたけれども、結果的にはそのように至らなかった。しかし、沖縄の負担軽減というのが総理の一貫した思いでありまして、負担を軽減するためにさまざまなパッケージとして、負担軽減策というものを日米間で合意をしたということであります。

【TBS 樋口記者】大臣は、本日午前中の委員会でも、「現状について5月までにということを言いながら、沖縄県民の理解を得る状況になっていないということについては、おわびを申し上げなければならない」と今朝も改めて仰いましたけれども、今日の今の時点の現状、或いはそれに至るまでの8か月間を振り返られて、これはやむを得ないプロセスだったと思われますか。

【大臣】何がやむを得ないかということにもよると思います。例えば日米合意案で最初から決めていたらどうだったかと、これは仮定の議論ですけれども、沖縄の皆さんはそれで納得したかというと、私(大臣)はそうは思えないわけであります。これからこの沖縄の数々の負担軽減も含まれたパッケージの案で、沖縄県の皆さんに説明をして、ご理解をいただく努力をすることに尽きると思います。
 しかし、いずれにしても5月末までにということは、地元の理解を得るという意味では達成できていないわけで、そのことは県民の皆様に大変申し訳ないことであると思っております。
 
【NHK 別府記者】米国側は、部隊の運用上の有効性とともに政治的な持続性ということで、地元の同意が必要だとしてきていましたが、大臣としては日本政府として米側に、必ず沖縄の理解を得るということは確約されているのでしょうか。

【大臣】沖縄の理解が得られなければ、これができないということは、日米両政府ともにわかっているわけであります。

【琉球新報 滝本記者】地元の理解という意味での文脈としてお伺いしたいのですが、先ほど大臣は県外で見当たらなかったというか、具体的に特定できなかったという形で仰られたのですけれども、その中で市長が明確に反対をしていて、地元の理解が得られているわけではないがということなのですが、地元理解の点で言うと、ほかのどの地域とも同じだと思います。その上で、なぜ、辺野古になったのかという理由が是非知りたいということと、理解という意味で言うと、先ほど最後にも仰られたのですけれども、今後どのようにしていくかというのは、米国とは「理解を得るということでの共通認識」だということなのですが、合意文書に理解を得ないとできないということは明確に明文化されていないというか、字面としては読めないかなと思うのですが、その辺はお二人の意思としてあるということだけでは、担保されていないのかなとも思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

【大臣】理解を得るということの中身は、これからさまざまな議論があると思いますけれども、少なくとも公有水面埋立権限を持った知事の了解がなければ進まないことは、法律的に明らかであります。

【ビデオニュース 神保記者】ほかに受入れ先がなかったということはそうだとして、それでも辺野古でなければならなかったという理由というのは、今日の共同発表を見ると、恐らく唯一そこに当たる部分というのが「米軍の堅固な前方のプレゼンスが日本を防衛し、地域の安定を維持するために必要な抑止力と能力を提供することを認識した」という部分くらいしか、そこでなければだめだったということを裏付けるようなことが書いていないように思います。ということは、やはり今回は日本政府としては、米国の海兵隊が沖縄にいることが日本を防衛し、地域の安定を維持するために必要な抑止力であるということを認識して、合意したということでいいのでしょうか。

【大臣】そこはそのように認識をしております。

【西日本新聞 斎田記者】訓練の移転先の件ですけれども、徳之島とグアムという2つの地名が明記されています。それぞれ明記に至った理由を教えてください。

【大臣】個々の交渉の中身を言うのは控えたいと考えております。徳之島については条件が付いております。適切な施設が整備されることを条件としてということです。いずれにしても、できるだけ県外にさまざまな機能を持っていきたいということの中で出てきたことです。

【朝日新聞 鶴岡記者】先ほど法的に公有水面埋立権限に言及されましたけれども、工法も現行案と同じ埋立てを軸に検討されているということでしょうか。

【大臣】そのことについては、特に前提を置いておりません。ここに書かれたとおりでございます。ただ、今あるいろいろな候補の中で、くい打ちも含めて、この法律の適用がないというのは果たして言えるのかどうか、それは私(大臣)は、必ずしも自信がございません。法の趣旨からすれば、くい打ち方式であってもそういったものは必要なのではないかと思いますが、いずれにしましても、知事が了としない限り動けないということは事実だと思います。

【共同通信 比嘉記者】鳩山総理は「最低でも県外」と仰って、この一連の交渉が始まったと思うのですけれども、日米交渉において本当に県外というのが最初のスタートラインだったのでしょうか。つまり、米国側に日本側として県外でやりたいと思っているということから交渉はスタートしているのでしょうか。

【大臣】交渉の中身を具体的に言うことは控えたいと思いますが、県外ということも想定としてはあったということであります。

【時事通信 高橋記者】先ほどの埋め立て権限の話に関する質問ですけれども、国民新党が、今の知事の許可を得るのはもう難しいと思うという見立てをして、基地内基地といいますか、基地の中に基地をつくる、或いは亀井大臣などは鳥を鳥かごの中に入れるというような仰り方もしていますけれども、知事の許可が要らないような案、陸上につくるとか、そういう案はもう選択肢としては、政権としては考えていないのでしょうか。

【大臣】我々の選択肢は、キャンプ・シュワブ、辺野古崎地区及びそれに隣接する水域です。

【沖縄タイムズ 吉田記者】共同声明の環境の項目のところで、ホスト・ネーション・サポートの一構成要素として、米軍基地の中に再生可能エネルギー技術を導入することを検討するとあるのですが、これは対象が日本国内及びグアムと、グアムも書いてあるのですけれども、ホスト・ネーション・サポートを外国の基地に適用するというのは趣旨として適切なのでしょうか。

【大臣】これは、一構成要素とすることも含め検討するということでございます。詳細については、これからの課題です。

【フリーランス 岩上氏】国内のすべての自治体が移設には反対するという中において、であれば沖縄であるというチョイスの仕方というのは明白に沖縄差別ではないかという意見、批判、それから、沖縄からの反発が上がっております。それに対して、沖縄でなくてはならない必然性というものが、先ほど一部お話しの中に出ましたが、前方展開のための抑止力を沖縄に維持するというだけのものであれば、既に嘉手納には空軍もありますし、これ以上の軍負担がなぜ沖縄になくてはならないのかという、説得性を大いに欠いているように思います。これで、果たして沖縄県民に対する、これは差別ではないのかという疑問、もしくは批判、反発に対して十分な説明を果たしていないのではないかと思われます。もう少し説得的に、いろいろな検討をした結果、沖縄でなくてはならなかった、辺野古でなくてはならなかった理由をお示しいただきたいと思います。

【大臣】海兵隊というのは、即応力があります。したがって、その場所ということは非常に重要です。だから、沖縄ということが1つ。ほかの選択肢もあったかもしれません。しかし、そのためにはやはり訓練地も含めて膨大なパッケージが必要です。それだけのものを沖縄以外で、もちろん、沖縄も今はそれはできないと言われているわけですが、ほかの地域でそれを受け入れるというところは見当たらないということであります。

【フリーランス 上杉氏】共同発表の文面についてお伺いします。この中で、訓練移転について、両政府はグアムと日本国外への訓練の移転を検討することを決意したという文言があるのですが、これは2009年のグアム協定に絡めての話し合いが今後行われるのか、或いは別にメカニズム等をつくる話し合い、検討委員会等をつくるのか。どちらなのでしょうか。

【大臣】今、ご趣旨がよくわからなかったのですが、日米両国政府で議論をするということであります。グアム協定とは直接関係ありません。

【ビデオニュース 神保記者】今回の合意内容にあるキャンプ・シュワブ、辺野古崎地区及びこれに隣接する水域というのは、キャンプ・シュワブ内陸上案というものはその中に含まれ得るのかどうかということが1点。それから、同じ文書の中に、日本語では1,800mの長さの滑走路を持つ代替の施設とありますが、英語の部分はあえてrunway portion(s)、「s」という字がわざわざ括弧がして付いているのですけれども、これは滑走路が複数になるということもあらかじめ想定した上で英語には付いていて、日本語は複数形になったときに普通は「s」というものは特に付きませんので、そこが日本語と英語で食い違ってしまっているのですが、これは滑走路が複数になる可能性というものをあらかじめ想定しているという理解でよろしいのでしょうか。

【大臣】あらかじめ想定しているわけではありません。可能性は排除されていないと思います。

【ビデオニュース 神保記者】可能性は排除されていない。でも、あえて「s」を付けられた。

【大臣】もともとV字型ということで言われておりましたので。

【ビデオニュース 神保記者】あと、陸上案の方はいかがでしょうか。

【大臣】陸上案というのは、ここに書かれたとおりですが、辺野古崎地区及びそれに隣接する水域ということで、すべてが陸上というものは想定されておりません。

【ビデオニュース 神保記者】でも、「及び」ということは必ず水域が入るという、「及び」なので、陸上だけということはないということなわけですね。水域が必ず入ってくる。

【大臣】そういうふうに考えております。

【朝日新聞 鵜飼記者】大臣は、これまで2006年のロードマップに示された案について、現実を考えれば実現が不可能とか、実現が困難であるという考え方を示されてきたと思います。それで、今回発表になった案は、今、明らかになっているところでは、代替施設の部分については、2006年の合意から大きく変わっているようには見受けられないわけですけれども、これでより実現可能性が出てきたという判断をされた根拠というものは何かあるのでしょうか。

【大臣】変わっていないということを言われる根拠は何かということであります。ここに書かれたように、代替施設の位置・配置及び工法に関しては、専門家による検討を速やかに行い、その上で検証及び確認を次回のSCCまでに完了させるということで、施設の位置・配置・工法というものは、ここでは触れられておりません。したがって、今までと変わっていないというのは一つの見方だろうと思いますが、この合意では変わっていないということは言っていないわけであります。

【毎日新聞 吉永記者】今、「s」が付いている質問のところで出ていたのですけれども、もともとV字型だったと、それで「s」が付いているということは、当然、2つあるということが想定されますけれども、結局、そこの現行案に戻るという可能性もここではあるというような意味でしょうか。

【大臣】現行案が何を意味しているのかということにもよると思います。幅はかなりあって、その中でどうするかは、これから決めることであります。

【共同通信 西野記者】ロードマップ合意と今回の新たな2+2合意の違いというところが、恐らく今後もいろいろと問われることになってくると思います。沖縄の世論は最低でも県外というところで非常に期待値が高まりました。今回の新たな2+2というところで、またいろいろな評価があると思います。ただ、そこにギャップがあるのは間違いないというところで、どういうように説明をしていくのか、或いは鳩山政権として、どういうように取り組んでいくのか。ここが最も問われているところだと思いますが、改めてそこを言及してください。

【大臣】これからのことは、閣内でよく相談をして進めていくことになります。まだ具体的にその段取りまでできているわけではありません。内閣を挙げて取り組んでいくことになります。

【共同通信 西野記者】引き続き内閣を挙げて取り組んでいくという体制がなかなか取れていないのではないでしょうか。例えば、本日、閣議で何らかの決定をやっていくと、国会の中でも大臣は答弁をされておられたと思いますけれども、福島社民党党首が署名はしないということを改めて言われたりとか、この合意についても非常に厳しく批判されているという状況があります。このことについて、内閣としてどうやってこの日米合意を進めていくのかという観点から、改めて見解をお聞かせください。

【大臣】その点については、本日、何らかの形で明らかにされるわけですから、それを見ていただくしかないと(思います)、まさしく今、そのことについて官房長官を中心に調整を行っているということであります。

【NHK 梶原記者】今、社民党がこの日米の合意案に激しく反発をして、政権にダメージを与えている状況だと思いますけれども、交渉の過程で社民党に十分な説明をしたり、あるいは配慮をしたりというところがないために、こういう状況に陥ったという指摘があるのですけれども、交渉の仕方に問題があったとはお考えになっていないでしょうか。

【大臣】いろいろな見方ができると思います。いずれにしても、それは結果が出た上で、多少お話をすることはあるかもしれませんが、今はまさしく詰めの段階で、あまり余分なことは言わない方がいいと思います。

【グローバル・チャイニーズ・プレス チャン記者】防衛省は、沖縄の与那国島上空を通る防空識別圏の境界線を設定し直す方針を決めましたけれども、今、島の東側3分の1は日本、西側の3分の2は台湾の防空識別圏になっており、やはりこの問題は今、台湾当局との交渉はどうですか。例えば台湾が了承しない場合は、日台の間は衝突が起きかねないでしょうか。沖縄県が国側に見直しを要望していたのですけれども、これは普天間基地の移設とは関係があるかどうか教えていただきたいです。

【大臣】今回の普天間の問題とは関係ございません。防衛省の方で決めたことでございます。台湾との間で何か問題が発生しているとは認識をしておりません。

【ビデオニュース 神保記者】先ほど大臣が「環境影響評価手続を必要としないということを意味するものではない」と仰ったと思います。同時にこの文面では「環境影響評価及び建設が著しい遅延なく完了できることをとにかく確認した」となっています。大臣がそこで環境影響評価という新たなものが必要としないというわけではないのだということをあえて言われたことの意図ですけれども、これは文面を見ると、環境影響評価が著しく遅延しないということであれば、もしそれをきちんとやるとならば、環境影響評価自体に一定の時間がかかるわけですね。そうすると、これはどう読めばいいのか、説明していただきたいのですが。環境影響評価をやるのだったら、すぐにやるのだという意味で遅れないという意味なのか、それにはちゃんとした一定の時間がかかるという認識でいいのかどうか。それから現実問題として、環境影響評価をやることになった場合には、通常どれくらいの時間がかかるということを米国に説明されたのかどうか、お話しいただけますか。

【大臣】ここに書かれたとおりであります。それ以上でもそれ以下でもありません。著しい遅延ということをどのくらいと考えるかということは、別に合意しているわけではございません。ただ、全体として次回のSCCまでに検証及び確認を完了させることになっておりますので、そういう枠ははまっておりますし、建設及び環境影響評価が著しい遅延がなく完了できるということで、その枠内であることは事実です。
 私(大臣)がこれを言いましたのは、かなりのメディアが環境影響評価のやり直しはないのだと報じられたので、それは違うということを説明したわけです。

【琉球新報 滝本記者】著しい遅延の部分に関連してですけれども、全体として2006年のロードマップ合意については、2014年の完成で、その後の返還ということになっていますけれども、普天間移設は一体いつ返還されることになるのかについて、日米の合意は別にしても、外務大臣としてはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】基本的には、今まで決めてあるとおりであります。ですから、代替施設が2014年を目標にと書いてあります。いずれにしても、代替施設が完成をして、その結果、移設ができた段階で返還になるということであります。

【琉球新報 滝本記者】そのめどには変更はないということですか。

【大臣】その基本的な流れには変更はございません。ただ、2014年目標というものが多少ずれる可能性は当然あるわけであります。そうすれば全体の計画も変わってくる可能性は排除できません。今日も国会で随分議論になりましたが、急ぐ余り、地元の沖縄が理解しないということであれば、これは前に進まないわけでありますので、理解を得ながら速やかに進めていくことが必要だと思っています。

【フリーランス 岩上氏】沖縄にどうしてもしなくてもならない決定的な理由として、海兵隊の即応性ということを仰られました。しかし、以前ここで何度か私は質問させていただいておりますけれども、日米同盟の05年の文書の中では、島嶼部、つまり国境部に関して、第一義的に防衛するのは自衛隊であると、即応的に対応するのは自衛隊であるということを質問させていただき、大臣ご自身もこれをお認めになり、まず、即応するのは自衛隊であると、それから後で米軍が動くことがあり得るかもしれないという順番になっているということは大臣は仰っております。ということは、海兵隊が一刻も早く有事に際して反応し、出動しなければならないまでの前方展開をしなければならない必然性というのが、どうも仰っていることと矛盾するように感じます。
 先日、防衛問題研の柳澤教授と直接お話をして伺ってきたのですけれども、柳澤さんの見解では、沖縄に米軍が位置するというのは、極めて米軍にとって危険であると、つまり非常に最前線に近過ぎて、できれば、米軍として後方に下がりたい、グアムに下がりたいと考えているというご見解を仰っておりました。いくつか、こうやって合わせて聞いていくと、非常に矛盾するように聞こえます。なぜ、そこまで沖縄にこだわらなければならないのか。いずれにしても矛盾のある状態で沖縄県民にそれを納得して受け入れろというのは極めて難しいと思いますけれども、もう少しこれをきちんと解きほぐして、その必要性というものを示す必要があるのではないかと思います。ご見解をお願いします。

【大臣】説明は、私(大臣)、しているつもりでございます。柳澤さんのご意見はご意見として、これは個人のご意見を言っておられるということであります。もし、そのご意見を強くお持ちであれば、本来であれば、内閣官房副長官補と、まさしくそれを担当する立場におられたときにどうして言われなかったのかという疑問は残ります。そして、私(大臣)が申し上げたことは一義的に自衛隊と、これは考え方の問題として申し上げているわけです。しかし、自衛隊にその能力が十分でなければ海兵隊に頼らざるを得ないというところもあります。
 そして、これは別に日本の領土、領海の話だけではございません。日本の領土、領海の外に自衛隊が行くということは、基本的には余り想定されていないわけであります。そういったことを含めて沖縄の場所としての優意性ということを申し上げているのであります。

【フリーランス 岩上氏】最前線ということの理由で、今、沖縄ということが出ましたけれども、そうであれば、例えば有事の先は、現在も緊張しているように韓半島であれば、沖縄よりも、例えば長崎のような、北九州のような場所の方がはるかに前方に近い、即応的な能力を発揮できるということになろうかと思います。なぜこういった地点で、同じ地元の反対がある中でも説得してでもそちらに移設する努力をするという結果にならなかったのでしょうか。北九州と沖縄との扱いの違いについて教えてください。

【大臣】在日米軍として、朝鮮半島というのも一つの想定し得る地域であること間違いありません。しかし、それに尽きるものではないということであります。

【NHK 禰津記者】昨年の9月から8か月間、米国と交渉してきて、米国は一貫として辺野古地域というのをずっと主張してきたと思うのですけれども、やはり米国の主張というのはなかなか堅くて、交渉する中で難しかったということを感じられていたのかということを改めてお伺いしたいのと、2006年のときのロードマップのときの滑走路と、今回の滑走路は、どちらの方にどうメリットがあるのかということを、もう少しわかりやすく説明していただきますでしょうか。

【大臣】米国は一貫して現行案が最善であるというように主張してきました。我々はなるべく沖縄の負担が軽減できるようにということで言ってまいりまして、今回の日米合意案になったということであります。滑走路の話というのは、1,800メートルの長さの滑走路ということは特定されておりますが、それ以外のことはここには何も書き込まれておりませんで、今後の問題でございます。

【読売新聞 川崎記者】社民党の福島党首の問題ですけれども、現在、官房長官の下で調整が行われていると、先ほどから国会でも大臣は答弁を繰り返されておられますが、この大詰めになって非常にどたばたしている印象を受けます。国民もそういうように感じているのではないかと思います。こうなることはわかっていたことではないかというようにどうしても見えてしまいますが、閣内でのこういう調整というのは、官房長官が第一義的とはいえ、岡田大臣も幹事長時代に福島党首と連立政権合意などに携わっておられるわけで、ここに辺野古となった場合に、社民党が反発することは容易に想像できるわけで、こういうようになったときのことも考えて、社民党の福島党首、或いは社民党の方々に大臣ご自身が説得なり調整なりに自ら当られたということはなかったのでしょうか。そこをお聞きします。

【大臣】私(大臣)は仕事のやり方として、その任に当たる者が集中的にやる、そして情報を共有するということが重要だと思っております。

【ドイツテレビ 西里記者】今年の2月、ドイツテレビとして普天間の方の取材に行ってまいりました。それで、洋上の方からキャンプ・シュワブも見てきたのですが、かなり大がかりな建物の建設が行われていました。地元の反対派の人の説明ですけれども、基地建設を前提として、今ある建物が邪魔になる部分を移転するために新しい建物を建てているということを言っておられましたが、予算としては毎年のように、現行のものに合わせた予算が出ているのだと思いますけれども、そのような普天間で、新しい基地を建設することを前提とした工事のようなものが、もう行われているという事実があるのでしょうか。

【大臣】それはやっております。それは予算を見ていただければ明らかです。

【琉球新報 滝本記者】地元理解ということに戻りますが、まず、旧政権下での日米合意では、一応形なりにも地元合意という基本確認書なり、基本合意を結んだ上で日米合意に至るという形がありましたが、今回は日米合意が先になったということ、地元合意は得られないままで日米合意をしたということについて、どうなのかということと、地元合意について、得るということはいろいろ定義があるということですが、「県知事の公有水面の埋め立てがまずある」と仰られたのですが、地元名護市の市長の理解、合意、法的な合意ではなく了解、何か文書を交わすということが必要ではないのかということについてはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】先々のことまで、具体的に申し上げるべきではないと思います。沖縄県民の理解というのは常識的な線で明らかだと思います。

【琉球新報 滝本記者】日米合意と地元合意が順序が逆になったことについて、どうでしょうか。

【大臣】それは、今の沖縄を見れば、とてもそういった理解を得られる状況ではないということです。なるべく、普天間の危険な状況をいつまでも放置できませんので、早く進めるために、まず、日米間で合意をして、その上で沖縄の皆さんの理解を得るというやり方にならざるを得なかったということです。もちろん、総理も5月になって2回沖縄に行き、理解を得るための努力をされましたけれども、残念ながらそういう状況にはなっていないということです。

対北朝鮮制裁措置
【共同通信 斎藤記者】対北朝鮮制裁の関係でお伺いします、制裁というのは従来から、ヒト、カネ、モノに対して行われると理解しておりますが、今回はお金の流れを監視強化というところで、送金報告義務額の引き下げと、それから現金持ち出しの引き下げとあったと思います。モノは全部やっているますので、これは手が及ばないのは良く分かります。問題はヒトだと思うのですが、ヒトの部分で一部閣僚から、もう少しヒトのところをなんとかできないかと、例えば、朝鮮総連のごく限られた幹部について適用対象を拡大した方がいいのではないかという意見もあったように側聞しておりますが、この点について今回の制裁が効果があるのかどうか、つまり韓国を全面支持するという日本の立場からみて、実質的効果が期待できる内容なのかどうか、そしてヒトの問題、この点についてお伺いしたいと思います。

【大臣】今回のこの案は官房長官を中心に各省庁で協議をした結果、行われたもので、かなり効果が上がると、例えば支払い手段の携帯輸出についても10万円超に引き下げるということでありますし、送金は1000万から300万に引き下げるということでありますので、かなり効果が上がるというように考えております。ヒトの問題についても議論の対象になったかとは思いますけれども、今回は含まれていないということです。検討の経緯についてお話しするのは避けるべきだと考えております。

【テレビ朝日 山本記者】今回の制裁の中には第三国を経由した迂回輸出も入っていると思いますが、大臣は、確か国会答弁でなかなか難しい面もあると仰っていたと記憶しているのですが、どういった点が難しくて、外務省としては今後どういった対応をしていくとお考えですか。

【大臣】何が難しいかと言って、その実態を把握するのはそう簡単ではありません。しかし、できることをしっかりやろうということで、総理からのご指示が下りましたので、具体的にどういったことができるかということを関係省庁とよく協議をしていきたいと考えております。

北方四島ビザなし交流
【北海道新聞 島田記者】本日、北方領土へのビザなし渡航の第二陣が今ちょうど入国手続きに入っていると思うのですけれども、先日の会見で大臣は入港証明に関して日本側が付与した書類を提出するというように仰っていましたけれども、私どもの取材の限りではロシア側はそれに難色を示しているという部分があったと思います。それで今入港している途中かもしれませんけれども、認識としては間違いなく入港するのに支障はないというご認識で大臣はいらっしゃるという考えでよろしいでしょうか。入港というか上陸に関しては特に今回は問題なく上陸できるというご認識でよろしいでしょうか。

【大臣】それは私(大臣)承知しておりません。相手方のあることですから。円滑に上陸できるように政府としても努力したいというように考えておりますが。

日中韓首脳会議
【日経 山本記者】週末に済州島で行われます日中韓首脳会議は哨戒艦沈没問題の後を受けて、かなり重要な会議になると思われます。中国と韓国は、首脳にそれぞれ外相も同行されると聞いておりますが、日本の場合は副大臣が行かれるということですけれども、なぜ今回大臣は行かれないのでしょうか。

【大臣】今回といいますか、普通は行かないのです。前回は初めてでしたから私(大臣)は参りましたけれども、日本においては首脳と外務大臣は一緒に行動しない、それぞれ、何というますか、全力を尽くすということです。一緒に行くということは、いわばダブってしまいますので。そういったやり方はしないというのが従来からの進め方です。

調査捕鯨(豪州政府による国際提訴)
【オーストラリアン新聞 坂上記者】オーストラリア政府は、今日28日に南極海での日本の調査捕鯨を中止させるために、来週オランダ・ハーグの国際司法裁判所に正式に日本を提訴すると発表しました。本来、日豪関係については、緊密かつ良好であると思われるんですけれども、捕鯨問題に関しては、日豪だけでなく他の国々もIWCの中で、捕鯨問題について話し合いを進めていっている中で、日本に対して提訴するということは、オーストラリアは正義と善意をもって行動しているというように思われますでしょうか。

【大臣】ご指摘のように、国際司法裁判所に提訴するということを豪州政府が発表されました。ご連絡も直接政府から頂きました。IWCにおいて関係国が交渉している中で、豪政府が国際提訴を決定したことは残念であります。調査捕鯨は合法的な活動であるというのは日本政府の認識であって、我が国の立場を踏まえ、然るべく対応したいと考えております。

尖閣諸島に関する総理発言
【共同通信 齋藤記者】尖閣諸島に関する鳩山総理の発言についてお伺いします。先日の全国知事会で、今日、委員会でも質問出ましたが、これは報道ではなくて、正確にお起しを読ませて頂きます。鳩山さんは次のように言われました。「しかしながら、帰属問題に関して言えば、あれは日本と中国の当事者同士でしっかりと議論して結論を見いだしてもらいたいということであると私(総理)は理解しております。」その後に続いて、「米国にももっとこの方向を確かめる必要があろうかとは思っておりますが、有事ということで衝突が起きた時には、安全保障条約が適用されるという理解をしております。」というやり取りです。ここでお伺いしたいのは、少なくとも私の理解では、日本政府が帰属権を巡って問題があると、領有権争いがあると言われているのは2カ所、竹島、それから北方領土であって、それ以外は東京も三重県も、或いは尖閣も含めて皆同じ争いのない固有の領土だというように私は理解しておるのですが、そうした中で、固有の領土である尖閣について、「日本と中国当事者同士でしっかり議論して結論を見いだしてもらいたい」という発言については、前後の文脈は別にして、ここだけ切り取って見ても、若干、政府見解と違うのではないかというふうに私は感じざるを得ません。この点についてのご見解と、更に、もしこれが事実であるならば、当然これは帰属を巡って協議をしなくてはいけない訳ですが、実際そういう予定があるのか、指示があったのかどうかを教えて下さい。

【大臣】その場には、私(大臣)も、少し何人か挟んで横におりましたので、当然外交問題ですから、注意深く聞いていたつもりですが、オープンの場ですから、今、読み上げられたのは、恐らく事実なんだろうと思います。そういうことだとすると、もう少し私(大臣)の方から、きちんと発言すべきであったと思っております。国会でも答弁しましたように、尖閣の問題は、日本の領土問題ではありません。そこは議論の余地なきことであって、そのことは日本政府として何度も申し上げているところでございます。

【共同通信 齋藤記者】今の岡田大臣の発言はよく分かりました。今、申し上げたところで、総理が勘違いなのか、認識が政府見解と違うのかというように若干受け止められるのですが、この点について、例えば大臣の方から真意をちょっと確認するとか、話し合うというようなお考えはどうでしょうか、お持ちでしょうか。

【大臣】総理がどういう趣旨で言われたのかということは明確ではありませんが、誤解を招くということであれば、より正確な表現というものをどこかのの段階でなされることになると思います。

報償費
【フリーランス 岩上氏】外交報償費、並びに官房機密費についてお伺いしたいと思います。前回の記者会見の中で、これらの報償費等が言論人、或いはマスコミの幹部等にまかれていたということについて、調査するおつもりはあるかという質問がありました。それに対して大臣は「調査をするつもりはない、また仮に記録を取っておいても、それを公表するのはプライバシ-の問題があるから公表しない」とお答えになりました。もしかすると、使い方が違うかも知れませんが、「プライバシ-」という言葉を大臣はお使いになっていたと思います。これについて、直後から私の元にもネット等で強い反発の声が寄せられております。事が事実であれば言論が買収されたのではないか、一種の贈収賄ではないか、或いは脱税なのではないか、犯罪性だって帯びているのではないか、或いは違法行為であるかどうかは置いても、社会的、道義的に絶対に許されることではないという強い批判が寄せられております。なぜ大臣は再調査をされないのか、或いは、そういう「プライバシ-」という言葉で片付けられてしまうのか、強い批判が上がっているということを踏まえて、この点をもう一度、ご見解を聞き直したいと思います。

【大臣】まず、議論の前提を明確にしていただきたいと思います。私(大臣)は外交機密費がそういった、野中さんが明らかにしたような形で特定のメディア人に現金で渡っているということは全く考えておりませんので、それに対して答えることはできない訳です。

【フリーランス 岩上氏】それにたいして野中さんが言われたこと、或いはフリージャ-ナリストの上杉さんが週刊ポスト上で展開されている精力的な言論活動もあります。しかし、私もある著名な言論人から直接「官房機密費を受け取った。自分がこれから後、それについて明確に発表する」ということの言質も得ております。当人が発表するというのですから、私の方は取材はしたけれども発表しないでいますが、こういった証言、取材の成果というものが表れている時に全く黙殺するというのはいかがなものでしょうか。

【大臣】ですから、言葉の定義を明確にした上でお話しをした方がいいと思うのですが、今、ご指摘になったのは官房機密費の話で、官房機密費は外務省の関知するところではございません。私(大臣)が申し上げたのは、外交報償費について、「そういうことはない」ということを申し上げている訳です。

【フリーランス 岩上氏】今、私が現実に取材した事例のことを申し上げましたが、その方は外交報償費を得たことと、官房機密費を得たということの両方を上げておられます。

【大臣】もし、そういうことであれば、いつ、どのような形で、どれだけの額を得たかということを、公表されなくてもいいですから、私(大臣)に教えていただきたいと思います。少なくとも私(大臣)が外務大臣になってからは、もちろん、そういうことはない訳であります。過去にそういうことが絶対なかったかどうかは分かりませんので、それはお教えいただければと思います。




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