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2010.02.16|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年2月16日)

外務大臣会見記録(平成22年2月16日(火曜日)17時20分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)大臣の豪州訪問について
○調査捕鯨(シー・シェパードによる妨害行為)
○米軍再編問題
○いわゆる「密約」問題に関する調査
○公務員制度改革法案の見直し
○東シナ海の油ガス田開発問題
○沖縄担当大使の役割

冒頭発言
(1)大臣の豪州訪問について

【岡田大臣】私(大臣)の豪州訪問について、今月の20日(土曜日)から21日(日曜日)まで豪州を訪問し、ラッド首相を表敬訪問するとともに、スミス外相、フォークナー国防相と会談を行う方向で現在調整中であります。より正確に言うと、19日(金曜日)夜に日本を発ち、22日(月曜日)早朝、成田に着くという日程であります。今回の訪問を機に二国間の諸問題と共に、気候変動、核軍縮・不拡散などのグローバルな課題について意見交換を行い、両国間の戦略的パートナーシップを更に発展させたいと考えております。その他、おそらく捕鯨問題についても議論を行うことになるだろうと予想をしております。

調査捕鯨(シー・シェパードによる妨害行為)
【朝日新聞 東岡記者】捕鯨の問題についてお尋ねします。シー・シェパードのメンバーが日本の捕鯨調査船の中に侵入しました。大臣としてこれをどう受け止められるのか、また、外務省としてどのような対応をするのかという点に加えて、冒頭のオーストラリアを訪問される際の議論で、どういうことを日本側としてお話しされる予定なのかについてもお願いします。

【大臣】まず、シー・シェパードの活動家が不法に第二昭南丸に侵入した件については、外務省というよりは政府としての対応で、すでに赤松農水大臣なども記者会見でお話になっているとおりであります。基本的にはこの活動家を第三国に引き渡すことなく日本に連れて来るよう、準備を進めているところであります。豪州訪問の折りにどういう議論をするかということについては、これは相手方もあることでありますが、今まで主張してきたことについて、豪州側は調査捕鯨について様々な意見をお持ちのようですから、そういったことに関してしっかり議論することになると思います。

【AFP通信 長谷川記者】一部報道でシー・シェパードに関連して、ニュージーランドの方で日本大使館の大使が関連の方を呼んだと、日本側としても(在京)ニュージーランド大使館関係者を呼んだという報道があるのですが、それについて事実関係をお伺いできればと思います。

【大臣】私(大臣)は承知しておりません。

【読売新聞 川崎記者】大臣のオーストラリア訪問時のことに関連して、現在第二昭南丸は日本に向けて活動家を移送しているところだと思いますが、このまま真っ直ぐ日本に帰ってくるとなると相当時間もかかるということで、例えば第三国の寄港地で降ろして、そこから、例えば飛行機で連れて帰るという方法も当然考えられると思いますが、その場合に一番近いのが、当のオーストラリアになるのではないかと思います。オーストラリア政府に対して、移送に関して何か協力を求めるお考えはございますか。

【大臣】このことに関しては相手の国もあるわけですし、日本政府としても、どういう対応が望ましいのかということについて協議をしているところであります。日本政府として基本的なスタンスを固めた上でどうするか、オーストラリアも一つの候補かもしれませんが、他にもあるでしょうし、そういった国と協議をするのかどうかということを決めることになると思います。現時点では、そういうことは具体的に決まっておりません。基本的には船に今乗っているので、船は日本に向かっているという状況です。いずれにせよ、海上保安庁の責任ある者が行かないと身柄拘束できません。それから、証拠の問題もあります。そういう意味で、船そのものは日本に持って来ないといけないという状況にあると思います。

【AFP通信社 長谷川記者】乗組員の扱いですが、例えば、24時間監視をしているのか、どのように扱っているのかという情報があれば教えて下さい。

【大臣】拘束と言っても、船員法27条に基づいて、船内にその活動家を保護しているという状況です。

【AFP通信社 長谷川記者】保護しているということは、身体的な拘束をしているということではないのでしょうか。部屋の中、一室でじっとしてもらうとか何か。

【大臣】基本的に船員法に基づいて、「船長は船内にある者の生命若しくは身体又は船舶に危害を及ぼすような行為をしようとする海員に対し、その危害を避けるのに必要な処置をすることができる」ということですから、その範囲の中で対応しているということです。

【NHK 禰津記者】調査捕鯨に関して、先程、オーストラリア政府と意見を交わしたいということですけれども、シー・シェパードの船自体が、今オーストラリアの港を拠点として、いろいろ活動しているという実態があると思います。シー・シェパードの活動に対して、オーストラリア政府に対してどのような申し入れなどをする予定なのか等お伺いできますでしょうか。

【大臣】具体的な議論は、今からどういう主張をしたいということを言うべきではないと思います。それから、船籍の問題もありますので、オーストラリアにどういうことが言えるのか、そういったことも注意深く整理をしてみたいと思います。

【時事通信社 鈴木記者】シー・シェパードですが、先程、船そのものを日本に持ってくる必要があると仰いましたが、それは今メンバーを乗せたまま船が日本にそのまま来るということなのか、どこかで海上保安庁の船か何かに身柄を移した上で一緒に日本に戻ってくるということなのかの確認をしたいのと、それからそのお考えは政府の方針なのか、今のところ大臣の個人的な見通しなのか、その辺りを確認させてください。

【大臣】私(大臣)は、きちんと説明をしたつもりですが、その船に乗った人をどういう形で日本に連れてくるかということについては、今、決めていないということです。船は証拠ですから、これは、いずれにせよ、日本に持ってくる必要があるということであります。現状では、その船に乗って日本にやってくるというのが今行われていることであって、それを変えるという決断を何かしたわけではありません。

米軍再編問題
【NHK 禰津記者】普天間問題についてお伺いしたいと思っています。明日開かれる予定の政府与党の検討委員会で、社民党と国民新党が提示する予定だった具体的な案が見送られる方針になったということで、5月末までに地元と米国と合意するという期限が迫っている中、その影響などについて大臣の受け止めをお願いします。

【大臣】これは検討委員会の中で一応明日ということになっておりましたが、それぞれの党内での調整もあると思います。多少ずれ込むということについて、特にコメントすることはございません。

【時事通信 高橋記者】本日午後に米海兵隊のスタルダー中将とお会いになったようですが、どのような話だったのか、それから、普天間に関して、向こうから何か要求と言いますか、提示はあったのでしょうか。

【大臣】普天間の話は特にございません。ただ、海兵隊がどのような役割を果たしているのかということについて、ご説明になったということであります。私(大臣)は先般、カエルの置物を頂いたこともあり、それは冗談ですけれども、日本に折角お見えになるので意思疎通をよくしたいと思ってお会いした訳です。普天間の問題については特に議論になっておりません。

【フリーランス 小山氏】普天間の移設問題ですが、移設先についてはどこが中心になって探しているのでしょうか。防衛省は全く探していないので、お伺いする訳ですが。

【大臣】今、政府の中に官房長官を座長にする検討委員会がありますので、そこで議論されていると、現状はそういうことです。

【琉球新報 滝本記者】米海兵隊の中将との面談の関連で、普天間のお話は特に言及がなかったということですが、海兵隊の果たしている役割という意味で、やはり沖縄の地にあるということ、基本的に日本の中でいうと海兵隊は殆どに沖縄にいますので、その地理的な状況、「ここにいるということの意味が重要なのだ」とか、そういうようなことについての言及だとか、その意見交換なりはなされてましたでしょうか。

【大臣】そういうお話がありました。

【琉球新報 滝本記者】具体的には「ここにいなければいけないのだ」ということでの。(お話でしょうか。)

【大臣】中身はお話しませんが、海兵隊の果たしている役割と、それから今、沖縄にある訳ですから、「沖縄にあることの意味」ということについてお話になっておりました。

【琉球新報 滝本記者】そのようなお話をなさったことに対して、どのように大臣ご自身のお考えなりを伝えられたのか、そのことについてお伺いします。

【大臣】私(大臣)は「お話をお聞きする」という態度で、そういったお話について耳を傾けさせていただきました。

【フリーランス 小山氏】米軍再編ですが、何年も前に日本は米国と合意しているわけですが、ほとんど防衛省は履行していないのですが、それは問題として少し深刻なのではないかと思うのですが、如何でしょうか。

【大臣】履行していないとはどういう意味でしょうか。

【フリーランス 小山氏】いろいろな合意事項があり、普天間もその一つですが、それ以外にもいくつもございまして、ほとんど防衛省は履行していません。これは一体どういうことなのでしょうか。

【大臣】必ずしもそういうことではないと思います。例えば岩国(基地)なども工事は進んでおりますし、履行していないということの意味がよくわかりませんが。

【フリーランス 小山氏】具体的には、米軍の戦闘機が日本の空港を使えるという合意になっていますが、未だに使えていません。その他いろいろありますが。

【大臣】ちょっと仰っている意味がよくわかりませんけれども、日米間では話し合いをしながら着実に前に進めていると思っております。

いわゆる「密約」問題に関する調査
【フリーランス 上杉氏】密約問題についてお伺いします。たしか検証チームの公表が今月末だったと思うのですが、もし違うとしたら一体いつになるのかということと進捗状況についてお話できることがあったらお願いします。

【大臣】進捗状況は順調に進んでおります。今月末という言い方は私(大臣)はしておりません。3月のどこかの時点でと申し上げているつもりです。

【琉球新報 滝本記者】密約の件に関しまして、沖縄返還の密約について本日裁判が結審ということで、国側からの反論というか主張も出されたと思うのですが、その最後の部分で密約の検証チームで今やっているということの締めがあったと思うのですが、密約検証チームの進捗の流れのお話をお伺いしましたけれど、裁判との関わりで、次の段階で裁判の判決がいつか出るということになると思うのですが、その裁判の結論の前に検証チームの結果を得て、外務省の自らの発意としてこの問題についてはどうなのだということについての見解というか考えを公表するという形の部分についてのお考えは如何でしょうか。

【大臣】裁判は裁判ですから、たしか判決は4月17日くらいということになったのではないでしょうか。それまでにはおそらく密約についての結論と言いますか、検証結果と調査結果は出ているということであります。あとはそれを裁判所がどう考えるかという問題だと思います。
〈補足〉沖縄返還に際する「密約」に関する情報公開訴訟の判決日は4月9日です。

公務員制度改革法案の見直し
【日本テレビ 小栗記者】今週の金曜日に公務員制度改革法案が閣議決定される見通しですが、これが民主党が言ってきた「政治主導による霞が関改革」につながるというように受け止めていらっしゃるのかどうか、大臣としての受け止めをお聞かせください。

【大臣】まだ金曜日に決まるかどうかということは決定されておりませんが、基本的に人事権というものは内閣総理大臣のもとにあると、より法律的に正確に言えば各大臣にあるわけですが、それについて、官邸が、或いは総理が、そういった省庁の枠を超えて人材を動かすことができると。その中には今までの考え方で言えば、昇格もあれば降格もあるということで、かなり自由度が増すということです。私(大臣)は霞が関のこの「省あって国無し」というような状況が次第に変わってくると、「国の公務員である」と、どこかの役所の省益ではなく、「国全体、或いは国民全体のために働いている」という意識が高まってくることを期待したいと思っています。

東シナ海の油ガス田開発問題
【ニコニコ動画 七尾記者】1月27日の報道によりますと、東シナ海のガス田開発問題を巡りまして、自民党が「日中両国が共同で開発」に合意しております「白樺」などの現状写真の提示を求めましたところ、政府は「今後の情報収集に支障をきたす」として公開を拒否していたとのことですが、理由をもう少し分かり易く教えていただきたいのと、また最新の「白樺」の状況についてお聞かせいただければと思います。

【大臣】今話し合いをしているところで、具体的なことを、私(大臣)は今、申し上げるつもりはありません。写真については、随時そういったものを政府として監視するためにも撮っておりますが、それも一般に公開する性格のものではないと考えております。これは従来、自民党が政権を取っているときも同じです。

沖縄担当大使の役割
【琉球新報 滝本記者】沖縄にあります外務省の沖縄事務所に沖縄担当大使がいらっしゃって、これまでは定例で記者会見をされていました。政権交代の移行というものがありましたが、その後、在外公館でも大使の会見というのは従来どおり行われていると思いますが、私の理解では、現在の大使になられてから会見を一切されておらず、地元の要請を受けるという窓口の形だけで、ガス抜的な位置付けで、本来の沖縄の実情を東京へ正確に伝えるという役目が果たされていないのではないかということで、(沖縄担当大使が)いらっしゃる意義について地元の方では疑義の声も上がったりするのですが、そういうことについて、沖縄担当大使の存在意義について、改めてお伺いしたいと思います。

【大臣】会見をやらないというのは、それぞれの赴任地において、外国にいる大使がそれぞれ国を代表して会見をするということは必要なことです。ただ、沖縄の場合、日本の国内ですので、こうして、私(大臣)なり、副大臣なりが会見をしていれば、それで兼ねているというように考えるべきだと思っております。むしろ次官も含めて、そういった会見、外に向かっての発言は、基本的に政務レベルでやるというように考えておりますので、大使が会見をしていないというのは、そういう方針から考えれば当然のことであります。その他、大使を始めとする沖縄で外務省の職員が役割を果たしていないかといえば、私(大臣)は十分に頑張っていると思っております。

【琉球新報 滝本記者】この度、官邸に沖縄連絡室というのができまして、その分室が沖縄の方にできています。それで「官邸との直接のパイプ」というように官房長官が仰られますが、本来政府は外務省の出先機関として沖縄事務所があって沖縄担当大使がいらっしゃって、沖縄の実情を吸い上げて報告されて、それは政府内で共有されているはずべきだと私は思います。それが、官邸がまた独自のパイプをつくられて、二元化ということで、では「大使は今まで何をしていたのか」と、それも先ほど私が申し上げたような地元の疑問の声ということの一つでもありますが、今回新たに開設された連絡室ということを受けて如何でしょうか。

【大臣】連絡室は沖縄の要請に基づいて平野官房長官がつくることをお決めになったと聞いております。既存の外務省の組織や、或いは防衛省の組織がありますから、それとバッティングしない範囲で動かしていくという前提で置かれているものであって、役割分担はきちんとできていると考えております。




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