トピックス

2010.02.09|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年2月9日)

外務大臣会見記録(平成22年2月9日(火曜日)18時56分~ 於:本省会見室)

○小沢幹事長の訪米
○内閣支持率に関する世論調査
○報償費
○大臣の韓国訪問
○外国人参政権
○韓国文化財引渡
○政治資金疑惑
○北方領土問題
○日本漁船に対するロシア国境警備局による銃撃事案
○米国におけるトヨタ自動車のリコール問題
○調査捕鯨(シー・シェパードによる妨害行為)
○イランの核開発問題

小沢幹事長の訪米
【フリーランス 岩上氏】昨日、小沢幹事長が定例の記者会見の中で、キャンベル国務次官補が訪米を要請し、それに応える形で、訪米に際してはオバマ大統領との会談をセッティングするように求めたという話が出ました。これをどのように受け止めるかなのですが、訪中団を組織して中国で手厚い歓迎を受けたあと、米国にも、言ってみれば、手厚い歓迎をしてくれと言っているようにも見えます。こうした外交も一つの外交だと思うのですが、小沢的外交手腕のようなものを岡田さんの立場からどのようにご覧になっているのか、ご評価願いたいと思います。

【大臣】これはキャンベル国務次官補がそのようにお招きをしたいと言われ、それに答えたものだと考えております。したがって、米国政府としての正式な発言だと思いますので、与党第一党の幹事長に対してそういう話があったということは、歓迎したいと思います。その後、大統領に会うか、会わないかという話について、私(大臣)は詳細を聞いておりませんので、今後の問題だろうと思います。

【共同通信 西野記者】外務省としては、便宜供与等も含めて全面的にバックアップするという考えでよろしいでしょうか。

【大臣】基本的にはそのように考えています。「全面的に」という表現がいいかどうかはわかりませんが、与党第一党の幹事長が訪米されるということであれば、しっかりバックアップしたいと思います。

【日経新聞 山内記者】併せて訪米の時期がゴールデンウィークの辺りということで、ちょうど普天間(問題)の決着時期が近い時期になっていますが、これについての受け止めと、政府と与党との二元外交との指摘がありますが、これについてどう考えますか。

【大臣】これはキャンベル国務次官補と小沢幹事長の会談の際に、幹事長の方から「政策について、これは政府の問題である」と明言されていますから、そういうご指摘は当たらないと思います。

【フリーランス 岩上氏】小沢幹事長とキャンベル国務次官補がお会いになったのが、小沢幹事長の起訴決定の前日であったことは偶然であったのかどうかわかりませんけれども、非常に重要な、非常にデリケートな時期に、キャンベル国務次官補がわざわざ小沢さんに会いに来ました。米側はある程度不起訴になるというような見通しを持たないと、このような重要な会談を持てなかったのではないかと思うのですが、この辺はいかがでしょうか。

【大臣】タイミングの問題については、我々の関知するところではありませんから、米国政府の、あるいはキャンベル氏個人のご判断ということだと思います。

【琉球新報 滝本記者】先程のどなたかのご質問にあった「ゴールデンウィークの時期は普天間(問題)の決着の時期と近い」ということの関係は、どのようにお考えかということについてお答えをいただきたいのですが。

【大臣】先程お答えしたつもりですが、「政策については政府だ」という前提の下での訪米ですから、ご指摘は当たらないと思います。

内閣支持率に関する世論調査
【朝日新聞 五十嵐記者】週末に行った世論調査についてお伺いします。朝日新聞の世論調査では、初めて内閣支持率が不支持率を下回って、不支持率の方が上になりました。これについての受け止めと、小沢幹事長について、幹事長を辞任すべきだという声が7割になりました。それに対して小沢さん本人は続投すると、昨日の面会でも総理はそれを了承したということですけれども、こういった国民世論との乖離について、どのようにお考えになられますか。

【大臣】逆転したというのは朝日新聞では初めてかもしれませんが、他のマスコミでは少し前にそういうことがありましたので、特にそれについてコメントすることはありません。それから幹事長職に関して言えば、それは内閣総理大臣が続投について了承されたということで、人事権者は代表でもある鳩山さんでありますから、その判断ということが下されたときに、閣僚として何かそれに付け加えることはございません。

【フリーランス 岩上氏】今の世論調査に関連してお聞きしたいと思います。確かにテレビ・新聞等の世論調査では内閣及び小沢幹事長に対して非常に厳しい数字が出ているようですが、他方、インターネット等での様々な調査によると、全く逆転した7割ぐらいの支持という、以前よりもむしろ支持率が上がるという逆転の現象が起きています。このメディア内での違いと言いますか、この現象についてはどのように分析されておりますでしょうか。

【大臣】一般論としてお答えすることはできますけれども、私(大臣)も評論家ではありませんので、そういうことについて個人の見解を述べるべきではないと思います。いずれにしても、この一連の件に関して前から申し上げておりますように、私(大臣)は外務大臣としての職責を全うすることに全力を尽くそうと思っておりますので、そういったことについて特にコメントすることは控えたいと思います。自制しているところです。

報償費
【J-CASTニュース 亀松記者】先週発表になりました報償費についてお尋ねしたいのですが、前回の記者会見での大臣のご説明は、金額や使い道については具体的に申し上げられないということでしたが、やはり国民からすると、それは説明としては不十分ではないかと感じているのではないかと思います。例えば社民党の福島党首も、「もっと過去の分について精査すべき」と仰っていますし、鳩山首相も「オープンにした方がいい」ということを仰られているのですが、もう少し具体的に公表されるというお考えはないのでしょうか。

【大臣】外務省としては、既にそれは外交用務に使われるということで官邸に持っていったものですから、そのあとのことは官邸で決めていただければいいと思います。先程、官房長官の記者会見を見ますと、総理が昨日言われたことについて、それとは違う方向で今仰っているようですから、官邸の今の意向はそういうことだと思います。

大臣の韓国訪問
【NHK 梶原記者】明日から訪韓されると思うのですけれども、意気込みと今年は日韓併合100年というデリケートな年になりますけれども、こうした問題をどのように取り扱っていくのかの二点について、お伺いします。

【大臣】基本的に外相同士でありますので、このデリケートな一年をどうのようにしっかりと協力をしながら乗り越え、そして未来志向の関係をより深めるかと、そのための意見交換ができればと考えております。

【毎日新聞 野口記者】日韓EPA交渉については、今、交渉が止まっていますが、再開への意気込みについての関連です。東アジア共同体を作るためには、アジア各国とEPA・FTAを結んでいき、その延長線上に共同体があるというお考えを大臣は持っていると思うのですが、一番近い隣国とEPAを結べないということについて、どのような見解で今後どのように打開していくお考えでしょうか。

【大臣】それぞれの言い分があります。私(大臣)は、もちろん、日本側もそうですが、韓国側もより積極的に取り組んでもらいたいと思います。なんとかもう一回交渉を再開するというところまで早期に持って行けるように、よく韓国側とも相談をしたいと考えております。

外国人参政権
【共同通信 斎藤記者】地方参政権を巡る議論はここで申し上げるまでもなく、閣内、そして与党内、そして国民世論でさまざま意見があります。一方、韓国側ではこの法案の早期成立に期待する声もあります。そうした中で、今外務大臣を任されている岡田大臣はどのように現状を考え、そしてどのようにこの問題に対処していこうとお考えか、その点についてお聞かせ下さい。

【大臣】この法案をどのような形で国会に提出するのかということについて、まだ政府与党の中で結論が出ていないというように思います。そういう現状をご説明したいと思っています。

韓国文化財引渡
【フリーランス 安積氏】宮内庁が保管している朝鮮王朝所蔵図書の件についてお伺い致します。2月7日に韓国政府が返還請求をすることを決定したという報道がありますが、今回の外相会談でこのことについてお話しされるご予定はあるのでしょうか。

【大臣】今、ご指摘の決定ということについては、私(大臣)は承知をしておりません。現時点でそういった内容が(外相会談で)出てくるのかということも不明ですので、コメントは控えたいと思います。

政治資金疑惑
【読売新聞 川崎記者】政治資金規正法違反事件で起訴された民主党の石川衆議院議員が、先程、北海道の地元で記者会見をしまして、自らの進退については、「与えられた職責を果たしたい」ということで議員を辞職する考えはないということを表明されたのですが、このことについて、大臣の見解をお伺いします。

【大臣】私(大臣)はまだ直接、映像などで見ておりませんので、石川議員がそのように言われたのかどうかというのは承知をしておりません。いずれにしても、ご本人の意見をよく聞いた上で、党としてどうするか、議員としてどうするかということは決められるべきだと思います。

北方領土問題
【産経新聞 赤地記者】先日、北方領土返還の全国大会が開かれて、大臣も出席されたと思うのですが、鳩山総理がその中で、「二島返還という結論はあり得ない」ということを表明されておりますが、今後の政府のこの問題に対する取組み方針について、改めてお聞かせください。

【大臣】大体、総理が述べられたものに尽きていると私(大臣)は思っております。首脳会談ベースでは前向きな雰囲気はしっかりと出ている訳ですので、それが外相レベル、或いは事務レベルでも、しっかり貫けるように粘り強くやっていきたいと思っています。

日本漁船に対するロシア国境警備局による銃撃事案
【共同通信 西野記者】羅臼の(漁船)銃撃の事案について、安全操業がストップしている状況が続いていますが、外務省として打開のために基本的な立場としてどのようなことを今、やられておられるのでしょうか。

【大臣】まず、今回の事件で銃撃があったことは許し難いことだと考えております。その上で事実関係がどうなのか、やや機器に途切れがあるという指摘もありますので、そういうことについて関係省庁で今精査をしているという状況だと思いますので、そのことを待って考えるべきだと思っております。

米国におけるトヨタ自動車のリコール問題
【共同通信 村上記者】トヨタの問題ですが、前回の会見で「しっかりとバックアップしてきたい。外交的にも一企業の問題ではない」とおっしゃられたのですが、具体的にどのようなバックアップをされるおつもりでしょうか。

【大臣】まず、この前のトヨタ固有の問題の前に、エコ(カー)補助金の話があった訳です。議会の中でいろいろな声がある中で大使館を中心に、(米側の)誤解もかなりありましたので、そのことを解くための努力をかなり力を入れてさせていただきました。現在のそれに加えてのリコール問題ですが、基本的にこれはトヨタの問題ですから、トヨタが解決するということだと思います。とはいうものの、日本国政府として、具体的には申し上げられませんが、そのことについてさまざまな側面でバックアップすることは当然だと思います。

調査捕鯨(シー・シェパードによる妨害行為)
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読します。1ヶ月前に起きましたシー・シェパード船との衝突に続きまして、日本時間6日に再び、シー・シェパードの抗議船により日本の調査船2隻が光線の照射や接触に巻き込まれる等の妨害を受けたとの報道がございました。1月8日の大臣の会見につづくこととなりますが、度重なる妨害につきまして、大臣のご所見をお願いします。

【大臣】今回も急接近があったり、レーザー光線を照射したり、或いは臭いのついた物を投げ入れる等、度を越した行為には厳しく抗議したいと思います。外交的には、あの船はトーゴ船籍でありますので、(トーゴ)政府に対して申し入れもさせて頂いているところです。

イランの核開発問題
【NHK 別府記者】イランの核開発問題の関係ですが、国連の安保理で追加制裁の議論もという観測も出ていますが、日本政府も(安保理)非常任理事国として、追加制裁にどのように臨むのか、また(国連)現地代表部にどのような指示を出していますでしょうか。

【大臣】イランが新たな濃縮活動ということに言及したことは非常に残念なことだと思います。話し合いで解決が何とかできないかということで、日本政府も今まで取り組んで参りました。まだ望みを捨てている訳ではありませんが、しかし、このことに関して、今まで行ってきたEU3+3という枠組みの中で制裁という方向に議論はかなり進んでいると思います。安保理で更に議論がなされ、そして、そういう方向で一致をするということであれば、我が国としても安保理の決定に基づいて、制裁に参加するということに当然なります。そういうようにならないように、イラン政府はこの残されたチャンスをしっかり生かして、話し合いでこの問題を解決するように努力してもらいたいと思います。事態はかなり押し迫っていると思います。




TOP