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2010.01.08|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年1月8日)

外務大臣会見記録(平成22年1月8日(金曜日)14時00分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)大臣会見等に関する基本的な方針について
(2)ブルンジ共和国の選挙プロセスに対する緊急無償資金協力について
(3)日独外相会談の開催について
(4)日米外相会談について
(5)政務三役会議について
○会見オープン化
○日米外相会談(米軍再編問題等)
○米軍再編問題(石破政調会長とオバマ政権幹部らとの会談)
○日米安保条約、日米安保同盟及び日米同盟の概念
○機密費問題
○調査捕鯨に対する抗議活動
○日韓共同宣言
○沖縄県におけるひき逃げ事案
○政と官の連携
○外遊先の選定基準
○空港におけるテロ対策動向
○薮中事務次官の訪米
○外国人地方参政権
○その他(若手ゴルフプロのマスターズ招待)

冒頭発言
(1)大臣会見等に関する基本的な方針について

【岡田大臣】あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願いします。私(大臣)から何点か。まず第1点は、この記者会見のオープン化についてお話したいと思います。記者会見をオープン化してからほぼ3ヶ月ということで、この会見が非常に定着してきたかと思いますが、その間色々ご要望も戴きましたので、さらに参加対象を拡大することにいたしました。そのことによって、国民の皆様への説明責任を一層果たせるのではないかと考えております。内容といたしましては、まず第1に、今までに加えて「日本専門新聞協会会員」それから「日本地方新聞協会会員」に会見を開放いたします。
 第2に、すでに改訂をいたしました「大臣会見等に関する基本的な方針について」で掲げられている協会に加盟していなくとも、発行する媒体の目的、内容、実績等に照らし、(1)から(7)のいずれか、今までの基準のいずれかに準ずると認め得る者についても会見を開放することにしたいと考えております。
 席上資料の配付をさせていただきましたが、そういったことでこの会見の対象を広げるようにいたしましたので、まずご連絡申し上げたいと思います。

(2)ブルンジ共和国の選挙プロセスに対する緊急無償資金協力について

 第2点、本日閣議後のぶらさがりで言うのを忘れてしまったのですが、本日の閣議で、ブルンジ共和国の選挙プロセスに対する緊急無償資金協力について決定がなされました。これはブルンジ共和国において本年5月から9月にかけて行われる大統領選挙、国会議員選挙及び地方議員選挙の実施を支援するため、国連開発計画(UNDP)を通じ、170万ドル(約1億7,500万円)の緊急無償資金協力を行うことを決定したものであります。
 ブルンジ共和国においては、90年代から続いた内戦の終結、その後の武装勢力の武装解除等を経て行われるものであり、同国における平和の定着の観点から重要な選挙です。我が国は、このような選挙の意義と二国間関係にかんがみ、本件支援を実施することといたしました。我が国としては、本年の選挙がスケジュールに沿って公正かつ円滑に行われることを通じて、ブルンジ共和国における民主化及び国民和解が進展することを期待します。

(3)日独外相会談の開催について

 次は、ギド・ヴェスターヴェレ・ドイツ連邦共和国外務大臣兼副首相の訪日の件です。新しいドイツの連立政権がスタートいたしまして、外相に就任をされたギド・ヴェスターヴェレ新外相が、1月14日から15日まで訪日する予定です。14日に日独外相会談を行うこととしております。今回の訪日は、新政権成立後、初めてのドイツ外相の訪日であり、日独両国における初の会談の機会となるということで、幅広く日独両国問題はもちろん、グローバルな課題、核の問題、温暖化の問題などについて意見交換することを楽しみにしています。

(4)日米外相会談について

 それから私(大臣)自身の訪米について。12日にホノルルにおいてクリントン米国務長官との間で日米外相会談を行うことになりました。私(大臣)としましては、普天間飛行場の移設問題を含む日米同盟の今後の在り方、そして北朝鮮をはじめとするアジア太平洋地域の情勢、核不拡散、核軍縮問題などグローバルな課題、そういった諸問題について、幅広く中身の濃い意見交換を行いたいと考えています。

(5)政務三役会議について

 あと1点、政務三役会議を本日開催いたしました。武正副大臣から沖縄基地問題検討委員会の報告があり、その後、通常国会に提出する予定法案・条約についての意見交換をしたところです。それから2010年の外交課題ということで、随時、省の中で意見交換しておりますが、政務三役でも改めて本日議論をいたしまして、引き続き来週の省議でも議論をしようということになっているところです。

会見オープン化
【フリーランス 岩上氏】今、オープン化についてお話がありました。この点について、確認させていただきたいと思います。元々の条件、2.には(1)から9項目(1月8日改訂「大臣会見等に関する基本的な方針について」参照)ありますけれども、この法人を前提にせず、個人もしくはフリーランス、あるいはノンフィクションライター、ノンフィクション作家といった個人に関してですが、特定の媒体に定期的に記事を書いているという状況ではなくて、たとえばもう大御所になられた方、単行本をお書きになっていたり、書籍を執筆している方、たとえば外交問題について書いている方というのは、この項目からは完全に脱落しています。「日本雑誌協会」は書いてあるのですが、そのあたりのくくりが曖昧になっているのではないかと思います。この点について、大臣のご見解を教えていただきたいと思います。

【大臣】まず、記者会見に出てきていただく方は、その記者会見の結果を国民に広く知らしめるという基本的な役割を持った方というのが、基本的な考え方だというように思います。「そういうことはしないけれど、本を書くのだ」という方は、もちろん本という媒体を通じて国民に知らしめるということになるかもしれませんが、これは日々の様々な情報について国民に知っていただくための会見でありますので、私(大臣)は少し性格が違うような気がいたします。そこまで拡げた時に、多分この部屋にも入り切らなくなると思いますし、本を書いたことがあるというだけならたくさんの方がいらっしゃいますので、そこまで広げることについては、私(大臣)はそう簡単に考える話ではないのではないかと思っております。

【マガジンX 島田記者】会見の基本的な方針についてですが、2.(8)の「発行する媒体の目的、内容、業績等に照らし、(1)から(7)のいずれかに準ずると認め得る者」というのは少し曖昧でよくわからないのですが、例えばどういうものが入るのでしょうか。雑誌とか出版物を一回も出していないけど、毎日書いているブロガーなどもこれに入るのかどうかということをお伺いできればと思います。

【大臣】ブロガーをここに含めるというようには必ずしも思っておりません。ただ、上記の「協会には入っていないけれども出版物として確立した、準ずるような実績のある」ということで、「週刊金曜日」がひとつの具体例だということです。

日米外相会談(米軍再編問題等)
【ロイター通信 レイノルド記者】12日のクリントン長官との会談ですが、一番成果を上げたい部分はどこにありますか。

【大臣】長官とはなるべく数多く会って、常に意見交換をしたいというように思っております。シンガポールでお会いして以来、しばらく時間も空きますので良い機会だと思います。一つはもちろんこの普天間の問題について政府としての考え方、これはもうすでに昨年末に明らかになっているところでありますけれども、そして大使館ルートで米国政府には話はしている訳ですが、直接説明をするということが一つです。同時にそのことに止まらず、これからの日米同盟の在り方についてどういう考え方で取組をしているか、ということについて率直に意見交換したいと考えております。今年はたまたま日米安保改定50周年という区切りの年でもありますので、そういった今後の日米同盟について少し基本的な所に戻った議論をしたいと考えておりまして、そのための事前の意見交換ということも兼ねて行いたいと思っております。もちろん先程も申し上げましたように、様々なグローバルな課題、或いは両国に共通する北朝鮮の問題などについても意見交換したいと考えております。

【ファイナンシャルタイムズ 中本記者】先程のクリントン米国務長官との会談ですが、最近の日米関係というのはかなりぎくしゃくしているというように感じるのですが、今の日米関係の現状をどのように見てらっしゃるのか。クリントン米国務長官とお会いになるということは、一歩関係が前進しているのか、どういう風に見てらっしゃるのか。それから、日米安保の基本的なところというのが私にはよくわからないので、具体的にもう少しどのような所をお話されたいのかお聞きできますでしょうか。

【大臣】私(大臣)は日米安保という言葉は使わなかったと思うのですが、普天間の問題、それから日米同盟、(日米安保改定)50周年を機にそれをより深めるための具体的な議論をしたいというように申し上げたつもりでございます。日米関係は必ずしも問題が無いわけではありません。特に普天間の問題を巡って様々な議論がなされている訳であります。ただ、何度もこの場(会見)で申し上げておりますが、率直に言って旧共和党系の皆さんとか、或いは日本で言えば自民党の立場に立つ方々は日米関係が非常にうまくいっていないということを強調される訳ですが、一方的なそういう見方だけではないと思います。私(大臣)が外交ルートを通じて国務省とお話をしたり、或いはクリントン米国務長官とも電話で会談をする機会も年末ありましたけれども、お互い日米同盟の重要さは理解しながら、しっかりとこれから30年、50年(続く)日米同盟を深めるためにしっかりとやっていこうという共通認識はお互い持っていると考えております。

【共同通信 上西川原記者】以前の会見で大臣は直接クリントン米国務長官と会われたときに日米同盟再検討と、もうひとつ沖縄の基地負担軽減について、普天間と切り離した形、普天間とはまた別の形で直接会って出来れば提案したいと仰っておられたと思いますが。

【大臣】記憶にありません。

【共同通信 上西川原記者】いずれにせよ米国はまず普天間の話を決着させたいという意向が強かったと思うのですが、今回は今年安保条約改定50周年ということで、(同盟)再検討に向けた協議の実質的なスタートと位置づけで良いのか。またその沖縄の基地負担、騒音軽減とかといったものを普天間協議とは別の形で先行させて提案される気持ちはあるのでしょうか。

【大臣】実質的なスタートかどうかと言われると、それはよく話をしたいと思っておりますが、正式にそのために協議をするわけではありません。お互い意見交換をする段階であります。基地負担軽減の問題というのは、もちろん、特に普天間とか嘉手納とかであるわけですが、その問題もなるべく並行して議論していきたいと思っております。今回はその具体的な議論をするというよりは、もう少し入り口のところでの、議論の交通整理をするという場だと認識しております。

【毎日新聞 大貫記者】先ほど、日米同盟の深化の協議の関連で「日米安保という言葉は使わなかったと思うが」と仰いましたが、大臣就任から100日以上経ちまして、大臣が当初から仰っている「30年、50年続く日米同盟」というのは、どのような姿を大臣の中でイメージされているのかをお願いします。

【大臣】そのことを議論するために日米協議をするということです。私(大臣)が言っているのは、「30年、50年日米同盟が持続可能でより深いものになるために、我々は努力しなければいけない」と言っている訳です。

【時事通信 水島記者】50年の安保協議ですが、今回のクリントン米国務長官との会談は、「同盟深化の協議そのもののためではない」ということですが、大臣のお考えとして、今後の段取りやどの程度のレベルでやるのか、そのくらいのことは決めていきたいという認識でよろしいでしょうか。

【大臣】議論した後、決まったことはお話したいと思いますが、議論する前にいろいろ言うべきではないというが、私(大臣)の基本的な考え方です。

【NHK 別府記者】日米外相会談ですが、(普天間についての)政府方針については先にクリントン米国務長官に電話で大臣の方からご説明があったと思いますが、今日、会談をするということで、先の説明を越える何かメッセージを持っていくということはあるのでしょうか。また、普天間問題について、電話(会談)と直接会うということについて、どのような違いがあると理解したらよいのでしょうか。

【大臣】内容的には、普天間に関して新しいことがある訳ではありません。先ほども言いましたように、外交ルートを通じて、日本にある米大使館、ルース駐日米大使を通じて、或いは藤崎駐米大使を通じて、或いは電話で何度もこちらの方針は説明しておりますので、そのことについて新しいことが今回あるということではありません。今回はそれだけではなく、今後のことも含めてしっかりと意見交換しようということです。米国の国務長官と日本の外務大臣はもっと頻繁に会った方がいいと私(大臣)は思いますので、今回は良い機会だと思います。もちろん、今回も用事がありますが、特に用事がなくても会うだけでも私(大臣)は重要なことだと思います。

【ブルームバーグ 坂巻記者】クリントン米国務長官との会談について、同盟深化についてですが、今年は日米安保条約改定50周年ですが、例えば調印は1月19日でしたからすぐですが、何らかの日米間の新しい合意の発表の目途などがあるのでしょうか。また、6月は発効から50周年になりますし、日米首脳会談も本年あるのかもしれません。いつごろまでに日米の合意を出したいという目標はあるのでしょうか。

【大臣】そういうことも含めて、よく意見交換したいと思っています。

【フリーランス 上杉氏】日米外相会談では、クリントン米国務長官と「密約問題」について意見交換をする予定はあるのでしょうか。

【大臣】「密約問題」について、従来の経緯はお話しようと思っています。ただ、まだ今、検証委員会、第三者委員会で様々な議論をしているところですので、結論が出ている訳ではありませんので、現状について少し説明をしようと考えております。

【朝日新聞 内田記者】日米外相会談について、キャンベル米国務次官補が7日の記者会見で、クリントン米国務長官が「12日の外相会談で普天間問題を前進させることの重要性を提起する」ということを明らかにしているのですが、大臣は既にクリントン米国務長官に日本の政府方針を説明されていると思うのですが、5月までという日本の方針は、理解されているとお考えですか。仮に日米の認識に差があるとすれば、今回の外相会談でその差は埋められるとお考えでしょうか。

【大臣】理解するということの定義の問題だと思います。米側は「今の案が唯一の案だ」と言っている訳ですから、それが3月であろうと、5月であろうと、或いは、その先であろうと、そのことは言い続けるということだと思います。そこに認識の違いがある訳ですが、そういうことはお互い分かりあった上で様々な議論をしているということです。

【琉球新報 滝本記者】日米外相会談に関係しますが、先程、政務三役会議で武正副大臣の方から検討委員会の報告があったということで、その検討委員会では「1月までに新たな移設先を各党が出してきてという議論になろう」ということですが、その中で各政党がいろいろなところを視察、下地島の声があがったり、大村基地があったりというようなことがある訳ですが、それを外相会談の場で「そういう形でそういう検討も始めているよ」という検討委員会の内容についてクリントン米国務長官にお伝えされるおつもりはあるのかどうか。また、「そういうレベルでは、そういう細かい話はしない」というようなことであれば、外務省として米側に検討委員会の内容「日本でこのようにやっているのだ。このような名前も上がっていて、それがどうなのか」というようなことの提起ということまでされることになるのでしょうか。また、それは平野官房長官が言っておられる「外交の一元化」ということが、外務大臣がなされることになるのかどうかということ、平野官房長官はご自身がされるというような仰られ方もしているようなのですが、その辺はいかがでしょうか。

【大臣】今回のハワイにおけるクリントン米国務長官との会談の中で、まだ議論の途中ですから、検討委員会の具体的な中身を言うことはありません。しかし、こういう形で議論しているという説明は、簡単にはする必要があると思っております。それから、平野官房長官が、検討委員会で何かまとまれば、米国との意見交換ということは必要になると思いますが、それは当然、平野官房長官は「外務省、外務大臣が行うことになる」という認識だと思います。

米軍再編問題(石破政調会長とオバマ政権幹部らとの会談)
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。少し日にちは戻りますが、自民党の石破政調会長とオバマ政権幹部らとの会談についてお伺いします。6日ワシントンで、自民党の石破政調会長がレーダーNSCアジア上級部長、キャンベル国務次官補、グレッグソン国務次官補と会談いたしましてて、米国側は「過去多くの可能性を検討した後に出した結論だ。内政干渉をするつもりはないが、他に適地は無い。」と力説したとの一部報道がございました。この会談に関します大臣のご見解をお聞かせください。

【大臣】まずその会談が事実であったかどうかということは、間接情報ですので、私(大臣)には分かりません。ただ、米国側の主張は従来から一貫して、日米合意した現在の案、つまり辺野古沿岸部への移設が唯一の考えられる案であるということは一貫して言ってますので、内容的にはそのことと一致をしていると思います。我々はそれに代わる案を今、平野官房長官の下でワーキング・チームを作って議論を始めております。つまり今の案よりもより魅力的なものを作り出すということが求められていると思います。そういったものができれば、米国側がそれを拒む理由はないと思っております。

日米安保条約、日米安保同盟及び日米同盟の概念
【フリーランス 岩上氏】日米安保と日米同盟を峻別して外務大臣がお話になっておられますが、多くの国民がこの二つの概念の違いがよく分からないままになっているかもしれないと思っています。私もよく分からなくて、勉強をしているところですが「日米同盟の正体」という本を書かれた孫崎享さんという方がいます。元外務省の情報局長の方ですが、その方が一民間人だったらどうっていうことはないのですが、この方が鳩山総理の私的勉強会のリーダーを務められて、先日普天間基地の移設先を長崎県の大浦の方に移設したらどうかというようなことも提案されたりするような内閣に影響を与えるような方です。この方が言う「安保」と「同盟」の違いの定義は、「同盟」は2005年に日米間で締結された文書に基づく概念であって、「安保」と「同盟」の最大の違いは、「対象領域が、「安保」は日本及び極東を守るという話であるが、「同盟」は世界中に米国が国際戦略を展開していく、その時に日本が追随して協力をするというもので、「日米安保の本来の姿からずい分変質してしまっている」ということを仰っています。長い質問でたいへん恐縮ですが、一般の国民にも分かるように「同盟」と「安保」の違いについて大臣の見解をお示しいただきたいと思います。

【大臣】先ず、孫崎さんは鳩山総理が総理になる前の勉強会の責任者を務めておられ、その結果がまとまったので報告に来られたと理解しております。したがって、総理になってから議論をしたということではなく、その前からの議論の結果だということです。
 今のお話は、私(大臣)は三つに分けて考えた方がいいと基本的に思っています。一つは「日米安保条約」、もう一つは「日米安全保障同盟」、最後はより広い「日米同盟」、このように考えております。
 「日米安保条約」は仰るように日米安保条約に基づく範囲は日本自身及び極東でありますので、まさしく条約に書かれたような範囲に関する安全保障面での条約というのがコアであります。実は、条約上はもう少し幅広くなっているのですが、より狭く言えばそういうことです。
 「日米安全保障面での同盟」というのは、まさしく安全保障面における日米関係ということで、それは安保条約を越えて、例えば日本の基地を使う米軍が極東や日本自身のためだけではなくて、アジア太平洋地域やより幅広い範囲で活動している訳ですから、そういう意味ではより幅広いということが言えるかと思います。
 「日米同盟」という言い方になりますと、安全保障だけではなくて、より政治面であるとか、もっと幅広く言えば、文化面とか様々な関係を指す言葉だと私(大臣)は理解をしております。
 従って、地理的には、「日米安保条約」から「日米安保同盟」という概念で広がり、「日米同盟」という言葉になると、安全保障だけではなく他の分野にも広がると理解をしています。

【フリーランス 岩上氏】三つの概念の内、「日米安保条約」は50年前に締結された条約であることは明白だと思います。二番目の「日米安全保障同盟」、それから三番目の「日米同盟」については、基礎となり、該当する合意文書や条約というのはどこを指すことになるのでしょうか。

【大臣】明示的な文書がある場合もあるし、ない場合もあると思います。「日米安保条約」も範囲は「日本自身及び極東の平和と安定」ということですが、そのための基地を他の目的のために使ってはいけないとは書いていない訳ですから、そういう意味でより広い範囲で使われているということです。そういったことを明示的に認めたものとしては、例えば1996年の橋本・クリントン日米安保の再定義などがその文書にあたると考えております。安全保障だけではなく、もう少し幅広い範囲に言及していますから、二番目であり、また、三番目であると言えるかもしれません。今回議論すべきは、そういった幅広い意味での「日米同盟」というものについて、機会があれば、日米安保改定50周年という一つの節目の年に議論してはどうかと思っております。

機密費問題
【週刊金曜日 伊田記者】今回の(会見参加者)拡大によって初めて参加しております。よろしくお願いします。会見の拡大とか密約への取組とか、国民に対する説明責任を果たされている岡田大臣の姿勢に強く共感し、支持したいと思います。その上で外務省の報償費についてお聞きします。いわゆる報償費、機密費ですけれども、かつて外務省から首相官邸に上納していたというような指摘がいくつかありますが、この真相について大臣はご存じでしょうか。それから国民に対する説明責任を果たすという名において、調査される気はありますでしょうか。

【大臣】事実関係については、私自身は、あるかないかを含めて承知をしております。ただこれは、外務省に止まる話ではなく、内閣官房も含めた話になりますので、これ以上のコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

【共同通信 上西川原記者】機密費の上納問題ですが、現時点では「今以上コメントしない」ということですが、今後、内閣官房と何か相談して、これについて公表するお考えはあるのか、今後の取り扱いについても一切何も言わないのか、情報公開についてどのようにお考えでしょうか。

【大臣】こういう問題は、内閣として基本的に一つの考え方にした上でお話しすべきことだと思いますので、現時点ではコメント致しません。

調査捕鯨に対する抗議活動
【AP通信 ヒトミ記者】水曜日に起こりました日本の調査捕鯨船とシーシェパード船との間の衝突ですが、大臣としてお感じになっていること、この衝突に関して実際にどのように日本の方々の命と財産を守るのか、どのような手段を講じようと今考えておられますか。昨日の農林水産省の副大臣の会見では、「例えば海賊行為に当たるということにして、何らかの形で守るということで協議することも考えられる」というような発言があったのですが、どのような具体的な対応を講じることを考えておられますか。

【大臣】まず我が国の船舶に対して様々な、進路を妨害する行為でありますとか、或いは生命・財産を侵す極めて危険な行為については、これは断固抗議をしたいと思います。そして、このシーシェパード、或いは今回の実際に衝突事故を起こした船舶であるアーディ・ギル号について、これはニュージーランドを船籍国としておりますので、ニュージーランド政府に対しても強く抗議したところであります。こういうことが続くということであれば、よりそういった関係国政府とこの問題について協議をするだけでなくて、今後こういうことが繰り返されないようにしっかりと抗議をしていかなければならないというように思っております。

【AP通信 ヒトミ記者】その中には、手段として外交的な努力プラス実際に海賊行為というような形で協議するということも考えておられますか。

【大臣】まず、きちんと話し合いをすることが先だと思います。

日韓共同宣言
【朝日新聞 東岡記者】今日の一部の報道で、日本と韓国の両政府が今年、新たな共同宣言を検討していると、具体的には一部報道では安全保障の分野で出すとありますが、そういった検討をされているのか。されているとすればどのような内容でどういう狙いがあるのかということについてお教え願います。

【大臣】今、具体的にはございません。それは今日も総理がお話しになったとおりであります。

【共同通信 斉藤記者】先程質問に出ましたが、「日韓共同宣言をどうするか」という話でございますが、現状、具体的な話はないというお答えを頂いております。それと切り離して、現在の日本を巡る東アジアにおける安全保障の情勢にかんがみて、韓国との間でこの時期に安全保障分野について一定程度踏み込んだ形での共同宣言、メッセージを出して話を進めていく意義があるかどうか、この点についての大臣のご見解をお伺いできれば幸いです。

【大臣】意義があるかないかという個人的な見解を、私(大臣)が言うべきではないと思います。言えることは、そういう議論が、現時点では政府内においてなされていないということです。

沖縄県におけるひき逃げ事案
【琉球新報 滝本記者】沖縄県読谷村でのひき逃げの件ですが、昨日、起訴され、身柄が引き渡されましたが、地元が求めていた、起訴前の身柄の引き渡しの実現がなされず、書類送検で起訴して起訴後に身柄の引き渡しがなされたということでした。従来お伺いしている中でも現行の枠組みでは問題点があるのではないかと私は思います。それについての大臣のご見解は以前から出ていますが、現行の問題点ということ、捜査当局としてはひき逃げということも視野に入れて、引き続き捜査を続けるということです。自動車運転過失致死ということになっていますが、最終的な目標というか立件の狙いということに至らない中での捜査の進展具合いに支障が出てきているというのは、供述を拒否したことが問題点であったと思いますが、その辺りについて、改めてご見解をお伺いしたいと思います。

【大臣】先ず、私(大臣)の承知している限り、「ひき逃げで改めて逮捕」ということになりました。当初は自動車運転過失致死ということで起訴して身柄を拘束したということですが、それは警察の一つの判断です。つまり、逮捕起訴した後、裁判においてきちんと証拠を示して、そして警察の考える犯罪を検証するために最善の道として今回の措置がとられたものだと私(大臣)は理解をしています。

【琉球新報 滝本記者】警察の捜査の仕方、進め方ということの議論になるかも知れませんが、大臣がよく仰られた部分で「事情聴取はできるということは確保されている。米側の協力は得られている」ということは、ずっと外務省の皆さんは強調されているのですが、その基地の中にある身柄を事情聴取するということが、どこまで自由にできたかということについては、日本の刑事訴訟法上、(日本人と)同じだと仰られるのですが、やはりそこは違うと私は思っています。そこの部分が今回大きな問題点になっていると思いますが、その部分についてはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】日本の刑事訴訟法においては、逮捕することなく強制的に身柄を拘束することはできません。任意での事情聴取しかできません。そういう意味においては、私(大臣)は変わらないと思います。日本の刑事訴訟法手続きにそって、今回のことは行われたと考えています。

政と官の連携
【読売新聞 村尾記者】政と官のことについてお伺いします。最近、総務次官や観光庁長官の交代が、突然出てきた感があり、官の側からも萎縮するような声があるようですが、外務省における政務三役と官僚との関係を今、大臣はどのようにお考えでしょうか。例えば、官のほうが萎縮しているとか、そういうことがあるのか、その辺りも含めて大臣のご見解をお願いします。

【大臣】私(大臣)に聞かれても分からないのですが、適度な緊張関係は必要だと思います。それから、(業務を)やっている中で従来型の発想なのか、本来きちんと相談すべきこと、或いは最終的に政の大臣が意志決定しなければいけないことが、場合によってはそうでないというケースもない訳ではありません。その度にそれは指摘をしてきちんと組織として大臣を最終的には責任者として動くような形にもっていきつつあるというところです。しかし、必要以上に萎縮するということであっては仕事になりません。年末も申し上げましたが、それぞれに志があり、能力のある人たちがたくさんおられますので、そういった力を存分に発揮できるようにしていきたいと考えております。

外遊先の選定基準
【伊勢新聞 中森記者】年末の会見で「来年は外へどんどん出て行きたい」と仰ってまして、トルコにも行かれたと思うのですが、訪問先の外国というのをどのような基準で選ばれて行くのかということを教えて頂きたい。

【大臣】なかなか難しいご質問ですが、何か具体的なテーマがあって行くということです。ロシアは、首脳間で、外相レベルで協議した方がいいという話がずっとありましたので、年末のタイミングを捉えて行きました。トルコに関しては、トルコにおける日本年のスタートのオープニング・セレモニーに出席するとともに、大統領及び外相と意見交換をしました。トルコはG20の重要なメンバーでもあるということです。今回のハワイにおけるクリントン米国務長官との意見交換は、これも必要があるからこそ行くわけです。基本的に必要かどうかの判断です。国会の事情やその他で、必要があっても行けないことが結構多く、少し残念には思いますが、なるべく時間を見て(行きたいと思います)。最近、ロシア、トルコ、そしてハワイと一泊の旅というのが続いておりますので、だんだんそれに慣れてきた感じがします。

空港におけるテロ対策動向
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読致します。空港におけるテロ対策の世界的動向についてです。オランダ、英国に続き、カナダが昨年末の米機爆破未遂事件を受けまして、主要空港で乗客の全身を透視できるスキャナーを用いた安全検査を実施すると発表しました。オバマ米大統領もテロ対策の強化を指示しておりますが、こうしたテロ対策の世界的な傾向についてお聞かせください。

【大臣】それは、それぞれの国で決めることですから、それだけ切迫感のある危険度のより高いところにおいて、様々な方法を用いて安全を確保するということはそれぞれの政府の判断だと思います。もちろん、プライバシーの問題とかいろいろとあるとは思いますが、命には代えられないというところもあるのではないかと思います。

薮中事務次官の訪米
【朝日新聞 五十嵐記者】年明けすぐに薮中外務事務次官が米国に行かれまして、スタインバーグ国務副長官と会談されました。結果的にその直後に大臣が訪米する形になる訳ですが、事務次官の訪米の成果を大臣はどのように認識されていて、どのように評価されていらっしゃいますか。

【大臣】薮中事務次官が行かれて、旧知の相手方と意見交換したことは、日米相互の理解に役立ったと思います。若干、米側から見ていると、日本からいろいろな人が来て、「いろいろな人が来て」というのは「政府そのものではない方々が来られてお話になる」と、それがどこまで政府と関係があるのか、そういったことについて、やや困惑が米側にはあったと思います。そういったことについて、今後、外交ルートをきちんと一本化して、外務大臣、或いは外務省が米側の国務省及び国務長官と話をするということの第一歩になったと思います。

外国人地方参政権
【フリーランス 岩上氏】外国人の地方参政権の問題についてお伺いしたいと思います。通常国会が始まりますと、この問題が法案として出されるかどうかということが本当に重要な課題になってくると思うのですが、定住外国人の方々の母国の動向ということも気になるところです。多くの方が韓国の方で、韓国政府はどのように考え、或いは、日本と韓国との外交関係にどのような影響をもたらすのか、この参政権を与える与えないどちらにしても、先程の(日米)同盟深化というような話もありましたが、一体どのような影響が出てくるのかということを、一つは、閣僚として、議員として、この地方参政権を寄与すべきか否かということについてのお考えと、それから、外務大臣として、この法案がどのように外交関係に影響をプラス或いはマイナスにもたらすのか、そのご見解をお聞かせ下さい。

【大臣】この問題は、まだ政府として正式に議論しておりませんので、正式に決める段階では、私(大臣)も外務大臣としてお話をさせていただきたいと思いますが、現時点であまり先走った話をしないほうがいいと思います。

その他(若手ゴルフプロのマスターズ招待)
【フリーランス 上杉氏】週刊ゴルフダイジェストの特派記者としての質問します。石川遼プロと池田勇太プロ、それから片山晋呉プロが今回米国で7月に行われるマスターズに招待されましたが、特に若い池田プロ、石川プロに対する岡田さんとしての感想、それと岡田さんがスポーツとしてのゴルフに対するイメージがあればお聞かせください。

【大臣】私(大臣)も、正月にテレビ番組などで石川プロの出演した番組などを見ましたが、やはり今の若い人たちは非常に可能性が無限だというように感じました。これは石川プロだけではないのですが、非常に努力もしているし、それから色々な受け答えもしっかりしているし、ぜひ日本を代表するだけではなくて世界を代表するような選手に育ってもらいたいと思っております。ゴルフは、私(大臣)も決して嫌いではありませんが、なかなか時間がありません。今、密かな楽しみは休みの日にゴルフの練習をすることで、外務大臣をしている間に、飛躍的に良くなるということを夢想しながら練習に励んでいます。




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