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2010.02.04|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年2月2日)

外務大臣会見記録(平成22年2月2日(火曜日)18時00分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)アッバース・パレスチナ自治政府大統領の訪日について
(2)ODAのあり方に関する検討会について
(3)大臣の訪韓について
○米軍再編問題
○ODAのあり方に関する検討会
○情報公開(マスコミと外務官僚の会食)
○日本漁船に対するロシア国境警備局による銃撃事案
○日米同盟の深化
○知る権利とオフレコ
○政治資金規制法改正
○米中関係
○中東和平への取り組み
○韓国訪問(日韓併合100年を迎えて)
○政治資金疑惑

冒頭発言
(1)アッバース・パレスチナ自治政府大統領の訪日について

【岡田大臣】国会と閣議で長引きましたので、この時間になりました。私(大臣)からは3点申し上げたいと思います。
 第1点は、アッバース・パレスチナ自治政府大統領の訪日の件でございます。マフムード・アッバース・パレスチナ自治政府大統領は、2月7日(日曜日)から10日(水曜日)まで訪日する予定であります。滞在中、アッバース大統領は、8日(月曜日)に、鳩山総理と日パレスチナ首脳会談を行うとともに、私(大臣)とも9日(火曜日)に会談と夕食会を行う予定です。今次訪日は、今後の中東和平の行方、我が国の貢献のあり方などについて、アッバース大統領と率直な意見交換を行うこととともに、同大統領の和平路線への支持を表明し、和平プロセスを促進すべく我が国としての役割を果たすことが目的です。また、将来のパレスチナ国家建設に向けたパレスチナに対する我が国の支援等についても議論する考えであります。
 私(大臣)としてはアッバース大統領とは東京で1度、パレスチナで1度、2回お会いしておりますので、今回が3回目の会談ということになります。

(2)ODAのあり方に関する検討会について

【大臣】それから2点目。お配りした資料でありますが、ODAのあり方に関する検討会についてです。そういったものを行うということは私(大臣)の外交演説の中でも触れたところでありますが、お手元の資料にあるような検討項目について、つまり国際協力に関する理念・基本方針、国民の理解・支持の促進、多様な関係者との連携、援助の効果的・効率的な実施、JICAという5つの論点で行いたいと思います。ODAについては、国民の共感が十分には得られていないと考えております。そのために、国民の理解と支持を得るための見直しを行いたいと考えています。そのことによって、ODAをより戦略的かつ効果的に実施していきたいと考えているものであります。
 よくこれも言うのですが、アンケート調査などをみると、6割、7割の人が「ODAは必要だ」とか、あるいは「増やすべきだ」ということですが、我々の実感からすると7割、8割ぐらいの人が「こんな日本が厳しい時になぜODAを増やすのか」と、「ばらまきではないか」という意見はよく聞かれるところであります。そういう中で、現実に日本が行うODAがいかに世界の役に立っているか、特に日々の生活にも苦しい人のために、あるいは日本の国益のために役立っているかということをきちんと伝えること、伝える前提としてまず、様々なご批判の中には耳を傾けなければいけない点も多いわけですから、そういう点について、より効率化という視点で見直していくということです。そういったことについて福山副大臣、西村政務官の下で、検討項目ごとにタスクフォースを立ち上げて、国際協力局、総合外交政策局の参加の下に検討を行いたいというものであります。なお、外部有識者やNGOなどのご意見も聞かせていただくということでございます。

(3)大臣の訪韓について

【大臣】3点目でありますが、私(大臣)の訪韓であります。2月10日(水曜日)夜から11日(木曜日・祝日)に、韓国を訪問し、日韓外相会談を行う予定であります。実質的には1日、11日だけであります。10日の予定は特にございません。具体的な日程等は現在調整中でございます。柳明桓(ユ・ミョンファン)長官とは、3度目の外相会談ということになります。未来志向の日韓関係を更に強化するために、日韓の協力の問題、北朝鮮の問題など幅広く意見交換をしたいと考えております。

米軍再編問題
【NHK 禰津記者】普天間基地の移設問題に関してお伺いします。大臣は昨日の日本記者クラブでの会見の中で、普天間の移設先について、「あまり望ましいことではないが、他になければ、今のままということもあり得る」という発言をされていると思うのですけれども、これに関して、国民新党や社民党の幹部からは問題視する発言が、また、沖縄県の国会議員の方からも問題だという意見も出ていると思いますが、改めて、これについての受け止めと昨日の発言の真意についてお伺いできますでしょうか。

【大臣】真意は言ったとおりです。ですから、そういうことにならないように、今、一生懸命に検討委員会で検討していると考えております。検討委員会では、代替地を探すということが任務であります。その任務が果たされれば、別に現状のままである必要はないので、それが、もし適地が出てこないということになれば、最悪の場合、もちろん現状と言っても、危険度をなるべく減らすとか、そういう努力は行うとしても、基本的に今の普天間ということになりかねないという私(大臣)の危機感を表したものであります。

【NHK 禰津記者】社民党や国民新党から批判が出ていることに関してはどのように受け止めていらっしゃいますか。

【大臣】だからこそ、しっかりとそれぞれの党からも提案してもらいたいということです。これはダメ、あれはダメ、と言っていたら、結局見つからないということになってしまいます。

【NHK 別府記者】本日、日米の同盟深化の事務協議が開かれましたが、その後の記者団とのぶら下がりで、キャンベル国務次官補に質問に応じていただいたのですが、その中で、「米国としても移設先についても話し合う用意があるのだ」と、「discussしていく用意がある」という話を伝えたとした上で、自分としては2つのことに用意があると、「1つ目は、まず米国の立場というのは、現行案が最善だということを明確にすることである」と、「2つ目に、同時に新しい移設先をexploreする、探求するということについても用意がある」というように述べ、その時は「そのことも日本側に伝えた」ということを話していました。この2つ目の新しい移設先をexploreする用意があるという発言について、受け止めはありますでしょうか。

【大臣】それは私(大臣)は聞いておりません。それから、最初に言った、米側が今の案が最善であるというスタンスは変わっておりませんので、その前提で考えた時に、もし2番目の話をキャンベル氏が言ったとして、それがどういう意味を持つのかというのは、現時点ではわかりません。もちろん、日本が今作業をしているということは認めているというか、それをよしとしているわけではないにしても、そういう作業というものがあるということは彼らは分かっているわけですから、そういうことを言ったのか、少なくとも、日本として、「ではどういう案があるのか」ということをしっかりと固めないと、米国が一緒に探すとか、もしそういうふうに仰ったとしたら、私(大臣)は少し違うのではないかと思います。

【共同通信 上西川原記者】1問目の質問に関連して、「最悪の場合は現状維持になる恐れも否定できない」ということですけれども、まず最初に、鳩山首相が「現状に戻ることはない」という認識を示されている、それと少し食い違うのではないかと思うのが1点あります。もう1つは、もともとこれは普天間の危険除去、一刻も早い危険除去というのが出発点にあったかと思うのですけれども、それを考えますと、考えたけれども結局できなかったということで、政権選択の意味が問われるのではないかと思います。自民党政権では少なくとも、ベストではないにしろ、辺野古という結論を出した。しかし、民主党政権では、移設先が見つからなかったから現状維持でお願いしますということになるのではないか批判もあるかと思うのですけれども、その点についてお願いします。

【大臣】まず、総理が仰った答弁は、マスコミなどでは、そのうちの一部が報道されていますが、「普天間の危険性の除去からスタートした問題でありますので、またそこに戻るようなことはしないと、その決意のもとでベストシナリオを今作っているところでございます」、これが、総理の発言でございます。私(大臣)の発言と根本的に違うことを言っているとは、私(大臣)は思っておりません。それから、もちろん普天間の危険性除去ということで始まったわけですから、そのための案を今、真剣になって検討しているわけであります。それで案が出てくるということを我々としては当然考えたいわけです。しかし、案がまとまらなければ、今のまま残るという最悪の選択になってしまう。そうしないように、一生懸命探さなければいけないというふうに思います。ゼロベースで議論しているわけですから、どれがいい、あれが悪いというような話をしては、私(大臣)はいけないと思っております。

【琉球新報 滝本記者】今の話に関連しまして整理したいのですが、ゼロベースでということなのですけれども、そもそも、案をまとめるというのは、代替の案を考える、危険性の除去をどうするのかということを考えるということだったのだと思います。今の手持ちは全く何もないという白紙でいうことが、ゼロベースでということであると理解するのですが。

【大臣】違います。すべての可能性があるということです。

【琉球新報 滝本記者】優先順位ということでもないのですが、日米合意があるということが出発点としてあると思うのですけれども、その日米合意も全部同じスタートラインでゼロということなのでしょうか。

【大臣】あらゆる可能性があるということです。そのことは私(大臣)は何度も申し上げております。

【日刊ゲンダイ 小塚記者】今の話の続きですが、大臣の発言、今のままでもいいということですが、先週、平野さんが「地元の合意がなくても」と発言されたことで、色々とそれに反発する地元からの声ですとか、与党からもあったりしまして、その時に大臣が平野さんの発言について、「そのように言ってしまうと、地元をまったく無視するような印象を与えるので、表現に気をつけなければならないと思います」というように言ってらっしゃいました。そういう状況の中で、今の時期にあえて普天間が現状のまま残る可能性という最悪のケースというのを敢えて口にされてらっしゃるというところ、その辺はどうしてなのかと思ったりするのですが、その辺を教えていただきたいと思います。

【大臣】ですから、何もなくて普天間が閉鎖されることはないという意味です。そういう選択はないということです。この問題のスタートは、米軍の果たしている抑止力としての役割と沖縄の負担軽減、この2つを同時に満たすということで議論しているわけですから、「では米軍は日本から出て行ってください」という選択肢はないということを申し上げたわけです。

【日刊ゲンダイ 小塚記者】まだ可能性を探っている段階ですけども、最悪のケースというものをあえて今の時期に仰られるのはどうしてなのでしょうか。

【大臣】総理の発言がやや正確に伝えられていないと思ったからです。

【共同通信 西野記者】大臣は先程、「今後、代替案を固めて、米国に示す上では、しっかりと固めなければならない」ということだったのですけれども、そこには地元の合意というものがあると思います。辺野古に関しても、地元の合意というのが言われていました。代替地を探す上で、どこにするのかは別にしても、やはり地元合意というのを作っていかなければならないという大きな状況があると思います。民主党は先の総選挙で、比例復活を含めれば、ほとんどの選挙区から議員が出たということで、おそらく、どこを選んでも、与党の政治家としての責任が問われるような状況になると思うのですけれども、そういった問題意識というのは、政府与党の中で共有されていっているのでしょうか。

【大臣】仮定の議論に答える必要はないと思います。

【琉球新報 滝本記者】先程、大臣は、「米軍は要らないのだという選択肢はないというか、可能性はないのだ」と仰られたと思うのですけれども、そのことを言いたいがために、今このご発言をされたという趣旨で私はお伺いしていたのですが。つまり、「なぜこの時期に最悪のシナリオというのを出されるのか」という日刊ゲンダイさんの質問に対して、「スタートは米軍の抑止力の維持と沖縄の負担軽減を同時に満たすということの追求だ」ということで、そういう意味で、「米軍は全く出て行ってくれ」ということの可能性はないのだというように仰られたかと思うのですけれども。

【大臣】少なくとも、米軍の果たしている役割、抑止力というものを無視しては決定できないということです。それが沖縄である必要は必ずしもありません。

【琉球新報 滝本記者】その部分の確認をさせていただいた上で、グアムへの移転ということを社民党は主張して、またそうか、というような形になっていることに対するけん制というようにも伺えるのですが、そういうご意図なのでしょうか。

【大臣】いや、そういうことではありません。ゼロベースですから、何がダメだというように私(大臣)は言うつもりはありません。しかし、逆に、何がダメだという議論に私(大臣)は与することができないということを申し上げている訳です。あらゆる可能性があるということで、議論をスタートしたはずですから、これはダメ、あれはダメという議論は、検討委員会の中でやられることであって、外に向かって言うことではないということを申し上げている訳です。

【琉球新報 滝本記者】先程の大臣のお話で、「現状といえども、危険度を下げるということなしに(現状維持)はない」と仰られたかと思います。ということは、最悪のシナリオが残るということでも、やはりその危険性除去ということでは考えた上でやらないといけないのだというように受け取ったのですけれども。

【大臣】あまり細かいことに議論を入らない方がいいと思います。とにかく、何が最悪かということも議論が分かれます。今の現行案が最悪だという人もいるかもしれませんし、それは人によって変わりますから、何が最悪ということはありませんけれども、あらゆる可能性について、今、検証しているわけなので、これだけはダメだとか、そういう言い方はすべきではない。そういうことの一環として、今のまま残るということについても、「100%ない」という言い方をすべきではないということを申し上げているだけです。

ODAのあり方に関する検討会
【朝日新聞 五十嵐記者】先程の冒頭発言にあったODAのあり方に関する検討についてご質問します。これは省内での検討だと思われますが、具体的にこのタスクフォースには、どういう方がメンバーに入って、いつごろまでにこの検討をまとめようと思われているのか、またまとめる際に、文書で報告書のような形でまとめるのか、あるいは今ODA大綱がありますが、そのODA大綱の見直しというところまで含めて考えていらっしゃるのか、その部分についてお伺いしたいと思います。

【大臣】いつまでにということは、私(大臣)の外交演説で「夏までに」ということを言っておいたつもりです。どこまでその中身を含むかということはこれからの議論です。

【日本インターネット新聞 田中記者】ODAのあり方ですが、反対するものでも何でもなくて、大臣が仰ったように効果的に使うというのは非常に戦略的だと思います。日本の海外へのプレゼンスというのはODAに裏打ちされているところが非常に大きいということを体で実感します。これから日本の経済が縮小していくにしたがってODAも減らざるを得ないと思います。例えば日本のプレゼンスの確保の仕方ですが、スカンジナビア3国、とりわけノルウエーだとかスウェーデンだとかのように紛争解決などに積極的に介入していって、紛争後の復興利権を扱うというような、ODAからのドラスティックな外交転換ということは大臣の哲学的な視野の中には入っていないのでしょうか。

【大臣】まずに日本の経済が縮小していくという前提には私(大臣)は立っておりませんので、少し前提が違うかと思いますが、何のためにODAを出すのかということについて、きちんと分かりやすい理念的な整理というものが必要だと思います。そうでないと、国民から見えないということになると思います。

【読売新聞 川崎記者】先程の質問の中で、大臣が直接お答えにならなかった部分についてもう一度確認させて下さい。ODA改革のタスクフォースですが、この中にどういうメンバーの方が入るのか、つまり、各タスクフォースにJICAの方は全部に入ると書いてございますが、この中にそれぞれ有識者の方が入るのか、それともJICAプラスあくまでも外務省の職員の方だけなのか、その辺の構成を教えていただきたいのですが。

【大臣】これは総合外交政策局長と国際協力局長の下にあるわけですから、基本的には役所の中です。私(大臣)の横に有識者やNGOが書いてありますが、そういう位置付けで、第三者として(意見を)言ってもらうということです。

【NHK 別府記者】ODAの関係ですが、色々な理念もあると思いますが、対外的にわかりやすさとかメッセージとしてのインパクトというのは、どうしても額という面があると思うのですが、基本的には増やす方向なのか、あるいは自公政権の流れのように2000年以降どんどん減っていく流れという方向なのか、どっちに向かおうとされているのでしょうか。

【大臣】我々としてはODAというものを国民の理解を得ながら増やしていきたいと考えております。ただ、これは国の予算全体のあり方に関わる話ですから、いくら外務省が、我々が強くそれを思ったとしても、やはり内閣の中で理解を得ないとそういうことにはなりませんので、そういうことも合わせてやっていかなければいけないということだと思います。

【朝日新聞 倉重記者】ODAに関して、細かい質問ですが、この項目を見ますと、日本国民に対する理解・支持というものがありますが、ODAを拠出する相手国の国民に、日本のプレゼンスという意味で、日本がこうした案件で援助しているのだという広報戦略という視点は入っていないのでしょうか。

【大臣】ここは特に日本の税金ですから、国民の理解と信頼ということが大前提になるということで国民と書いています。しかし、それを受ける側の理解も、もちろんひとつの論点かと思います。

【NHK 吉田記者】夏までまとめるということですけれども、それはまとめた結果というものは直ちに2011年度の概算要求に反映するお考えという理解でよろしいでしょうか。

【大臣】それには遅くとも間に合うように、夏まで、いつまでもゆっくりとは思っておりませんので、もう少し早いタイミングでというように思っております。いつまでにと言って、また延びると、また何か色々言われますので、「夏までに」という言い方をしております。もう少し早ければもっといいと思います。

情報公開(マスコミと外務官僚の会食)
【週刊金曜日 伊田記者】マスコミの記者や幹部の方々との外務官僚の会食についてお聞きします。私は、昨年の10月30日に情報公開制度に基づいて、マスコミ各社の記者や幹部と、外務省の関係者との会食に関する全ての記録を開示するように求めました。過去5年間、これは殆ど自公政権下に当たっていると思いますけれども、というのは、外務官僚側は5000円以上の接待を受けて入れば、国家公務員倫理法で贈与等報告書を出さなければいけない。一方、外務官僚側がマスコミの記者や幹部を報償費で接待していれば、領収書などがあるということで請求させていただきました。要求したマスコミとしては、朝日新聞社、毎日新聞社、読売新聞社、産経新聞社、日本経済新聞社、東京新聞社、共同通信社、時事通信社、NHK、新潮社、文芸春秋、それから、民放はひとくくりで、この12分類としています。この請求に対する開示結果が、1月4日に外務大臣臨時代理で平野さんの決裁で出ています。結果については、民放について1件開示があっただけで、後はすべて不開示でした。正確に言いますと、「現時点までに該当する文書を特定することができなかったため、不開示、不存在としました。(引き続き、調査中です)」という回答でした。誤解を受けないように言っておきますと、私はマスコミ関係者と外務省の官僚の方々が食事をすることを一概に悪いとは考えていません。親しくなって情報を取るのはマスコミの仕事だと思いますし、外務官僚からいっても、思い込みによる誤報等があるから信頼関係を築いておくと。これはとても大事なことだと思います。ですけれども、請求から2ヶ月以上経って、会食の記録が1件しか見つかってないと、これはあまりにも実態とかけ離れているのではないかと(思います)。具体的に持ちつ持たれつでやっているというような話も聞いております。この決裁をしたのは、平野さんですから、岡田大臣はご存じないかもしれませんけれども、こういう情報開示の結果について、どうお考えでしょうか。

【大臣】私(大臣)は見てません、その決裁は。

【週刊金曜日 伊田記者】この後、引き続き調査ということですので、開示結果を待ちたいと思うのですが、もし仮に、届けていないと、全て割り勘で出していれば(会食の記録が)ないこともあり得るのですが、持ちつ持たれつという話も聞いておりますので、そうすると届けていない可能性があると。そうすると、可能性としては、国家公務員倫理法違反で検察辺りが手を突っ込むと誰でも引っ張れる可能性があります。そうなると、政争の具に使われかねない。余りにも実態と離れていることはまずいと思うのですが、如何でしょうか。

【大臣】よく調べてみます。私(大臣)も海外に出ていることが多いのですが、何かいないときに決裁されたような気がしますので、よく事実関係を調べます。

日本漁船に対するロシア国境警備局による銃撃事案
【北海道新聞 佐藤記者】北方四島周辺海域でのロシアによる日本漁船銃撃案件についてお聞きします。漁船に対する銃撃があったことについて外務省はロシア側に厳重注意を行いましたが、その後、漁船側の位置情報システムの記録の問題などが指摘されています。照明弾を発射されたという第一報から現在にいたるまでの経緯を含めて、今回の銃撃についての大臣の所見と、領土問題を含めた今後の日露関係への影響について見解をお聞かせ下さい。

【大臣】まず、ロシア側が漁船に対して銃撃を行ったということは人命の損失につながりかねず、それは容認できないと考えております。また、ロシア側が北方四島に対する管轄権を前提とした行為を行うということも、領土問題に関する我が国の立場と相容れないものであります。御指摘のVMSのデータに一部欠落があったということ、これは最初そういう話は聞こえて来なかったわけですが、そういうことが事実としてわかりました。一体どういうことでそういったことが起こったのか、その意味することは何か、ということについては徹底的に調査をする必要があると考えています。

【北海道新聞 佐藤記者】日露関係への影響についてはいかがでしょうか。

【大臣】事実関係の全容が明らかになっておりませんので、今早急にコメントするのは適切でないと思います。ただ、事実は事実としてしっかりと調べた上で明らかにしたいと思っています。

日米同盟の深化
【朝日新聞 鶴岡記者】日米同盟の深化につきまして、本日SSCもありましたので、改めてお考えをお伺いします。これまでのご発言を伺いますと、普天間移設をはじめとする米軍再編以外の分野に広げていくようなイメージで、「それは拡大であっても深化ではないのではないか」という質問が以前にもあったと思うのですが、「深化」というのは、例えば、共和党と自民党政権が進めていた自衛隊と米軍を一体化を深めたようなことを意味しているのか、お考えを改めてお聞かせ下さい。

【大臣】「深化」と「拡大」をどう考えるか。つまり、意味をどう考えるかということは、それぞれの進め方の問題だと基本的に私(大臣)はそう思います。ただ、私(大臣)は、アジア太平洋地域の中での深化だと考えておりますので、深化という言葉の方がより適切ではないかと、協力をより密接にしていくということだと思います。

知る権利とオフレコ
【週刊金曜日 伊田記者】2月5日に開かれる大臣主催の夕食会にご招待いただきましてありがとうございます。「万障繰り合わせの上御参加いただければ幸いです」とのことですので、喜んでお伺いしたいと考えております。その上で三点お聞きします。一点目です。私が夕食会に参加するにあたって、応分の負担をしたいと考えておりますが、費用の分担はどうなっておりますでしょうか。二点目です。外務省側の支出は当然公金からされると承知しておりますが、予算の区分はどうなっているのでしょうか。例えば報償費から支出されているのでしょうか。最後ですが、「これは完全オフレコで実施させていただいています」というご要望ですが、話の内容によってはジャーナリストの使命として知る権利に答えるためにどうしても報道する責任がでることも、内容によってはあるのではないかと考えます。つまり税金を使う夕食会ですので、こちらの方も国民の知る権利に答える義務があるのではないかと思っています。完全オフレコにできる法令上の根拠はあるのでしょうか。つまり、記者達と信頼関係を作る場も大事だと思うのですが、それを完全オフレコにしてしまうということで、従来の自民党の政治家がやってきたオフレコ懇談と全く変わらないと思うのですが、国民に対する説明責任、それから知る権利との関わりでどう考えているかお聞かせください。

【大臣】今回は、基本的に外務省の負担で費用を(支払う)というように考えています。報償費を使う予定はもちろんありません。一般の外務大臣としての認められた予算の中で支出をするものであります。そんなに高いところにいきませんから。それから、オフレコの根拠ですが、一定の、これは別に会食でなくても、色々な場で「これはオフレコだ」ということで話をする場合と、それから「オンだ」ということで話をする場合があるのは、私(大臣)は当然だと思います。もしオフレコが嫌だということであれば、それは出席しないという選択の自由はあると思います。

【週刊金曜日 伊田記者】もちろん、そのオン、オフというのは、当然のことだと思います。それにどう参加するのかも記者の自由だと思いますが、そこに使っている費用が国民の税金であると、そこにおいてオフレコを主張されることが、今まで自民党がやってきたわけですが、その辺りについてはいかがお考えでしょうか。

【大臣】自民党がやってきたかどうかというのはよくわかりませんが、懇親を深めると、そして報道されないという前提で、より自由にものをお互い言うということはあって悪いことではないと、例外的ですが、私(大臣)は思っております。基本的に私(大臣)自身は「オフレコ」ということは普通ありません。全部オンです。しかし、そういうこと(オフレコ)が例外的にあるということはおかしいとは思っておりません。

政治資金規制法改正
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。政治資金規正法改正案についてです。民主党は4月上旬までに企業団体献金禁止などを盛り込みました政治資金規正法改正案の原案をまとめることを決めました。これにつきましては、昨年春、大臣は党の政治改革推進本部長として先頭に立って検討されております。そこでお伺いしたいと思います。企業団体献金の禁止に関して、法のあるべき姿とはどのようなものであるべきかとお考えでしょうか。例えば、ここは最低限押さえる必要があるなど、そういった部分もあるかと思います。

【大臣】(民主)党で行われている政治資金規正法の改正については、今、論議を行っているところですから、それについて私(大臣)はコメントするのは適切ではないというように思います。それから、最低限という意味では、きちんと記載されているということは最低限必要かと思います。それが全ての前提だと思います。

米中関係
【NHK 禰津記者】本日の日米深化協議に関わってくる問題だと思うのですが、最近、米中関係が、台湾への武器供与の問題やグーグルの問題などで、若干ギクシャクしている印象を受けるのですが、こうした中、日米同盟を基軸とする日本の外交としてどういった影響が懸念されるのかということに対する大臣のご認識と、今後の日米深化協議の中で中国の扱いをどのように議論していくのでしょうか。

【大臣】今回の台湾への武器の輸出を巡る米中関係の対立と言いますか、「対立」と言うと少し言葉が強いと思いますが、そういったことについて、お互い良識を持って話し合いをすべきだと思います。しかし、この前もどこかで申しましたが、基本的に中国側も想定の範囲内の出来事ではないかと、徹底的な対立ということにはならないというように思っております。そのことと、日米間の高級事務レベルで日米同盟の深化について議論していることとは直接関係ありません。

中東和平への取り組み
【共同通信 上西川原記者】アッバース議長の来日ですが、アッバース氏は議長任期が既に過ぎていて、パレスチナ自治政府の中で急速に影響力を失っているという報道があります。その原因としてハマスとファタハの対立もありますが、報道によりますと次の選挙に出馬しない理由として、米国のイスラエル寄りの態度に反発したということです。日本政府として中東和平で米国も含めてどのような役割を果たしていきたいとお考えでしょうか。

【大臣】最初に言われたことと最後の質問がうまく繋がらないのですが。

【共同通信 上西川原記者】アッバース議長が影響力を失っている原因のひとつに米国のイスラエル寄りの政策があるという報道がありますが、日米間でいろいろと協力していこうという中でアッバース議長が来日するにあたり、米国も含めて中東和平にどのような役割を果たしていきたいとお考えでしょうか。

【大臣】質問の趣旨がよく分かりません。ただ、アッバース議長は確かに今は西岸とガザで、ある意味では二つに分かれた状況、ハマスとの関係がうまくいってないという状況があります、そこは私(大臣)も懸念しているところです。アッバース議長が次期選挙に出馬しないということもそのとおりです、しかし、そのことがアッバース大統領が決定的に力を失くしているということに繋がっているとは思っておりません。アッバース大統領は依然として一定の支持を得て、今大統領職を務めていると考えております。
 中東和平については、日本は欧米とは少し違うスタンスで今までもパレスチナを支援してきましたし、独自の考え方でやってきた訳です。もちろん米国側と様々な意見交換をしながら進める訳ですが、常にそれぞれのプロセスで色合いが違ってはいけないということではないとそのような多様な、いろいろなアプローチがあっていいと私(大臣)は思っております。

韓国訪問(日韓併合100年を迎えて)
【朝日新聞 東岡記者】冒頭ご紹介のありました、大臣の韓国訪問についてお尋ねします。今回の韓国訪問では「未来志向の日韓関係を築いて行く」という趣旨の発言をされました。今年は日韓併合100年を迎える年ですが、大臣は日韓併合についてどのようにお考えになるのかという点と、100年という節目の年にナショナリズムが敏感な年だと思います。その観点から逆に日韓併合に関連して未来志向、或いは過去についてどのようにお考えなのかお伺いします。

【大臣】日韓併合というのは、その時の世界の状況を見れば、そういった行動は日本に限ったことではなかったかもしれません。しかし、少なくとも併合された側から見れば、自分の祖国がなくなり、やがていろいろな伝統的な例えば名字が日本の名字になったり等、併合によるプロセスで様々なことがありました。そういったことを考えればやはり、そういう痛みを覚える側の気持ちというものは、我々は忘れてはならないと考えています。

政治資金疑惑
【日経新聞 山本記者】小沢幹事長の政治資金問題についてお尋ねします。4日に石川議員の拘留期限が迫っていますが、小沢幹事長は起訴された場合、幹事長を辞任、もしくは民主党を辞めるのであろうか。また起訴されなかった場合、幹事長の留任を容認されるのでしょうか。

【大臣】何度も申し上げておりますが、先ず、仮定の議論にはお答えしません。それから、私(大臣)は現在、鳩山内閣の外務大臣の職にあります。外務大臣の職というのは生半可なことではできません。したがってそれに専念すると(いうことです)。今仰ったような質問には答えない、自らを自制しているところです。




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