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2008.07.28|マスコミ

朝日新聞 2008年6月15日 朝日新聞社主催「2008年地球環境シンポジウム」特別講演(要旨)

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、温暖化はすでに始まっていると断言している。あとは政治がどうするかだ。

 民主党は温暖化対策の基本法案を国会に出した。中期的目標として温室効果ガスを2020年までに90年比で25%削減することなどを盛り込んだ。

 福田首相が公表した温暖化対策の包括提案では、日本の中期目標が示されていない。「先進国が先」というインドや中国を巻き込みたいのなら、率先して目標を明らかにしないといけない。

 「05年比で20年までに14%削減」という試算も、90年比ならマイナス4%に満たず不十分だ。基準年を05年にしたのもおかしい。中印の90年以降の経済成長への配慮をいうが、日本にもメリットがある。声高に主張するのはいかがかと思う。

 分野ごとの削減可能量を積み上げるセクター別アプローチを強調するのも問題だ。G8環境相会合で、セクター別は国別総量目標には代わらない、と明示されたのに、包括提案ではセクター別で国別総量目標を積み上げた試算を出している。

 国内の温室効果ガス排出量は90年~06年で6.2%増えた。政治のリーダーシップの不在に反省が必要だ。

(2008年6月15日 朝日新聞)

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