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2005.01.31|その他

定例記者会見録 2005年1月

1月25日

○代表質問:総理の答弁拒否は民主主義の危機、見過ごすわけにはいかぬ

○再質問のルールづくり:国会活性化のためなら否定しないが答弁拒否とは別

○まず年金を固めるべき、しかし順序が決着しないと集中的な議論に入れないわけではない

○医療・介護への消費税投入は今後の議論だが、いずれも馴染みにくいのでは

○補正予算の賛否は、被災者支援法の議論を見極めながらぎりぎりで決める

○議員年金を含めて一元化すべきだが、それまで何もしないのは許されぬ

○女性天皇:有識者会議の結論をスタートに与野党で議論を、対立は好ましくない

○NHK会長辞任:もっと早くはっきりと言ったほうが良かった、それがトップの責任

総理の「答弁拒否」

【代表】今日は国会に関して、それに尽きると思いますので、少し申し上げておきたいと思います。

昨日の小泉総理の対応についてはすでに申し上げましたが、まず、これは総理の「答弁拒否」であると。不十分な答弁ではなくて「答弁拒否」だということであります。全く答弁しなかったわけです。

後ほど詳しく申し上げますが、私は再質問を総理の答弁を聞いて、そして中身のある再質問を9項目にわたってしています。それに対して「すでに答弁した」というのは、答弁拒否以外の何物でもありません。

不十分な答弁だということであれば、それは「十分に答弁しろ」と言えば済むわけですが、答弁拒否されたら、我々はそのまま見過ごすわけにはいきません。

それは昨日も申し上げたように、国会の機能そのものがなくなってしまう、日本の民主主義の危機だ、そういう認識で私たちは行動していますので、今朝の新聞を見ても、なかなかそういう報道はなく、どっちもどっちみたいな安易な記事が多かったと思いますが、我々はそれだけの危機感を持って行っていることを、まず申し上げたいと思います。

今日、総理は小宮山さんの質問の中で、議長が注意を与えたことについてどう考えているのかという問いについても、全く答えないままでありました。そういうことになると、議会と総理の関係の問題になるわけで、議長が注意すること自身が大変異例でありますが、そのことを平然と日本国総理が無視することは、憲法との関係からいっても許されないことで、昨日以上に総理としての資質がないことを自ら語ったと思っています。誠に遺憾であります。

今日は小宮山さん、野田さんが、非常に個性のある良い質問をしていただいたと思います。それに対して総理は、答弁の棒読みにほぼ終始したわけですが、その中で、他の野党の質問も含めて、私はちょっと見過ごせない部分がありました。

1つは、これは見過ごせないというより、お笑いかもしれませんが、横光さん(社民党・市民連合)の質問に対して、郵政の問題ですが、社会主義者はそういう考え方をするのだろう、だから反対するのだろう、みたいな言い方をしました。

人をレッテル貼りをして一刀両断で切り捨てるということも、これもまた国民に向かって真摯に説明する態度とは全く無縁のものであります。私はあれを聞いていて、そうすると自民党はほとんど社会主義者なんだなぁ、というふうに思ったわけですが。

もう1つ、これはより深刻だと思いますが、森派の政治資金の問題について、横光さんか共産党が指摘したときに、それについて(総理は)「調査する必要はない」と断言されたことであります。

これだけ疑惑が報道され、恐らく森派の議員を洗っていけば、中には正直に派閥からもらったというふうに収支報告書に書いている議員もいると私も聞いています。それとの整合性はどうなるのでしょうか。

この期に及んで開き直るというのは、一派閥のボスがいうのであればともかく、もちろんそれも許し難いことですが、総理大臣ですから、日本国総理大臣が何の説明責任も果たさず開き直る姿は、これもまたいかがなものか。私は許し難いものを感じています。それだけ申し上げておきたいと思います。

総理答弁と再質問の内容

【代表】なお、お手元に資料を整理させていただきましたが、先ほど申し上げた私の最初の質問、総理の答え、そして私の再質問、ここで一旦切れるわけですが、その再質問に対して「全て答えています」というのが総理の答えです。総理の最初の答弁と私の再質問を見比べていただいて、最初の質問で総理がすべて答えているということが、いかにいい加減なものであるかということを、ここから見ていただきたいと思います。

例えば、被災地復興支援について、私が総理の答弁に対して質問したことは、そうした答弁は何度も聞いているが、しかし今はそうした官僚的な、私有財産について税金がつぎ込めないということではなくて、政治的決断こそが求められているのだ、ということを申し上げたわけであります。それに対して総理はすでに答えているというのは、全く答えになっていないと思います。

より分かりやすいことで言わせていただくと、三位一体改革のところで、総理は従来、前国会と同じように「19年度以降のことは、そのときに考える」という答弁をされたわけです。これは再答弁でも同じことを繰り返しているのですが、私の再質問は、19年度以降についてはっきり姿勢を示すということを、少なくともこの1年でしっかり検討するという姿勢ぐらいは見せられないのかと。

つまり、すぐに19年度以降のことを言っても、それはできないかもしれないけれども、1年くらいちゃんと検討するくらいのことは言うべきだと。そういう1年間の猶予期間を与えたわけで、全く新しい質問をしているわけです。それに対してすでに答えているというのは、極めて馬鹿げた答弁だと思っています。

その他、(郵政問題について)国債のところなどは、民営化したあとの話を聞いているのですよと申し上げているわけです。総理は最初の答えでは、途中経過のことについて答弁しているのです。ですから答えていないわけです。それにもかかわらず、すでに答えていますと。

最初の答弁では、答弁として的を射ていない、答えていないということは明らかだと思います。さすがに再答弁では「国債市場の安定性を損なうことのないよう、十分配慮してまいる考えであります」という言い方をしています。では、民営化法人がどうやって十分配慮するのかなと、また次の新たな疑問が出るのですが。

つまり、そういうふうにして議論が進んでいけば、内容が豊かなものになっていくわけですが、答えていないにもかかわらず、最初の答えで「答えた」と言われてしまうと、再質問ということ自身が意味がないということになるわけであります。

その他、時間があれば1つひとつご覧いただければ分かると思いますが、(総理の)「すでに答えている」ということが、いかにいい加減かということが分かると思います。そうしたことについても、きちんと報道していただければありがたいと思っています。

<質疑応答>

答弁拒否問題に対する今後の取り上げ方

【記者】答弁拒否問題をめぐって、今日も小宮山議員と野田議員がこの問題を取り上げたわけですが、今後どのような形で、この問題について取り上げていくつもりでしょうか。

【代表】まずこれは、今日も議運で取り上げられましたが、公式な国会の機関の中で議論していかなければならない問題です。

つまり、再質問制度ということが認められていながら、しかも再質問を行うことは事前に通告し、与党もそのことを承知しているにもかかわらず、実質的にそれを拒否する態度を取ったこと自身が問題にされないとなりません。

同時に、議長が注意したことにも、一国の総理大臣が馬耳東風(の態度)ということになると、先ほど申し上げたように、議会全体と小泉内閣総理大臣との関係の問題になるわけですから、そうしたことは議運の場でしっかり議論していかなければならないと思っています。

同時に、我が党としては予算委員会その他で、この問題について、総理が考え方をしっかり改めるまで、何度でも質問していくということになる、追及していくことになると思います。つまり、日本の民主主義に関わる話ですから、それを揺るがせにはできません。そう考えています。

再質問・再々質問のルール作り

【記者】与党側の一部で再質問、再々質問については一定のルールが必要ではないかという議論がありますが、一方で聞くところでは、民主党でも同じようなルール作りが必要との考えがあったようですが、それを含めて、一定のルールがあったほうがいいということについて、お聞きしたいと思います。

【代表】それは、これから議論は否定するものではありません。委員会の場と本会議の場で、どう役割分担するのかと。かつては本会議場で、全くの自由討論をしていた時代もあるわけです。そして、小泉総理自身も党首討論について、本会議場で行おうと提案も、つい最近されていました。

こうした再質問について、時間は全体の時間の枠の中でという制約を現在かけていますが、それ以外に、何らかのルールをつくることについて議論することは、我々は後ろ向きではありません。しかし、その議論はあくまでも、国会を活性化するという視点での議論でなければならないと思います。

同時に、これからルールを変えるということが、今回のことを正当化するものではありませんから、これからの話と今回の話とは全く別であります。そのことは、はっきりと申し上げておきたいと思います。

社会保障制度全般の見直し

【記者】年金問題の集中的な審議についてお聞きします。総理の答弁では、社会保障制度全般に絡む話だという言い振りだったと思うのですが、民主党としては、年金だけでなく、介護や医療も含む集中的な審議でも構わないとお考えか、お聞きします。

【代表】ここは議論が分かれたところ、今回の代表質問で多少中身のある議論ができたとすれば、この部分なのですね。他はほとんど役人答弁をそのまま読んだだけだったと思います。

そういう中で、私が申し上げているのは、全部一緒に議論するというのは、結局は全部先送りすることになりかねないと。だから、まず年金を固めるべきだということを申し上げているわけです。我々は基本的にそう考えています。

ただ、だからといって、そういうこともひっくるめた議論をすること、つまり、どういう順番で議論すべきかということ自身も決着しないと集中的な議論に入れないということではないと私は思います。

介護・医療への消費税投入

【記者】総理の答弁の中で消費税についての発言があったと思うのですが、総理は年金だけでなく、介護や医療についても、社会保障全体の中で消費税を考えたほうがいいのではないかと発言されていたと思うのですが、代表としては、年金を最初にやったほうがいいということは分かるのですが、介護保険や医療制度についても消費税を投入してもいいのか、その点についてどのように考えるかお伺いします。

【代表】それはこれからの議論です。消費税を導入というときに、単に財源として消費税を当てにするという意味で私は申し上げているのではなくて、目的消費税のようなものを考えているわけです。そういう意味で議論しているわけです。

我々は年金目的消費税ということは言っていますが、介護保険や医療制度について同じようなものを考えるのかといったときに、私は例えば、介護保険は運営主体が国でなく市町村や広域化した地域でありますから、なかなか消費税という議論には馴染みにくいだろうと、個人的には思っています。党の中には全体を消費税で、という議論があることは承知していますが。

あとは高齢者医療ということになると思いますが、私の代表選挙に出るにあたっての政策である「2015年、日本復活ビジョン」では、高齢者以外の医療はそれぞれ独立採算的に運営できると。拠出金制度は廃止して、高齢者医療は独立した制度にする。そのときに消費税を導入するということになると、ある意味で逆に痛みが分からなくなって、制度の歯止めがなくなってしまうので、むしろ一般財源の中で見たほうがいいのではないかと主張しているところです。しかしこれは、これから党内で議論する、そのことを否定するものではありません。

補正予算の賛否

【記者】補正予算の賛否については、明日の『次の内閣』閣議で議論することになると思いますが、党としては被災者再建支援法改正案を提出している立場があり、代表自身は補正予算の賛否を決めるにあたっては、どういう観点で判断すべきだと思っていますか。

【代表】被災者再建支援法については、私は補正予算が上がるまでに目途をつけるべきだと基本的に考えています。これは補正予算の中身にも関わる話ですし、いま、このことを決めずして、例えば新潟で苦しんでいる人たちに対してメッセージを送るチャンスですから、それをみすみすなくしてしまうということは、私は政治家としていかがなものかと思っています。だからこそ、これは与野党一致で作ろうということを代表質問でも申し上げたわけです。

この話と補正予算とは絡まります。したがって、私は明日、直ちに賛否を決めるのではなくて、被災者支援法の議論がどうなっていくのかを見極めながら、ぎりぎりで決めることになると思います。

国会議員年金の一元化

【記者】先ほどの年金の質問に関連して、議員年金の問題について、今日の江田五月議員の質問にもありましたが、一元化してから廃止とおっしゃっていたのですが、一元化の前に議員年金を廃止してから、そういう形に目指すという考え方もあると思うのですが、それについて代表のご見解を伺います。

【代表】これは率直に言って、なかなか難しい問題ですね。一元化というときに、我が党がマニフェストで掲げた一元化、これは国民年金を含む一元化の中で解決していくという方向性を出しています。

一方で、この前の有識者の案は、公的年金の一元化の中で考えると言われているわけです。私は「公的年金の中で考える」というのは、ちょっとよく分かりにくいのですが、我々も国民年金に入っているわけで、そこに上乗せ部分のような形で一元化していくこともあり得ると思いますので。したがって、その辺の議論の整理が必要です。それが1つ。

もう1つは、いつ一元化が実現するのかということを考えたときに、それまで何もしないのかというと、それでは私は許し難いことだと思いますので、経過的なものとして有識者の結果をたたき台にして、私はあれで十分でないと思っているのですが、議論のたたき台にはする。

そして、早く結論を出すということにするのか、それとも完全なものを求めて、多少時間がかかったとしても、議論をしっかりしていくのか。そのあたりについて、党の中で方向性を決めなければいけないと思っています。まだ、その結論は出していません。

女性天皇の是非

【記者】皇室典範の有識者の会議に関連してお聞きしたいのですが、女性天皇を認めるかどうかというのが最大の焦点だと思いますが、この点についてどう思われますか。

【代表】これについては我々はすでに、参院選のマニフェストにおいて、女性天皇を認めるべきだということは申し上げています。

【記者】では、女系を認めることはどうでしょうか。これは万世一系の伝統に反するという批判もありますが。

【代表】ここは1つの大きな論点です。ですから我が党としては、まだ結論を出していません。これからしっかり議論していかなければならないと思います。

これは、我が国の象徴である天皇制の根幹に関わる問題ですから、いま私がここで自分の意見を言うよりは、しっかりとした議論をして決めていったほうがいいと思います。

【記者】靖国参拝など、こうした政府の有識者会議は、方向性が見えずたなざらしになることが多いのですが、今回の有識者会議の件についてはどのように考えますか。

【代表】私は今回の有識者会議のメンバーの1人ひとりをあまり見ていませんけれども、しかし、やはり結論を出していただきたいと思いますし、その結論は1つの議論のスタートになり得るものだと思います。それをすべて受け入れるというものではありません。

しかし、社会的にも認められたそれぞれの専門的な方々が深い議論をしていただくのであれば、それは大いに参考になるわけです。これはゆっくりできないわけです。時間というものがありますから。

そういう意味で、有識者に結論を出してもらって、それをスタートにして、きちんと政治の場で議論するということだと思います。

ただ、もう1つ申し上げておきますと、先ほど申し上げた、ある意味で次の天皇は誰かを決めることに直結する問題ですから、あまり政党間でA案・B案と分かれてしまうということは望ましくありません。

したがって、有識者の結論が出るのとほぼ並行して、与野党で方向性について非公式に議論していくことが望ましいのではないかと思っています。そのことが国民から見えなくなるということは避けなければなりませんが、あまりA案・B案で対立して最後は多数決で、ということは好ましいことだとは思っていません。

プリペイド携帯の本人確認

【記者】法案の関係ですが、プリペイド携帯について本人確認を義務付ける法案を、今国会で提出し成立させるということで与党と合意したという報道がありますが、これまでの経緯と現在の法案の準備状況についてお聞きしたいのですが。

【代表】申し訳ございません。そういうご質問ですと、仙谷政調会長にお聞きいただければと思います。代表がそこまで言う問題ではないと思います。

北朝鮮人権法案

【記者】北朝鮮人権法案について、これも同じく党内で法案化作業が進められていると思いますが、今後与党と足並みを揃えて対応されるのかどうか、どのように進められるのか、教えていただきたいと思います。

【代表】法案の中身はこれまで中間報告がされていますが、確か明日の『次の内閣』閣議のテーマになっていると思いますので、与党との関係も含めて、そこで議論することになると思います。

ただ私は、恐らく与党の考えているものとは方向性が若干違うようにも聞いていますので、そこは中身を見極めて考えていけばいいと思います。

海老沢NHK会長の辞任

【記者】NHKの海老沢会長が、まだ正式には発表していないのですが、辞意を固め、間もなく記者会見で正式に発表されるようですが、これについてのコメントをいただければと思います。

【代表】私は、もっと早くはっきりと辞めるということを言われたほうが良かったと思っています。

【記者】その理由は?

【代表】数々の不祥事について、トップとしての責任をきちんと取るべきだったと思っています。

【記者】番組改変問題をめぐって、国会で取り上げる形になるかと思いますが、会長辞任によって、その方針について変わることはありますか。

【代表】それは関係ありません。この問題は、総理は今日、他人事のような答弁をしていましたが、もちろん、朝日新聞社とNHKとの間でも議論になっているのですから、その真実がどちらにあるのかということは国会でも関心があることですし、単なる関心というよりも政治的圧力があったのかどうかが本質の議論ですから、私は、NHKは直前に中身を変えているということについて、きちんと説明する責任があると思います。

そのときに、前会長に対してもお聞きするということは、あるかもしれません。まだ現段階で、あるとかないとか言うべきでないと思いますが、会長が辞めたからといって、ではもう聞かなくていい、ということにはならないと思います。

被災者生活再建支援法改正案

【記者】被災者生活再建支援法について詳しくお聞きしたいのですが、いまの代表の発言や今日の役員会のブリーフを聞くと、被災者生活再建支援法の徹底した議論なしに、あるいは採決なしでは、補正予算に賛成することはないと考えていいのでしょうか。

【代表】私が先ほど申し上げたとおりです。最終的な賛否については、ぎりぎりのところで決めると。それ以上でもそれ以下でもありません。

【記者】代表が自ら法案を出したということで、あまりあり得ないことだと思うのですが、考え方を整理すると、予算措置も関わる法案を徹底審議せずに賛成するということは、今のお話から考えると、ないというふうに受け取れるのですが。

【代表】被災者生活再建支援法の予算措置は、補正予算で行うのが筋だと思いますが、来年度予算でもできないわけではありませんから、そういうことも含めてトータルで判断していく問題だと思います。現段階では、私は賛成とも反対とも申し上げるつもりはありません。

【記者】議論の状況を見て、といった場合に、改正案が委員会に付託される、あるいは審議入りするということが、補正の賛否の条件になるというふうにお考えなのかお聞きしたいのと、予算絡みであることに関して、本予算案の対案に盛り込むとか、あるいは補正の組替要求などを出すお考えがあるのか、お伺いします。

【代表】そういったことが、これからの議論によっていろんなバリエーションが出てくるということです。私は、「議論を見て」と言ったのは、被災者生活再建支援法の議論だけではありません。これから補正予算について審議が始まりますので、補正予算の中身についても当然議論するわけで、そうしたことをトータルでひっくるめて、ぎりぎりの場面で決めるというのは、私は普通だと思うのですがね。審議にまだ入っていないのに、今から賛成とか反対とか決める話ではないと思います。

1月18日

○通常国会:総理は国民を見て答弁を

○阪神・淡路大震災10周年式典に参加、その傷の大きさを改めて感じた

○郵貯・簡保は民営化が筋だが、政府にはその道筋をしっかり示す責任がある

○自民党:パイを分配するモデルを乗り越える新しいモデルを構築できていない

○小泉政権3年9カ月:これだけ長く続けて成果がないのに支持率が高いのは驚き

○福岡補選:山崎拓氏は強敵だが平田候補の下で結束して戦うことが大事

○集団的自衛権を憲法で幅広く認めれば侵略戦争を禁じただけの普通の国

○集団安全保障基本法:もう少し何度か議論されたところで中間報告を受けたい

○国民投票法:提出を認めないという立場には立たない、中身の検討に入る

○19日に政権戦略委員会を開催、政権獲得前と獲得後の2つを議論していく

○整備新幹線:公共事業の余地がトータルでどれくらいかを前提に議論すべき

通常国会開会にあたって

【代表】まず1つは、今週からいよいよ国会が始まりますので、先週の『次の内閣』における合宿、そして明日の『次の内閣』でのさらなる議論を踏まえて、大きな問題について方向性をしっかり出したうえで、国会の論戦に臨んでいきたいと思います。私も代表質問をすることになっていますので、小泉総理がどういう話を施政方針演説の中で言われるかを踏まえ、しっかりとした質疑を行っていきたいと考えています。

総理には是非、今年こそはしっかり答えてくださいと。すれ違い答弁も結構ですが、議論というのは勝ち負けの話ではありませんので、国会というのは国民が見て理解するための場であると思いますから、私に対してすり替えの議論をするというのではなく、国民に分かりやすい議論をすることを、是非心がけててもらいたいと思っています。

私も何度も言いますが、批判のための批判という態度ではなくて、しっかりと中身のある議論を行っていきたいと考えています。

阪神・淡路大震災10周年式典

【代表】それから昨日、神戸で阪神・淡路大震災から10周年ということで、式典に参加してまいりました。その前には2キロほどですが、市民の皆さんと一緒に現地を歩いてまいりました。表面上は非常にいろいろな意味で、建物も新しく建ち、10年間でかなり復興が進んでいる印象を与えますが、しかし式典の場での遺族代表の方の話を伺うと、やはりその傷跡は癒えてないといいますか、ご本人はそれを乗り越えたとおっしゃっていましたが、その傷の大きさというものを改めて感じさせられるメッセージだったと思います。

考えてみれば昨年は、台風の影響や新潟の地震もありましたし、スマトラでの地震・津波もあり、災害が相次ぎました。多くの人命が失われたわけで、やはり人の命の重さについて、改めて考えさせられる1年だったと思います。そうした命の大切さというものをベースにして、政治家としてしっかりと諸課題に取り組んでいかなければならないと考えています。

<質疑応答>

郵貯・簡保の民営化

【記者】代表は従来から郵政改革に関して、郵貯・簡保は民営化が筋だと言ってきたと思うのですが、今日の講演で代表ご自身も指摘されていたように、いくつかの問題点があると思います。ついては、党として対案をまとめる段階で、将来的な郵貯・簡保の民営化は前提としないという理解でいいのでしょうか。

【代表】私は何度も申し上げていますように、郵貯・簡保については金融機能であって、民間でできることですから、民営化が筋であると考えています。

ただ、その「民営化が筋」というときに、そこに到達するだけの道筋が示されなければ大きなマイナスになるわけで、まず政府あるいは小泉総理のほうで、その道筋をしっかり示す責任があるということを申し上げているわけです。そこが描けないなかでやみくもに民営化するということになれば、今日も指摘しましたが、いろいろと極めて重大な問題が発生するということであります。

やや先ほどの講演の繰り返しになりますが、1つは350兆円という資産を民営化するということは、民間の責任で運営するということになりますが、その能力が果たして十分に備わっているのか。国民の重要な資産でありますから、運用を誤るということになれば、それは国民の被害に直結するわけであります。その能力の問題が1つ。

逆に言いますと、すでに多額の国債を抱えている郵政公社が、民営化して自由に運営するということは、場合によっては国債を売るという自由を当然与えられることになるわけで、そのときの国債の引き受けを誰が行うのか。

あるいは、財政再建の道筋が描かれて国債発行額が減っていくというところに持っていけるという道筋がなければ、国債価格の暴落ということも予想されるわけで、それに対する懸念があるわけです。

3番目は、民営化で自分の能力で運営していくことになった場合に、これは圧倒的に大きな金融機関が生まれるわけです。日本の代表するメガバンクの数倍規模のものが出てくることになります。それを運用していくということになれば、これは金融資本ですから、独占的金融資本がマーケットの中で自由に動くということになったときに、日本の経済全体あるいは産業に対して、あるいは国民生活に対してどういう影響を及ぼすのかということについても、きちんとした答えが必要であると思っています。

そういうことを考えると、まず規模をしっかり縮小していくことが前提でなければならないと思います。規模を縮小するといっても、半分であったとしても非常に大きな規模ですから、縮小だけでは足りませんが、そうしたことについてのきちんとした道筋がないままに、やみくもに民営化することになれば、それは致命的な混乱を招く可能性があるということです。

したがって、そうしたことについての答えを、まずしっかりと政府が用意する責任がある。そのことが民営化の前提となるということであります。

自民党大会

【記者】今日、自民党大会が行われ、小泉総理は郵政民営化について不断の改革をすべきと言っていましたが、党大会に合わせてお伺いしたいのですが、現在の自民党についてどう見ているか、総論で結構ですので見解を教えてください。

【代表】自民党モデルというのは、高度成長期を前提にして、そのパイの分配ということで成り立ってきた政党であると思います。高度成長期にはその分配すべきパイも大きなものがありましたから、ある意味では国民全体がその利益を享受することができた時代もあったと思いますが、今はそういう時代ではありません。

したがって、特定の利害関係者にパイを分配する利権構造になっているということです。それを乗り越えるだけの新しいモデルを構築しなければ、将来はないと思いますが、今の自民党がそうした新しいモデルを構築できているとは全く思っていません。

もし、そうしたモデルを構築できているのであれば、先の国会で議論になった迂回献金の話とか1億円の問題についても、もう少しまともな対応が出てきたはずだと思っています。

小泉政権3年9カ月の評価

【記者】今の質問に関連して小泉政権の評価についてお聞きしたいのですが、1つは3年9カ月間の長期政権になっていますが、それだけ総理を続けている小泉さんの強さとは何かについて、もう1つは3年9カ月間の政治手法についてどのように評価しているかについてお伺いします。

【代表】なかなか難しい質問だと思いますが、これだけ長く続け、かつ成果がないにもかかわらず支持率が高いというのは、ある意味で驚きですね。国民の皆さんがどう判断しておられるのか。

最近までは「この人なら何かやってくれるだろう」という期待感がまだ残っていたということだと思います。しかし、さすがに道路公団改革や三位一体改革を見て国民の期待も薄れつつあって、そういうことが決定的になるのが今度の国会ではないかと思っています。

もう1つは、今までの政治家にないスタイルを持っていますので、そうしたところが新鮮に映ったのではないかと思います。

小泉スタイル

【記者】今までにないスタイルとは、代表から見てどういうスタイルを指して、どのように評価していますか。

【代表】いろいろ違うスタイルはあります。派閥のトップであったにもかかわらず、そうした雰囲気を出さないというか、一匹狼というところ。あるいは太っていない(笑)とかですね、今までの政治家とは違いますよね。また、若干自由人であるかのような振る舞い。そうしたことが非常に新鮮だったのではないかと思います。メディアもそのように国民に対してメッセージ発信したということもあると思います。

もう1つの特徴は、メディアへの接し方が非常に上手だということです。首相官邸で毎日開かれる定例の会見なども、こうした私の行っている会見とは全く違うものであります。

私の行っている会見は、例えば外国メディアや週刊誌も出入り自由ですが、小泉総理の行っているものは限られた記者会だけであります。しかも、何を質問するかは予め概ね分かっていて、当然それにどう答えるべきかを用意したうえで会見に臨み、短時間で切り上げています。

そうしたやり方は今まであまりなかったし、ある意味ではこれまでメディアで認めてこなかったものが、小泉総理になってそうしたことがまかり通り、国民から見ると、そうした前提が変わっているというのは分かりませんから、非常に総理の答弁が上手く聞こえる部分があると思います。そういうところについては、もう少しメディアも含めて、あり方について考えるべきではないかという意見を持っています。

憲法改正に関する日本経団連の報告書力

【記者】日本経団連が憲法改正に関する報告書をまとめ、発表しているのですが、財界からも憲法改正の考え方が出てくることについてお伺いしたいのと、その中身について、集団的自衛権行使を認めることや憲法9条2項が現状から乖離しているという見解を出しているのですが、これについて代表はどのようにお考えでしょうか。

【代表】私はまだ実物を見ていないのでコメントしづらいのですが、個人であれ、いろいろな団体であれ、憲法について意見を自由に述べられればいいと思いますし、日本経団連としてそれをきちんと集約されて言われているのなら、経済界を代表する日本経団連ですから、それなりの重みを持ったものだと思っています。

ただ、例えば集団的自衛権の問題についてどの範囲で認めているのか明確ではありませんし、もう少し私としては日本経団連の意見を聞きたいと思っています。

若干そういう意味で、中身についてコメントすることは、ここでは避けておいたほうがいいのではないかと思います。

衆院福岡2区補選—-山崎総理補佐官の公認決定

【記者】衆院福岡2区の補選で、今日、自民党が山崎拓総理補佐官の公認を事実上決定したのですが、改めて山崎氏とどのように戦うかお聞かせください。

【代表】山崎さんが出てくることは分かっていましたので、改めて特に申し上げることはありません。強敵ですが、国民は新しい政治を求めていますので、平田候補の下でしっかりと結束して戦っていくことが非常に大事だと思っています。

限定的な集団的自衛権

【記者】先ほどの日本経団連の関連ですが、経団連のペーパーでは、集団的自衛権に関して行使できる旨を憲法上明らかにして、一方で国会での事前承認を原則として、限定的かつ歯止め措置を整える必要があるという表記になっているのですが、限定的に集団的自衛権を考えて憲法上行使できる旨を明記することは、岡田代表の集団的自衛権に関する考え方と相違があるのかお伺いします。

【代表】集団的自衛権は党内では議論中で、私の個人的意見ということになりますが、憲法上集団的自衛権そのものを認めたうえで国会承認や法律で制限する考え方はあり得ると思いますが、私の考え方は違います。

集団的自衛権を憲法上幅広く認めることになりますと、それは憲法の掲げる平和主義の関係の説明が必要になってくる。つまり、武力行使をする際に、侵略戦争を憲法上認めている国はないと思います。

そうであれば、侵略戦争以外の武力行使というのは、集団的自衛権の行使か集団安全保障における武力行使しか考えにくいわけでありまして、集団安全保障について日本経団連がどういう意見を考えているか分かりませんが、集団的自衛権まで憲法上で幅広く認めることになると、これは普通の国の憲法ということで、平和主義をことさらに重視する視点からは、やや違うものになると思います。

そのことを率直に言ったうえで議論を展開されるならいいと思いますが、その辺がどうなっているのかという感じがします。

もう1つ、我が党の考え方に沿って申し上げますと、集団的自衛権というのは国連憲章上認められた権利でありますが、憲章上は国連の行う集団的安全保障の前段階として正当化されているものであります。ですから拒否権が発動されて、集団的な安全保障が働かないことが事実上はっきりしている中で集団的自衛権を認めることは、国連憲章で予定していない発動の仕方になると。そういう視点も考えていかなければならないと思っています。

集団安全保障基本法案

【記者】今日、総合安全保障調査会で、各種安全保障についての議論が始まったと思うのですが、その中で集団安全保障基本法を党としてお出しになるということですが、どのように意見をまとめていくか、代表としてはどのようにお考えか、お聞かせください。

【代表】まだ政調会長とも具体的な進め方について議論していません。ただ、集団安全保障基本法について制定する前提の中で調査会をスタートさせたと理解していますので、もう少し議論が何度かなされたところで、中間的な報告を政調会長あるいは安全保障担当大臣である前原ネクスト防衛庁長官からお聞きしたいと思っています。今のところ何か方向性を示しているということではありません。

国民投票法案

【記者】先ほどの講演の中で、憲法の国民投票法案について出すことを前提に中身を集約すると。政府案が出てくるなら、それに対する対応を、という言い方をしていたのですが、これは修正協議や与党との共同提案なども視野に入れての発言なのでしょうか。

【代表】与党案がどのようなものとして出てくるか分からない段階で、修正協議とか共同提案という議論にはならないと思います。与党は与党でしっかりとまとめていただきたい。我々は我々の考え方をまとめると。

その上で中身について、かなり共通点が多いものなのか、全く違うものなのか、状況を見極めて、その後のことは考えていけばいいと思っています。ただ、出すことを認めないという立場には立っていません。中身次第ということです。

【記者】(手続法について)今度の通常国会中にも民主党の法案をまとめて出すというお考えでいいのでしょうか。

【代表】与党がお出しになるというのであれば、民主党がそれとは別に出すのか、先ほどおっしゃったようなことになるのか、それは中身次第だということです。

私は一番初めに申し上げたように、急がなければならない理由もないが出してはいけない理由もない、ということですので、与党が出すのであれば、それに合わせてこちらも準備しなければならないということです。

憲法の中身とは別の話ですので、今の憲法でも規定されている改正について、その手続きを定めるということについて、後ろ向きになる必要はないと思います。

政権戦略委員会

【記者】今朝の常任幹事会で、明日、政権戦略委員会の会合を開くという話がありましたが、当面どのような指示を出されるのか、どのような展開になっていくのか、お考えをお聞きします。

【代表】明日、石原信雄氏(元官房副長官)を呼んで、長く官邸におられた方ですから、その経験もお聞きしながら議論がスタートするわけです。

いつか申し上げたと思いますが、政権を取ったあとの運営の問題、明日はそこが中心になるかと思います。それから、政権を獲るために何をいつなすべきかという問題。この2つの問題について議論していくことになります。

政権を取るまでの話というのは、事柄の性格上、あまり外に向かって発信していくものではなくて、委員間でしっかりと共通認識を持つ。そして、共通認識ができれば、それを役員会や常任幹事会も含めて広げていくということだろうと思っています。

取ったあとの話は、今まで我々は何度か、政権を取ったあとに何をすべきかという議論を行っており、成果物もあります。それをたたき台にしながら、よりリアルに、現実に政権を取った前提に立って見直しをしていくということだと思います。

整備新幹線

【記者】整備新幹線についてお伺いします。先ほどの講演の中で、代表は財政再建の観点から、来年度の整備新幹線予算の付け方に対して懐疑的な見方を示されましたが、民主党として今後、公共事業でなく、整備新幹線についてそうした考え方をマニフェストに盛り込んで前面に出すようなお考えがあるのかお伺いします。

【代表】私は整備新幹線にしても、高速道路にしても、空港、港湾にしても、大規模な公共事業について、トータルでどのくらいの余地があるのかについて、常に前提にしながら議論すべきだと思っています。

今日の講演でも申し上げましたが、やがてGDP比で見れば公共事業の額は今の半分程度に持っていかないと、それでも国際的には高いのですが、財政は破綻に向かっていくと思います。そういう前提で、しかもすでに投資されたもののメンテナンスや補修も一方で必要になるわけですから、新規に投資できる余地は、そう大きくありません。

それを、例えば地震のための防災に投入するのか、あるいはより生活に密着した道路とか学校施設に投入するのか、あるいは今言った新幹線や大型の港湾や空港に投入するのかと。それは選択ですから、そういう次元で判断しないと、結局すべて中途半端になりかねないと思っています。そうしたことについて、さらに党内で進めていく必要があると思います。

1月11日

○スマトラ地震:極めて重要な問題、与野党の枠を越えて政府を後押ししたい

○パレスチナ自治政府選挙:アッバス新議長の下、和平の進展を期待したい

○通常国会に向け越後湯沢で『次の内閣』合宿を開催し泊まり込みで議論

○政治とカネ:前国会では中途半端な終わり方、今国会の極めて大きなテーマ

○国民投票法:制定を急ぐべき理由はないが、やってはいけない理由もない

○民主党予算案は、政権を取ったときこういう予算を組むときちんと伝わるものに

○警察による性犯罪者の住所確認:それ自体慎重に考えねばならぬ必要はない

○年金協議:代表質問でも再度考え方を示すが、ボールは総理のほうにある

○補選での社民党との協力:大局的観点から民主党候補への応援を

○ポスト小泉:誰でも強敵、しかし誰が出てきても必ず政権を取るという決意

○郵政改革の党内意見集約は、政府・与党の考え方が1つにまとまったときに

スマトラ沖大地震への対応

【代表】それでは、今年初めての定例会見を始めたいと思います。伊勢神宮で最初の会見を行っていますが、こういう形での会見は今日が初めてであります。

年が明けまして、今年は党大会でも申し上げたように、民主党にとっては政権交代へ向けてしっかりと土台を築き上げる重要な1年だと思っています。国会の日程も21日スタートということで決まりましたが、しっかりとした対応ができるように準備を進めていきたいと思っています。

私から特に申し上げることは、1つはスマトラ沖の地震ですが、大変な状況であることが明らかになりました。今日、党に設置した対策本部も開催しましたが、もちろん野党として私たちにできることには限りがあることとは思いますが、こういう極めて重要な問題について、与野党の枠を超えて、政府がしっかりと対応できるように、我々も後押しをしていきたいと考えています。

パレスチナ自治政府選挙とアッバス新議長の選出

【代表】それから、パレスチナ自治政府の選挙が行われました。アッバス新議長の下で、しっかりとした和平の進展があることを期待したいと思っています。

私自身、パレスチナにおける選挙、これは議員の選挙ですが、小渕団長の下、選挙監視団に参加した経験があります。あのときも、これで和平が進むという期待感に溢れた印象を強く受けました。投票所に最初に足を運んだお年寄りの方が、涙を流して「これで良くなる」と言っていたのを思い出すわけですが、今度こそパレスチナ・イスラエル間の和平交渉が進展することを強く期待したいと思いますし、日本としてもそのためにしっかりとした役割を果たしていくべきだと考えています。

通常国会への対応

【代表】国会対応につきましては、具体的には政策についての党の考え方を方向付けることが当然ながら急がれますので、今週、久し振りに合宿を開催して、越後湯沢で泊り込みで議論することになっています。重要なテーマが目白押しでありますので、党の中で議論をして、それに基づいて代表質問に臨みたいと考えています。

<質疑応答>

「政治とカネ」への取り組み

【記者】国会対応ですが、「政治とカネ」など、何か重要な材料をお持ちのうえで臨むということなのでしょうか。

【代表】個別のことはこれからです。ご質問の趣旨は、「政治とカネ」について特別な新たな材料を持っているかということですか。

【記者】「政治とカネ」が1つのテーマだとお聞きしているので、どのような点で突っ込まれるのか、もう少し具体的にお聞きできればと。

【代表】それはこれからですね。もちろん、前国会で「政治とカネ」の問題は極めて中途半端な終わり方になっています。我々としても中途半端な形で政治資金規正法の改正となると、結局、迂回献金については何も入らないまま政府案が通ってしまうことも予想されましたので、むしろこの通常国会に議論の場を持ち越して、ここでしっかりとした議論するということを考えたわけで、今国会における極めて大きなテーマとして「政治とカネ」の問題に対応していきたいと思っています。

政府側も、かつてのリクルート事件のときに、あれだけ政府・与党側も深く反省し、いろいろな改革案を自ら出したという経緯がありますから、前国会の小泉総理の答弁を見る限り、全く逃げの答弁に終始しているわけですが、ここは政治と国民の関係、国民の政治不信をいかに解いていくかという観点に立って、しっかりとした対応を小泉総理の側にも求めたいと思っています。

国民投票法案

【記者】先のNHK「日曜討論」で、憲法改正について、より重大な問題があるとおっしゃっていましたが、それに関連して、自民・公明両党が国民投票法案をかなり具体的に今年中に制定しようとする動きが出ていますが、この動きについて民主党がどう動くのか教えてください。

【代表】この点もまだ党の中で結論を出していないので、私から先取りして言わないほうがいいと思いますが、国民投票法案、手続法ですが、そのこと自身を急がなければならない理由もありませんが、かといって、それをやってはいけないという理由もないと思います。

民主党予算案

【記者】明日の『次の内閣』閣議のテーマの中で、党の独自の政府予算案の協議も大事なテーマかと思いますが、聞くところでは今回で3度目で、2月にはまとめたいという話なので、とりあえず明日は財政規模や国債発行額や社会保障など民主党独自の面を出すものがいくつかあると思うのですが、今の時点で代表としてこういうものを作っていきたいというものがあればお聞かせください。

【代表】ご存じのように、国会は補正予算案の審議が先に来ますから、そういう意味で本予算の審議は予算委員会では少し後になるわけです。そうしたことも考えると、今週中にすべてを決めるというタイミングではないと思っています。明日、政調でどのような提案があるかを見定めて議論したいと思っています。

すでに2回出していますから、その継続性も重要視しながら、しっかりしたものを作っていきたいと思っています。今、具体的なアイディアをここで申し上げる準備をしているわけではありません。これから政調から示されて議論するということです。

ただ、民主党が政権を取った場合に民主党ならこういう予算を組む、ということがきちんと伝わるような予算案にしたいと考えています。

年金協議の展望/警察による性犯罪者の住所確認

【記者】2点伺います。1点目は年金の問題ですが、今年も引き続き大きなテーマになるかと思いますが、今は非常にもつれた状況になっていますが、民主党のほうからもつれた糸を解きほぐそうというお考えがあるのかお伺いしたいのと、もう1点は別件ですが、性犯罪者の再犯防止策で住所の確認を警察が行おうということについて、今日、小泉総理が「必要なことだ」と記者団の質問に答えていましたが、代表ご自身はどのようにお考えかお聞きします。

【代表】後のご質問からお答えしますと、基本的に総理と同じというふうに考えていただければ結構だと思います。

その情報を、諸外国のように一般に公表するということについては、かなりの議論が必要な問題だと思いますが、警察がその情報を持っているということについて、それを慎重に考えなければいけないという必要はないと思っています。

これは、かつて犯罪を犯した人の人権と子供たちの安全とのバランスの問題ですが、私は子供たちの安全というのは命に関わる話ですから、それに対して一定の配慮をすることは当然のことだと思っています。

もちろん、(情報が)乱用されたり外に出ないような、慎重な配慮ということは、もちろん当然のことであります。

それから前者の問題は、先の国会での代表質問を含めて、私としてはボールを投げ続けているつもりですが、それには全く答えずに「3党合意」ということで、こちらのいろいろな思いが通じなかったというのが、参院選終了後、私の率直な感想です。本当にやる気がないのではないかと思わざるを得ないような対応が続いたと思っています。

しかし、この問題は非常に重要ですから、特に年金問題について、我々の認識では、現在の案では持続可能ではないと思っています。与党の中にもそういう認識があるというふうにも聞きますが、そこも含めてはっきりしていません。

参院選のときの総理との議論では、まさしく抜本改革が必要だと言っていたのですから、現行案では持続可能ではないということを当然前提に立って、参院選のときに総理も議論をされていたはずで、もう一度そうした視点に立ち帰って、きちんと議論しようということを総理自らがはっきりとおっしゃるのであれば、私は与野党の間で議論する、これは議論する場は国会だと思いますが、その道は開けてくるのだろうと。そういう意味で、球は総理のほうにあるというふうに思っています。

前回の代表質問では、いくつかの提案を申し上げたわけですが、また同じようなことになるかもしれませんが、次の代表質問でも、年金について、私なりの考え方はしっかり示したいと思っています。それに対して総理はどう答えるかというのは、それは総理に球があるということです。

福岡・宮城の補選における社民党との協力

【記者】補選についてお伺いしますが、社民党との選挙協力について、話し合う用意があるのか、もしくは民主党からお願いするのか、何らかの動きがあるのか教えてください。

【代表】まだ具体的にそうしたことについて、党と党の間で話をしていないと思いますが、私は今回の補選を見たときに、失礼ながら、社民党が候補者を立てられたからといって、その候補者が当選する可能性は少ないことは、客観的に明らかだと思います。

むしろ候補者を出せば自民党に有利になるという状況の中で、是非とも大局的な観点から、民主党と社民党が協力する、逆の言葉を使えば、民主党の出した候補者に対して社民党が応援していただくということが、大局的な観点から見れば望ましいことだということは、是非ご理解いただきたいと思っています。

そうした話は福島党首には私のほうから直接しているところです。

【記者】具体的に2つの補選選挙区をイメージしていらっしゃるのか、それとも福岡についてでしょうか。

【代表】状況は同じですから、いずれもということです。なるべく社民党のご理解をいただきたいと思っています。

【記者】その旨を代表から福島党首に話をしていると?

【代表】しているといいますか、少し電話でそういう話はしました。今、候補者を立てるということよりは、一緒になって小泉自民党政権に対して、はっきり「ノー」と突きつけるいいチャンスなので、協力していただきたいということは申し上げています。

【記者】先ほどの質問に関連してですが、電話での要請に対して、福島党首の回答を教えていただけますか。

【代表】電話での回答ですから、私がここで言うのは適切ではないと思います。福島さんに聞いてみてください。

「ポスト小泉」としての安倍氏

【記者】一昨日のテレビ番組で小沢副代表が、岡田代表の難敵として自民党の安倍幹事長代理の名前を挙げていましたが、代表自身はポスト小泉の候補として安倍幹事長代理は強敵になるとお考えでしょうか。

【代表】誰でも強敵です。つまり、政権を取るということはそう簡単なことではありません。安易な気持ちで考えているわけではありません。しかし、誰が出てきても必ず政権は取るという決意は持っています。

「自民党をぶっ壊す」と言って登場した小泉総理の今の状況を見れば、どなたが出てきても自民党の政権では、今まで自民党がやってきたことを大きく変えることは無理だろうと思っています。そのことをしっかり訴えて戦っていきたいと思っています。

郵政改革への党内意見集約の目途

【記者】政府は「郵政民営化実現内閣」と位置付けていますが、民主党はまだ郵政改革に関する考え方はまとまっていないと思うのですが、これはいつ頃、どのような見通しでまとめていくおつもりでしょうか。

【代表】これは政府とおっしゃいましたけど、政府は与党と一体のはずですが、政府と与党との調整は全くできていませんので、政府・与党が本当に1つにまとまって考え方ができたとき、それを1つの目途にして党内議論を集約していきたいと思っています。

今のところ、政府の言っていることと与党の言っていることが全く違っているわけですから、そうした中で、小泉総理自身の主張もはっきりしていないわけです。何のための民営化なのかに対して具体的な答えはありませんから、もう少し考え方を整理されて、まとまったところで、それを目途に私たちの意見を集約していきたいと思っています。

補選・都議選選対本部への小沢副代表の参加

【記者】補選と都議選の総合選対本部が近く立ち上がるかと思いますが、小沢副代表を今回総合選対本部に入れて、メンバーとして力をお借りしたいというお考えはあるのでしょうか。

【代表】まず、選対本部の構成については、具体的な議論を役員会でもしていませんので、現段階では白紙です。だいぶ報道が先走りしているようですが、何も決めているわけではありません。

党シンクタンク構想

【記者】昨年、シンクタンク構想を伺ったのですが、現在の進捗状況、かつてあったシンクネットとの違い、政調との連携の仕方、外部組織なのかどうか、資本金の規模とか、そこの辺りを教えてください。

【代表】少しまだ党の中で検討チームの皆さんに中身を議論してもらっているところで、まだ私のほうまで報告が上がってきていません。近々聞こうと思っていますが、したがって現時点で申し上げることは特にありません。

ただ、できれば法人格をきちんと取得して、ということは考えていますが、そういったことを含めて、まだ検討中であります。

来週の今日……再来週の今日(笑)聞いていただくと、お答えできるのではないかと思いますが。




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