トピックス

2003.10.31|その他

定例記者会見録 2003年10月


10月22日

○藤井問題について調査しない国交相や総理は道路族と同じ穴のムジナ

○イラン核開発問題:日本の首脳は英仏独の爪の垢でも煎じて飲んだらどうか

○マニフェストビラを550万部増刷し800万部に、マニフェスト浸透の証左

○大きな方向性としてオープンな競争ある農業を目指すべきだが過渡的対策も

○田中前外相:離党届の提出は1つの区切りだが、対自民のスタンスが不明

○自民定年制:礼を尽くして辞めてもらうのがスジ、小泉総裁の人間性を疑う

道路公団総裁問題に関する申し入れ

【幹事長】私から3点申し上げたいと思います。まず、例の道路公団・藤井総裁の問題ですが、先般、私から石原国交大臣宛てに申し入れを行ったわけですが、結局そのことについて調査しないというのが石原大臣のお答えで、極めて遺憾なことだと思っています。

申入書にも書いていますが、あれだけテレビの前で国交大臣はイニシャルを示して、例えば国有地の払い下げの問題などについて、いろいろな疑惑があるということを臭わせたわけですから、そうであれば、そのことを国民の前に示して、そういった疑惑について解決していくのが国交大臣の本来の責任業務ですから、それを全て覆い被せてフタをしてしてしまうというのは一体どういうことなのか、国交大臣および小泉総理の姿勢を大いに疑うところです。

考えてみれば、道路族のドンと言われる人たちの応援をもらって総裁に選ばれた小泉さんですから、非常にわかりやすい構図かもしれませんが、まさしく国民を愚弄した対応であると厳しく抗議したいと思いますし、国交大臣も若い大臣として、そういった問題について従来のいろいろなしがらみ、族議員、そういったもの圧力を跳ね返して、スジを通してもらいたいと思ってます。

このままでは、石原大臣も小泉さんも、今までいろいろと道路公団に圧力をかけてきた道路族と同じ穴のムジナだと言われても仕方がないと思います。

イラン核開発問題とAPEC

【幹事長】それから、イランが核開発についてIAEAの要求を受け入れたということを聞いて、世界にとって非常に重要なステップ、一歩だったと考えています。

そういうことをイギリス、フランス、ドイツの外相が成し遂げたということは、これは外交というものが持つ力、意味を感じさせるわけで、いきなりボカンと武力行使をして解決するのではなくて、粘り強い外交努力の中で物事を前進させていく良い例を示したと思います。

それにつけても、イランといえば、本来は日本も長年いい関係を続けてきたわけですが、そういったことに蚊帳の外で、イランの石油開発についても、いろんな意味で戦略的に関与しようとしたにもかかわらず、アメリカからストップがかかればたちまち尻尾を巻いてしまうという、そういうアメリカ・ブッシュ大統領に追随するだけの小泉外交というものが明らかになったと思います。

少しは、イギリス、フランス、ドイツの首脳・外務大臣の爪の垢でも煎じて飲んだらどうかと、小泉さんにはそうお勧めしておきたいと思います。

同時に、APECでの議論もありましたが、拉致の問題について十分な取り扱いがなされなかったことは残念なことだと思っています。

ただ、いろんな北朝鮮との関係を考えたときに、やはり中国との関係が極めて重要であるということを改めて感じさせるわけで、総裁選で再選されたときに、もう言わないかと思っていたら、また靖国に行くということを強調されて、結局中国との首脳外交が本格的にできないということですが、中国に行ってしっかり議論するということがなかなかできない小泉さんの姿を見ると大変な国益を損なっていると言わざるを得ないと思います。

いろんな個人的な心情があるということを、そこは百歩譲って認めたとしても、そのことによって国益を大きく損なう、つまり中国との関係について、総理としてどう考えておられるのか、是非一度伺ってみたいと思います。

参院埼玉補選とマニフェスト選挙

【幹事長】それから今日、私は埼玉に行ってきましたが、我が党の候補は非常に頑張っている。1週間くらい前と比べると横一線まで来ましたので、大変期待を持っています。残された数日間、私も土曜日にはまた行きますが、党として当選に向けて頑張りたいと考えています。

衆議院選挙も間もなく公示されますが、選挙戦全般といいますか、私も全国を回る中で非常に手応えを感じていまして、特に政権選択の選挙、マニフェストを前面に掲げた政策選挙に対して、国民の皆さんの期待を強く感じているところです。

我々、ビラなどいろいろ作っていますが、例えば皆さんにも以前配布したと思いますが、マニフェストについても2枚紙の簡単なビラですね、これ当初、250万部刷りまして、各総支部・選挙区に配布しましたが、我が党の刷り物にしては珍しくと言うと選対に怒られるかもしれませんが、非常に需要があって、550万部増刷して、今800万部各地域に出て行っています。

250万部のつもりが800万部ということで、それだけ需要があるからそれだけ出ているわけで、各地域においてマニフェストあるいはマニフェスト選挙というものが非常に受け入れられている、まさしくそういうマニフェスト選挙になっている結果だと思っています。

その他にも冊子が150万部、これはあまり増刷するとお金が足らなくなりますので増刷していませんが、是非完全版を下さいと取りに来る方も多いという話も聞きます。

是非、我々のマニフェストが国民の皆さんにしっかり浸透するように頑張っていきたいと思いますし、今までとは違う新しい選挙ということになりつつあるということを実感しています。

それから、民主党インターネット放送局「D Vision」につきましても、9月に開始して以来、今まで33万件のアクセスがありました。1日平均1万5000件ということですから、これも??としては記録的なことで、選挙に対していろんな世代・年齢層で関心が高まっているということを表しているのではないかと思っています。そんな調子でしっかりこれからも頑張っていきたいと考えています。

<質疑応答>

自由貿易協定と農業問題

【記者】昨日のAPECで小泉総理がFTA(自由貿易協定)に絡んで、「農業鎖国はできない」という発言をされました。農業に競争力をつけなければいけないということを言いたかったようですが、「鎖国はできない」という言い方をされたことについてどのように評価されますか。

【幹事長】今まで鎖国だと思っていたんですかね、日本が世界最大の農産物輸入国であるということを小泉さんはご存知ないのでしょうか。

もちろん、現状でいいと我々が思っているわけではありません。別にFTAがあるからということだけではなくて、やはり日本の農業についても競争力はあるし、これからそれをさらに高めていくことはできるわけで、日本国内だけのマーケットではなくて、世界を相手に日本の優れた技術の農産物を輸出していくということも当然これからしていかなければならないと思います。

同時に日本は自由貿易で成り立っている国ですから、貿易をやたら制限して、そして内向きになってしまうことは日本の国益に反するわけで、農業についても今までのどちらかというと内向きの保護政策から、この保護政策にも何といいますか自民党の族議員の利権も相当絡んでいると思いますが、オープンな競争の中で競争力を高めていくという方向性を、大きくは目指していかなくてはいけない。

もちろん、その過程、過程で農業従事者に影響が及ぶということは当然あるわけで、そこについての手当て、つまり経過的な対策、大きな方向性としてのオープンにしていくという方向性、そこの兼ね合いをしっかりやっていくのが政治だと考えています。

田中前外相への対応

【記者】田中真紀子前外相が自民党離党届を出されたようですが、今後民主党がどのようにこの問題に対して対応されていくのか、菅代表は割と連携に前向きな発言をされていますがその点と、それから白川さんの推薦について、幹事長のお考えをお聞かせください。

【幹事長】代表と私の意見は基本的に方向性は全く同じです。まず田中さんが離党届を出されたということは1つの区切りにはなっていると思います。

今まではそこすらはっきりせずに、自民党との関係が全く不明確でした。その上で、彼女自身が離党をした上で、自民党に対してどんなスタンスを取っていくのかということはまだ不明です。

今の小泉自民党政権に対して批判的な立場で行くのか。批判的な立場になるということは当然あり得ると思います。「スカートを踏んでいるのは誰かと思って振り向いたら、小泉さんそのものだった。小泉さんそのものが抵抗勢力だった」とそこまで言った人ですから、そういった小泉自民党政権に対して批判的になるということは、私は今までの流れからいえば不自然なことではないと思いますが、そこがはっきり方向性が見えてくれば、私たちとしての関係というものも自然にでき上がってくると考えています。

白川さんについては県連が推薦依頼を本部に上げてきているという現状にあります。そのことは承知しています。ただ、昨日の新潟でも申し上げましたが、結局は今の田中問題も含めて総合判断ですので、まだそちらの問題がはっきり見えてこない段階で、白川さんの推薦問題について結論を出すのはやや早過ぎると考えています。

【記者】今の質問に関連して、田中真紀子さんにはすごい破壊力がある方だと思うんですが、扱いようによっては劇薬にも毒薬にもなる方だと思うのですが、幹事長から見たその辺の印象をお聞かせください。

【幹事長】(笑)私も幹事長ですからあまり個人的な意見を言うわけにもいきません。ただ、真紀子さんが小泉自民党政権に対して批判的なスタンスを取るかどうかも分からない段階ですから、あまり仮定の話をすべきではないと思いますが、同じように今の小泉自民党政権に対して批判する立場であるということと、お互いが協力していくということは必ずしも一致するわけではありませんので、そういったことも含めてこれからの田中さんの取られる態度を見ながら総合判断していくということだと思います。

我々は政党ですから、田中さんの行動、判断それをある程度前提にしながらでないと、我々が積極的にどうこうということではないと。そういう意味で昨日申し上げたわけです。

外相時代の資質、秘書給与問題

【記者】今の問題に関連してですが、外相時代の資質問題とか秘書の給与問題などこの2つの問題について抗議の対象にはならないのでしょうか。

【幹事長】ですから連携するとは私は全く言っていないわけで、連携をするかどうかも含めて総合判断ですから、連携しないから全然関係ないかと言えば、小泉自民党政権に対して批判をするという意味で、連携はしないけれども同じ方向で政権批判をしていくということもあるかもしれませんし、そういうことも含めて総合判断です。

【記者】資質問題は?

【幹事長】外務大臣としての資質ですか?いろいろな議論があるのは事実で、我々もその点について批判したこともありますし、あるいはNGOの問題などでは協力をある意味しながら進めたこともあります。

今はもう彼女は外務大臣ではありませんから、外務大臣としての資質の問題というのは今回のこと直接には関係ないことだと思います。まだ仮定の段階ですから、あまり議論してみても仕方ないと思いますけどね。

自民党の比例区定年制問題

【記者】公示まで1週間を切りましたが、民主党としての比例名簿の決定はいつ頃になるかということと、自民党が中曽根さんと宮沢さんに73歳定年制の適用がなかなかうまく進んでいないようですが、そのことについてのご感想をお聞かせください。

【幹事長】我が党は多分、公示の前日ぐらいと思っています。最終的には代表、幹事長に一任されていますので、代表とよくご相談することになると思います。

宮沢さん、中曽根さんのことは他党のことですから、あまり私がとやかく言うのもどうかと思いますが、私の個人的意見を言わせていただくと、批判すべき部分があるとともに総理として実績も残され、見識のある方だと私は一面で非常に尊敬している部分もあるんですが、そこまでやられたのであれば自ら退かれるべきだと思いますね。もう十分ではないでしょうか。

そしてご見識をお持ちであれば、別にバッジを外しても本当にご見識があれば世の中が放っておかないわけで、まだまだご活躍いただける場面があると思うんですね。

ただ、今回のことを見ていて私が引っかかるのは、「残りたいと思います」と言われた二人も私から言わせると情けないなという感じがするのですが、同時に小泉さんがどうされるのか。これから幹事長と相談するという話のようですが、もし選挙に利用して直前になってバッサリということになれば、これはやっぱり違うのではないか。

「違うのではないか」というのはやり方ですね、総理までやられた方であればそれは手順を尽くして礼を尽くして退いていただくのが当然で、もしバッサリと直前になって切ってしまうということになればこれはちょっと私は総理というより以前に人間として小泉さんのやり方、見識を疑うことになりますね。

これからどうなるか分かりませんから、仮定の話としてちょっと申し上げました。もっと早く礼を尽くして退くようにに持っていくのが本当ではないでしょうか。

比例区候補者名簿

【記者】比例名簿についてですが、比例の単独と上位搭載者が何人くらいになるのか、もしお答えできるのであれば教えて下さい。それからこれも確認ですが、地方の都道府県連レベルでは新人候補者が鞍替えした場合事情を考慮して比例の上位登載を認めて欲しいという、北海道の12区がそうですが、そういう声が党本部に要望があるようなんですが、そういう可能性はあるのでしょうか。

【幹事長】まず、党本部にはそういう要請はまだ上がってきていません。道連レベルでそういう議論があるのかもしれません。

それから、単純比例と比例優位ですが、常幹でお認めいただいた基準の中では、単純比例と比例順位を区別させていません。両方「原則としてはない」という言い方ですから、そういう意味では常幹のルールに基づけば単純比例はあるということです。

ただ、常幹でいろいろな議論が出ました。そのことも踏まえながら判断しなければならないと考えています。私の見通しでは、今回は単純比例はないと考えています。

比例優遇がどのくらいなのかということについては、これは最終的な場面で決めなければいけませんが、前回20名の方がいらっしゃいました。お一人おひとりに説得をしたりして今まで進めてまいりまして、私としては幹事長としてやってきた仕事の中で一番辛い仕事でした。まだご本人としてはできればもう1期と思いながら、引退表明された方が何人もいらっしゃいます。

大変申し訳ない気持ちと、しかしやっぱり若い新しい人たちが少しでも惜敗率で上がってくるなかで、党の若返り、活力、そういったことを図っていかなければならない。そういう使命感でやってきたつもりです。できるだけ比例優遇という枠は小さくしたいというのが私の思いです。いろんな経緯もありますから、そのことも含めながら判断をしていく必要があると思っています。

白川候補への推薦

【記者】道路公団の話ですが、申し入れというより、民主党独自で調査をするという考えはないのかというのが1つと、話は別ですが先ほどの田中真紀子さんの件で白川さんへの推薦を出すか出さないかについて、いつぐらいまでにしなければいけないと思っていらっしゃいますか。

【幹事長】まず道路公団の問題で、イニシャルは石原さんしか知らないですよね。もちろんあの場にお二人だけじゃなくて事務方も入っていたと聞いておりますので、議事録を全部公開してもらえば分かるんですけどね。そういったことを是非やってもらいたいと思います。

我が党で調査をすることは必要ですから、そのためにも国会で議論しないと難しいです。そのためにも私どもは閉会中審査、そして藤井さんも国会に呼んで道路公団総裁の立場にあるその期間中に呼んで証言を得るということも考えているわけです。

白川さんの推薦については、常識的にはやはり来週の火曜日(28日、公示日)までには決めなければいけないと思いますね。

10月16日

○総選挙前哨戦:「政権選択の選挙」という期待感がひしひしと伝わってくる

○自民党が民主党マニフェストを誹謗中傷するのは残念、政策本位の議論を

○イラク復興資金:何に、どういう形で使うのか、まず国民に説明すべき

○日米首脳会談では、イラク戦争の大義や先制攻撃論について議論を

○石原大臣がイニシャルを挙げないなら、同僚議員をかばっていると言われても仕方ない

○参院補選:磨きのかかってきた候補者の良さが周知されれば勝利できる

○藤井総裁問題について、参議院で閉会中審査を求めたい

○比例区調整は断腸の思いで職務を遂行、しかし若い新人に道を開けた

総選挙前哨戦の手応え

【幹事長】解散になりまして、選挙戦もまだ本番ではないんですが、本番のように各候補者も動き出していると思います。

私も連日、各地域を回っていますが、今日はこれから神奈川ということで、嬉しいのは解散後初めて、地元に夜入れるということです。若干地元のことが気になっていますので、明日は1日地元に行ってきます。

そういう中で、日々実感するのは、やはり今度の選挙はいつもと違うんだと。政権を選択する選挙だと。そういう国民の皆さんの期待感といいますか、気持ちはひしひしと伝わってきます。

同時に、我々はマニフェスト(政権公約)を出しましたが、そのマニフェストに対する関心も、非常に強いものがあると考えていますので、いつもの選挙とはだいぶ状況が違うのかなと。

例えば、選挙区においても、自らの掲げる公約を訴えるというよりは、党のマニフェストを正面から訴えていくという、少なくとも民主党はそうなりつつあるという感じがします。

マニフェストについてのパンフレットといいますか、簡単な資料も作っていますが、随分それぞれの地域から増刷要求が出ていまして、民主党の資料としては非常に珍しいんですが、嬉しい悲鳴を上げていると。つまり、各候補者がそれぞれの地元で使っておられるということです。

使っているということはニーズがあるということで、いつもの選挙とは違うという気がします。そういう中で、政権選択のための選挙、何か大きなものが動き出したと思っています。

自民党のほうも、小泉さんが記者会見をして政権公約を出されましたけれども、もう少しサプライズがあると思っていたんですが、出ていた案とほとんど変わらない代物です。

個々のことは中身で申し上げるべきだと思いますが、郵政民営化のところも、改革法案を再来年に提出するという小泉さんの総裁選挙での公約が入っていなかったり、道路公団民営化についても具体策が書いてなかったり、かなり不十分なものであると受け止めています。

この「マニフェスト選挙」をやっていくなかでやや残念なことは、私は街頭演説でも申し上げているんですが、「絵に描いた餅」だとか「ショーウィンドウのアイスクリームみたいなもの」だとか「絵空事」だとか、そういう誹謗中傷、汚い言葉を投げつけるようなやり方を、安倍幹事長始め自民党幹部の皆さんがやっておられることは非常に残念。

やはり具体的中身で、どこが実現不可能なのかということを明確に述べていただいて、そしてお互いより良い議論をしていきたいと。

選挙でそういった政策論議が深まるなかで、どちらが政権政党として相応しいかということを国民の皆さんに選択していただけるわけで、特に、若い安倍さんには、そういう従来のやり方ではなくて、政策本位の選挙をやりましょうと言っておきたいと思います。

是非できましたら、1時間ぐらい時間を取って、2人で徹底的に政策論議をする機会をつくりたいと思いますので、安倍さんには受けていただきたいと思います。

日米首脳会談を前に

【幹事長】それから、ブッシュ大統領がやって来るということで、イラクの問題が国連でも議論が進んでいます。

少し国連決議のタイミングがズレて、決議案はまだ安保理に出ていないということですが、そういう中で、1650億円という金額も出てきました。

その金額について、私は昨日も申し上げたんですが、まず何に使うのかと。特に、米英軍の占領経費に使われる部分があるのかないのか。そしてどういう形で使われるのか。そういうことがきちんと説明されるべきだと思います。

国民への説明責任を果たせと、私も国会などで何度も申し上げました。まあ、それも気にされたのか、大統領に直接言うのではなくて、先立って2日前に言うというのは、2日分だけ進歩したのかもしれませんが、現実にはほとんど説明責任を果たしていませんから、変わっていないということです。

全体の議論の中で、トータルの金額550億ドル、その中で世界銀行や国連の予測値が356億ドル、CPA(占領当局)の試算194億ドル、合わせて550億ドルということですが、私は日本がなすべきは、この世銀・国連自らが積算した356億ドルの範囲の中でなければならないと考えています。

CPAに対して積算をした、例えば治安活動などに日本が手を貸すというのは、イラクの状況を見れば、まだ半ば戦闘状況にある中で、米英軍を支援するということですから、そこは慎重でなければならないと思います。

それからもう1つ気になるのは、ブッシュ大統領が来たとき、数字として1650億円を言うのか、言うこと自体がおかしいんですが、それとも、もう少し大きい多年度にわたる金額を約束するのか。

多年度にわたる金額を約束するのであれば、それは国民に対して今まで全く説明されてません。そういったことについて、現実どうなるのか、非常に関心を持って見守っているところです。

私としては、繰り返しになりますが、きちんと国民に説明責任を果たし、つまり何に使うのか、どうやって使うのか。その上でブッシュ大統領に説明するというのであれば、まだ形だけはつきますが、本当にそうなのかということも気になるところです。

それから、もう1つだけ申し上げますと、せっかくブッシュ大統領と会って話をするのですから、戦争の大義についての議論を2人の間でしっかりしてもらいたい。

大量破壊兵器が見つかっていない状況の中で、なぜ大量破壊兵器があると判断して攻撃をしたのか。あるいは、先制攻撃という形が良かったのか、ということについて両首脳間でしっかり議論してもらいたいと思います。

私が聞いているところでは、例えばチェイニー副大統領は10日の講演で、「国連は無力だ」とか、あるいは「先制攻撃の権利をアメリカは持っている」とか「コンセンサスに基づく外交は時代遅れだ」といったことを明確に述べていまして、アメリカ政府としてそういう方針でこれからもやっていくということであれば、これは資金協力についても相当慎重に考えなければいけないということになります。

そういったところについて、実のある意見交換を両首脳間でしっかりやってもらいたいと思います。時にはアメリカに対してしっかり意見を言うことも、同盟国である以上大切なことだと考えています。

<質疑応答>

「投票率65%以上」の根拠

【記者】先日の遊説先で投票率について言及されていましたが、「65%以上」という数字についてもう少し具体的に伺いたいんですが、無党派層などなかなか投票に行かない人の中に民主党支持層があるという前提のお考えなのか、ざっくりした数字なのかもしれませんが、それが導き出された公式といいますか、お聞かせいただければ……。

【幹事長】私は政治家であってアナリストではありませんので、そういう具体的な細かい数字について説明を申し上げません。

ただ、小選挙区制になって投票率がガクッと落ちました。しかし前回は少し戻しましたね。私は総選挙であるということであれば、普通なら7割近い投票率があって当たり前だし、中選挙区制のときにはそうだったと思います。

そのことに加えて、今回は政権を争う選挙だということもありますので、私は少なくとも65%あるいはそれを超える投票率が期待できるのではないかと考えています。

そのときには無党派層と言われる人たちが投票に行くことで投票率が上がるわけですから、民主党にとって非常にいい結果が得られるのではないかと考えています。

藤井道路公団総裁の聴聞

【記者】明日、道路公団の藤井総裁の聴聞が行われますが、これについて石原国土交通大臣がいろんなイニシャルを挙げている経緯がありますが、聴聞に対するご意見をお聞かせください。

【幹事長】イニシャルは挙げてないですよね、石原大臣は。ただ「藤井さんがイニシャルを挙げた」と言ってるだけです。しかし、そこまで明確に言われるのであれば、きちんとそのイニシャルを言っていただきたいと思います。

もちろん、聴聞で藤井総裁が実名を挙げられればそれで済む話ですが、そうでないときには大臣の責任として、藤井総裁がどういったイニシャルを挙げたのか、国民に対して説明責任があると思います。

藤井さんが言わないのであれば、大臣自らが言われる必要があると思います。そうでなければ小泉総理も石原大臣も同僚議員をかばっていると言われても仕方ないと思います。

せっかく、そういった高速道路をめぐる利権構造が明らかになりつつあるわけですから、それを率先して国民に開示していく姿勢が、総理にも石原大臣にも求められていると思います

埼玉参院補選

【記者】埼玉参院補選についてですが、告示から1週間が経ちましたが、その現状について、それから補選でもマニフェストを前面に出して戦うのか、それについてもお聞かせください。

【幹事長】補選は総選挙への入口に当たるわけで、大変大事だと以前から申し上げています。

ただ、状況を楽観しているわけではありません。知名度の点でもかなり劣るものがあります。そういう意味で運動量のレベルをもっともっと上げていかなければならないと考えています。

前川選対事務局長を「しばらく埼玉にずっといてください」ということで張りつけてありますが、皆さん総選挙を抱えるなかでの選挙ですから大変なんですが、埼玉の国会議員の皆さんにもご努力いただき、そして党本部ベースでもしっかり応援しているところです。

ご本人自身も非常にいい候補者ですので、しかも磨きがかかってきましたので、私はその良さが周知されていけば必ず勝利できると考えています。

マニフェストについては、もちろん我々としては前面に掲げて選挙を戦うわけですが、選挙は基本的には候補者ご本人が行われるものですので、我々から指図することはありません。ご本人がいろいろお考えになるなかで進めていかれることだと思います。

藤井総裁の聴聞に対する民主党の対応

【記者】しばらく記者会見がないので、何点かまとめてお伺いします。

【幹事長】1週間に1回はやります。

【記者】あ……。それで4点伺いますが、まず藤井総裁の件で民主党としては何か具体的なアクションを取るお考えはあるのでしょうか。例えば閉会中審査を求めるとか……

【幹事長】ええ。参議院において閉会中審査を求めたいと考えています。今、参議院の執行部と連絡を取り合っているところです。

社民党との選挙協力、旧自由党候補者との調整

【記者】それから2点目、選挙関連なんですが、昨日また社民党が新たに追加公認等を発表しまして、社民党との協力関係について順調に成功している地域がある一方で、競合区が増えているということは民主党としても大変悩ましい問題ではないかと思うのですが、また、自由党との調整は決着しましたが一部無所属で出る動きなど、その辺あわせて見解をお聞かせください。

【幹事長】社民党との関係はじっと我慢をしています。我々は政権を交代するという大きな目標に向かって努力をしているわけで、社民党にも同じ考え方で協力をしていただきたいと考えています。

現状はそういった協力関係がうまくできている都道府県と、そうでないところと分かれます。残念なことだと思っています。しかし、我々は辛抱強く我慢をしたいと思っています。

社民党さんにも是非、政権を代えるという大きな目標に向かって我慢すべきところは我慢していただきたいと考えています。

自由党との調整の結果、無所属で出られる方が若干いることは残念なことです。ただ、民主党に加わらず無所属でやられる方に対して、それを止める手段はありませんので、残念なことですがそれを乗り越えてそれぞれ候補者は頑張っていただきたいと思います。

調整がスムーズに進んだところは非常に良い結果が出ています。2人の候補者を合わせた以上の得票が見込まれていますので、これからも諦めないで説得を続けていきたいと考えていきます。

比例区調整の進展と課題

【記者】選挙に関連してもう1点ですが、比例の関係で自民党が定年制の問題もあり、なかなか前に進んでいない点もありますが、それに比べて民主党は比較的順調に進んでいるように見えます。今後比例の関係で残された課題があるとすればそれは何でしょうか。

【幹事長】「比例の問題は順調に進んでいる」という表現を使われましたが、私としては断腸の思いであります。

つまり前回20名の比例優位の方がいらっしゃったというなかで、1人ひとり、党の常任幹事会で決められたルールをご説明をして、そして説得をしていった。

説得をするということは結果的には議員という職を失う、つまり次は出ないという決断をしていただくことにもつながる話で、この数ヶ月間職責上やらざるを得ませんから進めてきましたが、大変尊敬する同僚・先輩議員、そういった方々に対して非常に辛い思いをしながら進めてきました。そして、現在比例で優遇される方というのは、かなり減る見通しです。

加えて、今回限りということは常任幹事会で判断をしていただきましたので、次回以降はないということも確保できましたので、結果的には、辛かったけれどもこれから伸びていこうという若い新人にとっては道を開いたかなと自負もしております。

これからのことについては、具体的に比例優遇あるいは比例単独そういったものをどの範囲で認めていくのかということについて、今、具体的な作業をしているところです。

民主党公認候補者のマニフェストへの署名

【記者】マニフェストの署名に関してですが、集約状況はどうなっているんでしょうか。

【幹事長】私もずっと全国遊説に出ていますので、細かくは聞いていません。ただ、問題があるとは聞いていません。

拉致問題に絡んだ自民党の攻撃

【記者】最後に拉致問題ですが、先ほど来、安倍幹事長と政策論争をしたいとおっしゃっていましたが、14日の自民党全国幹事長会議で、菅代表がかつて辛光洙(シン・ガンス)死刑囚の釈放の件で署名をしたということを報じた記事のコピーを会場で配ったということがありました。政策論争をしたいという一方で、自民党がそういう形でやっていることについて幹事長としていかがでしょうか。

【幹事長】この問題は時系列で考えていかなければならない問題で、菅代表は別に拉致の関係者であることを知ったうえでサインをしたわけではありません。そこのところがきちっとされずにあやふやまま宣伝に使われているという印象を私は受けています。残念なことです。

この問題菅さんご自身がご説明されているように、社民連の時代でかなり昔の話ですし、当時はそういった拉致の問題と関係が、私の理解では明確でない状況の中で、人権問題として捉えてサインをされたと聞いています。

結果的には拉致の関係者だったということですが、政争の具にされているという印象を受けます。

【記者】その関連なんですが、岡田幹事長についても安倍さんが10月の初めの街頭演説で「民主党の岡田幹事長は拉致された5人を帰すべきだと言っている」という表現で批判をされましたが、それについて昨年幹事長自らきちんと説明をされたと思いますが、それについてはどうでしょうか。

【幹事長】安倍さんは一度おっしゃっただけだと私は承知していますので、そのことについてあえて反論をしようとは思いません。「事実に反する」ということだけ申し上げておきたいと思います。

藤井問題に関する閉会中審査の時期と場所

【記者】先ほどの藤井総裁の閉会中審査についてですが、その時期と場所は、例えば予算委員会なのか国土交通委員会なのか、その辺はどう考えていらっしゃるんでしょうか。

【幹事長】明日ですか、聴聞は?それを見て判断していきたいと思います。

10月10日

○衆院解散:賽は投げられた、政権交代という歴史的事業を実現する

○自民党公約集:解散日に出てきたこと自体、自信のない表れ

○安倍幹事長をやり込めようという気はない、堂々たる議論を正面からしたい

○勝敗ラインは政権を取ること、小選挙区で過半数151以上を取る

衆議院の解散にあたって

【幹事長】まず、今日の解散は第2次小泉内閣ができてから、わずか19日で解散ということですが、こんな解散は今までなかったと思います。

基本的に、新しい内閣を構成すれば、しっかりとその内閣の考え方を国民に示して、つまり国会で十分な議論をしたうえで、解散するというのが本来の姿だと思います。

第1次佐藤内閣第3次改造内閣が24日で解散に至ったというのが非常に例外的に短い例で、あとは69日の第2次吉田内閣、第1次鳩山内閣の45日というのがありますが、大体は100日以上経ってるわけですね。

そういうことを見ると、今回は選挙向けの顔ぶれを揃えて、そして解散したということですから、小泉さん、変幻自在は結構ですが、総裁選挙でも総選挙を後ろに据えて有利に戦ったし、今度は内閣改造をフルに活かして解散・総選挙ということになったわけで、そういう意味では、いろんな国の大事な制度をいとも簡単に利用してしまう、そういう今までにない総理が登場したということだと受け止めています。

議員バッジ紛失事件

【幹事長】私自身もちょっと変な感じで、本来であればもうお国に帰ってるわけですが、ここにいること自体がちょっと何となく居心地が悪い気がします。

これからしばらく、地元に戻ることもないわけで、各地域を回る、あるいは選挙本番に向けてのいろんな準備を党としてやっていかなければいけません。自分の選挙も少し気になりますが、ここは幹事長としての職務ですから、そのために全力を尽くしていきたいと思います。

さっき両院議員総会で言おうかと思って結局言わなかったんですが、今日はちょっとしたハプニングがありまして、解散の本会議場に入ろうとしたら衛視さんに呼び止められて、「バッジがありませんよ」と言われまして、パッと見ると確かに議員バッジが付いてない。

基本的に国会と議員会館の中以外はバッジを付けませんので、よく付けたり外したりするんですが、どこかに行ってしまったのかと慌てて控室(国会内の党幹事長室)に戻って、職員の方に「バッジはないか」と訊いたら「ない」と言われまして、これは大変だと。

解散日の本会議場に、バッジがなくて入れないというのは前代未聞ですから、少し慌てたんですが、そこで何でも気がつく大塚参議院議員が「参議院のバッジを付けたらどうですか」と。

こう言われてですね、パッと見たら分からないものですから、参議院のバッジを付けて本会議場に入ろうとしてですね、でも入ってよく見たらあったんですね。

ポケットの中に私のバッジが入っていましたので結果的にはセーフですが、これは何を意味するのか、解散の前にバッジをなくしたというのはあんまりいい話ではないかもしれませんので、両院議員総会で紹介するのをためらったんですが、いずれにしても、ちょっと私自身も解散で気分が高揚しているのかもしれないなと思っています。

とにかく、解散になりました。賽は投げられたわけで、本格的に政権交代が起こりうる、そういう選挙になりつつあると実感しています。

あとはもう、小泉自由民主党と正面からがっぷり4つに組んで、そして最後は見事に上手投げか何かで場外に投げ飛ばしたいと思っています。菅代表と協力しながら、政権交代という歴史的事業を是非実現したいと考えているところです。

個々の議員も、それぞれ頑張ってくれています。何よりも、国民が今の政治の転換を求めています。そのために、しっかり頑張っていきたいと考えています。

<質疑応答>

自民党公約集

【記者】がっぷり4つに戦いたいということですが、今日、自民党のほうもマニフェストをまとめつつありますが、それがマニフェストとしてふさわしいかどうかを含めてその評価と、特に郵政の部分についてどのように見てらっしゃいますか。

【幹事長】今日は解散ですから、解散の日に出てきたこと自体が自民党の自信のなさを端的に示していると思います。

もし2〜3日前に出てくれば当然、党首討論で議論になったはずです。あるいはもっと早ければ予算委員会でも議論になった。そういったことを避けたと私には思えます。それだけ自信がなかったんだと思います。

中身を見ますと、いろいろ書いてありますが従来の公約集とほとんど変わりません。マニフェストというのは、やはりそれをどうやって実現するか、そのための期限あるいは財源、そういうものが極力書き込んであるというのが狭い意味でのマニフェストです。

そういう目で見るととてもマニフェストと言えた代物ではないし、自民党自身も公約集という形で従来のスタイルで出してきたなと思います。

郵政の話は極めて珍妙なる、項目のところは民営化と書いてあって、文章を見るといろいろ経営状況とか国民的な議論をして決定をすると。何を決定するか書いていないわけですね。

そういう意味では、まさしく小泉さんらしいと言いますか、裏と表が違う国民から見た訳の分からない公約集だと思っています。

小泉さんが最も強調したと言いますか、総裁選挙では郵政民営化と道路公団民営化しか具体的なことはなかったわけですから、そのうちの1つがこういう形になったことは、もし小泉さんが今回の選挙で勝って小泉政権を続けた場合に、どういった政権になっていくのか。

つまり結局掛け声だけで、実質的には影の総理である参議院の青木さんの内閣になるということを明示するものだと思っています。

自民党・安倍幹事長との今後の論戦

【記者】今後の論戦で、特にカウンターパートである安倍晋三・自民党幹事長とはどういう論戦をしていくおつもりでしょうか。党内には是非やり込めて欲しいというような声もありますが、その辺の自身・抱負を聞かせてください。

【幹事長】やり込めようという気持ちはありません。同じ世代の安倍さんですから、堂々と政策論あるいはもう少し大きな議論をしたいと考えています。その議論を見て、国民の皆さんがどういうふうに判断するのか、それは結果であって、あまり細かいところでつついたりという議論をしても国民の皆さんから失望を買うだけですから、堂々たる議論をしたい、正面からの議論をしたいと考えています。

メディア戦略

【記者】今後の遊説なり各種メディアなどで、菅さん、小沢さん、幹事長自身、その他若手の民主党のいろんな人材がいますが、どういう役割でどんなふうに国民にアピールしていくのかという、全体の遊説なりメディア戦略をお聞かせください。

【幹事長】まずは若手というか、菅さん、小沢さん、藤井さん、それから私や政調会長や参議院の先生方で手分けをして全国を回ることにしています。

もちろん私自身は、ただずっと出っぱなしになると実際の選挙を束ねる人間がいなくなりますので、そういう意味では2日に1回は東京に戻って、多少の時間は確保しようと考えていますが、いずれにしてもなるべく多くの選挙区を回って、そして特に若手の新人とか当選回数の浅い人を中心に応援していくということになると思います。

ただ当面は、やっぱりすべての都道府県に1回は誰かが入るということが大事ですので、そんな形になるのかなと思っています。公示になれば重点区をピンポイントで攻めるということになるのではないかと思います。

勝敗ラインと重点選挙区

【記者】今日解散ということで次期総選挙が決まったわけですが、民主党として勝敗ラインというものをどのように見ているのか。また、今、重点区をピンポイントで回るというお話がありましたが、具体的に重点区というのはどの辺りを考えていらっしゃるのか。以上2点、お願いします。

【幹事長】重点区というのはまだ決まっていません。これから公示日まで時間がありますから、そういう状況把握の中で、当落線上で争っている選挙区が重点区です。それから……最初の質問は何でしたっけ?

【記者】勝敗ライン……

【幹事長】勝敗ラインは政権を取るということです。政権を取るということです。

そして、100%政権を取れるのは300の小選挙区で過半数を制するということですから、大きな目標としては小選挙区だけで151というのを掲げています。

もちろん、相対的に第一党になれば政権党になる可能性は非常に大きいわけですから、そういう意味では、ギリギリを言われれば、比較第一党になるということが目標と言えるしれません。

10月3日

○イラク復興資金:米大統領に説明する前に、まず日本国民に説明すべき

○マニフェスト配布解禁は世論の勝利だが、自民党からまともなものは出ない

○民主党インターネット放送局「D Vision」を開設、是非ご覧いただきたい

○自衛隊派遣は2年間という前提での承認、延長すれば当然再承認が必要

○劇場政治が復活しているが有権者は賢明、2度騙されることはない

○年金改革は選挙の一大争点、未だ具体案を出さない自民党はとんでもない

○年金改革が消費税論議にすり替わってしまうことには十分注意が必要

テロ特措法延長の衆院通過

【幹事長】まず、先ほどの衆議院本会議において、残念ながらテロ対策特措法の延長が可決されました。私も40分間という短い時間でしたが特別委員会での質問に立ちました。

相変わらず、次から次にこちらの趣旨を意図的に曲解して、勝手に答弁を繰り返す総理というのは一体何なのかと思いながら、しかしテレビが入っていましたので、国民の皆さんにはさすがに総理のいい加減さ、逃げの答弁が伝わったのではないかと思います。

特に、今度のブッシュ大統領訪日にあたってのイラク復興支援資金の問題につきましては、私は「大統領に最初に約束するようなことはないですよねと、コミットしませんよね」と申し上げたんですが、それに対して「そうだ」という約束はとうとう返ってきませんでした。

ということは、それが表に出るかでないかは別にして、資金的にどの程度のお金を出すかということは、日米首脳会談で間違いなく約束されるんだろうと思います。それが表に出るかどうかは分かりませんが。

国会審議の中でも申し上げたように、私どももイラク復興支援に日本が資金を出すべきではないと言っているわけではなくて、むしろ資金を出すべきだという観点に立っているわけですが、復興支援の資金は国民の税金ですから、その税金の使い方について、国会の場を通じてまず国民に説明をしたうえでブッシュ大統領に表明されればいいのであって、国会その他の場では口をつぐんだまま、つまり国民に対して説明責任を果たさないまま、いきなりブッシュ大統領に約束するというのは全く間違ったやり方だと思います。

特に今回の戦争はアメリカが始めたものだけに、イラク国民から見ても、日米首脳会談で約束されて初めて出てきたお金というのは決して納得のいくものではないと。せっかく日本がお金を出しながらイラク国民からも支持されない、そういった性格のものになってしまう。そのことを非常に懸念しています。

マニフェスト配布解禁

【幹事長】それから今日、マニフェスト(政権公約)配布解禁の公職選挙法改正案も本会議で採決されましたが、これは世論の勝利だと思います。

つまり、自民党の中には非常に抵抗感があったと思いますが、しかし、この法案を通さずには済まない状況ができて、そういう中で渋々、自民党も応じたということです。

我が党のマニフェストにつきましては、今日も21世紀臨調の皆さんと意見交換をさせていただきました。私は国会質問の時間がありましたので短時間しか同席できませんでしたが、非常に真摯にご提言・ご意見をいただきました。先日の中小企業家同友会や経済同友会に引き続いてのヒアリングでしたが、大変ありがたいことだと思っています。

あとは自民党のほうがどうなるか楽しみにしていますが、小泉さんはご自分の総裁選における約束は全部入るとおっしゃっていますが、総裁選における約束そのものに本来の意味でマニフェスト、政権公約といえるものはほとんどなく、従来型の公約に過ぎないわけで、唯一あると言っていい郵政民営化、そして道路公団民営化を見ても、法律を出す年限はあってもその中身は全くない。そういう意味では、自民党から「まともな」マニフェストは出てこないだろうと予想しています。

民主党インターネット放送局「D Vision」

【幹事長】最後に、昨日菅代表が発表した、我が党の「D Vision」がいよいよ本格始動します。

時代がどんどん変わっていると言いますか、新しいツールが生まれてきています。特に、若者を中心に、しかし私自身の選挙区で聞きますと、若い人もインターネットを利用してホームページにアクセスしてくれてるんですが、結構60歳以上の方も見ておられる方が多いんですね。

そういう意味では、今回の「D Vision」につきましても、新しい試みとして多くの方に是非見ていただきたいと考えています。内容的にもかなり充実していますので、多くの方に見ていただき、民主党をより一層ご理解していただければと思っています。

<質疑応答>

テロ特措法延長の問題点

【記者】冒頭に今日の予算委員会の質問についてお話しいただきましたが、その後本会議が開かれまして自衛隊派遣の延長という重要法案が衆議院を通過しました。この件に関して、野党第一党幹事長としてコメントをお願いします。

【幹事長】今日の代表質問で佐藤議員が述べたように、我々としてはこの法案について様々な問題があるということを指摘してきました。私も今日の特別委員会で触れましたが、時間が十分ではなくて必ずしも十分ではありませんでしたが、やはり1つは国会承認を飛ばしているということです。

ここは総理は答弁の中で少し誤解をされていたのではないかと思います。間違って理解されていた。私が申し上げたように、基本計画の中に年限まできちんと入っているわけです。その年限の入った基本計画に基づいて措置がなされ、その措置に対して国会が事後承認するというのが法律の考え方です。この基本計画に入っている年限というのはかなり根本的なもので、それが変わるわけです。

我々は2年前に自衛隊派遣を承認したときには、2年間のものとして承認しているわけで、それが変わったにもかかわらず国会承認が要らないというのは理解しがたいことです。私は時間があれば内閣法制局長官にも聞いてみたいと思っていたのですが、かなり無理をした解釈だと言わざるを得ないと思います。

そして、同時に我々は2年前にも国会の「事前承認」が必要だということを申し上げてきました。この点についても今回は全く変わらなかったわけです。

それから、2年前には「2年間の時限立法だから」ということで、随分いろんなことが議論されたわけです。事前承認にしなかったのも、今でもよく覚えておりますが、公明党の冬柴幹事長などが「2年間の時限立法だからこれは事前承認じゃなくていいんだ」ということを討論会などでも盛んに言われました。

それがまた延ばされるということであれば、同じことが何度も繰り返されていけば恒久法と同じになるわけで、そういう意味で延長するとしてもあと1回ということでなければいけないと思います。

我々はそういった趣旨の修正案を出しましたが否決をされ、政府の延長法案が衆議院を通過したことは非常に残念であります。

総選挙に向けての対自民党戦略

【記者】本日、テロ特措法が通過して、衆議院のほうは解散・総選挙となると思いますが、現時点で自民党とどのように対峙していこうとお考えでしょうか。

【幹事長】非常に漠然としたご質問だと思うので、どのようにお答えしたらいいか困るんですが、まず解散・総選挙はまだ決まっていません。ただ、一般に予想されているのは10日であると言われていますので、我々もそういう前提に立って、今準備を進めているところです。

最近、自民党の執行部や閣僚が代わって以来、また劇場政治のようになっていますが、我々としてはマニフェストを全面に掲げて政策で争う選挙にする、そして本気で政権を争う選挙にする、そう考えています。

小泉さんとしては田中真紀子さんとペアで戦ったあの参議院でのおいしい思いが忘れられないんだと思いますが、私は国民・有権者はもっと賢明だと思います。同じことで2度騙されることはない。今回は特に政権を争う選挙ですから、きちんと政策の中身を見極めて投票していただける、劇場政治の繰り返しは通用しない。そう考えています。

参院埼玉補選への取り組み

【記者】埼玉の参議院補欠選挙が9日に告示されますが、マニフェスト選挙というのはここでも選挙運動として出てくるのかということと、改めて参院補選への意気込みあるいは取り組みについてコメントをお願いいたします。

【幹事長】補選は総選挙の前哨戦ですから、これは党としては全力で取組みます。噂される解散日の前日が補選の告示日ということになりますが、菅さんは党首討論もありますからその準備があるとすれば私が行ってスタートするということになると思います。

当然、党としてはすでにマニフェストについてかなりの程度煮詰めていますので、この参院補選でもそれを掲げて戦うことになると思います。

今回の解散への命名

【記者】これまで解散するときにはいろいろと名前が付いてきたんですが、今回解散するときに幹事長はどういう名前を付けられますか。

【幹事長】まだ解散になっていないのにそれを言うことは時期尚早ではないでしょうか。我々はしっかりとした審議を求めているわけで、もちろん小泉総理が解散を決断するのであれば受けて立ちますが、本来であればきちんと審議する時間を確保すべきだという立場ですから、解散されたらまたもう1回聞いてください。

年金制度改革と消費税問題

【記者】選挙の争点の1つに年金問題が挙がる可能性があると思うのですが、菅代表や枝野政調会長が将来的に消費税で充当せざるを得ないという趣旨のことをおっしゃっているという報道があります。小泉総理が実質的に消費税論議を封印してしまっている状況の中で、党としては年金の財源問題についてどういう議論の過程にあるのか、マニフェストに織り込む方針を含めてお聞かせください。

【幹事長】非常に気を使わなければいけないのは、年金という重要な問題を議論するときにそれがいつの間にか消費税の問題に議論がすり替わってしまうということを我々は十分注意しなければいけないと思います。

年金制度というのは非常に本質的な問題で、今度の選挙の大きな争点です。間違いなく来年の通常国会では5年に1回の見直しが来るわけで、私は自民党が未だきちんとした案を出していないのはとんでもないことだと思います。選挙の争点にすることを避けているとしか思えません。

そして財務省と厚生労働省という極めて幅の広い、つまり違う2つの案を抱えて、そして選挙が終わったらその幅広い範囲の中でやりたい放題できるわけです。そういったことに有権者の方には気がついていただきたい。是非、与党に対してプレッシャーをかけて、与党ないしは自民党から年金の改革案がきちんと出るように、我々も努力しますが是非国民の立場からそういった声を上げていただきたいと考えています。

その中で財源を将来的にどうしていくのかということは、もちろん論点の1つであることは間違いありません。党の中で今、最終的な意見集約をしていますので、それを待って話をしたほうがいいと考えています。

【記者】そうしますと消費税の中身はともかく、その扱いについてマニフェストに盛り込まれるという認識でよろしいのでしょうか。

【幹事長】そこも含めて議論中です。今、私の段階であまり軽々に言わないほうがいいと思います。党の中で最終的に意見集約をしたうえで申し上げたほうがいいと思います。




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