トピックス

2003.04.30|その他

定例記者会見録 2003年4月

4月24日

○東京6区補選:古い顔をした人に新しい政治はできない

○松浪問題、暴力団との関係に対する与党の鈍い対応には驚かざるを得ない

○党首討論での総理の答弁は空疎で中身のない居直りに終始していた

○北朝鮮問題が緊迫するなか近隣首脳と話もできないことへの反省がない

○自由党と合流問題:個別面談、アンケート等を進めているが現時点では白紙

○伴野議員公設秘書の逮捕は遺憾、捜査状況を見たうえで党の対応を決める

○緊急事態法制の与野党協議:審議をこなしながら、まずは現場で進めること

○SARS:かなり深刻な状況だが、政府の危機意識が十分とは思えない

衆参統一補欠選挙

【幹事長】まず、統一地方選挙も後半戦に入り、衆参統一地方選挙も今度の日曜日に 投票日を控えています。

我が党としては、東京6区と茨城7区にそれぞれ公認候補と推薦候補を立てていま すが、東京6区の小宮山洋子さんのところには私も応援に入りましたし、明日も行く 予定にしてます。

ただ、マスコミ等では、小宮山さんがやや優勢と伝えられていますが、私は決して 楽観していません。

前回、越智道雄候補は故・石井紘基さんと選挙を戦いましたが、あのときは越智さ んにとって不利な状況があったと思いますし、加えて、小宮山さんも知名度は高いん ですが、どれだけ知名度の高さが投票に結び付くかは、かなり不安材料があります。

公明党が越智さんを支持することを決めたことも、影響が当然あると思いますの で、そういう意味で、しっかり残る限られた日を戦っていかなければいけないと思っ ています。

私が東京6区に入ったときには、「これだけ政治が行き詰まっている状況のなか で、古い顔をした人がまた出てきても、新しい政治ができるはずがない」ということ を申し上げています。

松浪議員問題に対する与党の鈍さ

【幹事長】次に、松浪議員の問題ですが、我が党として議員辞職勧告決議案を提出し ていますが、これへの与党の対応の鈍さというのは非常に驚くばかりで、暴力団との 関係が問われているなかで、「法律(刑法)に触れない」といった言い訳に終始して いるわけです。

やはり、ここは毅然とした態度を示さないと、当事者である保守新党はもとより、 自民党と公明党も暴力団に対しては同じような態度でいるのだと指摘されても仕方が ないと思います。

是非、毅然たる態度を示していただきたいものです。もちろん、「暴力団も有権者 だから」という福田官房長官の発言などは論外です。

党首討論での小泉総理の空疎な答弁

【幹事長】それから、昨日のクエスチョン・タイム(党首討論)ですが、菅代表から 小泉政権発足2年ということで、具体的な指摘をしました。

小泉総理は、元気良くいろいろと発言されていましたが、いずれも文字にして見る と、いかに中身のない空疎なことを述べておられるかということが分かります。

例えば、国債発行30兆円枠の突破については、「それじゃ30兆円枠は守れと言 うんですか」と。公約を守ったか守れなかったのかという議論をしているときに、 「じゃあ守れというのか」と。そして、「大胆かつ柔軟に対応するという、これが公 約ですよ」と、完全に議論をすり替えています。

不良債権問題を2〜3年で解消するという公約も、「減っているからいいじゃない か」という言い方ですね。実は大して減ってもいないんですが、そもそも「減ってい る」ということと、「2〜3年で解消する」という全く次元の違う話です。

それから、ペイオフ解禁を平成15年4月に実施するという公約については、「民 主党もまとまっていない」などと言っていますが、我が党はペイオフ解禁をちゃんと やれという考え方で、ここは総理は完全に誤解している。意図的かどうか分かりませ んが、誤解して言っておられる。

郵政3事業の民営化も、少なくとも政府のなか、あるいは与党のなかで、そういう 話は基本的にはないと。総理が勝手に言っているだけ、という状況です。それから、 道路公団民営化の話も、菅代表が言っておられるように、直轄方式の導入によって国 費投入はすでに始まっています。本来の民営化というのは、いかに無駄な投資を省い て必要なところに重点化していくかということのはずですから、そういう趣旨はもう どこかに飛んでいってしまっていると。

それは、民営化問題を議論した猪瀬直樹さんを始め、民営化推進委員会の委員の皆さんが今何を言ってるかということを見れば、いかに換骨奪胎してるかというのは明 らかではないかと思います。その他、一々コメントする気もありませんが、若干本音 が出たのかなと思うのは、靖国参拝について「私は毎年参拝する」というところで す。8月15日じゃないけど毎年行くということになれば、これは周辺国の理解を全 く得られません。

今、朝鮮半島情勢がこれだけ我が国の安全、国民の命に大きな影響を及ぼしうる状 況になっているときに、近隣国の首脳と率直な話し合いができない状況になっている ことに対する反省は全くない。大変残念なことだと思います。

株価が下がっていることも、それは認めましたが、「実質的なプラス成長だ」など と言っておられます。しかし、総理が2年前におっしゃったのは、「2年間我慢すれ ば安定成長軌道に乗る」ということで、それが全く乗っていないわけで、一番根本に ついてのお答えがないわけです。

と、いうようなことで、いずれも空疎な中身のない答弁、居直り答弁を続けられた と受け止めています。大変残念なことです。

《質疑応答》

自由党との合流問題

【記者】自由党との合流問題について、今朝、協議会がありまして自由党が9日まで に結論を求め、民主党側は「努力したい」ということだったようですが、今後の段取 りと現時点でどういう方向をお考えになっているかお聞かせください。

【幹事長】今、個別面談を行っています。大体、正確には確認していませんが120 人は超えたんじゃないかと思いますね。残り若干ありますので、引き続き今日も行い ましたし、また明日、それから来週というふうに行っていきたいと思っています。

加えて都道府県連、そして公認候補者の方には、今メールで問い合わせてまして、 回答を求めています。これは締め切りを一応5月9日にしていますが、9日に締め切 りをしたからといって、それまで議論ができないということではありません。そうい う意味では、併せて並行して、今日以降議論をしていかなければならないと思いま す。

現時点では白紙です、私自身。もう少しよく考えたうえで代表ともご相談し、党内 手続き的には役員会とか常任幹事会ということになるんでしょうから、そういったも のを順次9日までの間進めていく—-場合によっては9日を越えてしまうかもしれま せんが—-ということだと思っています。

【記者】白紙ということですが、面談の状況を見ていると賛成もあれば反対もあると いうなかで、必ずしもこの時点で「合流をしない」という決断をするのも難しいと思 いますが、選択肢としてどのようなバリエーションがあるんでしょうか。

【幹事長】ノーコメント。これから考えます。私だけで方向性についての議論をすべ きではないと思います。

【記者】今のお話だと、9日を目標に役員会も常任幹事会も開いて決めてしまいたい というお気持ちのように聞こえたんですが。

【幹事長】間に合えばね。いつまでも延ばしていいとは思いません。ただ、こういう ことは非常に大事な問題ですから、すんなり通らないことも当然考えられますし、き ちんと皆さんがそのプロセスに納得をして、そして一致して行動ができるということ が大事です。

私も「努力する」とはお約束申し上げましたが、実際に9日に間に合うかどうかま では約束したわけではありません。私自身、そうしたいという気持ちはあります。た だ、その週は月曜日が休みですから、火水木金と4日しかないですからね、連休明け ると。

伴野議員公設秘書の公選法違反による逮捕

【記者】伴野豊衆議院議員の公設第一秘書が公選法違反で逮捕されました。政治とカ ネの問題を日頃追及している民主党としてこの事件をどう受け止められるのか、ある いはその対応などはどうされるのか、お聞かせください。

【幹事長】大変残念なことだと思っています。ただ、政治とカネというお話ですが、 もちろん罪状でいえば買収になるんですかね。中身的には、電話作戦の報酬として、 時給いくらという形でお金を渡す約束をした疑いというふうに聞いています。

そういう事実認識をしっかり持ったうえで申し上げなければいけないと思います が、すでに逮捕されて捜査が始まっているわけなので、その捜査の状況を当面見守る ということしかないと思います。2〜3日すれば事実関係もはっきりしてくるのでは ないでしょうか。

しかしいずれにしても、公選法違反で逮捕という事態になったことは極めて遺憾だ というふうに考えています。

【記者】伴野議員から事情を聞かれたんでしょうか。

【幹事長】私は聞いていません。こういう問題ですので、国対委員長と総務局長が対 応しています。

【記者】処分を含めて、幹事長として伴野議員の対して何らかの対応をするというこ とは考えられるでしょうか。

【幹事長】公設秘書ですから当然議員に責任があると考えますが、そこの事実関係も はっきりしませんよね。伴野議員がどのぐらいこの問題を承知していたのか、いな かったのかということもあると思いますし、そういったことについて、これから事実 関係が明らかになって、あるいは明らかにしていくなかで、党としての対応を考えて いきたいと考えています。

これは一般論ですが、電話作戦で報酬を払うことが買収になるというのはあまり認 知されていないかもしれませんね。アルバイトを選挙事務所で雇って、その実費を払 うということは公選法のなかで一定の範囲で認められていることなんですが、電話作 戦の場合には投票依頼をしますので、それが投票依頼をすることに報酬を払うという ことで買収になるわけです。

そのことが割とまだ十分周知徹底していないのかもしれません。だからといってそ れでいいということにはならないのですが、そういう意味では周知徹底も含めて、こ れから党としてもしっかり考えて

緊急事態法制の与野党協議

【記者】緊急事態法制についてですが、今日で民主党の対案がまとまって、近く国会 に提出されることになると思いますが、その……

【幹事長】楽観的でいいですね(笑)。

【記者】その後の、与党との協議を始めるに当たってのお考え、方針等をお聞かせく ださい。

【幹事長】これは委員会で我が党の対案が出たなかで、委員会で我が党の対案に対す る質疑も当然あるわけですから、委員会での審議をこなしながら、与野党の、もっと 具体的に言えば久間さんと前原さんの間でまず協議を進めていくと。

それを党にもフィードバックしてもらいながら、党として最終的にどうするかとい うことを決めていくということだと思います。

もちろん、幹事長レベルで何らかの折衝が必要になれば、そのことを私は否定して いるわけではありませんが、まずは現場でやっていただくことが大事だと思います。

SARSの国内対策

【幹事長】SARS発病の兆候のある人はいませんか?代表に付いて中国に行かれ た人、大丈夫ですか。かなり深刻な状況ですね、これは。国内対策もしっかりやらな いと……危機感も政府は十分なのかなと少し心配していますが。

4月17日

○菅代表の訪中、胡錦涛主席との会談は日中関係にとって大変意義があった

○米朝中協議:日韓が入らなかったのは残念だが、中国が入ったことは評価

○イラク復興:過渡的に米英主導やむなし、日本もできることをなすべき

○ORHAへの文官派遣は問題なし、日本の関与を否定する理由はない

○議員職に居座る松浪代議士を放置している与党の責任放棄は見逃せない

○自由党問題:「意見はいろいろあろうが最終決定は尊重を」と言っている

菅代表の訪中と胡錦涛主席との会談

【幹事長】まず、菅代表が中国に行かれてますが、昨日は胡錦涛国家主席とも会談を行い、今日は李肇星外交部長(外相)とも意見交換をしたと聞いています。今夕お帰りになりますが、非常に意義のある訪中だったのではないかと思います。

小泉総理が事実上、中国首脳とお会いできないと言いますか、これは小泉さんのほうに問題があるわけですが、そういう状況のなかで、日本の要人としては初めて胡主席とお会いし、率直な意見交換ができたと考えています。

また、総理と事前にお会いして、総理の意向も伝えることができたことも良かったのではないかと。これは与党、野党ということではなくて、日中関係のために良かったと思っています。

米朝中3カ国協議

【幹事長】さて、いくつかの懸案がありますが、北朝鮮問題については、昨日からいろいろと議論が出ています。アメリカ・中国・北朝鮮という枠組みでの議論のスタートということはやや残念ですが、一刻も早く韓国および日本が少なくともそこに参加する形になるように、政府にも努力を求めたいと考えています。

ただ、話し合いがないよりは、あるいはアメリカと北朝鮮だけでやるよりは、中国をそこに噛ませることができたということは、いろんな意味で意味のあることだと。

例えば、それが将来的に日韓両国やロシアも含めたより大きな話し合いの枠組みにつながっていくということ、あるいは北朝鮮に対して非常に影響力のある中国が交渉の当事者になるということ、そういったことはむしろ積極的に評価していくべきではないかと考えています。

昨日、自民党の山崎幹事長はかなり厳しい口調で「認められない」という趣旨のことを言っておられますが、あまり狭く考えないほうがいいんじゃないかと思っています。

イラク復興支援

【幹事長】それから、イラク問題ですが、戦争も現在かなり収ってきたなかで、日本としての関与が問われていると思います。

前にもこの場で申し上げましたが、一般論として言えば、もちろん我々はこのたびの戦争について、国連憲章との関係上問題があると考えていますし、早い時期に国連が関与する形での暫定政権の樹立という方向に持っていかなければいけないという基本的な考え方に立っていますが、そのことを前提としたうえで、そうは言っても国連関与の暫定政府の樹立には時間が必要であることは間違いありません。

そこの時間をなるべく短くすべきだとは考えますが、現実にそういう空白があるなかで、今、アメリカ・イギリスを中心としたところがイラクの治安問題も含めた対応に当たっているということです。

私は日本も、もちろん治安維持といった軍事的な協力はできませんが、現にそこに怪我をして手当を求めている人がおり、あるいは飢えている人がいるという状況のなかで、やはり日本としてもできる限りの努力をしていくべきだと考えています。

ORHA(米国防総省復興人道支援室)への要員派遣問題についても、ここ数日来いろんな議論がありますが、憲法上問題がないという内閣法制局の見解は、少なくとも文官であればそうだろうと私も思いますし、日本政府がイラク復興に関与していくということも、それをノーと言う必要はないのではないかと考えています。

松浪健四郎代議士の秘書給与肩代わり事件

【幹事長】それから、ガラッと話は変わりますが、松浪健四郎代議士の秘書給与肩代わり事件は、野田国対委員長も言うように、中身を見ると問題点のオンパレードです。

そしてもちろん、松浪代議士には議員辞職を求めますが、昨日以来分かったことは、その松浪代議士を放置する与党の姿で、ここはやはり見逃すことはできないと考えています。

松浪代議士が所属する保守新党はもちろんですが、自民党・公明党も含めた与党3党が、松浪代議士が議員職に居座ることを認めている姿というのは、とても責任政党としての責任を果たしていません。是非、各党の党首・幹事長はこの問題をより真剣に考えていただきたいと思っています。

《質疑応答》

自由党との合流問題に関する全議員個別面談

【記者】自由党との合流問題について、昨日から個別面談を開始されたと思うのですが、これまでの状況と今後の進め方、段取りについてお聞かせください。

【幹事長】昨日から始めまして、今日はずっといろいろ立てこんでおりましたし、これから大分に向かって発ちますので今日はあまりできていないのですが、2日間で40名ほどの方からそれぞれお話を伺いました。

明日・金曜日は朝一番で戻ってきますので、来週の火曜日・水曜日、そのくらいで大体の方々のお話を聞けるのではないかと思っています。

そういうふうに聞いた意見を踏まえながら、最終的には党の意思決定機関である常任幹事会での決定ということになりますが、その前に代表ともよく意見交換をしなければいけません。あるいは自由党とも突っ込んだ議論をしなければならないのではないかと思っています。今のところ方向性については申し上げるつもりはありません。

まあ、今日、一部のマスコミに出ていましたが、私がそれぞれ個別面談をしてどういうふうにお考えかを聞くとともに、「やはり大きな大きな問題ですから意見はいろいろあるでしょうけれども、最終的には機関決定をした場合にはそれを尊重してください」と、それは当たり前のことを申し上げているわけです。

ORHAへの要員派遣

【記者】幹事長がORHAへの派遣について、「日本政府が関与することにノーと言う必要はない」という趣旨のことをおっしゃいましたが、これは政府内にもいろいろ議論がありましたが、ノーと言わない、容認するということについてどのような条件でということは念頭にあるのでしょうか。

【幹事長】まず、文官ということが前提の議論です。1つは憲法の交戦権との関係の議論が一時あったと思うのですが、これは私は内閣法制局の見解でいいのだろうと思っています。

従来の法制局の質問主意書に対する政府の答えを挙げられることがありますが、あそこに書いてあることは「自衛権を行使したあと、その後の占領行政」ということについて述べているものであって、今回自ら自衛権を行使するという場面はないんですね。

そういう意味では質問主意書がそのまま該当するとは思いませんし、私は今回の法制局の見解で納得できるのではないかと考えております。人道的な支援を中心に日本国政府が関与していくということは、ノーと言う必要はないと考えています。

【記者】その件に関して、先日の会見で代表は疑義があるようなことをおっしゃっていましたが、現在党としては問題ないということになったと考えればよいのでしょうか。

【幹事長】菅さんは疑義があるというよりも、「情報などを得る連絡要員の派遣ということであればいいのではないか」ということで締めくくっておられるんですね。

ただ、誤解を招かないように言っておきますと、そういうアメリカ・イギリスを中心とした一種の占領行政は早く終わる必要があるという前提のうえでの話ですね。

早く国連が関与した形での暫定政府の樹立に持っていくべきだということを前提としたうえで、しかし現実にはそこまで時間がかかるとすれば、その間について日本だけではなくて、その他の国も含めて、なるべく多くの国が関与する形でイラクの現時点でできる人道支援を中心とする復興支援に関与することで、将来の国連関与ということにもつながっていくという視点で申し上げていることです。

東京6区補選の選挙戦術

【記者】統一補選について、公認候補がいる東京6区のお話で結構ですが、序盤の情勢と今週末に後半戦に入ってきますが、戦術の力点などをお教え下さい。

【幹事長】国政選挙とはいえ、1つの選挙区における選挙ですから、党を挙げて選挙戦略・戦術についてイニシアティブを取ってやっているわけではありません。それは、やはり選挙区における小宮山選対の皆さんにお考えいただいていることで、ご質問に対してきちんとしたお答えにならないかもしれませんが、それは現実だと思います。

ただ、菅さんも、あるいは鳩山さん、羽田さんもそれぞれ出陣式にはご出席いただき、私も出席しましたが、近いところでもありますし、できるだけ多くの議員がお手伝いする形で何とか勝利に結び付けていきたいと思っています。

私自身はたぶん日曜日の午後くらいから犬になるのか、猿になるのかはたまたキジになるのか分かりませんが、桃太郎のお付きをやれということでありますので、小宮山候補者と一緒に商店街の練り歩きなどをすることになるだろうと思っています。

自由党問題に関する地方の意見聴取、市町村合併に対する党のスタンス

【記者】自由党との合流問題について、国会議員の意見は聞いているということですが、合流する場合、地方組織あるいは地方議員の意見をどんなふうに汲んでいくお考えがあるのかということと、統一地方選の後半戦が始まりますけれど、特に市町村合併問題が各地で論点になっていますが、民主党としてその問題についてどうお考えかお聞かせください。

【幹事長】最初の質問に関してお答えしますと、私も都道府県連とか国政選挙の候補者の方々との意見はお聞きしなければいけないだろうと思っています。

ただ、そこまで個別ということになりますと、時間的にかなりかかりますし、遅くなってしまうので、何かいい知恵はないかなと、今、考えているところです。しかしまずは、現職の国会議員の意見を聞くということに力を置いているところです。

2番目の市町村合併の話ですが合併は望ましい、しかし強制するものではないというのは基本的な党の立場だと思います。

ORHAへ派遣する文官の定義

【記者】ORHAの件ですが、先ほど幹事長が「文官派遣が前提」とおっしゃり、代表は情報連絡要員と言いましたが、幹事長の感じだと連絡要員に限らず他の人も指すという印象があるのですが、少し広がったのか、それとも同義語と考えていいのか、それについてはいかがでしょうか。

【幹事長】情報連絡の定義にもよるんでしょうけれど、私はもう少し一般的な意味で考えています。否定する理由はあまり伺えないと思います。

もちろん、この戦争に国連憲章上問題があったことは事実です。しかし、戦争が現に終息に向かって、法的にはともかく事実上は終わったと言っていい状況のなかで、そこにいる難民化している人たち、あるいは助けを必要としている人たちに対して手を差し伸べていくということは、むしろ日本はやるべきだと。経緯の如何にかかわらずやるべきだと考えています。

つまり、アメリカ・イギリスと協力するという視点でものを見るのではなくて、イラクで困っている人たちに対して日本もきちんと手を差し伸べるべきだと。そういう視点で物事を考えるべきだと思います。

大分に行く人は誰かいる? いないよね……。それでは、明日の朝帰ってまいりますので終わります。

4月10日

○統一地方選—-前半戦は押し迫ってきた、北海道知事選等に全力を挙げる

○イラク戦争後の課題は、復興問題、パレスチナ問題、米単独主義の3つ

○献金制限自民案は透明性を高めようという流れに逆行するとんでもない話

○補選の2不戦敗は総選挙で民主が第一党になるために判断した結果

○フセイン体制が崩壊しても、そのプロセスに問題があったことには変わりない

○イラク復興—-国連がきちんと関与する形をつくるため日本が努力すべき

○有事法制—-14日から全党的論議を開始、極力早期に対案をまとめたい

○新規擁立者支援金、ポスター・掲示板への補助、研修党の新人支援を実施

○有事法制の集約の場面では幹事長として責任を持ってまとめる

○全議員に直接会って自由党との合流問題について意見を聞きたい

○国連決議なしに新法を制定して自衛隊を派遣することには慎重であるべき

統一地方自治体選挙

【幹事長】私からは3点申し上げたいと思いますが、第1は統一地方自治体選挙の前半戦についてですが、今度の日曜日が投票日ということで、かなり押し迫ってきました。 それぞれ大事な選挙ですが、特に知事選挙、自民党と我が党が推薦する候補者が激突する形になっている北海道を始め、各重要選挙区において最後の力を振り絞って党としては対応していきたいと考えています。

私も明日午前中は神奈川、それ以降は北海道ということになっています。土曜日の午後8時まで北海道で最後のお願いをすることになっています。

鉢呂候補がかなりいい戦いをしていますので、是非総力を挙げて北海道の将来のため、鉢呂知事誕生に全力を挙げたいと思っています。

イラク戦争後に残された3つの問題

【幹事長】第2はイラク問題ですが、今日の朝刊を並べて見ると、大体各紙同じような見出しが出ていました。戦争が長期化するのではないかという見方もありましたが、早く戦争が終わる見通しが立ちつつあることは、それだけ長引けば長引くほど犠牲が増える可能性がありますので、そういう意味では望ましいことだと考えています。

まだいろいろ続いているようですが、早く完全終結に向けて物事がこれから多くの人命が失われることなく進んでいくよう期待したいと思っています。

ある程度、そちらのほうの目途が立つと、残された問題が3つあると私は思います。1つ目はイラクそのものの復興問題です。これはやはり特に難民の問題ですとか、人道上の支援を求める人々がたくさんおられるわけで、そういった支援をまず手始めに、中長期的にはイラクが国として成り立っていくように国際社会が協力していかなければならない問題だと考えています。

早い段階で、国連を巻き込んだ形での復興ということになることを期待し、そして日本国政府としてもそうした方向での努力を強く求めたいと思います。

2つ目は、中東の基本的な和平の条件を整えるということで、基本的に中東の問題はイスラエルとパレスチナの問題に根っこがあることは疑いのない事実で、アメリカの政権、あるいは我が国も含めて、中東和平についてのそれなりの努力はしてきたと思いますが、これからテロの問題などを根絶していくためには、ここの根っこの問題をきちんと解決しなければいけないということを、国際社会のなかで、もちろんアメリカも含めて、真剣に取り組むように日本もイニシアチブを発揮していくべきだと考えています。

3つ目は、今回の戦争の1つの原因になっている、アメリカの先制攻撃・単独攻撃という考え方、もう少し広く言えば、アメリカの孤立主義につながりかねない活動・考え方。そういったものに対して、やはり国際社会に引き戻していく努力が強く求められるわけで、これは非常に深刻な問題だと、今回のイラク戦争の経緯を見ていても、21世紀の世界の平和のあり方そのものが根本から問われる問題だと私は考えています。

この問題は私が本会議で質問したときにも「内政干渉はしない」というような言い方で、ほとんど政府は何も答えていませんが、やはり同盟国としてアメリカがいかにあるべきか、振る舞うべきかということはお互いの信頼関係をベースにしながらしっかり話し話し合っていくことが必要だと思います。

日米同盟というのはもちろん相手があって成り立っていることで、アメリカが国際社会のなかでどういうふうになっていくかということは日米同盟の本質そのものも影響を受ける問題だという認識をしっかり持つべきだと考えています。

自民党政治改革本部の企業・団体献金「制限」案

【幹事長】第3に、「政治とカネ」の問題ですが、自民党政治改革本部でいろいろと議論されています。まだ最終決定ではないと私は理解していますが、5万円の公開基準を引き上げるという話があります。

これはいろんな努力のなかで5万円という基準が設けられているわけで、これを上げるというのはとんでもない話、つまり透明性を自らなくす話でありまして、世界のどの民主国家を見ても次第にそういう政治資金の透明性を高める方向にあるなかで、それを公然と逆行させるというのは例を見ないとんでもない話だと思います。

これはもともと自民党長崎県連の問題などがきっかけになってるわけですが、そこで「政治とカネ」の問題をきちんとしなければいけないというなかで議論した結果が、結局透明性を低める結論になったわけで、泥棒に入ったら咎められたから居直り強盗をしたということとしか私には受け取れません。

そのことに対して、我が党も含めて国会でしっかり議論しながら、そういうことは絶対に許さないと。これは同じ与党である公明党にも求めたいと思いますし、国民的なそういう世論をつくっていかなければいけないと考えています。

もちろん、小泉総理もいろいろ口では言われるわけですから、言われるならちゃんとやってくださいと。少なくとも、逆行するようなことは絶対認めないということは最低限やっていただきたいと思います。

《質疑応答》

米英軍即時撤退の意義

【記者】イラクの件ですが、これまで国連決議なしの武力行使には反対であると主張されてきて、加えて体制転覆のための武力行使にも反対であるとおっしゃっていて、実際にイラク攻撃が始まってからも即事撤退とおっしゃっていたと思いますが、そういうこととは全て逆の方向に進んできている状況のなかで今のお話をお伺いすると、早く戦争終結して欲しいというのはこれまでの主張を踏まえたうえでの発言としては、私は説明が足りないという気がするのですが。

【幹事長】現実ここまで事態が進んだときに、直ちにやめて撤退しろとか言うことはほとんど意味を持たないと思います。そういう現実を踏まえて、今の段階で申し上げたということです。

私が、国連決議を経ない武力行使について反対をするという基本的な考え方は全く変わっていません。だからこそ最後のところで、このあと検討すべき3点のうちの1つとして、アメリカの先制攻撃・単独行動を申し上げたわけです。

衆参補選2選挙区の候補者擁立見送り

【記者】補欠選挙についてお伺いします。参議院の茨城の補選が告示されました。衆参統一補欠選挙に向けての幹事長としての方針と、今回4つの補欠選挙のうち民主党の公認候補者は1人ということで、国政選挙で国民に選択肢を示せなかったことについてどうお考えかお聞かせください。

【幹事長】参議院は今日ですが、ご指摘のように参議院は候補者を出しておりませんので来週の火曜日が衆議院のスタートということになります。1人だけというお話でしたが、我々は2人だと考えています。つまり自由党の候補者は我々の候補者と同じですから、1人だけというご指摘は当たらない。そのうえで参議院の茨城の補選に候補者を立てなかったこと、衆議院山梨3区で立てなかったことこの2つについては以前にもこの場でご説明していると思いますが、参議院茨城補選の場合には我が党には現職の議員がいます。任期も1年少々しかありません。そういうなかであえて立てるということにどれだけの意味があるのかという気がします。

山梨3区の場合はできれば立てたほうが良かったと私は思います。しかし、いずれにしても大事なことは、次の総選挙で我々が第一党になって民主党中心の政権をつくるということが最も重要なことですから、これも選挙まで任期いっぱい務めたとしても1年少ししかない状況で、恐らく年内には選挙があるでしょう。

そういうなかで総合判断して、まさしく次の総選挙で勝負をかけるということが望ましいという判断をしました。あまり具体的な詳しいことは申し上げられませんが、幹事長として判断した結果です。 選挙になったら全部に候補者を立てなければいけないという考え方に私は立ちません。ポイントは次の総選挙で第一党になって民主党中心の政権をつくる、そのために何をすべきか—-。そういう視点から判断しています。

フセイン体制崩壊と復興支援

【記者】イラクですが、結果的にフセイン政権を打倒したということになろうかと思いますが、そうなるということについて良かったと思われるか、それとも他の道があったんじゃないかと思われるのかというのが1点。

それから先ほど挙げられた3点のうち、イスラエルとパレスチナの問題と、人道支援・戦後復興の話で日本がイニシアチブを取ってやるべきだという話がありましたけれども、パレスチナ問題や戦後復興の問題に具体的にどういうふうに関わるべきかお聞かせください。

【幹事長】もちろん、国際的なルールのなかで行動されるべきだったと考えていますから、国連決議がないままでのアメリカの武力行使の結果としてのフセイン体制の崩壊ということになったわけですが、フセイン体制崩壊そのものは別として、やり方・プロセスが問題であるということはそのとおりだと思います。

我々は別にフセイン大統領を擁護する立場には立ちません。今まで彼が取ってきた行動は問題があったという前提に立ちますが、しかしだからといってプロセスが結果的にこれで良かったのだということにはなりません。

基本的には主権国家である以上、それが国際的に認められたルール以外の形で体制が変わるということは、個々の事情を取ればフセインは悪い奴だからといういろいろな議論ができたとしても、そういったことは世界全体の平和維持の仕組みに大きな影響を与えることは間違いのないことで、それで良かったとはとても言えません。

2つ目の、具体的にということですが、もちろん中東和平の問題は非常に複雑な問題ですが、やはりここはアメリカがどれだけイニシアチブを取るかということだと思います。カーターのときもクリントンのときもアメリカとしては真剣に取り組んできた経緯がありますから、是非ブッシュ政権に対して同盟国として働きかけていくことが非常に大事だと思います。

アメリカを抜いての中東和平というのは現実にはなかなか難しいと思います。イスラエルを支えている最大の国はアメリカであるということもありますから、国際社会全体のなかで取り組みべきです。

しかし、日本も従来パレスチナにも経済援助をしたり、いろいろな形で関与してきました。しかも手は汚れていないという立場もあります。今回のアメリカの行動を支持したことは、アラブ社会からどう受け取られるのかということはもう少し見てみないと分かりませんが、より中立的な立場で日本の関与というのは求められていると思います。

復興支援のほうは先ほど申しましたように、国連がきちんと噛む形を早くつくり上げるということですね。それが他の国々、イギリスあるいはフランスそういった国に働きかけるなかでそういう国際世論をつくっていく責任が日本にはあると思います。

もちろん国連が噛む以前からできるような周辺国の難民の問題でありますとか、つまり現行PKO法の枠外で今できることですね、そういうことについてはどんどん進めていくということだと思います。

有事法制民主党案の進捗状況

【記者】有事法制について、与党側が今月30日に衆院通過を予定しているという話がありますが、それについて、30日までに民主党の対案が時間的に間に合うのか、もう1点は与党側が採決を強行してきた場合の対処はどのようにお考えでしょうか。

【幹事長】仮定の議論はあまり答えないほうがいいと思うのですが、この話は何日までにというのは次々にバナナの叩き売りのように出されるんですね、山崎さんが言っていることが多いのですが。

まあ、どういうことなのかなと、幹事長の発言も随分軽くなったという感じはしますね。あまりそういう仮定の議論に真面目に答えるつもりはありません。

ただ、やはり国会でしっかり議論すべき大事な法案です。だからこそ我々も今までも真剣に議論してきたし、具体的な問題点もすでに私の質問趣意書でも民主党としての正式なペーパーでも指摘しているわけで、それに対して全然答えてないわけですよね。

1つ、武力攻撃事態の定義のところだけは書かれましたが、あとは全く答えてませんので、そういうことについてしっかりと答弁をしていただくということがないと、答えないまま採決をするということになればそれは我々としてはとても「分かりました」とは言えないと思います。

【記者】対案は?

【幹事長】対案は役員レベルではすでに議論を始めていますし、来週14日からは全党的な議論も始めますが、なるべく早くまとめたいと考えています。

新人候補者支援策

【記者】新人候補者への支援策が始まったようですが、その状況を教えていただけますか。

【幹事長】具体的に今決まったのは、1つは前の総選挙以降新たに候補者になった方に対してスタートするための資金として1人200万円、全体として6000万円くらいでしょうか、30人ぐらいいるんですよね。それを支給したはずです。

もう1つは選挙区に立てる掲示板、ポスターそれぞれについて、確か掲示板は300枚、ポスターは上限40万円でしたか、8割を補助するということで注文を受け付けているところです。注文が揃ったところで、掲示板というのは大量生産しますので、発注をして配布をするということになります。今どんどん進んでいる最中で、注文取りは終わっていると思います。

あと、研修を多分5月の後半ということで上田清司さんに指示を出していますが、多分、東京になると思います。大阪という話がありましたが東京で行い、新人議員その支持者ないし秘書1名、現職国会議員の地元秘書1名というような組み合わせで1泊の研修をしたいと思っています。

そこでいろいろなお互いの知恵を出し合ったり、現職の秘書から後援会づくりとか労組との関係などいろいろなことについての示唆をもらうという実りある研修にしたいと思っています。

亀のエサに夢はあるか

【記者】自民党の亀井さんが昨日、今の与党に民主党からこぼれてきた人を入れて挙国一致政権をつくるんだというようなことを言っていました。有事法制の対案のからみのことかもしれませんが、そういう発言に対してどのように思われますか。

【幹事長】「こぼれる」という表現がまさしく何といいましょうか、あまりいい表現じゃないですよね。私たちにはそういう人はいないと考えています。こぼれて亀のエサになるような人はいないと思っています(笑)。政治家として、そこに何の夢があるのでしょうか。

有事法制と自由党合流問題に対する執行部の責務

【記者】有事法制の法案に対する対応についてと、自由党との合流問題の可否の党内議論が始まると聞いておりますが、いずれも党内に鋭い対立意見を抱えていますが、執行部としてこの2つをどのようにまとめていくのか、あるいは今までバラバラということが言われてきましたが、見通しを含めて幹事長の見解をお聞かせください。

【幹事長】バラバラというのは皆さんがつくったイメージじゃないかと思いますが、私はいろいろな幅広い意見があるのはいいと。むしろそれが民主党の強みであると考えています。問題はそれを集約できるかどうかです。そういう意味で集約の場面に入ってきていますから、ここは執行部としての鼎の軽重が問われる場面だと考えています。

有事は14日から党内で議論を始めますが、まずは前原誠司安全保障ネクスト大臣(緊急事態法制プロジェクトチーム座長)や枝野幸男政調会長、伊藤英成外務ネクスト大臣などを中心に議論をしていただくわけですが、集約の場面では幹事長である私が責任をもってまとめていかなければならない場面が出てくるだろうと考えています。それはしっかりやろうと思っています。

それから、自由党との問題はより直接的に責任を負ってるわけで、来週の後半くらいから個別に面談をして、現職議員がたくさんおられますから大変ですがなるべく直接私がお会いをして、一部は幹事長代理とか参議院幹事長にお願いをすることもあるかもしれませんが、基本的には全員フェイス・トゥ・フェイスでお話をしてそれぞれのお考えをしっかりお聞きをして、それを踏まえて執行部としての結論を出したいと考えています。

イラク復興支援法

【記者】イラク復興支援法というものを新たにつくることについてはどのようにお考えでしょうか。

【幹事長】復興支援法の問題は具体的な中身が必ずしもよく分からないのですが、国連決議があって国連の要請があればPKO法でかなりの部分で対応できますよね。従って、そういう国連の要請がまだない状況で、アメリカ、イギリスの要請に基づいて自衛隊を出すとか、そういう話であればそこは慎重に考えたほうがいいと私は思います。

国際社会が一致してこの復興支援の問題に取り組んでいくことが重要だと考えますので、日本だけがそういう形で行ってしまいますとそれだけで進んでしまいますから、各国歩調を合わせてできるようにするということが基本的に大事だと思います。

政府案の修正・可決という戦術

【記者】有事法制について、民主党内の保守系のなかには対案をつくってもどうせ否決されるのだから、そういうものより政府案を修正して賛成したほうがいいのではないかというような意見の方もいらっしゃるように見受けられますが、そういう意見が出ていることについてどのように思われますか?

【幹事長】交渉に当たって最初から手の内を見せる、カードを切るというのは最低のやり方ですよね。まずはしっかり交渉を始めなければいけないわけで、私は今検討されている我が党の対案というのはかなり中身のあるものですので、与党もその魅力に相当惹かれるんじゃないかと思っています。

最終的にどういう形になるのかというのはそのうえで話し合いをしていくなかで決まっていくことですから、最初から丸呑みするんだとかそういう話ではないし、現実にいろんな問題点が政府案にはあるわけで、そういうことにはならないだろうと思います。それくらいの柔軟性が政府・与党になければ、国会をやる意味ないですよね。

私の私見ですが、テロ特措法のときのようにこちらの条件をきちんと示して、そしてそれを呑めば賛成するし、呑まなければ反対する。基本的にはこういうことだと思います。

そこまでいくには、交渉して絞り込んでいかなくてはならないですけれどね。我が党の緊急事態基本法案などは賛成する余地があるんじゃないの?

鳩山前代表との会談

【記者】自由党との協議の話に戻るのですが、今朝、鳩山前代表と自由党合流問題について意見交換をされたかと思うのですが、鳩山さん側からどのようなお話が出たのでしょうか。

【幹事長】個別にお会いしている中身はお話できません。ただ、自由党の問題だけでお会いしたのではなくて、私の尊敬する前代表ですから時々お会いをしていろいろな意見交換をする、その一環です。

本当は昨日お会いする予定でしたが、飛行機の便の都合で今日になって、自由党の問題、有事法制の問題、その他北海道の知事選の話などいろいろな問題を議論しました。特に具体的に申し上げる立場ではないと思います。

4月3日

○民主的で透明な公務員制度改革を野党3党で総理に申し入れ

○サラリーマンの医療費窓口負担を2割に戻す法案を野党4党で提出

○統一地方選—-限られた時間だが前半戦は4知事選を中心に精一杯頑張る

○PAC3導入は必ずしも大きな制約があるわけではなく大いに議論すべき

○有事対案—-しっかりとした議論が重要で与党に乗って急ぐ必要はない

○自由党との合流の可否は、丁寧な党内論議を経てから結論を得たい

○個人情報保護法案の対案を野党4党で提出、特別委で国会審議入りへ

公務員制度改革に関する総理への申し入れ

【幹事長】今、総理官邸で福田官房長官と野党3党(民主、自由、社民)の幹事長が 会いまして、「民主的で透明な公務員制度改革を求める申し入れ書」を提出してきま した。

この問題は従来から大きな問題として、何度か我々としても取り上げてきました が、諸般の状況を見ますと、政府が法案の閣議決定を急いでいるのではないかと思わ れますので、改めて3党の幹事長名で総理宛てに、実際にお会いしたのは官房長官ですが、申し入れを行いました。

従来から申し上げていますように、ILO(国際労働機関)は「日本政府案は労働 基本権を制約したもので国際労働基準に反している。内容を見直すべきだ」という改 善勧告を行っています。

そういった主張を一顧だにしない政府案については、我々は大きな問題があると考 えていますので、もし、このまま閣議決定を強行するということがあれば、野党3党 は一致結束して国会審議にも重大な決意を持って臨まざるを得ないと申し上げておき ました。

政府はILOの勧告を最大限尊重して、そして関係者と十分な交渉協議を行い合意 を得る努力をすべきだと。法案の国会提出に当たっては、そういった手続きを経たう えで、閣議決定・国会提出を行うべきだと言うことも申し上げました。

私から、そういった総論的なことをお話したうで、特に公務員が気持ちよく効率的 に働く環境がきちんと準備されるということは、国の基本的な問題、重要な問題であ るという認識の下で、慎重にしっかりとした対応をしていただきたいということを申 し上げておきました。

各党の幹事長ならびに、自由党だと山岡国対委員長、我が党だと川端組織委員長、 社民党だと中西国対委員長からもそれぞれ発言がありまして、最終的には官房長官も 「これが重要な問題であることは認識している。関係者とも協議したい。まずはIL Oに対してきちんと説明している最中だ」というお話でした。

我々は、ILOはきちんと認識したうえで勧告を出しているということを重ねて申 し上げておきましたが、いずれにしても、我々としての考え方を3幹事長の名前で示 したということです。

サラリーマンの医療費窓口負担を2割に戻す法案

【幹事長】次に、サラリーマンの医療費窓口負担は残念ながら4月1日から3割にな りましたが、これを2割に戻す法案を提出しました。

我々が準備した引き上げ凍結法案が議運(議院運営委員会)で葬り去られた形に なっていますが、我々としては必要のない3割負担だと考えていますので、改めて2 割に戻す法案を提出させていただいたところです。

15ほどの県議会においても3割負担反対の声が挙がっていますが、統一地方自治 体選挙もありますので、そういった場面でも是非党派を超えて反対の声が挙がること を期待していますし、国民の皆さんに対してしっかりと訴えていくなかで、是非実現 したいと考えています。

統一地方自治体選挙

【幹事長】その統一地方自治体選挙ですが、知事選がすでに始まってまして、私も北 海道に1日行ってきました。

昨日、一昨日は私の地元でもある三重県で野呂候補の応援で集会などにも参加させ ていただきましたし、この週末は名古屋と大阪に地方議員の方の応援も兼ねて行くこ とにしています。

特に前半戦で重視しているのは知事選挙、そのなかでも、いつかも申し上げたと思 いますが、北海道、東京、神奈川、そして三重です。

とりわけ北海道は、それぞれの政党の推薦候補が出て戦っていて、一番はっきりと した対決の構図になっていますが、是非ここで勝利したいと考えています。

他の選挙区も、神奈川は松沢成文さんが出ています。我が党の推薦はあえて出して いませんが、しかし民主党の衆議院議員をしていた松沢さんですから、自主的に民主 党議員の多くは松沢さんを応援しています。

それから三重県の場合は、自民党のほうが逆に候補者を出していませんので、地元 で演説していてもなかなか話がしにくいのですが、自民党批判をしても意味がありま せんので、しかしここは我が党は野呂さんを推薦していますので、しっかりと応援し たいと考えています。

東京都は出遅れ感はありますが、しかし確実に樋口恵子さん支持の声は広がってい ると思っています。

限られた時間ですが、精一杯頑張っていくなかで、いい結果を出していきたいと、 そんなふうに感じています。

ミサイル防衛

【幹事長】最後に、今日一部マスコミに北朝鮮問題との関連で、前回の記者会見で話 題になりましたMD(ミサイル防衛)の話とか、あるいはミサイルによる敵基地攻撃 の問題が出ていました。

前回も申し上げましたが、MDについては私は「北朝鮮のことで」ということでバ タバタと議論する必要はないと思っています。

ただ、この問題は国会や党内で真剣に議論する価値があると考えていますので、菅 代表のご提起もありましたが、もちろんプラス・マイナス、従来からの指摘もありま すので、そういうものをきちんと踏まえながらしっかりとした議論をしていくべきだ と考えています。

ただ、MDと言っても本格的なMDの話と、今いろいろ議論されているような、パ トリオット・ミサイルの改良型(PAC3)の話と両方あると思うんですが、本格的 なMDのほうはまだ時間がかかると思いますし、集団的自衛権の問題などの議論にな る余地があると思います。

一方、PAC3導入については従来の延長線上での話であって、もちろん、どの程 度のコストがかかるのかとか、コストに見合った効果があるかといったという議論 は、これからしっかりしていかなければいけないと思いますが、必ずしも大きな制約 あるわけではないと思いますので、党においても国会においても大いに議論すべき課 題だと考えています。

《質疑応答》

統一地方選挙での民主党候補者数

【記者】明日より道府県選と政令市議会選が告示されますが、この位置付けについて と候補者270人弱の候補者を立てられましたが、4年前に比べて10人程度増えた だけということで、もう少し立てられなかったのかということについてお伺いしま す。

【幹事長】それぞれ都道府県でだいぶ状況が違いますので、一概に申し上げられない と思います。

もちろん、公認候補・推薦候補が多ければ多いほどいいというのは一般論として言 えると思いますが、幅広い支持を結集していくなかであえて公認をとらないで推薦に とどめるという候補も現実多いわけで、そのことが必ずしも駄目だということでは私 はないと思っています。

国会の場合は議員内閣制でありますが、地方議会の場合には大統領制です。もう1 つは小選挙区ではないわけです。多くの場合、地方は中選挙区のままです。

そういったことで、必ずしも国の政党の色分けと地方がうまくミートしない部分と いうのはやむを得ないところがありますので、もう少し私も増やしたかったという思 いが一方でありながら、そのことが重大な課題であるかというと、私は必ずしもそう 考えておりません。

有事法制の対案提出時期

【記者】有事法制についてですが、対案を今月の14日までに提出するというのは可 能でしょうか。

【幹事長】これからの議論なのですが、私が不可能であるということを言う立場には ありません。

ただ、党のなかで本格的な議論をこれからしていくということですので、14日が 可能か不可能かと言われればそれはなかなか難しいのではないかと思っています。ま た、その必要性が私はよくわかりません。きちっと議論をしていいものを出せばいい と考えております。

この議論を続けていきますと、質問者の意図はともかくとして与党の統一地方選の 材料にする、その議論に巻き込まれてしまいますので、私としては慎重に答弁してお きたいと思います。

【記者】そうしますと、成立の目途というのはどの辺において党内議論を進めるお考 えですか。

【幹事長】これから議論を本格化していくなかで、先が見えると思います。ただし私 たちはきちんと出します。

是非与党のほうにも注文をつけておきたいと思いますが、北朝鮮の情勢もあるとい うことをよく言われますので、そうであれば国民保護法制も、あるいはテロや不審船 への対応もしっかり政府案を出していただきたいと申し上げておきたいと思います。

【記者】党内論議はいつぐらいから始められる目途でしょうか。

【幹事長】そうですね、今、統一地方選挙をやっているのでもちろん後半戦もありま すが、特に前半戦は4つの知事選を中心にそれから県議選などもそれぞれの候補者に とって非常に重要な選挙ですから、なかなか党内の議論もそう何度もできる状況には ないのではないかというふうに思っています。

もちろん全体状況を見ながらの判断ですので、我々は引き伸ばす意図でやっている わけではありませんが、できれば前半戦が終わったあとの本格的な議論ということに ならないものかと考えております。

自由党との合流問題

【記者】自由党との合流問題について、自由党から早く結論を出して欲しいという話 が出ているようですが、それに関しての幹事長のお考えをお聞かせください。

【幹事長】自由党の藤井幹事長も渡辺選対委員長もいろいろな問題があることはよく 分かったうえで、「そうは言っても早く」というお話だと思います。

当初のお約束、これは文書で合意しているものですが、統一地方選挙のあと結論を 得るということになっていますので、なるべくそれに間に合うタイミングで議論の集 約が必要だと思っています。

私としては丁寧に党内の意見も聞いていきたいと思っていますので、それを統一地 方選挙の中でどういうタイミングで始めていくのか、いろいろな期別懇とか議員懇談 会なども少しやっているわけですが、本格的にいつから始めるのかというのはまだ検 討中であります。

議論の前提となることについて今日再度確認させていただいたのですが、一部党内 で自由党の考え方として示されていたことがそういうことはないと今日改めて—-こ れは一度確認しているのですが—-確認できましたので、どういう前提で議論をする のかというのは大事なことですので、それははっきりさせたうえで議論していかなけ ればならないと思っています。 言ってる意味は分かりますね?

医療費負担2割引き戻し法案の対象範囲

【記者】医療費3割負担を2割に戻す法案を出したということですが、例えば国保と かサラリーマンの家族なども3割負担なんですが、これを2割にということは考えて いるのでしょうか。

【幹事長】今回新たに2割が3割になった部分についてそれを戻すという法案です。 もちろん、「多々ますます弁ず」という議論もありますし、全体の財政の収支の問 題も考えなければいけませんが、我々の計算では今3割にしなくてもしばらくは大丈 夫だと考えておりますので、そういう裏付けも持ったうえで今回2割に戻すというこ とを申し上げているわけです。ですからご質問に答えるとしたら「そこまでは考えて いない」ということです。

個人情報保護法野党4党案

【幹事長】他に何かありますか。……あとでその辺で聞かれても答えませんからね。 (笑)

【記者】今日、野党4党で個人情報保護法案の対案を提出される運びと聞きました が、もともと野党は内閣委員会での審議を求めていました。与党側が主張していた特 別委員会を新たに設置してそこで審議するということになり、党内では今日の代議士 会でも若干批判が出たようですが、それについてはどのように思われますか。

【幹事長】今日ご存じのように昼の代議士会で佐々木内閣委員長のほからお話があり ました。基本的には国対が委員長に直接お話する問題ではないと私は思います。基本 的には国対と内閣委員会筆頭理事とのコミュニケーション、必要があれば筆頭理事が 委員長にご説明をするということだと思うんですね。

ただ、残念なことに筆頭が北海道の知事選で昨日おられませんでしたので、そこで 意志疎通に欠ける部分があったのかもしれません。これは言った言わないの話になっ てしまいますが、私としてはこういう時期でもありますので意思疎通はお互いよくし ていく、特に意を用いていく必要があると。それは国対だけではなくて党務を含めて 丁寧にやっていく必要があるなと改めて感じました。野田さんには終わったあと肩を ポンと叩いておきました。

【記者】特別委員会で引き続き審議することになったということに関して幹事長の所 感はどうなんでしょうか。

【幹事長】それは残念なことですが我が党も含めて、決まったことですからそれにつ いてあとからそれ以上のことを言うつもりはありません。

国対で判断して最終的に決めたことで、強行採決で決まったわけではありませんの で、国対がお決めになったことを最大限尊重するのは幹事長として当然のことだと思 います。




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