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1997.10.29|国会会議録

141回 衆議院・財政構造改革の推進等に関する特別委員会

岡田委員 新進党の岡田克也です。

きょうは、官房長官の記者会見の関係で十一時二十分ぐらいにおいでいただくということですので、若干質問の順序を変えて御質問したいと思います。

まず、けさの朝刊各紙が伝えているわけでありますが、自民党の菊池代議士の長男の買収容疑の上告審で、最高裁が上告棄却の判決をした、したがって有罪判決が確定することは確実である、そういう状況の中で菊池代議士が議員辞職を表明した、こういうことが報道されているわけでありますが、この菊池代議士の議員辞職について、自治大臣、どういうふうにお考えでしょうか。

上杉国務大臣 連座制につきましては新聞で報道されておるとおりでございまして、こういう問題については極めて遺憾なことであると考えております。

今後のことについては、裁判によりまして確定することが必要であり、それぞれの事実関係に基づきまして判断をされるものと思っております。

岡田委員 私は、議員辞職についてどう思うかというふうにお聞きしたわけであります。

もちろん、議員辞職しても、今の大臣のお話もあったように、検察側の行政訴訟、特に立候補制限の訴訟というものは起こされるわけでありますから、法的にはほとんど意味のないことだと思いますが、いずれにしましても、この前の衆議院選挙で当選をした議員の中で、連座制の適用ということが現実の問題として一つ出てきたということであります。もう一件、同様に衆議院議員の中で、同じような状況で進行中の事件もございます。

こういった連座制の強化ということについて、これは政治改革の一環としてやってきたわけですけれども、自治大臣、連座制を強化したということについて、大臣の御感想をお聞かせいただきたいと思います。

上杉国務大臣 連座制を強化したことによりまして、選挙違反というか、それによる検挙数は減っておるわけでございます。非常に効果があったと思います。また政治家みずからも、選挙を受ける、その洗礼を受けるに際しましては、それなりの対応というものは当然必要でありますし、そのような意味では、連座制の強化については評価をいたしておるわけでございまして、今後さらにこれをどうだということについては考えておりません。

岡田委員 確かに、例えば前回の衆議院選挙における公職選挙法違反の検挙者や逮捕者の数は、その前に比べると大体三分の一ぐらいになっているということですから、確かに連座制強化の効果はあった。これは政治改革の一つの成果だというふうに私も思います。

そこで、一つ大臣にお答えいただきたいわけでありますけれども、連座制ということに関係して、これは組織的運動管理者が公職選挙法違反の場合に連座制の問題になるわけでありますけれども、選挙の前に後援会の例えば幹部や活動家を政党支部の職員に臨時にして、そして政党支部の職員であるから連座制の適用はないんだ、つまり組織的運動管理者じゃないんだ、政党支部の職員だ、そういうことがもしあるとすれば、これは法律的にはどういうことになるのでしょうか。

私は、選挙前にそういった形で臨時職員にしたとしても、実態が選挙運動をやっているのであれば、組織的運動管理者としての立場というものは実質的にはそうでありますから当然連座制の適用がある、こういうふうに思うわけでありますが、大臣の御見解を聞かせていただきたいと思います。

上杉国務大臣 臨時職員の実態がどういうものであるか、それがよく私わかっておりませんから、確たる答弁をするということにはなりませんけれども、もしそれが脱法行為であったり、あるいは選挙をするための便宜上のものであったり、そういうものは十分見きわめていき、また、法と証拠に照らしてこれは公安委員会としては対応する。自治省としても、そういう抜け道とかそういうものが連座制の中にあるとすれば、それは検討するものであるのかないのかも含めて十分考えていかなければならぬと思っています。

岡田委員 今の大臣の御発言は、それが脱法的なものであれば当然連座制の適用の対象はあり得る、こういうふうに私理解をいたしました。それでもし異論があれば、またおっしゃっていただきたいと思います。

現実に、前回の選挙の際にも、党職員になればそういう連座制の適用はないんだ、そういう話がうわさとして随分出回りました。あるいは、そういう形で意識的に党の臨時職員に活動家や後援会の幹部をしていたという話も聞くわけであります。さらには、党職員だからということで例えば日当を払う。これは本来なら買収であります。しかし、何百人という臨時職員に、実体は後援会の幹部でありますけれども、日当として一日幾らと払う、こういうこともあったのではないかという話もあります。

しかし、もしそういうことがあったとすれば、そして、それが大臣おっしゃるように選挙の前にそういう形で臨時職員に任命して脱法的に行われたということであれば、これは当然、公職選挙法違反、買収であり、そして連座制の適用もある、こういうことになると思いますが、確認のために大臣の御発言をお願いしたいと思います。

上杉国務大臣 私は、脱法行為だとは決めつけていないのです。それは、実態というものが十分わかりませんから、どういう目的でどういうふうになったのかというのがあるわけでございまして、脱法行為だという前提を置いて申し上げるのではなくて、実態を見た上でそれは判断されるものだ、こういうふうに申し上げたわけでございまして、その考え方は、今の質問に対してもそのようにお答えするしかないと思います。

岡田委員 通常、後援会の幹部とかあるいは運動員として活動している、当然みずからの職業を持っておられるわけですね。その方を、選挙の一定期間前に臨時職員に、しかも一人や二人じゃなくて何十人、あるいは場合によっては何百人とする。これが脱法でなくて一体何なのでしょうか。そういう実態について大臣は脱法だと思われますか、それともそうじゃないと思われますか。

上杉国務大臣 そのような実態を私正しく把握しておりませんから、今ここで脱法かどうかということを言えと言われても、それは無理なことだと思います。

岡田委員 何か大臣誤解しておられると思うのですが、私は具体的な事例について言っているのじゃないのですよ。今言ったようなことであればこれは脱法じゃないですかと申し上げているわけで、別に、だからこういう事例があると私言うつもりはないのです。別にそう防衛的にならなくてもいいと思うのですが。

上杉国務大臣 私が申し上げているのは、実態を把握していないということと、それから、仮定の話に対して脱法かどうかと言われても、それはどうだこうだと言うわけにはまいらない、こういうことであります。

岡田委員 最初に大臣は、脱法ということも場合によってはあり得るというふうに発言されましたね。そこはいいですね。

上杉国務大臣 そういう行為が見られたとすれば厳正に対処しなければならないと申し上げたわけであります。

岡田委員 せっかく公職選挙法を強化して連座制を強化しても、いろいろな形で抜け穴ができて、そしてそれに対して摘発がなされないということになりますと、それが今度は一般化する、こういうことになってくるわけでありまして、私は今申し上げた件は非常に懸念をしております。ぜひ、これから参議院選挙もありますし、厳正に取り締まりをしていただきたい、そういうふうに思います。

さて次に、公務員の人件費、公務員制度についてお聞きしたいと思います。御心配の方はいろいろやじを飛ばされるのだと思うのですけれども、人件費の問題です。

この法案の三十二条に、「政府は、集中改革期間中においては、適切な措置を講ずることにより、人件費の総額を極力抑制するものとする。」こういうふうに書いてございます。ここで言う「極力抑制」ということの具体的な中身というものは、一体どういうことをお考えでございましょうか。

三塚国務大臣 三十二条の「極力抑制」ということは、まさにできる限りの総人件費を抑制すべし、こういう一語に尽きるのではないでしょうか。

岡田委員 この人件費の問題について、非常に三十二条の書き方は抽象的であります。例えばそのほかの項目は、大体、まず来年度予算について具体的にどうするということが書いてある。そしてその次に、集中改革期間についてはどうするということが書いてあります。しかし、ここはみんなひっくるめて集中改革期間ということでくくっておりますし、そして、その具体的中身も「総額を極力抑制する」と、当たり前の話ですね。具体的なことが何も書いてないわけであります。

それで、この人件費の問題というのが今までどういうふうに扱われてきたか。

例えば、三月十八日の財政構造改革五原則の中に、「歳出の改革と縮減は、「一切の聖域なし」とする。」こう書いてありますね。集中改革期間中における「主要な経費について具体的な量的縮減目標を定める。」こういうふうに書いてあります。同じ三月十八日の「歳出の改革と縮減の具体的方策を議論するに当たっての基本的考え方」、この中では、「各分野における改革と縮減の具体的方策の検討事項」の中で、「定員及び人件費の抑制について検討する。」こういうふうに書いてあります。三月十八日の時点では、定員及び人件費については、その抑制について具体的に改革と縮減の具体的方策を検討するという項目の中に書いてありながら、いつの間にかその具体策がどこかに行ってしまったのではないか。

同じく財政構造改革会議の四月二十一日の資料の中では、人件費は九年度予算において、約十一兆円と一般歳出の四分の一を占め、その増加額は約二千四百億円と一般歳出全体の増加額の四割を占める、こういうふうにも書いてあります。つまり、人件費というのは全体の歳出の四分の一だ、そして九年度予算においては増加額の四割を占める。

つまり、これだけのウエートの大きなもの、したがって当然主要な経費であります、これについて、一方では聖域なしだ、こう言いながら、ここに聖域を設けているんじゃないか、具体策は何もないじゃないか、こういうふうに思うわけでありますが、この点についての基本的なお考えを聞きたいと思います。

三塚国務大臣 御指摘のとおり、財政構造会議の段々の論議の中で積み上がり、六月三日、財政構造改革の推進について、閣議決定を行って、法制化をし、御提案をさせていただきました。そういう点で、総人件費を極力抑制するという規定をここに明示をさせていただきました。

聖域なき削減と見直し削減と関連いかんということであります。ですから、聖域なき削減ということの中で、まず総人件費の抑制の前に総定員の見直し、行政改革の分野でございますが、スリムな形でこれを行っていかなければならない。民間会社は今日の経済状況の中で、深刻な経営改善、スリム化を目指し頑張っております。国家公務員においても、これだけの大改革を進めるわけでございますから、まさにスリム化、その大前提は、総定員、これを必要最小限度のところに計画を立てて落ちつくようにしていかなければならない。総定員が削減をされていくということで初めて総人件費の抑制もあるのではないか、こういうことであります。

もう一つは、人勧の制度がございます。これの勧告を受けますと、尊重をするという、こういうことでありまして、この基本的姿勢は堅持をしながら来ておるわけでございますが、全体の財政事情等を考えて、今申し上げました総定員、そして効果として人件費の抑制が極力それとリンクをしていけるように、まず定員の削減に行革が方針を決めておるわけでありますから、全力を尽くしていただく、こういうことでございます。

岡田委員 人件費の抑制は、定員だけじゃなくて、一人当たりの人件費、退職金とかそういうものも大いに関係すると思いますが、基本的に大蔵大臣は定員の問題だ、こういうふうにおっしゃったわけであります。

それじゃ、その定員の削減計画というのは今どうなっているのかということについてお伺いしたいと思います。

御案内のように、定員削減計画、昭和四十三年から始まりまして平成八年まで、第一次から第八次まで合計で二十八万四千四百九十四人削減した、非常に結構なことだと思います。大したものだ、そういうふうに思いながら、よくよく考えてみると、その間二十四万二百五十七人ふえておって、結果的にはこの三十年近くの間で四万四千二百三十七人しか減っていない。非常にトリッキーな感じがしますね。政府としてはたくさん減らしているよと、しかし、いつの間にか別にふえてきて、三十年間で四万人しか減っていないということであります。

そして現在、御案内のように、第九次の定員削減計画、四・一一%、三万五千百二十二人減らす、こういう計画になっておりますが、この計画の削減率では、その前の第八次計画の五%と比べてむしろ削減率は落ちております。問題は、やはり実質的にどれだけ減らすかということだと思うわけですけれども、この点について、今政府としてはどういった考えで、計画でおられるのでしょうか。

小里国務大臣 まず、先生が前段の方でお話ございましたように、いわゆる行政改革あるいは財政構造改革という観点から、簡素でそして本当に効率的な政府をつくるんですよ、こういうところを重要に認識いたしておりまして、したがって、今お話しの国家公務員のスリム化についても、これは厳しく対応していかなければいかぬ。

そういう観点から、そういう基本に立ちましてやっておるところでございますが、先ほど大蔵大臣が総定員のところに基準を置いてお話がございまして、言うなればその背景を今お尋ねになったと思うのでございますが、一つは、既定の行政事務につきまして定員削減計画を持っておりますから、毎年度合理化可能な部署から厳しく定員削減をやっておる、これが一つございます。

もう一つは、新たな行政需要あるいは増員にやむを得ないいわば積極的な理由がある場合においては、定削すなわち定員削減について、その定削による減をいわば原資として毎年度必要なプラスといいますか増員を計算する。この結果、公務員の適正な再配置を実現する。そして、昭和四十二年度以降、かなり少ないなという気持ちでお話があったようでございますが、四万六千人の定員の削減を見ました。そういう経緯でございます。

今後とも、もちろん厳しい行財政事情等を踏まえ、さらにまた、先ほどお話があります財政構造改革に関する閣議決定などを踏まえまして、徹底した定員の削減を図ってまいらなければいかぬ、そう思っております。

岡田委員 官房長官おいでですので、官房長官は、これは新聞報道ですけれども、地元での御発言だと思いますが、退職者の不補充や新規採用を制限することで五年から十年の間に相当数の国家公務員の削減をしなければいけない、そういう趣旨の御発言をされたというふうに聞きます。新聞にも一部大きく報道されました。官房長官は、この公務員の削減の問題についてどういうふうにお考えでしょうか。

村岡国務大臣 地元で、今おっしゃったようなことは発言をいたしました。

今、行革をしなければいけない、こういう状況の中で、私は立場としては調整役の立場でございますけれども、今、行政改革をやるに当たって、ただ単に各省庁をまとめただけではだめではないか、局の縮減や定数も削減しなきゃならないのじゃないか、私もそのとおりだと。しかし、これについては、総務庁長官もおりますし、これはスリム化して、規制の撤廃や地方分権していくならば、生首は切らないけれども定員削減を強力に進めていかなきゃならないんじゃないか、こういう発言をして、その気持ちに変わりはありません。

岡田委員 我々、有権者の方とお話ししておりまして、橋本政権における行政改革は省庁の再編成を中心に進んでいるという印象を受けるわけですけれども、肝心なのはやはり仕事減らし、人減らしじゃないか、こういうふうに言われるわけですね。確かにそれはそのとおりであります。

それからもう一つは、この法案の中でも予算的に非常に厳しい措置が入っております。例えば先般取り上げましたODAは一〇%の減であります。社会保障だって、本来八千五百億ふえるところを三千億にとどめろ、あとはのみ込めという、そういう話であります。

そういう中で、なぜ公務員の数の問題だけが、この法案で、人件費として「極力抑制する」ということしか書いてなくて、具体的にこうするんだということはないのか、そこが私は非常におかしいんじゃないか、そういうふうに思うわけです。基本的に数を減らすことが必要だというふうに官房長官はおっしゃいましたけれども、そこのところについて具体的に、制度として数を削減するために何か官房長官、お考えでしょうか。

村岡国務大臣 今岡田委員おっしゃったように、本法案には「人件費の総額を極力抑制する」と書いておりますけれども、なぜ具体的な目標を書かないのかと。私の担当でもないわけで。しかし、定員削減計画の見直しについては、この計画は法律の根拠のない閣議決定により実施されているものでありまして、政府限りで見直しが可能であることからあえて法律化する必要ないものと。しかし、定員削減の具体的目標がないからといいまして、定員について聖域であるとか、何も考えないということはございませんで、その点は十分考えているつもりであります。

総務庁長官からでも、またお考えをお聞きいただきたいと思います。

小里国務大臣 官房長官という御指名がございましたから差し控えましたけれども、ただいま官房長官の方からお話がございましたように、私は、今次の財政構造法でも、今言われる定員削減というのは、これはもう絶対大事にしなければならない大きな要素であるよというこの基本の柱は貫かれておる、こう思うのです。

と申し上げまするのは、活字の上でその分野が若干少ないのではないかというお話でございますけれども、先生も先ほどお話がありまするように、今次のこの財政改革、行政改革を推進する上においては重要な要素であるよということは、前後におきましてきちんと政府の姿勢は見えておりますし、のみならず、今次の計画におきましても、総人件費は極力抑制するんだよ、この大きな基礎がはっきりしておりますから、それをまさに受け持って、責任を持って推進するべき官庁こそ私の大きな責任である、そう思っております。

したがいまして、御承知のとおり、公務員制度調査会も今、そこに大きく機能させるために、私の総務庁におきましても十分そこを配慮しつつやっておりますが、ただ、行政改革というものが一つ進んでおるものですから、この行政改革の来月の取りまとめに向かいまして、とりあえず公務員制度調査会として当面間に合わせなければならない分野がございます。

これは、御承知のとおり、内閣機能の強化を図らなければならないという視点におきまして、人材登用いかに、そういうようなもの等々あるものですから、その辺も進めておりますが、あわせて、もっと基礎的に御理解をいただきたいのは、先ほども若干大蔵大臣のお話に出ておりましたように、規制緩和も徹底してやりますよ、あるいは民間にゆだねるものも徹底してやりますよ、あるいはまた地方分権等も徹底してやりますよと。可能な限り相当、相当と申し上げるのは言い過ぎかもしれませんけれども、相当力を入れまして、これが実施が決まり、あるいはまた、その決められた方向に移行中の事務事業も相当あるわけでございまして、その辺を横にらみしながら、総定員というものは具体的に、それぞれのテーマの進捗度合いに応じて積極的に進められるものであろう、そういうふうに考えております。

したがいまして、こういう移行期であるだけに、平年度の定員削減とは際立って重要な次元から、しかも多くの横にらみの一つの総合判断を加えながら進めなければならない。そういう意味におきまして、おっしゃるような責任も十分意識いたしておりますが、作業もまた多少複雑である、こういうことも御理解をいただきたい点ではなかろうか、こう思います。

岡田委員 るる御説明いただきましたが、私は、最初に御説明いただいたような、つまり定削を削減計画でかけてくる、他方で行政需要の増加に従ってふやしていく、結果的には、純減、純粋に減った、ネットで減った分というのはごくわずかである、そういうやり方そのものにかなり限界があるんじゃないかというふうに思うのですね。

行政需要がふえるというのは、法律一本つくったりいろいろなことをやれば、それは説明はできますから、こういうことで必要だということは、私も過去に経験がありますが、幾らでもやるんですが、大体それは話半分ぐらいで、何とか説明がつくように努力はするわけですけれども、実際にそれだけの仕事量になるかどうかというのは、かなりいいかげんであります。ふやして減ってというやり方をすることによって省庁間の定員を変えていく、そういうメリットは確かにあると思いますけれども、しかし、基本的には、やはり純減ベースでの定員削減計画というものを政府として責任を持っておつくりにならないと本当に減らすことはできないんじゃないか、私はそういうふうに思います。

今までこういうふうにやってきましたという御説明がありましたが、先ほど言いましたように、今この集中改革期間あるいはそれ以降も含めて、徹底的に財政の再建のために予算を節減していこうというときに、この人の問題だけはなぜか聖域のようになって、そして従来のやり方を続けていく、こういう印象がしてならないわけであります。それは、なぜそうなっているのかというのは私も何となく想像はつきますけれども。

ここのところ、先ほど官房長官もおっしゃいました。恐らく、政治家であれば、与党も含めて多くの政治家の皆さん、やはり公務員の数の削減がポイントだ、そういうふうに思っていると思います。そのことがきちんと国民にわかるような形でしっかりと制度を変えていただきたい、そういうふうに思いますが、いかがでしょうか。

小里国務大臣 今お話がございますように、スリム化の問題、そういう大きな視点から、先ほど若干申し上げましたが、申し添えさせていただきます。

当面の、行政改革会議の来月におきまする最終報告までに、今先生が強い調子で指摘をされる、そのようなことも含めて、きちんと何か政府の責任者が国民に対して基礎的な認識そして方向性というものを示すべきだ、こういう一つの考え方を、目下、ここにおいでになりますが、官房長官初め、いろいろ私の立場からも御相談を申し上げております。でき得るなれば、この時期に政府のトップから国民に向かってきちんとした一つのものをお示しいただきたい、そういうこともたまたま考えておる最中でございます。

それから、私の先ほどの答弁の中で、定員に関連してお話を申し上げましたが、ただ単に公務員制度調査会という範疇でなくて、これは大きく、言うなれば行政全般にかかわることでございますから、行政管理局のチャンネルを通じても相当今突っ込んだ検討を進めております。かように申し添えておきます。

岡田委員 ぜひ総理から、人件費の圧縮あるいは定員の削減についてリーダーシップを発揮していただくことを期待しております。

しかし、どうも最近、大臣や政府首脳の発言が軽過ぎるんじゃないか、そういう気がするわけです。

例えば、武藤総務庁長官がことしの春に、今年度の国家公務員の採用を半分にする、こういう御発言をされましたね。上級というか?種は確かに三割減ぐらいで決まったという報道がありますが、全体をひっくるめてどういう採用状況でしょうか。この武藤長官の半減という話は実行されたんでしょうか。

小里国務大臣 武藤さんのお話でございますが、当然のこと、いわゆる当時の職分責任において御発言いただいたことであると私は認識をいたします。

ただ、基本的にはこれは、私どもは、その機関の一つの節度と申し上げますか、責任の、あるいは施策の一貫性というものは大事にしなければなりませんし、殊に、武藤長官自身が、とにかく定員削減をしなければならぬよ、そういう重要な認識の上に立って御発言になったことは間違いありませんから、私どもの今日の姿勢と何らそれがそごをするものでもない、当然のことを言っておられるな、私はそういう認識をいたしております。

さらにまた、議員は、その発言に基づくその後の具体的作業はどうか、そういうお尋ねであったようでございますが、いわば、先ほど申し上げましたような方針で、また方策で対応をいたしております。かように申し上げる次第です。

岡田委員 さすがに私は総務庁は採用を半分にされたのだと思いますが、他の省庁をひっくるめて、今どういう状況ですか。

西村(正)政府委員 お答えいたします。

武藤前総務庁長官は、ことしの五月十六日の閣僚懇談会で、一般行政部門と現業部門につきまして業務の見直し、合理化、効率化を図っていただいて、直近年度の採用数の五割をめどに極力新規採用を抑制していただくよう各省庁に要請をされたわけでございます。これに対しまして各省庁では、ことしの八月の人事院調べでは、?種及び皿種につきまして、採用予定数を前年度に比べまして八・二%縮減することとしております。

以上でございます。

岡田委員 確かに、武藤長官が御発言になったときに、各大臣から相当反発が出たというふうに私は記憶しております。

その中で厚生大臣は、結構じゃないか、そういうふうに賛意を表されたというふうに私は記憶しておりますが、厚生大臣、厚生省の採用状況はいかがでしょうか。

小泉国務大臣 ことしの五月十六日の閣僚懇談会において、武藤前総務庁長官からの国家公務員新規採用抑制についての要請について、私はこれを重く受けとめまして、事務当局に対し、新規採用者数を抑制するよう指示いたしました。そして、平成十年度の厚生本省及び社会保険庁本庁の新規採用予定者数は、過去五年間の平均採用者数のおおむね二分の一とする方針を公表いたしました。

ただし、?種職員については、昨年七月の閣議決定を踏まえ、過去五年間の平均採用者数の三割減としておりまして、来年度の採用予定状況は方針どおりの採用抑制を行い、?種職員については過去五年間平均に比べ約三割減の三十二名、?、皿種職員については同じく過去五年間平均に比べ半減の三十三名にしまして、私としては、武藤前総務庁長官の要請に対し、きちんと対処したつもりでございます。

岡田委員 厚生大臣以外にほかの省庁は一体どうなっているんだ、こういう気がするわけであります。

私、この一連の報道を見ていて本当に感じたのは、実は総理大臣のリーダーシップの欠如ということです。つまり、総務庁長官がこういう発言をされて、各担当大臣は、事務局から、事務方からとんでもない、こういう反発が来ますから、それを受けて、できないできない、とんでもない、こういう御発言が続いたのだと思いますけれども、そういうときに総理が、総務庁長官もこう言っているんだからこうやろう、こう言われれば、私はできた話だと思うのですね。ところが、総理はずっと黙っておられた。私は閣議の場にいたわけじゃないですからわかりませんが、少なくともマスコミには総理の発言というのは登場しませんでした。

私は、やはりその辺が政治家のあるいは総理の姿勢として食い足らないものがあるわけで、本当に行革をやっていこうとしたら、せっかく大臣がそこまで踏み込んだ発言をしたら、それをとらえて、みんなでやろうじゃないか、そういうことをきちっと言うのが一国の指導者じゃないか、そういうふうにその当時感じましたので、申し上げたいと思います。

いずれにいたしましても、この定数削減の話は、仕事減らしが先か人減らしが先かという、そういう話がありまして、恐らく総務庁の従来のお考えは、まず規制緩和とか地方分権で仕事を減らして、それに応じて人も減らしていく、こういうお考えだと思いますが、これは民間は逆なんですね。

例えば、ある会社が赤字になった。まず採用を抑えるあるいは退職を勧奨する、そういう形で人を、人件費をまず削って、そしてその上で人の陣容に合わせて仕事を変えていく、こういうやり方ですね。私は、現実にはそういうやり方も加味していかないと、抽象的に仕事を減らしますといっても、その仕事を減らしたことと人間がどのぐらい減るのかというのがきちんと統計的に出てくるわけでもありませんから、かなり現実は難しいところにあるのじゃないか。しかも人を減らすということは、生首を切らないという前提に立てば採用を手控えていく、こういうことですから、時間がかかります。

だから、仕事を全部減らしてから人を減らすといったって、それからまた十年、二十年かかってしまう。そういうことを考え合わせれば、やはり私は仕事減らしと並行して人減らしの計画もきちんとつくってやっていく、そういうことしかないと思うのですが、総務庁長官、いかがでしょうか。

   〔中山(成)委員長代理退席、委員長着席〕

小里国務大臣 一般的にと申し上げますか、感覚的に今のお話をお伺いしておりまして申し上げられることは、私はそういう一つの気概は持つべきだと思います。

なおまた、そういう総合的なと申し上げましょうか配慮も必要だ。要するに、仕事減らし、人減らし、その相互関係の進捗度合いをどうするかというお話でございますが、仕事減らしも集中的にやらなければいかぬが、人減らしはむしろその先の展開も考慮に入れながら、おっしゃるような、言うなれば積極的な感覚を持って対応することも必要である、さように思いまして、決して否定をするものではありませんが、ただ原則論として、どうしても現実に、新規採用を抑えますよ、これも極力やりますし、かつまた増員も徹底的に、いかなるものがあっても積極的な事情がない限りこれは認めませんよとやる、そういう一つの原則はまた大事にしながら、弾力性のある対応が必要な今日のもろもろの改革という大きな背景を持った事情下にある、そういうふうに思います。

岡田委員 私は考え方が違います。基本的には、今そういう従来の原則を変えなければいけない、そういうふうに思います。それは、これだけ社会福祉やその他いろいろなところで国民に犠牲を押しつけているときに、国家公務員だけが別だ、まず仕事を減らして、それから人を減らす、そのために十年、二十年、三十年かかる、そういう悠長なことでは私は国民に対して犠牲は押しつけられない、そういうふうに思っております。政府の中でもそういう基本的な原則をどうするのかということも含めて、ぜひ御検討いただきたい、そういうふうに要望しておきたいと思います。

さて、今公務員のことばかり申し上げましたが、実はもちろん我々国会議員にとっても率先して身を切っていくという姿勢がなければ、これは国民のこの行革、財政改革に対する御理解はなかなか得られない、こういうことだと思います。

そこで、永年在職議員表彰の問題があります。たしかあすだったと思いますが、新たに何名かの方が表彰されるということですが、小泉大臣はそれに対して辞退をしておられるということです。小泉大臣のこの永年在職表彰辞退の基本的なお考えについて、どういう考え方で辞退されるのか、お聞かせいただきたいと思います。

小泉国務大臣 二年前の自民党総裁選挙で橋本さんと私が総裁候補になりました。そのときの総裁候補の演説会で、私は、これから行財政改革が政治の最大課題になる、行財政改革というのは官僚に対しても、国民に対しても既得権益を手放すことを求めなければならない仕事だ、その前に、国会議員として身近な問題で既得権益を手放すものは何かと気がつけば永年勤続表彰だ、議員がその気になればすぐできることだと。可能性のない方が言うよりも可能性のある私が言った方が説得力があるのじゃないかと思いまして、私は二年前の選挙で、次の選挙で当選すれば当然その資格があるが、もし当選してその栄誉ある資格を得た場合にも、表彰も肖像画も特別手当も辞退すると、総裁選挙の演説会、国会議員を前にする演説会で発言いたしました。

これから痛みを伴う行政改革、財政構造改革をしていかなければならない。まず、果たしてこの表彰制度は必要かと。私は、楽しみにしている気持ちはわかりますけれども、身内からわざわざ表彰されなくても、選挙民から九回なり十回当選させていただく、その栄誉だけで十分ではないかと思いまして、辞退したわけであります。

岡田委員 表彰される可能性がない者が言って一も余り説得力がないのかもしれませんが、この表彰制度は名誉であるとともに、月に特別交通費三十万という実利もついているわけであります。

今、小泉大臣の方から、政治家みずからが既得権益を手放していくという中で国民に対して説得力が出てくる、こういうお話でありましたが、大蔵大臣、大蔵大臣はこの財政改革の先頭を切って責任者としてやっておられるわけですが、今の小泉大臣の発言について、あるいはこの永年在職議員表彰制度について、どういうふうにお考えでしょうか。

三塚国務大臣 小泉議員は小泉議員の人生観、政治観の中で決められることですから、長い間の友人でありますが、私はコメントはいたしません。

よって、永年勤続の問題はどうかということでありますと、院議をもって表彰をされる、名誉なこと、謹んでお受けするというのも、これも政治家としての生きざまであろうと。

岡田委員 特別交通費についてはいかがですか。

もちろん閣僚の方は受けられないということになっていると聞いておりますけれども、閣僚とか委員長の職になければ毎月三十万の特別交通費が受けられるわけであります。我々は文書交通滞在費として月百万の手当を受けておりますが、それプラス三十万の交通費というのは一体何に使うのだろうかと。

交通費という観点で見たときに、本当にそんなに交通費は要るのだろうか、そういう気もするのです。私はそういう性格がはっきりしないものを果たして残しておいていいのだろうかという気がいたしますが、大蔵大臣、何か御意見ありますか。

三塚国務大臣 検討する価値のあるものであります。

岡田委員 検討する価値があるというお答えをいただきました。

それじゃ小泉大臣、五十年の永年在職議員として特別表彰を受けた者が死亡または引退したときには名誉議員の称号を贈る、こういう取り決めになっております。そして、今までの例ではお二人ですけれども、名誉議員については胸像を建てる、こういうことになっておりますが、この制度についてはどういうふうにお考えでしょうか。

小泉国務大臣 私は五十年やろうといってもできないと思いますけれども、また、やるつもりもありませんけれども、胸像を建てるかどうかというのはそのときの時点で国民が判断するものじゃないでしょうか。

私は、五十年勤めたから胸像を建てるとか銅像を建てる問題ではないと思っています。国民がこの人に対して尊敬の念を持ちたい、何か顕彰したいという機運がわき起これば、自然、胸像は建てられるでしょうし、それはただ五十年を受けたから胸像を建てるという問題ではないと私は思っています。

岡田委員 私も、立派な政治家に国会の中で胸像を建てること、そういうことが必要な、あるいは望ましい場合もあると。しかし、大臣おっしゃるように、五十年たてば自動的にそういうことをする必要はない。現実には今のところ二例だけですから、まだ慣行としては成り立っていない、そういうふうに私は思います。この辺は議院の問題ではありますけれども、国民の感情もありますし、それから国会の権威ということもあります。これからよく与野党で話し合っていく必要がある、そういうふうに思っております。

さて、次に年金改革について少しお聞きをしたいと思います。

前回もここで取り上げたのですけれども、年金の問題は、今私が受けている印象は、どちらかというと数字合わせになってしまっているんではないか。つまり、議論の立て方が、このまま行くと若年者の保険料の負担が三割を大幅に超えそうだ、だからこれをもう少し抑えなければいけない、そのためには年金の額をどうしなければいけない、あるいは支給開始年齢をどうしなければいけない、こういう話であります。

私は、その議論の前に、まず公的年金、国の関与する年金というものがどういう役割を期待されているのか、そういう入り口の議論がきちんとなければいけないのではないか、こういうふうに思うわけであります。

もう少しわかりやすく言いますと、現実に厚生年金で標準報酬月額の七割近くを払う、そしてそのために三割を超える保険料を取る、国がこんなに個人の生活に関与していいんだろうか。三割を超える保険料というのは、これは働く世代にとっては大変なことであります。そして、そのかわり七割近い年金をもらえる。それは、国が一つの生活のパターンを押しつけているんじゃないか。若いうちは一生懸命働いてせっせと税金や保険料を納めなさい、そして高齢者になれば楽な生活をさせてあげますよ、そういう、アリとキリギリスでいえばアリ型の生活パターンを押しつけているんじゃないか。

しかし、個人にはいろいろな考え方があって、若いうちは少したくさん使いたい、しかし年をとれば最低限の生活でいい、そういうキリギリス型の人間もいると思うんですね。

私は、そういうキリギリス型の人間を、国が、だめだ、みんなアリになれというそういう考え方はどこかおかしい、やはりそこは一定の選択の余地というのはあっていいんじゃないか、そういう感じがいたします。

具体的に言えば、したがって年金の額というのはもう少し抑えてもいいんじゃないか、公的年金としては。そして、それを超える部分については選択制で公的年金を利用する、そういう道も考えられるかもしれませんし、あるいは個人年金や企業年金を選択する、そういう選択肢を用意しておくということじゃないかと思いますが、ここの入り口の議論について、厚生大臣、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 基本的に、個人の選択が広がる制度の方が私は好ましいと思っています。ただ、国民がどの程度受け入れるかですね。

現在の厚生年金を例にとりますと、将来、保険料負担が三〇%を超える、現行の給付水準を維持すればという話ですけれども。負担している方から見れば、若い世代から見れば、この三〇%を超えるというのはもうきつ過ぎるのではないかという議論から、今いろいろな組み合わせが考えられているわけですが、一方、デンマークの例をとりますと消費税だけでも二五%なんですね。所得税でも三〇%でしょう、最低の税率が。日本の場合は、所得税についてはもうほとんどの人が一〇%以下、消費税については五%。よくデンマークの国民はこの重い税を受け入れているなと私は感心しているのです。今の日本から考えれば、食品も含めて二五%の消費税なんというのは、皆非常識だと言われるに違いありません、もし政治家が言ったら。

しかし、そういう国民性を考えると、その時点時点でいろいろな選択肢を与えて、その時点で妥当な範囲というのは、判断というのはどういう点かということはよく議論する必要があるのではないか。

個人として、私は、選択の余地ができる幅というものはできるだけ残しておいた方がいいなというふうに感じております。

岡田委員 そこで、公的年金の役割をある程度基本的なものに限定する、あるいはそういう方向に行かざるを得ないという部分もあると思いますが、そのときに重要なのが個人年金や企業年金、特に私は個人年金が非常に重要だと思うのです。

しかし、個人年金はなかなか今普及しない。それはいろいろな理由があるのだと思います。一つは、最近のある生保会社の倒産、そういうこともあって心配だ、こういうこともあると思います。それについてはきちんとした救済制度を組み立てていかなければいけない。特に、年金というのは、預金のように一千万ずつ分けて貯金すれば救済されるという性格ではありませんから、そういう制度の構築も急務だと思いますが、同時にやはり税制の問題もかなり大きいのではないか、そういうふうに思います。

例えば、私は今国民年金ですから、国民年金基金というものに入っていますね。これは、ちょっと金額は忘れましたが、年間かなりの額、保険料が税額控除なんですね。もらうときにはまた年金については控除制度があります。民間は、ほとんど年金について控除制度はありません。生命保険料控除とか損害保険料控除はごくわずかですね。やはりそこの競争条件を同じにしないと、なかなかそういった個人年金や企業年金というのは普及していかない、そういうふうに思うわけです。

この話をすると、厚生省の官僚の皆さんは、いや、それは大蔵省の話ですとすぐ言ってしまうのですね。厚生省でもしそんなことを実現しても、そのことによって税収が減るわけですからそれは厚生省にツケが回ってくる、だから余り言いたくないと言って、大蔵省の話ですということになるのですけれども……。しかし、これは個人年金の普及ということを考えたときには、やはり大蔵省であろうが、厚生省であろうが、きちんと対処していかなければいけない問題だと思います。

例えば、今の年金審議会においてもこの問題をちゃんと議論していただきたいと私は思いますし、大蔵省もこの問題をきちんと取り上げていただきたい、こういうふうに思いますが、大蔵大臣、厚生大臣の御見解を聞かせていただきたいと思います。

薄井政府委員 委員御指摘のように、現在の年齢構成といいますか、これからのことを考えた場合に、従来型の年金課税でいいのかということについては、私ども非常に大きな問題だと考えております。したがいまして、税制調査会におきましても、年金課税のあり方については今後の極めて大きな課題の一つと位置づけまして議論を始めているところでございます。

ただし、私ども、税金の制度だけからこれにアプローチするのはある意味では本末転倒であって、公的年金制度がこれだけ確立している国はないぐらい確立しているわけで、これでいいのかどうか、公的年金制度をどうするかということも十分考えていただいて、年金制度の改革の中で、その一環としての税制もやっていくべきだと思っております。もう一つ申し上げれば、今、公的年金制度に附属する公的年金課税は世界にもまれなほど甘いわけです。これは、かってお年寄りが少なかったから可能であったわけで、これを今後とも続けていく場合には、税制上とてももたない。しかし一方で個人年金を助けなければいけないとなるならば、端的に言いますと、公的年金課税をもうちょっと世界並みに、ある意味では厳しい方向に持っていく、その分をもって個人年金の方を助けていく。やや大きな話になりましたけれども、そういうことが大事だと思っております。

小泉国務大臣 自助努力を奨励するためにどういう措置がいいかという問題は、今主税局長がお話しされたように、公的年金の水準はどの程度がいいか、あるいはまた、個人年金を奨励する場合はどのような優遇措置がいいかということの中で議論されるべき重要な課題だと私は思っております。

岡田委員 ぜひ年金審議会でも御議論をいただきたいというふうに思います。

終わります。




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