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1995.04.26|国会会議録

132回 衆議院・外務委員会

岡田委員 新進党の岡田克也です。きょうはPKOの問題を中心にいろいろ議論してみたいと思いますが、その本題に入る前に、この連休中に総理が中国に行かれるという話を聞いておりますが、どういった目的で何をしようということで行かれるのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。

河野国務大臣 御承知のとおり、村山総理は、五月の初旬に中国を訪問する予定を立てております。この訪中は総理就任後初めてのことでございまして、かねてから日中両国首脳はジャカルタあるいはコペンハーゲンで会談をいたしておりまして、中国側からも、日本の総理大臣の訪中を要請、御招待をいただいているわけでございます。

私は総理が訪中をされ、戦後五十周年の節目というこの年に当たって、さらに一段と両国首脳の信頼関係を構築をする、そのためには少しゆっくり時間をかけて忌憚のない意見の交換もしていただいたらいいのではないか。そして、いわゆる未来志向の日中関係の発展ということについて両首脳の合意ができれば、これは大変意味のあることではないか。それは日中の理解というものが、アジア・太平洋、ひいては世界の平和あるいは繁栄のために大変意味のあることであるというふうに考えておりまして、ぜひこの機会に、日中間の協力関係が推進されることを期待しているわけでございます。

岡田委員 大体の大まかな日程について、外務省事務当局の方からお話をいただけますでしょうか。

川島政府委員 お答え申し上げます。

二日の午後に出発いたしまして、三日が首脳会談、いろいろ中国側要人との会談を今のところ予定しております。四日に、引き続き北京におきまして内外記者会見等をやって、それから西安に移りまして、五日は西安でございます。それで、五日の夜だったと思いますけれども上海に参りまして、六日に東京に帰ってくるという予定でございます。

上海では、むしろ、あそこは大変発展している地域でございますので、週末にはかかりますけれども、そういう経済活動の視察を中心に、西安は歴史的な、中国の大変に誇りとする場所でございますので、その辺の視察。それから、現地でも若干仕事絡みの話も入るかと思っております。

大体の姿は、そんな感じでございます。

岡田委員 もちろん日本の総理が行かれて、西安で歴史的なものに触れられたり、あるいは上海で経済的な発展の状況を自分の目で見るということも大事なことかとは思いますが、やはり基本的には、両首脳間できちんとお話をするというところが第一の目的だろうと思うのです。

その中で、ことし予定されておりますAPECの大阪会議における台湾からの代表の問題について議論が出る可能性があると思うわけですが、この点について議論が出た場合に、あるいはこちらからむしろ議論をするということもあるかもしれませんが、どういう立場でお話をされるのかお聞かせをいただきたいと思います。

河野国務大臣 APECの問題は、確かに両国首脳にとっての関心事であろうと思います。我が国は、議長国として、ことしの大阪におきますAPECをうまくマネジメントしていかなければならないという重要な責務がございますし、中国もまた、このAPECで、アジア・太平洋の中にあって経済的な大きな役割を占めることを考えておられると思いますので、APECの話は出る可能性はあると私は思っております。

そのときに、今御指摘のように台湾の出席者について話がもしあるとすれば、この点は既に、実はジャカルタ、昨年のAPECの折に中国側から、来年は日本で開催される、議長国として来年のAPECにおける、APECの非公式首脳会談における中国の対応についてどう考えるかこういうお話がございまして、村山総理から、APEC大阪会議においても、シアトル、ボゴール、こうした前例に倣っていくつもりでおります、こういうことを申し上げてきておりまして、恐らく、今回仮にそういうお話があれば、インドネシアのときと同じように、シアトル、ボゴールの前例に倣って対応します、こういう御返事を申し上げることになるであろう、そう考えております。

岡田委員 前例踏襲も結構だと思いますが、しかし、台湾の状況を見ておりますと、非常に微妙な人選になる可能性もあるわけでありまして、その辺も含めて、多分前例踏襲ということだけでは中国は納得せずに、さらに詳しく詰めてくるのではないかと思うのですが、その点についてどうお考えでしょうか。

河野国務大臣 またこれは具体的に個々の問題について議論をしているわけではございませんが、私どもとしては、日中共同声明というものもございます。日中関係というものをしっかりと頭に入れて対応するのは当然のことであろうと思っておりますし、これまで、繰り返しになりますが、シアトルの場合もインドネシア・ボゴールの場合にもそうでございましたように、我が方としてはこの前例の枠の中であくまでも対応するということになろうかと思っております。

岡田委員 こういう場でなかなか具体的なことは話しにくいというお立場はわかりますが、聞いていて余りよくわからないわけであります。

前例というお話が出ました。確かにこういう国際会議ですから前例というのは大事だと思いますが、ただこの背景にある問題というのは、日本として台湾の問題をどう考えるかという、その全体の中でたまたまAPECの代表という問題が出てきている、こういうことだと思います。もちろん中国という国は日本にとって極めて大事な国でありますし、これは経済的にも安全保障の面でも死活的に大事な国でありますから、こことの関係を重視して外交全体を組み立てていく、そのことは当然だと思います。しかし一方で、台湾という、少なくとも経済的に、外貨保有高も莫大なものを持つ実態があるときに、それについて日本としてどう考えていくのかというのはこれもまた大事な問題ではないかこういう気がいたします。

日中国交回復をしたときに、以前は中国という大変な人口を擁する大きな存在を、何といいますか、いわばないものとして、中華民国だけと国交を結んでいたわけでありますが、それが逆転して、当時の台湾と現在の台湾を比べたときに、経済的にも極めて大きな存在になってきておりますし、その台湾というものの存在を、無視とは言いませんが、かつての中華人民共和国のように、ある意味では視界の外に置いて議論をしていくということは極めておかしなことになっているのではないか、そんな気がいたします。

そもそも日本がアジアのリーダー国として、中国の国内問題であるかもしれませんが、しかし現実には極めてアジアにとって重要な問題である台湾と中華人民共和国の問題について、先例主義で単に後手に回っているということではなくて、もっと深く関与をして、そして日本としての立場ももう少し主張していく、そのことが私は重要なことではないかと思いますが、その点について、外務大臣に御見解をお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 現在台湾という地域が大変な積極的な経済活動を行っているということは我々もよく承知をしております。

昨年のAPECに私参加をいたしましたけれども、APECにおきます台湾というものは極めて発言も積極的ですし、各国も台湾の経済というものに着目をするということは、あの会議に出ていても印象としてよくわかっております。

それで、繰り返しになりますが、我が国が日中共同声明、日中国交正常化を行った折以降、我が国は、日本と中国政府、北京にあります中国政府との間では政府間のやりとりをする、台湾とは、民間が経済活動をすることは、これはまたこれで結構なことだという基本的な考え方に立っているわけで、経済活動は御案内のとおり、ここのところどんどんと活発化し大きくなってきておるわけでございまして、このことについてだれも、経済が発展することがよくないとか、あるいはそれに目をつぶるとかということをしているわけではありません。

民間の経済取引、経済活動についてはそれはそれで十分行われていい、ただし、政府間のやりとりは北京にございます中国政府と当然のことながら日本政府は行うということで日中の国交正常化はなされているわけでございますから、この基本は外してはならぬ、この基本はきちっと踏まえて対応するということが必要であるということでございます。

岡田委員 私が申し上げたかったのは、これだけ経済的な実態を持つものについて、政治的にも全くないものとして扱っでいいのかどうか。そしてまた、台湾と中国の問題というのは、国内問題かもしれませんが、しかしこれは日本にとってもあるいはアジアにとっても極めて影響が大きい問題でありますから、そういう問題について、アジアのリーダー国の日本としてきちんとした立場に立って、そして言うべきことは言っていくべきではないか、そのことを申し上げたわけであります。

いずれにしても、せっかく総理大臣が行かれるわけでありますから、そういった問題も含めて胸襟を開いて大いに議論をしていただく、そのことを期待を申し上げたいと思います。総理がせっかく中国に行かれても、西安や上海で、立派なものじゃのう、こう言って、ほかに何もないということでは、それは国民の一人として極めて残念でありますので、その点について期待をしておきたい、こういうふうに思っております。

では次に移らせていただきまして、UNDOFの参加問題について若干御質問をし、議論をしたいと思っております。

まず、具体的な問題に入る前に、現在のこの村山政権、外務大臣はその村山政権における外務大臣を務めておられるわけですが、村山政権の平和維持活動、PKO活動に対する基本的な考え方というものは一体どうなっているのか、お尋ねをしたいと思います。

河野国務大臣 村山総理は、その施政方針演説の中におきまして、国連の平和維持活動に対し我が国として積極的に貢献していく、こういうことを述べておられるわけでございます。

御承知のとおり、我が国は飛躍的な経済発展によりまして今日国際社会の中で重要な地位を占めることになっておりまして、このような国際的な地位とまさに責任に見合った貢献を行うことは、国際社会の一員としてなすべき責務であろうというふうに考えております。

岡田委員 その施政方針演説どおりのお考えであれば、どうしてこんなに、一年近くもこのUNDOFの問題がかかっているのか、そこが非常に理解に苦しむところであるわけですが、ちょっとおさらいのために、外務省の方からこのUNDOFへの自衛隊の派遣問題について、昨年五月の国連からの非公式の要請から今日に至るまでの経緯を簡単に御説明をいただきたいと思います。

柳井政府委員 UNDOFの参加問題につきましては、昨年の五月ごろでございましたが、我が国のニューヨークにあります国連代表部と国連事務局の間のいろいろな接触の中で、ゴラン高原に展開しておりますUNDOFのカナダの後方支援部隊の一部機能を我が国が担当する可能性につきまして非公式な打診があったものでございます。この打診を受けまして、その後、国連事務局それからカナダ側とも政府レベルで事務的あるいは技術的な意見交換あるいは情報収集、調整等を行ってまいったわけでございます。

そして、御案内のとおり最近におきましては与党三党におかれてもこの問題は検討していただいておりまして、先般、四月十日から十九日にかけまして与党と政府の調査団が現地調査を行い、それぞれの調査報告書が発表されたということでございます。

現在、本件につきましては、政府の調査報告書も踏まえまして、また与党におかれて現在行っておられます検討結果も参考にしながら、今後政府として早急に結論を出したい、そういうふうに考えております。

岡田委員 非常に素朴な疑問なんですが、調査団の派遣までほぼ十一カ月かかっているわけですが、なぜ単に調査団を派遣するだけで十一カ月かかったのでしょうか。中身を議論しているというなら別ですが、まず実態認識をして、そこから議論するということだと思うのです。その実態認識をするための調査団の派遣だけにそれだけの時間がかかったということは全く理解できないわけであります。

河野国務大臣 我が国は、国際社会に対する貢献を行うという意図に基づきましてカンボジア、モザンビークあるいはルワンダ難民支援、こういったことを行ってきているわけでございまして、特にこの一年間は、モザンビークあるいはルワンダの難民支援において相当多数の人員を派遣しているという状況にございました。モザンビークにおきましてはその選挙がきちっと行われるということを期待しつつ努力をしてまいりましたし、ルワンダにおきましても、その状況というものを注視しつつ、この支援を継続してきたわけでございます。

こういう状況の中で、さらにUNDOFに支援を行うということが実際問題として可能かどうかという問題もございます。今日、モザンビークからも無事に目的を果たして撤収をし、ルワンダの難民支援につきましても一定の目的を果たして帰ってきた、こういうことを受けまして、このたび政府及び与党の調査団に現地を訪問していただいた、こういう状況でございます。

岡田委員 お聞きをしておりますと、一つ一つやっていくのだ、こういう感じがあるわけです。しかし、調査団というのは、別に本体の派遣とは関係がないわけですから、そういった他のPKOに派遣をしているときにも並行してやることは十分可能だったと思うわけで、余りお答えになっていないような気がいたします。

いずれにいたしましても、政府の調査団それから与党調査団、それぞれ報告が出たわけであります。政府の調査団の報告書を拝見いたしますと、かなり前向きな内容だというふうに私は理解をしておりますが、与党の調査団の報告についても、基本的には同じではないかと思うのですが、何か具体的にUNDOF調査団として問題点を指摘したということはあるのでしょうか。

柳井政府委員 与党と政府の調査団につきましては、それぞれが別個に調査報告を出したわけでございますが、具体的な表現等につきましては、基本的には相互に独立した報告書となっているわけでございます。ただ、この二つの調査団は一部分を除きまして同一の日程で現地を訪問したわけでございます。したがいまして、この二つの報告書の現地に関する認識につきましては、ほぼ同様の理解を示していると考えております。

強いて申しますれば、いわゆる五原則の評価につきまして、政府の調査団の報告書では五原則は満たされるものと考えるというふうに言っておりますが、与党の調査団の報告書におきましては若干のニュアンスの違いがございまして、「停戦の合意、受入れ同意、UNDOFの中立性の三項目については、問題のないことが確認された。また要員の安全確保についてもこ途中ちょっと飛ばしますが「問題が生じる恐れは少ないと考えられる。」と言った後で、「要員の撤収、武器使用の問題については、若干の確認を要する課題があることから、この二項目に関連して、日本として国際平和協力法の原則を貫くことに支障がないか、国連との間で明確にしておく必要がある。」というふうに言っております。

したがいまして、この点ちょっとニュアンスが違うわけでございますが、私どもといたしましては、こういう御指摘がございましたので、早速四月二十日に国連の代表部を通じまして国連の事務局にこの二点、すなわち五原則のうち要員の撤収、武器使用の問題を中心に確認を求めたわけでございます。これに対しまして国連側は、最初の三原則が満たされない場合の撤収及び武器使用が要員の生命及び身体を防護するための必要最小限に限られることの原則を含む我が国の五原則については従前からよく承知している、そしてUNDOFへの日本の要員派遣も、日本の国際平和協力法に基づき行われるものであることは十分理解しているというふうに述べますとともに、今般の与党及び政府の調査団に関しては国連本部にも詳細報告が来ているが、日本政府が本件調査団の結果を踏まえて、国際平和協力法に従ってUNDOFに要員を派遣されることを期待している旨述べた、ニューヨークからそういう報告に接しております。

三原委員長 この際、大臣が参議院本会議出席のため、発言者岡田君の御理解をいただき、暫時休憩いたします。

   午前九時五十七分休憩

――――◇―――――

午前十時九分開議

三原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

質疑を続行いたします。岡田君。

岡田委員 引き続きUNDOFの問題について議論したいと思います。

外務大臣にお尋ねしたいと思うんですが、まず政府調査団の報告が出て、全体として前向きの内容になっている、あるいは与党調査団の報告について、一部政府調査団の報告と比べてトーンの違うところについても国連の方から返事が返ってきている、こういう現状を踏まえて、このUNDOF派遣の問題について、外務大臣として今どういうお考えでおられるでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。

河野国務大臣 調査団が調査に出かけていただくに際しまして、私は与党三党の調査団の方々が調査をして帰ってこられて、この調査の結果を踏まえて、もちろん政府の調査団の報告書を十分に参考としながら政府として判断を下す、こういうことにしておったわけでございまして、与党三党の調査団の方々からは報告書が出てまいりましたけれども、現在与党三党でこの報告書をもとにして与党三党としての考え方をまとめる作業をしておられるということでございますから、この作業を私どもとしては注意深く見ているところでございます。与党三党の基本的な考え方が出てまいりますれば、それを参考としながら政府の調査報告を踏まえて政府としての態度を決めるということになろうかと思います。


岡田委員 与党三党での議論を注意深く見ている、こういう御答弁だったわけですが、外務大臣は自民党総裁でもあるわけでありまして、村山政権ができるときの政権合意でも、PKOについては積極的に推進していく、こういう合意があったと思いますが、その合意に基づいて社会党に対して自民党総裁として、早く党内の意見を取りまとめて、そしてUNDOF参加問題についてゴーサインを出すべきだ、こういう調整を総裁としてされるおつもりはないのでしょうか。

河野国務大臣 調査団はまだ帰ってきたばかりでございます。帰ってこられて各党それぞれ党のしかるべき部署に報告をされて、そして与党三党は与党三党の政策調整会議あるいは責任者会議、そうした手順があるわけでございますから、それぞれの手順を踏んで与党三党としての考え方はまとまるというふうに思っております。

調査に行かれました方々のお話を少しずつでありますけれども伺ってみますと、調査団の方々はそれぞれ現地で、イスラエルにせよパレスチナにせよ、あるいはシリア、ジョルダン、いずれの国におきましても最も高いレベルの方々と話をしてこられた。こうした高いレベルの方々との話をしてこられた調査団の方は、この方々との会議、議論を踏まえて各党それぞれに報告をしておられるわけで、それは、いたずらに時間を延ばすというようなことは考えておられないというふうに私は思っております。

自民党の総裁だから与党三党、とりわけ社会党などに早くやれと言うべきじゃないかというお話でございますが、私は今そういう気持ちは持っておりません。先ほども申し上げましたように、帰ってこられてそれぞれの手順を踏んでおられるわけでございますから、その手順が踏まれていくのを注意深く見ているという状況でございます。

岡田委員 今自民党総裁としての立場をお聞きしたわけでありますが、外務大臣としても、国連平和協力法の六条の三項に「外務大臣は、国際平和協力業務を実施することが適当であると認めるときは、内閣総理大臣に対し、第一項の閣議の決定を求めるよう要請することができる。」こういう規定が置かれておりまして、我が国としてPKOに対する協力が適当だと思われるときにはむしろ外務大臣として総理に対して働きかけをする、そういう建前に法律はなっているわけであります。先ほど来いろいろ調査団の派遣の問題とか聞かせていただいておりましたが、外務大臣のこの問題を進めていこうという意志が全く見えないのじゃないか、そういうふうに私は受け取るわけでございますが、その点、外務大臣としてはどういうふうにお考えでございましょうか。

河野国務大臣 まことに不肖なことでございますが、私が今外務大臣と副総理を兼ねております。私が総理にお話を申し上げるときにはもう決定的な場面ということであろうと思っておりまして、私なりに、総理にお話を申し上げる、あるいはこういう提言を行うというときには、十分環境が整っているかどうかそういう体制が十分できているかどうかということまで含めてよく見きわめた上で私は決定的な提言をするということでなければならないと。まあ行った方がいいのじゃない、かというような軽々しい提言は私は今できない立場にいるというふうに自分自身考えております。

岡田委員 外務大臣と議論していると何となく外務大臣のペースにはまっていきそうな気もしますが、しかし、例えば政府そして与党の調査団の報告が出たのが四月の十九日、二十日でありまして、もうそれから一週間たっております。そして今社会党の党内手続を待っているということですが、いつまで待ては結論が出るのかというのもはっきりしない状況であります。

先ほどのお話で、調査団を派遣するということについても、既に他の地域にPKOの部隊を派遣していたので、自衛隊を派遣していたので、調査団の派遣を待っていた、こういうことで一年たったわけでありますが、こういう形でずるずるずるずると結論が先送りされて、日本の国家としての意思、何をするのだ、どうするのだ、こういうものが全く国連からもあるいは諸外国からも見えない、そのことが私は、今回の円高の問題もそうでありますけれども、日本の置かれた立場というものを非常におかしくしている。アメリカからも、もう日本は飛ばして他のアジアの国々とつき合った方がいいのじゃないか、こういう意見も次第に強まってきているというふうに聞いておりますが、もう少し国としての意思を明確に打ち出していく、そのことが外交の基本ではないか、このように思うわけでありますが、外務大臣の御見解を聞かせていただきたいと思います。

河野国務大臣 PKO活動について我が国は、国際的に見て決して見劣りのするような状況ではないと私は思っております。自衛隊の方々に海外に出て活動していただくのも、先ほど申し上げたとおり、モザンビークあるいはルワンダの難民支援、こういったことで昨年一年間には世界ニカ所に展開をして、二カ所に出ていって大変献身的な努力をしてきているわけで、そのことは国際社会が非常に高く評価をしているということはぜひ岡田議員にも御理解をいただきたい。決して日本に対して、日本は国際貢献を何にもしない国だ、するのかしないのかわからぬというような評価は全くない、むしろ極めて積極的にアフリカの地へ出ていって、モザンビークでもルワンダ難民支援においてもいい仕事をしてこられたという高い評価を得ているという事実がございます。しかし、今、その両方とも、先ほど申し上げましたように目的を達して、所期の目的に向かって努力をした結果二つの地域からは戻ってきたわけでございますから、我々としてはこういう状況を踏まえて調査団を出したのであって、決して何にもしないではないかというような指摘が日本に対してなされているというふうには私は聞いていないのでございます。

それで、国際貢献もそうでございますけれども、それ以外にも我々は、昨年夏以来、国際的に国連の場その他を通じて、日本がイニシアチブをとってさまざまなテーマで国連の中でも活動をしておりまして、そのことについて、私どもとしては、我々が行える仕事をそれなりに着実に行ってきているというふうに私は考えておるわけでございます。もちろん、国際社会からの評価を自分で評価するということはいささか行き過ぎであろうかと思いますが、少なくとも私が耳にする限りにおいて、プラスの評価もたくさんあるということをぜひ御理解をいただきたいと思います。

岡田委員 私が申し上げたかったのは単に国際貢献の問題だけではなくて、それは一つの例として申し上げたわけでありますが、先ほどの台湾の問題もそうであります。こういうことが続きますと、日本の政治に何を期待してもむだじゃないかこういう考え方が、国の内にもありますが、外にも広がっていくということを大変懸念をしているわけであります。

ちょっと話が違いますが、先般、規制緩和、これは村山政権の最大の、重要な仕事の一つであるというふうに村山総理もおっしゃっていますが、規制緩和の五カ年計画を閣議決定されました。内閣として最大限の努力をして、そしてぎりぎりのところで五年計画をまとめた、そういうことを言われたわずか一週間後に、円高が起こったことによって、それを三年計画に変えられました。三年計画でできるものであれば、最初から三年計画で出されるべきであります。それを一週間で、朝令暮改で変えるというところにむしろ市場は失望をして、さらに円高が高まったと私は思います。そういう政治家の言葉の軽さといいますか、そういうものが今日のいろいろな問題の根源にあるのではないか、そういうふうに思っておりまして、これはもちろん私の個人的な見解でありますので、指摘にとどめさせていただきたいと思います。

時間の関係もありますので、次に、ちょっと最初に通告しておきました順序と変わるかもしれませんが、PKOにおける武器使用の問題について少し議論を整理しておきたい、こういうふうに思っております。

まず、国連平和協力法に基づいて派遣された自衛隊の武器使用の問題について、二十四条の三項それから四項の規定がありますが、この規定について外務省の当局に説明を求めたいと思います。

國方説明員 お答え申し上げます。

先生から御指摘のございました国際平和協力法第二十四条三項でございますが、そこには、「派遣先国において国際平和協力業務に従事する自衛官は、自己又は自己と共に現場に所在する他の自衛隊員若しくは隊員の生命又は身体を防衛するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度でこ「武器を使用することができる。」このように規定しております。さらに、同条第四項でございますが、小型武器または武器の使用に際しては、刑法第三十六条、すなわち正当防衛、または第三十七条、すなわち緊急避難の規定に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならない、このように規定しておるわけでございます。

この規定の趣旨でございますが、自衛官等の生命または身体を防衛するためにやむを得ない必要がある場合に、いわば自己保存のための自然権的な権利の発動といたしまして武器の使用を認めるという趣旨の規定でございまして、個々の自衛官に武器の使用の判断をゆだねているものでございます。

岡田委員 この二十四条三項の主語が「自衛官はこということになっておりまして、私もこの法律をつくるときの審議に参加をしておりましたが、この「自衛官はことなっていることも一つの理由として挙げられていたように思いますが、武器の使用というのは個々の自衛官が行うものであって、その部隊における隊長の命令によって行うものではない、こういうことになっていたかと思います。当時、私もその説明で納得をしていたわけでありますが、自衛隊法の八十九条二項に治安出動の場合の武器使用の規定があります。警察官職務執行法七条を準用しているわけなんですが、その二項に、刑法三十六条、三十七条に該当する場合を除いては当該部隊指揮官の命令によらなければならない、こういう規定がありまして、逆に言いますと、刑法三十六条、三十七条に該当しないような場合の武器の使用については、むしろこれは指揮官の命令によらなければならないということがこの自衛隊法の規定なわけで、一方でこのPKO法は「自衛官はこということで書いてあるわけでありますので、同じ考え方によれば、法文の解釈論としては、このPKO法の二十四条三項がその隊長の命令による武器の使用というものを必ずしも排除していないのじゃないか、こんな気がするわけですが、この点いかがなんでしょうか。

國方説明員 お答え申し上げます。

先生ただいま御指摘のとおり、治安出動時の権限について規定しております自衛隊法第八十九条第二項では、自衛官が武器を使用するには、刑法で定める正当防衛または緊急避難に該当する場合を除き、当該部隊指揮官の命令によらなければならないとされているものと承知しております。

他方、先ほどの説明と多少重なって恐縮でございますけれども、国際平和協力法第二十四条三項と申しますのは、あくまでも個々の自衛官に武器の使用の判断をゆだねているものでございます。これは、国際平和協力法案を国会に提出するに当たりまして、政府として、国際平和協力業務に従事する際の武器の使用に関しまして、憲法上禁じられております武力の行使との関係について慎重に検討を行った結果に基づくものでございます。

御指摘の、部隊としての武器使用でございますが、これにつきましては、法案審議の際に、すべてのケースが憲法上の問題があるというわけではないが、いろいろな形態があり得ることから、慎重を期して、差し控えている旨の答弁が出されているところでございます。こうした判断から、現行の国際平和協力法では、部隊としての武器使用は許されていないところでございます。

岡田委員 ちょっと法律の問題を離れて、実体論として少しお話ししたいと思うのですが、まず、この自衛隊法は、刑法三十六条、三十七条に該当する場合以外は勝手に個々の隊員の判断で武器を使用してはいけない、こういうことになっていますね。その前提としてある議論というのは、そういう正当防衛や緊急避難以外の場合は、それは当然部隊として武器使用を決めていかなければいけない、それは部隊として行動している以上当然であるという前提に立っていると思うわけですね。現実を考えてみても、例えば威嚇射撃などする場合に、それが隊員の個々の判断でやられるというのは、これはいかにもおかしいわけでありまして、それは、部隊として行動していれば隊長の命令によって威嚇射撃も行うというのが当然である、こういうふうに思うわけであります。

同じことはこのPKOの現場についても言えるわけでありまして、私どももいろいろ話を聞いておりますと、この武器使用の問題が一番精神的に重荷になっている、こういう話を聞くわけであります。個々の隊員は自分の判断でないと武器の使用ができない、こういうことであります。しかし、でき得れば、それは、部隊として行っているときには隊長の命令というものがあって、刑法三十六条、三十七条に該当するような場合はともかくとして、威嚇射撃などする場合には、やはりそれは部隊として命令をして威嚇射撃をするというのが、これは法律論、憲法論を離れれば当然のことではないか。それを許していないところに、武器を使う場合みんな自分で勝手に判断しなければいけないのだよ、こういうふうに強いているところに派遣された自衛隊員の皆さんの大変な御苦労がある、こういうふうに私は思うわけですが、実体論としては、その辺、どういうふうにお考えでしょうか。

○國方説明員 お答え申し上げます。

先生御指摘がございました心理的な負担という点でございますが、先ほど申し上げましたように、あくまでも武器の使用の最終的判断は個々の自衛官にゆだねられているわけでございますけれども、個々の自衛官が武器使用のための要件は満たされていると判断した場合であっても、武器の使用をより慎重に行うという観点から念には念を入れまして、上官の判断をさらに加えるというケースがあり得るということにつきましては従来から申し上げてきたところでございます。

いずれにいたしましても、武器使用に当たっての個々の自衛官の心理的負担を軽減するための具体的方策につきましては今後とも検討してまいりたい、このように考えております。

岡田委員 わかったようなわからないような御答弁だったと思いますが、恐らく自衛隊のその部隊の隊長は、もし武器使用があれば自分がすべて責任を負って辞表を出さなければいかぬ、そういう気持ちで出ていかれているのではないか、こういうふうに思います。これはやはり実態と法律が合っていない一つの例でありまして、もちろん憲法論その他いろいろ議論があって難しい問題であることはわかりますけれども、しかし、実態と法律の条文がこれだけ合っていないのであれば、何とかして実態に法律をきちんと合わせていくという努力をぜひ外務省としてもしていただきたい、私はこういうふうに思っているところであります。

この問題、余り深入りする時間もないのですが、武器の使用と武力の行使についての法制局の見解というのがPKO特別委員会の場に提出をされておりますが、この点について簡単に御説明をいただけませんでしょうか。

津野政府委員 お答えいたします。

武器の使用と武力行使の関係につきましては、御指摘のとおり、平成三年九月にPKO特別委員会の方で、審議の経過で政府の見解が明らかにされているところでございます。

それで、その内容を申し上げますと、これは文書で提出されておりますので、その文書のとおり読んでみたいと存じますが、

一般に、憲法第九条第一項の「武力の行使」とは、我が国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいい、法案これは当時はまだ国際平和協力法が法案でございましたので、法案第二十四条の「武器の使用」とは、火器、火薬類、刀剣類その他直接人を殺傷し、又は武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置をその物の本来の用法に従って用いることをいうと解される。第二番目に、

憲法第九条第一項の「武力の行使」は、「武器の使用」を含む実力の行使に係る概念であるが、「武器の使用」が、すべて同項の禁止する「武力の行使」に当たるとはいえない。例えば、自己又は自己と共に現場に所在する我が国要員の生命又は身体を防衛することは、いわば自己保存のための自然権的権利というべきものであるから、そのために必要な最小限の「武器の使用」は、憲法第九条第一項で禁止された「武力の行使」には当たらない。というのが見解でございます。

岡田委員 ちょっとここで法律を離れて憲法との関係で少し議論したいと思うのですが、PKO五原則がありまして、日本の自衛隊が派遣される場合には、当事者間に停戦の合意があるということが当然前提になるわけでありますが、そういう停戦の合意があるというときに、たまたまPKOに派遣された自衛隊の部隊が相手方からの攻撃を受けた、それに対して自分の身を守るために応戦をしたということが憲法九条一項の武力行使に該当する、そういうふうに言ってしまう必要は私はないと思うのですが、この点についていかがでしょうか。

津野政府委員 お尋ねは、PKO五原則に基づいて停戦の合意がある場合には、たまたま派遣された部隊が戦闘行為に巻き込まれた場合に、部隊として組織的に武器を使用しても、それは、それまで違憲である、憲法の禁ずる武力行使に当たるというようなことを言う必要はないのではないかというようなお尋ねかと存じますけれども、今申し上げましたように、政府の統一的な考え方といたしまして、「「武力の行使」とは、我が国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいう」というふうに言っているところでございまして、したがいまして、相手方が個人とか例えば強盗団のような単なる私的な集団である場合には、仮に指揮官の指揮のもとに組織的に武器を使用いたしましても国際的な武力紛争の一環とは言えないと考えられますので、このような場合には憲法の禁ずる武力の行使には当たらないと考えられるわけでございます。

しかしながら、現実の場面では、相手方がどんな主体であるのか、それを見きわめて指揮をするというのは極めて困難でありまして、そのような場面、すなわち状況によっては武力の行使に当たるかもしれないというような場面では謙抑的であるべきであるということで、そういう考え方から現在の国際平和協力法の第二十四条のような規定になったというふうに理解しているものでございます。

御指摘のように、停戦の合意が守られている以上は、仮に組織的な武器の使用を行ったといたしましても、相手方が前述のような単なる私的な集団等であるから武力の行使には当たらないと言い切れるかどうかにつきましては、例えば実質的に停戦の合意が崩れていても、我が国に情報が届くのに時間がかかり、撤収等の判断がまだ行われていないうちに戦闘が始まるというような場合がないと言えるかどうか。あるいは紛争当事者以外に国際的な武力紛争に発展するような存在がないと言えるかどうか等の問題がございまして、いやしくも憲法上の問題が生じることがないように慎重な検討が必要であるというふうに考えているわけでございます。

岡田委員 停戦の合意が崩れれば自衛隊は撤収しなければいけないわけですから、その合意があるという前提で考えれば、そこで戦闘行為が起こっても、それは国としては停戦をしているという意思表示はきちんとされた上での行為でありますから、この攻撃というのは一部のはね上がりによるゲリラ的な攻撃と何ら変わりない、こういうふうに考えていいのではないかと私は思っております。この点は、この場でというよりこれから議論をしていくための一つのきっかけにしたいと思って申し上げているわけであります。

それから、もう一つの解釈の余地としては、先ほど法制局の方から述べられた、自己保存のための自然権的権利という観点から個々の隊員が武器使用することを認めるということであったのですが、これは別に個々の隊員の判断ではなくて、部隊として出ているときに、その部隊を守ることが個々の隊員を守ることになる、これは当然そうなると思うのですが、という場合にその部隊長が、部隊を守り、その結果個々の隊員を守るために、命令によって武器の使用を命ずるというようなことも同じように、個々の隊員の判断によるのと同じように、自己保存のための自然権的権利というところで十分に認められるのではないかこういうふうに思うわけですが、この点についての法制局の御見解もあわせ聞かせていただきたいと思います。

津野政府委員 お答えいたします。

国際平和協力法第二十四条第三項は、自衛官は自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体を防衛するためにやむ得ない必要があると認める相当の理由がある場合に、いわば自己保存のための自然権的権利の発動として武器の使用を認めるという趣旨の規定でありまして、個々の自衛官が武器の使用の判断をすることができることになっているわけでございます。これは先ほども答弁がございましたが、国際平和協力法案を国会に提出するに当たりまして、政府として、国際平和協力業務に従事する際の武器の使用に関しまして、憲法上禁止されている武力の行使との関係について慎重に検討を行った結果に基づくものと理解しているところでございます。

御指摘のような、指揮官の指揮のもとに組織的に行う武器使用と、本来個々の自衛官に認められます自己保存のための自然権的権利との関係、これをどうとらえればよいかなどの問題がございまして、これについて慎重な検討が必要であると考えているわけでございます。

岡田委員 今のお話で、私は、必ずしも私の申し上げたことが憲法上できないというわけではないというふうに法制局もお考えになっているように受け取ったわけであります。議論の余地は十分にある、こういうふうに受け取ったわけであります。

私がこの武器の使用の問題を申し上げておりますのは、やはり我々も自衛隊の隊員の皆さんを出す以上、その皆さんが現地で机上の空論のために御苦労されたり、あるいは必要もないのに傷ついたり、そういうことがないように、政府としてはあるいは我々政治家としてはきちんと法律上の手当てをしてやる責任がある、そういう観点でこの問題を取り上げているわけであります。

PKOの法律をつくったときのあの国会、私も自民党の議員として審議に参加をしておりましたが、極めて異常な状態での議論だったと思います。最後は牛歩もありましたし、強行採決もありました。しかし、今、そのPKOの法律を牛歩までして反対をされた社会党の委員長が総理になっておられるわけでありますから、時代は非常に変わった、こういうふうに私は言えると思います。もう少し冷静な議論ができる下地ができ上がったのではないか、こういうふうに思っておりまして、ぜひこの法律の見直しの過程で、武器使用の問題について私が今二点具体的に申し上げたわけでありますが、そのほかもいろいろな考え方があり得ると思いますが、御議論をいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。外務大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

河野国務大臣 法案審議の過程では、それぞれの議論というものがそれぞれ展開をされて、法案自身について賛否厳しい対立もあったことは事実だと思います。しかし、議会制民主主義、厳しい賛否の対立があったとしても、その法案が採決に付されて多数決で決定をされれば、その法案をもとにして行政が行われる。そのでき上がった法律に基づいて社会というものは動いていくということでありますから、その法律案の審議で反対したからといって、法律ができ上がってもその法律にのっとった作業をしないということはあり得ないわけでございまして、当然村山総理は現在ございます法律に基づいて我が国の政治というものを動かしておられるということで、これは御理解をいただけるものと思います。

ただ、今回田議員がいろいろ提起をされました問題は、あの当時審議の中でいろいろな議論があったことを私もよく記憶をいたしております。要員の安全はどうやって守ることができるか、あるいは我が国がPKOを派遣するに当たって国際社会がそれをどういう気持ちで受けとめるだろうか、さまざまな視点がこの問題には込められているというふうに思います。

したがって、この問題については、この法律は三年後には一遍レビューしようというような議論もあの当時からあったわけでございまして、その見直しに当たっては、それまでの間にPKOの作業に直接間接に参加をされた方々の経験等も踏まえて見直しをするということがあっても私は当然いいだろうと思っておるわけでございます。

現在、私どもは現実にございます法律に基づいてPKOの国際貢献のための作業を行うということが課せられた役割でございますから、その法律に基づいて法を執行するということでございます。私自身何人かの方の御意見も伺っておりますが、それはいろいろな視点があって、こうした方がいい、あるいはこのままでいい、それぞれの意見があるというふうに伺っているところでございます。

岡田委員 私が申し上げたのは、単なる解釈論の問題じゃなくて、立法論も含めて、法律の改正も含めて申し上げたわけであります。今外務大臣も言及されました三年後の見直し条項というのもあるわけであります。それから、そのときに、当時の自公民三党による合意があって、二年後、つまり今からいうと約一年前になりますが、協議機関も設置しなければならないことになっておりますが、政党の枠組みも変わりましたけれども、協議機関が設置されたという話も聞かないし、三年後というのは間もなくやってまいりますが、見直しの議論が積極的に真剣に行われているという気配はないわけであります。

今の外務大臣の答弁の中にそういった中身を見直していくこともいいだろうという言い方がありましたけれども、そうではなくて、むしろ自民党の総裁あるいは外務大臣として積極的に見直していくための提言が出てくるべきではないか、そういうふうに思っていることを申し添えておきたいと思います。

最後に、条約の審議ですので、二言条約について。

私はこの条約について異論があるわけではありませんが、署名国がもう少しふえないと、特にPKOの対象になるような国が署名しないと意味がないと思うわけですが、この点についての日本政府の努力について最後にお聞かせをいただき、私の質問を終わりたいと思います。

柳井政府委員 仰せのとおりでございまして、この条約を締結する国が多ければ多いほどこの条約の実効性は担保されるわけでございます。ただいまのところ、最終的に批准書を寄託した国はデンマーク一カ国でございますが、署名を下した国が二十六カ国あるわけでございます。

我が国といたしましては、国会の御承認をいただきまして締結手続を完了すれば、その後はそういう立場に立ちまして広く各国に対しましてこの条約の締結を呼びかけていくつもりでございます。

岡田委員 ありがとうございました。




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