日米首脳会談 ― 外務委員会で議論
外務委員会で日米首脳会談について、茂木外務大臣と議論しました。
まず私が指摘したのは、日米共同声明の中で「普遍的価値及び共通の原則に対するコミットメントに基づく自由で開かれたインド太平洋という共通のビジョンを推進する」と強調していることについてです。普遍的価値としては民主主義や人権が強調されています。しかし、従来日本政府はインド太平洋地域における民主主義の成熟度に差があることを念頭に人権や民主主義を強く前面に出さずに懐深く外交を行ってきました。バイデン大統領は、これからは民主主義と権威主義・専制主義との競い合いの時代だと強調していますが、民主主義陣営が仲間を増やすためには、民主主義や人権を前面に出しすぎないことが賢明だと指摘しました。ASEAN 10ヶ国ですら民主主義的選挙が実現している国は多くないのが現実であり、急ぎすぎることの弊害も考えなければならないとの指摘です。外交における人権の位置づけ、重要ですが慎重さも大切です。
次に中国について議論しました。東シナ海や南シナ海、香港など最近の中国の振る舞いは理解できないものがあると指摘した上で、米国は一方で、日米首脳会談で中国の行動を厳しく批判しつつ、同じタイミングでケリー大統領特使が韓正副首相と気候変動問題で協力を確認する外交を展開している。中国は、日本にとって隣国であり経済的にも相互依存している国でもあります。批判すべきことは厳しく指摘しつつ、対話を続けることも重要だと指摘しました。台湾について、日米共同声明において「両岸問題の平和的解決を促す」と明記したことに関連して、1972年の日中共同声明第3項で確認された台湾の位置づけ、即ち台湾の独立は支持しないことは変わっていないことを外務大臣に確認しました。日米共同声明において中国に対して、台湾海峡の平和と安定は重要だという日米の認識を明記しつつ、平和的解決が必要だというメッセージを中国だけでなく台湾にも伝えたことは重要です。
最後にオバマ政権時代に核兵器の先制不使用宣言を検討した米国に対し、抑止力の低下を心配して日本が反対したとの東京新聞の報道について議論しました。加藤官房長官や茂木大臣は最近の記者会見でも、先制不使用宣言が日本の安全にとって問題だとの見解を述べています。しかし、この議論は核の先制使用の余地を残すことが必要だと言っているに等しいことになり、極めて問題があると考えています。バイデン大統領との日米首脳会談で、このテーマが取り上げられることはなかったと外相は明言しました。しかし、バイデン大統領も先制不使用宣言には大きな関心を持っており、今後日米間で重要なテーマとして取り上げられることは確実です。核軍縮に関するアメリカの提案を日本が拒否するということが繰り返されてはなりません。残念ながら、今回は時間が足らず、十分に議論することはできませんでしたが、今後ともしっかりとフォローしていきたいと思います。
