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5/12 衆議院外務委員会質問 (東京オリンピック、北方領土問題について)

衆議院外務委員会で質問しました。

5月12日(水)10:35~11:05【30分間】

動画はこちらからご覧いただけます。
   ⇒ YouTube【岡田かつや国会論戦】 https://youtu.be/iC-I_eMvU4c

【質問要旨】
  北方領土問題
   1. シンガポール合意
   2. 安倍首相の北方領土交渉
   3. 今後の北方領土交渉
   4. 国境線画定と平和条約締結
   5.共同経済活動


===========================以下議事録============================

第204回国会 衆議院 外務委員会 第12号 令和3年5月12日

○岡田委員 岡田克也です。
 今、渡辺委員が言われたことを私も非常に懸念しているところですので、一言申し上げたいと思います。
 選手やスタッフが地方に散らばるわけですね。それをどうやって管理していくのかというところが、大会期間中は、選手村を軸にして、そして専用のバスで練習所やあるいは競技場に運ぶということを言われていますが、全国に散らばった選手やそのスタッフがきちんと管理できるのかどうかというところを私は非常に懸念しています。そのことによって世界中の様々な変異種が日本国内に広がるリスクというものは否定できないと思うんですね。
 そこは大臣、本当に大丈夫ですか。きちんとできますか。それだけ、ちょっと一言お聞きしておきたいと思います。

○茂木国務大臣 まず、大会に参加するアスリートそれから関係者につきましては、ワクチンの接種であったりとかPCR等々によりまして感染の危険がないかということは確認した上で入国をするということになりますが、それでも感染の危険性というのはゼロではありません。
 そういった中で、元々企画していた様々なホストタウン等々に関する事業はあると思いますけれども、今、基本的には、アスリート、関係者と、それから日本の一般国民、これは違った動線といいますか違った形で、大会期間中、その前も含めて訪日後は行動するということですから、いわゆる元々想定していた交流事業ということはなかなかできないんだと思います。握手会をやったりとか、一緒に何か模擬的にスポーツをやったりというのは、なかなか、私は率直に言って、完全に私のこれが所管ではありませんけれども、難しいのではないかな、そんなふうに思いますけれども、そこの中で、安心、安全を確保しつつ、どういったことだったらば交流事業としてやれるかということを検討していくことになるんだと思います。

○岡田委員 選手を中心にバブル方式でやるということですが、そのバブル方式というのはどこまで適用されるのかという問題が一つあると思うんですね。
 選手以外の大会関係者、例えばメディアとか、そういうところの問題と、それから、期間中はそういうことであっても、その前の事前のキャンプとか事後、そういうところについて本当にきちっとバブル方式が徹底されるのか、地方にその認識はあるのかということについて、私は、やはり国として基本方針を示さないと、それぞれの思いでやってしまうととんでもないことになりかねないというふうに思っておりますので、ここは政府の中でしっかり御検討いただきたいというふうに思います。
 その上で、私は、今日は北方領土の問題を大臣と議論したいと思っております。
 この通常国会冒頭の菅総理の施政方針演説で、私は、おやっと思いました。菅総理はこうおっしゃったんですね。二〇一八年のシンガポールでの首脳会談のやり取りは引き継いでおり、これまでの諸合意を踏まえて交渉を進めますというふうにおっしゃいました。諸合意とは何かと枝野代表に代表質問で問われて、菅総理が言われたのは、例えば、シンガポール合意のほか、イルクーツク声明や東京宣言などが含まれますというふうにお答えになりました。
 シンガポール合意というのは、これは文書化されていませんが、当時の安倍総理の記者会見を見ると、一九五六年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる、これがシンガポール合意だと私は理解していますが、そのシンガポール合意のほかに引き継がれるべきやり取りというのは一体何なんでしょうか。

○茂木国務大臣 二〇一八年、シンガポールで安倍総理とプーチン大統領の間で首脳会談が行われたわけでありますが、当然、その首脳会談におきましては様々な議論であったりとか意見交換も行われました。さらに、御指摘のように、一九五六年宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる、このことで両首脳は合意したわけでありまして、そこで言うやり取りとは、首脳間で行われた意見交換、議論、そして今申し上げた合意、全体のことをやり取りと指すものだと思っております。

○岡田委員 施政方針演説では、諸合意、これはシンガポール合意も含まれるということですから、やり取りというのはその合意以外のシンガポール会談での様々なことだというふうに思うんですが、施政方針演説で、やり取りは引き継ぎますと総理は言われたわけですから、細かいことはいいですが、そのやり取りとは一体何なのかということはやはり説明する責任が政府にはあるんじゃないですか。

○茂木国務大臣 合意に至ったわけですね、この一九五六年宣言を基礎として云々の。そこに至りますまでには、急に、会って一発で、では合意をしましょうという話じゃない、相当の議論といいますか意見交換をしてこうなった。そういったもの全体を踏まえて、全体ということであります。
 ですから、それは当然、交渉を進めるとなりますと、そういった二人の間で、両首脳の間で議論されたこと、そういったものを踏まえて議論をしていくということになります。

○岡田委員 非常に一般的におっしゃるんですが、しかし、やり取りは引き継いでおりとおっしゃった以上、そのやり取りというのは一体何なのかということを、細かいことはいいですが、それをきちんと説明しないと、施政方針演説、国民に対して行ったものですから、それは演説になっていないんじゃないですか、政府としての責任を果たしていないんじゃないですか。

○茂木国務大臣 そこは若干見解が違うかもしれませんが、少なくとも、そういった意見交換、議論を経て、この一九五六年宣言を基礎として平和条約交渉を加速させると合意をしたわけでありまして、この合意を踏まえて、加速させるとの合意を踏まえて、交渉者であります私とラブロフ大臣、今交渉を進めているということでありますから、こういった一連のどういうやり取りだったかということを踏まえ、またこの合意を踏まえ交渉しているということでありますので、このやり取り全体ということで私は問題ないんだと思います。

○岡田委員 シンガポール合意の中には、例えば東京宣言を基礎としてということは含まれていないわけですね。今まで歴代の日ロの首脳会談の中で必ず何らかの形で言及されてきた、東京宣言その他の宣言を基礎とするということが今回入っていないわけですよ。基礎とするのは日ソ共同宣言だけです、合意されているのは。
 つまり、このシンガポール合意の意味というのは、そういった今まで日本政府が首脳会談のたびに必ず入れてきた東京宣言等についての、それを基礎とするという言及がなくなったということがこのシンガポール合意の特徴で、つまり、領土問題の解決ということが合意の中から落ちてしまったということだと私は思いますが、そういう解釈で、大臣、合意ですか。
    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

○茂木国務大臣 そこは違っております。
 当然、日ロ間では、九三年の東京宣言であったり二〇〇一年のイルクーツク声明、これを始め、これまで多くの諸文書、諸合意が作成されております。そこの中でも、一九五六年の日ソ共同宣言、これは両国の立法府が承認をして両国が批准した唯一の文書でありまして、現在も効力を有しております。日ソ共同宣言の第九項には、平和条約交渉が継続をされること及び平和条約締結後に歯舞、色丹が日本に引き渡されることを規定をいたしております。そして、日本側は、ここにいう平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題である、こういった一貫した立場に基づいて交渉を進めております。

○岡田委員 日本政府の立場ということを私は問うているのではなくて、両国の首脳間がどういう合意の下で交渉してきたか、つまり枠組みを決めてきたわけですから、そういう意味で申し上げているわけであります。
 先ほどおっしゃった二島の引渡しが書かれているということも、ロシア側からすれば、それは領土問題がそこにあるということを認めたものではないという説明だと思うんですね。ある意味では、平和条約ができれば厚意でそれを引き渡すんだ、それがロシア側の解釈だというふうに思います。
 したがって、非常に重要な東京宣言、これを言及しなかったということは私は非常に問題だと思うんですが、大臣、改めて聞きますが、東京宣言というのは日本外交の大きな成果、もちろん東京宣言だけではないんですが、つまり、四島に領土問題が存在するということを両国が確認をしたという意味において、非常に日本外交としては大きな進展がそこにあったというふうに私は理解しているんですが、大臣の認識は同じですか。

○茂木国務大臣 それぞれの宣言であったりとか合意、それはその時々の状況も含めて全て意味があるものだと思っております、両国で合意したものでありますから。
 岡田委員とこれまでこの北方領土問題を議論してきまして、岡田委員も外務大臣時代、本当に熱心に解決に向けて取り組まれたんだと思います。私も今この立場にあって全く同じ思いであります。
 何回か議論させていただいて、振り返ってみますと、恐らく、交渉の進め方について、これは何が正しいというのはないんだと思うんですけれども、交渉を始める段階から、取るものを全部取る、取っておく、その上で交渉に入るのか、それとも、交渉を進める中で、取らなければならないものというか、それを取っていくのか。
 例えば、データの新しいルールをスクラッチから作るということだったら、もうある程度決めてから取るというのも十分考えられますけれども、現状というものがあるわけであります。そういった中で、交渉を動かし、進めて、そして合意に至るということを考えた場合には、交渉のプロセスの中でお互いの主張をぶつけ合いながら取るべきものを取っていく、こういうプロセスが私は適切ではないかなと考えておりまして、解釈が違うのかもしれませんけれども、岡田委員の先日来の御質問、いろいろ自分なりに考えて、考え直してみたんですが、恐らくそこのところにもしかすると違いがあるのかもしれないと思っています。

○岡田委員 質問に答えてもらっていないんですが、東京宣言の意義というのは大臣はどう考えているんですか。

○茂木国務大臣 私から一つ一つの意義について申し上げるよりも、今は政府で合意している方針に従って議論を進める。例えば、何が意義があるという話が始まりますと、同じことが起こるんです、先ほど申し上げたのと。そのように思っています。
 私がこれでこういう意義がありますという話になったら、では何でその東京宣言に従ってやらないんだという話になると思います。それで、では、東京宣言に従って交渉を進めて、岡田先生がうまくいったというならそうですけれども、残念ながら、期間もあったと思いますけれども、なかなかうまくいかなかったのが現実だと思いますよ、私は。

○岡田委員 ちょっと驚きですが、やはり外交交渉というのは、それぞれが議論して一定の枠組みをつくって、その枠組みの中で更に交渉を重ねていくというのが外交交渉だと思うんですね。
 そういう意味で、東京宣言というのは、四島に領土問題が存在するということを両国の首脳が確認したという意味で一つの土俵をつくったわけですよ。その土俵の中で交渉していく。しかし、その土俵を安倍さんは壊しちゃったわけです。そして元に戻って、今、現にラブロフ外相なんかは、いや、このシンガポール合意によって日本側も、第二次世界大戦の結果、領土問題は存在しないということを日本は認めたんだと、そういう論理を展開しているじゃないですか。
 そういうふうに言わせないために、いや、四島に領土問題は存在するんだ、これは両国で合意したことじゃないかと、そこから議論を始めないと、白紙に戻しちゃったらそれは議論にならないじゃないですか。それが今の現状じゃないですか。

○茂木国務大臣 冒頭申し上げたように、日本側の一貫した立場、これは平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題である、これは五六年の共同宣言においてもその他においても変わらないことだ、こんなふうに考えております。
 東京宣言に基づかないからもう四島のことを対象にしない、このように話したつもりは一度もございません。あとは交渉です。やはり進め方というのはあると思います。どういうやり方をしたら一番うまく進むか、一番日本にとって望ましい解決策に向かって進展をさせるか。
 主張だけし合うなら幾らでもできると思います。何年間かけてもお互いに主張し合う、日本はこういう立場だ、そしてロシアはこういう立場だと。これから、もう七十年以上やってきて、やはり難しい問題ですけれども私は片づけなくちゃいけないんだと思います、解決をしなければ。ずうっと同じことでお互いが主張だけし合って、次の世代までこの問題を解決させないことが正しいとは私には思えません。

○岡田委員 いや、それぞれが主張するだけでは駄目だというのはそのとおりですよ。だから東京宣言が大事なんですよ、四島で合意したわけですから。その合意したものをベースにして議論するのか。
 安倍さんは、いやいや、東京宣言とかそういったことに言及しなければ、つまり、日ソ共同宣言だけを基礎とすると言えば二島は返ってくるんだろうという甘い期待を持って、東京宣言その他を、いわばカードを捨ててしまった。それでうまくいくなら、それはまた一つの議論でしょう。私は二島だけでいいとは思いませんけれども、面積七%しかない、だけれども、少なくともその二島がきちんと返ってくるのなら、それは政治家の、そのときのトップの判断としてそういう選択もあるかもしれません。しかし、二島は全く返ってこないじゃないですか。カードは切ってしまったけれども結果が得られていないというのが現状じゃないですか。何か進展がこれからあるんですか。

○茂木国務大臣 交渉事ですから、進展はさせていかなければいけないと思っています。
 ラブロフ外相とは、二〇一九年の九月、国連総会でお会いしてから、その年の十一月には、名古屋でG20の外相会談の際に二回目の会談をし、そして翌月、二〇一九年の十二月には、私がモスクワを訪問して八時間にわたって相当突っ込んだ議論も行いました。
 二〇二〇年、本来でしたら三月ぐらいに更にこの議論を進展させようということでしたが、コロナの影響で、昨年は残念ながら電話でしか会談できなかった。領土をめぐる問題、なかなか電話ではやりにくいです。これはやはり、対面でいろいろなことについて相当時間をかけてやるということが必要なんだと思っています。
 結果を出すというために最大限努力をしておりますけれども、向こうには向こうの主張もあります。やっている中で、ある程度考え方の一致する部分と立場の違う部分というのは明らかになってきていると思いますけれども、そういった中でどう今後交渉を進展させていくか、まさにこれからの問題であると思っております。
 岡田委員に結果は出たかと言われたら、まだ出ていないのは確かです。そこについて反省しろということだったら反省したいと思いますけれども、なかなか、岡田先生はもっと御自身だったら簡単に片づけられたとお考えかもしれませんけれども、私にとっては、かなり交渉はいろいろな交渉をやってきましたけれども、難しい交渉であるのは間違いないな、これは実感しています。

○岡田委員 ラブロフ外相は、シンガポール宣言によって、南クリルが第二次世界大戦の結果ロシアのものとなったとのロシアの主張を日本も認めた、シンガポール宣言によって認めたというふうに言っているわけで。
 そういった、私のときも、ラブロフ外相は、第二次世界大戦の結果ロシアのものになったんだという主張をされていました。それに加えて、シンガポール宣言によって日本も認めたんだというふうに彼は言っている。そういったラブロフ外相とどういう交渉をしているんですか。領土問題の交渉はできているんですか、そもそも。全てロシアのものになったんだということを言っているラブロフ外相と領土問題の交渉にそもそも入れているんですか。
    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

○茂木国務大臣 平和条約締結に向けた交渉、それは行っているところであります。そこの中で、何をもってそれが領土問題解決の交渉というのについては、定義はあるのではないかなと思っております。
 私も、岡田委員も一緒だと思いますけれども、ラブロフ外相の主張を全て認めているわけではありませんし、違うことについては当然反論しています。ですから、八時間かかるんですよ。多分、岡田委員も相当長くやられたんじゃないかなと思いますよ。一時間、二時間じゃ済まないですから。相当話しますから、相手は。それに対して、向こうが八つ言ったら、それを全部言い返さなくちゃならないわけですよ。そういう議論をやって、そこの中で、ここは一致できるねということを積み上げていかないと、一遍に、東京宣言があるからこれで解決しようといって解決する問題ではとてもないように私には思えます。

○岡田委員 私が聞いているのは、領土問題の交渉になっているのかということを聞いているわけですね。それは、東京宣言というものがあれば、四島に領土問題は存在するということを両国首脳が確認しているわけですから、領土問題はあるじゃないかということで、ではどういうふうにこの領土問題、線を引くのかとか、そういう議論に入れますけれども、そもそも領土問題があるということも認めていない相手と領土問題の交渉というのはどうやってやるんですか。

○茂木国務大臣 先ほど申し上げているように、日本の一貫した立場は、平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題である、このように考えておりまして、そのような立場に立って交渉を進めているということであります。では、東京宣言、これに沿って交渉を進めましょうといったときに、私はシンガポールの首脳会談にいたわけではありませんから分かりませんけれども、そこでプーチン大統領がイエスと言ったかどうかは、私は疑問だと思います。

○岡田委員 疑問ではありますが、こちらの論拠にはなるわけですよ。両首脳が認めたということは、こちらの主張の論拠になるわけですよ。それを後ろに下げてしまったということは、私は、多いなる譲歩だけれども、結果も得られていない、だから大きな失敗だった、安倍外交は、この北方領土問題については。そういうことを申し上げているわけです。
 これから、もう一度、この領土交渉というものが平和条約の前にあるんだということをロシア側に認めさせるところから議論を始めなきゃいけない。領土問題を解決して平和条約を締結するという日本の外交方針をロシア側にも認めさせないと、単に平和条約締結を急ぐ、領土問題はどこかに行ってしまっているような、そういうことでは、これは実際には交渉にならない、交渉が進まないわけであります。それをこれからどうやってやっていくのかということが私は非常に大事だというふうに思うんですね。
 もし、領土問題が存在しないという前提のままで議論したときには、憲法上、いやいや、もう交渉はできません、そういう議論もロシア側に論理として持ち出されかねない。領土問題が存在するんだということをいかにして認めさせるかということが私は交渉のまず第一目標だと思うんですが、そういう認識はありますか。

○茂木国務大臣 もちろんそういう認識を持っております。

○岡田委員 しかし、そのためには東京宣言をもう一回前面に出さないと、そういう議論にならないでしょう。下げてしまったんです、安倍さんは。私はこれは大失敗だったと思う。もう一回東京宣言を前面に出して、それを基礎とするということを両国で確認する。それは、第二次安倍政権の最初の訪ロのときも、間接的でも確認されていることですよ、歴代総理が確認してきたことですよ、東京宣言その他を基礎とするというのは。それを安倍さんは下げちゃったわけだから、もう一回それを元に戻すというところから交渉を始めるべきじゃないですか。いかがですか。

○茂木国務大臣 北方四島の帰属の問題を解決して国境を画定する、そして平和条約を締結する、これが、御案内のとおり、我が国の一貫した立場であります。
 そして、どの合意、どの宣言を取り下げたわけでもありません。ただ、交渉というのは入り方もあります、進め方もあります、どこを強調するかとあります。相手のあることです、それは。自分だけで、自分の論理で算数のように全て解ければ簡単な問題です。相手があって、今の北方領土の現状というのがある中でやる交渉ですから、どういう形から始めるか、それも含めて、まさにこれは交渉の内容の問題、進め方の問題だと思っています。

○岡田委員 繰り返しになりますが、プーチン大統領と菅総理の電話会談でも、一九五六年宣言を基礎として平和条約交渉を継続させることに合意したことも改めて確認しましたというふうに菅総理はおっしゃっているんですが、ここに領土問題という言葉は出てこないわけですね。
 やはり、領土問題は存在するんだということを、別の言い方をすれば、東京宣言を基礎とするということを相手に認めさせない限り、向こうは憲法も持ち出してくるし、そもそも彼らの主張は領土問題はないということですから、交渉にならないじゃないですか。だから、大臣は交渉しているとかいろいろ言われるけれども、実際は交渉になっていないんじゃないんですか。そこを、総理も替わったんだから、もう一回東京宣言をいかにして認めさせるかという、そこに主眼を置くような交渉にしないと、この問題はどんどん解決は遠のくばかりじゃないかということを私は言っているんですが、いかがですか。

○茂木国務大臣 ロシアの憲法改正後、昨年の九月に行われた日ロの首脳会談でも、プーチン大統領は平和条約交渉を継続していく意向を表明しているわけであります。
 そして、この平和条約交渉、これはまさに北方領土の帰属を解決して国境を画定して、そして平和条約を締結するというのが我が国の一貫した立場であると思っております。
 委員から見て、交渉が進んでいないのではないか、こういうふうに歯がゆく思われる、このことについては真摯に受け止めたいと思いますが、自分なりに様々な交渉をやってきた、こういう経験であったりとか、様々なこれまでのものも読み込んでいます、あらゆるもの、ほとんど、この交渉に関するものは読み込んだ上で、どういうアプローチが適切かということも考えて交渉には臨んでいるつもりであります。交渉になっていないんじゃないか、それは、尊敬する岡田委員ではありますが、それはあんまりではないかなと若干思います。

○岡田委員 私は、総理が替わった以上、安倍政権の失敗を踏まえて、もう一度、北方四島に領土問題は存在すると両国首脳が確認した東京宣言に戻すことを交渉の最優先課題にすべきだ、そうでないとこれは動かないということを申し上げているわけです。
 時間も参りましたから……(発言する者あり)あと一分ありますか。
 では、最後に、共同経済活動でも同じですよ。これは新たな特別な制度ということが前提にならないとできないわけですけれども、特別な制度について何か具体的な進展はあるんですか。具体的プロジェクト、こういうものをやっています、やっていますということは示しながらも、しかし、どういう特別の制度の下でやるのかということについての議論の進展が全くないということは、結局できないわけです。できないことをできるように見せているだけじゃないかというふうに御指摘をしておきたいと思います。
 終わります。




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