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2/19 予算委員会質問(攻撃能力保持、事業再構築促進事業、グリーン成長戦略)

【委員会】 衆議院予算委員会
【日 時】 2月19日 13時35分~(43分間) 

 動画はこちら ⇒ YouTube 【岡田かつや国会論戦】 https://youtu.be/8LlkOSZrMX8


【質問要旨】
Ⅰ.攻撃能力保持

Ⅱ.事業再構築促進補助事業

Ⅲ.グリーン成長戦略
  1. 2050年、再エネ50~60%
  2. 原子力発電の位置づけ

==================以下 委員会議事録より======================
〇 岡田委員 立憲民主党の岡田克也です。
 質疑に入る前に一言申し上げたいと思います。
 先ほど本会議場で我が党の階議員も指摘いたしましたが、橋本聖子東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長が、自由民主党を離党しない、北海道連の代表、会長も辞めないということを述べておられます。私は、オリンピック憲章の根本原則である「政治的に中立でなければならない。」という原則に反するのではないかというふうに思っております。
 森前会長の失言によって、世界が唖然としました。私は、日本の国益が大きく損なわれたというふうに考えています。今回また同じようなことになってしまうと、これはもう致命傷になってしまいます。そうならないために、あらかじめ、自由民主党としてしっかりと間違いのない判断をしてもらいたい、そのことを強く要望しておきたいというふうに思います。今日は、関係大臣も総理もおられませんから、私の考え方として申し上げておきたいと思います。

 さて、今日は三つのことを議論しようと思っていますが、まず、攻撃能力の保持ということであります。防衛大臣。
 安倍前総理が、敵基地攻撃能力を含めた抑止力の強化について問題提起をされましたが、菅政権において引き続き検討ということになりました。
 私は、敵基地攻撃能力というときに、二つの大きな問題があるんだろうと思っています。
 一つは、敵がミサイルを撃つ前に、それに対して攻撃をするということがどうなのか。一応論理的には、攻撃の着手があったら、それに対して一定の手続を経て武力行使できる場合があるということで論理的には整理されているというふうには思うんですが。
 もう一つは、そうはいっても、事前に、ミサイルを撃ってくるというのは、移動式の発射装置というのが可能になっている以上、ほとんど議論する意味がなくて、より重要なのは、相手が撃ってきたときに、それに対して反撃をする、あるいは攻撃をするということが一定の範囲で認められるのかどうか、そういう議論、あるいは、政策的にそれをどうするのかという議論だというふうに思っていますが、そういう認識でよろしいですか。

〇 岸国務大臣 今委員の御指摘でございますが、敵基地攻撃の問題と、いわゆる専守防衛あるいは先制攻撃、それとの関係ということだというふうに思っていますけれども、敵が、確かにTELがあると、ミサイルを撃つまでのタイミングが非常に、こちらで察知できる時間的余裕がないという状況かもしれませんが、いずれにいたしましても、その撃ってきたミサイルに対しては、いわゆるBMDで対応していく。それから、盾と矛との関係でいえば、日米同盟の中で役割分担をしっかりして、米軍による反撃というものを併せて考えていかなければいけないということだと思っております。

〇 岡田委員 今、敵基地攻撃能力を認めているわけではないので、今のような答弁になったんだというふうに思います。
 十二月十八日の閣議決定で、そのこととは一応別のこととして、スタンドオフ防衛力の強化が決定されました。今審議をしている来年度予算の中でも、例えば、一二式地対艦誘導弾性能向上型、いわゆる巡航ミサイルということになると思いますが、三百三十五億円の予算がついた。要求は二十七億円ですから、大幅に増額査定したということになっております。
 この射程の延伸ということがどのぐらいなのかというのは、聞いても防衛省はお答えにならないと思いますので聞きませんが、メディアでは、それが九百キロだとか千五百キロだとか、いろいろなことが報道されております。
 もう一つ私がお聞きしたいのは、長射程化に加えて、精度を高めるために、航空機などで得た情報を衛星に送って、その衛星からの情報で、いわば自律的に巡航ミサイルが軌道修正しながら相手に対して命中を目指す、こういうことも技術開発をしようとしているというふうに考えておりますが、それをやるときに、これは自衛隊だけで全て自己完結的にやろうとしているのか、米軍の力をかりてやろうとしているのか、どちらなんでしょうか。

〇 岸国務大臣 今のお問合せの件でございますが、一二式の地対艦誘導弾能力向上型の、いわゆる誘導弾データリンクというものでございます。地上装置と誘導弾との間で衛星を介してデータの通信を行うということでございますが、これについては、自衛隊のシステムで自己完結的に構築できるように今進めているところでございます。

〇 岡田委員 このスタンドオフ能力を高めることの理由として、例えば、離島に相手が侵攻してきたときにそれに対処する、近いとそれだけリスクが高いので遠いところから撃つというようなことが言われていますが、それだけではなくて、例えば、相手の艦船が領海にやってきたときに、何もしないのに撃つわけにもちろんいきませんが、相手がミサイルを撃ったりしたときにそれに対抗して撃つとか、そういうことも想定されると思うんですね。
 そこで、ということは、先ほどの射程が延びるということになると、日本の領海あるいは領土に対してだけではなくて、公海でも、あるいは相手国の領土、領海でも、能力としては、射程を延ばすということは、対応し得るということになりますよね。そこの確認です。

〇 岸国務大臣 このスタンドオフミサイル、各国のミサイルの性能が著しく向上しておるところでございますが、その中で、自衛隊員の安全を確保して、相手の脅威圏外から対処を行うために用いるということを想定しているものでございます。
 その上で、射程の距離自体と、相手のところに届くかどうか、攻撃する能力があるか、これはちょっと別物だというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、相手の圏外から、いわゆるスタンドオフミサイルとして安全を確保した上で対処できる、こういうもののために開発をしているところでございます。

〇 岡田委員 敵基地を攻撃する意図はない、そういうことは想定していないという答弁なら分かるんですが、日本の領海に、何百キロか、あるいは千キロか、届く。それは、敵の領海、相手国の領海には届かないというのは、あり得ないんじゃないですか。
 能力的にはあるけれども、そういう意図は持っていないというのが正しい答えじゃないですか。いかがですか。

〇 岸国務大臣 能力的なものを言えば、既に我が国の戦闘機、これ自体が相手の領土まで当然ながら性能としては飛んでいくことができるということでございます。ですから、ミサイルの航続距離だけで判断をするということではないんだと思います。

〇 岡田委員 今でも、航空機がミサイルを積んでいるとすると、そういうことは可能だと思いますし、それから、この一二式だけじゃなくて、もう既にそういった装備も国産でなければあるということだと思うんですね。それは能力としてはやはりある、そうでないとおかしいんじゃないですか。
 たまたま相手国の艦船が日本の領海にあったら届くけれども、相手国の領海にあったら届かないなんということはあり得ないわけですから、能力としてはあるということはやはりちゃんと認めた上で、意図は、そういうことは考えていないというのが正しい答えじゃないですか。

〇 岸国務大臣 今既にございますそのほかのミサイル、JSMとかJASSM、LRASM、これは、公刊情報でいえば、JASSM、LRASMについては九百キロと言われています。
 単純に地図上の九百キロということでいえば、日本の領海、領土から九百キロで届いていくということにはなりますけれども、そのことが相手国の領土を直接攻撃するかどうか、そのこととはまた別だということであります。

〇 岡田委員 今大臣が言われたことをより正確に言うと、能力的には今もあるし、この一二式もそういった能力を向上させる、しかし相手国の領土を攻撃するということは考えていない、そういうことでよろしいですね。

〇 岸国務大臣 一二式の能力向上型については、あくまでもこれはスタンドオフミサイルとして、相手の脅威圏外から対処をするために用いるミサイルであります。

〇 岡田委員 その能力をしかし持つということが果たしていいのかどうか、必要なのかどうかというところは、これは政策論としてある。相手国の、能力を持っている以上使ってくるかもしれないという疑念は当然抱かせるわけですね。
 しかし、他方で、日本の周辺国でそういった中距離ミサイルを持っている国、現に存在していて、それこそかなりの能力を持っているというときに、じゃ、それに対してどういうふうにして抑止していくのか。そういうことの中でこの長射程化ということも議論していく必要があるかもしれないという問題だと私は思うんですね。
 ただ、そのときに、それが、この前の十一月のこの委員会での審議で私指摘しましたように、中途半端に持っても抑止力にはならないだろう。
 それから、もちろん、憲法上の制約というものをどう考えるか、専守防衛というものをどう考えるのか。従来は、専守防衛について、受動的な防衛戦略の姿勢であるというふうに言ってきたわけですから、果たして受動的と言えるのかとか、そういった議論しなければいけない課題。
 あるいは、先ほど、自衛隊だけの力で攻撃できるという御説明もありましたが、相手国領土ということになれば、より相手国のレーダーとか迎撃ミサイルとか、そういうものに対してどう対応するかということも含めると、日本だけではなかなか難しそうで、結局、米軍の力をかりなければいけない。そうすると、日本単独で意思決定できなくなる、そういったことをどう考えるのか。そういう様々な問題についてしっかり議論しなければいけないんだというふうに思います。
 私は、憲法の専守防衛というのは極めて大きな、平和憲法の根本のところですから、簡単に認めるという結論にはならないと思っていますが、しかし、そういう問題だというふうに私は整理をしておりますが、大臣、何か御感想あれば。

〇 岸国務大臣 まさにこの専守防衛の考え方、今委員からもお話がございました、憲法にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢ということでございます。あくまでもこれは維持をしていかなければいけないわけですけれども、一方で、我が国の領土、領海、領空をしっかり守っていかなければいけない。そのためには、しっかり自衛隊員の安全を確保した上での戦いができるような、そういう装備を備えておくことが必要だというふうに考えております。

〇 岡田委員 私は、そういったスタンドオフミサイルということで、実は長射程化して、その先にあるものは違うものがあるかもしれないというふうに思っているものですから、ちょっと議論を整理させていただきました。
 今日はこの辺で防衛大臣はもう結構ですから、御退室ください。
 それで、次に、経済産業大臣にお聞きします。
 中小企業事業再構築促進補助事業、もう既に三次補正予算で一兆一千四百八十五億円が計上されています。私は、この予算案を見たときに最初に思ったのは、すごく大きいなということですね。今までのものづくり補助金と比べても十倍ぐらい大きい。
 そもそも、中小企業庁の予算というのは年間一千百億ぐらいですから、その十倍の予算が補正でどんとついているということに若干違和感を覚えつつ、しかし、これに対する期待も高いということですから、これがきちんと公平公正に使われなければならないというふうに思います。そういう問題意識で、ちょっと幾つか確認したいというふうに思っております。
 まず、これは仕組みが非常に複雑なんですが、経済産業省があって、その下に基金設置法人というのがあって、そこから事務局というのがある。事務局はもうパソナに決まっている。しかし、基金設置法人はまだ決まっていないと私は理解しています。二回手続が延期されている。これはちょっと異常事態だと思いますし、ここが決まらないと全体の仕組みは動きませんから、補助金の応募をしたって、その手続ができないわけですよね。三月にそれが本当にできるのかという疑問もあります。
 なぜ手続が遅れているのか、どういう見通しなのかということをまずお聞きしたいと思います。

〇 梶山国務大臣 事業再構築補助金についてお尋ねがありました。
 外部の団体に基金を設置して、複数年にわたって実施する事業であります。
 基金設置法人の公募につきましては、第一回目の公募は一月二十八日から二月四日まで、第二回目の公募は二月五日から二月十二日まで実施をいたしました。いずれもどの団体からも応募がなかったため、そのため、現時点では基金設置法人はまだ決まっていないというのが現実であります。
 応募がなかった理由につきまして一概にお答えすることは困難でありますが、コロナにより厳しい事業環境が続く中、できる限り早く事業再構築に取り組みたいという事業者のニーズが多いことも承知をしているところであります。
 このため、現在、基金設置法人選定に関する審査委員会、これは外部の第三者委員会のようなものでありますけれども、この御了承をいただいた上で複数の団体に打診し、調整を進めているところであります。三月に補助金の公募を開始できるように早急に準備を進めたいと考えております。

〇 岡田委員 これ、要するに、一兆円を超えるお金を扱う法人ですね。そして、一部は事務局に委託はできるとしても、まあ、全部かもしれませんが、補助金交付の申請の受理とか、交付の決定とか、補助金の額の決定などを行うことになっていると私は承知しているんですが、それがなかなか決まらないというのは、ちょっと異常事態じゃないですか。
 国が勝手に決められません、これは手続を経なければいけませんが、ある程度見通しがあってこの補助金の制度というのはあるんじゃないですか。どうしてこういうことになっているんですか。

〇 梶山国務大臣 これまでに、こういった同種の補助金、額は違いますけれども、同種の補助金の基金の設置法人として経験があること、また、そういう管理能力もあること、事務局に、外に出しますから、その資金の管理能力があること、また、非課税の法人であってそういったものをということで今探しておりまして、幾つか当てがある中で、先ほど申しましたように、委員会の了承をもらった上で幾つかの法人に今声をかけているということで、必ず近いうちに決めたいと思っております。

〇 岡田委員 ちょっと、裏にどういうことがあるのかなと首をかしげてしまう御答弁だったと思います。
 それから、その下で事業の委託を受ける事務局、これはもう既に公募で、手続で決まっていて、株式会社パソナになっているというふうに理解をしております。私が心配するのは、非常に大きな予算で、規模的にも、交付決定はたしか五・五万件でしたっけ、それをうまく回していけるのかということが一つです。
 従来、ものづくり補助金は十分の一程度の規模で、そこは中小企業団体中央会がやっていたということですね。同じようなやり方でするとすると、恐らく第三者委員会というのをつくって、そこで点数をつけて、そして交付決定していくということになると思うんですが、その第三者委員会のメンバーだって、金額も十倍ですから、恐らく相当の人数を確保しなきゃいけない、それはパソナの責任で基本はやるということだと思いますが、果たしてこれは円滑にできるんですかね。

〇 梶山国務大臣 審査や交付決定の業務を行うのが事務局ということになりますけれども、公募を行った上で、外部有識者の審査によりパソナを採択させていただきました。
 有識者の審査においては、事業規模等に適した実施体制を取っていけるかどうかという点も含めて審査を行って、パソナは他の応札者よりも高く評価をされているということであります。これはいろいろな項目がありまして、点数で評価をしているということでして、合計点で他者よりも大変数字が大きかったということでもあります。
 また、審査委員からは、大規模な補助金事業の実績を踏まえて具体的な提案がなされておりまして確実かつ早期の運用が可能と判断したとの評価コメントも付されております。
 補助金執行は一義的には採択されたパソナが担う予定でありますが、審査やコールセンターに必要となる人員が確保され、適切かつ効率的に審査状況を管理できる情報システムが構築されるように、経済産業省としても適切に指導してまいりたいと考えております。

〇 岡田委員 これは、人手というか一定の能力のある人をそろえることができるかどうか。金額的に言うと、例えば持続化給付金、それよりはるかに大きいわけですが、これは、収入が五割を切っているかどうかという、いわば客観的な判断。今回はそうじゃなくて、ものづくり補助金と同じように、付加価値額が年率平均三%以上増えなきゃいけないとか、これ、かなり経営の中身に立ち入った、そしてその計画に対して判断しなきゃいけない、そういう要素があるわけですね。
 それが、本当に、この一兆円、基本的には二年間かけてこれを使うということだと思うんですけれども、円滑にできるのかどうかというのが私は非常に疑問なんですが、自信のほどはいかがですか。

〇 梶山国務大臣 政策は、執行した上で評価もしていかなければならないと思っております。執行後に五年間調査をする予定になっておりまして、しっかりと評価をしてまいりたいと思っております。

〇 岡田委員 私は、そういった、うまく回るのかどうかという懸念が一つと、もう一つは、ものづくりのときは中小企業団体中央会ということだったわけですね。これは、特別民間法人、特別の法律によって設立される民間法人。今回、パソナ、株式会社。中央会に対しては、国の様々な監督権限もあるし、それから、中小企業等協同組合法の中で罰則もある、そういった形で担保されていますね。
 ところが、今回は、そういうものは法律上はない、民間企業ですから、ということになっていて、中小業者から見ても、果たして秘密がきちんと守られるのか、いろいろな機微にわたる経営情報がその中には書かれていて、あるいは将来の計画が、それはちゃんと保持されるのかという心配もあると思うんですね。
 それから、これ、非常に需要は高いと思いますので、何とかこの補助金を取りたいということになって、例えば金品で、パソナの社員なのかあるいは第三者委員会のメンバーなのか分かりませんが、そこで点数のかさ上げを依頼するとか。公務員だったらこれは贈収賄罪になりますが、今回、そういう規定もないわけですね。それで本当に、公平公正で、必要な人に必要な補助金が行くような、そういったことが担保できますか。

〇 梶山国務大臣 この補助金の執行に関しては、かなりの人を配置をしなければならないと思っております。パソナの事務局の下に何社かやはり契約をした上でということになりますけれども、昨年の持続化給付金のときも様々な御指摘をいただきました。
 そういった中で、執行中ではありますけれども中間検査もしましたし、昨年末までに、調達の在り方に関する検討会というものを開きまして、新たなルール決めをさせていただきました。機密保持もそうですし、徹底をするということもそうですし、しっかりとしたその手順に沿ってこういう契約をしていきますし、また執行もしてまいりたいと思っております。

〇 岡田委員 持続化補助金とは違って、実質的な判断をしなきゃいけないので、大分状況は違うというふうに私は思うんですね。ですから、本当に必要な中小業者の方あるいは中堅企業の方が、この制度をうまく利用して生産性を高めるということができるのかどうかというのは非常に大事なことだというふうに思います。
 そういったことについて、法律はないということですから、じゃ、契約で縛るということになると思いますが、万全の対応をしていただきたいというふうに思うんですが、いかがですかということ。
 それから、先ほどちょっとおっしゃいましたが、やはり、終わった後きちっと検証する。いつの間にか、こういう、ものづくり補助金あたりからだんだん慣れてきてしまっていますが、本来の中小企業の補助金というのは、中小企業庁がもっと二桁ぐらい小さな補助金制度でも直接関わって、そして交付したりしている。それが急に、百倍ぐらい大きなものがこういう形で間接的に関与するしかないというのは、ちょっと私はバランスが悪いような気がしますね。
 ですから、今回のこの非常事態ですからやむを得ないとは思いますが、そういったことも含めて、例えば法律を作って、そういった委託先に対してもきちっと一定の規制がかけられるとか、そういったことを考えるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

〇 梶山国務大臣 委員も御存じのとおり、事業再構築補助金というのは、このコロナ禍において、デジタル化、グリーン化、また新たな産業ということも含めて、事業を再構築していくというための補助金であります。ある程度の大きさになれば、今度は土地の手当てから、工場を造る、更にその中のものということで、長期間にわたるものもあります。また、小規模企業が業態を変える、店で売っていたものを、デリバリーする、またECによって通販をするというようなことも含まれると思います。
 そういったことに対してしっかりと対応できるようにしたいと思いますし、また、調達に関する検討委員会が、これ、直接の契約を結んでいなくても、全てやはりこういったものに関しては国が関与できる、また契約者が関与できるというような形になっておりますので、委員の御指摘もしっかりと受け止めた上で万全の体制を組んでまいりたいと考えております。

〇 岡田委員 しっかりと対応してもらいたいと思います。
 次に、三番目。グリーン成長戦略について、前回、総理も入ったところで議論させていただきました。その続きなんですが、この二〇五〇年の再生可能エネルギーが五〇から六〇%という数字、これは一つの参考値として議論を進めるということで、これで決めたということではなくて議論をするための参考値だということですが、そうはいっても、やはりこれを軸にして議論されるということになりますね。これが、なぜこの数字が出てきたのか、私は不思議でならないんです。
 経産大臣は、四つの団体、総合エネルギー調査会の基本政策分科会でしたか、そこで、国立環境研究所、自然エネルギー財団、日本エネルギー経済研究所、電力中央研究所、この四つのヒアリング結果を総合的に勘案して五〇から六〇%というふうにしましたというふうに前回の予算委員会で述べられました。総合的に勘案すると、この四つの団体から、五〇から六〇という数字になるんですか。

〇 梶山国務大臣 委員御指摘のように、四つの団体からヒアリングをいたしました。そして、一〇〇%という団体もありましたし、八〇%という団体もある。また、非常に低めの提示をした団体もあるわけであります。ただ、多めの、再生可能エネルギー一〇〇とか八〇とか、多い比率というものを提示をした団体においても、今の技術ではということなんですね。ですから、慣性力とか調整力というものが検討課題だということは条件としてつけております。
 そういったことも含めて、五〇から六〇というのが、数字はまずここで、様々な課題について、私、五〇とか六〇でも、現状の技術力からするとなかなか難しい部分があるとは思いますけれども、ネットワークの整備であるとかグリッドをどう効率的に使うかとか、また、先ほど言った調整力や慣性力という大停電にならないための方策とか、そういったことも含めて、この五〇、六〇で、技術的な課題、検討課題というものをしっかりと、標準としてこのくらいの技術が必要である、このくらいのコストが必要であるというものを議論していこうということで、委員の皆様の了解を得て出したものであります。

〇 岡田委員 しかし、技術的課題ということであれば、例えばCCSだって、あるいはアンモニアとか水素だって非常に大きな課題を抱えて、十分の一ぐらいにコストをしなきゃいけないとかですね。それと比べて、私は、再生エネルギーに対して辛過ぎると思うんです、判断。
 この前も申し上げましたが、前回の予算委員会でも申し上げましたが、二〇三〇年の数字で、イギリスは六〇・六ですよ、再生可能エネルギーの割合は。電力の構成比ですね。それからドイツは六五%です。それに対して、二〇五〇年までかけて五割から六割というのは私は低過ぎるというふうに、少なくとも世界の基準から見ればなると思うので、なぜこういう数字になったのかということを説明していただきたいんですよ。理解できないんです、私には。
 しかも、一〇〇とか八〇というヒアリングの結果もあるわけです、もっと低いところもあったけれども。これは、足して二で割るじゃなくて、やはりきちっと科学的根拠を持って数字が示されなければならないと思うので、聞いているわけです。いかがですか。

〇 梶山国務大臣 ほかの国の例を挙げてそこに逃げ込むつもりはありませんけれども、ほかの国でもシナリオを幾つか作っている、そして基準のところで技術の確認をしているということであります。
 私どもも、技術の確認をしていって、これはあくまでも参考値だ、ただ、独り歩きするという委員のその御主張も分からないわけではありませんけれども、技術の確認をするための議論をするということで、ここから議論をしていくわけであります。これは変わり得るということであります。
 さらに、私ども、二〇五〇年のカーボンニュートラルというのは、もう逃げられない道だと思っております。ですから、その中で、少しでも多くの再生可能エネルギーも必要ですし、二酸化炭素、地球温暖化ガスを大気中に排出しないという技術も含めて、どう開発していくか。さらにまた、再生可能エネルギー、不安定電源をネットワークに入れていくためには、慣性力や調整力というものをどう考えていくかということも含めて、議論の土台として数字を出していただいて、委員の皆様の御了解もいただいているということであります。

〇 岡田委員 私が非常におかしいと思うのは、例えばアンモニアとか水素、これだって、グリーン水素ということであれば、再生可能エネルギーから作るわけですね、アンモニアや水素は。それは、日本で作るのか、海外で作るのかという違いはあるかもしれませんが。だから、そういうアンモニアや水素ですら再生可能エネルギーを前提にしているときに、あとCCSというのがあるかもしれませんが、余りにも国内で生産するレベルとしては少な過ぎるというふうに私には思えてなりません。
 小泉大臣とこの前議論させていただいたときに、二〇三〇年で倍だとおっしゃいましたよね。ということは、今、二二から二四ですから、四四から四八ぐらいを二〇三〇年で再生可能エネルギーとして考えておられる。四八だとすると、それから二十年かけて五〇から六〇というのは、余りにも低過ぎませんか。
 環境省も、能力的にはもっとある、この前も議論しましたが、というふうに言っておられますよね。この五〇から六〇という数字は、これは政府の決定ですが、何かおっしゃらなかったんですか。

〇 小泉国務大臣 まず、政府の決定ではありません。これは、梶山大臣が今おっしゃったとおり、参考です。ですので……(岡田委員「参考値」と呼ぶ)はい、参考値です。なので、まず、これは政府の決定ではありません。
 そして、前回、答弁もさせていただきましたとおり、環境省のスタンスは、この日本の中で、電力の総発電量の二倍のポテンシャルを再エネは持っているわけです。ですから、この二倍のものをいかに可能な限り使い尽くしていくかということを私は基本で考えるべきだと考えています。
 それは、エネルギー安全保障にも資するし、財政的にも、毎年、今、化石燃料に対して外に十七兆円払い続けているわけです。これを少しでも国家の中で、地域の中で資源循環、地域循環で、金融も含めてですね、資金循環がしていくようにするか。私は、そのスタートから立脚をして、今後、エネルギー政策も含めて、地域の在り方も含めてどう考えるか。
 環境省としては、供給サイドは経産省、需要サイドは環境省、そういった役割分担を考えたときに、二〇三〇年までに再エネの倍増を目指して政策を強化する、こういったことを全力を尽くしていきたいと思います。

〇 岡田委員 政府の決定と私が申し上げたのは、このグリーン成長戦略が政府の決定です。そこは、ですから、政府として決めたと。
 その中で、確かに参考値としてということではありますが、その参考値としておかしいんじゃないかと私は言っているわけです。もう少し高めの数字、あるいはこの数字を決めずに幾つかのケースを、二〇五〇年については最初から二つか三つ、あるいは四つぐらいのシナリオを作って、それを同列に置いて議論するなら分かりますが、この五〇から六〇という数字が先に来てしまっていますから、私は、非常に議論をミスリードするんじゃないか、そういうふうに申し上げているわけです。
 もう一回、小泉大臣、答えてください。

〇 小泉国務大臣 今、梶山大臣もおっしゃいましたけれども、これは参考だということですよね。環境省、国立環境研究所は今回八〇%、そういったものを出しています。私は、三十年後のことですから、いかに再エネの主力電源化というものに向けて、より引き上げることができるか。
 先ほど水素の話もされましたが、やはり世界の水素の取組を見ても、基本は、再エネをじゃぶじゃぶにあふれさせてそこから水素を作って、グリーン水素を作る、こういったことは私は基本だと思います。
 ですので、私としては、今後、エネルギー政策が政府全体として議論される中で、気候変動政策も含めて、必要な主張を環境省として行っていきたいと考えています。

〇 岡田委員 経産大臣と環境大臣、対立しているわけではないようなので、そこは非常にいいんだとは思いますが、本来であれば、これは、グリーン成長戦略を決める前に、かなり見解の相違があるわけですから、そこを少し議論して、そしてミスリードしないような、そういう形にすべきであったというふうに私は思っています。
 何か言いたいですか。

〇 梶山国務大臣 小泉環境大臣とは折に触れて話合いをしております。こういったものを決めていくときには、内閣の下で連携をしながらしっかりと決めていかなければならないと思っております。
 ただ、今の時点での技術水準というのはなかなかやはり不確定のものもありますから、いずれそれは変わるものだという前提で、例えば、いろいろな技術が達成すれば、そこからのまた比率も変わってくるでしょう。二〇五〇年に向けて、将来の世代がそういう考え方の下に、またそれを変更することもあり得ると思っております。

〇 岡田委員 私は、総合エネルギー調査会で議論するのも、専門家ですからいいんですが、やはり基本は政治主導で、そういう委員会での議論は参考にしつつ、やはり両大臣を中心に、しっかりと方向性をまず決めた上で具体的な議論を、技術的裏づけ、そういうものを議論した方がいいんじゃないかということは申し上げておきたいと思います。
 あと、原子力についても、ちょっと私はよく理解できないんですが、さっきの再エネは五〇から六〇ということですが、原子力とCO2回収前提の火力を合わせて三〇から四〇というふうになっていますね。残りが水素とアンモニアということになるわけですけれども、なぜ、原子力とCO2回収前提の火力を一くくりにして三〇から四〇という数字を出したのか。火力という意味だったら、むしろ火力だけで一くくりにするなら分かりますよ、水素、アンモニア、それからCO2回収前提の火力。原子力とCO2回収前提の火力を一くくりにしているというのは、何か特別な意図があるんですか。

〇 梶山国務大臣 まず、この数値でありますけれども、再エネの五〇から六〇%、これまでの議論やヒアリングを総合的に勘案してお示ししました。また、水素、アンモニアに関しましては、委員御指摘のとおり一〇%については、二〇一七年の水素基本戦略で示された、将来の発電向け供給量の想定を踏まえて示しました。原子力とCCUS付火力で三〇から四〇という数値は、再エネ五、六〇と、水素、アンモニアの一〇%の参考値を先に決めた上で、その値を全体一〇〇%から差し引いてお示しをしたものにすぎません。これは参考値ということですから、必ずやはりこれは分かれて出てくると思います。
 そして、火力についてもいろいろな議論があります。石炭火発、どうするんだという話もある、高効率であってもどうするんだという議論もある。原子力についても、一切要らないという人もいれば、やはりある程度は必要だという人もいる。さらにまた、リニューアルということ、また新増設ということをおっしゃる方もおいでになるということでありますが、タブーをなしにして議論をしていこうという中での数値。いずれこれは分かれると思います。そういう数値だということを御理解いただきたいと思います。

〇 岡田委員 私は、なぜこの二つを、異なるものを一つにしたのかということを聞いているわけですね。
 最後に、原子力については、菅総理は、新増設やリプレースは想定しないとしつつ、二〇五〇年については、原子力も含めてあらゆる選択肢の議論を進め、結論を出してまいりますというふうに答弁されました。ということは、二〇五〇年の数字が最終的に決まったときには、原子力をやるかやらないか、やる場合にどのぐらいかという数字がきちんと出るということですか。

〇 梶山国務大臣 この数値に関しましては、ほかの国も含めて参考にしているんですけれども、EUも英国も含めて、二〇五〇年にどうなるかという中での項目として原子力というものも入ってくるかと思います。
 ただ、今の政府のスタンスを申しますと、まずは国民の信頼回復に努める必要があるということだと思います。ですから、国民の信頼回復ということは、技術の信頼回復、これは新規制基準に合ったものをしっかりやっていくということになりますけれども、さらにまた、国民の理解、原子力というのはある程度必要だというような思いを持っている方がある程度出てくるということ、またさらに、立地地域の御理解というものも含めて、今、信頼回復の途上であると思っております。

〇 岡田委員 私は、原子力は新たなものを造ることはすべきでない、そういう考え方ですが、いずれにしても、もしやるのであれば、リードタイムを考えれば、そろそろ決めなければならないタイミングになってきているんじゃないか。だから、余り先送りして逃げずに、きちっと議論できた方が私はいいというふうに思っております。
 終わります。




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