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11/4 予算委員会 質問(対北朝鮮外交、敵基地攻撃能力、核兵器禁止条約について)

☆ 衆議院予算委員会で、菅総理大臣へ外交について質問しました。

【委員会】 予算委員会
【日 時】  11月4日(水) 9時45分~10時27分(42分間) 

動画はこちら⇒ YouTube 【岡田かつや国会論戦】 https://youtu.be/NvXhk66Qp90

質問要旨
Ⅰ 対北朝鮮外交
  ・基本方針が変わっていないことの確認
  ・「圧力一辺倒」から「無条件対話」への転換の経緯
  ・ストックホルム合意の失敗
  ・今後の展望

Ⅱ 敵基地攻撃能力
  ・「談話」(9月11日)の言う「迎撃能力以外の方策」の内容
  ・攻撃能力保持の現実妥当性
  ・専守防衛との関係
  ・日本にとって最適の選択とは

Ⅲ 核軍縮不拡散政策
  ・核禁条約への対応
  ・中国の核増強への方策
  ・新START延長問題

Ⅳ 北方領土問題
  ・基本方針が変わっていないことの確認

                     ――――――――――◇――――――――――

◎岡田委員  立憲民主党の岡田克也です。
 きょうは、外交、安全保障の問題について質疑をしたいと思います。
 まず、対北朝鮮外交、総理は官房長官としても深くかかわってこられた問題だと思います。
 最初に、一点確認です。
 総理は所信表明演説の中でも、日朝関係に関して、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算し、国交正常化を目指す、こう述べられました。従来の方針を確認されたということだと思います。
 ただ、私、もう一つ確認していただきたいことがあります。
 それは、対北朝鮮に対してCVID、つまり、北朝鮮の核とミサイルについて完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法での廃棄を求める、これは日米韓の共通認識だと思いますが、基本的にはこの方針を受け継いでいるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

◎菅内閣総理大臣  安保理決議に従って、北朝鮮による全ての大量破壊兵器及び射程の弾道ミサイルの完全、検証可能な、かつ不可逆的な、いわゆる今委員からお話がありましたCVIDを求めていく方針に変わりはありません。
 また、この方針については、米国、韓国とも完全に共有をいたしております。
 今後とも、日米、日米韓の三カ国で緊密に連携をし、中国、ロシアを含む国際社会とも協力をしながら、北朝鮮のCVIDの実現に向け、関連する国連安保理決議の完全な履行を進め、朝鮮半島の非核化、これはぜひ進めていきたいと思います。

◎岡田委員  そこで、拉致問題を含む対北朝鮮外交、これは安倍前総理にとっても最優先課題だったと思います。その前に、拉致問題に関しては安倍総理のもとで国際的な理解と協力が拡大した、ここは政権としての大きな成果だというふうに思います。
 しかし、現実に北との交渉の状況を見ると、残念ながら拉致被害者が帰ることはなかった。そして、この間、北朝鮮の核、ミサイルの開発はどんどん進んで、現実に日本に核ミサイルが到達し得る、そういった脅威が生まれるようになった。
 なぜ、この対北朝鮮外交、安倍政権のもとでうまくいかなかったのか、総理はどういうふうに認識しておられますか。これは総理が官房長官としてやってこられた話なので、外務大臣に聞くつもりはありません。

◎菅内閣総理大臣  日朝関係を前に進めるべく、北朝鮮に対して影響力を行使する各国の首脳と緊密に連携をしてきました。トランプ・アメリカ大統領、習近平中国国家主席、文在寅韓国大統領、それぞれから、金正恩委員長に対して、我が国の立場というものを直接伝えてもらいました。
 同時に、我が国自身、自主的な取組も進めてきており、北朝鮮に対してさまざまな働きかけも行ってきておりますが、詳細は、今後の交渉に影響を及ぼすおそれがあるために、明らかにすることは差し控えさせていただきますけれども、いずれにしろ、我が国としては、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決をし、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指す考えに変わりはなく、今後とも国際社会と緊密に連携して取り組んでいきたいと思います。

◎岡田委員  私は、安倍政権、対北朝鮮外交という意味では成果が残念ながら出せなかった、失敗したというふうに思っています。それがなぜかということを少し検証してみたいと思います。これは、菅総理のもとでぜひ前に進めてもらいたい、そういうふうに考えて検証するものであります。
 資料をちょっとごらんいただきたいと思います。安倍首相の今までの発言などをまとめてみたものです。
 この中で、一つの転機になったのは、二〇一八年九月二十五日の国連総会の演説で、ここで安倍総理は、金正恩委員長と直接向き合う用意があるというふうに言われました。その後、条件をつけずに会って話したいと。この方針は菅総理も引き継いでおられる。
 疑問は、同じ国連総会演説、更にその一年前ですね。一年前には、対話とは、北朝鮮にとって、我々を欺き、時間を稼ぐための最良の手段であった、必要なのは対話ではなく圧力だ、こういうふうに言われたんですね。
 なぜ一年間で、対話を否定するような発言から、直接向き合う用意があるというふうに変わったんでしょうか。その理由をお聞かせください。総理、直接やってこられたのは総理ですよ、官房長官として。

◎茂木国務大臣  もう御案内のとおり、日朝平壌宣言の当時から、対話と圧力、その両方をもって北朝鮮の前向きな対応を引き出していく、こういったことを続けてきたわけでありまして、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決して、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指す、我が国の北朝鮮外交の基本方針は一貫をしている、そのように考えて、その上……(岡田委員「質問にちゃんと答えてください」と呼ぶ)ちゃんと答えていますから……(岡田委員「長く答えてもらう必要はないですから」と呼ぶ)大切な問題なので。
 米国は、制裁を維持しながら、対話を通じて、朝鮮半島の完全な非核化について北朝鮮との間で合意し、その履行を促しているわけでありまして、我が国としては、米朝プロセスを支持して、また国連安保理決議の完全な履行を確保していくことが重要である、こういった文脈の中において、もちろん、条件をつけずに話し合う、こういう対話の路線を閉ざしているわけではありませんが、きちんとした制裁等々によって圧力をかける、こういったこともやめているわけではありません。

◎岡田委員  これは総理が官房長官として深くかかわってきた話なので、総理にお聞きをしたいんですが、今の外相の答弁にありますように、実は米朝首脳会談というのがその間にあったということですね。トランプ大統領が米朝首脳会談を提案した。突然のことで世界は驚いたと思います。それがあって、慌てて日本の方針も変わった、そういうふうにしか私には思えないわけです。
 私が気になるのは、二〇一七年の国連総会演説で対話を否定したということです。必要なのは対話ではなく圧力だ、ここまで言う必要があったのか。みずから対話の道を閉ざしてしまった。ここは、総理、どう思われますか。

◎菅内閣総理大臣  政府として、具体的対応については、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するために何が最も効果的であるかという観点から不断の検討を進めてきており、その方針に変わりはないということです。

◎岡田委員  事務方も困ってお粗末な答弁しか用意できなかった、それを読む総理もお気の毒だと思いますけれども、やはり、ここで対話の可能性を、国連総会、そういう大きな場で日本国総理大臣が否定したというのは、私は、これは絶対に間違いであったというふうに思います。
 もう一つ聞きます。その前ですね、日米首脳電話会談がありました。その中でトランプ大統領は、全ての選択肢がテーブルの上にあるというふうに述べられました。その間、米朝の首脳間では激しい言葉のやりとりがあって、本当に戦争になるんじゃないか、そういうふうに世界は心配をしていたわけです。
 そのときに、この電話会談の中で安倍総理が何と言ったかというと、トランプ大統領の発言を一貫して支持をする、高く評価する。これは適切だったんですか。

◎茂木国務大臣  岡田委員、先ほどから申し上げておりますように、日本の基本的な方針、これは対話一辺倒でもなく圧力一辺倒でもない。相手の出方であったりとか、また米国の対応、こういったものとも連携しながら、時には圧力を使うことによって相手の前向きな反応を引き出す、時には対話をすることによって、実際に米朝の間で二回の対話が行われて、そこの中での合意というのが行われているわけであります。
 そういった連携のもとで、圧力が必要なときに圧力に重きを置いた発言をする、また、対話の機会が醸成してきたら、日本としても条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合いますよ、こういう話をしていく。そういった中で、拉致、核、ミサイル、こういった問題を包括的に解決して、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指していきたい、この方針は一貫いたしております。

◎岡田委員  状況に応じて発言の中身が少し変わるというのはわかりますが、問題は、これは一国の総理大臣の発言ですからね。対話じゃなくて圧力だというふうに対話を否定する、そういう発言があった。そして、トランプ大統領が、全ての選択肢がテーブルの上にある、つまり武力行使を視野に置いた発言をしたときに、一貫して支持するとか、高く評価する。
 もし米朝間で武力行使という事態になれば、それは最も影響を受ける、戦場になる可能性があるのは日本でしょう。日本国民の命と暮らしを守るというのは日本国総理大臣の最も大事なことだとすれば、こんな軽率な発言、できるんですか。私は、総理に同じことを言ってもらいたくないから聞いているんです。総理、どうですか。

◎菅内閣総理大臣  日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイルという諸懸案を包括的に解決をし、不幸な過去を清算し、国交正常化を目指すという我が国の対北朝鮮の外交基本方針は一貫しておりますので、そういう中で、御指摘は当たらないというふうに思います。
 私自身も、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。

◎岡田委員  私は今までの経緯についてお話をしているわけです。率直に言って、これは支離滅裂、場当たり的、そう言われても仕方のない、今までの安倍政権下での、特に安倍総理の発言だったと思います。同じことを菅さんには繰り返してもらいたくない。やはり、日朝間で話合いをするというときに、もちろんいろいろな要素がありますが、相手が信頼できるかどうかというのも重要な要素だと思うんですね。それを否定するようなことは私はしてもらいたくない、そういうふうに思っているわけです。
 もう一つ、ストックホルム合意というのがありました。これは、その少しさかのぼる二〇一四年五月、北朝鮮と日本との間で、一つの、私、これは外交成果だったと思うんですが、北朝鮮は特別委員会を設置して拉致被害者を含む日本人行方不明者の全面的調査を約束する、日本は見返りに独自制裁の一部を解除する、こういう合意ができました。
 当時、菅官房長官は、いつまでにその結果が出るのかというふうに聞かれて、調査が一年を超えることはないと思っている、これは二〇一四年五月三十日の記者会見での発言です。非常に楽観的なことも言われていた。しかし、結果的には、これはかなわなかった。
 これは、なぜうまくいかなかったんですか。当時の官房長官としての発言もありました、楽観的な。そのときは、本当に一年でできると思っておられたんだと思うんですね。なぜうまくいかなかったんですか。総理の発言を求めたいと思います。

◎菅内閣総理大臣 二〇一四年五月のストックホルム合意については、拉致問題は解決済みである、北朝鮮はそう言い続けてきたんですけれども、北朝鮮との間でかたく閉ざされていた交渉の扉を開き、北朝鮮に拉致問題を、者を始めとする日本人に関する全ての問題解決をするという意思表示をさせた、そのことは有意義だったというふうに思います。
 我が国としては、引き続き、同合意は有効であると考えており、他方、同合意以降、北朝鮮の特別調査会によって調査、それについて北朝鮮から調査結果の報告がなく、報告書も受け取っておりません。
 いずれにしろ、問題は、北朝鮮がストックホルム合意の履行に向けた具体的な行動を示していないことにあるわけでありまして、我が国としては、北朝鮮に対して同合意の履行を求めつつ、一日も早い拉致問題解決、拉致被害者の帰国実現、そこに向かってあらゆる努力をここは傾注しているところであります。

◎岡田委員  これは、全面調査を北朝鮮側が約束した、合意したという中で、残念ながら途中で頓挫してしまったということです。
 今、総理は、北朝鮮側から調査結果が示されたことはないというふうに言われました。一部には、北朝鮮からの調査結果が余りにも不十分だったから日本政府が拒否した、そういう報道もありました。総理はそれを今否定されたと思いますが。いずれにしても、これは非常に惜しかったと思うんですね。
 拉致問題の解決のためには、やはり日本が納得できるだけのきちんとした調査結果、生きている方について、しっかりその特定と日本に帰すこと、北朝鮮側が不幸にして亡くなった方がいると言うのであれば、そのことを日本が納得できるような客観的な結果、エビデンスを示すこと、そういうことがなければ、私は、拉致問題の前進というのはないというふうに思うんですね。
 もう一回きちんと再調査するということについて、提案するお気持ちはありますか。

◎茂木国務大臣  拉致問題の解決のためには、事実関係の確認、委員おっしゃるように極めて重要でありまして、ですから、一四年の五月に、厳しい交渉を経てストックホルム合意を引き出したわけでありますけれども、それにもかかわらず、今総理の方から答弁ありましたように、調査が実施をされていないということは極めて遺憾であると思っております。
 岡田委員の考えがどうかはわかりませんが、じゃ、ストックホルム合意と違った形で何らかの調査をするということになりますと、我々は、ストックホルム合意、これは生きていると考えておりますけれども、その見直しにもつながりかねない、このような懸念を持っております。
 恐らく、ストックホルム合意が動かなくなった、これは北朝鮮に問題があるんですよ。二〇一六年、一月に核実験をやって、二月に弾道ミサイルの発射をする、そこからやはり北朝鮮の姿勢が変わる。それによって、先生の年表にも出ております、二〇〇七年から、やはりなかなか対話では物事が動かない、圧力をかける必要があるということで、アメリカも日本も、そういうことを重点にしながら、相手側の前向きな対応を引き出してきた、こういう経緯だと考えております。

◎岡田委員  私は、北朝鮮と日本との直接交渉、これは、先ほどの拉致問題が当然あります、それだけではなくて、核、ミサイルの問題は日本自身の安全保障に極めてかかわる問題だ、そういう中で、両国間で直接交渉するということはとても大事だというふうに思うんですね。そのための条件をどう整えていくかということだと思います。
 今、北朝鮮はかなり厳しい状況にあると言われています。経済制裁、そして、新型コロナウイルスの関係で国境を閉ざしていること、水害の問題。金正恩委員長の国内向けの発言も、かなり異例のものがありました。
 そういう中で、例えば、国連のWFP、世界食糧計画では、北朝鮮の人口の四〇%ほどが栄養不足の状況にあるという報告もしています。制裁に反しない限りでの食料支援、人道支援、そういったものを提案するおつもりはありますか。

◎茂木国務大臣  現在、北朝鮮は、委員おっしゃるように、三重苦とも言われるわけでありますけれども、三つの困難。一つが新型コロナウイルスの影響。これによって中国等との物資のやりとりも途絶えている、人のやりとりも途絶えている。さらには台風と水害。台風も相次いでおります。そして経済制裁。これによって経済状態も悪化をしている、また、さまざまな食料そして物資が不足をしている、これは間違いないと思っております。
 その上で、少なくとも現状において経済制裁の緩和というものは時期尚早だと考えておりますが、一般的に、人道支援につきましては、その必要性を含めて総合的かつ慎重に見きわめた上で適切に判断をしていくことにしておりまして、北朝鮮の経済の動向であったりとかさまざまな動き、常日ごろからしっかりと情報収集、分析をしていきたいと思っております。

◎岡田委員  私は役人の答弁を聞きたいわけではありません。これは政治的な決断の問題ですね。
 ここで、日本の総理大臣がかわった、これは一つのチャンスだというふうに思うんです。物事が変わるわけです。今までの流れとは違う流れになる。アメリカは、大統領選挙、結果がどうなるかまだわかりませんが、トランプ大統領のもとでの米朝協議は事実上行き詰まっていた。そして、バイデン大統領になれば、外交の布陣が決まって、そして動き出すまで恐らく、一月以降、数カ月かかるというふうに思うんですね。だから、ここは空白期間がある。
 私は、ここで、総理はどんな小さなチャンスも逃さないとおっしゃるんだけれども、来るチャンスを逃さないんじゃなくて、チャンスをつくり出すことこそが外交じゃないかと思うんですよ。そういう総理のお気持ちはありますか。これは北も聞いていると思うので、ぜひお述べいただきたいと思います。
    
◎菅内閣総理大臣  まず、米国大統領選挙について予断をすることは差し控えますけれども、政府としては、これまでも、条件をつけずに金正恩委員長と向き合う決意のもとに、北朝鮮に働きかけを行ってきております。
 いずれにしろ、私自身も、被害者の皆さんとの会合でも、どんな小さなチャンスでも逃さないということを申し上げております。そうした中で、そうした状況をつくるべくいろいろ努力もしていることも事実であります。そうしたことで御理解をいただければと思います。

◎岡田委員 恐らく水面下でいろいろな御努力はされていることだと思います。最後はやはりトップの発信だというふうに思うんですね。ぜひ、このチャンスを逃さずに、チャンスをみずからつくり出していただきたい、そのことをお願いしておきたいと思います。
 次に行きます。敵基地攻撃能力です。
 安倍総理の九月十一日の談話の一部をここに載せておきました。総理も、四大臣でこれを議論しているそのうちのお一人だし、内閣でこれを取りまとめているわけですから、中心人物だったと思うので聞くんですが、ここで、この談話の中で、「迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命と平和な暮らしを守り抜くことが出来るのか。」というふうに言っています。これは問題提起ですね。だから、迎撃能力だけでは十分じゃない、そういう前提で談話ができている。
 ということは、迎撃能力の反対は、私は攻撃能力あるいは反撃能力ということだと思うんですが、そういう理解でいいですか。

◎菅内閣総理大臣  これは、今委員から御指摘ありました内閣総理大臣談話、安倍総理が退任に当たり、弾道ミサイルなどの脅威への対応のあり方について、政府としての問題意識、それと検討の状況を整理したものであります。ただ、閣議決定は行っておりません。
 その上で、弾道ミサイルなどの脅威から我が国を防衛するために迎撃能力を向上させることは当然として、それだけで将来にわたり我が国を守り抜くことができるかどうかという談話で述べた問題意識のもとに、迎撃能力以外に抑止力を強化する方策について、現在、これは検討している段階であります。
 これ以上の詳細については、政府内でまだ検討の段階でありますので、お答えすることは差し控えていただきますけれども、政府としては、この談話を踏まえて議論を進めていき、あるべき方策というものを取りまとめていく考えであります。

◎岡田委員  具体的に採用するかどうかは、それは今検討しておられるんですから、私はそこまで求めているわけではないんです。しかし、迎撃能力以外の能力といえば、攻撃能力あるいは反撃能力、そういったことしかないですねという確認をしているんです。いかがですか。

◎茂木国務大臣  言葉の上で反対語がどうかということであれば、一般的には、迎撃能力の反対の意味で攻撃能力、反撃能力というのは出てきますけれども、言ってみますと、迎撃能力の中には、相手の例えばミサイルの発射能力、さまざまな外交努力も含めて、それを削減させることも含めて、相手の攻撃能力の低下、これも概念上、迎撃能力の向上につながるものだと考えております。

◎岡田委員  今、政府の中で、あるいは四大臣会合の中で、この攻撃能力というものについて議論はしていないということですか。それとも、議論はしているんですか。そのぐらい明確にしなきゃ、いきなり、年内にと言っていますから、結論が出てきて、もう予算措置もしますというんじゃ、これは議論の余地がないじゃないですか。そのぐらいのことはちゃんとお答えになるべきじゃないですか。非常に大事な話ですから、これは。どうですか、総理。

◎岸国務大臣  お答えいたします。
 談話にありますように、この抑止力をいかに高めていくか、我が国への弾道ミサイル等による攻撃の可能性を一層低下させていくかということについて、迎撃能力以外にこのような能力としてどのようなものが考えられるかということについて検討しているということでございます。
 まだ政府として結論を出していない状況ですので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

◎岡田委員  もともと安倍総理は敵基地攻撃能力ということでこれは問題提起された話ですよね。攻撃能力を持つかどうかということについて議論しているかどうかということも認めないんですか。それじゃ、これは、談話で言いたいことだけ言って、中身はこれからですと。少なくとも、この談話の意味するところの意味についてきちんと説明する責任が、総理、あるんじゃないですか。どうですか。

◎菅内閣総理大臣  この公表されました談話は、安倍前総理の退任に当たって、国家安全保障会議において重ねていただいた議論について、政府としての問題意識、その検討の状況を改めて整理したものであります。私自身も、四大臣会合に当然、官房長官として議論には参加をしてきました。
 また、この談話は、閣議決定を得ていない、そういう意味において、原則として効力が後の内閣に及ぶものではないと考えておりますが、私の内閣においても、談話を踏まえて議論は進めて、あるべき方策というものは考えていきたいと思います。

◎岡田委員 攻撃能力を持つという議論をしているのかしていないのか、そのことも明確にしないというのは、私は、余りにもおかしな話だというふうに思いますよ。談話まで出している、その前に、敵基地攻撃能力ということも使っていた。結論としてそういう攻撃能力を持つべきかどうかという、その結論について私は聞いているんじゃないです、ただ、議論はしているんですねということを確認しているだけです。それすらお答えにならないというのは、私は全く理解できないわけですね。
 そして、抑止力ということを先ほど防衛大臣も言われました。もし何らかの攻撃能力を持って抑止力の向上ということにするのであれば、これは、例えば、相手が数発ミサイルを撃ってきたから数発撃ち返す、こういう話ではこれは抑止力にならないですね。その先に、相手がそれに対抗して更に撃ってきたときに、それに対してもきちっと対応できるということがなければ、これは抑止力にはならない。
 北朝鮮も、そして中国も数百発以上のミサイルを持っている中で、中途半端なミサイル能力を持っても、私は抑止力にならないというふうに思うんですね。その点、いかがですか。そういう議論はされていますか。

◎岸国務大臣  今政府で検討している抑止力とは、安倍前総理も述べていますとおり、例えば、日本にミサイルを撃ち込もうとしている相手にそれはやめた方がいいと思わせる、そういう能力を意味しているものだと解しております。ということでございます。

◎岡田委員  やめた方がいいと思わせるにはそれ相応のものを持たないと抑止力にはなりませんねということを私は言っているわけです。中途半端な、数発ミサイルを撃てたとしても、相手がそのときには更に撃ち返す、それを抑止させるためには、ある程度のものを日本も持たざるを得ませんね。
 逆に言うと、そういう形でいけば、もちろん、きょうは議論は時間がないのでしませんが、専守防衛との関係も出てくるし、そもそも防衛予算を、例えば、イージス・アショアの後継、代替をどうするのか、あるいは宇宙もある、サイバーもある、そういう中でどういうふうにして割り振っていくのかということを考えたときに、大きなそういった抑止力あるいは攻撃能力を持つということが果たして適切なのかどうかという観点は、私はこれはしっかりやってもらいたいと思うんですが、総理、いかがですか。

◎菅内閣総理大臣  いずれにしろ、我が国が自衛権を行使できるのは、他国が武力攻撃に着手した時点であり、いわゆる先制攻撃を行うことは許されない、その考え方というのは変わっておりません。

◎岡田委員  それは当然だと思いますし、私、別に聞いていないんですね。
 ただ、反撃するという場合に、着手した段階でそれに対応するというのは、移動式の発射装置というものがある以上、ほとんどそれはあり得ない。だから、撃たれたときにそれに対してどう反撃するかという、ここの議論だと思うんですね、抑止力の議論というのは。それが中途半端なものだとほとんど意味がありませんね、もっとほかに防衛政策として予算を投入すべきことがあるんじゃないですかということを聞いているんです。いかがですか。

◎茂木国務大臣  日本としてどういった形で防衛力を持つかと。抑止力も含めると、基本的には日米の役割分担のもとで、主に打撃力は米国に依存をし、防衛について日本が担う、こういうもとでの役割分担も変わりませんし、当然、憲法、そして国際法の範囲でやっていくということになりますけれども、今変わってきている、例えば北朝鮮の持っているミサイルがどれぐらいあるか、こういったことも考えて、単純に今までの迎撃能力、この向上で国民の命や平和な暮らしを守り抜くことができるのか、こういう問題意識を持って議論を進めているということであります。

◎岡田委員  私の議論を余り聞いていただいていなかったのかもしれませんが、北朝鮮が数百発のミサイル、あるいは中国も同じですね、それ以上のものを持っているという中で、日本が攻撃能力を持って抑止力だというなら、それは中途半端なことでは済まなくなりますよ、それを本当に踏み切るんですか、憲法の議論は横に置いたとしても、それは果たして日本の防衛政策として適切なことなんですかということを私は聞いているわけであります。
 いずれにしろ、これは年内に意思決定するというふうに書いてある、「今年末までに、」と書いてあるんですが、そういうスケジュールは変わっていないんですか、総理。

◎岸国務大臣  現在、我が国を取り巻く安全保障環境が大変厳しさを増している状況です。特に、今委員も御指摘の北朝鮮、弾道ミサイルの発射や核実験、こういったものを繰り返している。こうした軍事動向は、我が国の安全に対して重大かつ差し迫った脅威となっているわけです。
 こうした中で、国民の命と平和な暮らしを守り抜く、こういう政府で最も重大な責務である、これを果たしていかなければいけないわけですけれども、これについては、やはり、先々月の総理談話を踏まえて議論を今進めているところでございます。総理談話を踏まえて、これからスケジュールを詰めていくということでございます。
    
◎岡田委員  私は、そもそもこれは、イージス・アショアが頓挫したから今度は敵基地攻撃能力だという、その脈絡で出てきている話だと思うんですが、そんな軽いものじゃないというふうに思うんですね。極めて重要、確かに、北朝鮮あるいは中国の核能力、ミサイル能力、そういう中で日本が国民の命と暮らしをどう守っていくかということは本当に重い課題ですから、しっかりした議論は必要だと思います。だけれども、余り安易に攻撃能力ということに行ってしまうと、かえって中途半端なことになって、木を見て森を見ずの議論になるんじゃないかということを私は指摘をしておきたいと思います。
 もちろん、憲法上の問題、専守防衛、他に手段がないときとか必要最小限のとか、そういう制約がかかっている中でそういったミサイル能力、攻撃能力を持つということが、私は、今の憲法は許容しているというふうには思っておりません。
 いずれにしても、しっかりと国会でこのことを議論する時間をつくっていただきたいというふうに思います。いきなり結果が出てきて予算措置しましたということでは、私は、許されない問題だと。国政上の、この安全保障政策の非常に大きな転換点ということだと思いますので、国民的議論も必要だということを申し上げておきたいと思います。
 時間も限られておりますので、もう一つ、核禁止条約についてお聞きをしたいと思います。
 かつて総理は、官房長官時代、この核禁条約について、核兵器国と非核兵器国の対立を深め、かえって核兵器のない世界を遠ざけるというふうに答弁されています。今もそういう認識ですか。

◎菅内閣総理大臣  そういう認識ではありますけれども、まさに世界で唯一の被爆国でありますから、そうした中で、この核問題を、核兵器のない国、ない世界をつくる、そういう出口というのは同じであります。

◎岡田委員 核兵器のない世界を目指すという目的は共有しているというのが政府の従来の答弁ですね。
 その前に、核兵器の非人道性ということを核禁条約は強調しています、そのことについては認識を共有されますか。

◎茂木国務大臣 核兵器禁止条約、五十カ国ということで、来年には批准ということになる。そこの中に核兵器の非人道性という言葉は出てまいります。
 我が国は、唯一の戦争被爆国として、核の非人道性、これについてはどの国よりもよく理解をし、そして、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードする使命を有していると思います。
 同時に、これを具体的に達成させるためには、総理先ほど答弁したように、核保有国、残念ながら、どの国もこの核兵器禁止条約に入っておりません。一方で、ドイツ、カナダといった核を持っていない国も入っていない。こういう中で、どうその間の橋渡しをして、具体的に、地道に、着実に、核兵器の廃棄に向けた、軍縮に向けた取組を進めていくか、その役割をしっかりと日本としては担っていきたいと考えております。

◎岡田委員  橋渡しとか、地道に、現実的にという言葉をよく使われるんですが、例えば、外務大臣、今、地道に、現実的に核軍縮を進めると言われました。具体的に、日本政府、最近何をやりましたか。お答えください。

◎茂木国務大臣  毎年そうでありますが、国連総会におきまして核廃絶の決議、これを行っているところでありまして、今、最終的に文言を詰めて、これは多くの国の採択、恐らく昨年よりも多くの国の賛同を得て採択をされることになるのではないかな。
 また、核軍縮・不拡散イニシアチブにつきましても、日本がリードして、昨年は議長国として取りまとめを行い、また、この間の外相声明、これも明確に発出をさせていただきました。
 さらには、賢人会議における提言、よくごらんいただいたと思いますけれども、それも日本のイニシアチブによって行われたことだと思っておりまして、一つ一つ、そういったイニシアチブをとりながら、さまざまな国を巻き込む、こういった努力をしながら、各国が一緒に取り組める共通の基盤をどうつくっていくかということに最大限努力をいたしております。

◎岡田委員  いつも同じ説明をされるんですが、私は、かなり各国の日本を見る目は変わってきていると思いますよ。橋渡しといったって、今、核軍縮のことをいろいろ言われましたが、同じ答弁です、いつも。だけれども、具体的に何をしているのか。例えば決議、だんだん賛同国も減ってきているじゃないですか。それから、決議を出せばいい、もちろん出さないより出した方がいいけれども、それがどういう意味があるのか。私は、免罪符じゃないと思うんです。意味のある決議でなきゃならない。外相会議、私が外務大臣のときに提案したものです。これも、でも、実質的にはきちんと議論されていないですよ。
 そういう中で、私は総理に最後お伺いしたいんですが、今、外務大臣は、非人道性については発言されました。この核禁条約にある核兵器の非人道性の認識は日本政府としても共有していること、それからもう一つは、第一回締約国会議にオブザーバーとして出席すること、この二点、約束していただけませんか。いかがですか。

◎菅内閣総理大臣  オブザーバーへの参加については慎重に見きわめる必要があるというふうに思います。日本とすれば、先ほど外務大臣が申し上げましたように、立場の異なる国々の橋渡し役、核軍縮の進展に向けた国際議論に積極的に参加をしていきたいと思います。

◎岡田委員 総理、もうちょっと自分の言葉でしっかりと、核のない世界を目指す、その先頭に立つということを世界に伝わるように答弁してもらいたいんですよね。ぼそぼそっと言われても、私にはよくわかりませんでした。
 終わります。




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