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核兵器禁止条約―方向性に賛同することを表明すべき

 核兵器の開発、保有、使用などを国際人道法に反するものとして禁止する核兵器禁止条約。世界の43か国が批准し発動までわずかとなっています。ただし、米、露など核保有国はこれに反対。これらの国は、国連安保理の常任理事国として拒否権を持つことから、同条約が発動したとしても直ちに実効性のある規範とは成り得ないと考えられます。しかし近年、核軍縮にあまりに不熱心な核保有国に対する圧力となることは大いに期待できます。

 日本政府は、核兵器の非人道性は認めつつ、核禁条約が核保有国と非核国の対立を深めることから反対すると明言しています。北朝鮮の核が日本にとって重大な脅威であることも強調しています。

 私は安倍政権の核軍縮に対する消極姿勢に強い疑問を持っています。トランプ大統領が核兵器の役割を強化するという考えを明らかにした(NPR2018)ときにこれを「高く評価」したことがその典型です。米国の拡大抑止に期待するあまり、核軍縮について何も言えなくなっているのです。核禁条約に対する冷たい態度も同じです。日本政府のこのような態度が続けば、日本に、核保有国と非核国の「橋渡し」の役割を期待することはできないとの国際的な評価が定着することになるでしょう。

 私は米国の核抑止力は日本にとって必要だと考えています。しかし、そのことが世界の核軍縮をすすめることの妨げになるとは考えていません。圧倒的な核保有国である米露両国が軍縮を勧めたとしても、日本に対する抑止力の低下にはならないということです。例えば現在の米国の核弾頭数が、1/10になったとしてもロシアも同様に減らしていれば抑止力は同じです。

 日本としては核兵器を違法とする非核条約に直ちに賛成はできないものの、最終的に目指すものは同じであり、同条約にもっと寄り添うべきです。多くの国々、そして被爆者の皆さんの賛同を得て、同条約が成立したことは、歴史的事実であり、これを核軍縮をすすめることの原動力として、活用すべきなのです。

 バイデン大統領が実現したときの米国の核政策は、核の役割と数を減らす方向に再び転換するでしょう。まずはオバマ大統領の大きな成果である新START(新戦略核兵器削減条約)の延長を確認することは確実です。次のステップが戦略核の更なる削減です。その際、中国も含めた軍縮交渉とする必要があります。そのときに日本が準当事国として実効性ある条約となるよう重要な役割を果たすことが求められています。それこそが「橋渡し」役なのです。



コメント
  1. 田野辺文子 より:

    本題と関係ないコメントをお返しして申し訳ないのですが、
    今はもっとコロナ感染防止に注目して下さい。
    全国民が困っているのです。
    生命の危機に直面している国民もいれば、経済的、心理的に破綻しかけている国民が多くいるのです。
    感染を積極的に抑えるためのPCR検査、トレース調査、隔離施設の拡充を整えないままにGo to トラベルキャンペーンをして、東京だけの問題を全国問題に広げてしまいました。
    今こそ政府の力が必要なんです。助けて下さい。

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