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自民党の提言―本質は相手国への攻撃力を持つこと

 自民党が「相手領域内でも弾道ミサイル等を阻止する能力の保有」の検討を求める政府への提言をまとめました。従来の「敵基地攻撃能力」の表現を使わなかったことで書きぶりをやわらげたとの報道もありましたが、私の認識は違います。

 敵基地攻撃論は相手のミサイル発射が切迫し他に手段がない場合に、そのミサイル基地を攻撃することは自衛の範囲内であり、憲法が許容しているとの解釈です。しかし、移動式発射台によるミサイル発射が可能となり、事前にその場所を特定・攻撃することは現在の技術では極めて困難です。議論する実益があまりないのです。
 相手国がミサイル発射後に、発射基地に限らずその軍事拠点などを攻撃する能力を持つことでミサイルの発射を抑止するというのが今回の自民党提言の実質的意義であると考えるべきです。ただし、相手がどの程度の攻撃を行ってくるか予想できない以上、相当規模の反撃能力を保持することが必要になります。そうでなければ抑止力は機能しません。果たして現実的でしょうか。他方で、自前ですべてやるのであれば、河野大臣も答弁(令和2年7月9日参院外交防衛委員会)しているように、基地の特定能力、相手国の防空レーダーや対空ミサイルの無力化なども必要となります。いわば本格的な攻撃能力を持つということです。加えて、米国の総合防空ミサイル防衛(IAMD)との連携を行うことになれば、いつどの程度、反撃するかについて日本の独自判断の余地は限られたものとなるでしょう。

 東アジアのミサイルを含む安全保障環境の変化の中で日本の安全をどう確保していくかは極めて重要な問題です。日本が攻撃力を持つという考え方も一つの選択肢であることは否定しません。東アジアにミサイル設置を進めたい米国防省、米軍のコントロールのもとで、盾と矛の役割分担を見直し、日本の役割と負担を増やしたいトランプ政権にとって今回の自民党提言は、その意向に沿ったものであるとも言えます。
 従来、日本政府は「防衛力の行使は、自衛のための必要最小限にとどめ、保持する自衛力も自衛のための必要最小限に限る」という憲法の精神に則った受動的な防衛戦略の姿勢を防衛政策の基本としてきました。専守防衛です。今回の提言はこの考え方を根本的に変えるものだということは明らかです。提言は「憲法の範囲内」「専守防衛の考え方の下」を強調していますが、これは詭弁であり、またひとたび攻撃力を持つことに踏み切れば、強大な周辺国に対抗するため、その歯止めなく、その範囲はどんどん拡大することになるだろうと容易に予想できます。

 日本の憲法解釈や防衛政策の基本の大転換を、短期間でかつ、政権の求心力を維持するためにやろうとすることは国を誤らせることになりかねないと強く危惧します。また、米国の政策も変わり得る以上、米国大統領選挙までに結論を出す必要は全くありません。
 日米の役割分担、日本として他に取り得る選択肢、限られた防衛予算の中の優先順位、北朝鮮との対話路線との関係、中国との向き合い方の総合戦略、そして憲法の平和主義との関連など議論すべき点はあまりにも多く、本格的な検討が求められます。国会における十分な議論も必要です。限定的な集団的自衛権行使を、憲法解釈を変えて認めた安保法制と比べても、より本質的な安全保障政策の転換、憲法解釈の変更につながる重大問題であると思います。



コメント
  1. 落し文 より:

    コロナでエラー續きの安倍政権、ここに来て藁でも掴む迷いかたですが、たわけた事をさせてはないません。

    良識ある与党の人も巻き込んで、全野党でこんな話は立ち消えにすべく頑張つて下さい

  2. Dai より:

    東京都の「医師会長」が、新コロナ等措法を改正せよ!と記者会見で踏み込みました。TVで「ウェーク」にリモートながら出演した菅官房長官は『人権問題があるから・・』とだけ呟くように言及を逃げたが、「拘禁拘束にまで至る制限と強制力VS自由権&基本的人権」の矛盾する部分に公共の福祉論では強制力に至るまでの説得力がないと考えているからでしょう。要請を超えて、それ以上に強い「拘禁拘束の根拠=諸外国が当然に持っている非常事態法」しかない。つまり根拠となるのは憲法に「非常事態法=非常時における人権の制限」が書き込まれない限り、日本では諸外国並みの、法の根拠に基づく「対処指針」は立てられない。或いは実効力不足は歴然としている。
    医師会の会長は大きな問題提起も内包しています・・野党の言ってきた「現行法と条例で十分対処できる」「人権の配慮が最優先されるべきで、拘束は認められない」との意見と真っ向から対立してしまいます・・『拘束力と要請』との間にある溝は、現在のコロナ対策法では埋められません。『拘束力』を認めるには非常事態法を含んだ憲法改正までしないと法的根拠が持ちえない。お茶で濁したような説明では❝諸外国並み❞の根拠は降って湧いては来ません。
    現行法ではどんなに要請を繰り返されようとも「私は営業を続ける。三蜜は客が自覚してやればよいので、自分の店は要請など関係ない、従わないと言う人々」を強制的に取り締まったりする法律は日本には現在存在しません。
    もちろん、国民投票を必要とする憲法改正を今から始めるようでは、一年以上先の話で間に合いません(笑)
    ◎どうでしょう。このまま放置しておけば本物の緊急事態には「超法規」しか、他国との紛争や首都圏や東海・関西連動の巨大地震にさえ対処できないことになりますね。三重民主連合こそが、目先の他所に振り回されず「憲法改正;非常事態法」を真面目に準備して取り込む時なのだと考えますが? 本日は近鉄霞駅頭でのチラシ配布お疲れさまでした。

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