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平成30年5月16日 第196回国会 外務委員会「TPP協定におけるISDS条項」

1. TPP協定におけるISDS条項
2. 日米経済交渉
3. 北朝鮮との対話に向けて


○岡田委員 きょうは、TPP11協定におけるISDS条項、すなわち投資家と国との間の紛争の解決条項について、主として、確認と議論をしたいというふうに考えております。

 まず最初に、大臣に御見解をお聞きしたいと思います。

 政府は従来から、TPP協定に関するISDS条項について、我が国企業が海外で投資活動をする上で予見可能性、法的安定性を向上させる制度であるというふうに説明をしてこられました。基本的に、この説明は今でも変わっていないというふうにお考えでしょうか。

○河野国務大臣 TPP11協定を含む投資関連協定のISDS条項は、投資受入れ国の司法手続に加え、中立的な国際投資仲裁に紛争を付託できる選択肢を投資家に対して与えることによって、投資受入れ国において日本企業がビジネスを行う上での予見可能性や法的安定性を高めるものであります。このように、海外投資を行う日本企業を保護する上で有効であり、日本の経済界も重視している規定でございます。

 我が国としては、こうしたISDSの意義を踏まえ、投資関連協定においては引き続きISDS条項が盛り込まれていくよう取り組んでいく考えでございます。

○岡田委員 そこで、局長の答弁で結構なんですけれども、まず確認したいと思いますが、このTPP11の締約国の中で、もう既に日本との間に個別の投資関連協定などを持ち、その中でISDS条項を持つ国については、このTPP11協定によってではなくて、バイのそういった協定で手当てがされている。

 そういう意味では、今回このTPP11を締約することで新たにISDS条項が適用されるのは、基本的には豪州、ニュージーランド、カナダの三カ国。もちろん、ほかの投資関連協定を締結している国の中に部分的に欠けている部分がありますから、それは別とすると、基本的にこの三つの国が新たにTPP11協定のISDS条項によって国際的仲裁に付託されることになる、そういうふうに理解していますが、そういう考え方でよろしいでしょうか。

○山野内政府参考人 委員御指摘のとおり、TPP11協定によりまして、新たに、豪州、ニュージーランド及びカナダにおいて活動する我が国の投資家にとっては、ISDSの手続が利用可能になるということでございます。

○岡田委員 そこで、今回、そのISDS手続の適用の一部が凍結されるということになっているわけです。

 具体的には、締約国による投資の許可、投資に関する合意に締約国が違反し投資家が損害をこうむった場合、こういう場合にISDSを提起することを可能とする措置、これが停止されるということになっているわけですが、先ほどの大臣の御説明の、我が国企業にメリットのある制度だとすると、その適用が停止されるということは、むしろデメリットをこうむることになるのではないかというふうに思いますが、局長、どういうふうに整理したらいいんでしょうか。

○山野内政府参考人 委員御指摘のとおり、TPP11協定の投資章におきましては、TPP12と比べますと、投資の許可の条項及び投資に関する合意に関する条項が凍結されたわけでございます。

 しかしながら、TPP11の投資章におきましても、この投資の許可、投資に関する合意の条項を除く内国民待遇、最恵国待遇などの投資章における中心的規定の違反によって損害が生じる場合には、ISDSを提起することが可能となっているところでございます。

 さらに、このTPP11の投資章では、ISDSに関する規定のほかにも、投資受入れ国の規制の透明性を高めるネガティブリスト形式の留保表であるとか、ロイヤリティー規制の禁止を含む幅広い形での特定履行措置の要求の禁止条項などの質の高い投資家保護のルールが導入されておりまして、一部の項目が凍結されたわけでございますけれども、海外に進出する日本企業にとって非常に有意義な内容になっているというふうに考えているところでございます。

○岡田委員 私がお聞きしたのは、締約国による投資の許可、投資に関する合意に締約国が違反し投資家が損害をこうむった場合にISDSを提起することを可能とする措置については停止されている、それはなぜそうなったのかということをお聞きしているわけです。

○山野内政府参考人 累次御答弁申し上げていますとおり、TPP12から米国が離脱するという状況のもとにおいて、TPP11におきましては、もともとのTPP12の特徴であるハイスタンダードを維持するという観点から、米国が不在であっても協定の内容自体を最大限維持しようという形で関係国と交渉を重ねてまいりまして、こういう中で、今回TPP11の協定全体に合意が至ったというところでございます。本質的なところにつきましては、12協定で獲得していたISDSの基本的な部分については、11においても維持されているというふうに考えているところでございます。

 さらに、先ほど委員御指摘ございましたけれども、既に個別のFTAで、二国間のFTAで、シンガポール、マレーシア等々につきましてはISDSについて規定はございましたけれども、我が国の投資家にとってはこの11によりまして更にISDSを利用できる範囲は拡大しているということもあわせて申し述べたいと思います。

○岡田委員 重要な部分が凍結されていない、停止されていないというそのことは理解した上で、今、私が先ほど申し上げた二項目についてなぜ停止をしているのかということを私はお聞きしているわけです。

 もうちょっと具体的に言いますと、例えば豪州やニュージーランドは、これを停止することについて何らかの主張をされた結果こうなっているんだと思いますけれども、どういう主張をされたんでしょうか。

○山野内政府参考人 12協定から11協定になる過程で、十一カ国全てが合意に参加できるバランスのとれたものを目指すという観点で最終的な形で合意したところでございます。

 これは累次申し上げているとおりでございますけれども、個別の凍結項目につきまして各国がどのような主張をしたかということにつきましては、外交交渉の性格上、相手国との信頼関係のほか、交渉経緯を明らかにすることによりまして累次の交渉での我が国の手のうちをさらすことにつながりかねない、公益を害しかねないという観点から、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

○岡田委員 一般論として局長が言われることはわかるんですが、今回のこの話で、では、日本の手のうちをさらすことになりかねないとおっしゃるんだけれども、一旦合意したものを停止しているわけですね。そこについてのやりとりを明らかにすることが、なぜ日本の手のうちをさらすことになるんですか。手のうちをさらすというのは、具体的にどういうことですか。御説明ください。

○山野内政府参考人 これは、日本の大きな経済外交の大戦略として、日本の貿易量に占める七〇%以上をFTAの網の目ですくっていく、海外の活力を日本の国内の成長につなげていくという観点から、今後もFTAの交渉は続いていくわけでございます。

 その過程で、ISDSの部分というのは非常に重要な要素でございますので、その個別のところにつきましてこういうやりとりがあったということを対外的に明らかにするということは今後の我が国の交渉の姿勢に悪影響を及ぼす、そういうことでございます。

○岡田委員 御説明、全く理解できないんです。

 しかも、一旦認めたものを停止するということになった、そのことについても、理由は、外交交渉だから全く説明できないと。それでは、国会は要らないですよ。国民に対して何も説明しない。きちんとした理由があるならいいですよ。今の説明というのは私は全く理解できないんですね。ちゃんとお答えください。

○山野内政府参考人 TPP11の交渉の過程でさまざまなやりとりがあったということでございます。

 ただ、その結果合意したものが国会に御提示していることでございますし、それが全てでございますので、そこを見て御判断いただければというふうに思います。

○岡田委員 ちょっと大臣に答弁いただきたいと思います。

 我が国としては、先ほどの大臣の御答弁のとおり、このISDS条項は我が国にとってプラスである、企業にとって意味があるということで、当然このTPPの中に入っていることを評価しておられる。それを今度、少しバックしたわけですね、制限することにした。そのことについて、なぜそうなったのか。

 オーストラリア、ニュージーランド等とのやりとりということになるんでしょうが、日本はどういう主張をしたのかということすら国会で説明できない。ということは、TPP11の必要性について説明しなくても国会で採決していい、そういう話につながることになるじゃないですか。最低限のことぐらい、ちゃんと説明したらどうですか。

○河野国務大臣 自由貿易協定は、これから、日韓のFTAもございますし、RCEPといったこともございます。また、このTPP11は、タイ、台湾を始め、さまざまな国がこれに参加をしたいということを言っているわけでございまして、当然、今後もISDSを含む自由貿易の交渉というのはつながるわけでございます。

 そのときに、日本がこれまでどういう主張をしていたかということを公につまびらかにするということは、そうした交渉に影響が出るということは十分に予測ができますので、今、これまでの交渉について手のうちを明かさないということにしているわけでございます。そこは御理解をいただきたいと思います。

○岡田委員 手のうち手のうちと言われるが、要するに、我が国としては、我が国企業にとってISDS条項は有用であるということで、それをこのTPP協定の中で認めた。しかし、一部の国との関係で、今回それを凍結した。これがなぜ手のうちになるんですか。ちょっと私は理解できないんですよ。御説明ください。

○河野国務大臣 日本として、ISDSは当然必要だということで、これまでもISDS条項を投資関連協定の中に入れるように努力をしているところでございますが、そうでない考えを持っている国も当然あるわけでございます。そうした国とも自由貿易協定を今後やらなければいけないということが十分に予測される中で、なるべく、日本がこれまでどういう交渉をやってきたかということを外に出さず、日本の手のうちを明らかにしないというのが、日本が次の自由貿易交渉を我が国にとって有利にするために必要だというふうに考えております。

○岡田委員 例えば豪州、ニュージーランドとの間に確かにISDS条項はないということですが、今回、このTPP協定の中で、局長の説明でも11でもかなりの部分、そして12であれば全面的にISDS条項が適用されるということになるわけですから、今後、豪州やニュージーランドとのバイの交渉で、何かISDS条項について問題が発生するとか議論する際に手のうちをさらすわけにいかないとか、そういうことにはならないじゃないですか。もう十分議論した上で現在のこの姿になっているわけじゃないですか。

○河野国務大臣 RCEPにしろ日韓のFTAにしろ、あるいは、そのほかにもさまざまな自由貿易協定の交渉というのが今後出てくることは想定いただけると思います。その際に、ISDSをめぐる交渉をする中で、日本はどういうときに譲った、あるいはどういうものを重要視しているということを相手の国に知られるということは、手のうちを明かしたまま交渉をするということになりますので、そうしたことはなるべく避けたいというのが政府の考えでございます。

○岡田委員 私は、このISDS条項というのは、バイの関係で、譲った譲らない、そういう問題ではないのではないかというふうに理解しているんですね。

 そういう観点から少し質問したいというふうに思いますが、一方で、このISDS条項について、大臣の御指摘されたような、我が国企業にとってメリットがある、そういう面は当然あると思いますけれども、同時に、それは企業のサイドに立って考えればそうですが、国のサイドに立ってみると、強大な多国籍企業に国としての主権が制限されてしまう、そのおそれがあるという見方も当然あるわけですね。

 そこで、お聞きしたいというふうに思います。

 今までこのISDS条項が使われて国家としての主権が制限された、そういう事例はあると思いますけれども、特に、日本から見て問題があるような、そういう決着が図られた、日本自身じゃないです、国家というのは日本自身ではなくて、外国政府が多国籍企業との間でISDS条項が適用された結果、首をかしげるような結論がなされたということについて、どういう事例があるか、ちょっと御説明ください。

○山野内政府参考人 委員御承知のとおり、TPP11協定におきましては、投資家がISDSを利用して提訴することが可能なものは、投資章に規定されています内国民待遇あるいは最恵国待遇などの義務に違反する措置を国が講じた結果、投資家が損害をこうむった場合にということでございます。

 TPP協定の投資章に関しましては、正当な目的のための必要かつ合理的な規制を差別的でない態様で行うことを妨げるものではございませんので、国家主権を制約するというものではございません。

 過去のISDSの事例を見た中で、国側が破れた具体例として申し上げれば、例えば、野村証券のオランダにおける子会社、サルカ社というのがあるわけですが、チェコ政府を提訴した事案がございます。

 これは、サルカ社が、チェコの金融市場で重要な地位を占めていました国営の四つの銀行がございます、昔の旧国営の四つの銀行のうち一つの銀行の株式を四六%保有していたところでございますけれども、この旧国営の四銀行はいずれも多額の不良債権を抱えていたところでございます。

 チェコ政府は、この四つの旧国営の銀行のうち、三つの銀行につきましては公的資金の投入などの財政支援を行ったわけでございますが、野村証券のオランダ子会社のサルカ社が株式を保有していたIPBという銀行に対しては行わなかったということで、このIPBは経営が悪化したことにより公的管理下に置かれました。最終的には別の国営銀行に譲渡されたということで、サルカ社は、一連のチェコ政府の措置が、オランダとチェコの間で結ばれていました投資協定に違反するということで仲裁廷に申立てをしたところでございます。

 仲裁廷は、チェコ政府の措置が公正衡平待遇に違反すると判断し、最終的にチェコ政府は投資家側に対して約百八十七億円とその利子を支払ったという例があるというふうに承知しております。

○岡田委員 ISDS条項のメリット、企業サイドに立てば、日本企業の立場に立てば、それはメリットはたくさんある、しかし、じゃ、日本国が、海外の企業、例えば強大な多国籍企業からISDS条項に基づいて手続を進められるということを考えたときに、果たしてこの条項が日本の国益から考えてどうなのか、やはり両面から見ていかないといけないというふうに思うわけですね。

 私は、ちょっと日本の政府の対応というのは企業サイドの立場に立ち過ぎているのではないかというふうに思うわけです。先ほどのオーストラリア、ニュージーランドも、このISDS条項について、12のときは合意したけれども、しかし11で一部凍結を主張した。中身は御説明をされないのでわかりませんけれども。

 もう一つ、EUがあるんですね、ISDS条項に関する慎重論はEUにもある。日・EU・EPA交渉における投資家保護と紛争解決の扱いについての協議というのは現在どうなっているかということをまず御説明ください。

○山野内政府参考人 お答え申し上げます。

 EUとの関連でございますけれども、日・EUのEPAにつきましては、交渉は妥結しているところでございますけれども、投資保護規律及び紛争解決につきましては継続協議というふうになっております。

 四月に事務レベルで実施した協議におきましても、できる限り早期の妥結を目指し、引き続き協議を継続していくというところでEU側と一致したところでございます。

 日・EUの経済関係に照らしまして、どのような投資保護の仕組みが適当かという観点から、できる限りの早期の妥結を目指して、精力的に協議しているところでございます。

○岡田委員 このEUとの間の投資家保護と紛争解決の扱いについての協議というのは、これがまとまらないと日・EU・EPAというのはスタートできないという関係にあるんですか。それとも、それは完全に切り離されているんですか。

○山野内政府参考人 日・EUのEPAにつきましては、先ほど御指摘しました、投資保護規律と紛争解決につきましては継続協議ということでございますけれども、投資の自由化規律を規定するという形では日・EU・EPAにつきましては交渉が妥結しているところでございまして、投資保護規律及び投資紛争解決手続につきましては、どのような形が適当かを含め、今後EU側と協議していくということでございます。

○岡田委員 わかりやすく答えてもらいたいんですが、この投資家保護、紛争解決の扱いについての協議がまとまらなくても、日・EU・EPAというのは発効することは可能なんですね。

○山野内政府参考人 日・EU・EPAの大宗につきましては交渉が妥結しているところでございまして、できる限りの早期の発効に向けて日・EU側で協議を続けているところでございまして、そういう中で投資保護規律と投資紛争解決手続は継続的に協議するということでございます。

○岡田委員 もうちょっとわかりやすくお答えいただきたいんですが、今の局長の答弁は、切り離されているというふうに私は理解したんですが、そうすると、日・EU・EPAが成立した暁に、そういった投資家保護とか紛争解決の扱いについては規定が合意されていないわけですから、結局は従来と同じ、そういう扱いになるというふうに理解していいんですね。

○山野内政府参考人 日・EU・EPAの中には、国と国の紛争解決手続というのはしっかり入ってございますものですから、今委員御指摘のとおり、投資保護規律と投資紛争解決手続について継続協議となっている場合におきましては、その他にある規律や手続に従って対処されるものということでございます。

○岡田委員 それでは、EUがISDS条項について、日本は当然それを主張したと思うんですけれども、それに対していろいろなことを言ったと思うんですが、どういう懸念を主張したんでしょうか。

○山野内政府参考人 EU側の個別の見解につきまして、政府としてお答えする立場にはないわけでございますけれども、そう申し上げた上で、EU側の公表している資料によれば、EU側は、ISDSにつきましては、仲裁人の独立性あるいは判断の一貫性に懸念があるというような考え方を持っているというふうに承知しております。

○岡田委員 仲裁人の独立性に懸念を持っているというのは、具体的にどういうことなんでしょうか。それから、判断の一貫性についてももう少し具体的に御説明いただけますか。

○山野内政府参考人 これは、EU側が公表しております資料の中での記述を私は述べたところでございまして、それ以上、EU側がどういう考えを持っているかということを私が有権的に申し上げる立場にないというふうに思います。

○岡田委員 公表された文書以上のことは一切言えないんだというのは、それはおかしくないですか。いろいろな交渉をしている中で、その理由とか、もう少し具体的に説明を受けているはずですよね。それは一切言えない、公表している資料しか言えない。では、国会というのは何なんですか。国民に対する説明はどうなっているんですか。もう少しきちんと説明してください。

 それから、あわせて、EU側のその文書の中には再審の可能性がないということも指摘されているはずですね。そのことについても御説明ください。

○山野内政府参考人 日・EUのEPAにつきましては、まだ署名に至っているわけではございません。日・EU双方で早期の発効を目指して最終的な調整も行っているところでございますので、この場は日・EUのEPAを議論するということではないという点は御指摘させていただいた上で、今、EU側の公表資料によりませば、さまざまなことについて幾つか言及している中で、一審制ではなくて再審が可能なものが重要だという考えも示されているというところは、委員御指摘のとおりでございます。

○岡田委員 ほとんど説明がないんですけれども、独立性とか一貫性とか、それから再審の可能性がないとか、いずれも私は重要な指摘だというふうに思うんですね。ですから、もう少し敷衍して御説明いただきたいと思ったんですが、ほとんど言えないという、非常に問題がある御答弁だったというふうに思います。

 EU側は、対案としてどういう仕組みを提案しているんですか。

○山野内政府参考人 まことに恐縮でございますけれども、また、日本とEUのEPAにつきましてはまだまだ国会に合意を提出する段階に至っておりませんので、日本側とEU側とのやりとりの詳細について言及することは控えさせていただきたいと思いますけれども、公表資料によれば、幾つかの点で、まずISDSについては、ケース・バイ・ケースで設置されているという点についての問題意識がございますし、あと、中立性、一貫性、上訴ができるできないということについての問題意識が示されているところでございます。

○岡田委員 私の理解するところ、EU側はそれにかわる恒久的な機関というものを提案しているというふうに理解しているんですが、公表ベースでそういうことはないんですか。

○山野内政府参考人 EU側が常設の投資裁判所に関心を持っているということは示されているところでございます。

 ポイントは、投資家をいかなる形で保護するのが一番適切であるかという観点から、日本とEU側で協議を重ねているというところでございます。

    〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕

○岡田委員 私はいろいろ聞いているんですが、全部がお話しできないのはわかりますが、公表されていることすら何か聞かないと答えないというのはどういうことなんですか。

 もう少し具体的に、公表されているベースで結構ですから、EU側がどういう提案を行っているかというのを御説明ください。

○山野内政府参考人 EU側の立場ということに関しまして申し上げれば、EUがこれまで交渉してきた自由貿易協定や投資協定には、投資家と国の間の紛争解決手続が含まれているものもございます。

 さらに、二〇一五年十一月、米国とEUの間のFTA、TTIPと呼ばれておりますけれども、その交渉、その他のFTA交渉を見据えて、EU側は常設裁判所の設置、ICSでございますけれども、を提案しているところでございます。その後、カナダ及びベトナムとの間では、このICSを含むFTAを締結しているというところでございます。EUは、マルチの常設投資裁判所の設置を目指すという立場を示しているところでございます。

 EUは、ICS設置の目的として、以下を挙げているところでございます。投資保護のルールの明確化と改善、これは国家の規制の権利の確保など。さらに、投資紛争解決システムの改善、これは、法廷地あさりの回避、根拠のない紛争の早期解決、訴訟資料へのアクセス改善を通じた透明性の確保、仲裁人の利益相反回避、協定解釈への加盟国の関与の確保、上級審の設置を通じた一貫性のある判決の確保などでございます。

 EUは、マルチの常設投資裁判所の設置案について、以下を挙げているところでございます。常設の投資裁判所、上級審、専門の事務局の設置、裁判官の質の確保、裁判官の恣意的な選択の排除、同一の紛争の再提起の回避、判決の効果的な履行の確保、全ての関心ある国に開かれた裁判所というのがEU側の立場であるというふうに承知しています。

○岡田委員 それだけEU側が指摘をして、そしていわば対案として常設の機関の設置を提案しているということは、やはり我々は、ISDS、日本の企業にとっていいことだからいいね、そういう発想からは脱して、プラスマイナスをもう少しきちんと踏まえて議論していく必要があるんじゃないかというふうに思うわけです。

 私は別に、ISDS、頭からけしからぬと言うつもりはないんです。しかし、マイナスがあることも事実だし、先ほどの、オーストラリアあるいはニュージーランドも、そしてEUも、ISDS条項について問題意識を持って、EUなどは具体的提案もしている。

 私の理解している限りでは、EUとアメリカとのFTA交渉もこの問題で頓挫したというふうに私は理解しているんですけれども、そういうときに、いや、ISDS条項はいい制度だからという、そういう話ではないんじゃないかと思いますが、大臣いかがですか。

    〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕

○河野国務大臣 日本は、ISDS条項が有する意義も踏まえて、投資家の保護と国家の規制権限との適切なバランスの確保に努めつつ、我が国が締結する投資関連協定にISDS条項が盛り込まれるように取り組んできたわけでございます。

 御指摘のように、国家の規制権限を不当に制約するものではないかといった問題提起、あるいは仲裁人の独立性に利益相反が起きるような懸念があるのではないかといった議論をEU側がされているということも承知をしておりますし、さまざまな国と投資関連協定の交渉をしたときに、相手国からISDSについての懸念が出されたということもあります。

 しかし、ISDS条項というのは、公共の福祉に係る正当な目的のために必要かつ合理的な規制措置を差別的でない態様で講ずることを妨げているわけではありません。

 また、ISDS制度は、投資家にとって海外の投資先の国におけるビジネスへのリスクを軽減できるツールであり、海外投資を行う日本企業を保護する上で、これまでも有効な制度であったというふうに認識をしております。

 また、ISDS手続の透明性、中立性に関する懸念も踏まえて、TPPの投資章においては、仲裁手続を原則公開する、仲裁人の行動規範を策定するといったことを規定しているわけでございます。

 おっしゃるように、ISDSへの懸念に全く耳をかさないということではないわけでございますが、ISDSをもっといいものに改革していこうという議論もありますので、そういうものにも建設的に日本として貢献しながら、しかし、日本として、このISDSという手続は、これまで同様に、我が国の投資家を保護する上で有効な制度だというふうに考えております。

 全く批判に耳をかさないということではございませんが、日本としては、これがベストなのではないかという立場から、建設的に議論をしてまいりたいと思います。

○岡田委員 日本が、まだ司法制度に対する信頼感が場合によっては十分ではないかもしれないという国に対して投資をする際に、このISDS条項というのは企業に安心感を与えて投資しやすくする、そういう面はあると思います。

 しかし、全く逆の立場になったときに、例えば、グローバル企業、場合によっては国家を超えるようなそういう力を持ったグローバル企業が、日本に対して、あるいはそのほかのより小さな国に対して、圧倒的な力の差があって、そして国際的な人脈網もあって、このISDS条項にのっとって公正でないような判断がされるおそれというのは、私はやはりそのおそれについて十分考えておくべきだというふうに思うんですね。

 そういう意味では、ヨーロッパが言っているような、例えば再審の可能性がないことなどというのは、私は一つの正当な疑念ではないかというふうに思うんです。

 今、日本政府の立場を言われましたが、この問題、日本政府の中で真剣に、専門家、識者の意見も聞いて、ISDS条項について議論したことはありますか。

○山野内政府参考人 ISDSあるいは投資家が直接かかわる紛争解決の仕組みということにつきましては、委員御指摘のとおり、二面性があると思います。

 海外に進出している日本の企業にとってみれば、進出先でその投資が不当に害されるというようなことがあったときに、その投資を守るという観点からISDSの役割は非常に大きいというふうにも言えますし、あるいは、日本も国を開き、海外からの投資を受け入れている国でございますので、委員御指摘のとおり、日本国政府としては訴えられる危険性もそこに介在しているという点につきましては、両面があるわけでございまして、その両者のバランスを図っていかなければいけないというところでございます。

 そう申し上げた上で、我が国が正当な目的のために必要かつ合理的な規制を差別的でない態様で行っている限りにおきまして、投資章の義務に違反するということにはなりませんし、そのような規制について、外国投資家がISDS手続に基づいて提訴するということは考えられないものでございまして、今までISDSについて我が国が提訴されたということはないところでございます。

 ただ、ISDSにつきましては、先ほど御指摘があったような、さまざまな国でさまざまな見方もあるところでございまして、これにつきましては、我が国政府としても、よりよい投資家保護のあり方ということにつきまして研究を重ねているところでございまして、日本の企業の方々からも意見を聞くなどして、あと、国際場裏でも、さまざまな投資紛争処理のメカニズムのよりよきあり方について国際的な議論も進んでおりますので、そういうところに積極的に参加している次第でございます。

○岡田委員 現実に日本とEUの間で議論しているわけですから、やはりそれはよほどきちんと識者の意見も聞いて日本国政府としてのスタンスというのを決めていかないと、これは外務省だけの、あるいは日本国政府だけの判断ということであってはならないというふうに私は思うんですね。

 大臣、そういうお気持ちはありますか。

○河野国務大臣 投資の保護というのは、日本からの投資あるいは日本への投資、両面で非常に大事なことだと思いますので、この議論をどこかで、そこから先はしないということにはならないんだろうというふうに思います。不断の努力というのが必要なんだろうというふうに思いますので、それは政府としてしっかりやってまいりたいと思います。

○岡田委員 政府の中で不断の議論をされるのはいいんですが、やはりこの問題は、私は余り軽く見ない方がいいというふうに思うんですね。日本政府としてのスタンスを固めるためにも、外部の有識者、専門家の意見もきちんと聞いて、そして基本的な考え方をまとめるべきじゃないか。

 これからも、これは11が12にもしなるとしたら、そのときにもう一回議論になりますよね。当然、オーストラリアやニュージーランドが一旦凍結したわけですから、それを単純に戻すという議論にならない可能性が高いというふうに私は思うわけですね。

 そういう意味で、もう少し幅広く意見を聞いて、国益に沿った判断をしていただきたいというふうに思います。

 このISDS条項について、例えば日中韓FTAあるいはRCEP、その交渉がこれから重要だというふうに先般総理も言われたわけですが、こういう規定における、日中韓FTAやRCEPにおけるISDS条項の取扱いというのは、現時点ではどうなっているんでしょうか。

○山野内政府参考人 日中韓のサミットにおきまして、質の高いRCEPの早期妥結及び日中韓FTAの交渉加速に向けて連携していくというところで一致したところでございます。

 委員御質問のRCEPあるいは日中韓FTA交渉におけるISDSの取扱いについてでございますけれども、今後の交渉次第であるというところでございます。

 今、両協定とも交渉中でありますので、まことに申しわけありませんけれども、具体的な交渉の内容についての詳細は控えさせていただきたいというふうに思います。

○岡田委員 終わりますけれども、誰もが容易に想像できるわけですが、中国がISDS条項についてイエスと言う可能性は、私はほとんどないんじゃないかというふうに思います。

 いずれにしても、この続きはまた次回行いたいと思います。

 終わります。




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