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共謀罪─権力の恐ろしさに全く疑いを持たない議論は極めて深刻

組織犯罪処罰法改正案、いわゆる「共謀罪」の創設に関する法案、安倍総理流に言えば「テロ等準備罪」。この法案が本日の衆議院本会議で採決され、与党と維新の賛成により可決されました。

わが党の法務委員会のメンバーが冷静に議論して、例えば、一般市民が巻き込まれることがないのかという問題を指摘したにもかかわらず、ほとんどまともに答弁されることがなかったことは極めて問題だと思います。審議時間も30時間という短いものでした。

今日の本会議でも、法案に賛成の立場から討論した公明党議員の演説は、私を驚かせました。

法案の必要性を強調するあまり、何の問題もない、心配はない、治安維持法とは全く異なる、そういった指摘を強い言葉で述べられたのです。

もちろん、現在の日本の状況は、治安維持法が拡大解釈されて、特高警察と言われる人たちが、根拠なく人々を取り調べた時代とは違います。

しかし、治安維持法が国会で成立したのは1925年。すべての25歳以上の男性に選挙権が認められた、普通選挙法の成立と同じ国会でした。

当時は、「大正デモクラシー」と言われた時代で、それから昭和に入り、暗い時代が始まり、そして、1945年の敗戦を迎えるということは、想像だにできない時期でした。

一般市民に及ぶことはないと説明された治安維持法がその後改正され、あるいは解釈においても拡大され、共産党やそれにつながる人たち、新興宗教、ジャーナリスト、学者などが次々と不当に拘束され、中には獄死した人もたくさんいるわけです。

権力というのは恐ろしいもので、一旦間違った方向に動き出すと止まらない場合がある。だからこそ、法案をしっかりと検証して、可能な限り歯止めを入れておく、明確にしておくということは、立法府である国会の非常に重要な役割です。

これは、与野党関係なく持っていなければならない感覚のはず。全く権力に対する疑いを持たない、そういった議論が国会でなされたことを、私は深刻に受け止めています。

これから参議院の審議もあります。もっともっと国民の皆さんの関心を高めていただき、少しでもより良い結論になるように努力していくことが必要だと思います。




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