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2016.05.16|トピックス

平成28年5月16日 第190回国会 予算委員会

※質問の動画はこちら(衆議院TV)「岡田克也」をクリック
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○岡田委員 民進党の岡田克也です。
 まず、熊本の地震、補正予算について、簡単に二つ御質問したいと思います。
 第一に、地震の発生から一カ月、そして今なお一万人を超える皆さんが避難所で厳しい生活を送っておられます。障害者、高齢者、子供、弱い立場にある人たちに対してしっかりとした対応を求めたいと思います。
 その上で、私、特に今回気になったことが一つあります。つまり、地震が発生した直後の基本的な食料や水あるいは毛布などの供給が滞ってしまった、それが届かない避難所があったということであります。県庁には届いているけれども、県庁の方でなかなか人手がなくて仕分けができない、あるいは、県庁から市町村の役所には行っているけれども、そこでとまってしまっているということが間々見られました。
 これはやむを得ない面もあります。人命救助が最優先で、そこに人手をとられる。さまざまなことが起こりますから、役所の公務員たちは必死で頑張ってきたわけであります。しかし、絶対的に人手が足らない。
 そういうために自衛隊やあるいは民間の力を活用する、そういうことが当然考えられるわけですけれども、この点について、私は、やはり今回反省をして、そして次回よりよい制度を考えるべきだというふうに考えていますが、総理の御見解を問いたいと思います。

○河野国務大臣 今、岡田委員御指摘をいただきましたように、熊本県が防災協定を結んで各自治体からいただいた物資ですとか、あるいは民間からいただいた物資が県庁に滞留をしたということはございました。それは、御指摘のように、仕分けをし送り届ける人手がまず救命救急その他にとられてしまったということがあるんだろうと思います。
 国は、そうしたことがあるだろうと想定をしておりましたので、九十万人分の物資をまずプッシュ型で送りました。佐賀県の物流センターに集めて、自衛隊あるいは民間企業に直接避難所にそれを送っていただくというオペレーションをいたしまして、最終的には二百三十万食を超える物資を送ることができました。一旦それを行った後、避難所に物資が行き渡りましたので、今度は逆にニーズを吸い上げて、プル型で物資を送るということをしっかりやらせていただいたところでございます。
 やはり、こうした大きな災害が発生をいたしますと、どうしても被災をした自治体の行政能力は一時的に低下いたしますし、職員の皆様も被災をするわけですから、自治体だけあるいは都道府県だけにそこを任せるわけにはいかないと思いますので、今後とも、国のプッシュ型が有効だということが証明をされましたので、国のプッシュ型の支援というものをきちんとやっていくように努めてまいりたいと思います。

○安倍内閣総理大臣 概略については河野大臣から答弁をさせていただきましたが、国といたしましては、被災自治体と一体となりまして、水や食料、トイレ、医薬品等の生活物資を確保して被災者一人一人にお届けしようということで頑張ってきたわけでありますが、もちろん発災直後は混乱期がございました。同時にまた救命救急に全力を挙げている、そして被災自治体自体が傷んでいるということもございまして、お一人お一人全ての方々に届いていたわけではない、こちらが送ったものが滞留していたことも事実であります。
 その中で、自衛隊により直接持っていくということも含めまして全力を尽くしてきたところでありまして、二百六十万食を超える食料や二十万本を超える水を初めとした必要な物資を被災した方々にお届けしたところでございます。
 また同時に、指定した避難所以外の避難所のニーズの把握という課題もあったわけでございますが、ボランティアの方々が入れる状況ができて以降は、そういう方々にも細かく情報を発信していただき、SNS等も多用しながら、また民間企業の協力も得て導入したタブレット端末を活用するなど、できる限りきめ細やかな情報の収集をしながら、即時対応できる体制を整えていったところであります。
 いずれにいたしましても、どういう課題があったかということについてはこれからもしっかりと精査していきたいと思います。

○岡田委員 私が申し上げましたのは、やはり初動なんですね。プッシュ型、その初動が一瞬おくれたんじゃないかと私は思っています。これは、まだ春だったからよかったけれども、厳冬の中だったら大変甚大な影響が出た可能性もありますね。そういうことで、今回の反省、その反省に立ってしっかりとしたよりよき制度を組み立てていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 もう一点、今回の補正についてでありますが、復興予備費が計上されています。七千億円、復旧等予備費ですね。
 この七千億円の予備費というのは、かなり私は異例のことだというふうに思うわけです。本来であれば、今ある予備費を使いつつしっかりと歳出を確定して、補正予算に歳出項目を立てて、そして国会に問うというのが本来のあり方だと思います。
 それが、七千億円という、ある意味では色のついたようなお金をどんと国会に出して、我々も審議のしようがないわけですね。私は今回のことをやむを得ないというふうには思っているんですが、そのやむを得ないのは、国会の延長がそう長くはできない、参議院選挙もある、そういう中で補正予算の審議は難しい、そういう状況も勘案して、我々としては今回の措置についてやむを得ないというふうに判断しました。
 ただ、これはかなり異例の措置である、こういうことを前例にして、同じように災害が起こったときに、同じような状況がないにもかかわらずどかんと予備費だけ計上する、そういうやり方が一般化してはいけない、私はそう思うわけですね。当然、法律に基づいて予算というのは立てなければいけないということになっているわけですから、財務大臣、当然そういうふうにお考えだと思いますが、いかがでしょうか。

○麻生国務大臣 御存じのように、余震がけさ七時現在で一千四百六十回ですかね。本震が終わった後、余震が一千四百六十回、まだ続いておりますので、そういった意味では災害の確定ができないという状況で、倒壊という判断がされなかったものが余震によって倒壊、崩落とは認められなかったものが余震によって崩落というような事態が続いておるのが現状であります。
 したがいまして、個別の内容とか予算額を見込みがたいというような状況にありましては、必要が生じた時点で迅速に対応していくということをやらざるを得ぬというのは当然のことです。
 それを考えますと、今回は熊本地震の復旧等の予備費として七千億円を計上させていただいて、迅速に対応ができるように考えたという次第でありまして、被災地に必要な支援を行う上で私どもとしてはこういう方法というのを考え、今御指摘のありましたように、決まりましたのが参議院の選挙の最中とか解散していたとかいうことになれば、なかなかまた対応が難しいことになろうと思いますので、私どもとしては現時点でどれぐらいの総額になるかということがあらかじめ念頭にあるわけではありませんが、いずれにいたしましても、一日も早い復旧復興というのを考えたときには、このような方法というのを私どもとしては最良の方法と考えております。

○岡田委員 憲法では、予算の事前議決の原則というものが決められているわけです。それに対して今回のことは、私はかなり疑問は残るけれどもやむを得ないという判断をいたしました。こういうことが一般化しないように。そして、東日本大震災のときには我々は第一次補正予算をかなり裏づけを持ったものとして出しておりますので、そのことも申し上げておきたいというふうに思います。
 さて、残りの、この熊本の地震に関しては、松野議員初め同僚議員が具体的に質問したいというふうに思います。
 私の方は総理にお聞きしたいと思うんですけれども、連休中にヨーロッパを訪問されました。そして、そこで総理が言われたことは、機動的な財政出動の重要性ということであります。英国で共同記者会見を行われました。そこで総理が言われたのが、多くの専門家はことしさらなる景気悪化と世界的な需要の低迷を見込んでいるというふうに発言されました。総理のことしの世界経済の認識は、この多くの専門家と共通なんでしょうか。つまり、さらなる景気悪化と世界的な需要の低迷というのが基本的な認識でしょうか。

○安倍内閣総理大臣 現在、世界経済は不透明性を増しているわけでありまして、まず一つは、中国の景気減速に対する懸念であります。
 同時に、現在中国が抱えている過剰設備の問題もあります。特に鉄を中心とした過剰設備がございまして、これに対してはEUはダンピング提訴も考えているところでありますが、一億トンから一億五千万トン程度縮小していくということについてはコミットしているところでございますが、実際には六億トン、七億トンが過剰設備ではないか、こう言われております。
 日本の鉄鋼の生産量は一億トンでありますから、その数倍が過剰設備となっているという現状があるわけでございまして、そうした中における構造改革が進まなければ、不良債権化をしていく中において経済にも大きな打撃があるであろう、こういうことも指摘されているわけであります。
 また、油価の低下があるわけでありまして、原油価格の低下によって、原産国だけではなくていわば新興国の経済がそれによって大きく傷んでいるのも事実であります。
 そうした影響等がある中においては、金融政策とともに、金融政策は既に、日本銀行だけではなくてECBも米国のFRBも金融緩和政策はとっているわけでありますが、その中でやはり需要をつくるための財政政策も必要ではないか、私はこのように考えているわけでございます。
 当然、今申し上げましたような、世界的な構造改革もその中で進めていかなければ成長していかない。これはある意味では我々が申し上げてきた三本の矢の政策と相通ずるところがありますが、こうした対応を国際社会で行っていく、もちろん各国にはそれぞれの事情があるわけでありますが、そうしたクリアなメッセージを出していくことが今のこの経済状況では求められているのではないか、このように考えております。

○岡田委員 私は、経済認識、世界の経済に対する認識にかなり食い違いがあるんじゃないかというふうに思うわけですね。例えば、ドイツやイギリス、メルケル首相やキャメロン首相と総理の間にあるんじゃないかというふうに思っているわけです。
 確かに総理がおっしゃったようなリスクはある、あるいはリスクが高まっているということですけれども、基本はやはり世界経済の回復が続いているというのが、これは二十カ国財務大臣・中央銀行総裁会議やIMFでの認識であります。
 基本は世界経済の回復が続いているんだがリスクがある、あるいはリスクが深まっているというのと、総理が先ほど私が引用しましたように学者の議論ということで言われているわけですけれども、ことしはさらなる景気悪化と世界的な需要の低迷が見込まれるというのは、かなり現状認識において乖離があるというふうに思うんですね。現状認識において乖離があれば、それに対してどういう対応をとるか。機動的財政出動が必要なのか、あるいはやはり構造改革が中心なのかということで、とるべき対応も変わってくるわけであります。
 総理は、キャメロン首相やメルケル首相と、今おっしゃったような専門家の意見、ことしさらなる景気悪化と世界的な需要の低迷が見込まれるという認識では一致したんでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 今回は、メルケル首相あるいはキャメロン首相だけではなくて、イタリアのレンツィ首相あるいはフランスのオランド大統領、そしてまたEUのトゥスク議長とユンカー委員長とも議論させていただいたところでございます。
 まず、現状認識につきましては、今申し上げましたような現状認識も含め、私の考え方の一端をお話をさせていただきました。現状認識については大体一致していると言ってもいいと思います。とるべき手段につきまして、今申し上げました金融政策と財政政策そして構造改革というものをバランスよく行っていく必要がありますねということについても、これは大体、メルケル首相あるいはキャメロン首相も含めてできたのではないかと思います。
 しかし、財政政策について、それは各国においてさまざまな状況があるということ、あるいは考え方があるということについての議論があったのは事実でございます。これは特にドイツそしてまたイギリスであったのは事実でありますが、現状認識におきましては、事実、私ども、相当長い時間をかけてそれぞれお話をさせていただいたところでございます。キャメロン首相とは、首脳会談はダウニング・テンでも行いましたし、そしてまたチェッカーズでも夜の十時まで行ったわけでございますが、相当時間をかけてゆっくり話をさせていただいたわけであります。
 構造改革というのは、構造改革の必要性ということについて、いわば構造改革を行っていくときに、中長期的には構造改革が成果を上げてきますが、構造改革を行う、例えば設備を廃棄していくというときには失業者が出てくるわけでありますし、負荷が経済にかかるのは事実でありますから、それに対してどのように対応していくかということも当然必要になってくるわけであります。
 そういうことも含めまして、世界経済の認識については私は大体一致をしているのではないかと。ただ、その処方箋につきましては当然さまざまな議論があった。しかし、サミットに向けて極めて有意義な議論を行うことができたのではないか、このように考えております。

○岡田委員 総理が先ほど言われた金融、財政、構造改革、各国の実情に応じてバランスのとれたものにする必要がある、こういうことですが、私はこれは何にも言っていないに等しいと思うんですよね。それでは一定の方向性を出したということにはならないわけです。私はやはり前提の認識が違うんじゃないかと。
 ここにIMFの世界経済見通しを持ってまいりました。四月のものです。
 世界全体では、二〇一六年は三・二%、二〇一七年は三・五%、そういう成長の見通しであります。もちろんリスクがあるとかリスクが高まっているということは言っているわけですけれども、数字としては、二〇一五年に比べて二〇一六年、一七年とふえるということになっています。そして、その中で日本は、二〇一五年が〇・五、二〇一六年も〇・五、二〇一七年は消費税の影響が織り込まれているということもあると思います、マイナス。つまり、日本だけが〇・五で、アメリカやユーロ圏は一%台後半あるいは二%台の成長というものを見込んでいるわけですね。
 日本だけが成長ができない、そういう構図がここにあらわになっている、その中で日本が財政出動と言っている。しかし、ほかの国は、直ちに財政出動するということについて特にイギリスやドイツは首をかしげているというのが現状じゃないですか。

○安倍内閣総理大臣 財政出動の重要性については、米国もそうですし、カナダもそうですし、イタリアもそうですし、フランスもそうですし、そして先ほど申し上げましたEUのユンカー委員長もそうでした。つまり、財政による需要の創出については、むしろそれを行った方がいいという国々の方が多いわけでありまして、認識においてもそちらがいわば多数派と言われていると言ってもいいんだろうと思います。
 ただ、G7は多数決でやるわけではありませんから、G7の中ではまさに首脳がお互いに率直な意見交換をしながらコミュニケをまとめていく。と同時に、今、世界経済に対して、国際社会に対して、世界に対して力強い明確なメッセージを出していく必要はありますねということについては、キャメロン首相とも、またメルケル首相とも一致をしているところ……(発言する者あり)済みません、ちょっと、今大事なところですから、バックシートからやじるのはやめていただけますか。大切な議論ですから、こういう中身のある議論のときには静かにしていただきたいと思います。
 そこで、大切なことは、お互いが自分の考え方を披瀝し合う中で、ではその中でどういうメッセージを出していこうかということをしっかりと議論していくことが大切であります。そのために、前もって今言った国々を回りまして、その前にはオバマ大統領とは既に核セキュリティーサミットの際に首脳会談を行ってこの話もしているところでございますし、またトルドー首相ともその前に首脳会談を行い、こうした現下の経済状況についての認識あるいはとるべき対策についてお話をしているところでございます。
 大切なことは、どの国も自国の雇用や経済をしっかりとよくしていきたい、もちろん財政状況もよくしていきたいし、また世界経済に対してG7としてやはり責任は持っていますねと、その責任をどういう形で果たしていくべきかということについて議論していくことが大切なんだろうと思います。
 そして、今申し上げた三つの政策ということは、今まで殊さらこの三つの政策をG7で言ってきたということはないんだろうと思います。
 今回は、まさに三つの政策。金融政策については、緩和的な金融政策を今まで行っています。今申し上げました。これは大体そろっているわけであります。と同時に財政政策の有効性について議論を行う、そしてそれをそれぞれの国が事情に応じてやるということは当然のことであろうと思うわけであります。同時に今申し上げました構造改革を進めていくわけでございまして、この構造改革の重要性については、G20が杭州であるわけでありますが、そこに向けてさらにそれははっきりと主張していくべきであろう、こう考えているわけであります。
 いずれにいたしましても、現状認識におきましては大体一致をすることができたと思うわけでありまして、繰り返しになりますが、その手段についてさらに今度のG7においてじっくりと話をしていきたい、こう考えているところでございます。

○岡田委員 委員長、聞いたことに的確に答えるように、しっかりとやってください。こんなに長く答弁されたのでは、私、やるべきことができなくなってしまいます。
 結局、この数字を見ても日本が落第生だと、その落第生が財政出動をしなきゃだめなんだというふうに騒いでいる、そういうふうに見られても仕方がないと私は思います。
 そこで、アベノミクス、三年半たちました。いろいろな数字があります。お互い自分に有利な数字を出し合えばそれだけで時間がたちますので私は言いませんが、しかし、三年半たって国民の大半が景気回復を実感していないというのは現実だと思いますね。三年半たってそうなっていることについて、総理はどういうふうにお考えですか。

○安倍内閣総理大臣 三年半が経過いたしました。
 我々は、政権を奪還する際に、国民総所得、GNIの失われた五十兆円、これはまさに、デフレが続いている中においてそれを取り戻します、こう宣言をしました。もう既に我々は四十兆円取り戻しているんです。ことしじゅうにはそのお約束を果たせそうな状況になってきているということは申し上げておきたいと思います。
 同時に、我々が政権をとる前は三四半期連続のマイナス成長であったわけであります。同時にまた、実質成長と名目成長が逆転、名実逆転をしていたわけであります。名実逆転というのはまさに、実際は経済が収縮しているのと同じであります。ですから、税収は落ちていくことになってしまうわけであります。
 我々は、デフレから脱却をする、この目標のもとに、名実逆転していたものをまた正常に戻すことができたわけでございます。
 先ほど例として〇・五、〇・五ということを挙げておられましたが、これはまさに消費税の引き上げによる消費の低下等があったわけであります。しかし、名実逆転にはなっていないわけでありまして、いわば名目成長はしっかりと実質成長を上回っているわけでございますし、実質賃金におきましても、この三月、足元においては一・七%ですか、上がっているわけでありますし、国民総所得におきましての実質賃金というのはずっと回復をしているわけでありまして、名目についてはもちろんそうでございます。
 そして、ベアという言葉すらなかったわけでございまして、このベアにつきまして三年連続で行っているわけでございます。そして中小企業におきましてもこれは上がってきているわけで、賃金が上がって……(岡田委員「そんなことは聞いていないです」と呼ぶ)今、そんなことは聞いていないと言われましたけれども、アベノミクスはどうしたんですかと言われましたから数値でお答えするのが、まあ、よくなった数値を挙げられると不愉快かもしれませんが、それはちょっと聞いていただかないと、経済は指標で説明しなければいけないわけでありますし。
 一番大切なことは何かというのは、政治が求められていることは、やはりしっかりと働く場をつくっていくことではないでしょうか。働く方については、我々はこの三年半で百十万人近い雇用をつくったんですが、民主党政権下においては約マイナス十万人だったわけでありまして、倒産件数も三割減少しているわけでありますから、こういうことをしっかりと見ていただきたい。
 こういうことを見ていただければ、決して失敗はしていない。まだもちろん道半ばであります。デフレから完全に脱却をする上においてしっかりと政策を進めていきたい、このように思う次第でございます。

○岡田委員 お互い有利な数字を挙げ合うのはやめましょうというふうに私は申し上げて、先ほど質問しました。
 私が聞いたのは、国民は景気回復を実感していない、このことについてどう思っているのかと聞いたんです。別にべらべらと数字を挙げてくれと言ったんじゃなくて、実感ですから。
 では、総理は、国民は景気回復を実感しているというふうに思っているんですか。メディアの調査でも、八割前後の国民が景気回復を実感していないと答えていますよ。そのことをどう考えているかと聞いたんです。数字を並べろと言っているんじゃないですよ。
 もう答えなくていいですよ、国民に対してあなたは答えなかったんだから。
 そこで、このアベノミクス、私は、最初に金利を下げたことで為替が円安に振れた、そして株高になった、これが事実上の牽引車だったと思うんですね。しかし、この動きが今変わってきた、だんだん円高に振れてきた。これは望ましいことではありません。しかし、日本の政府だけではこれは左右できない。円高になり、株も乱高下している、つまり牽引車が今失われつつあるということですよ。
 私は、特に去年一年間、総理がアベノミクスを問うと言って、この道しかないと言って解散・総選挙を一昨年の十一月にした、だから国民は一年間経済政策をしっかりやってくれると期待したと思いますけれども、総理が現実にやったのは安全保障法制の、そこにエネルギーを注ぎ込んで経済がおざなりになった。気がついたらいつの間にか円安が円高になり、そして株が乱高下して牽引車が失われた、これが今の姿じゃありませんか。そのことに対して総理はどういう責任を感じておられるんですか。

○安倍内閣総理大臣 違います。
 確かに、世論調査上、実感している方のパーセンテージがまだ低いということは我々も認識をしておりまして、もっと多くの方々に認識をしていただくべく努力を進めていきたいと思います。しかし、四十七の都道府県のうち、有効求人倍率、民主党政権のときは八つでありましたが、今、四十七の都道府県のうち四十六が一を超えているわけであります。私は事実を出していて、この事実はやはりしっかりと見ていただかなければ経済政策は議論のしようがない、感じだけではだめだということを申し上げておきたい、このように思います。
 同時にまた、内閣府が調査をしている社会に対して満足をしているかということについては、これも民主党政権のときを挙げて恐縮ですが、満足をしていないという方の方が満足をしているを上回っていたんですが、現政権では満足の回答が満足をしていないという回答を上回りまして、満足は過去最高の六二%となっているということは一応申し添えておきたいと思います。
 そこで、金融政策と株価についてお話をされたわけでございます。
 金融政策については、日本銀行が行っている政策を私は支持しております。考えていただきたいのは、もしこの政策を行っていなかったらどうなっていたかということなんですね。それをよく考えていただきたい。やっていなければ、まだ、皆さん、デフレのままですよ。あえてどこが適正な為替水準とは申し上げませんが、行き過ぎた円高が是正されたということは皆さん大体わかっていただけると思いますよ。それは事実であります。
 確かに乱高下がございますが、世界的なリスク回避の動きの中で、世界じゅうの株式市場において乱高下が見られたのは事実であります。国際社会とつながっているグローバルな経済でありますから、そこを断絶して考えてはならないんだろうな、このように思うわけであります。ですから、最初に申し上げましたようなそうした状況のリスクについてまさに世界各国と共有できたわけでありまして、そういうリスクの中で今経済において不透明さが増している、こういう中で我々もしっかりと政策を進めていかなければならない、こう考えているわけであります。

○岡田委員 一つだけ数字を挙げておきましょう。実質賃金は、我々の政権のときと比べて五ポイント落ちています。最近二、三カ月はいいかもしれません。しかし、五ポイント落ちています。そのことだけ言っておきます。
 さて、私は、安倍総理の言われる金融政策を今批判したつもりはないんですけれども、最近の金融政策はやり過ぎだという認識を持っています。いずれにしろ、金融政策、財政政策は時間を稼ぐための政策であると総理も言っておられたと思うんですね。大事なことは三本目のやはり構造改革である、そこは私も全く同じ認識ですよ。構造改革の中身について、例えば労働規制とか、そういったところについては意見は違います。しかし、基本的に民間投資を喚起するための成長戦略という考え方は一致です。そもそも、成長戦略を国家として最初につくったのは民主党政権です。だから、その流れで総理がやっておられることは、私は批判をしているつもりはありません。
 ただ、大事なことは、それだけじゃだめだということですね。そういう形でサプライサイドの改革も大事ですけれども、やはり一人一人の普通の人たちが安心して生活できる、そして豊かになるという見通しを持つことができる、そういう政策が私は非常に重要だと思うんです。車の両輪として、サプライサイドとともにそういった普通の人たちが豊かになる政策をしっかりやっていくということが重要だ。
 総理も最近、一億総活躍社会ということでいろいろなことを言われています。私は、民主党が言っていたことと今の民進党が言っていること、それと同じようなことを総理が言われたことにちょっと驚きを隠せません。同一労働同一賃金などは、一年前は明らかに違ったわけですから。しかし、我々の言っていることの大切さが認識されたのであれば、その点は評価します。
 問題は、それが本当にやられるかどうかです。参議院選挙の前に、いろいろ言葉を並べられるだけじゃなくて、具体的にこういうふうにするということを明確に述べていただきたいんですね、これから選挙までに。そうでないと、やります、やりますと言って、選挙が終わったらまたそれができないということでは困るわけであります。そのことはまず申し上げておきたいと思います。
 そこで、我々は所得の再分配とか格差の縮小ということを非常に重視しています。一億総活躍の中では、所得分配という言葉は出てくるんですが、再分配とか格差の縮小という視点は私は余り見受けられないと思うんですけれども、ここについて総理はどういうふうにお考えでしょうか。私たちは、格差を縮小し所得を再分配することがまた経済成長につながっていく、そういう意味での循環ということを考えているわけですけれども、総理は同意されますか。

○安倍内閣総理大臣 我々が今進めているのは、成長と分配の好循環をつくっていくということであります。経済をしっかりと成長させ、この果実を子育ての支援あるいは介護離職ゼロ、社会保障にも使っていく。安心感を与え、社会的な基盤を強化していく上において、さらには成長のためにも投資をしていく。それは新たな成長につながり、多様な社会を実現していく中において、イノベーションを起こしていく中で成長し、さらなる果実が生まれる。そして、この果実によってまたさらにしっかりと分配を行っていくことができるということでありまして、私は分配を否定したことは一度もないわけでありまして、まさに成長と分配の好循環をつくっていくということであります。
 再分配につきましては、今既に例えば日本においては税あるいは社会保険料等も含めまして再分配機能というのがあるわけでございまして、その中で、例えばジニ係数の中においては、日本は再分配後のジニ係数については各国で格差が広がっていくと言われている中においてはずっと横ばいでありまして、経済学者等からはこれは日本の独自の分配の結果であるという評価があるのも事実でございまして、そこのところはよく見ていただきたいと思います。
 大切なことは、しっかりと経済を成長させていくということと、適正な分配を行う中において次の成長につなげていくということ、そして安心感を高めていくということではないか、このように思います。
 あと、先ほどの足元の数字でありますが、実質賃金については一・七とお答えしましたが、一・四でございましたので、訂正させていただきたいと思います。

○岡田委員 総理の成長の果実を介護とかあるいは子ども・子育てに充てるというのは、時々総理がおっしゃるんですが、どうも聞いていると、成長した結果、税収が膨らむ、その税収を介護や子育てに使う、そういうふうに読めるわけです。
 私は、成長したから税収が上がる、その分を使うということじゃなくて、やはり介護とか子ども・子育てというのは一番基本のところですから、そういった成長がある、ないにかかわらず、しっかりこれは予算で手当てする。そういう考え方でいかないと、成長したときだけということになると、例えば先ほどのこれから円高とか株安になってくると、所得税やあるいは法人税だって見込んでいるよりも下振れするかもしれませんよね、そうすると介護とか子ども・子育ての予算はつかないんですか。私はそれはそうじゃないと思うんです。しっかりとそれは本予算の中で手当てしていくという考え方に立たなければいけないというふうに思います。
 そこで、総理、所得税の話をされましたので、ちょっと資料をつくって持ってまいりました。
 日本の所得税、かつては住民税と合わせて九三%、所得税としては七五ですが、そういう時代もありました。これはかなり極端、稼いだお金の九三%が税金、所得税で持っていかれるということです。それからずっと下げてまいりまして、今は所得税と住民税を合わせて五五ですね。所得税だけだと四五。実は野田政権のときに四〇から四五に上げて、それが今実施されているという状況です。最低三七までいきました。
 私はこれはちょっと、過去二十数年間、下げ過ぎたと思うんですね。その結果として、所得税、相続税というのは所得の再分配機能があるわけです、その再分配機能がその分損なわれてしまっている、やはりもう少しこれを考え直すべきじゃないか。別に七五%にしろと言っているんじゃないですよ。しかし、今の所得税四五よりはもう少し上げてもいいんじゃないかというふうに私は考えるわけです。
 それから、金融取引、株に対する課税は、分離課税で従来ずっと一〇でした。これを野田政権のときに二〇に上げて、今は二〇になっていますね。だけれども、所得の多い人から見れば株の取引が本来であれば四五%の所得税がかかるにもかかわらず二〇で済んでしまっているというのも、やはり私は違和感を禁じ得ないわけですね。
 こういうところをもう一回見直していくというお考えはありますか。そうして、これを見直すことで財源を得て、それを子ども・子育てやあるいは介護に充てていく、こういう考え方について総理はどうお考えでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 先ほど、いわば果実を分配するということについて岡田代表の方から異論を呈されたわけでございますが、そもそも予算を編成する際に我々は当然社会保障の予算を確保しているわけでありまして、ふえたらふやし、減ったら減らすということではなくて、基礎的なものは当然税収の中に入れ込んでいるわけであります。しかし、同時に、それは成長していくことを前提に、例えば、成長していくのであれば成長していくということを前提に見積もりをして、弾性値を掛けて税収を出して、そしてそれを割り振っていくわけでございます。
 当然、また、例えば年金の運用についてもそうですが、成長していくということを前提に年金の運用も考えられているわけでありますから、成長を否定してしまっては大切な財源も確保できないわけでありますから、そういうことも含めて私は申し上げたわけであります。しっかりと成長していかなければ財源も確保できない、成長していかないのに税率を上げれば税収がふえると思ったらこれは大間違いであるということははっきりと申し上げておきたい、こう思う次第でございます。
 そこで、所得税につきましてどう考えるかということについては、しっかりと議論していく必要があるんだろう。高額所得者にいわば高い税金をかける、これは考え方としてはあるんだろうと思います。ただ、同時に、それは経済に対するどういう負荷があるのかということも含めて考える必要もあるんだろうなと思います。
 そういう中において、あるべき税率の問題については今後も党の税調あるいは政府税調において議論がなされていくだろう、このように思います。

○岡田委員 結局、所得の再分配とか格差の是正という観点が私は総理には余り見受けられないと。そこは非常に大きな違いだなということは認識しました。
 それから、今総理は成長の話をされましたが、先ほど言いましたように、成長戦略によって経済が成長することは重要だと私は申し上げています。成長戦略を初めてつくったのは民主党政権だということを申し上げました。それをいろいろ受け継いでおられるのは結構ですけれども、そのことを申し上げておきたいと思います。
 さて、時間も非常に限られてきました。安全保障法制について一つだけ確認しておきます。
 総理、集団的自衛権行使の憲法解釈を変えるに当たって、歴代総理の意見は聞かれましたか。つまり、歴代総理は集団的自衛権の行使は憲法違反だと言ってきたわけですよね。それを変えるときにやはり御意見をお伺いして、自分の考え方を説明するというのは当然だと思いますが、そういったことをなされましたか。

○安倍内閣総理大臣 歴代の総理には、いろいろな場において、私の考え方はもう既に説明をしてきているところでございます。

○岡田委員 総理のこの国会答弁、私は非常に気になるんですよ。
 要するに、多分、中曽根総理の発言は、フルスペックの、つまり限定のない集団的自衛権の行使は憲法違反だと言ったものであって、限定した集団的自衛権の行使について言ったものじゃないと言われていますよね。当時、中曽根総理は本当にそういう意味で、限定した集団的自衛権の行使は憲法違反じゃないとどこかで言われていますか。
 私は、集団的自衛権の行使を一般的に憲法違反だと中曽根総理が言われた、そうであれば、フルスペックであろうが限定的なものであろうが集団的自衛権の行使は憲法違反だ、その言葉以上にないと思うんですよ。それを勝手に総理がこういうふうに言いかえているのは私は非常におかしなことだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 勝手に変えているということはないわけでございます。
 数年前、中曽根総理のお誕生日の会に出席をさせていただいたことがございましたが、その際にもお話をさせていただいたわけでございます。その中におきましては、私が今進めている政策については基本的に御支持をいただいているのではないか、こう思うわけでございます。
 そして、いわば三要件がかかるこの集団的自衛権につきましては、まさに、新三要件の中における集団的自衛権の行使である以上、憲法上それは許されるというのが我々の考え方でありまして、それについては御理解をいただいているのではないか、このように思います。

○岡田委員 中曽根総理のこの発言、国会、本会議における発言ですが、こういうふうにも言われているんですね。日本の防衛は憲法のもとに個別的自衛権の範囲内に行うものであり、集団的自衛権の行使は否定されている。昭和五十八年三月十八日の衆議院の本会議です。はっきりと、個別的自衛権の範囲内に行うものでありと中曽根総理は言われているわけですよ。
 その後の個人的会話で何を言われたかわかりませんよ。だけれども、総理大臣として国会でこういうふうに言っておられるものを、総理が勝手に解釈を変えて、個別的自衛権だけじゃなくて限定した集団的自衛権も認めていると。私は信じられないんですよ、こんなことを総理大臣がやられるということが。国会って一体どうなるんですか。そのことは申し上げておきたいというふうに思います。
 最後に、安倍政権を見ていて、いろいろなことが説明責任を果たされていないというふうに私は考えます。
 もう時間も限られていますが、それぞれ仲間の議員がこれから質問しますが、例えばUR問題。甘利大臣は説明責任を果たされていないと思いますが、総理、甘利大臣とこの間、電話かお会いになって話をされたことはありますか。そのときに、説明をちゃんとすべきだと言われましたか。

○安倍内閣総理大臣 捜査当局によって捜査中であると承知をしておりますので、現在、電話等で話すことはいたしておりません。

○岡田委員 これは内閣の中の問題なんですよ。URも国土交通省所管の独立行政法人ですよね。そこが補償額を上積みしちゃったかもしれない、そこに甘利さんのスタッフが関与していた可能性があるということです。つまり、税金が無駄に使われたかもしれない。
 全部これは安倍内閣のもとでの話なんですよ。甘利さんも有力閣僚だったし、一方のURも安倍内閣のもとでこの補償額を決めたということです。ですから、他人事では困る、もっときちんと国民に対して説明責任を果たすべきだというふうに申し上げておきたいと思います。
 あと、時間も限られていますが、集団的自衛権行使について閣議決定に至る議論の記録。内閣法制局長官は議論したということは認められている、議事録はありませんということですけれども、これも全くおかしな話で、今までの国の解釈を根本的に変えるということであれば、当然そこは内閣法制局の中でも、あるいは内閣の中でも議論しているはずだし、まあ、議論はしていると言われたわけですね、そうしたらそれを記録に残さないのはおかしい。
 議事録は、それはなくてもいいかもしれません。しかし、少なくとも記録は残さなければならない。そうでないと、これは公文書法の明らかな違反なんですよ。そのことについて、総理、どう考えていますか。

○横畠政府特別補佐人 記録がないという御指摘でございますけれども、記録はございます。
 内閣法制局においては、平成二十六年七月一日の閣議決定に関して当局が行った意見事務に関しまして作成または取得した文書については、公文書等の管理に関する法律の規定に基づき適正に管理しております。
 具体的に申し上げますれば、まず作成文書といたしましては、内閣官房国家安全保障局から正式に送付を受けた当該閣議決定の案文について回答するに当たって決裁を行った際の原議、決裁文書がございます。これは当局の事務の意思決定の手続過程そのものでございまして、責任の所在を明らかにするものとして作成しております。これはまさに公文書管理法に従って整理し、保存しております。
 さらに、その前提として検討した資料としての取得文書、安保法制懇に関する資料それから与党協議に関する資料等も、あわせて公文書管理法に基づいて保存しているところでございます。

○岡田委員 そんなことを聞いているのではなくて、法制局の中あるいは政府の中で当然議論があったでしょう、その中身について記録は残っているはずだということを申し上げているわけです。
 もし記録がなければ、ちゃんと再生してください、つくってください。
 東日本大震災のときに、確かに我々は記録をつくる時間がなかった。これは指摘をいただいて、私は担当大臣として、それぞれ個別にヒアリングをして記録を再生しましたよ、公表しましたよ。そのぐらいのことはやるべきでしょう、これだけ大きな話なんだから。それがないというのは全くおかしいということを申し上げます。
 あとは同僚議員がいろいろやってくれますが、報道の自由の話なんかも、私は本当にこれは恥ずかしいと思うんですよね。ランキングはどんどんどんどん落ちるばかりじゃないですか。外国のメディアやあるいは独立系のジャーナリストからは、政府に非常にアクセスしにくいという話が聞こえてまいります。
 例えば、外務大臣がおられますが、私が外務大臣のときには、独立系とかあるいは外国メディアに対して外務省本省で必ず記者会見をしておりましたので、毎回毎回参加をいただいていました。外務大臣は、ほとんど官邸で記者会見をやっておられますよね。そうすると、独立系の人はすごく参加しにくいんですよ、官邸に入れないわけですよ。
 そういうことも考えて、きちんと本省で定期的に記者会見をされたら、私はまた印象が変わってくると思うんですね。そういう配慮が非常に欠けているということを最後に申し上げて、あとは同僚議員に議論していただきたいと思います。
 終わります。




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