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中国は尖閣実効支配に乗り出しかねない 海保・警察、自衛隊が迅速対応できる法整備が急務(夕刊フジコラム 2016/8/18)

 リオデジャネイロ五輪は、当初懸念された大きなトラブルもなく、熱戦が続いている。日本選手は大健闘しており、連日メダルラッシュに沸いている。

 私が最も印象的だった金メダルは、競泳女子200メートル平泳ぎの金藤理絵選手だ。2008年の北京五輪に出場したが、その後、故障に泣き、12年のロンドン五輪は代表落ちした。一時は引退も考えたというが、熱血指導のコーチと二人三脚で、試練を乗り越えて栄光をつかんだ。味わい深い勝利だった。

 金メダルには届かなくても、素晴らしいプレーがいくつもあった。

 卓球女子シングルスの福原愛選手は3位決定戦で惜しくも敗れたが、準々決勝までの快進撃は目を見張った。世界4位、ロンドン五輪銅メダリストのシンガポール選手にストレート勝ちした試合は、鳥肌が立った。

 過去全敗している世界王者の中国選手と準決勝で大接戦を演じた卓球男子シングルスの水谷隼選手や、準々決勝でマッチポイントを握られながら5連続ポイントで逆転勝利したテニス男子シングルスの錦織圭選手らの試合も強烈な印象を残した。

 スポーツの感動といえば、高校野球も忘れてはならない。私は地元(三重)のいなべ総合学園を応援するため14日、甲子園球場で観戦した。山梨学院が先制したが、いなべ総合は八回に5点を奪って逆転し、勝利した。16日に秀学館(熊本)に敗れ、ベスト8進出はならなかったが、高校球児のひたむきな姿勢には胸を打たれる。私たちも学ぶべきところが多い。

こうしたなか、沖縄県・尖閣諸島周辺に、中国の公船や漁船が多数押し寄せ、一部が領海にも侵入している。断じて看過できない事態であり、日本政府はしっかり対応してほしい。

 南シナ海での中国の強引なやり方を見ると、日本が手を緩めれば中国は尖閣の実効支配に乗り出してくる危険性がある。「力の空白」が生じかねない米大統領選前後は要注意だ。海上保安庁の努力は大変だろうが、何としても公船などの侵入を阻止してほしい。

 わが党の前身である民主党と維新の党などが2月に国会提出した領域警備法案のような法整備も必要だ。離島への武装漁民の上陸など、わが国領域で武力攻撃に至らないグレーゾーン事態が生じたとき、海保・警察や自衛隊が適切な役割分担のもとで迅速対応できる仕組みだ。

 同時に、これ以上緊張を高めないため、将来の日中関係をどう築いていくか、両国が真剣に考えることも求められる。

 さて、民進党代表選は9月2日告示、15日投開票で行われる。すでに蓮舫代表代行が出馬会見を行った。党のためにも、対立候補が出て、基本路線や重要政策について論争を戦わせてほしい。私は現代表なので、告示前は誰を支持するか明確にすることは控えた方がいいと思う。ただ、野党連携も含めた現在の枠組みが継続されることが望ましいと考えている。 (民進党代表)




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