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2016.01.06|国会会議録

平成28年1月6日 第190回国会 衆議院 本会議代表質問


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○岡田克也君 民主党代表の岡田克也です。

 私は、民主、維新両党で結成した統一会派民主・維新・無所属クラブを代表し、安倍総理の海外出張に関する報告及び麻生財務大臣の財政演説について質問します。(拍手)

 質問に先立ち、先ほど、北朝鮮が水爆の実験を行ったと発表しました。看過できない暴挙です。強く抗議するとともに、政府には、引き続き、情報収集、分析、危機管理、そして国民に対する情報公開に万全を期すことを求めます。

 やっと国会が開かれました。ここに至るまで、安倍総理は国民に対して説明を行うことから逃げて、逃げて、逃げ回ってきたことを、まず指摘しなければなりません。

 我々が臨時国会の召集を正式に要求したのは、昨年十月のことです。にもかかわらず、安倍総理は臨時国会の召集を拒否しました。憲法五十三条には、通常国会の召集をもって臨時国会の召集にかえることができるとは、どこにも書いていません。明らかな憲法五十三条違反です。国民の声を聞こうとしない安倍総理の体質そのものです。安倍総理の謝罪と説明を求めます。

 次に、国民は、その八割が説明不足と指摘する中で行われた安全保障法制の採決強行を決して忘れてはいないと、力を込めて申し上げなければなりません。今も、全国各地で抗議の声が上がり、活動が続いています。昨日も新宿で大集会がありました。私たちは、憲法違反の法律を絶対に認めるわけにはいきません。

 安倍総理は、採決強行の直後に、国民の皆様の理解がさらに得られるよう、政府としてこれからも丁寧に説明する努力を続けていきたいと明言しました。安倍総理は、いつ、どこで国民に対する丁寧な説明を行ったのですか。国民にみずから約束したことですから、責任ある答弁を求めます。

 また、国民の理解を得るために、今国会でも引き続き徹底的に議論する覚悟があるのか、安倍総理の答弁を求めます。

 次に、安倍政治の先送り、ばらまき姿勢を見事に体現した補正予算案について質問します。

 今回の補正予算案は、一・九兆円の税収上振れ分を、アベノミクスの果実だから自由に使ってよいとばかりに、まさしくばらまくものです。しかし、今は円安、株高もあって税収がふえていますが、税収見通しは、上振れすることもあれば、下振れすることもあります。楽観的な見通しに立って、財政健全化への取り組みが先送りされています。今こそばらまき歳出を徹底的に見直し、将来に備えて国債を思い切って減額すべきだと私は考えます。安倍総理の答弁を求めます。

 最も疑問なのは、三千六百億円が計上された年金生活者等給付金です。何のために、一千百万人の高齢者に一人当たり三万円を配るのでしょうか。安倍総理の答弁を求めます。

 民主、自民、公明の三党合意に基づき平成二十九年度から実施される年金生活者支援給付金の前倒しとも説明されていますが、この制度の対象者は六百万人であり、今回の一千百万人は明らかに拡大しています。まさにばらまきそのものではありませんか。安倍総理の答弁を求めます。

 困っているのは高齢者だけではありません。働く世代でもアベノミクスの成果を実感している人は限られています。市町村民税非課税世帯を対象にするのであれば、働く世代と年金者を区別する理由はありません。安倍総理の言う一億総活躍社会には、働く世代やその子供たちは含まれていないのでしょうか。なぜ年金生活者に限ったのか、安倍総理の答弁を求めます。

 あわせて、なぜ公明党が熱心に取り組んできた子育て世帯臨時特例給付金を廃止したのかについても、答弁を求めます。

 この一人三万円、総額三千六百億円は、参議院選挙直前の五月、六月に配られるといいます。余りにも露骨過ぎませんか。国民の税金を使ったばらまきの選挙対策です。ここまで政治が劣化してしまったのかと私は暗たんたる気分です。政治に対する国民の信頼を失わないために、この三千六百億円のばらまきは断固やめるべきだと考えます。安倍総理の答弁を求めます。

 安倍総理が唱える一億総活躍社会の具体策として、認可保育所等の整備を十万人分、介護施設等の整備を十二万人分、前倒し、上乗せすることが決定されました。これら追加的施設整備のための予算の大部分が補正予算案に計上されています。

 問題は、人手が足りるかどうかです。保育十万人で必要とされる人員は二万人、介護十二万人で五万人と想定されていますが、果たして確保できるのでしょうか。

 保育も介護も人手不足に苦しんでいます。最大の原因は給料が安いことです。保育、介護の仕事は好きだけれども、低賃金で結婚もできないとの悲鳴が上がっています。しかし、今回の補正予算案と来年度予算案には、この問題に対する根本的な対策は講じられていません。

 保育、介護の現場で働く二百三十万人の処遇改善をきちんと実現する覚悟があるのか、安倍総理の明確な答弁を求めます。

 保育、介護の施設整備のための予算は、それぞれ安心こども基金に五百一億円、各都道府県の地域医療介護総合確保基金に九百二十一億円を積み増すことになっています。極めて大きい金額です。

 特に、今回の介護施設十二万人分の整備は二〇二〇年代初頭が目標で、五年以上先です。五年先にどのような介護施設が各都道府県にどの程度必要かということについて、現時点で把握できているとは到底考えられません。具体的なニーズの把握もないままのばらまき、そして無駄遣いに終わることを強く懸念します。

 五年以上先の施設整備予算を、なぜ補正予算として計上し、一挙に各都道府県に配分する必要があるのか、財務大臣の答弁を求めます。

 今回の補正予算案には、TPP協定交渉の大筋合意を受けた関連予算三千四百三億円も計上されています。しかし、協定交渉の具体的な内容について、臨時国会も開催されず、政府はほとんど説明していません。TPP協定の是非が国会で議論されないまま、国会承認を前提とした補正予算が先行することに強い違和感を覚えます。このような前例はあるのでしょうか。そして、少なくとも、TPP協定案を今国会で十分な時間を充てて徹底審議することを約束すべきです。それぞれ安倍総理の答弁を求めます。

 私も全国の農業者の方々と会い、直接お話を伺ってきました。果たして農業が続けられるのか、不安を訴える声は数多くあります。

 そもそも、二〇一二年の衆議院選挙で、自民党議員の多くはTPP絶対反対と叫び、自民党自身、うそつかない、TPP反対、ぶれない、TPPへの交渉参加に反対、そういったポスターを全国に張りました。皆さんも張ったんじゃないですか。全国の農業者は、その公約違反と不誠実さに怒っているのです。

 自民党がぶれまくったことについて、自民党総裁として国民に謝罪すべきです。安倍総理の答弁を求めます。

 次に、消費税の軽減税率について質問します。

 安倍総理は、軽減税率の範囲を外食を除く飲食料品全体に拡大し、そのために一兆円の財源が必要となりました。この問題をめぐって、自民党と公明党、そして総理官邸は迷走を重ねました。本日は基本的な点だけ指摘しますので、明確な答弁を求めます。

 第一に、一兆円の財源の確保のために、自己負担の総合合算制度の導入を見送ることとされています。医療、介護、保育、障害者支援など、さまざまな社会保障制度には、所得に応じてそれぞれ自己負担の上限が設けられています。総合合算制度は、これらの自己負担の総額に上限をかけるもので、所得の少ない人の負担軽減のためになくてはならないものです。高所得者ほど恩恵を受ける軽減税率のために、なぜ、自民、公明、民主三党で合意したこの意義ある制度を断念することにしたのでしょうか。安倍総理の答弁を求めます。

 第二に、消費税を一〇%に引き上げたときに、一%相当分二・八兆円を社会保障の充実に充てるということが前提となっていました。総合合算制度の導入は、その重要な柱でした。

 これをやめて軽減税率の財源とすることは、一%相当分は社会保障の充実に充てるという国民に対する重要な約束を破棄するものです。安倍総理の明確な答弁を求めます。

 第三に、一兆円の財源手当てが不明確です。これが最大の問題です。

 どの社会保障予算を削減するのか、それとも赤字国債で賄うのか。そのことが明らかでない中で一兆円の軽減税率の妥当性を判断することは、到底できないはずです。先送りそのものであり、かつ国民に対する不正直です。年金、医療、介護、どこをどう削るのですか。まさか、子ども・子育て予算の削減はないんでしょうね。

 安倍総理には、一兆円の財源を直ちに明らかにする責任があります。逃げずに答弁ください。

 安倍総理は、十二月にインドを訪問し、日印原子力協力協定について合意に達したと発表しました。しかし、協定の中身は全く明らかになっていません。正直に説明すべきです。

 日印原子力協力協定の最大の課題は、インドが核実験を行ったときに日本が協力を停止することを明確にすることです。一昨日の海外出張報告で安倍総理もこの点に言及していますが、核実験を行った際の協力停止は協定に明記されているのでしょうか。また、核実験が行われたとき、既に稼働中または建設中の原子力発電所も協力停止の対象となるのでしょうか。

 ここまで踏み込まないと、インドに核実験を断念させることについて、実効性は確保できません。日本の非核政策にとって極めて重要な一線です。それぞれ、安倍総理の明確な答弁を求めます。

 地球温暖化は、人類が直面している極めて深刻な問題であり、次の世代のためにどうしても乗り越えなければならないというのが世界の共通認識です。しかし、安倍総理は、内閣の最重要課題として取り組むと言いながら、どこまで本気なのか、大いに疑問です。

 日本政府は、温室効果ガスの削減目標を二〇三〇年に二〇一三年比二六%削減としていますが、一九九〇年比でいえば一八%削減にすぎません。このペースでは、二〇五〇年に八割削減という日本政府の国際約束は到底実現できません。

 なぜ、四十年かけて一八%しか削減できないものが、その後の二十年で八〇%削減に至るのでしょうか。無責任な解決先送りそのものではありませんか。八割削減への具体的な道筋を示す責任が安倍総理にはあります。答弁を求めます。

 民主党政権時に、固定価格買い取り制度と地球温暖化対策税をスタートさせました。いずれも、市場メカニズムを活用しながら温室効果ガスを削減するものです。

 制度に問題がないわけではありません。しかし、これをよりよく有効活用せずして、二〇五〇年八割削減はあり得ません。安倍総理にその意思はあるのでしょうか。答弁を求めます。

 昨年末、慰安婦問題について合意に至ったことを私は率直に評価します。

 ただ、日韓両外相共同記者発表には、安倍内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒やしがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明するとありますが、安倍総理は一度も御自身では語っていません。

 ぜひ、安倍総理みずからの言葉として、この場で日韓両国民に対しはっきりと述べることを求めます。

 衆議院に設置された選挙制度改革に関する有識者調査会が答申原案を取りまとめました。定数の削減が不十分であることは極めて残念ですが、民主党の提案と大枠では一致するものであり、評価します。

 答申原案にはさまざまな異論もあるでしょう。しかし、これ以上この問題を先送りすることは絶対に許されません。我々は今、昨年十一月に最高裁が違憲状態と判断した議席配分のもとで国会審議を行っていることを忘れてはなりません。

 少なくとも、一票の格差是正については、調査会答申受け入れで自民党内をまとめる責任が、自民党総裁である安倍総理にはあります。私も党内をまとめます。先送りすることなく、安倍総理の断固たる決意をこの場で示してください。明確な答弁を求めます。

 安倍総理は、これからも経済最優先だと明言してきました。経済成長のために一億人総活躍社会なのでしょうか。GDP六百兆円達成のための担い手不足解消の手段として、希望出生率一・八、介護離職ゼロを掲げているようにしか、私には見えません。

 経済成長は、一人一人の幸福実現のための手段であって、目的ではありません。仕事と子育てを両立させることも、充実した介護も、一人一人の幸せのために必要だからこそ、政治は責任を果たさなければならないのです。国が号令をかける一億総活躍ではなく、一人一人が尊重され大切にされる社会こそ、政治が実現しなければならないと私は確信しています。一人を見捨てる政治が、一億人を幸せにできるはずはないのです。

 国民の皆さん、日本は乗り越えなければならない多くの課題に直面しています。いずれも日本の将来や私たちの生活に直結する問題です。しかし、安倍総理は、これらの重要課題について国民に正直に説明することなく、本当の解決を先送りし、ただただばらまきの政治を行ってきたとしか見えません。その最大の被害者が若者です。今般の補正予算はその典型です。

 百五十日間の通常国会がスタートしました。ことしは十八歳選挙権元年になります。日本の将来、そして国民一人一人にとって本当に大切な国会です。私そして民主党は、統一会派を組む維新の党とともに、徹底的に論議し、対峙し、安倍政権の暴走をとめることを国民の皆さんにお約束します。そして、若者にとって、一人一人の国民にとって、希望の見える国会とすることを誓って、私の代表質問といたします。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 岡田克也議員の質問にお答えいたします。

 北朝鮮は、先ほど、核実験を実施したことを発表しました。政府においては、直ちに緊急参集チームを招集し、国家安全保障会議四大臣会合を開催しました。

 今回の核実験の実施は、我が国の安全に対する重大な脅威であり、断じて容認できません。強く非難します。これまでの安保理決議への明確な違反であり、国際的な不拡散体制への重大な挑戦です。

 我が国としては、非常任理事国として、国連安保理での対応を含め、米国、韓国、中国、ロシアと連携し、国際社会と連携し、北朝鮮に対し断固たる対応をとってまいります。

 国会の召集についてお尋ねがありました。

 昨年の臨時国会召集の要求に対しては、政府としてこれに適切に対応するため、現下の諸課題を整理し、補正予算、来年度予算の編成などを行った上で、新年早々、本通常国会の召集を図ったものであり、迅速かつ適切に対応していると考えております。

 国会閉会中でも、衆参両院の予算委員会に私も出席をし、岡田代表とも論戦を闘わせていただきましたが、衆参合わせて六十時間を超える閉会中審査において、TPP、COP21など当面する政治課題につき、政府としても説明責任を果たしてまいりました。

 岡田代表がおっしゃるように、国民の声に耳を傾けるべきは当然のことであります。しかし、そのためには、まず私たち国会議員が国民に対して自分たちの政策をしっかりと示さなければなりません。政治の責任を国民に丸投げするようなことはあってはなりません。それぞれの政党が政策の選択肢を国民に提示すべきであります。

 ただ反対と声をそろえるだけなら簡単です。しかし、それぞれの政党が、経済政策でも外交・安全保障政策でも、日本を取り巻く現実を直視し、その解決のための政策を国民に提案することから逃げて、逃げて、逃げ回っているようでは、国民の負託に応えることはできません。

 ぜひ、この通常国会において、それぞれの具体的な政策を国民の前で明らかにしながら、正々堂々の議論を行っていただきたいと思います。

 平和安全法制に関する御質問がございました。

 いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを守り抜く、これは政府の、そして我々政治家の最も重い責任であります。このことに与党も野党もありません。

 さきの通常国会では、戦後最長となる延長を行い、二百時間を超える充実した審議の結果、野党三党の皆さんの賛成も得て、より幅広い合意のもとで平和安全法制が成立したことは、大きな意義があったものと考えています。これにより、私たちの子や孫の世代に平和な日本を引き渡していく基盤を築くことができたと確信しています。

 法案成立後も、私自身そして関係閣僚もさまざまな機会を捉えて国民の皆様への説明に努めています。また、首相官邸ホームページを通じて、その必要性や趣旨、目的、具体的内容について説明を行っています。引き続き、国民の皆様のさらなる御理解をいただけるよう、丁寧な説明に努めてまいります。

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、今後とも、現実を直視し、みずからの政策、立場を明確にした上で建設的な議論を行っていきたいと思います。

 補正予算についてお尋ねがありました。

 今般の補正予算は、一億総活躍社会の実現やTPP関連政策大綱の実現などのため、必要性、緊急性の高い施策を実施するものであり、ばらまきとは考えておりません。

 また、補正予算においては、財政健全化目標を堅持し、民主党政権下では残念ながら行われることのなかった国債発行額の減額を我々は二年連続で実施しております。

 今後とも、経済・財政再生計画を踏まえ、経済再生を進めながら、財政健全化にしっかりと取り組んでまいります。

 年金生活者等への臨時給付金の意義についてのお尋ねがありました。

 GDP六百兆円の実現に向け、ことし前半にかけての個人消費の下支えを行い、経済の下振れリスクにも対応することが必要です。

 現役世代には賃金引き上げの恩恵が及びやすい一方、こうした恩恵が及びにくいのは高齢者です。こうしたことを踏まえ、アベノミクスの果実を活用し、低所得の高齢者に対し一人三万円の臨時的な給付金の支給を行うことといたしました。

 一年余り前、私は、消費税の引き上げの延期を決断しました。延期をした以上、給付と負担のバランスの観点から、消費税の引き上げを前提とした施策を全て行うことはできません。そこで、年金生活者支援給付金については先送りする苦渋の決断をいたしました。

 しかし、子育て世代を含む現役世代への支援は、消費税引き上げの延期にかかわらず、しっかりとやってきました。待機児童解消加速化プランは着実に進めるとともに、昨年四月から子ども・子育て支援新制度を開始しました。若者を含む現役世代については、賃金引き上げや最低賃金の引き上げを推進していきます。また、希望出生率一・八に向けた施策は、まさに現役世代への支援策であります。

 先送りの決断をした年金生活者支援給付金については、どうか思い出していただきたい、一昨年の総選挙のとき、私はこう申し上げました。経済を成長させていけば税収は上振れしていく、その果実はしっかりと社会保障の分野に投入していきたいと申し上げました。

 そのお約束のとおり、税収増というアベノミクスの果実が生まれた今、その果実を活用し、臨時的な給付金の支給を行うこととしたものであります。これは、社会保障・税一体改革の一環として平成二十九年四月から始まる年金生活者支援給付金の前倒し的な位置づけにもなります。

 その同じ総選挙の際、十二月一日に行われた党首討論会において、当時の海江田代表は、先送りした年金生活者支援給付金について何と言われたか、皆さん、覚えていますか。当時、海江田代表はこう言ったんです。この給付金のような政策は財源を見つけて行っていくべき、そういう趣旨の発言をされたのであります。

 今回の給付金は、ことし前半にかけての個人消費の下支えの観点や、実務上の対応可能性を踏まえ、年金生活者支援給付金の対象よりも幅広い方に対し、一回限りの措置として支給するものであります。ばらまきとの指摘は全く当たりませんし、ましてや選挙対策という批判は全く的外れであります。海江田代表の発言を踏まえれば、まさに皆さんは、天に唾どころか、天に対してブーメランを投げているようなものであります。

 なお、子育て世帯臨時特例給付金は、もともと一回限りの臨時的な措置として実施されたものであります。

 また、平成二十七年度補正予算や平成二十八年度予算において、保育サービスの充実や低所得の一人親家庭、多子世帯に対する支援など、公費ベースで〇・七兆円の子育て支援の拡充を行ってまいります。これにより、希望出生率一・八の実現に向け、結婚、妊娠、出産、子育てに関する希望がかなう社会づくりを進めてまいります。

 保育、介護人材の確保策と処遇改善についてのお尋ねがありました。

 一億総活躍社会の実現のため、希望出生率一・八や介護離職ゼロの実現は重要であります。このため、保育サービスの整備量や介護施設等の整備量をそれぞれ約五十万人分に上積みすることとしています。必要な人材の確保については、就業促進や離職の防止などに総合的に取り組んでいくこととしています。

 具体的には、今回の補正予算及び来年度予算では、保育の人材確保策として、保育士を目指す学生に返済を免除する奨学金制度の拡充、一旦仕事を離れた人が再び仕事につく場合の再就職準備金の創設、保育士の勤務環境改善に取り組む事業者に対して保育補助者の雇用を支援する仕組みの創設など、必要な措置を盛り込んでいます。

 また、介護の人材確保策として、介護福祉士を目指す学生に返済を免除する奨学金制度の拡充、一旦仕事を離れた人が再び仕事につく場合の再就職準備金の創設、介護ロボットの活用促進や、ICTを活用した生産性向上の推進などに取り組むこととしています。

 現在、保育や介護の現場で働いている方々の処遇改善については、保育人材の処遇については、平成二十七年度の当初予算において、消費税財源を活用した三%相当の処遇改善を行い、介護人材の処遇については、平成二十七年度介護報酬改定において、一人当たり月額一万二千円相当の処遇改善加算の拡充を図ったところであります。

 このような取り組みを行うことにより、保育や介護の人材の確保と処遇の向上にしっかりと取り組んでまいります。

 TPP協定の国会審議についてお尋ねがありました。

 大筋合意後、多くの中小企業から、TPPを活用した海外展開の準備を直ちに始めたい、支援してほしいとの声が寄せられています。農林水産業の現場からも、体質強化策を早期に示してほしいとの声が上がっています。

 こうした声に早期に応えるため、昨年十一月に総合的なTPP関連政策大綱を取りまとめ、緊急に実施すべき対策について補正予算に計上したところです。

 なお、これまでにも、国際約束の国会審議に先立って、関連予算を計上し、国会で御審議いただいた例はあります。

 TPPは、署名後速やかに国会に提出し、十分御審議をいただきたいと考えています。

 自民党の公約との関係についてお尋ねがありました。

 TPP交渉に臨んで、私は、攻めるべきは攻め、守るべきは守る、繰り返しこのように述べてきました。中でも農産物については、聖域なき関税撤廃は認めることができない、これが交渉参加の大前提でした。

 交渉の結果、米などの重要品目については、関税撤廃の例外をしっかり確保しました。さらに、牛肉などの輸入が万一急にふえた場合には、緊急的に輸入を制限することができる新しいセーフガード措置を設けることも認められました。

 日本が交渉を積極的にリードすることで、厳しい交渉の中で国益にかなう最善の結果を得ることができた。その結果、自由民主党がTPP交渉参加に先立って掲げた国民の皆様とのお約束はしっかりと守ることができたと考えております。

 社会保障と税の一体改革における総合合算制度と社会保障の充実についてお尋ねがありました。

 三党合意を経て成立した税制抜本改革法において、消費税率引き上げに伴う低所得者への配慮の観点から、総合合算制度は、給付つき税額控除、複数税率と並ぶ検討課題の一つとして掲げられています。

 こうした中で、日々の生活において幅広い消費者が消費、利活用しているものの消費税の負担を直接軽減することにより、買い物の都度、痛税感の緩和を実感できることが特に重要であるとの判断により、軽減税率制度の導入が決定されました。

 これに伴い、他の二つの施策は、消費税率引き上げに伴う低所得者対策としては実施することはなく、総合合算制度の見送りにより生じる財源は、軽減税率制度の導入に当たっての財源となるものと考えています。

 今後、軽減税率制度の導入に当たっては、政府税制改正大綱を踏まえて検討を行い、安定的な恒久財源を確保することにより、社会保障と税の一体改革における二・八兆円程度の社会保障の充実に必要な財源は確保する考えであり、御指摘は当たらないと考えております。

 消費税の軽減税率制度の導入に当たっての財源確保についてお尋ねがありました。

 与党及び政府の税制改正大綱において、消費税の軽減税率制度の導入に必要な財源については、財政健全化目標を堅持するとともに、社会保障と税の一体改革の原点に立って安定的な恒久財源を確保するとの観点から、平成二十八年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずることとされていることを踏まえ、今後、政府・与党でしっかりと検討を進めてまいります。

 なお、軽減税率制度の導入に当たって、安定的な恒久財源を確保することにより、社会保障と税の一体改革における社会保障の充実のための財源は確保してまいります。

 日印の原子力の平和利用に関する協定についてのお尋ねがありました。

 日本は唯一の戦争被爆国であり、核兵器廃絶に向けた国際社会の取り組みを主導してきています。インドとの協定交渉においても、これを十分に考慮し、米仏がインドと締結した協定以上の内容を目指して交渉してまいりました。

 仮にインドが核実験を行った場合には、日本からの協力を停止します。稼働中または建設中の原子力発電所にかかわる協力の扱いについても、このような我が国の立場を踏まえて交渉してきています。

 この協定の具体的な文言については引き続き調整中でありますが、かかる我が国の立場はインド側も了解しており、今般の原則合意もこれを踏まえたものであります。

 この協定は、原子力の平和利用についてインドが責任ある行動をとることを確保するものであり、このことは、インドを国際的な不拡散体制に実質的に参加させることにつながります。これは、核兵器のない世界を目指し、不拡散を推進する日本の立場に合致するものであります。

 温室効果ガスの削減目標についてお尋ねがありました。

 温室効果ガスの排出水準は、技術水準や社会経済構造に大きく左右されるものであり、中長期的な削減にはさまざまな道筋があり得ます。

 昨年決定した我が国の二〇三〇年度の削減目標は、無責任な先送りなどではなく、欧米からも高い評価を得ています。まずこれを達成し、二〇五〇年目標を達成することは十分可能だと考えます。

 なお、具体的な対策や技術の裏づけなく、いたずらに野心の高い目標を国際的に公約した民主党政権こそ、無責任だったのではないでしょうか。

 固定価格買い取り制度と地球温暖化対策税の活用についてお尋ねがありました。

 温室効果ガス排出の抜本的削減と経済成長を両立させる鍵は、イノベーションです。日本がすぐれた技術を開発し、内外で活用し、世界の気候変動対策に貢献していく、安倍政権の一貫したこの方針は、ゼロサム的発想で膠着しがちな交渉の力学を変え、パリ合意を導く大きな推進力となりました。

 固定価格買い取り制度については、国民負担を抑制する観点から、制度を見直しつつ、再生可能エネルギーの導入を最大限進めるため、着実に運用していきます。

 地球温暖化対策税については、着実に実施し、その税収により、省エネルギーや再生可能エネルギーの導入を進めます。

 慰安婦問題についてお尋ねがありました。

 慰安婦問題に関する私の立場は、昨年末の日韓外相会談の終了後に行われた共同記者発表において岸田外務大臣から明確に表明したとおりです。さらに、その後に行った日韓首脳電話会談において、私から朴槿恵大統領に直接この立場を伝え、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認いたしました。

 八月の総理談話で申し上げてきたとおり、我々は、従来、歴代の内閣が表明してきたとおり、反省とおわびの気持ちを表明してきました。その思いに今後も揺るぎはありません。

 私は、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たちに、謝罪し続ける宿命を背負わせるわけにはいかないと考えております。今回の合意は、その決意を実行に移すために決断したものであります。

 慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決される今回の合意を踏まえ、日韓両国で力を合わせて日韓新時代を切り開いていきたいと考えております。

 衆議院の選挙制度改革についてお尋ねがありました。

 一票の格差是正を含む衆議院の選挙制度のあり方については、衆議院議長のもとに設置された第三者機関、衆議院選挙制度に関する調査会で議論が行われてきたところであり、今月その答申が出される予定と承知しています。各党各会派において、答申の内容をしっかり受けとめ、十分な議論を行い、早期に結論を得ることによって、国民の負託にしっかりと応えていくべきであると考えております。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

○議長(大島理森君) 議員諸君にお願いを申し上げます。

 この本会議中、各議員に発言者の声が聞こえないようなことがあってはいけません。節度を持った対応を望みます。

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

○国務大臣(麻生太郎君) 保育、介護の施設整備のための予算についてのお尋ねがあっております。

 保育につきましては、女性の就業率上昇などを背景とする申込者数の大幅増により、待機児童数は前年より増加をいたしております。このため、受け皿整備は緊急の課題であり、昨年十一月に一億総活躍国民会議が取りまとめられた緊急対策の中でも、平成二十九年度末までの整備目標を四十万人から五十万人とするとされたところであります。

 また、介護につきましても、年間十万人を超える離職者と自宅待機をせざるを得ない特養入所希望者をともに解消することが緊急の課題となっております。このため、同じく緊急対策におきまして、二〇二〇年代初頭までに介護の受け皿の整備量を十二万人分前倒し、上乗せすることとされたところであります。

 この介護施設の整備につきましては、運営主体の選定や用地確保などに相応の期間を要します。したがいまして、地域の実情も踏まえつつ、相当の期間にわたり計画的に進める必要があります。今般の上乗せ分を期限に間に合わせるには、目標年度までの予算の全体像を事業の実施主体であります自治体に明確にすることが必要であります。

 今般の補正予算では、以上のような保育、介護の緊急課題に対応して、全国の自治体が迅速かつ計画的に必要な政策を実施できるよう対応をとったものであります。(拍手)




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