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2014.06.24|国会会議録

平成26年5月28日 第186回国会 衆議院予算委員会「集団的自衛権」

○岡田委員 民主党の岡田克也です。
 質疑に先立ちまして、まず私自身のスタンスを御説明しておきたいと思いますが、私自身、集団的自衛権を広く認めることは、そういう問題であれば、憲法を改正すべきだというふうに考えております。
 ただ、全ての集団的自衛権を認めないのか、非常に限定された、非常に限定に限定を加えたような事例で認め得るのかということは、これはまだ決めておりません。今後のさまざまな議論の中で、本当に必要性があるのかどうかということについて判断していきたいというふうに考えております。そういう前提でお聞きしたいと思います。
 総理は、先般、記者会見を開かれまして、五月十五日ですけれども、二つの具体的事例を挙げて、いろいろ説明されました。きょうは、私は、安保法制懇の議論はいたしません。専ら、この総理の記者会見での発言についていろいろと議論したいというふうに考えております。
 まず、先ほど来いろいろ議論になっておりますが、事例を二つ挙げられたわけであります。
 その事例一の、先ほども取り上げられた、日本近海で有事が発生した、こういう場合に、日本人が乗っている米国の船を日本の自衛隊は守ることができない、それでいいのかというふうに総理は言われたわけであります。
 そこで、端的に聞きたいと思いますけれども、日本人を乗せた米国艦船以外の、もちろん日本でもない、第三国の艦船については、日本は守らなくていいんでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 この事例として挙げた、先般、私の記者会見で挙げた事例ですね。近国でいわば紛争が起こり、そして、その紛争から逃れようとする邦人を、米国の艦船という表現を使ったわけでございます。
 しかし、これは、例えば米国が用船を行って、船籍が他国ということも当然あり得るわけであろう、こう思うわけでございますが、その際、日本に対する攻撃が起こっていないときに攻撃をされたときに、現在においてはこれは守ることができないということは、先ほど法制局長官が答弁したとおりでございまして、現在は、まさにそれはできないわけであります。
 そこで、今、岡田委員は、それをさらに広げて、それが他国の船だったらという御質問でございますが、これは状況等によるわけでございまして、まさにこれは、安保法制懇により出された報告書において我が国の安全に大きな影響がある場合かどうか、それは個々のケースにおいて判断すべきことであろう、こう思うわけでありますが、大切なことは、少なくとも、最初申し上げましたような事態において、邦人が乗船をしている船について、近国から、米国の艦船、米国の船に邦人が乗っている場合、その船に対する攻撃から守ることができないというのは、事実として存在するわけであります。
 その事例について検討するのは当然のことであろう、こう思うわけでありますが、それ以外のさまざまなケース、これは事態においてはさまざまなケースが当然あり得ますから、まさにそうしたことも踏まえて、与党において御協議をいただきたい、このように考えているところでございます。

○岡田委員 よく説明がわからないわけでありますが、これは、より具体的に言うと、例えば朝鮮半島有事、国境線を越えて南北の戦闘が始まった、そういう場合に、韓国には少なくとも三万人程度は日本人がいる。ビジネスマンとその家族であったり、あるいは旅行者であったり、その三万人の日本人を無事に日本に運ぶ責任が日本国政府にはある。これは当然だと思うんですね。
 活用できるものは全て活用しなければならない。したがって、民間の航空機や船舶も使って輸送するということになります。そのときに、日本でもない、アメリカでもない、第三国の船舶や航空機というのも、当然、活用できるものはしていかなければいけない。
 今の総理の御説明だと、それが米国の艦船なら自衛隊は集団的自衛権の発動で守るけれども、ほかの艦船は守れないと。それで本当に日本人を守ったことになるんですか、総理。

○安倍内閣総理大臣 私の説明をよく聞いていただきたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、そうしたときに、用船して外国の船を雇うこともあるではないですかということを申し上げましたよね。それはつまり、米国船籍ではありません。つまり、さまざまな事態に対応しなければならないということであります。
 ですから、まずは、岡田委員は立場が決まっていないということをおっしゃったわけですね。立場が決まっていないということは、こういうときに守らなくていいか悪いかというのは決めていないということだろうと思いますが、私はそうではないわけでありまして、こうした際に……(発言する者あり)済みません、ちょっとやじるのは、辻元さん、やめていただけますか。大事な……(発言する者あり)

○二階委員長 お静かに願います。

○安倍内閣総理大臣 済みません、少し静かにしていただけますか。大切な議論を、今、岡田さんと行っているわけであります。
 先般、岡田委員に答弁させていただきましたときに、あのとき私は制限的に認められるということも検討しなければいけないかという答弁をしたわけでございますが、それをもとに今現在検討しているところでございます。
 そこで、今申し上げましたように、例として私はあの例を挙げました。同盟国である米国が、近隣の国でそうした事態が起こったときに、いわば、同盟国であるということもあり、当然、邦人の輸送には協力をしてくれるということになるわけであります。
 そこで、議論としては、例えば、そこから発展していく中におきまして、先ほど御説明したように、用船計画をしてほかの船ということも当然あり得るわけでございます。そうしたことも踏まえて、安保法制懇で検討をしていこうということであります。
 いずれにせよ、私たちは、日本人の命を守り、平和な暮らしを守っていくという大きな責任の中において、こうした事態に対応していく責任がある、このように考えているところでございます。

○岡田委員 議論がかみ合っていないんですが、私はアメリカが用船した船のことを言っているんじゃないんです。そのときに韓国にいたさまざまな国の船がある、その船を活用して日本人を輸送する、そういう場合は当然考えられるわけですね。そういうときの乗っている日本人は対応しないで、米国の艦船に乗っている場合だけ集団的自衛権で対処するというのは、私は、集団的自衛権という概念を使うから、そういうおかしな結果になってくると思うんですね。
 例えば、今の自衛隊に海上警備行動というのがありますね。その海上警備行動というのは、もちろんこれは防衛出動の前の段階でありますけれども、それに類似の概念で、そういう場合に日本人が乗っている船舶を国籍のいかんにかかわらず守れるような仕組みというものをつくるべきじゃないかというふうに私は言っているわけです。
 総理は、集団的自衛権の具体的事例をつくるのに、余りにもそこに熱心で、本当に日本人を守らなきゃいけないかどうかという視点が私は欠落しているんじゃないかと言っているわけです。いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 申しわけないんですけれども、全く岡田委員は先ほどの私の答弁を理解しておられないと思いますね。まず正確に、私が申し上げたことを聞いてくださいよ、最初から決めつけないで。
 わかりやすい例として同盟国である米国の例を挙げましたね、こういうふうに申し上げました。そして、そこで米軍が用船する場合もありますね、他国の船です。しかし、それも含めてさまざまなケースがあるから、それを検討していただくというふうに申し上げたわけでありまして、私は一言も、米国の船以外はだめだと言ったことはございません。
 そして、そもそも、米国いかんにかかわらず、先ほどの私と中谷さんのやりとりを聞いていただければ明らかなように、他国の船であれば、我が国に事態が発生していなければ、米国であろうとどこであろうと、それは個別的自衛権の範囲には入らないから、いわば自衛権は行使できないというのが法制局の見解であります。
 米国のみが集団的自衛権の対象になるわけではありません。これは当たり前のことでありますが、米国以外の船であれば個別的自衛権になるなんというのはとてもおかしな議論になるわけでありまして、米国の船であろうとほかの国の船であろうと、もちろん客船であろうとそうです。客船であろうとそうですよ。商船であろうとそうです。これは、私は一回も軍艦という言葉は使ってはおりません。米国の船というふうに記者会見のときから申し上げているわけでありますから、そこのところを正確にまず御理解をいただいた上で反論していただきたいと思うわけであります。
 結論から言えば、まさに岡田委員が言われたように、どこの国の船であれ、いわば避難をしてくる邦人について、私たちはその命を守る責任を負っているわけでありまして、それは当然のことであります。その中において、果たして何をなすべきかということを検討すべきだということを申し上げているわけでありまして、これはもう再々いろいろな場で私が申し上げていることの繰り返しにすぎないわけでありますが、改めてそのように申し上げて念を押させていただきたい、このように思います。

○岡田委員 全くわからないわけですね。
 つまり、さっきの第三国の船について、米国の船あるいは米国が用船した船なら、米国に攻撃があった場合、日本は集団的自衛権の行使ということで、それは武力行使できますよ。だけれども、第三国の、相手の侵略国が全く武力行使していない、そういう国の船に対して、どうして日本は集団的自衛権の行使ができるんですか。答えてください。

○安倍内閣総理大臣 これは先ほども申し上げましたように、例えば機雷の例においてもそうですね。機雷の例において、ホルムズ海峡において機雷を敷設するというのは、これは武力の行使であり、機雷を排除するのも、これは武力の行使に当たるわけであります。
 そして、例えば、日本が用船している船も含めまして、日本に入ってくる石油等においても九五%は外国船籍になるわけであります。外国船籍の船を守るための行為、あるいはまた、そのための機雷の排除につきましても、これは武力行使に当たる。これは自国のための武力行使ではない、個別的自衛権ではないわけでありまして、それと全く同じであります。今まさに私が申し上げていることはそのことでありまして、なぜそのことが御理解いただけないのか、私は全く理解できないわけでございます。
 つまり、再三申し上げておりますように、外国の船であっても、その船に対する……(発言する者あり)

○二階委員長 答弁中は静かにしてください。

○安倍内閣総理大臣 攻撃は、まさにこれは自国の、我が国に対する攻撃が発生していない以上、個別的自衛権の対象にはならないのは明白であります。それが明白な中において、この事態にどう対処すべきか法的基盤を構築していくべきではないかというのが私たちの問題意識であるということでございます。

○岡田委員 全くお答えいただいていないんですけれども。
 私が聞いているのは、要するに、アメリカは、朝鮮半島有事のときに、もう既に韓国と一緒に戦闘行動に入っている。そうであれば、アメリカの船舶に対して、あるいはアメリカが用船したものでもいいんですけれども、日本が集団的自衛権の行使ということで、それは行使できる。だけれども、全くの第三国であって、その国に対して、例えば北朝鮮との間に戦闘行動が起こっていない、つまり、そこに武力行使がないときに、どういう理由で集団的自衛権の行使になるのかというのが私には全く理解できないんですね。
 これ以上議論しても同じことの繰り返し、総理答弁でしょうから、私は、これは全くおかしな話を総理はおっしゃっていると思います。
 そして、私は、やはりこれは、防衛出動の手前の段階での行動として、そういったものをきちんと法律で位置づけてやれるようにすべきである、そういうふうに申し上げているわけです。余り早く防衛出動してしまうということは、日本も早く戦争に手を挙げるということになりますから、日本人を運んでいる段階でそういうふうに防衛出動も出してしまうということは、それはかえってリスクを高めることにもなるわけですから、そういうことも考えて、私は、防衛出動の手前の問題として、これに対応すべきじゃないかというふうに思います。
 いずれにしても、総理は、集団的自衛権ということを、具体的事例を正当化しようとして、非常におかしな議論になってしまっているということは申し上げておきたいと思います。
 さて、時間も大分、このことで余り手間取るつもりはなかったので、次に、平和主義……(安倍内閣総理大臣「いや、今もっとやった方がいい、わかっていないんだったら」と呼ぶ)わかっていないのは、私は総理だと思いますよ。
 ですから、あなたは失礼ですよ、そういう言い方はね。わかっていないからというのは、失礼ですよ。後で議事録を見れば、どっちがわかっていないかははっきりしますから、また、次の予算委員会でやりましょう。
 一国の総理大臣なんだから、もう少し懐深く議論された方がいいと思いますよ。発言も求められていないのに、自席でやじるように、わかっていないなどという言い方は、総理として絶対すべきでないということは申し上げておきたいと思います。
 さて、次に、平和主義との関係で、(パネルを示す)総理は、「日本国憲法が掲げる平和主義は、これからも守り抜いていきます。」こういうふうに言われました。
 私は、日本国憲法の平和主義というのは、やはり、過去に自衛の戦争という名目で侵略戦争を行ってしまったことの反省に基づいて、武力行使、とりわけ海外における武力行使については抑制的に考えるというのが日本国憲法の平和主義の根幹だというふうに思いますが、総理の考える、守り抜いていかなければいけない平和主義というのは一体何ですか。

○安倍内閣総理大臣 私は懐深く議論していますよ。そのためにも、決めつけはよくないんですよ。何がという決めつけはよくないということを申し上げております。私は一つの例としてわかりやすい例を挙げたわけでありまして、そして、それ以外の国々については、それは集団的自衛権であるかないかいかんを問わず、これは議論をすべきだということを、問題として、与党において議論しているわけでありますし、内閣法制局においても議論しているわけであります。
 つまり、邦人の安全な退避について何をなすべきか、それをてこに集団的自衛権をこじあけようということではなくて、その中に集団的自衛権の行使に当たる、今、米艦が対象になればそうなるということについては、岡田委員はそういう趣旨の発言をされたわけでありますが、つまり、それであれば、それは行わなくていいのかということは申し上げておきたいと思います。
 その上において申し上げさせていただければ、今の守るべきこの平和主義でありますが、これは、日本が七十年間、平和主義のもとに、平和の国として、いわば平和国家としての歩みを進めてきたわけでございまして、そこにおいて、我々は決してこの道から外れることはありませんし、今後も、これからもこの道を歩んでいくわけであります。
 つまり、平和国家としての歩みというのは、平和な地域、平和な世界をつくっていくために最大限の貢献をしていくということでありまして、武力を行使するという選択肢、あるいはそれをもって他国を威嚇する、あるいは実力をもって、またその実力を背景に現状変更をしようとする試みは一切行わない、こういうことでありますし、日本はそういう行動をとってきたと私は自負をしているところでございます。

○岡田委員 二番目の、「自衛隊が武力行使を目的として他国での戦闘に参加するようなことは、これからも決してありません。」これは、ある記者の質問に対してお答えになっているんですね。
 ここでちょっと気になる、「他国での」ということですが、そうすると、公海上での戦闘に参加するということはあるというふうに総理はお考えなんですか。あるいは、それもないというふうにお考えなんですか。

○安倍内閣総理大臣 いわば、先ほど申し上げましたように、武力行使を目的として戦闘に参加をすることはないということを申し上げたわけでございまして、そして、その上において、他国において武力行使を目的として戦闘に参加することはないということであります。
 いずれにせよ、武力攻撃を目的として戦闘に参加をすることはないということになるわけであります。

○岡田委員 集団的自衛権の定義、みずからは攻撃を受けていないにもかかわらず、みずからと密接な関係にある国が武力行使を受けたときに、それをともに実力をもって阻止する権利と。その実力をもって阻止するというのは、武力行使を含む概念ですよね。
 ですから、武力行使に参加しませんというのは、私は理解できないんです。集団的自衛権を認めるということは、それは武力行使も含めてやるということじゃないんですか。私は、この発言、非常に理解できない発言なんですが、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 私が申し上げたのは、集団安全保障において、いわば武力行使を目的として戦闘に参加するというこの考え方、つまり、これは、安保法制懇における、芦田修正論の上にこの論理が可能であるということでありますが、それはとらないということでありまして、あの記者会見のときにも申し上げましたように、イラク戦争あるいは湾岸戦争のような、ああした形、ああしたものに、我々が武力行使を目的として戦闘に参加することはないということを申し上げたところでございます。

○岡田委員 総理の記者会見を見ますと、最初に言われたときは、確かに、そういう集団安全保障のくだりの中でおっしゃっているんですよ。だけれども、東京新聞の記者の質問は、別に集団安全保障について聞いているんじゃないんですよ。そのときに、総理はこういうふうに、「自衛隊が武力行使を目的として他国での戦闘に参加するようなことは、これからも決してありません。」とお答えになっているんですね。
 今の総理のお答えは、集団安全保障の中では武力行使はしませんけれども、それ以外の、つまり、集団的自衛権のときには武力行使はあるというふうに私はお聞きしたんですが、そういうことですね。

○安倍内閣総理大臣 あくまでも検討をこれから与党でしていくということは前提として御理解いただいているんだろうと思いますが、先ほど例として挙げたように、これは岡田委員が挙げられた例ですね、日本の近海において、他国の紛争を逃れてくる邦人を輸送している米国の船に対して攻撃があったときは、これは、公海上において、その邦人を守る上において、自衛隊が武器の行使をするということは当然あり得るかどうかということについても検討をしていただくということになると思います。

○岡田委員 そうすると、この記者の質問に対する答えとしては、これは適切ではなかったと。その前に総理が述べられているのは確かに集団安全保障のくだりで述べられているんですが、集団的自衛権について武力行使をすることは決してありませんというのは、それは集団的自衛権に関しては当たらないということをもう一回確認しておきますが、よろしいですね。

○安倍内閣総理大臣 つまり、記者の想定は、まさにイラク戦争とかあるいは湾岸戦争とか、そういう戦いにおいて、事実上それを想起した中において、イメージする中においての質問でありますから、そうしたものについては行わないということを明確にお答えをしたとおりでございまして、一方、いわば自衛権の中においては、我が国あるいは我が国に密接にかかわることについては、まさに、当然これは検討するということを既に申し上げているわけでありますから、それについては検討していくということになるわけでございます。

○岡田委員 記者はそんなこと全然聞いていなくて、集団的安全保障のことではなくて、集団的自衛権について聞いているんです。だから、そこで総理が先ほど言ったようにお答えになっているから、それは違いますねと。
 まあ、違いますということを基本的にはお認めになったというふうに理解をしたいと思いますが、私は、国民にとって非常にわかりにくいというか、ああ、集団的自衛権でも武力行使はないんだというふうに思ってしまったとしたら、それは違うということをはっきり申し上げておかなければいけないと思います。
 そこで、抑止力との関係について申し上げたいと思います。
 私は、集団的自衛権の行使というのは三つぐらいのパターンがあるんじゃないかというふうに思っているんです。
 一つは、ある国がアメリカに対して攻撃をして、それに対して日本が集団的自衛権を行使するということが考えられます。
 二番目は、アメリカは関係なくて、ある国がアメリカ以外の第三国に攻撃を加えて、その国が自衛権を行使する、そのときに日本が集団的自衛権を行使するということが考えられるわけですね。
 三番目は、それがミックスしたようなケースで、ある国が攻撃を受けたときにアメリカが集団的自衛権を行使する。それに対して、当然、反撃がありますから、日本はそのことをもって集団的自衛権を行使する。
 概念的にはこういう三つに分けられると思うんですが、まず、このケース二についてお聞きしたいんです。(パネルを示す)
 こういう場合は、例えばどこの国を想定されていますか。このY国ですね、アメリカ以外の国。そういうアメリカ以外の国に対する集団的自衛権の行使というのはあり得るというふうに総理はお考えなんですか。

○安倍内閣総理大臣 今、特定の国を私が挙げることは控えさせていただきたいと思うわけでありますが、まさに今委員が挙げられたような、幾つかのケースを挙げておられますが、それはまさに、これから与党において協議を進めていくわけでございます。その中におきまして、例えば、集団的自衛権の行使について可能かどうか、そして、それは、もし可能という判断がなされたとしても、必要最小限の中に入るものでなければならないというのが我々の基本的な考え方でございます。
 いずれにせよ、今まさに、自民党、公明党、与党において、この報告書の中身が議論されているということでございます。それを受けて、我々は、法制局を中心に検討を進めていきたいと考えております。

○岡田委員 総理は、集団的自衛権の行使を認めなければいけない理由として、そのこととして、抑止力が高まるということを言っておられるわけですね。
 そこで私はお聞きしているんですけれども、このケース二のような場合で、つまり、アメリカは関係ないような、そういう集団的自衛権のケースで、日本が攻撃される、そのことに対する抑止力が高まるというのは、どういう脈絡でそういうふうになるんですか。私はわからないんですね、説明が。
 抑止力が高まるとは、日米関係でならわかりますよ。日本が集団的自衛権を行使することによって、日米同盟がより強固なものになって抑止力が高まる、そういう議論というのは論理的にはあるかもしれません。しかし、アメリカが関係ないケースで、日本に対する、日本の抑止力が高まるというのは、具体的にどういうことを考えておられるのか、私はさっぱりわからないので、ぜひ御説明ください。

○安倍内閣総理大臣 それは、私は、割と近視眼的な考え方だろうと思います。
 もちろん、日米同盟というのは我が国の外交・安全保障政策の根幹であり、六〇年の安保改定があって、まさにその抑止力によって今日の日本、あるいは地域の平和と安定が守られているんだろう、このように思うわけであります。
 そこで、特定の国を挙げていくことは控えさせていただきたいと思いますが、例えば、いわば2プラス2のような形、これは外務大臣と防衛大臣が協議をしながら、両国、その相手国との関係、安全保障上の協力を高めていくということを今行っております。同時に、日本の海上自衛隊と米国以外の海軍との共同演習を進めている。なぜ共同演習を進めているかということは、これは、ある意味における抑止力効果もあるわけでございます。
 そういうものも進めながら、今、我が国の平和と安定を確保しているということでありまして、それは、相当の国々との関係において行っているわけでありまして、私は、それは成果を上げている、こう思うところでございますが、その具体的な議論につきましては、これはまさに、これから自民党と公明党、与党において協議を進めていく、そして、進めていきながら、我々も法制局を中心に検討していく、そして、結論を得た上において、さらに法制局を中心に取りまとめを行っていきたい、こう考えているところでございます。

○岡田委員 問題は、集団的自衛権行使という武力行使を伴う話ですから、単に関係が深まっているとか、そういうことじゃないわけですね。
 ですから、私は、アメリカ以外で集団的自衛権を行使して、日本に対する、日本の安全が高まる、抑止力がつくということがよくわからないし、逆に言うと、そういう論理をきちんと、もしビルトインするとすると、非常に集団的自衛権の行使が際限なく広がってしまう可能性もある。自国と密接な関係にある国ということで、基準が結局はっきりしない中で、あらゆる場合に日本としては集団的自衛権の行使ということが可能になってしまう、そういう危険性を秘めているということは申し上げたいと思います。
 それでは次に、アメリカとの集団的自衛権の行使ですけれども、集団的自衛権の行使というものについて、戦後、国連憲章ができた後、さまざまなケースがあるわけですけれども、その中で指摘されているのは、集団的自衛権の行使の濫用という問題ですね。
 総理も、ソ連のハンガリーやチェコスロバキアへの武力行使というのは正当なる集団的自衛権の行使だというふうには思われないというふうに思うんですけれども、例えば、アメリカでも、ニカラグアに対する武力行使について、国際司法裁判所は、これは正当な集団的自衛権の行使とは言えないというふうに判断しているわけですね。
 つまり、日本が集団的自衛権の行使をするとすると、その前段階でのアメリカの武力行使が、正当なる自衛権の行使あるいは正当なる集団的自衛権の行使であるということが大前提になるわけです。その判断は間違いなくできるという自信がおありですか、総理は。

○安倍内閣総理大臣 この集団的自衛権については、権利であって義務ではないわけでありますから、自動的に集団的自衛権を行使することにはならないわけでありますし、また、当然、この集団的自衛権の行使がもし可能になったとしても、それを裏づける法律が必要であります。その中における国会の関与も当然あるんだろう、このような議論も行われるんだろう、こう思うわけであります。
 そうした法整備が整った上で、政策的な判断をする上において、まさに、これは我が国の生存と安全に密接にかかわりがあるかどうかという重大な判断をするわけであります。
 そして、それはどんどん際限なく広がっていくという考え方は、私は、それは違うと思いますね。まず法律によってしっかりと、当然ある種の歯どめがかかっていくわけでありますし、その上において、政策的選択肢として、民主主義国家である日本において、そこでどんどんこの行使を行っていくということはおおよそ考えられないんだろう、私はこう思うわけでありまして、当時のソビエト連邦と日本を同一視するのは全く間違っているんだろう、こう思うわけでございます。
 当然、その中で慎重の上にも慎重な判断を行っていくということになるんだろうと思いますが、いずれにいたしましても、今まさに与党において議論をしているところでございまして、しっかりとこの議論が煮詰まり、結論を得ることを期待したい、このように思います。

○岡田委員 総理は私の聞いたことには答えられていないんですが、私が今聞いたのは、日本の集団的自衛権行使の前提となる米国の武力行使あるいは集団的自衛権の行使、これが正当なるものであるということが大前提ですねと。しかし、その判断はきちんと日本はできるんでしょうかということを申し上げているわけですね。
 例えば、あのイラク戦争のときに、アメリカの説明をうのみにして、そこに大量破壊兵器があるということで、このときはもちろん武力行使ではありませんが、日本は自衛隊をイラクに出したわけですね。後から考えれば、結局、ほとんど検証らしい検証をせずに同調していたということが私は明らかになったと思うんですね。
 そういうことが今までなされているだけに、本当に、その前提となるアメリカの行為、武力行使、集団的自衛権の行使、そういうものが国際法上正当なものであるということをみずから確認できるのか、あるいは確認したとして、だから日本はできませんということがはっきり言えるのかどうかですよ。いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 まず、前提として、例えば、イラク戦争においては、これは集団的自衛権の行使ではなくて、安保理決議に基づく、いわば集団安全保障の一環として、多国籍軍という形で行われたものであります。日本が自衛隊を出したのは、戦闘が終わった後の、いわばイラクという国の再構築のためにサマワに自衛隊を派遣したわけでございまして、戦闘行動に参加をしたわけではありませんし、そして、そもそも、先ほど私が申し上げましたように、安保法制懇で出された二つの案のうち、我々は、今のケース、イラク戦争のようなケースには参加しません、いわば武力行使を目的とした戦闘には参加しませんということは明確に申し上げたとおりでございます。
 あの際にも、累次にわたる国連決議に違反をしたのはイラクでありまして、そして、大量破壊兵器がないということを証明できるチャンスがあるにもかかわらず、それを証明しなかったのはイラクであったということは申し上げておきたい、こう思うわけであります。
 その上において申し上げれば、つまり、我が国と密接にかかわりがあるかないかということが、これがまさに、我が国の生存にかかわるかどうかということが判断基準の中心に置かれるわけであります。そこで主体的に判断を行っていくということであります。その中におきまして、正当性があるかないかということについては当然検討していくことはある、このように思います。

○岡田委員 あるんじゃなくて、そこがポイントですよね。ですから、違法な武力行使におつき合いするわけにはいかないわけですね。しかし、それがきちんと判断できるかどうか、あるいはノーと言えるかどうかという問題だと思うんです。
 逆に言うと、私は、集団的自衛権の行使ができますよというふうにやった後で、やはりこれはできませんということになると、そのときの日米同盟に及ぼす影響は非常に大きいと思うんですね。もともと、できませんというふうに言っておいて、あるいは非常に限定しておいて、その範囲でしかできませんというふうに言っておいて、その範囲でやるのと、かなり期待を持たせておいて結局できませんと言ったときと、どちらが日米同盟にとって大きなマイナスになるかといえば、私は、できますと言ってみて、結局できませんと実際には断るということの方が影響は大きいと思うんです。日米同盟はそこで非常に傷つくということになると思うんです。
 そういう意味でも、私は、この議論というのは、余り大風呂敷にやるんじゃなくて、しっかりと限定した議論、あるいはできないならできないという議論、それを行うべきだというふうに考えるんですが、そういう基本的スタンスは、総理は共有されますか。

○安倍内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、集団安全保障においては、イラク戦争や湾岸戦争の例を挙げまして、ああした形における武力行使を目的とした戦闘、他国に行って戦闘を行うことはないということは申し上げているとおりでございます。
 そしてまた、米国との関係におきましては、まさに米国は、我々がこうした検討を行うことを積極的に支持、歓迎をしているわけでありますし、その中において、今年末に新しいガイドラインを作成していくわけでございます。そうした中において、もし我々が新しい観点に立って安全保障政策を構築していくということが可能になってくれば、それをもとにガイドラインを詰めていくわけでございます。
 そうした中におきまして、日本は何ができるかということの中において、ガイドラインが決まっていくわけでありますから、その中において、アメリカに、私たちができないことにおいて、彼らに、それができるのではないかという錯覚を持たせることがあってはもちろんならないわけでありますし、また、そうはならないんですね。これは、いわばその中で実際にかなり詰めていくことに、実際に何ができるかということにおいて、共同で何ができるかということをさらに詰めていくわけで、そういう緻密な議論をいずれにいたしましても行っていくということになるわけでありますから、そうしたことにはならないであろう、こう思うわけであります。
 いずれにいたしましても、現実に即した議論をしっかりと行っていくということにおいては、岡田委員と同じ考えでございます。

○岡田委員 次に、集団的自衛権の行使の限定について、先ほど遠山委員がいろいろと御指摘をされましたが、私、一つ気になっているのは、例えば石油の供給が制限されるような場合、これも我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性に含まれるという考え方ですよね、今までのところ。
 つまり、ペルシャ湾に機雷が敷設されて日本に石油が入ってこない、そういう場合も、我が国の安全に重大な影響を及ぼすということで、集団的自衛権の行使を考えるということですが、ここまで広げてしまうということについて、問題はないんでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 まさに日本は海洋国家であり、資源をほとんど海外に頼っているわけであります。そしてさらに、ガス、石油の八割を中東地域に頼っているわけでありまして、もちろん備蓄はありますが、そこで、その供給が切断されるということになれば、当然これは我が国に大きな影響があるということでございます。
 そこで、我々は、自衛隊を送って、そこで何か戦闘行動を目的として行くということではなくて、機雷がまかれた段階において、しかし、この機雷をまくということ自体がこれは武力行使であって、この機雷を除去するということも、先ほど法制局が答弁したように、遺棄機雷でない限り、これは武力行使に当たるということになるわけでありまして、そこで、今の解釈では、できないということになっている。
 その中において、例えば、では、この海峡の機雷を何カ国かで除去しようとなったときに、専ら、そこを通る船が日本にやってくるにもかかわらず、日本がそれをやらなくていいのかどうかという問題意識であります。
 そしてまた、その商船、商船隊においても、これは残念ながら日本国籍ではないということになって、その商船隊を全く守らなくていいのかどうかということであります。その商船隊が日本にやってくるとしても、日本国籍ではないわけでありまして、その中において、自衛隊は守ることができないでいいのかどうかという課題と問題意識であります。
 それは、例えば、ほかの国々に任せればいいかということでありますが、そこはしっかりと、やはり真剣にそうした現実と向き合わなければならないのではないのか。まさに、私は、国民の命とそして平和な暮らしに責任を持つ立場から、検討すべきだ、こう判断したところであります。

○岡田委員 原油がとまったとしても、国家備蓄もありますし、しばらくしのげるだけの備えは我が国は行っているわけですけれども、いずれにしても、意図を持って敷設された機雷を除去することも武力行使である、そういう考え方に基づいて議論されていると思うんですね。つまり、武力行使、日本に石油が入ってこない、その状態を是正するためにも武力行使をする、こういうことなんですね。だから、そこまで広げてしまっていいのかという議論です、これは。
 したがって、私は、基本的に、日本国が直接攻撃を受ける、つまり、個別的自衛権と同じレベルの厳しさが日本国民の生命財産に及ぶようなときに、集団的自衛権というものを限定的に、非常に限定的に行使する、そういう論理立てなら、まだそれは成り立つかもしれませんけれども、油が来なくなって国民生活が経済的に大変だ、こういうことまで集団的自衛権の行使ということになると、それは個別的自衛権の行使と並ぶような事態じゃ全くないということになりませんか。
 そこまで広げていくことに、私は非常に懸念を覚えるんですが、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 これも、委員は意図的に議論をすれ違いにさせていると思うんですが、私が申し上げたのは機雷ですよ、機雷。ですから、機雷ということをいつも御質問でもおっしゃっていただきたいと思いますが、機雷なんですよ。つまり、日本が、戦闘目的として、油のためにいきなりどこかの国に出ていくかのごとくのイメージを植えつけるのはやめていただきたいと思います。
 私たちが申し上げているのは、これは機雷の話でありまして、かつ、この機雷が、例えばホルムズ海峡に多数敷かれた段階において、これを除去しようという国際社会の合意ができたときに、ここを通る多くの船が日本に来るにもかかわらず、それをやらなくていいのかということを申し上げたわけでありまして、それ以上飛躍するものではありません。こうしたことを限定的にまさに考えるべきではないか、こういうことであります。
 そして、それは、まさに日本の船でなければこれはできない、いわば個別的自衛権の範囲には入らないというのは先ほどの法制局長官の答弁のとおりでありまして、だからこそ議論を進めていこうということでありまして、こうした議論は、まさに正確な議論を行うべきであって、私も、いろいろな前提条件をつけて、その中で限定的に考えるべきだということを申し上げているわけであります。
 そうではなくて、不正確な議論をまき散らして、何か危険な議論をしているような不真面目な議論は、私はすべきではないんだろう。これは岡田さんに申し上げているわけではありませんが、そういう議論が間々見られるわけでありますので、それは厳に慎むべきではないか、こういうことを申し上げているところでございます。

○岡田委員 今の機雷の話、意図を持って据えられた機雷を除去することは武力行使というふうに国際法上考えられている、そういう前提での議論ですよね。
 したがって、機雷を、例えば日本の船が集団的自衛権の行使といって除去したときに、相手国は、武力行使されたということで、それに反撃をするということは当然考えられるわけですね。そこで戦闘になるかもしれない、そういう話だということを私は申し上げているわけです。機雷を片づけたらそれで全て終わりということには必ずしもならない、そういう議論をしなければ、私は間違いだと思うんですよ。
 時間も参りましたが、私は、やはりこの集団的自衛権の問題は非常に重要な話だと思うんですね。自衛隊の皆さんから見たって、日本の国が攻撃を受けているから、それに対して命をかけて日本を守る、そういう気概は当然、自衛隊の皆さんは持っているはずだと私は思います。しかし、よくわからないまま海外に行って武力行使して、そこに命をかけろと言われても、私は、必ずしも納得できない、そういう声が当然あると思います。
 ですから、そういう、まさしく命もかけてみずからの任務を遂行する自衛隊の皆さんが納得できるだけのきちんとした説明が必要だというふうに思うんです。総理のきょうの答弁を見ていて、私は、その域にはまだなっていないというふうに思うわけですね。
 そして、集団的自衛権の行使は、先ほどの機雷の例でもそうですけれども、単に集団的自衛権の行使と、日本が何かしたからそれで終わるかというと、当然相手は反撃してきて、まさしく戦闘行動になることも十分考えられる。そういう意味では、戦争に巻き込まれるという議論も、それはそれで一つ理があるわけですから、まさしく国民にとっては非常に重大な事態なんですよ。だからこそ、しっかりと議論をして、そして、国民の多くの皆さんが、やむを得ない、こういう場合は本当にやむを得ないんだと納得できるような状態をつくり出す責任が、内閣総理大臣である安倍さんにはあるわけですね。
 ぜひ、そこはよく踏まえた上で、国会がずっと戦後議論してきて、いろいろ積み上げてきた議論を、ある意味では相当変える話ですから、国会議員一人一人にとってもこれは真剣勝負だと思うんですよ。与党も野党もありませんよ。これだけ議論してきた、先輩たちが議論してきたことを変えるということのその重さを十分に踏まえて、私は、真剣な議論、慎重な議論を行っていくべきだ、そのことを最後に申し上げておきたいと思います。
 終わります。

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