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2012.11.16|夕刊フジ

“衆院解散”「首相は歴史に残る決断を下した」(夕刊フジコラム「ズバリ直球【特別編】」12年11月16日号)

 14日の党首討論で、野田佳彦首相は「『近いうちに国民の信を問う』と言ったことにウソはない」「(国家・国民のために)後ろに区切りを付けて結論を出しましょう。16日に衆院を解散します。やりましょう!」と明言した。永田町内外に衝撃が走った。

 解散の条件として、野田首相は、(1)赤字国債発行を可能とする特例公債法案を今週中に成立させること(2)衆院の「1票の格差」を是正する関連法案、小選挙区の「0増5減」に加えて、定数削減も今国会中か、遅くても来年の通常国会で必ず実現させること-と提示した。

 そのうえで、国民の方々に負担を強いる消費税増税をお願いした以上、定数削減が実現するまでの間、「身を切る覚悟」を示すために、「議員歳費の2割削減に応じることを約束してほしい」とも迫った。

 特例公債法案については、自民党の安倍晋三総裁と、公明党の山口那津男代表が「今週中にやる」と約束した。定数削減については、安倍氏はハッキリ返答しなかったが、山口氏は明確に賛成してくれた。

 昨年9月の就任以来、野田首相は「国家・国民のために」という信念を持って、無私の心で、日々公務に当たってきた。今回、覚悟を持って解散・衆院選を断行する意志を示した。その姿は見事だったと思う。

 安倍氏は、決断を求める野田首相の迫力に押されたのか、動揺した様子でどうも腰が定まらず、技術論での批判に終始していた。党首討論を見ていた人には、安倍氏の覚悟が感じられなかったのではないか。

 野田首相が党首討論で強い決意を示したのは、少子高齢化社会の中で、国民生活を守っていくための「社会保障と税の一体改革」を成立させるために、自民党の谷垣禎一前総裁に対して、今年8月、「近いうちに(国民の信を問う)」と約束していたことが1つ。野田首相はウソをつく人ではない。

 もう1つは、このまま2013年度の予算編成を行った場合、万が一、その後で政権交代となれば、予算編成を組み替える必要が出てくるためだ。日本経済が厳しい状況にあるときに、これは政治が経済の足を引っ張りかねない。国政の最高責任者として「それだけは避けたい」と判断したと思う。歴史に残る決断だ。

 今回の衆院選は、これからの日本を牽引するリーダーとして、野田首相と安倍氏のどちらがふさわしいかを問う戦いになる。派手さこそないが、野田首相はいつも国家・国民の利益を考えて行動してきた。その答えは明確だと思う。

 われわれは野田首相のもとで、引き続きこの国の政治を担っていきたい。民主党にとって、厳しい戦いになることは百も承知だ。しかし、簡単に政権を渡すつもりはない。12月16日まで1カ月、全力で戦い抜く。




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