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官房長官の対応は職務放棄だ バングラテロ発生直後に街頭演説(夕刊フジコラム 2016/7/7)

バングラデシュの首都ダッカで2日未明、武装集団が飲食店を襲撃し、日本人7人を含む22人の方の命が奪われた。同国の発展に尽くしてこられた方々がテロの犠牲となったことに、筆舌に尽くしがたい悲しみと怒りを感じている。お亡くなりになった方々に哀悼の誠をささげるとともに、ご遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。

日本政府には今後、在外邦人の安全確保に万全を期すとともに、国内のテロ対策への強化を求めたい。そのうえで、菅義偉官房長官の今回の対応について指摘しておく。

菅氏は、日本人が人質になっている可能性があると記者会見で公表しながら、会見後、首相官邸を離れた。2日午前10時40分に治安部隊が飲食店に突入し、多数の死傷者が出ることが予想されても官邸に戻らず、同11時40分発の新幹線で地方遊説に向かったという。治安部隊突入後の国家安全保障会議も欠席している。街頭演説を終えて、再び官邸に戻ったのは8時間後だ。

内閣の危機管理の要である官房長官が、邦人多数が犠牲となっている可能性が高いことを承知で選挙応援に出かけた。職務放棄に等しく、「国民の生命・安全よりも選挙を優先した」と言われても仕方がない。菅氏はどんな思いで街頭演説をしていたのか。私には理解できない。

安倍内閣はこれまでも連日、選挙応援で首相と官房長官が同時に東京を離れ、危機管理をおろそかにしてきた。私は何度も警鐘を鳴らしたが、改めて危機管理のずさんさが明らかになった。

さて先週、私から安倍晋三首相(自民党総裁)に対し、参院選の重要争点である憲法改正への考えや公的年金積立金の運用状況など8項目について公開質問状を送った。自民党事務方が電話で断ってきたが、国民の疑問を野党第1党が問うたのだから、首相は答えるべきだ。そこまでして逃げたいのか。不誠実かつ非礼というしかない。

こうしたなか、2015年度の公的年金積立金の運用実績について、一部マスコミが「損失は5兆円超」と報じた。アベノミクスの牽引(けんいん)車である円安が円高に振れ、株価が下落しているためだ。その後の英国の欧州連合(EU)離脱問題を受け、円高・株安傾向には拍車がかかっている。4~6月はさらに5兆円の損失が出たとの試算もある。

しかし、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が15年度の運用実績を公表するのは、参院選後の29日だ。例年は7月上旬に公表しており、「損失隠し」と言わざるを得ない。

安倍首相は2月の衆院予算委員会で、年金積立金の運用について、「想定の利益が出なければ、当然、支払いに影響する」と答弁している。将来的な年金給付額の減額があり得るとの発言であり、心配している国民の方々も多いと思う。

安倍政権は14年、GPIFの株式投資比率を50%に倍増することを決定した。わが党は「国民の大切な年金資産を危険にさらす」と反対してきた。早急に運用実績を公表するとともに、株式投資比率を引き下げることを求めたい。

参院選も終盤戦に突入した。民進党は暮らしと平和を守るための訴えを全力で続けていく。 (民進党代表)




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