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2009.12.17|夕刊フジ

夕刊フジコラム「ズバリ直球」09年12月17日号

夕刊フジ 09年12月17日号掲載

鳩山内閣は「東アジア共同体」構想を打ち出し、アジア重視の姿勢を示しているが、その前提となるのが日米同盟だ。鳩山内閣が日米同盟を軽んじていることはない。わが国の安全保障の基盤だと考えている。

日米安全保障条約は、米国の対日防衛義務を規定する一方、日本が基地を提供することでバランスを取っている。日本の平和と安全を守る抑止力として在日米軍の存在があり、アジア太平洋地域を安定させるためにも日米同盟の役割は大きい。

日米同盟は安全保障だけでなく、外交や経済など、さまざまな分野に広がりを持つものだ。日米両国がアジア太平洋地域の平和と発展のために何をなすべきか。また、地球温暖化や核軍縮・不拡散、アフガニスタン支援といったグローバルな問題にどう対処していくか。そのための基礎ともいえる。

同盟関係を強固にすることは、日本の国益にとって極めて重要だ。内閣発足以降、ニューヨークと東京で日米首脳会談が行われたが、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の問題を除いて、両国関係は良好で安定した状況にあると思う。

ただ、普天間の問題は簡単ではない。

戦後60年を過ぎても、日本国土の0・6%に過ぎない沖縄県に在日米軍基地の約75%が集中している現実。特に、普天間飛行場は市街地のど真ん中にあり、「世界一危険な基地」といわれる。この危険性の除去を出発点とする日米協議が始まって13年。さまざまな案が出ては消えた。

2004年には、飛行場に隣接する沖縄国際大学構内にヘリが墜落する事故が発生した。当時、民主党代表だった私はすぐ現場に飛んだ。基地と市民生活が隣り合わせになっている現状を見て、「何かあれば大惨事になる。早くこの危険性を除去しなければならない」と強く感じた。

その後、「普天間をキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)に移転する」「米海兵隊8000人をグアムに移転する」という日米合意がなされた。沖縄県の仲井真弘多知事も「次善の策」として了解しているが、県民の多くは「できれば県外へ」と思っている。その思いが今年夏の総選挙で顕在化した。

どうか、他県で暮らす国民の皆さんには、日本の安全のために負担を強いることになっている沖縄県民の思いに少しでも心を寄せてほしい。

今後、沖縄県民の切実な思いと、連立与党の政権運営の安定、そして、先の日米合意を実行すべきとする米国の意向。この3つを同時に達成しなければならない。非常に「狭い道」だが、それぞれが最終的には納得できる道を探していきたい。

(C)夕刊フジ




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