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2008.02.06|マスコミ

温暖化ガス削減数値目標と排出権取引市場創設を法案化

一月八日、民主党は地球温暖化対策本部を設置、岡田克也副代表が本部長に就任した。昨年五月に策定した「脱地球温暖化戦略」に基づき、排出権取引市場の創設などを盛り込んだ地球温暖化対策法案を、この通常国会に提出する。次の衆議院選挙の争点としたい構えだ。

――一月一一日に開かれた地球温暖化対策本部の初会合では、どのような議論が行なわれたか。

昨年五月にまとめた「脱地球温暖化戦略」は、まず、日本の温暖化ガス排出量を二〇五〇年までに一九九〇年比で半減すること、次に、地球温暖化対策税を導入 すること、さらに、風力、太陽光など再生可能エネルギーの割合を二〇年までに一〇%程度に引き上げることを三本の柱としている。

初会合では、掲げた削減数値目標について、やや慎重過ぎるのではないかとの声も上がり、三つの基本方針をさらに充実、発展させるべきだということを確認した。この通常国会では、温暖化ガス排出権取引市場の創設にも言及した法案を提出する。

――これまで、民主党の温暖化問題への取り組みは、後手に回っている印象がある。

「脱地球温暖化戦略」は昨年七月の参議院選挙の前にまとめたものであり、参院選のマニフェストにも明記している。ただし、参院選では年金、農業、子育て支援を三本柱として戦ったため、わかりにくかった面も否めない。

――この七月の主要国首脳会議(洞爺湖サミット)を間近に控え、日本はいまだ自国の削減数値目標を明示していない。企業や事業所への割り当てや、それを前提にした排出権取引には、日本経済団体連合会をはじめとする産業界に強い抵抗がある。

気候変動に関する政府間パネルで、科学者は現在よりさらに踏み込んだ削減実績を上げない限り、温暖化が深刻化すると警告した。それに逆行するような議論の 必要は、もはやない。(産業、企業別に排出可能量を割り出して合算する)積み上げ方式ではなく、政治的決断において、削減数値目標を提示する時期にきてい る。

抵抗する経団連におもねる必要はない

――昨年一二月にインドネシア・バリ島で開かれた国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)では、日本の姿勢が酷評された。

大変残念な結果だ。米ブッシュ政権へおもねり、それ以上に国内をまとめ切れなかったからだ。自らの削減数値目標を決めずして、洞爺湖サミットの議長国とし てリーダーシップを発揮することができようか。それは、福田康夫首相も言っておられるとおりだ。しかも、COP13の日本を含む京都議定書アドホックワー キンググループでは、九〇年比で二〇~四五%の削減について、合意している。

――経団連を説得できるか。

自由民主党と違って、ほとんど献金は受け取っていない。おもねる必要はない。そもそも、産業界でも意見はさまざまで、欧州に製造拠点を持つ企業は、日本も 削減数値目標を示す必要性を、十分わかっている。ルールはなるべく一つのほうがいいし、できればルールメーカーになったほうがいいと。反対しているのは一 部の産業、企業であって、彼らを真剣に説得するのが、政治家の役割であり、経済産業省の役割だ。産業界の言っていることをオウム返しするだけの経産省で は、存在価値がない。

――かつては通商産業省の官僚だった。

なんとなく、日本の今の衰退を、この問題に見る気がする。第二次オイルショックのときに、石油を担当していたが、省エネルギーのために、官民一体となって 知恵を絞り、投資を行ない、きわめて効率的な産業構造をつくり上げ、それが結果的に競争力につながった。

原油価格が一〇〇ドルを超えたことには、今まで採算が合わなかった事業の採算が合うようになるという側面もあり、中長期的な投資を呼び込む景気対策につな げることもできる。前向きにチャンスとしてとらえるか、後ろに下がってノーと繰り返すかでは、先行きがずいぶんと違ってしまう。
現在の経産省、産業界は、一緒になって駄々をこねているだけだ。当時との落差に驚いている。このまま手をこまねいていれば、排出権取引などを、環境省に任せようという議論も起こりかねない。

温暖化対策税は一般財源化を前提

――温暖化対策を次の衆議院選挙の争点としようとしているが、国民の関心はいま一つではないか。

そんなことはない。選挙区を回って実感している。参加の仕組みがなく、何をどうしたらいいかわからないだけであって、たとえば、温暖化対策税を導入することにすれば、温暖化問題への関心はさらに高まるはずだ。

――消費税然り、負担を強いられる政策には、反対の声が高まる。それで選挙は戦えるか。

選挙区の集会で、温暖化問題の対応のために負担はやむをえないと考える人、と尋ねると、参加者の八割がさっと手を上げる。これが消費税となると、逡巡してせいぜい五割だ。次の世代に対する責任であり、必ず説得できると思う。

――温暖化対策税は提出する法案に盛り込むのか。

導入については「脱地球温暖化戦略」に明記しているが、税率など詳細について、一年かけて党内で議論する。

――法案成立の見通しは。

参議院では可決されるだろう。ほかの野党とも連携したい。

――衆議院は。

洞爺湖サミットを前に否決できるだろうか。否決すれば、世界に後ろ向きのサインを送ることになってしまう。福田首相も「低炭素社会への転換」を連呼してお り、それなりにやる気をお持ちだと思う。ある意味では後押しするが、われわれの主張が通らなければ倒すことになる。政府の選択にかかっている。

――現在、国会で対立しているガソリン税の暫定税率延長問題だが、温暖化対策を加速するならば、むしろ維持すべきで、撤廃せよとの民主党の主張は自己矛盾する。

ガソリン税撤廃は、道路特定財源の一般財源化とセットであるべきだと主張している。温暖化対策税も一般財源化を前提としており、ガソリン税、石油税、石炭税などエネルギー税制全般にわたって、炭素排出量を基準とした再構築が必要となる。

本誌・遠藤典子

岡田克也(Katsuya Okada)
●1953年三重県生まれ。東京大学法学部卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省。90年2月、自由民主党から衆議院初当選。新進党、民政党を経て、民主党へ(6期)。2004年5月~05年9月、代表を務めた。




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