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2008.01.18|マスコミ

岡田克也が目指す二大政党制への道

まじめで優秀だが、頑固一徹の原理主義者。永田町の住人は長年、民主党の岡田克也副代表(54)をそう評してきた。だが、郵政選挙の敗北から再起し た岡田氏が、いまやポスト小沢の最右翼にいるのは衆目の一致するところだ。政権交代可能な二大政党制は本当に実現するのか。ジャーナリストの田原総一朗氏 が迫った。

田原 民主党は昨年末、対テロ新法の対案を出しました。アフガニスタン政府とタリバーンの停戦合意後、医療や生活物資配布などの人道復興支援に限って自衛隊を派遣する、という内容です。自衛艦による給油活動に限定した政府案にはなぜ反対なんですか?

岡田 この6年間、インド洋で給油活動を継続してきましたが、その実態について政府はいまだにはっきり説明していない。イラク戦争に転用された疑惑もあり ます。自衛隊の海外派遣についての原理原則がはっきりしないことも問題です。自衛隊は一定の条件を満たしたときだけ出すべきで、その条件の一つが国連決議 です。今回は明確な国連決議がないまま出そうとしている。これを認めたら、日米同盟の名のもとにいずれは自衛隊が地球の裏側まで行くことになりかねない。

田原 民主党の小沢一郎代表は、後方支援活動は憲法違反で、日本はむしろアフガンの国際治安支援部隊(ISAF)に参加すべきだと主張しました。

岡田 憲法違反という発言は、やや勇み足でしたね。民主党はそういう考え方に立っていませんから。

田原 そうか、小沢さんが勝手に言ってるだけだ?

岡田 そういう言い方をすると申し訳ないんですが、党としては、後方支援が憲法違反という考え方には立っていないということです。

田原 岡田さんは小沢さんに誘われて政治家になったわけですが、小沢さんはどういう人ですか?

岡田 政治家として歩み始めたころの私は、元祖チルドレンのようなもので、自民党、新生党、新進党と、小沢さんと行動をともにしました。小沢さんは原理原 則をきちっと話す人で、なんでもかんでも足して二で割るような、従来の政治家とは違う印象があった。非常に魅力的な人でした。

田原 97年の新進党解党後、なぜ小沢さんと袂を分かったんですか?

岡田 私からは分かってませんよ(笑い)。新進党の末期に羽田孜元首相と小沢さんが対立しました。私は母親と父親が別れるときの子どもみたいな心境で、復縁するよう一生懸命動いたつもりなんです。

田原 どちらが悪くて離婚したんですか?

岡田 良い悪いの問題じゃないでしょうね。(笑い)

田原 船田元さんや熊谷弘さんなど、側近と言われた人の多くが小沢さんから離れました。なぜですか?

岡田 磁石みたいなものじゃないですか。近づけるとNとSならピタッとくっつくけど、NとNになると突然ポーンと離れる。すごくいい時期が続いた反動が出るんだと思います。

田原 昨年、小沢さんと福田康夫首相が党首会談を繰り返しました。民主党は、密室談合ではなく、透明性の高い政治をするのが原則ですよね?

岡田 2人だけで会うと聞いたときはヤバイと思いました。菅直人代表代行か鳩山由紀夫幹事長の少なくとも1人は同席しないと、何が話し合われたかわからない。私が幹事長だったら「ぜひ私も一緒に」と言ったと思います。それでないとおかしくなります。

田原 小沢さんは代表を辞任すると言ったのに、党内の引き留めで復活した。なぜ引き留めたんですか?

岡田 私も小沢さんは辞めるべきではないと言いました。これだけ党を混乱に陥れたんだから、リーダーとして立て直す責任があるし、小沢さんは参院選で大勝 した最大の功労者です。次の総選挙も参院選の延長線上で戦うのが筋ですから、その意味でも辞めるべきではないと思いました。

支持率低下でも福田首相は難敵

田原 民主党は次の総選挙に勝って天下を取ろうと思ってるのに、なぜ小沢さんは大連立話に乗ろうとしたのか理解できますか?

岡田 しにくいですね。

田原 今はどう理解しているんですか?

岡田 「大連立はもう検討しない。次の総選挙で勝って政権を交代させる」という趣旨のことを記者会見でもおっしゃったと思います。

田原 岡田さんは、いま小沢さんとコミュニケーションが取れていますか?

岡田 仕事のうえではできてますよ。

田原 鳩山さんや菅さんに小沢さんがどう考えているかを聞いても、「いや、ちょっとその話は聞いてません」と言われることが多い。あまりコミュニケーションが取れてないように見えるんですが?

岡田 そこの所はわかりませんが、菅さん、鳩山さん、輿石東参院会長の3人は小沢さんと一緒に党を引っ張る立場ですから、コミュニケーションはしっかり取れてないと困りますよね。

田原 しっかりしてたら、小沢さんが大連立話を党の役員会に持ち帰ったときに、全員が反対するなんてことは起こりませんよ。

岡田 まあ、そこのところは置いといて。(笑い)

田原 福田首相のことはどう見ていますか?

岡田 内閣支持率は下がりましたが、民主党にとってはやりにくい相手だと思います。安倍晋三前首相のほうが、民主党との違いがはっきりしていました。

田原 安倍さんは憲法改正を明確に主張し、外交・安全保障面では、アメリカ、日本、オーストラリア、インドが連携して中国を包囲する、というのが基本構想でしたが、福田さんは中国も入れろと言っています。

岡田 福田さんは集団的自衛権の行使にも消極的で、安倍外交をほとんど否定してしまいました。外交面では本当に違いが出しにくい。ただ内政面では、何をや りたいのか見えてこない。小泉・安倍時代の6年間にできた傷に、急いで絆創膏を張ってるイメージです。

田原 そもそも、やりたいことがあるんですかね?

岡田 私が福田さんだったら、臨時国会の会期は再延長せず、閉会後に内閣改造して、自前の内閣をつくったと思います。

田原 前政権の居抜き内閣を改造して、福田カラーを打ち出すべきだったと?

岡田 ええ。まず自前の内閣をつくり、通常国会に向けて、福田政権として何をやるかというメッセージを伝えられる施政方針演説を練るべきでした。

田原 臨時国会終了後に改造するんじゃないですか?

岡田 通常国会までの時間がほとんどないし、予算編成後に閣僚を代えたら国会対応が難しくなる。常識的には、内閣改造は当面できないでしょう。

田原 通常国会では政府・与党と民主党が予算と関連法案で全面対決します。力点はどこに置きますか?

岡田 租税特別措置を徹底的に見直さないといけない。私もかつて通産省にいたのでわかりますが、第2の予算とでもいうべき租特の維持に役所がこだわるあまり、必要性を精査しないまま要求しているものが相当ある。

田原 各業界の利益もそこに連動するわけですね?

岡田 自民党税制調査会の会議では、業界団体幹部が会議室の入り口にずらっと並んで、「先生、頑張ってください」と激励する。会議で業界の意思を強く主張 してくれと頼むわけです。税調の場には業界の回し者がいて、どの議員がどういう発言をしたかをチェックし、後で業界団体に教える。これでは本質的な改革は 絶対にできません。

公共事業の削減、政府は生ぬるい

田原 道路特定財源を一般財源化できるかどうかも重要なポイントですね?

岡田 安倍内閣は検討すると言いましたが、福田内閣になって、真に必要な道路予算があると認めて、断念してしまった。真に必要かどうかは、本来は国全体の予算配分の中で決めるべきことなんですけどね。

田原 与党は揮発油税の暫定税率を10年間維持する方針です。民主党は関連法案を参院で否決しますか?

岡田 否決すると衆院で再可決されますから、いつまで否決せずに頑張れるかがポイントですが、その判断は難しいところですね。予算が成立しても執行できな い状態が4月、5月と続くのを、世論がどうとらえるか。一刻も早く予算を執行しろというのか、既得権益を壊すためにガンバレとなるのか。そこを見ないとい けない。民主党は、ガンバレという世論をつくり出せるよう努力します。

田原 参院選で民主党は(1)基礎年金財源を全額税方式にする(2)農家に戸別所得補償する(3)1人あたり月額2万6千円の子ども手当を創設する、の三つを政策の柱にしました。実現には15兆円以上の財源が必要です。

岡田 田原さんにそこを詰められると予想してました(苦笑)。たしかに、歳出削減で財源を捻出するなら、内訳も含めた裏付けを具体的に示す必要があります。

田原 岡田さんが党代表だったとき、基礎年金は全額税方式にする代わりに、消費税率を3%上げると言いました。ところが、小沢代表になって上げずに済むことになった。そんなにうまい話があるんですか?

岡田 04年参院選で、私は代表として「将来的には3%上げざるを得ない」と言いましたが、すぐ上げると言ったわけではない。年金改革には時間がかかるので、「今は上げない」と言うのもウソではないんです。

田原 表現が違うだけで、いずれ上げなくてはいけないという認識では一致しているわけだ?

岡田 私はそう理解しています。

田原 政府・与党の歳出削減策は不十分ですか?

岡田 生ぬるい。もっともっと削減すべきです。

田原 公共事業も、もっと減らせばいいと?

岡田 もちろんです。国際的に見ると、日本の公共事業はまだまだ多い。公務員の人件費も削減が必要です。給与水準を下げて、人数も減らすべきだ。

田原 高齢化が進み、社会保障費用が増えています。

岡田 この分野もまだ無駄がある。医療費でいえば、ジェネリック医薬品に切り替えるだけで2兆円ぐらい削減できる。しかし、薬の処方権を主張する医師会の抵抗などでなかなか進みません。

田原 小泉内閣が地方を切り捨てたため、大都市との格差がドーンと広がった。「今のままでは食えない。もっとカネをくれ」という声が地方には多い。岡田さんの考えは正反対ですね?

岡田 地方自治体にも、人件費のカットなどで努力しているところと、してないところがある。努力してないところにカネを出しても無駄を増やすだけです。多少痛みを感じる削減もしないと、財源は生まれません。
田原 年金でも農業でも、小沢さんにはバラまきの気配がある。ずいぶん考えが違いませんか?

岡田 いや、そこはそう違わないでしょう。歳出削減をすると言ってますから。

田原 今年は選挙イヤーになる。衆院解散の時期をどう見ていますか?

岡田 やはり予算関連法案が俎上に上る3月が一つの山でしょうね。そのとき、民主党が意味のある問責決議を出せる状況かどうか。これは世論次第なので、現時点ではまだわかりません。

政権交代なしに癒着解消は無理

田原 民主党内だけでなく国民の多くが、近い将来、岡田さんが民主党のトップになると見てます。岡田さんが代表になって政権を取ったら、何をしますか?

岡田 私自身が目指しているのは必ずしも代表になることではなく、「政権交代ある政治」の実現です。これは民主党が一度政権を取っただけではできない。民 主党が一刻も早く政権を取って、数年後に野に下り、またもう一度政権を取る。今から10年ぐらいの間にそうなれば「政権交代ある政治」がこの国にも定着す る。

田原 10年間に3回、政権交代が必要なんだ?

岡田 ええ。民主党が政権を取ったときに自民党がどうなるかわかりませんが、自民党がきちんと生まれ変わったら、また政権を担うことができるでしょう。その後、民主党がまた政権を奪い返す。そうして初めて真の二大政党制ができるんだと思います。

田原 政界再編志向はあまりないんですね?

岡田 全くありません。民主党に対する世間の評価はいろいろあるでしょうが、10年間かけて、ようやく政権交代できそうなところまできました。地盤、看 板、カバンはないが、志と能力はある若い議員たちが育ち、政策もそろってきた。今まで必死で民主党をつくってきた私としては、これをもう一回、ガラガラポ ンする気は全くありません。

田原 小沢さんは政界再編を狙っていませんか。そうじゃなかったら、大連立話に乗らないでしょう?

岡田 ノーコメント。(笑い)

田原 民主党と自民党の違いは何ですか?

岡田 (即座にきっぱりと)既得権益とのかかわりは自民党のほうがはるかに深く、民主党にはほとんどない。高度成長期は、官が主導し、政はその上に乗るだ け。そこに癒着が生まれた。その構図は今も変わってません。民主党が政権を取れば、官の上に乗る政党が自民党から民主党に代わるのではなく、政と官の関係 そのものが変わる。そこは全く違う。

田原 自公政権で行革を進めても、政官業の癒着は解消されませんか?

岡田 それは無理ですよ。政権交代しかないんです。

田原 民主党に政権担当能力はありますか?

岡田 もちろんあります。官僚に頼らず、自力で政策や法案を作って来ました。

田原 むしろ自民党より能力は高いと?

岡田 むしろじゃなくて、はるかに高い。自民党は、官が作った案をちょっとアレンジしているだけですよ。

(構成 本誌・喜多克尚)

 【写真説明】

新進党が結党されたのは1994年(左から2枚目)。3年で事実上の解党となった

「政権前夜」の民主党。小沢代表を支えることも重要だが、小沢氏を越えるという迫力も求められている




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