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2005.07.31|その他

定例記者会見録 2005年7月

7月26日

○サミット報告:酒が発酵しすぎて酢になっている、サミットをやったのはいつなのか

○道路公団副総裁逮捕:国の部分も含めて他に談合がなかったか徹底調査を

○NHK問題:メディアと政治との距離感の問題、今後事前説明はしないと明確に

○談合追及:対策本部、国土交通部門を中心に事実解明、民営化凍結法案も提出

○郵政関連法案を否決・廃案に持っていくことで民主党内は一致結束している

○法案は再修正しないとの総理発言は無意味、衆院でも一晩寝たら180度翻った

総理のサミット報告

【代表】今日は先ほど衆議院で本会議が行われ、小泉総理出席の下でサミットの報告と質疑が行われました。私は今日、役員会で申し上げたのですが、「酒が発酵しすぎて、もう酢になっている」と。つまり、サミットはいつやったのだと。サミットからこれだけ時間が経って(本会議報告を)やっているということは、まさしく「冗談じゃない」という気がします。

本来であれば、こういう時期を捉えて、多くの課題があるわけですから、アスベストの問題もあり、後ほど申し上げます道路公団談合問題もあり、サラリーマン増税の話もあり、年金の話もあり、諸課題があるわけですから、予算委員会あるいは党首討論を小泉総理出席の下に行って、しっかりとした議論が行われるのが当然ではないかと。

そういうものを、とにかく小泉総理を出したくない、一問一答の場に出したくないということで本会議を設定しているというのは、極めて遺憾で、国民の立場から完全に離れていると思っています。

今日の本会議での小泉総理の答弁も、役人が書いたものを1人の答弁者に対して2回同じフレーズが出てきたり、読むだけということで、6カ国協議が今日から始まるわけで、非常に重要な会議を控えて、それを国民に向かってきちんと説明責任を果たそうという姿勢も伺えないお粗末なものだったと受け止めています。

橋梁談合問題と道路公団副総裁逮捕

【代表】それから、道路公団の内田副総裁の逮捕の問題ですが、非常に根深い談合体質にメスが入ったということであります。徹底的な検察のメスが入ることを期待したいと思っています。

ただ、このことに対する国の公団に対する監督責任も当然あります。もっと言えば、道路公団が橋梁談合を官ぐるみでやっていて、国発注の橋梁工事については何もないのかというと、何もないと考えるほうが不自然ですから、これは国の部分も含めて徹底的な調査を行うべきだと思います。

単に公団の問題だけにしてしまうのではなく、この際、政府発注の、あるいは官発注の公共事業、特に橋梁部分について、談合がなかったかどうかを国の責任で徹底調査をすべきだと申し上げておきたいと思います。(談合を)行っていた疑いは濃厚であるということであります。

朝日新聞・NHK問題

【代表】ここ数日、例の朝日・NHK問題についての報道が相次いでいるわけであります。各新聞も社説などで、そのことに触れています。

このことに関して私が感じるのは、具体的な事実関係、特に政治家、中川昭一議員や安倍晋三議員とNHKとの間のやりとりについて、例えば呼びつけたのか呼びつけなかったのか、あるいは具体的に圧力があったのかなかったのか、これは当事者間で事実関係を煮詰めてもらわないと、我々には必ずしもはっきりしない部分ですから、あえてそのことについてコメントしません。

ただ基本的に、政治家、特に政府の要職にある人が、メディアに対して具体的な問題について説明を求める、あるいは(メディア側が)説明に行くということ自体、私は政治とメディアとの距離感からいって、非常に違和感があります。

予算の説明に行くというのなら分かりますが、そのときに予算説明に関係ない人が付いて行って、どの程度深いやりとりがあったのかは分かりませんが、しかし、特定の番組についての意見交換があったということであれば、そのこと自体、私は問題であると。

この問題の最大の問題は、メディアと政治との距離感の問題でありますから、私は説明に行ったほうも見識がなく、メディアとしての自覚に欠けていると。求めた(当時の)官房副長官、安倍さんですが、そのほうも自らがどのような立場にあるかということを理解していないと考えています。

今後のこととしては、私はNHK側には、事前に説明に行くことはしないということを明確にしていただきたいと。これは現NHK会長が就任挨拶に来たときにも、私は強くそのことを申し上げておきました。

明確な返事はありませんでしたが、やはりメディアとしての気概を持って、具体的な問題についての事前説明はしないと。「事前説明には2種類ある」などという、よく理解できない言い逃れをするのではなく、そこははっきり「しない」と言い切られることが、私はNHKに限らず、メディアが国民から信頼されるための必要条件ではないかと思っているところであります。

<質疑応答>

橋梁談合問題への民主党の追及体制

【記者】橋梁談合の問題で、民主党としてどのような体制で追及していくか、代表のお考えをお聞かせください。

【代表】先般つくりました対策本部の中で、運動体としては、この問題を取り上げていかなければならないと思っています。

もちろん政策論としては、『次の内閣』の国土交通部門、あるいは直嶋さん(規制改革調査会)のところも含めて、しっかりとした議論をしていきたいと思います。

当面は、やはり国会において事実関係を明確にしていくことが必要だと考えています。同時に、これが「道路公団を民営化したからこのような問題が表に出てきたのだ」というトンチンカンな説明をする人もいますが、このまま民営化してしまうと、よりヤミに入ってしまうおそれもあり、天下りなども全くノーチェックになってしまいますから、我々としては道路公団の民営化の凍結法案を提出しているところです。

道路公団総裁の責任

【記者】その関連で、近藤・日本道路公団総裁に関して特に責任を問うようなことはしないのでしょうか。

【代表】既に総裁になって随分時間も経ちますから、当然、責任はあると考えています。

参院郵政法案採決

【記者】郵政民営化について、かつてから党内には郵政改革について幅広い議論があるわけですが、衆院と同様に参院でも本会議採決で、党内に造反なく結束して対応できるとお考えか、お伺いします。

【代表】この前申し上げましたように、小泉総理以下いろいろなご発言もいただいていますが、我々は全く根拠のないことであると考えています。

この政府の提出の郵政関連法案について、これを反対する、そして否決ないしは廃案に持っていくことについて、党の中で一致結束していると思っています。

【記者】週末に片山・自民党参院幹事長が、郵政関連法案を8月5日にも本会議で採決したいとの意向を示していて、今日の民主党の役員会でもそうした日程について話し合いをされたと思いますが、代表はどのようなご見解をお持ちでしょうか。

【代表】まず審議について、なかなかいい審議が行われていると聞いていますが、審議が途中ですから、まだそうした出口のことを議論する段階にはないと考えています。衆院と参院の(審議の)やり方も違いますし、公聴会などを開けば採決間近ではないかという意見もありますが、衆院的にはそういう部分もあるかもしれませんが、参院は参院の今までのやり方もありますから、まだまだ審議は尽きていないと思っています。

また、衆院では中間的な(総括議論で)総理出席の議論の場もありました。そういうものもまだなされていませんし、峠を遠くに見ていま一生懸命に議論し、一歩一歩歩んでいると。でも、まだ峠は遠いなあと。こういうことではないでしょうか。

法案修正の可能性

【記者】法案の関連で、昨日、小泉総理が自民党の役員会で、法案の再修正の可能性を重ねて否定していますが、これまでの小泉総理の言動から見て、どのように見ているでしょうか。

【代表】衆院の修正のときには「絶対に修正しない」と言って、翌日修正されたら、「いい知恵を出してくれた」と180度翻ったわけです。衆院のときは「絶対に修正しない」と。参院のときは「毛頭考えていない」と。「絶対」と「毛頭」というのはどのような関係にあるのか分かりませんが、「毛頭」のほうが弱いですから、そういう意味では、総理も弱気になっているのかなと、そのように思います。

いずれにしても、一晩寝たら180度違うことを平気で言う総理ですから、ほとんど何の意味もないと考えています。

7月19日

○7〜9月の活動について常幹決定、仮に選挙が早まっても対応できるよう

○参院候補者選考基準:3人区以上は必ず女性を入れるなど4項目

○参院で郵政審議がスタート、「丁寧に」と言いながら単に「ゆっくり」話しているだけ

○アスベスト:党PT設置を決定、全国的な調査と実態把握、被害者支援等対応策を

○女性の地方議員を増やすことも重要、国会議員の候補者にもなり得る

○党員・サポーター登録:期間を延期してもう一度チャンスを、決めたことはきちんと

○候補者は資質で選ぶべきとの議論は常に出るが、女性候補者はハンディがある

○補選候補者:補選だけに囚われず、長く小選挙区で勝てる人を重視すべき

○解散を煽って郵政法案に反対しにくくなれば総理の思うつぼ、冷静に見るべき

○集団安保:党内で議論してまとまれば望ましい、代表があまり言わないほうがいい

○党事務局改革:女性職員の積極登用など職員も戦力アップして政権を

○集団安保の組織論や憲法論は大きな話ではない、現実になすべきことでは一致

○選挙があってもなくても365日走り回るのが候補者、しっかりやってもらいたい

今夏3カ月間の活動

【代表】今日、常任幹事会が役員会に引き続き、午前中にありました。その場でも確認しましたが、今年の夏の過ごし方、夏休みではありません、7月、8月、9月をいかに密度の濃い地域活動を行うかについて、具体的な指示を決定しました。

まず、ポスターをしっかり貼ってくださいということで、党がそのことに対して、多少資金的な支援をしながら、しっかりと自分のポスターを選挙区に貼っていただくことを決めたところであります。

同時に、当選1回生、あるいは候補者については「チューター」と呼ばれる指導教官がいますので、それぞれ選挙区を必ず一度は回って、実情把握に努めコミュニケーションをしてもらいたいと。

それから私自身が、従来から各候補者のところを順次回っています。今週も北海道に行くことになっていますが、この7月、8月、9月と、なるべく週末などを利用しながら、少しでも多くの当選1、2回生、あるいは候補者のところを回って行こうと思っています。そしてご希望があれば、党幹部が手分けして、基本的には200以上の選挙区がありますが、そこに誰かが必ず行くと。ハコモノ(屋内)等で演説会など開くときには、必ず党幹部が要請に応えて行くということも決めましたので、密度の濃い地元活動をしてもらいたいと思っています。

もちろんこれは、直ちに解散があるという想定に立つものではありません。基本的にはその可能性はそう高いものではないと考えていますが、しかし何があるか分からないのが政治の世界ですから、仮に解散・総選挙が早かったとしても対応できるように、とにかく全力を挙げて活動してください、ということをお願い申し上げました。

もちろん「全力を挙げて」というときに、「コストをあまりかけずに全力を挙げて」と申し上げておきましたが、いつ解散があっても「間に合わなかった」ということでは済みませんので、しっかりとした対応をしていただきたいと思っています。いざ選挙になったときの事務所をどこに構えるかとか、どういう手順で作業を進めるかとか、そうしたことも含めて、それぞれの候補者において、一応スケジュールに当たりを付けておくことも重要なことかと思っています。

参院選の候補者選考基準

【代表】それから、今日の常任幹事会ではもう1つ、参議院の候補者の選考基準について決定していただきました。先般、地方議員について決定しましたが、それに引き続いてのものであります。

この特徴は4項目あるのですが、そのうちの第2項目、つまり2人区において候補者を精査するということをあえて書き込んだわけであります。2人区というのは、民主1、自民1となりがちな安定区でありますので、そうしたところについて、現職だからといって当然のようにそのまま候補になるのではなく、もちろん現職が基本的に優先されるという前提の上ですが、より良い候補者をきちんと選ぶという作業を行っていきたいということ。これは選対委員会の主導でその項目が入ったわけであります。私があえて「入れてくれ」と言ったわけではありません。

私があえて「入れてくれ」と言ったのは、第4項目で、3人区以上は複数(候補者を)立てるということを確認したうえで、そのときに女性の候補者を1人は入れるということを入れていただきました。

3人区以上といいますと、現時点では東京、神奈川、埼玉、愛知、大阪でありますが、前回の参院選では大阪以外は2人立てたわけであります。今回は立てる際に、もちろん2人女性でも構わないのですが、1人は女性に、ということを確認させていただきました。女性議員の数を国政レベルでもこれから引き上げていかなければならないなかで申し上げたことであります。

郵政関連法案参院審議

【代表】それから、郵政民営化法案についての参議院での議論が参議院で正式にスタートしました。私は今日の審議についてちょっと見ていませんが、小泉総理も「丁寧に」と言いながら、実はほとんど中身のないことを「ゆっくり」お話しになっているという感じがします。

昨日の夜、私は先週金曜日(15日)の国会審議の模様を、一部は委員会室で江田さん(参議院議員会長)の質疑などは傍聴しましたが、それ以外は見る機会がなかったものですから、DVDに落とした映像で、昨日の夜2時間ほど見ていました。

小泉総理があまりにもゆっくり話すものですから、2倍速で全部通して見ましたが、それでも十分聞き取れるわけで、ゆっくり話すことと丁寧に中身のある答弁をすることは違うわけで、もう少し国民に対して民営化の必要性について説得力を持って語らないと、単にゆっくり話しているだけでは意味がないと思いました。

私たちは郵政民営化の必要性について大いなる疑問を持っていますので、この審議を通して廃案・否決に追い込むために、しっかりとした議論をしていきたいと考えています。

アスベスト問題

【代表】最後にアスベストの問題について、党内でプロジェクトチームをつくることを決めましたが、私もチャンスがあれば現場に足を運びたいと考えていますが、いずれにしても、これは政治あるいは行政の取り組みが遅れた、その結果として多くの方が亡くなったという問題であります。

まさしく政治がしっかりと、こうした問題に取り組んでいかなければならないと改めて感じるとともに、とにかく、まず全国的なしっかりとした調査が求められていると思います。特に、関連の工場などがあった周辺住民の皆さん、非常に不安感を持っていると思います。しっかりとした実態把握、それに基づく対策、被害者の皆さんに対する支援などについて、早急に党としても対応策を考えなければいけないと考えているところであります。

<質疑応答>

参院女性候補者の割合/党員・サポーター登録の目標未達

【記者】先ほどの参院選候補者の擁立方針についてですが、女性候補者の割合は、どのくらいの議員の割合になればいいとお考えか、もう1つ、党員・サポーター登録について、目標には届いていない状況についてどのようにお考えか、お聞かせください。

【代表】まず、国会議員レベルでの女性の政治家について、私は10年後3割と申し上げたことがあります。今回の参議院選挙についてはなるべく増やすという方針を確認していますが、数値目標は特に置いていません。ただ、2人立てるところには必ず1人は(女性候補者を立てる)。

それから、すでに参議院の候補者を決めたところで、香川などはもう女性の候補者で決まっています。1人区も女性候補者を積極的に擁立していきたいと思っています。

同時に重要なことは、地方議員に女性を増やすことで、この方針は女性候補者の地方議員選挙における擁立も確認したところでありますが、やはり県会議員、その前の市町村会議員の皆さんに女性が増えてくれば、国会議員の候補者たり得るということになりますので、やや回り道のようでも、そうしたことも非常に重要なことではないかと考えています。

ついでに申し上げますと今日、(党本部)事務局の改革案の骨子が常任幹事会で示されましたが、その中にも女性職員の登用ということが書かれています。最近の非常に組織としてうまく機能している、例えばベネッセとか日産自動車とか、女性の戦力の活用ということが言われています。我が党も、国会議員だけでなく職員も含めて、そうしたことにもっと力を注いでいくべきではないかと考えています。

それから2番目のご質問ですが、情けない話で、党自ら決めて、これも勝手に決めたわけでなく常任幹事会でも確認して、代議士会あるいは参議院議員総会でもきちんとお伝えした目標が、未達の方がかなりいたということであります。期間を少し延ばして、もう一度チャンスを与えたいと考えています。

今日の常任幹事会では、名前を公表すべきだという意見も出ていました。私は「まず常幹メンバーくらいは公表したほうがいいかもしれませんね」ということを申し上げたのですが、いずれにしても「決めたことはきちんとやる」という党でありたいと思っています。いろいろ忙しいこともあったと思いますが、期限を延長したなかで確実に進めていただきたいと期待しているところであります。

【記者】それに関連して、「3人以上のところで複数」というのは、基本的には2人と考えていいのでしょうか。また、女性候補の件については党内で、男女の別ではなく資質で選ぶべきではないかという意見もありますが、これについてはどのように思われるでしょうか。

【代表】基本的に2人と考えるのが常識的でしょうね。もちろん、これから選挙制度が若干変わる可能性も、選挙制度そのものではありませんが、東京がさらに2人(定数が)増えるとか、そういうこともあるかもしれまんので一概には言えませんが、基本的には複数というのは2人と考えていただけたらと思います。

資質で選ぶべきだという議論は常に出てくる議論ですが、私も女性に特定の枠を与えるべきだとか、そのようには考えませんが、しかし同じラインに立って競争しているわけではなく、いろいろなハンディキャップを抱えたうえでの現状ですから、そういう意味では2人のうち1人は女性と。2人とも女性でもいいのですが、そのことを党として言うことは、私は必要なことであると思っています。

東京4区、宮城1区の候補者選考

【記者】今日、最高裁で東京4区の前回総選挙で定数配分が違憲ではないかという裁判が棄却され、総選挙がない場合、東京4区でも補欠選挙が10月に行われることになりますが、宮城も含めて、まだ候補者擁立はこれからの段階でしょうが、どのような視点で候補者を選定し、前回の4月の補欠選挙での反省も含めて、どのような姿勢で臨んでいきたいか、お伺いします。

【代表】前回の補欠選挙での反省というのは、特に候補者の選定についてはありません。私は最善の候補者だったと思っています。

今回も選対委員会を中心にいま人選中であると聞いていますが、詳細は承知していません。特に東京4区の場合は比例での議員もいますので、彼との調整も含めて作業していただいていると思っています。

できれば知名度の高い人が、短期間の勝負ですから、いいかもしれませんが、私の思いとしては、これから長く小選挙区で勝っていける人をより重視すべきであって、あまり補選だけに囚われて人選しないほうがいいのではないかと思っています。総選挙もそう先ではないので、2回の選挙を乗り越えられる人、という視点で考えたほうがいいのではないかと思っています。

解散・総選挙の可能性が小さいと見る根拠

【記者】解散・総選挙に関する代表の認識を伺いたいのですが、先ほどの発言の中でもあまり可能性は高くないと発言され、午前中の常任幹事会でも、人によっては自爆テロという人もいて、自分もこのタイミングで解散することはわけが分からないという趣旨の発言がありましたが、総理が解散を打つ可能性が低いと見る根拠について、どのような視点で見ているのか、教えていただけますか。

【代表】常識的には低いと考えるのが普通と思います。しかし、メディアが煽っていると思います。そして、そのような中で、法案に反対しにくい雰囲気が醸成される可能性もあると。それはまさしく小泉総理の思うつぼになってしまいますので、そういうことも含めて、私としては冷静に見るべきだということを申し上げているわけです。

もちろん可能性が高くないと言っても、それはあるかもしれません。したがって、先ほど申し上げたような準備だけはしっかりしておくということであります。むしろメディアの皆さんに、なぜ高いと考えているのか、そのこともお聞きしたいと思うくらいであります。

党の中ではいろいろな立場で、99%と言われたり、50%と言われたり、いろいろな方がいます。今日の常幹でも申し上げましたが、もう少し冷静な見方をしたほうがいいのではないかと思っているところであります。

選対本部の設置

【記者】選挙に関連しますが、選挙対策本部などはお考えになっていますか。

【代表】選対本部は時期を見て設置したいと考えています。というのは、いまの選対本部は都議選に関する選対本部でありますので、事実上、いま選対本部はありません。しかし、補選も近づいてきました。それから(解散・総選挙の)可能性もゼロとは言えないということでありますから、いざというときに直ちに活動できるような状態にもしておく必要があります。そういう意味で、主として補選対応を中心に選対本部を立ち上げるべきではないかと考えています。

国連決議と集団安全保障

【記者】先立って集団安全保障基本法の議論が党内でも行われているかと思いますが、代表自身としては、国連決議があった場合に武力行使そのものを任務とする活動への参加が可能とお考えでしょうか。

【代表】これはいろいろ経緯のある話ですが、私が代表になって以来、このことについて方向性を出して発言をしたことはありません。9月の(昨年の代表選の)段階でも、A案、B案2つの考え方があると明記して、党内で議論してもらいたいと申し上げたところであります。

私はあまりこれは、郵政民営化ではありませんが、安全保障の中で大きな課題ではないのではないかと思っていますが、いずれにしても党の中でしっかりと議論していただいて方向性が定まるのであれば、それが一番望ましいと。代表があまり「A案だ、B案だ」と言わないほうがいいと考えています。党がまとまらないときには、私なりにリーダーシップを発揮して、どちらかに集約することはあるかもしれませんが、党の中で多くの方が「これで行こう」ということであれば、それはそれで1つの答えだと思っています。

いずれにしても、いま出されている案は、いまの憲法上どうかという問題であり、どこまで日本がやるべきかという話でもありまして、それは裸のむき出しの武力行使までは、そこまですべきだという意見は、いずれにしてもないと思うので、その点では憲法解釈という点で議論が分かれていても、実態のどこまでやるべきかというところでは、ほぼ収束しているのではないかと思っています。

党事務局改革案の意義

【記者】今日報告があった党の事務局改革の意義についてお聞かせください。

【代表】これは私が幹事長時代から取り組んできたことで、だいぶ遅くなったなという感じはしますが、平野幹事長代理を中心に基本的考え方をまとめていただいたことで、私は非常に評価しています。

やはり、党ができて随分時間が経つのですが、いろいろなことが不足しているというのは、私が幹事長時代に痛切に感じてきたところで、組織としての基本をしっかりつくるということは極めて重要なことだと思います。職員の皆さんが気持ちよく、そして政権交代へ向けて誠心誠意努力していける体制をつくっていくことは大事なことだと思っています。

私が幹事長のときには、人事について「人事委員会」をつくり、そこで評価して決定する仕組みはつくりました。もう1つは予算の執行について、最終的にそれぞれの、政調なら政調会長とか、党務の委員会なら委員長とか、政治家が最終的に了承したうえで予算を執行する体制もつくりました。

そういう部分的に、骨格のところはできているのですが、全体の職員の皆さんにいい環境の中で働いてもらう仕組みは、トータルとしてはまだできていませんでしたので、今回の報告は結論ではありません、論点整理に近いものでありますが、それを基に早くしっかりとしたものをつくりあげていただきたいと思っています。政治家だけで政権を取れるわけではありませんので、職員にも戦力をさらにパワーアップしてもらいたいと思っています。

集団安全保障と別組織論

【記者】先ほどの集団安全保障の代表の発言の中で、「これは安全保障の中であまり大きな課題ではないのではないか」という発言のうち、「これは」というところについて確認したいのですが、自衛隊とは別組織をつくるべきかということについて言われているのでしょうか。

【代表】それは1つあります。ですから、別組織論というのは本質的な議論ではないということは、私は何度も申し上げています。別組織がダメだと言っているわけではありませんが、別組織にしたからこういうことが新しくできて、自衛隊の中ならできないということではなく、よりどちらが機能的かという観点で議論したらいい話ではないかと。絶対どちらでなければいけない、ということではないと思います。

それから憲法論ですね。憲法論についても、どこまでいまやるべきかというところは、私は党の中でそれほど意見は違わないと思いますので、そういう意味で、それがいまの憲法上どのように位置づけられるかについて、何か外交ビジョンを書くと「ここがないと画竜点睛を欠く」というようなコメントもよくなされるのですが、現実に行うべきことについては一致している以上、憲法上どうかという、一種の解釈論ですから、そこに非常に大きなウエイトを置く話ではないのではないかと。逆に言えば私はいずれの結論でも、党の中がそれで1つにまとまるならそれで結構だと考えているところです。

選挙対策の準備状況

【記者】解散の可能性はそう高くないと言っていましたが、一方で選挙の準備を着々と進めていると思うのですが、これまでの準備状況について代表は順調と評価するのか、もう少し準備を急いだほうがいいとお考えか、お聞きします。

【代表】「準備」というときに、党本部ベースの話と個々の選挙区ベースの話があるのですが、個々の選挙区ベースの話はよく分かりません。

ただ、少し鼓舞しないと、本当はそのようなことは自分で感じとって必死で動かなければならないし、もっと言えば、選挙があろうがなかろうが、365日必死で走り回ると。それが候補者というものだと私は思いますが、必ずしもそうでない人もいるのかもしれません。

よりお尻にムチを当てるために、政調会長や選対委員長がいろいろな表現をしていただいていると思います。これで動かないのなら「あなたは無理だよ」ということだと思いますね。しっかりやってもらいたいと。そのことが、仮に選挙が来年後半であったとしても、絶対に役に立つ必要なことであると思っています。

党本部ベースでは静かに、しかし、しっかりとした最低限の準備はしておくという方針で進めているところであります。いざとなって「間に合いませんでした」ということでは話にならないので、何があってもいいような準備はしておきたいと思っています。

集団安全保障と憲法解釈

【記者】先ほどの集団安全保障基本法の話の中で、憲法論についてはどこまで今やるべきか、ということについては、党の中では意見はそれほど違わないと発言されたかと……。

【代表】いや、言っていません。現実にどこまでやるべきか、ということについては、党の中でそれほど違いがないのではないかというふうに思います。つまりPKOなどについて国際的なスタンダードに合わせるところまでは拡大すべきだということ、これはどちらの案もそうだと思うのです。それから湾岸戦争型の多国籍軍に参加してフルに活動することも考えていないというところも、私は両説いずれに立つ人も、結論は同じではないかと思っています。そういう意味では、実態のところでいま何をやるべきか、というところはほぼ一致していると、私の理解ではそういうことであります。

問題は憲法解釈のところで分かれるということです。それがどちらにしろ一本化されるのなら、私はそれでいいのではないかと思っています。だからといって、将来、憲法改正しなくていいとか、そういう議論とはまた違うわけで、それは創設的に改正するのか、確認的に改正するのか、ということの違いに過ぎないわけであります。

7月12日

○総理の解散発言は腹立たしい、国民不在、不信任で解散という二重の誤り

○6カ国協議に期待できぬ、核は具体的進展の道筋見えず、拉致は議題にもならず

○イラク自衛隊は米国のため、給水終了をもって撤退すべき、その出口戦略を

○自民郵政反対派とは目的は同じだが理由が異なる、緊密な連携も選挙応援もない

○今夏は政権を取るために極めて重要、地元を歩いて解散に向け最後の仕上げを

○橋梁談合:談合の後ろの官、その後ろに政治の影、これを打ち壊すのが政権交代

○天下りは全廃すべき、しかし経団連会長が発言を撤回するほど官の圧力は強い

○訪中:国交回復以来最悪の政治状況、関係改善に向けて汗をかきたい

○空白区の候補者擁立、ポスター貼りの義務付けなど選挙に対応できるよう準備

総理の解散・総選挙発言

【代表】まず内政ですが、小泉総理のいろいろな解散・総選挙に関する発言が行われています。一部メディアもそのことについて取り上げていますが、私は極めて腹立たしいことだと思っています。

まず国民の立場から見たときに、郵政の法案は、そもそも関心がないし、この国会で決着を付けるべきではないということが、国民の多くの意見だと思います。その中で、郵政一本槍で国民が見えていない総理、国民不在の政治が行われていることに対して怒りを覚えています。

その法案が否決されたときに、総理ご本人も「そのことは不信任である」と認めながら、自ら不信任されながら解散するということも、これまた極めておかしなことであり、小泉総理は二重の誤りを犯していると思います。1つは郵政の問題しか見えていないということ、そしてその郵政問題が否決されたときに解散するということ。総理としての基本的な状況認識に、根本的な間違いがあるのではないかと思っています。

もちろん、今日の役員会で確認しましたが、我が党は解散があれば堂々と受けて立ちますし、そのこと自身は大きなチャンスですから、解散になるということは歓迎すべきことではありますが、しかし国民の立場から見たときに、全く国民不在の、独りよがりを通り越した国民無視の政治が行われていることに対しては、厳しく批判しておきたいと考えています。

年金の問題や、サラリーマン増税の話、あるいはアジア外交、そうした多くの政治が正面から取り組まなければならない課題があるなかで、小さな郵政民営化というワン・イッシューに取り付かれたようになっている小泉総理の姿は、私は正常ではないと考えています。

6カ国協議の再開

【代表】そういう中で6カ国協議が行われることが本決まりになったということですが、これも従来の近隣外交の、中国や韓国に対する非常に長期的な視点を欠いた外交の結果として、6カ国協議の中身もあまり期待できない状況になっているのではないかと思います。

かねがね申し上げてきたように、そうした国々との信頼関係がないなかで、日本の国益を実現することはできない。

例えば、拉致の問題は議題にすらならないのではないかと予想されています。アメリカはもちろん、中国や韓国に対して拉致の問題を取り上げるように説得をすべきところを全くできていないと。空回りに終わっていると思います。そういう中で、拉致問題の解決が遠のいているように思えます。

核の問題についても、久しぶりに開く6カ国協議ですから、具体的進展がなければならないと思いますが、その道筋は全く見えていない状況、あるいはアメリカ任せの状況になっているのではないかと思っています。

そうした八方ふさがりの内政・外交の現状にあることを非常に憂えています。

イラク問題

【代表】もう1つ外交案件でイラクの問題ですが、自衛隊を取り巻く状況は非常に厳しいものになってきています。最近は、自衛隊の皆さんは宿営地から外に出ていないという話も聞きますが、何のために自衛隊が派遣されているのかということが、従来以上にその意義が失われてきていると思います。

イギリスのサマワからの撤退ということも言われていますので、私は元来、自衛隊がサマワにいることについて法律要件を満たしていないということを申し上げていますが、仮に今までの自衛隊駐留を肯定する立場に立ったとしても、12月に向けて明確な出口戦略を組み立てるべき時期に来ていると思います。

イギリスなどでテロがあったから、今引くことはテロに屈することになるという意見もありますが、まさしくそのようなことを言っている限り、いつまでも撤退できないということになるわけで、ここは堂々と自衛隊の活動が一区切り終えた、つまり給水事業を終えたということをもって撤退する、そのための出口戦略を描いていくべきだと考えています。

アメリカのために駐留しているということが、ますます明らかになりつつある状況で、自衛隊に対する危険もより高まっていることも申し添えておきたいと思います。

<質疑応答>

自民党郵政民営化反対派との連携

【記者】先週、郵政民営化法案が衆議院を通過しましたが、その中で廃案を目指して自民党の反対派に対し、もし造反した場合は選挙で応援するというようなことを党として考えたことがあるのか、また、今後参議院でも同様に採決があると思いますが、それに向けて自民党の反対派に向けてどのようなアプローチをしていくか、その2点についてお伺いします。

【代表】このことは従来から申し上げています。法案を廃案に追い込むという目的は共通ですが、その理由は全く異なるわけで、その意味で緊密な連携をすることはありません。当然、選挙で応援するということも、そういう話も飛び交いましたが、私はそういうことを申し上げたことはありません。

参院郵政特別委員会の民主党メンバー

【記者】今日、参議院の郵政特別委員会の民主党側のメンバーが決まりました。理事を含めて、そのメンバーについての印象と参院での戦い方を改めてお聞かせください。

【代表】参議院における戦いの目的は極めて明確でありまして、廃案ないしは否決するということであります。否決は民主党だけでは否決できませんから、そういう意味では廃案に追い込むということが基本線であります。

今回のメンバーは、そうした我が党の目的を達するために、様々な要素を勘案して、ベストのオーダーを組んだものです。

【記者】参議院の郵政民営化特別委員会の戦い方について、もう少し詳しく、例えば、14日の委員長互選に未だに応じていないなど、参議院の民主党のほうではあまり明確に説明していないのですが、どのようにお考えかをお伺いします。

【代表】どのように戦うかということについては、それは申し上げることはありません。

政権戦略委員会での議論

【記者】郵政にも少し絡むのですが、今日の政権戦略委員会で、早期解散も視野に入れながら作業を早めに進めていこうという話になったと聞いていますが、その中で政権を取ったあとのプランについて、この1カ月の間でまとめていく話になったというブリーフがあったのですが、解散ある・なしの今の代表の基本認識と、プランを早めにまとめることの意味について、お聞きします。

【代表】誰がブリーフしました?

【記者】枝野さん(政権戦略委員会事務局長)です。

【代表】基本的に、常識的には来年後半の解散という私の考え方は変えていません。ただ、最近の状況を見ると、今年の後半の解散の可能性も出てきたし、あるいは否決されたとき、または廃案になったときの解散の可能性もゼロとは言えないということですから、そうしたことも念頭において考えていかなければならないと思います。

ただ、直近の解散、つまり否決・廃案の場合の解散は、我が党にとっては大きなチャンスですから、そのチャンスをしっかり活かすという意味で最低限の準備はしておくということであります。

私は従来から申し上げているのですが、今年の夏は政権を取るために極めて重要であります。地盤のまだ固まっていない皆さんは、この7月、8月、9月、しっかりと地元を歩いて、そして将来の解散に向けて基礎固めをする最後の仕上げの時期に当たります。そのことを基本にしながら、仮に解散が早まったとしても対応できるような、そうした準備が必要であるということです。

【記者】「300日プラン」ということの持つ意味については。

【代表】「300日プラン」?

【記者】つまり、政権を取ったあとに、民主党が第1段階ではこうする、第2段階ではこうする、ということのバージョンアップを図ると聞いたのですが。

【代表】これは私がお願いしていたのは、まず鹿野道彦先生が中心になって1998年にまとめていただいた政権運営委員会報告書があります。これは非常に優れたものだと思っていますが、その後、内閣法の改正などもありましたので、これをバージョンアップしてもらう作業が1つ。

それから、前回の総選挙前に作った「300日プラン」について、その「300日プラン」というのは、衆議院と参議院の選挙の時期を視野に入れながら作ったものであります。今回、来年後半の解散ということになりますと、参議院まで約1年ある。そして今年の8月解散となると2年あるわけであります。その間は参議院ではマジョリティー(多数)が取れない状態ですから、その間にどうするかを中心に「300日プラン」を改定する必要があるということです。

一応、2つのケースを考えておかなければならないと思います。

道路公団橋梁談合事件

【記者】別の話ですが、今日、道路公団の橋梁談合事件で、公団の元理事が逮捕されました。民主党は談合問題について厳しい対応を求めている立場だと思いますが、この件についてのコメントをお願いします。

【代表】官製談合ということは、従来から指摘されたところであります。だからこそ、かつて我々は官製談合防止法の中で、官の側も罰する規定を是非盛り込まなければならないという主張をいたしました。しかし、それは与党によって否定されたわけであります。なぜ否定されたのかということが、段々明らかになってきているのではないかと。

つまり、現実に官製談合がかなり広範に行われているし、あるいは官の後ろに、さらに政治という影がちらつくわけであります。それを根絶することは、今の官製談合によって利益を得ている人たちがいる与党ではできないことがはっきりしたし、法案にかつて反対した、罰則を官側につけることに反対したということは、そのことを裏付けるものだと思います。

政権を代えて、しっかりとした官製談合を全廃するための思い切ったメスを入れていく。それも我々、政権準備党である民主党の、政権を取ったときの大きな仕事の1つであると思います。

官製談合というのは、結局、税金のムダ遣いということですから、納税者が払った税金が有効に使われていないと。わざと高いものを買わされている。それによって、民間も利益を得ているが、官の側も、あるいはその後ろにいる、まだ影しか見えませんが政治家も利益を得ている、という構図です。これを打ち壊せるのが政権交代だろうと思っています。

マニフェスト策定作業

【記者】早期解散もある程度視野に入れて、ということですが、その場合、マニフェストを今度の総選挙でも作ることになるのだろうと思うのですが、その作業日程などはどのようになるとお考えでしょうか。

【代表】それはもうちょっと状況を見極めて考えたらいいので、その可能性が高いと私たちは思っているわけではありません。したがって、そうした作業まで急ぐ必要はないと思います。

ただ、私が申し上げたいのは、まだ基盤が固まっていない人たちに、どうせこの夏はしっかりとやらなければならないときなので、解散の可能性が少しでも出てきたということであれば、より必死になって、地元の中で活動してもらいたいと。解散の可能性が出てきたということは、そのハッパをかける材料としても悪くはないと思っています。可能性が高いというふうに思っているわけでは決してありません。

天下り禁止

【記者】橋梁談合事件の関連で、天下りの問題について、改めて代表のお考えをお聞かせください。

【代表】我々は天下りを全廃するという考え方に立っています。奥田・経団連会長が一度はそうした趣旨の発言を今回されながら撤回されたのは、それだけ官側の圧力が強いと。天下の経団連会長をもってしても、その圧力に抗しきれないということを示すものだと思います。

もちろん、それでは公務員が若くして職を離れた場合にどうするのかという議論はありますが、それは天下りをなくすことをまず決めたうえで、周辺の問題の対応を検討すればいい話であって、いろいろな周辺の問題があるからといって天下りを認めるということにはならないと思います。それは順序が逆だと思います。

それから、先ほどの(郵政法案に対する戦い方についての)ご質問ですが、私はいつも、プロセスは申し上げないと。戦略、戦術に関することは言わないことを申し上げていますので、あしからず。

訪中

【記者】代表は当初の調整では、7月中旬ごろに訪中することで中国側と調整されたと思うのですが、今後の見通しと、行った場合に、どのようなことを目的として再度日程を組み立てていくのか、お聞きします。

【代表】まず、私は公式に日程について何かを申し上げたことは今までありません。そして当面、その計画は具体的にないということも、あわせて申し上げておきたいと思います。

訪中は、遠くない将来、是非果たしたいと考えていますが、それはある意味で国交回復以来、政治の世界において最も悪い状況にある。それを今の小泉総理で解決できないということであれば、政権準備党の代表たる私が、少しでも日中関係の改善に向けて汗をかきたい、努力したいということです。

解散・総選挙に備えた準備

【記者】しつこいようですが、仮に解散が早まった場合、代表ご自身が、先ほど最低限の準備をしておくとおっしゃいましたが、これは最低限やっておいてほしいと、具体的に現段階で指示したことは、どのようなことがあるでしょうか。

【代表】これは解散ということを念頭に置いて行うものではありませんが、まず候補者の皆さん、議員の皆さんに心づもりをしっかりしてもらいたいということです。それは解散が必ずあるということではなくて、仮にあったとしても対応できるような準備はしておいてもらいたいと。

そして同時に、先ほど申し上げましたように、いずれにしてもこの夏は大事だから、しっかり活動してもらいたい。例えば、ポスターは必ず貼ってもらいたいと思っています。これは具体的に指示を出そうと思っています。私の選挙区は当然、ポスターを貼っていますが、なかなかポスターすら貼っていない候補者もいるようですから、ポスターを少なくとも一定数貼るということは義務付けたいと考えています。

それから、仮に解散になった場合には、空白区について暫定的に候補者を埋めることができる準備もしておかなければならないと。そのように考えています。

メディアの皆さんも、解散風を一生懸命煽り立てることに熱心なようにもお見受けしますが、国民不在の解散騒動であることは間違いありませんので、私たちは冷静に、この問題には対応していきたいと思っています。

7月5日

○郵政採決:総理に対する事実上の不信任、この事実を重く受け止め即刻退陣を

○不信任案を出さなかったのは郵政廃案という最大の目的のためのベストの選択

○直前になって自らの信念を翻した自民党「反対派」を有権者はきちんと判断する

○都議選:同一選挙区における複数候補擁立方針は正しかったと自信を持っている

○衆院郵政特審議では現場は非常に頑張った、かなりいい議論がなされた

○退陣しないなら「求心力のない総理」、参院で郵政法案を否決するチャンス

○総理はサミット行きもよく考えたほうがいい、行って辞めるという選択肢もあるが

衆院本会議における郵政関連法案の採決結果

【代表】私から申し上げることは、ただ1点だけであります。

先ほどの衆院本会議における郵政関連法案に対する採決の結果が出ました。あらゆる恫喝、つまり、除名処分や公明党が選挙で応援しないことなど、あらゆる恫喝手段を用いながら、わずか5票差の結果であったということは、小泉総理に対する事実上の不信任だと考えています。欠席者も含めれば、この法案に対して支持しないという意見が明らかに多かったことも事実であります。

そのことを踏まえ、小泉総理はこの事実を重く受け止め、即刻退陣すべきである。そのことだけを申し上げておきたいと思います。

<質疑応答>

不信任案などの手段を取らなかった理由

【記者】民主党としては、竹中大臣の不信任案を始め、いくつか党としての手段を取ることも検討したと思うのですが、取らなかった理由についてご説明をお願いいたします。

【代表】我々は郵政関連法案を廃案に追い込むことが最大の目的ですから、その目的に向かってベストの選択をしたと考えています。

自民党「反対派」に対する評価

【記者】代表はかねて自民党の(郵政民営化)反対派の方たちに、「日頃威勢のいいことを言って、いざというときに立ち上がらないというのではおかしい」と、決起を促していたと思いますが、今日の結果に関し、自民党の反対派についてどのように評価しますか。

【代表】「反対派」と一言で括るようなグループがあるわけではありません。したがって、自ら信念を通して青票を投じて反対した皆さんには、我々と目指すところは違うかもしれませんが、「廃案」という一点においては一致していますから、政治家として信念を貫かれたことについては敬意を表したいと思います。

ただ、直前になって自らの信念を翻した方もたくさんいます。そこは有権者がきちんと判断されることだろうと思っています。

今後の法案対応

【記者】衆議院では可決されましたが、参議院もありますし、今後のこの法案をめぐっての戦い方をどのようにお考えかお聞かせください。

【代表】最初に申し上げましたように、事実上これは否決されたと受け止めています。したがって小泉総理は、それを重く受け止めるべきだと考えています。重く受け止めて退陣すべきだということです。

民主党の方針決定プロセス

【記者】今回の民主党の方針は、最終的に法案が否決される可能性が高いという判断で方針を決めたのか、それとも今回の結果のような僅差になるという見通しに立って判断されたのか、どちらでしょうか。

【代表】プロセスのことは申し上げません。我々は否決を目指して最善の道を取ったということであります。メディアの皆さんがその途中で対案を出すべきだとか、いろいろ言われました。我々としては信念を持って最善の道を歩んできたつもりです。対案を出せばこういうことにはならなかったと思います。

都議選における同一選挙区複数候補者擁立方針

【記者】都議選のことでお伺いします。都議選に今回、複数の公認候補者を立てたのが11選挙区で、うち複数当選が5選挙区だったこと、また、1人しか通らなかったところで現職が落ちてしまったところが3選挙区ありましたが、このことについて代表はどのように評価されるのか、お願いします。

【代表】1つの選挙区で誰が通って誰が落ちたかということは、それぞれの候補者のこれまでの努力と力量の結果ですから、もちろん不運な面もあったかと思いますが、そのことについて私が何かコメントすることはありません。

できれば複数立候補、3人という選挙区もありましたが、全員当選してもらいたかったと考えますが、チャレンジしなければ議席は増えません。今回の方針は正しかったと思っています。

今日も常任幹事会で、早速、(再来年4月の)統一地方選に向けて、道府県および政令指定都市について、12月までにそれぞれの県連で方針を立てる。そのことを選挙対策委員会に相談して方針を立て、候補者の擁立も急ぐようにと決定していただきました。

都連の場合ももう少し早く候補者を立てていたら、もっと当選者は増えたはずであります。都連が方針通りにきちんと候補者を立てていただいたことは非常に多としていますが、1年くらい活動期間があれば結果は全く違ったものになったという思いもありますので、今日の常幹決定をお願いしたところであります。方針は正しかったと自信を持っています。

衆院郵政法案審議の総括

【記者】郵政法案の対応について、今日だけでなく長い目で見て、特別委員会の審議を含め、審議を徹底的に尽くすというスタイルを貫かれたと思いますが、今回の郵政法案をめぐる民主党の対応・流れについてどのように総括しているか、お聞かせください。

【代表】現場に非常に頑張っていただいたと思います。長時間、体力的にも精神的にもかなり大変だったと思います。その中を中井洽筆頭理事を始め委員の皆さん、あるいはそれを取り巻く皆さんが一生懸命頑張っていただいたと高く評価しています。

時間だけではなく中身も含めて、かなりいい議論がなされたと思います。その議論を見て、今回、反対に回った自民党の議員もいると思っています。

郵政問題をめぐる民主党の存在感

【記者】今日の動きですが、結果的に自民党の内部抗争という面がクローズアップされたと思うのですが、対称的に民主党としてはやや存在感が示せなかったのではないかという意見がありますが、これについてはどのようにお考えでしょうか。

【代表】採決に関して言えば、数は決まっていますから、我が党は病欠の1人を除いて全員出席し、反対票を投じています。否決するためには、あとは自民党の中でどれだけの青票(反対票)が出るかということにかかってきたわけですから、疎外感という感じはしません。我々としては我々としての論理でしっかりと固まっていたと。

あとは自民党側が自民党の中で、この法案では納得できないという人たちが賛同しなかったということですから、疎外感という意味はよく分かりませんが、マスコミの報道が少なかったという意味ではそうかもしれませんが、逆に言えば、もう少し委員会の議論にメディアも注目してもらいたかったという気持ちはあります。単なる自民党の中での争いだけではなくてですね。

我々としては政策論も十分行ったと考えています。

総理が退陣しなかった場合の参院対応

【記者】このまま行くと参議院へ送付されるわけですが、先ほどの代表の発言は、参議院の審議以前に、これを否決と受け止めて退陣すべきだという趣旨でしょうか。

【代表】事実上の否決であり、不信任であると受け止めるべきだと思います。小泉総理はこの事実を重く受け止めて、自ら退陣の道を選ばれるべきだと考えています。

【記者】仮に小泉総理が退陣しなかった場合、今後どのように戦っていくか。特に参議院でどのように戦いを挑んでいくかお聞かせください。

【代表】今回、衆議院でこのような結果が出たということは事実上の否決でありますから、そのことはこれからの小泉総理の求心力に対して非常に影響を及ぼすだろうと思っています。「求心力のない総理」ということに、これからなっていくと思っています。

その中で参議院での審議が仮にあったとして、当然、今回の採決結果、これだけいろいろなことを行ってこの結果ですから、求心力のないなかで、参議院において否決を目指すチャンスが広がったと考えています。

サミット

【代表】「退陣」というと、サミットの話とか聞きにくくなるよね(笑)。

サミットに行かれるかどうかもよく考えたほうがいいですね、今のような状況では。もちろん、宮沢元総理のように、行ってから辞めるという選択肢もあるでしょうけれども。




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