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2003.11.17|マスコミ

論点―17 政党の存在意義を問う

題名:政権交代可能な二大政党制こそ日本再生のカギ

ー民主党は必ずその一翼を担う

パイを配分するためだけの政党、自民党

政党の違いを論じようとするとき、米ソ冷戦時代に存在した左右の対立をいまだに前提にする人がいる。いわゆる五五年体制下の自民党と社会党のようにわか りやすいからだが、それは明らかに間違いだ。なぜならすでに冷戦の終焉と同時にイデオロギー対立の時代は終わっているからだ。現在、どの政党も共通の基盤 は民主主義と市場経済であることは論をまたない。

たしかに戦後五八年のほとんどを自民党が政権を担ってきた。いうまでもなく、経済成長を前提とした利益分配型の政治である。しかし、高度成長が終わり、 配分すべきパイが小さくなったとき、自民党はその存在意義を失い、特定の人たちにパイを配分するための利権政党に堕ちていった。彼らのいう改革が見せかけ であり、政権の座にいること自体が自己目的化した政党だといわれる理由である。

私が立候補したのは九〇年である。まだ改革を目標に掲げる政党はなく、日本の未来に責任を担える政党は自民党以外にはなかった。しかし、このとき自民党 は、リクルート事件に代表される腐食が党の中枢にまでおよんでいた。私は政治改革を訴えて当選したが、党にはすでに自浄能力が残っていなかった。存立基盤 を失った政党から私が離党するのは時間の問題であった。

合流によって大きく近づいた二大政党制

民主党はそうした利権とは無縁の、いやむしろ、そうした政党を否定したところからスタートしている。

では、民主党の目指すものとは何か。それは第一に、強い経済を再生させ、これを持続させること、第二に、競争の結果生じてくる不公正を是正すること、そ して、この二つをいかに両立させていくか、である。日本政治のあり方を大きく変える――政権交替の可能な二大政党制は、民主党のもう一つの目標である。近 い将来二大政党になることを前提にして、自民党との大きな違いをあげるならば、自民党が生産者の立場に立った政治と、日米同盟を中心に据えた外交を展開し ているのに対して、民主党は生活者にウェイトをおき、日本の主体性を重視した外交を行う、そしてその手段の一つとして日米同盟があり国連がある、と考えて いる点だろう。

先だって私たち民主党は自由党と合流を果たした。これで二大政党制に大きく一歩近づいたことになるが、民主党の中には二つの勢力があって一枚岩ではな い、とよくいわれる。そして、よく引き合いに出される意見の違いが安全保障政策だ。たとえば有事法制について、一方が積極的で、もう一方の側が積極的では ない、という批判である。しかし、民主党に限らず政党には多様な意見があり、議論が戦わされるのは当然で、むしろ健全な証拠であろう。大切なのは、党とし て国民に向けて意見が集約されているかどうかだ。民主党はすでに四年前に「安全保障基本政策」をまとめている。

憲法改正はマニフェストになじまない

憲法改正か否かを明らかにすることが政党の理念をつまびらかにすることになるという人もいる。憲法が時代に合わないということになれば、最高法規である がゆえにそのことを議論し改正していくのは成熟した民主主義国家なら当然であろう。しかし、いま憲法論議に時間の多くを費やすことは、火事の最中に新しい 家をどうつくろうかと考えるのに似ている。喫緊の課題を解決するための公約――政策、財源、期限を明示するマニフェストに憲法改正がなじむだろうか。まず 目の前に燃えさかる火を消すのが先決ではないか。現に、小泉政権の改革のスピードは驚くほど遅い。

アフガンやイラクの復興支援、北朝鮮の拉致・核開発問題……たしかに日本をとりまく国際情勢は予断を許さない。だが、まずは現憲法で対応できることを虚 心に読み込んでみることだろう。国民の中にコンセンサスが醸成されないまま迂遠な憲法論議を行っても決して問題の解決にはならない。 憲法を改正すること はアメリカから自立することだという議論もある。しかしブッ

シュ政権に限らずこれまでアメリカのいうがままになってきたリーダーをして憲法を改正せしめたからといって日本が自立できるとはとうてい思えない。

日米同盟を大切にしておかないと、いざというときアメリカは助けてくれない、という人がいる。そういう人に問いたい。では、自分の国さえよければ世界の ルールは無視してよいのか。日本はいつからそんな情けない国になってしまったのか、と。日米経済の強い結びつきを考えればすぐわかる。じつはアメリカに とって日本ほどファイナンスしてくれる国はないのである。

ブッシュ政権が永遠に続くわけではない。いうべきことをいわずに口をつぐんでしまうような支配・服従の関係から脱皮し、互いに自立した国として、確たる世界観の中で国益を論じ合える関係を再構築することは十分に可能だ。

政治家の世代を変えれば日本は変わる

この一〇年、野党勢力を中心に三〇以上の政党ができては消えていった。しかし、この間、民主党は志をもつ若い世代の政治家が集まることによって、どんど ん若返っている。なかでも、疲弊した官僚システムに失望した若き元官僚たち、とりわけ三〇、四〇歳代が、政治を変えようと地盤などなしに、徒手空拳で民主 党に続々と集結しているのがその証拠だ。それは私たちが何よりも透明性が確保され、政党としての説明責任を重視するエクセレント・パーティーの成立を目指 しているからである。

比較は意味がないが、老齢の実力者が実質支配する自民党と比べれば一目瞭然であろう。それは、政治を担う世代を変えることで日本を変えるという選択でも ある。幹事長を若くしただけで「党が変わった」と声高に主張する自民党と、党三役全体が若い民主党では本質的に異なるのである。

(文藝春秋刊『日本の論点2004』より)




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