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トピックス

2001.09.30|その他

定例記者会見録 2001年9月

9月27日

○所信表明演説—-「変化に対応できる生き物」とは、変質する総理 自身の姿では

○テロ対策、経済・雇用、選挙制度等、いずれも内閣が潰れかねない 案件が山積

○都市部と地方で選挙制度が異なれば、法の下の平等に反するおそれ すらあり

○後方支援新法—-野党間の信頼関係が損なわれてはならない

○武器使用の条件緩和には、自己保存という自然権的根拠以外の新た な論理が必要

○なぜ周辺事態法では事前承認が必要で、今回は事後報告でいいのか 分からない

○テロ対策のための包括的な外交政策について、党内の議論がまとま り次第発表

臨時国会召集にあたって

【政調会長】私から申し上げることは二つあります。

一つは、今、総理の所信表明演説を聞いたばかりでありますので、そ の感想を一言述べたいと思います。 本当に政治家の勢いといいますか、人気といいますか、そのアップ・ア ンド・ダウンのですね、激しさというものに非常に驚いております。

小泉さんが総理になって、初めて所信表明演説をしたときのあの拍 手、熱狂ぶりから見ると、自民党のほうも極めて静かなものでありまし たし、何よりも小泉さんのお話になることがほとんど棒読みに近かった と。 しかも、役所が抱えていたいろんな課題をただ単に読んでるという印象 で、総理として何をしたいのか、何をしなければいけないのかという意 気込みが全く伺えなかったと思います。

この国会は相当大事な国会で、大きな課題を抱えているわけですか ら、国民の皆さんに対してしっかり発信をしていくチャンスだったと思 うんですが、残念ながらそういうものはほとんど伺えなかったというこ とであります。

やや邪推なのかもしれませんが、小泉さんは演説の最後にダーウィン の話を言われました。「この世に生き残る生き物は、最も力の強いもの か。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化 に対応できる生き物だ」と。

こういうふうに言われましたが、「変化に対応できる生き物だ」とい うのは、ご自身のことを言われたんじゃないのかと。 つまり、いろんな信念を捨てて、結局既得権の中で自らの筋を捨てて 変質していくという、自らの姿を言いたかったのかなと。まあ、これは 邪推でありますが、そういうふうにすら思えるような中身のなさであっ たと思っています。

それからもう一つは、この国会は非常に重要な項目が多いわけです が、特に予算委員会に引き続いて恐らく冒頭に来るであろうテロ対策の 支援の問題ですね、それから、後半の経済・雇用の大変厳しい、本当に 待ったなしの状況の中で、「構造改革なくして景気回復なし」とおっ しゃってるわけですから、構造改革を打ち出して、パッと実行していか なければいけないと。

いずれも大変なことだと思いますが、それに加えて選挙制度の改正と いうことが出てくるんであれば、これまた大変な話で、それぞれ一内閣 を潰すような大きな話であります。

その全体をきちんとした間違いのない方向性を持って解決していくと いうのは相当ご苦労なことだと思いますが、今日の勢いを見ていると、 とても最後まで行き着かないのではないかという思いすらしてまいりま す。 もう少し総理に元気を出してもらいたいという感じが正直言っていた しました。

あと、若干中身に触れますと、テロ事件の支援の問題は、これから具 体的には与党の案が正式にどこかで示されるんだと思いますが、まだ 我々はそれを持っておりませんので、案についてはコメントいたしませ んが、党内の議論というのは、かなり求心力を持って進んでいると思い ます。

もちろん、これだけの問題ですから、いろんな意見があるのは当然で すが、しかし責任野党としての自覚を持って非常に中身のある議論が部 門会議において行われていると思っております。

今日採択されたテロ非難決議の問題もいろいろ議論があったんでしょ うが、きちんと対応できたと思っておりますし、そういう意味で、近い 将来政権を担う党になるんだという自覚が浸透してきたのかなと。そん なふうに思っているところであります。

さらにもう一つ付け加えますと、このあと3時半から政治改革推進本 部の第1回会合を開催いたしますが、鹿野議員、堀込議員を中心に、そ して多分、羽田特別代表にも特別顧問になっていただいて、全党的な取 り組みをしていかなければいけないと思っています。

自民党の中でも当然ながらいろんな意見が出ておりますが、小選挙区 制と中選挙区制を混合するというように、都市部と地方で制度が違うと いうのは、憲法の定める法の下の平等にすら違反するおそれのあるもの でありまして、こういうものが与党3党、公党の正式な合意として出て きたことは、驚くべきことだと思います。

国民が代表を選ぶ代議制の中で、国民が代表を選ぶルールを決めるの が選挙制度ですけれども、その選ばれた代表が国会で議論して物事を決 めるという民主主義の基本の部分について、これだけ安易でいい加減な 考え方が示されたということは本当に驚くべきことで、それはもちろ ん、総理にも自民党総裁として責任がある。そういうものを出させてし まったということは、大きな失点だと私は思っています。今からでもい いから撤回すべきだと思っております。

テロ非難決議

【記者】国会決議についてですが、民主党の中でですね、議場から出ら れた方とか、反対の意思で議場に入られなかった方とかいらっしゃいま すが、それはどういうふうに受け止めていらっしゃいますか。

【政調会長】私はそのことを確認してませんが、私が見ていた限りで は、全員立ったんじゃないかと思うんですね。ですから、そういう意味 では、皆さんが責任を自覚して一致した行動を取られたと思います。

本会議に出なかったというのは、それはどういう理由で出なかったの かが分かりませんから、それはそれでご事情がおありのことだと思いま すが、党として「これは賛成だ」と決めたときに、それと違う意思表示 をした人はいなかったという事実は非常に重いと思います。

国債発行額30兆円

【記者】経済の問題なんですけど、以前、政調会長は補正予算につい て、30兆円の国債発行額の枠を守るという小泉首相の考えに賛同すると いうことだったと思うんですが、最近テロが起こってから首相は「柔軟 かつ大胆に対応」というふうにおっしゃってるんですが、それについて はどのように……

【政調会長】小泉さんが言ってるのはどういう意味ですかね。

「平成13年度補正予算については、安易な国債増発によるべきではあ りません。平成14年度予算における『国債発行額30兆円以下』と同様の 方針で取り組んでまいります」と今日の所信表明演説の中で言ってます よね。これを素直に読めば、30兆円の枠内でやるということじゃないん ですか?

「柔軟」とか、そういった言葉を使ってませんからね。

【記者】政調会長としては、やはりそのまま30兆円の枠を守るべきだと ?

【政調会長】うん、僕自身も30兆の枠の中で組み換えをしろと言ってる わけですから。組み換えで1兆、2兆の財源は出せると。

小泉さん、もし今年度30兆を超えちゃうと来年度も30兆を超えるって ことになるのかな。「同様の方針」って言ってるから。それを主張した かったのかな(笑)。

後方支援新法

【記者】後方支援の法案ですけれど、今日の夕方にも開かれるであろう 幹事長会談で与党から骨子が示されると思うんですが、与党のほうは民 主党の歩み寄りというかですね、理解を求めたいという姿勢が強いようですけども、法案提出前に事前の協議に応じるべきか、あるいはあくま で法案提出後に国会の場で審議すべきか、そこら辺はどういうふうにお 考えですか。

【政調会長】それは、これから党の中で相談することですので、私は決 定的なことを申し上げる立場にありませんが、やはり基本的には野党が 一致して行動できるということが非常に大事だと思いますね。野党間の 信頼関係が損なわれるようなことがあってはいけないわけで、そういう 意味で、民主党だけが何らかの事前の協議に応じるということは、私は 決して望ましいことじゃないと思います。

もちろん、恐らく各党ごとに意見はかなり違うんだろうと思います し、まだ正式にはすり合わせはしてませんが、しかし基本的に野党4党 が、中身はともかく、テーブルに着くところまでは歩調を合わせたほう がいいと。そんなふうに思っています。

それからもう一つは、国民の皆さんから見て理解が出来るということ は非常に大事なことですので、そういう意味ではやはり、国会の議論を 通じて中身について必要な協議をしていくと。こういうことだと私は思 いますが。

【記者】5時半からですね、与野党の国対委員長会談でですね、与党案 の骨子が示されると思うんですが、中身は昨日の段階でほぼ決まってる んですが、民主党としてですね、「新法を作ることには賛成なんだけ ど、ここの条件だけは許されない」とか、そういう部分というのはある んですか。

【政調会長】皆さんの報道を信じないわけじゃないんですが、我々は法 案を見てないし、与党から正式には示されてないわけなんで、今の段階 ではコメント出来ません。

しかも党の中では、外交部門・安全保障部門合同会議で連日真剣な議 論をしてるわけですから、そういう議論も踏まえたうえで、最終的には NC(ネクストキャビネット)で決めるんですが、そういうプロセスとい うのは非常に大事ですので、今の段階で「これはいいけど、あれは駄目 だ」と私から言うつもりはありません。

【記者】今おっしゃった、「テーブルに着くまでは歩調を合わせる」と いうのは、今の状況ですと特別委員会の理事会なり理事懇談会の席で交 渉するという理解でいいんでしょうか。

【政調会長】いや、まず少なくとも、今日そういう会議があるのか私は 正式には聞いてませんが、仮にあるとしても、民主党1党が行くんじゃ なくて、やはり4党が行くべきですよね。そういうことです。

【記者】これから特別委員会が開かれると思うんですけれど、与党の話 だと加藤紘一さんが委員長ということなんですが、民主党がそれに対抗 するというようなことは……

【政調会長】それは仮定に仮定を重ねた質問ですから、特別委員会が出 来るかどうかも我々相談を受けてるわけではありませんし、外務委員長 も安全保障委員長も我が党から出してるんですね。

そういう中で、特別委員会を設けるということについて、本当にそれ がいいのかどうかというのも一つ議論があるところだと思います。ま あ、特別委員会を作りたいというご提案が正式にあったわけじゃありま せんから、まだ我々も検討してませんけど。

ましてや、その委員長に加藤さんがなるというような話も、新聞には そう書いてあるところもありますが、別にそういう提案を党として正式 に聞いたわけではありませんから、そういうものを前提にコメントする ことはあまり良くないんじゃないかと思います。

【記者】この問題の今後の審議の中で、武器の使用条件をどこまで緩和 するかというところが争点の一つになるかと思うんですけれども、政調 会長として、どの辺までは認めていいといいますか、その辺の判断とい うのは、今どういうふうにお考えですか。

【政調会長】私自身、今、答えがあるわけではありません。 ただ、これまでの経緯をお話しすれば、党の中でPKO5原則の武器使用 について、NCでも何回か議論をしましたが、自己保存のための武器使用 という自然権的な権利から憲法に定める武力行使に当たらないというこ とを説明する今までの考え方をもう1歩進めて、武器の使用を、例えば 護衛とか、あるいは近くにいる他国のPKO部隊とか、そういうことにまで 使えるということにするためには、新たな論理が必要だと。NCではそう いう整理になってるんですね。

つまり、自己保存とはなかなか言いがたいんじゃないかと。そうする と、それ以外に憲法が禁ずる武力行使に当たらないという理由が必要で あると。

駄目だと言ってるんじゃなくて、そういうちゃんとした理由が必要だ と。そういうことになってますんで、その辺がこれからどういう論理展 開になるのかね。まあ、そもそも武器使用の条件が緩和されるのかどう かも 、まだ分からないですし、そういう提案があるのかどうかも確認してま せんが、もしあるとすれば、そういうきちんとした論理構成が示される 必要があると思いますね。

【記者】憲法の武力行使に当たらないというのは、憲法の枠内であれ ば、例えば今、政調会長がおっしゃったPKOに来てる他国の部隊を守ると かですね、そういうことについてまで武器使用の範囲というのを拡大す べきだというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。

【政調会長】拡大すべきかどうかということについて私は申し上げるつ もりはありません。 その議論の前に、憲法の禁ずる武力行使に当たるということであれば 出来ないわけですから、まず当たらないということをきちんと論理を立 てて、その上で必要かどうかという判断をすべきだと思います。

【記者】新法を作るに当たって、鳩山代表が挙げた3原則(1)憲法の範 囲内で後方支援を行う、(2)現行法で対処できない場合には新法を制定す る、(3)新法については周辺事態法における党内議論を参考にするですね、あれの中で周辺事態法を踏まえて……

【政調会長】「参考」に。

【記者】ええ。あれの中に、新法の中に挙がってるものとして、国会の 関与の仕方とかですね、武器・弾薬の輸送とかですね、これについても 基本的に周辺事態法に準じると考えていらっしゃるんでしょうか。

【政調会長】「周辺事態法における党内の議論を参考に」と申し上げた のは、ゼロベースから議論をするのではなくて、周辺事態法のときにあ る程度積み上げた議論がありますので、それは前提にして議論したほう がいいと。そういう意味なんですね。

ですから、確かに今おっしゃったように、周辺事態法によれば、武器 ・弾薬の輸送というのは認められているということになりますね。

でも、だからそれをそのまま当てはめていいのかというと、輸送する 先が今回は公海上じゃなくて第三国にまで行くとすると、そこで活動範 囲が広がってるわけですから、周辺事態法とは状況が変わるわけです。 そういうことを勘案しながら判断していかなきゃいけないと。

ただ、一般的に公海上の武器・弾薬の輸送が憲法違反だとか、そうい う議論まではしないと。周辺事態法の中で、憲法上認められるというこ とになってるわけですから。そういう意味で申し上げたわけです。

まあ、いろんな議論を周辺事態法のときにやりました。我々も100%あ の法案に満足してるわけじゃないんですが、ただ最終的には船舶検査に ついての規定が入っていないのはおかしいと。逆に言うと、それが入れ ば賛成であるというところまで参議院での審議のときに言ったわけなん で、その事実はやはり重いと思いますね。

だから、白地で絵を描くというのであれば、それはいろんな議論がま だ出来ると思いますけれども、一つの政党として今まで述べてきたこと の一貫性というものがありますから、もちろん審議の中で、100点満点を 求めていろんなことを言うと思いますが、最終的にギリギリと煮詰めて いったときには、周辺事態法の中で、我々が結果的に認めたものについ ては、違う状況であれば別ですが、さっき言ったように範囲が広がると かね、危険度がより高まるとか、そういうことがあれば別ですが、同じ 状況ならやはり同じ答えをしなければおかしいんじゃないでしょうか。

【記者】国会承認は?

【政調会長】「サンデープロジェクト」で議論したときには、石破さん (自民党政調副会長)は国会承認が必要だって言ってたんだよね。テレ ビでは。 まあ、切り白みたいなものなんじゃないですかね。「取った、取っ た」と言えるように少し強めに出してきてる、そのうちの一つじゃない ですか?

もちろん、事後報告だけでいいと言うんであれば、なぜ周辺事態法で は事前承認が必要で、今回は事後報告でいいのかということについて、 きちんとした説明が示される必要がありますよね。私には、あまり違い が分からないですが。

民主党の対案

【記者】民主党内には外交努力をもっとすべきであるとか、そういった 面で民主党らしさを出すべきだという声もありますが、与党案が出た段 階で民主党としての対案というのは今、具体的に何か……

【政調会長】対案というか、外交努力というのは非常に重要な話で、そ こは今、党の中で議論してますから、どこかでまとまったものが出ると 思います。

基本的には、テロが起こらないような、あるいはイスラム原理主義と いうものが拡大しないような、そういう外交的な対策や努力がまず大事 であるというのは言うまでもないことなんで、それをきちっと言えとい うのは、その通りだと私も思います。それは党としても今、議論中ですから、まとめて出したいと思っています。

ただ、今おっしゃった対案という意味が法案の対案という意味であれ ば、それはちょっと向こうの案を見てみないと、全くの対案を出すのか 修正案のような形で示すのか、あるいは頭から「これではちょっとどう しようもない」ということになるのか、それは現物を見ないと何とも言 えないことだと思います。

9月20日

○テロ関連の対米支援は、時限立法で対処すべき

○周辺事態法の適用は困難だが、憲法との整合性の面で準用できる部 分もある

○新たな国連決議を求めるよう米国を説得することは、同盟国として の我が国の責務

○中選挙区制の復活は民主主義の信頼を損なう—-本部を設置して反 対運動を展開

テロ対策国際協力法制

【政調会長】私のほうからは、二つだけ申し上げておきたいと思います。

まず、テロ活動に関する国際協力法制についてですが、連日、新聞等でいろいろ報道されております。どこまでが本当で、どこまでが推測なのか私も分からないところがありますが、昨日もちょっと申し上げたように、一つは、このような、日本はどこまで国際協力・支援活動をしていくべきかという問題は、かなりしっかりした議論が必要で、今回は、その時間があまりないということですから、やはり法律は一般法ではなくて、今回の事件に限定したものか、あるいは時限法という形で年限を切るか、いずれにしても、そういう限定したものにすべきだということは、党内的には異論のないところではないかと思っています。

それからもう一つは、国連決議の問題で、まあ、これもあまり厳しく言ってしまうと、日本国としての協力が出来なくなってしまうという面もありますが、しかし同時にやはり、非常に重要な点だと思っています。

国連決議が特に重要だと私が申し上げるのは、一つは、米国が自衛権を行使するということは分かるんですけれども、ただ相手は国ではなくて、今回一つのグループであるということですので、国対国であれば、 自衛権行使の3原則とか、従来、国際法上ある程度認められた考え方が ありますが、これがグループということになると、必ずしもそれだけでは十分ではないということになるんじゃないかと思っています。

具体的に言えば、そのグループに対する攻撃だけじゃなくて、グルー プをかくまったり、あるいはかくまうまでは行かなくても、グループが属している国を攻撃して一般住民を巻き込むということになると、それはやや行き過ぎじゃないかという気もするわけですね。国対国であれば、結果的にそういうことになることがあるかもしれませんが。それからもちろん、犯人特定の問題もあります。

等々の非常に難しい問題を、いわばクリアするために国連決議というものを活用することが出来る。日本自身が、判断するだけの材料はありませんから、国連・安保理で決議がされるということは、そういう問題を安保理のメンバー国はクリアをしたというふうに見なすことが出来るわけで、そういう意味で安保理の決議というものが客観性を持たせるために、重要であると言えます。

それからもう一つは、やはり日本として、国連をどう位置付けるかという、そもそも論があります。基本的に国際紛争は、国連の枠組みの中 で解決していく。もちろん、国連のいう集団安全保障というものが、現実にはほとんど機能していないということも、これまた事実ではありま すが、しかし基本的な考え方として、まずは個別的もしくは集団的自衛 権の行使をしたとしても、国連が動き出せば国連の枠組みの中で解決を していくというのが、大きなルールですね。

で、それに対して、各国が独自に対応するということになると、そういう国連中心の枠組みが崩れるわけで、そういう意味で、コソボ紛争と いうのは、いわば国連を飛ばしてNATO(北大西洋条約機構)の枠組みで 武力行使をやったということですから、問題を残したことは間違いない。

とは言え、NATOは地域安全保障の枠組みの一つで、「ミニ国連」みたいな形ですが、今回それも飛び越して、1国でやってしまう。そして、 それにいろんな国が協力するということになりますと、さらに国連の役割というものが減じられてしまうと。こういうことだと思います。

そういう意味で、大きな目で見れば、国連をより活用していく、あるいは世界の平和を維持するため重要な枠組みであるという認識に立てば、もう1歩踏み込んだ国連決議を求めるということは、私は日本政府として当然取るべき態度だと思っているわけであります。そういう方向で、私は小泉総理はブッシュ米大統領に対して説得をす る立場にある、責任があるんだ。そういうふうに思います。

これは、ブッシュ大統領自身は国連というものを非常に軽視しているということは周知の事実でありますが、そうじゃないということをきちんと言うべき、伝えるべきです。

そういう意味も含めて、やはり国連決議というものを、法案の中で、 きちんと位置付けるべきだ。そんなふうに考えているところでありま す。

それから、周辺事態法の拡大解釈という議論も、まだ一部に残っているようですが、それはやはり党の中でも、そういう方向でもいいんじゃないかという議論もありますが、私の意見を言わせていただくと、それは今まで周辺事態法の審議をしてきた民主党の立場から言うと、非常に 問題があるということだと思っています。

大きな問題は二つあって、一つはやはり、「周辺地域」ということで、これは「地域というのは地理的概念ではない」という政府の説明ですが、そうは言っても、国会答弁の中で、「インド洋や中東は含まない」ということも言ってるわけですね。

あるいは「地球の裏側までは含まない」ということを言ってるわけで、今回は「地球の裏側」に近いところでありますから、そこに適用す るということは、まさしく地理的概念というものを放棄してしまうとい うことになります。

それは、本来、日本の周辺ということで位置付けられた立法趣旨を全く損ねてしまうことになりますから、そこが一つ大きな問題であると。

それからもう一つは、「日本の平和と安全に重大な影響を及ぼす事態」ということですが、じゃあ、今回の事件が日本の平和と安全にどう いう形で影響を及ぼすのかという点であります。

一つは、ニューヨークで起こったテロに日本人が巻き込まれたじゃないかという議論があるかもしれませんが、それは「巻き込まれた」とい うことであって、そのことが日本の平和と安全に重大な影響を及ぼすと いうことに直結するというものではないということは明らかだと思いま す。

もう一つは、日本でまたテロが起きるかもしれないという論理立てがあるかもしれませんが、それはまあ、可能性の議論でありまして、具体 的な道筋がはっきりしてるわけではありません。

その程度のことで、「平和と安全に重大な影響を及ぼす事態」という ことを読み込むとすると、周辺事態法の適用というものが、非常に広 がってしまうわけですね。日本の平和と安全に重大な影響を及ぼすというふうに限定してたのが非常に広がってしまいますので、どんな場合 だって周辺事態法が適用できるということになりかねません。

そういう二つの理由から、私は周辺事態法を今回の事件に適用するこ とには反対であります。党内にはいろんな意見がありますから、議論は していきたいと思いますが、法律論を言えば、私が今言ったような結論以外のものにはならないんじゃないかと。そんなふうに思っているとこ ろであります。

そういうことを前提としたうえで、昨日も申し上げましたように、考え方としては、特に憲法との関係ですね。武力行使との線引きの問題としては、周辺事態法の考え方が準用出来る。

周辺事態法そのものではないんですが、どういう行為が出来て、どういう行為が出来ないか。いろんなことが書いてありますが、そういうものをパカッと、カセットテープのようにそのまま新しい法律に持ってこられるんだと思いますね。逆に言うと、そこを飛び出そうとするとやっ ぱりいろんな議論がもう一度憲法との関係を議論しなければいけなくなりますので、時間がかかるだろうと思います。

そういう意味でも、なるべく従来国会で議論をして、ある意味決着の付いた問題はそのまま持ってきたほうが、我々も議論に乗りやすいとい うことだろうと思っています。

選挙制度

【政調会長】それから次に、最近新聞にも載り、役員会でも話題になり ましたが、衆議院の選挙制度の問題が、いろいろ出始めております。 我々が確認しているところでも、与党はかなり本気であるということが 聞こえて参ります。 私も政治改革の問題を10年以上、初当選のときからやって参りまして、非常に今の事態というものを懸念しているところであります。

何を懸念してるかと言いますと、まず党利党略で選挙制度をいじるこ との愚かさですね。そのことがやっぱり民主主義というものに対する基 盤を崩してるということだと思います。

つまり、自分たちの都合のいいように選挙制度を変えるということ は、結局民主主義に対する信頼感を損なってるわけですね。そのことに 気が付いてないんじゃないかという感じがいたします。

都会と地方で選挙制度が違うと。都会は中選挙区だけども、地方に行 くと小選挙区だというような馬鹿げたことが堂々とまかり通っているこ と自身極めて驚きだし、「そこまで堕ちたか」という感じがいたします。

一部には、それとテロの問題がセットで議論されてるという話もあり ますが、そこまでいくと、本当にこの国の民主主義はどこへ行ったのか という感じすらするわけで、ここは是非、国民的議論をしていきたい。 選挙制度の問題は、民主主義の基本でありますから、それを党利党略で いじるなんてことは絶対認めないという世論を大きく動かしていきたい というふうに思っています。

いろいろ議論していますが、民主党は政治改革推進調査会というもの をNCの下に作っておりまして、鹿野代議士が会長ですが、近々それを政 治改革推進本部というような形で、「本部」に格上げをして、党を挙げ て取り組むような形に持っていきたいと思っています。

もちろん、中心になっていただくのは鹿野代議士ですが、もう少し全党的にこの問題に取り組んで、国民の皆さんにも訴えていくということ であります。

小泉総理自身が「中選挙区制復活はあり得ない」と言われたり、「1 票の格差は良くない」と言われているにもかかわらず、この問題をいわ ば与党に丸投げして、ご発言なさっていないというのは大変問題だとい うふうに思いますし、小泉さん自身が議会制民主主義とその基盤をなす 選挙制度についてどう考えておられるのか、是非一度問うてみたいと 思っています。

同盟国の責務

【記者】新たな国連決議はなかなか難しいのではないかと思うんですが。

【政調会長】今のアメリカの態度はね、そういうものを求めないという ことかもしれませんが……。

【記者】そういうことを言ってると、法律が使えなくなってしまうので は?

【政調会長】アメリカは難しくても、アメリカを説得すればいいんで す。日本はそれぐらいのことは出来る立場だと思いますよ。

【記者】説得するというのは……?

【政調会長】「国連決議を求めろ」と。それこそ同盟国です。

民主党の意見集約

【記者】この問題についての、民主党の意思決定の段取りっていうのは どういうふうになってるんですか。

【政調会長】方向性は大体出てるんですが、来週の水曜日にNCがありま すから、そこで結論を出そうと思っています。その前に、役員会を多分 火曜日に開くことになるんじゃないかと。両院議員総会も水曜日にあり ますよね。そこでも報告をする必要がありますので、火曜の役員会で方向性を合わせて、NCで決めるということです。

武器・弾薬の輸送

【記者】対米協力のための新法には、武器・弾薬の輸送が任務に含まれ るということですが、それについてはどういった……

【政調会長】まあ、その辺になると国会での議論ですね。示されるかど うかも分からないし、示さないと言う人もいますから、国会での議論だ と思います。

あまり細かいことを言う気はありませんが、あと範囲の問題っていう のがありますよね。公海上だけじゃなくて、第三国というか、そこは 入ってくる可能性が高いでしょうね。ディエゴガルシア(英領、インド 洋上の米軍基地)とか、さすがにアフガニスタンってことはないと思い ますが、陸揚げする港のある国とかですね。 その辺はこれからの議論です。まだ法案が出てこないうちから憶測でい ろいろ言う必要はないと思いますね。

与野党協力

【記者】小泉総理は「民主党とも協調して」とおっしゃってるんです が、そういった話は…

【政調会長】まず、法案が出てこなければいかんでしょうね。ガイドラ イン(日米防衛協力のための指針)のときも随分協議したんですよね、 与野党の理事で。

山崎拓委員長(現自民党幹事長)も入って、与党理事と民主党で協議 しましたよね。だから、いろんなことがあり得るんだと思いますよ。か なり幅が狭くなってくるけれど。それはまだ分からないですから、与党 がどういう形で出てくるか。先のことを言うのは、先走り過ぎじゃない でしょうか。

やはり日本として、テロが再発しないように出来る限りの努力をしな ければいけないということは事実ですし、憲法の枠の中で出来るだけの ことをするということは我々も主張しておりますので、基本的にはそう いうスタンスになると思います。

新たな国連決議の内容

【記者】国連決議は、どういった要素が盛り込まれれば……

【政調会長】まあ、具体的な姿はまだ見えてませんから、今の国連決 議っていうのは、一般的にテロを憎むということに近いですよね。並べ て書いてありますから、今回の事件とテロ一般を。だからもっと特定し て書いてないといけないと思いますね。

そして、それに対して武力行使してもいいということを国連が認める と。要は、国連憲章の例外を設けるということが読み取れる文言じゃな いといけないと、基本的には言えるでしょうね。

民主主義の死

【政調会長】選挙制度のほうは質問ないの?こっちも大事だよ。 もし、こんなことをマスコミが放置しとくんだったら、辞めたほうが いいね。

【記者】民主党はこれまで、1票の格差を是正するという立場でしたよ ね?これ、選挙制度本部を立ち上げるというのは、完全小選挙区制を 求めていくとか、そういったことまで含むんでしょうか。

【政調会長】そこまで主張するつもりはありません。選挙制度をガラッ と変える議論に入ってしまうと、敵を利するだけですから。現在の小選 挙区比例代表並立制というものを前提に、もちろん定数削減といった議 論はあると思いますが、枠組みとしては今の制度を前提に、1票の格差 を是正していくというのが我々の主張ですから。そのことを今回も主張 すると。

ただ、私が何よりも申し上げたいのは、中選挙区小選挙区混合制みた いなね、まさしく訳の分からない話は、これは絶対認めないと。特定の 政党が議席を得るための制度ですから。

こういうものをもし認めたら、民主主義はなくなりますよ。一番怒る べきは有権者です。都会に住む人と、地方に住む人とで制度が違うなん て馬鹿げたことがあっていいはずありませんからね。

9月11日

○NC新人事—-閣僚の顔を見ながら1対1対応で人選、重厚な布陣

○党役員会と地域別ブロック会議を新設

○失業率と株価は別の問題—-改革の遅れが株価下落の要因、同列に議論すべきでない

○産業再生委員会構想はアナクロニズム、産業界から出る発想とは思えぬ

○PKO5原則見直し—-必要性は認めるが、武器使用には説得力ある論理が不可欠

○ワンストップサービス—-郵政民営化論議との整合性が問題

○野党の役割—-次期国会は白兵戦、失政を追及しつつ具体的各論をぶつけていく

第3次ネクストキャビネット発足

【政調会長】まず、去る土日に「民主党強化全国集会」が行われましたが、それに先立って第3次のネクストキャビネット(NC)の人選が発表されました。

今回の狙いは、1つはどちらかというと従来は中堅・若手を中心にはつらつとしたイメージだったんですが、今回は副代表クラスにもお入りいただくなかで、我々が政権を取れば、そのまま本当の内閣に移行できる—-こういうイメージを思い抱きながら、人選をさせていただきました。もちろん、最終的には代表が決められたものであります。

そういう観点から、鹿野副代表や中野副代表、あるいは江田さんなんかにもにもお入りいただくなかで、江田さんや鹿野さんは大臣経験者ですから、そういった方の入った、重厚な内閣を作ることになったんだろうと思っています。

もう1つは、各NC大臣と、本当の大臣が1対1対応になるように、なるべく努力をしたということであります。

従来は、安全保障と外交を我が党が1人でくくったり、あるいは環境と農林水産を1人でくくったりということがありましたが、今回は基本的に1対1対応にいたしました。

例えば、石原伸晃行革担当大臣に対して野田佳彦NC大臣というふうにですね、石原大臣の顔も見ながら、人選をしたということもあります。

他の党務、国会の人事との関係もありまして、あるいは委員長人事なんかもあってですね、完全に1対1対応の顔ぶれになってるかというと、全体の人事のバランスもありますので、必ずしもそういうわけでもないんですが、基本的には本当の大臣の顔を見ながら、人選を進めたというふうに理解していただければいいと思います。

で、非常にいい人選が出来たんじゃないかと—-代表が大変努力をされたんですが—-そういうふうに思っております。

そのほか、今回の党改革の中で、役員会を作る話でありますとか、地域別ブロック代表を作る話でありますとか、かねて私がいろいろとこの場で述べたり、主張したりしていたことがほぼ入りましたので、非常にいい形が出来たんじゃないかというふうに思っております。

あとはそれを、形は出来ましたので、いかに魂を入れるか、どういうふうに運用していくかという問題だと思います。それは、ほとんどの部分は、幹事長に懸かってるわけなんで、幹事長のほうでブロック会議の動かし方、つまり、どういうことを議論していくのか。

まあ、意思伝達と、将来的には選挙の候補者の絞り込みとか、ブロックの役割としてはこういうふうになってるんですが、その辺の持っていき方とかですね、役員会の動かし方、これも少し常任幹事会でも意見が出たりしましたが、そういうことについて、しっかり回していく必要があるんじゃないかなと、こういうふうに考えております。私のほうでも出来ることはしっかりしていきたいと思っております。

QEと与党「総合経済・雇用対策」

【政調会長】次に、QE(四半期別GDP速報)や与党の「総合経済・雇用対策」が出ましたが、与党のほうはあまり論評に値しないというか、柱を並べただけで、具体的なことは書かれていません。

彼らの言っている、失業給付の延長問題でありますとか、職業訓練の話でありますとか、まあ、コピーされたとは言いませんが、「我々の主張と非常に似てるね」というふうに思います。別に真似されたからといって怒るわけではなくて、我々が言っていたことと同じような結論になったということは、我々の主張が非常に適切なものであったことの表れだというふうに思います。しかし、詳細はまだ全然出てきておりませんので、もう少し具体的なものが出てきたところで、しっかり議論をしたいと思います。

しかし、それにつけても思うのは、「遅い」ということです。これはこの前にも申し上げました。やはり、国会を27日に開くんであれば、その冒頭から補正予算案を出すべきだと思います。

今伝えられてるような、11月の半ばということであれば、関連法案はさらにそのあとになるわけで、実施は1月以降になってしまいます。それでは、遅すぎるということを申し上げておかなければいけないと思います。

まずは不良債権の処理を急ぐべきで、それとパッケージで、雇用対策をやるべきだというのが我々の主張で、まあ、「不良債権の処理も遅れてるからいいんだ」と言われればその通りなんですけれども、いずれも遅れてると。

そして改革工程表もなかなか、一番肝腎な全体の見取り図ですから、それが出てこないというなかで株価が下がっているというのが今の状況だと思います。

テレビなどでよく、失業率が5%になったことと、株価が下がっていることを一緒にして、だから経済対策が必要だという議論がされることがありますが、私はこの2つは全く違う理由で起きてる現象で、一緒に議論するのは間違いだと思っています。

株価はまさしく構造改革の遅れによって下がっている。もちろん、アメリカの株とかいろいろなことがありますが、それでも日本の構造改革がきちんと進んでいれば、こんなことにはなっていない、こういうことです。

失業率のほうは、景気の悪化に伴って起きている現象で、この2つを一緒に議論をするのは相当無理があるという感じがいたします。

CTBT発効促進会議

【政調会長】これから、国会が始まる前に、CTBT(包括的核実験禁止条約)の国際会議が開かれる予定です。 この前、田中大臣がアメリカに行かれてパウエル国務長官に出席するように要請したというような報道もあったように思いますが、そういった会議でどれだけ日本が自らの主張をきちんと出来るか。

田中さんの話は中身ではなくて、出席してくれということで、しかも答えをはぐらかされたような感じですが、従来の日本の主張を貫くのか、貫いていけるのか、というようなことが問われる国際会議だと思います。

そういういろんな重要な会議について、あるいは小泉総理が東南アジアに行かれるという話もありますので、そういうことを踏まえながら、予算委員会でしっかり議論したいと思います。

産業再生委員会

【記者】小泉総理のブレーンである樋口廣太郎さんから、産業再生委員会の設置が提案されましたけど、これについてはどのようにお考えですか。

【政調会長】それについては、与党のほうからも前から、渡辺喜美君なんかから、同じような意見が出てたと思うんですが、私は全く「アナクロ」だと思います。

樋口さんには大変申し訳ないけれども、産業界の方から出てくる発想だとは思えないですね。

メンバーがどうなるかにもよりますが、そういう第三者機関を作って、政府なり第三者が個々の産業あるいは企業に対して、どうすべきかというきちんとした見識を持って、企業の解体をしたりくっつけたりするというようなことが出来るとは思えません。

それは基本的にはマーケットが決める問題で、そういったことに国が関与して、上手くいくはずがないというふうに思います。経営者が自ら判断してやっていく話であり、それが出来ないなら法的処理をして、そういう中で新しい引受先が見つかると。

そういう中で進めていく話であって、そういう法的処理に至る前に、潰れたり切り離したりというようなことが上手くいくとは私には思えません。

企業経営者からこういう意見が出るというのは、ちょっと理解しにくいですね。

PKO5原則の見直し

【記者】与党内でPKOの話が出てるんですけれども、それについては現段階で政調会長はどのようにお考えでしょうか。

【政調会長】基本的にPKOには積極的に参加すべきだという考えを持ってるんですが、その中でPKO5原則をどう考えるかと。特に武器使用の問題というのは、慎重に議論しなければいけない問題だと思います。

これは党の中でも申し上げてることなんですが、従来の自己保存のための武器使用というのは、これは自然権的な権利であって、憲法を超えるところで認められてると。これは従来の国会答弁なんですね。

それじゃあ、それを広げて、自らを守る、あるいは自らの部隊を守るということではなくて、警護について特定の人を守ったり、ほかの部隊を救出したりといったことにまで武器使用が出来るということなると、自然権的権利という論理では、非常に難しいだろうと。

必要性はよく分かるんで、それに替わる新たなロジックというものが出てくればいいと思うんですが、残念ながらそういったものはまだ聞こえてきません。

必要だから認める、憲法解釈を変えるというのは、私にとっては承服しがたいので、自然権的権利に並ぶような説得力のある論理が構築できるかどうかがポイントじゃないかと思っています。

それがない限り、現行憲法の下では難しいんじゃないかと思います。

ワンストップサービスと郵政民営化

【記者】ワンストップサービス法案が臨時国会でも審議されるようですが、それについてはどのように……

【政調会長】党内の議論はこれからです。

一部の新聞が、民主党は最近になって、法案について慎重に考えるべきだという態度を取り始めたというような報道がありましたが、それはそうじゃなくて、民主党は前国会のときからこの法案については慎重だったんですね。

それはやはり、郵政3事業の民営化ということを、別に我々は決めたわけではありませんが、その議論とかなり関わる話であるということです。

今回は、正式な郵便局でワンストップサービスを認めるということであって、例えば農協のように郵便局の機能を代行してるところには認めないわけですね。

つまり、国家公務員であるということで役所の仕事の代行を認めるという法律の構成になってるわけです。

そうすると、それは民営化しないことを前提にした議論であって、民営化したときには成り立たないわけです。まあ、民営化の話はもう少し先になるのかもしれませんので、まずは公社化の話なのかもしれませんが、しかしいずれにしても、小泉総理自身が民営化だとおっしゃるんなら、ワンストップサービスの法案は整合性がないんじゃないかと思えるんで、そこのところ、政府はどう考えるのかということも問いたいし、我々自身もどういうふうに整理するかと。

まあ、それは今は止めておいて、あとでまとめて民営化のときは民営化のときで議論すればいいという考え方も、あるいは出来るかもしれませんが、そういうことも含めてもう少し議論しなければいけないと思っています。

狂牛病

【記者】まだ政府の対応の話だと思うんですが、狂牛病に感染した疑いのある牛が見つかったという話ですけれど、今後動向によっては消費者や畜産業者に影響を及ぼすと思うんですが、それについてはどのように……

【政調会長】まず、事実関係を確認することが大事ですね。それによって、かなり影響も違ってくるんじゃないんでしょうか。事実関係が分かるまでは冷静に対応しないと、不安だけが先走ってしまうと、いろんな意味でマイナスが大きいですから、事実関係を確認したうえで、それに対する適切な対応を取るべきだと思います。

野党の役割

【記者】こういう状況下での野党の役割についてですね、菅幹事長なんかは、「建設的対峙」をして対案を出していきたいという感じで言ってるんですが、熊谷国対委員長は、本来野党の責任というのはそういうんじゃなくて、業績を評価してそれを国民に明らかにしていくことだと言ってまして、若干トーンの違いがあるように思うんですが、こういう状況下での野党の役割として一番大事なのはどういうものだと思われますか。

【政調会長】まあ、今言ったこと両方じゃない?ですから、過去のことについては業績評価でしょ?それは当然しなければいけない。今の経済状況で言えば、なぜこうなったのかということについて、それは厳しく責任を問うていくべきだと思うんですね。

じゃあ、それは小泉さんには関係ないという議論かもしれませんが、自民党の中で、亀井さんや森さんがデタラメに放漫財政をやった結果、打つ手がない状況になってるわけで、そこの総括というのは国会でしていかないといけないと思います。

そこが自民党の方も出来てないから、しばらく黙ってたけどまた、みんな補正予算、景気対策の合唱になってて、いつか来た道ですよね、今。総理以外みんな言ってるんじゃないですか、補正予算。公共事業も。公共事業とは言えないから言わないけども、心はそういうことで、あると思いますね。それはやっぱり総括してないからそうなるんで、自民党に反省させるという意味も含めてね、国会でしっかりそこはやっていかなければいけない。

しかし同時に、小泉改革がこれから具体案が、ようやくにして不十分ですが出てくると。例えば医療制度改革とか証券税制改革とかですね。そういうもの1つひとつについて、やっぱり各論で、具体的に対峙していく、議論していく。

私は白兵戦だと。今までは総論の戦いでしたから、川を挟んで左右両岸で鬨(とき)の声を上げているような状況でしたが、これからはまさしく、川の中に双方の馬が乗り入れて1対1の白兵戦をやっていく—-そういう国会になるんだろうと。

個々のテーマについて、それぞれ具体案を持って、どちらがいいか国民に判断してもらう。相手の問題点をしっかり突いていく。そういう国会になると。そのための準備をしていかなければいけないと思います。

医療制度の話について言えば、強化全国集会でもちょっと申し上げましたが、数字合わせに終始してるって感じがするんですね。総額の抑制と医療負担のアップということですが、医療をいかにして効率化していくかというところの具体案がないわけですね。

で、額だけ押さえ込むと。我々がかねて主張している、例えば情報開示、あるいは保険者機能の強化というように、部分的な市場メカニズムを入れることで、医療制度そのものを効率化していくという視点がやっぱり一番大事なことで、その結果として総額はかなり減るわけです。そういう論理的な関係にあるんじゃないんでしょうか。まず、額を抑えるという発想では、結局それはどこかにしわ寄せが来てしまうと思います。

それとのバランスで、診療報酬の引き下げなんかも言ってはいるけど、一方では参院選の前に自民党と関係団体が約束しているという説もあってですね、今のところいろいろと言うけれど、終わってみたら国民負担だけが増えてたということになりかねないわけです。その辺も、しっかり議論していかなければいけないと思っています。

9月4日

○現在の経済状況を招いた「戦犯」の責任を問うべき

○ミサイル防衛—-中国の核軍備増強を招かぬよう、外交努力を重ねるのが本筋

○経済・雇用の危機的状況に鑑み、補正予算案の早期提出を求める

○総理自ら国債発行30兆円枠を遵守すると明言している以上、それは公約と同義

○今年度予算を組み換えれば、国債発行30兆円の枠内であっても十分な対策は可能

構造改革への路線転換と戦犯の責任

【政調会長】まず、私から2つほどお話ししたいと思います。 1つは、今年度の補正予算に関連して、30兆円の国債発行の話ですが、先日私が出演したNHKの「日曜討論」でもいろいろ議論が出ました。

別に小泉総理の言ったことを擁護したわけではないんですが、「総理も30兆円と言われた以上、絶対にそれを守るべきだ」と私は申し上げたんですが、与党のほうの政策責任者は、「30兆円の枠にこだわるべきではない」というニュアンスでした。

マスコミを見ますと、森前首相や亀井・前自民党政調会長も、「そういうことに囚われずに考えたほうがいい」と言っておられます。

しかし考えるに、「構造改革なくして景気回復なし」という小泉総理の所信表明演説の中での表現、これは非常に大きな政策転換をしたと思うんですね。

それにとりあえず従ったような、そういう姿勢を見せながら、実はその政策転換に納得してなかった自民党の中の多くの人たちの存在が、明らかになってきたんだと思います。

もう少し言わせていただくと、森さんや亀井さんは今の日本経済の状況を招いた「戦犯」です。多大の財政を投入して大きな借金を作り、しかも日本経済の建て直しに全く失敗した。その戦犯に対してきちんと断罪をしていないから、彼らがまた同じことを繰り返し言ってると、こういうことなんだと思います。

「構造改革なくして景気回復なし」という路線転換を小泉さん自身はしたんだけども、与党としては結局していないということの、その結果が今こういう形で出てきてるんだというふうに思います。

森さんや亀井さんに対しては、今の経済状況を招いたことについて、まずきちんと自己反省すべきだと。それをせずに、また同じことを言ってる、繰り返されてるということだと思います。

米国のミサイル防衛と対中政策

【政調会長】それから2つ目は、ミサイル防衛(MD)と中国の話ですが、この前ちょっとご報告申し上げたように、先月中旬に私がアメリカに行ったときに、対中政策やミサイル防衛の話を中心に識者との意見交換をしてきたわけですが、アメリカがミサイル防衛への理解を求めるために中国の核戦力拡大を容認する方針であるという、今回のニューヨーク・タイムズ紙の記事を見れば—-公式には否定されている部分もあるようですが—-やはりこのミサイル防衛というものに対して、開発段階だからということで本質的な議論をせずに済ませられない状況になりつつあるんだというふうに思います。

その理由は2つあって、従来のようにミサイル防衛をNMD(米本土ミサイル防衛)とTMD(戦域ミサイル防衛)の2つに分けていたときと、一体化した現在とでは状況が違うわけですから、TMDだから日本が協力したとしてもいろんなことに波及しないという言い方は通用しなくなってるということが1つ。

それから、今回の中国の対応に見られるように、ミサイル防衛を進めることが、恐らく中国の戦略核の増強につながっていくということだと思います。

アメリカでは、「いや、MDをやってもやらなくても、現在20発ぐらいだと言われている戦略核を中国が飛躍的に充実させていくことに変わりはない」と、こういうことを言われる人も結構あったわけですが、私がCSIS(戦略国際問題研究所)での講演で申し上げたのは、「どうせ変わらないから、中国が戦略核を充実して、場合によっては今のフランス並みにまで、20発から数百発のレベルにまで増やしていくことを前提にMDをやるんだ」と、そういうことではなくて、そういうふうにならないための外交努力ということが非常に重要で、「どうせなる」ということを前提に、「だからMDだ」という発想じゃなくて、そうならないための外交努力をいかにしていくかということが非常に大事なんだというふうに思います。

少なくとも、日本としてはそういう努力をすべきだし、それをしていくなかで、「じゃあ日本はMDに対してどういう見解ですか」ということも当然問われるわけですから、そういうMDについての議論が避けられない状況になってきたんだというふうに思っています。

それからもう1つは、この記事の中で—-これも公式には否定されたのかもしれませんが—-CTBT(包括的核実験禁止条約)の話が出てきて、アメリカは中国の地下核実験を容認するんじゃないかという話が報道されました。

私もアメリカで、国務・国防両省の関係者と議論したときにも、「CTBTは、もうないんだ」と。「ない」というのは、「形はあるんだけども議会も反対してるからアメリカが条約を承認することはない」という前提の議論でありまして、それを聞いていて、ひょっとして、これは核実験をやるんじゃないかという不安に駆られて確認したら、「いや、核実験モラトリアム(一時停止)は続ける」という返事が返ってきたという経緯があります。

今回の話は、そういう私の印象から見ると、実際に起こりうるかもしれんなと。アメリカも中国もCTBTを死文化して、モラトリアムは続けていくということすら放棄して、地下核実験をやるんじゃないかという懸念もありますので、そういうことについて日本政府として、きちんとアメリカに対して、CTBTの将来的な署名ということと併せて、それまでの間はモラトリアムを続けていく、核実験はしないということを政府レベルで確認すべきだと、そんなふうに思っています。

9月には関連の国際会議も開かれますので—-外務大臣が行かれるのかどうか私には分かりませんが—-是非、被爆国として最低限の責任は果たしておくべきだというふうに思っています。

補正予算を早く出せ

【政調会長】あと、もう1つだけ申し上げておくと、「日曜討論」の最後でもちょっと申し上げたんですけども、予算委員会は現場レベルでは来週開くという話もあるようですが、私が申し上げたのは、「予算委員会を早く開け」ということと同時に、「補正予算を早く出せ」ということです。

私は当然、9月の末に予算委員会の開始が延びたというなかで、最初から補正予算案が出てくると思っておりました。それが、11月だということであります。

その理由は、今年の税収見通しがハッキリしないということでありますが、それはいわば、財務省の予算先送りのための理屈に過ぎないんで、これだけの厳しい雇用状況の中で、雇用対策を中心とした措置は待ったなしだと思います。

そのためには、次の国会開会と同時に補正予算案を提出して、そして国会でしっかり議論をし、早く雇用対策を中心とした対策を手当てすべきだと思っています。それが11月というのは、あまりにも危機感が足りないんじゃないかと思っています。

国債発行30兆円枠

【記者】補正予算に関連して、国債発行額を30兆円以下に抑えるべきだという話がありますけれど、改めて政調会長としてその枠を超えるべき、もしくは超えてもやむを得ないのか、あるいは枠は守るべきなのか、どっちなのかということと、その理由を伺えますか。

【政調会長】まず、その問題は一義的には総理の問題であるということは事実ですね。 しかし、その総理が、与党の政策責任者がいろいろ言ってるにもかかわらず、自ら30兆円の枠は守るということを強調されてるわけです。

そうであれば、これは国民に対する公約的な意味を持つわけですから、守られるのは当然だというふうに思います。

私は、来年度の30兆円枠もそうなんですが、なぜ30兆なのかという議論を詰めていくと、必ずしも積み上げでそういうふうになってるわけではありませんが、それは将来に向かって財政をきちんと、野放図な財政支出から規律あるものに立て直していきますよというメッセージ、そのメッセージ性に意味があるというふうに思います。

そういう意味で、来年度についても、今年度についても総理が自らおっしゃった以上、それをもし破るということになると、総理自身が構造改革あるいは財政の立て直しということについて大きく後退したと、国民からもマーケットからも受け取られることになるだろうし、それは避けるべきだと私は思います。

【記者】今のは、公約として言っているから守るべきだと、そういう趣旨のお話だったと思うんですが、特に民主党としてどうなのかと。それは民主党として30兆円の枠を守るべきだという考え、という解釈で宜しいんでしょうか。

【政調会長】我々は、そういうことを前から申し上げてるわけで、今年度・来年度・再来年度について国債発行額を30兆円以下に抑えるという法案を出してるわけですね。

財政の規律というものは、景気・経済の立て直しということに並んで重要なことだというふうに思っておりますので、それは当然、今年も30兆円の枠の中でやるべきだと考えています。

そうすると、今年は2兆円ぐらいの財源しかなくて、しかも税収が落ち込むともっと厳しくなるとか、いろんな議論が出てくるんですが、何度も言ってますように、今年度の予算も「聖域」ではありません。 総理は来年度予算について、例えば特殊法人に関しても、あるいは公共事業に関しても変えると言ってるわけです。それを、今年度予算についても今から同じようなことをやれば、財源は出てくるわけです。

それをきちんとやるということが、小泉構造改革をやるというメッセージを送ることになるわけですから、別に「自分が総理になったときにはもう予算は通っていた」ということではなくて、総理が替わって方針も変わったわけなんで、そういう形で組み換えるということは当然やるべきです。

ですから、補正予算の規模というのは、財源的に2兆円に縛られるということではないんです。今年度予算を組み換えれば、2兆円が3兆円、4兆円になりうるということです。効率の悪い公共事業から、より効率のいい投資や雇用対策に振り替わるということですから。それが出来ないのは、やっぱり既得権に囚われてるからでしょうね。

予算委員会の争点

【記者】予算委員会が開かれた際、民主党としてはどういったことを議題として取り上げていく方針なんでしょうか。

【政調会長】それを決定するのが誰なのかという問題もありますが、やはり今の雇用情勢、経済の問題でしょうね。それが軸になることは間違いないですし、それを軸にすべきだと私は思います。

しかし、それだけではなくて、高祖参議院議員の選挙違反の問題を始め、靖国参拝など当面するいろいろな問題についても当然質していくことになるだろうと思います。




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