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2001.07.10|その他

生きることの価値を考える

私は以前、日米の経済会議でワシントンにあるアスペン研究所を訪れたことがありましたので、アスペンの活動については以前から関心がありました。社会の最前線で活躍されている方たちが、そこから離れて古典に親しみ、本質的な問題を議論するということに非常に魅力を感じていたのです。そこで、小林陽太郎会長の御尽力により日本でもアスペン・セミナーが開かれるようになったことを知り、迷わず申し込みました。

学生時代は堅い本も一所懸命読んでいましたが、通産省時代、議員活動に入った時代を通じて古典を読む意欲も時間も持てないまま四半世紀をきてしまったので、頭もだいぶ錆び付いていまして(笑)。そのため、正直言っていただいた資料を読んでもよくわからない部分がかなりあり、また時間的にも抜粋資料を読むのが精一杯で、とても元の本にまで手を伸ばせなかったのが実情です。でも、いつも目の前の問題にとらわれて日々過ごしていたのが、セミナーでの数日間はまったくそういうものと離れることができ、それが非常によかったと思っています。

セミナーでは、みなさん活発に何度も発言されていて、それが私にとっては新鮮でした。特にビジネスの世界で責任ある立場におられる方々が、ビジネスを離れたところで人間の生き方とか生きる価値といったことについて熱心に議論されている姿には教えられることが多かったし、私も楽しく議論させていただきました。セミナーの雰囲気は一見すると大学のゼミのような感じですが、人生経験のない大学生が机の上だけで議論しているのとは違い、みなさん社会に出て20年、30年と経験を積んだ上で議論をされているので、発言にはそれだけの深みと重みがありましたね。

セミナーでは何日間か現実から少し離れて読んだり考えたりする時間が持て大変リフレッシュできたし、ふだんは忙しく飛び回っていて「ながら族」で考えていたいろいろな問題とじっくり向き合い、思索を深めることができたのは収穫でした。その経験から、人間は時々こういう時間を持つことが必要なんだと、認識を新たにしたわけです。しかし、セミナー終了後も週1時間は古典を読んでくださいと言われ努力して>本を買い込んだにもかかわらず、結局はつい読みやすいものにばかり手が伸びてしまって。一人で古典を読み続けるのは難しいですね。でも参加したこ とが刺激になり、 最近は全然仕事と関係のない医療倫理の本などを買って読んだりしていて、以前より 読書の幅は広がったような気がします。

本当は、ふだんの生活の中でも生きる価値といったことを考えることは大事だと思うので、ぜひ古典は読み続けていきたいと思っているんです。人間は進歩し たようで千年、2千年くらいではその本質はあまり変わらないんですね。そして歴史の風雪に耐えた書物は、本質的なものとは何かを教えてくれ、人間について の見方を鍛えてくれますから。

本質的なものをきちんと身につけていれば、例えばバブルの時代に皆が浮足立って走っていても、冷静にものごとを見て対処できたと思います。同じことは政 治の世界でも言えます。国民の生存そのものを左右するような危機に際して厳しい決断を迫られる指導者にとって、最後の拠りどころは、その人の価値観、人間 観ではないでしょうか。そういう意味でも古典を読むことは、人間についての洞察力を深め、生きることの価値を見出す上で欠かせないことであると共に、特に 政治家にとって必要なこ と >だと思うのです。

セミナーは堅い議論ばかりでなく、生演奏を楽しむ時間が設けられたりしてい て、なかなかよく考えられたプログラムだと思います。できれば初級編と本編と2回でワ ンセットくらいにして、最初はまず体験だけしてみる、何年かして今度はちゃんと本を読んできて参加する、と。せっかくそれぞれ実社会で経験を積んでこられたみなさんが集まるのですから、不完全燃焼のまま1回だけで終わるのは勿体ないですから ね。

妻も参加したがっていたのですが、子どもがまだ小さかったので今回は断念したんです。十年後くらいにはぜひ一緒にと約束しているのですが。(談)




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