トピックス

2001.06.30|その他

定例記者会見録 2001年6月

6月26日

○諮問会議の基本方針は具体論なし、ビジョンなし、実現可能性なし

○財務相が税源移譲を認めたのは、増税によるパイの拡大が前提

○自民が民主への反論まとめる—-麻生政調会長といつでも論戦する用 意

○特殊法人改革—-民営化・行政移管・廃止・統合の4つを基本に

経済財政諮問会議の基本方針

【政調会長】本日、「経済財政諮問会議の基本方針」に対する民主党の考え方をまとめましたので、ご報告したいと思います。

まず、総論と各論とに分けて整理をしたうえで、総論として3つ。

第1に、本来この「基本方針」の意義というのは、改革を実行するためのプログラムを示すことにあるはずです。

それにもかかわらず、小泉総理の決意というものが感じられないし、 加えて具体的な、いつまでにどうやって実現するのかということについ て、何も書いていません。

そういう意味では、学者や評論家の作文だと。そういうふうに言われても仕方がないんじゃないかと。

第2に、将来の日本をどうするのかというビジョンに説得力がない。 市場原理を強調してるわけですが、これは20年遅れのサッチャリズム じゃないか。 もちろん、市場原理は重要なんですが、我々そのことは異論はないんですけども、しかし同時にその競争の結果出てくる不公正の是正ということに対して、政治が十分に責任を果たしていくという視点が欠けている ということであります。

我々民主党は、「すべての人に公正であるために」という標語を掲げておりますが、市場原理の強調だけでは、不十分だと。物事の片方しか 見ていないというふうに思っております。サッチャーのあと、なぜブレアが出てきたのかということを考えるべきだと。

第3に、「そもそもできるのか」という話でありまして、自民党の政 調会長や政調会長代理が、今日は某新聞に古賀さんの意見も出てました が、「政府で決めても、あとは党がいろいろ意見を言うんだ」ということでは、これはおかしいわけで、総理なんですから、与党と政府は一体 であるべきで、そういったことについて、自民党の幹部がいろんな発言 をしておりますが、小泉さんとしては、「そういう発言許さず」ということを明確に言うべきだと。

もし、そういうことを言わないとすれば、これは単なる参院選向けの 宣伝ペーパーであって、改革は絵に描いたモチになってしまうというこ とであります。

次に各論に入ります。

1番目の「不良債権の処理」ですが、これは従来から我が党が言って きたことでありまして、「基本方針」のそれは対象が極めて限定されて ると。要注意先債権にも相当問題のあるものがあるというのが我々の認 識であります。

従って、もう一度きちんと資産査定をやり直して、そして引き当てを 完全に行わせるべきだと。それをやらずにごく限られた一部だけ直接償却と言っているのは、問題のすり替えだと。

もう1つは、法的整理と私的整理の順番・位置付けについて全く明確 でないということで、我々は法的整理が中心だと、基本であると。そして、私的整理、つまり債権放棄をする場合には、それは再建が確実で、 モラル・ハザードを招くことがない、経営者あるいは株主の責任が明確 に取れると言う場合に限るべきである。

それをやらずに安易に債権放棄をしてしまったら、また数年経ったら 同じように借金がたまるだけである。それは問題の先送りにすぎない と。 従来から主張していることですが、そんなふうに考えております。

2番目の「経済の再生」ですが、これは実は一番大切なところのはずですが、ほとんど具体的なことが書いてありません。

少なくとも我々がエンジェル税制の拡充とか公正取引委員会の内閣府への移管とか通信・放送公正競争委員会(日本版FCC)とかいろんなこと を言っておりますが、そういうことも含めて、具体論が「基本方針」に は出てこないということであります。

3番目の「財政構造改革」につきましては、これもですね、一般的な 必要性や手順は言ってるんですが、じゃあ具体的にどうするんですか と。

例えば道路特定財源について、一般財源化するのかというと、「見直 し」とは書いてあるが「一般財源化する」とは書いてない。

それから、公共事業と非公共事業の区分にとらわれない配分というのも、そう書いてあるだけで、じゃあ実際どうするのかということが書い てない。つまり、非常に抽象的な記述しかないということであります。

この「基本方針」を注意深く読みますと、やっぱり近い将来、大増税を考えてるんじゃないかというふうに思わせるものがあります。

もしそうだとすれば、我々とは明らかに考え方が違うわけで、我々は 歳出の抜本的な見直しを踏まえた削減策というのをまず実行すべきだと。増税によって財政再建を図るべきではないと。こういうふうに言っ てるわけで、ここは基本的に違うところじゃないかと思っております。

それから、総論でも言いましたが、各省庁との関係がどうなるのか。それから、与党との関係はどうなるのかと。そういうことについて、何も書いてありませんので、本当に政府はいいとしても、あるいは総理はいいとしても、それが本当に実現できるのかどうか全く担保されていな いということであります。

4番目の「公共事業改革」は、我々従来から言ってきたことですが、 まずGDP比を中期的に下げていくと。塩川さんは2%とか一時言われたんですが、もちろんそういう数字は消えてしまったわけで、いつまでにどれだけやるのかということが示されていないのが最大の問題であります。我々は5年で3割削減というこ とを言っております。

それから、特定財源を一般財源化するという表現は「基本方針」には ありませんし、長期計画の抜本的見直しも書かれておりません。古賀さ んが道路5カ年計画をやめてもいいというようなことを今日のインタ ビューでは言ってるようにも読めますが、まあ発言は自由ですから、こういう政府のペーパーにきちんと書くべきだということであります。

そうでない限り、参議院の選挙対策といわれても仕方がないと思います。

それから、「基本方針」には重点的に整備する分野と書いてあります が、じゃあどこを整備するのかということは書いてないというのも、極 めて一元的だと思っております。

5番目の「雇用・社会保障制度改革」ですが、まず「530万人の雇用」 という根拠がはっきりしませんし、いつまでに530万人出てくるのかとい うことが示されていないんで、まあ30年あるいは50年先に出てきても意 味がないわけですから、根拠が全くはっきりとしません。

特に、不良債権の処理とパッケージで我々は雇用対策をやらなければ ならないと思っておりますが、そういう意味ではこの2〜3年の話なん ですね、これは。そういう危機感が、政府のペーパーにはないというこ とであります。

医療制度改革は、いろいろ言いたいことがあるんですが、医師会が葬 り去ってきたいろんな項目があるというなかで、じゃあ今までできなく てこれからできるんですかということであります。

特に診療報酬改定は、勤労者の所得が減少しているなかで診療報酬が上がるという改訂を前回はしたわけですが—-それも医師会の圧力であ りますが—-そういうものはやめるべきだと。

それから高齢者医療についても「基本方針」には2行ぐらい書いてありますけど、具体的なことは何も書いていないというのは、むしろ後退 だというふうに思っています。

年金制度改革も、国民年金の空洞化に対する危機感は全く感じられません。非常に評論家的な表現にとどまっています。

子育て支援についても、具体的な数値が書かれていないと。

6番目の「地方分権改革」は、従来から言ってるように、補助金や交 付税交付金を減らすという、まず削減ありきになっていると。これで は、地方分権の根本に反するんじゃないかということであります。

「法律による歳出の義務づけの見直し」と「基本方針」にはあります が、じゃあ何をいつやるのかということについても、全く触れられてお りません。

それから「税源移譲」については、総務大臣と財務大臣でいろいろ議 論があって、まあ、表現としては盛り込まれたということであります が、じゃあ、そのときに「歳入中立」なのか、それとも増税をして、そ の分を税源移譲するのかということが、非常に不透明で、どうも話を聞 いてると、諸井さんのコメントなども重ね合わせてみますと、大増税を するときに、その一部を税源移譲すると、こういうことで総務大臣と財 務大臣は手を打ったんじゃないかと。そんなふうに読み取れるわけであ ります。

逆に言いますと大増税をするまでは税源移譲をしないと。こういうこ とでもありまして、それでは、不十分で遅すぎるというふうに考えてお ります。 いずれにしても、全体像がはっきりしませんね。タイムスケジュール も手順もありませんねと改めて申し上げております。

7番目の「2002年度予算編成」でありますが、景気がこれだけ悪くなってくるなかで、非常に危機感を欠いてるんじゃないかというふうに 捉えております。

「基本方針」の表現を見ますと、「アメリカの景気が良くなれば日本 も持ち直す」というようなことが書いてあるんですが、これはまさしく 神頼みでありまして、非常に根拠なき楽観論だと言わざるを得ないと思 います。

「基本方針」のなかでも、歳出の中身の見直しと制度改革としての財 政構造改革というのは、経済成長を促進するということを言ってるんで すね。

しかし、そういうふうに言うんであれば、景気対策にプラスであると 言うんであれば、今からやりなさいと。来年度の予算からなんて悠長な ことを言ってないで、今年の予算の組み換えも含めて、是非公共事業の なかで非効率なものを探して、それを効率的な雇用対策に使うとかです ね、そういうふうに今から取りかからないといけないし、すぐただちに とまでは言わないまでも、年内にやるべき改革のメニューというのも、 今示しておくべきだというふうに考えております。

この辺が非常に、景気の見通しが甘すぎて、次の手が打てない状況にあるというふうに思っております。

以上ですが、さらにもう1つ申し上げておくとすれば、我々が少し前 に、小泉内閣になって出てきた新しい論点について、民主党の考え方を まとめて公表したことがありました。それに対する反論が自民党のなか で10枚ぐらいのペーパーにまとめられました。

選挙でいろいとと聞かれて、答えるためのものかと思いましたが、ま あ一読したところ、表現その他から見ても、それぞれの役所に発注をし て、役所の係長ぐらいが書いた程度の文章だというふうに思われます。

で、こういうものをもって民主党に対する反論だと言っている自民党 のその姿が悲しいという感じがいたします。もう少し「骨太」に議論す るなら、私はいつでも応じますから、きちんと反論していただきたいと 思います。

いずれにしても、反論が示されましたので、私としては麻生政調会長 とこの件について、討論する用意ありということであります。いつでも お受けしますので、是非受けていただきたいと思っております。

【記者】民主党のペーパーは、どこかに提出するんですか、先方とか。

【政調会長】まあ、先方に出すような話ではないと思いますが、今、民主党の考え方をいろいろなところに—-労働界や経済界等—-幅広く示 したいとは考えております。

【記者】政府はこれから2年ほどは0〜1%ぐらいの経済成長率もやむを得ないと言ってますが、不良債権の処理をより厳格に進める民主党の 考えは、よりデフレ圧力を強めると思うんですが、経済成長率について はどのような……

【政調会長】我々としては、早ければ早いほど怪我は軽くてすむという考えです。だから、不良債権の処理もダラダラと、結局2〜3年でやる と言いながらできない、先送りの不良債権処理の姿になってますが、それよりはきちんとやるということで、その期間を短くすることが大事だと思っております。

他の改革も、むしろ今年から、予算の組み換えも含めて進めていくなかで、来年の4月まで具体的なことを何もせずに放置しとくんじゃなくて、今年から対処していく。対処という意味は、補正予算を組んでドンと積み上げるというやり方じゃなくて、まさしく諮問会議が言ったよう に、予算配分を今年から変えていくことで、かなりの部分が手当てでき ると。

そこまですれば、国民も構造改革論戦が本物・本気だということを認 識していただけると思います。

【記者】そうすると、一時的なマイナス成長もやむを得ないと。

【政調会長】そういう誘導尋問には引っかかりませんが、成長率が分か るのはあとのことですからね。我々は需要を積み上げて経済成長を目指 すというやり方とは決別してます。あとは結果ですよ。

【記者】今回、民主党の考え方をまとめた意図は何でしょうか。

【政調会長】構造改革それ自体は、我々がずっと言ってきたことです。

もちろん小泉さんが、「基本方針」で言っていること全部を肯定する わけじゃありません。いろいろ問題もありますが、構造改革の実現とい う大きな方向性については、むしろ積極的に進めていくべきだというふ うに考えています。

ただ、それが小泉改革ということになったときに、今具体的に述べた ような問題もあるし、何よりも本当にできるのかということについて、 我々としては大きな疑問を持っているということです。

【記者】政府が近い将来の増税を前提としているというのはどういった理由でしょうか。

【政調会長】それは、先ほども言いましたように、財務大臣と総務大臣が最後に手を握ったということですよね。明らかに考え方が違ったわけ ですよ。

財務大臣は税源移譲に明らかに反対していたんですが、それが最終的に税源移譲という表現を認めたのは、増税によって全体のパイが増えるなかで税源移譲するならいいというふうに考えたからじゃないでしょうか。

ネクストキャビネット報告

【政調会長】まず、「公務員制度改革に関する申し入れ」についてで す。

恐らく明日(27日)になると思いますが、上田決算・行政監視ネクス ト大臣、公務員制度改革PT座長の古賀一成さんが、石原行革担当大臣のところに鳩山さんの名前で総理宛ての申入書を持っていくということになると思います。

内容的には、どうもきちんと関係者の意見を聴かないまま、29日に 「基本設計」が出そうだということで、3月27日に公務員制度改革の大 枠が決定・公表されたあと、それに引き続いて関係者の意見を聴かずに そういったものを出すのは問題があるというような申し入れをする予定 であります。

申し入れそのものは了承されましたが、公務員制度改革について、民主党としての意見集約も急ぐべきであるという指摘が何人かのネクスト大臣からあったところです。

それから、特殊法人改革ですけれども、今日は結論は出しませんでし た。

特殊法人と呼ばれるもの77について、「特殊法人等改革の基本的な考え方」に基づいて、とりあえず整理しつつありますという報告であります。

まず、基本的な原則は、・民間でできる業務は民間でやる、・行政が やるべき業務は行政がやる、・役割を終えた業務は廃止する、・重複・ 類似する業務は統合する—-という4つの基本的な考え方に基づいて、 既に役割を終えた業務については廃止をし、民間法人形態で実施できる業務のうち、民間と競合しているものは廃止、競合していないものは民営化。

それから、行政が責任を負うべき業務については、国直轄化または独 立行政法人化し、そのうち地域性の強いものは地方移管、当分の間、政府の関与が必要なものは政府持株会社にすると。

そのうえで、各特殊法人について議論をしたということであります。 77法人について、今日ザッと紹介があり、担当ネクスト大臣からもコメ ントがありましたが、これから、もう少し話を詰めていくということ で、今日のところは結論は出しておりません。

77法人全体をやる、あるいはその他の法人も含めて検討するということと、併せて、我々は道路公団についてはすでにかなりまとまったもの が木曜日にはNCに出てくると思いますが、道路公団とか住宅金融公庫と いった象徴的なものについてより具体的な検討も併せてやっていく必要 があると。

全体をおしなべてやっていくことと、大きなもの、予算をたくさん使ってるものについて、集中的にやっていくという、両面でやってもらいたいということを私のほうから申し上げておきました。

特殊法人改革

【記者】特殊法人改革についての「基本的な考え方」自体は概ね了承さ れたんですか。

【政調会長】そうですね。

【記者】とりまとめの時期はいつ頃になるんでしょうか。

【政調会長】そうですねえ。もう選挙モードになってますからね。ある 程度の形になるのは参議院選挙のあとになってしまいますね。 ただ、道路公団なんかは、多分木曜日にはNCに出てくると思います。

【記者】改革案が出てくるのは道路公団だけですか。

【政調会長】僕の記憶だと、阪神公団とか本四公団とかも含めた道路4公団と聞きましたが。

【記者】道路公団や本四公団については、最終的には民営化の方向と。

【政調会長】それは木曜日に申し上げます。

【記者】政府の改革案に対してはどのような見解を……

【政調会長】これは小泉内閣の特徴だけど、この前、法律で出しましたよね、特殊法人の。あの中には何にも書いてない。あとは石原大臣がポ ンポンと喋ってるだけで。それが、政府として認められたものなのかどうかっていうのは分からないですよね。

今までの特殊法人改革の歴史を見れば、常に「抜本改革」「原則廃止」と言いながら、終わってみれば、いくつかの特殊法人について単に機械的な合併をしてるだけというものですから、今回も同じような結果になる可能性は高いと思います。

6月19日

○懸案の「司法と精神医療の連携に関するPT」を設置

○民主党議員立法約30本がたなざらしになって審議すらされないこと は大いに問題

○「骨太の方針」は小泉内閣の実体を現した学者の文章、民主党の対 案をまとめる

○日米外相会談—-ミサイル防衛の判断材料すら得られぬ無意味なもの

ネクストキャビネット(NC)報告

【政調会長】それでは、ネクストキャビネットの報告を行います。

経済財政諮問会議について、これは私も報道でしか知りませんが、今週の木曜日(21日)に会議が開かれると。そして来週の前半の閣議で 「骨太の方針」を決めるというような話も流れてきておりますが、我々もしっかりこの問題について議論したほうがいいということで、次回・ 木曜日のNCで2時間ぐらいかけて、その時点で明らかになっている諮問 会議の草案について意見交換をして、そして、来週閣議決定されるもの の代替案のとして民主党としての考え方を—-あまり具体的な細かいものよりは、「骨太の」考え方を—-まとめようということにしておりま す。

それから、少し延び延びになっておりました例の大阪教育大附属池田 小学校の事件を契機としたプロジェクトチーム(PT)が、名称も決まって正式にスタートいたしました。

池田小学校の話は直接関係がないんですが、これを1つのきっかけに ということで、名称も誤解を招かないように、「司法と精神医療の連携 に関するPT」ということにいたしまして、基本的には池田小学校の事件 は関係ないんですが、「しかし、世論が必ずしも批判的ではないことの 背景には、現行法における重大な犯罪を犯した精神障害者の処遇の不備があることは事実であり、精神医療の現場からも繰り返し問題点が指摘されてきているところである」と。

そして、「本件のような事件が起こるたびに多くの罪のない精神障害者の方たちがさらなる偏見にさらされることのないよう、この際、かね てからの懸案であった司法と精神医療の連携について検討するPTを設ける」。こういう位置付けで考えていきたいと思っています。

民主党議員立法

【政調会長】それから、我が党の議員立法について、現時点での状況を まとめてみました。

まず、提出済み法案が33本あります。このなかには再提出したものも 一部含まれておりますし、「配偶者からの暴力防止及び被害者の保護に 関する法律案」のように、超党派で出したものも入っております。そう いうものも含めて、提出済みが33本であります。

そのなかで、かなりのものが吊されたまま(未審議)ということであ ります。そういった現実に対して、どっかでやはりそういう悪い慣行は 壊していかなきゃいけないと。政党が、あるいは議員が法案を出しなが ら、それが審議すら一度もされることなく最終的には廃案になったり、 継続審議になったりしてしまうというのはとんでもないことですから、 そういうことについて、どこかでしっかり与野党で話し合わなければい けないことだというふうに思っております。

それから、まだ作業中の法案が16本であります。このなかには、今国 会、あと2週間の間に出すものと、それから、要綱段階でとどめておくものとがあります。

これ以外にも30数本検討中のものがありますが、あと2週間という会 期のなかで、とりあえず区切りをつけて、次なる国会に持ち越していく ということに決まるだろうと思っております。

もちろん、時間があれば、私どもも法案を出すことにトライしたいと 思いますが、一応の区切りとして、33本を提出済み法案と16本の作業中 法案ということで、合計49本ということであります。そして、これ以外 にまだ30本くらいあると。

よく頑張って、それぞれ検討していただいたというふうに思っており ます。

経済財政諮問会議

【政調会長】先程、ちょっと経済財政諮問会議のお話をいたしましたよ うに、「骨太の方針」について明後日議論をしたいと思いますが、だん だんここにきて小泉内閣の実体というものが見えてきたという感じがし ます。諮問会議の素案を見る限り、これが改革なのかと、やや唖然とす るわけであります。

細かい具体的なことも少し入ってはおりますが、まず基本的にタイム スケジュールがありません。いつまでに、どこをやるかということにつ いて、全く示されていないと。それから、どうやってやるのかというこ ともない。

パッと読むと学者の作文なんですね。「必要がある」とか「期待され る」とかですね、そういう表現が非常に多いわけでありまして、非常に 抽象的な作文になっているということです。

まあ、だからこそ各省庁との調整がほとんどなくできたんだと思いま すが、これが本当に「小泉改革」の実体であるということを、この程度 のものなんだなということを改めて読み直して感じたところであります。

できたら、閣議決定でもっと具体的な話にしてもらいたいと思いま す。つまり、政権を持っている人の文章なんですから、自分がこうする んだ、いつまでにこうやってこうするんだというのが、読んだときに感じられなければ、それは意味のない文章だというふうに思っておりま す。

その他具体的な点については、明後日議論をして、またお示ししたい と思っていますが、例えば地方税財源のところも、「税源の移譲」ということについて、総務大臣と財務大臣で明らかに考え方が異なっており ます。そういうことは、きちんと答えを出すべき問題ですね。

単純に税源移譲を認めるのか、認めずに自分たちで勝手に地方が新し い税を創って増税しろというのかで全く違ってきますので、我々は税源 移譲ということを基本に据えておりますが、そこを曖昧にしたまま、文 章を作っても意味のないことだというふうに思っております。

それから、不良債権の処理などは、恐らく次の国会で関連する法案を出さなきゃいけません。ところが、株式買取機構についても明確ではありませんし、雇用対策についてもすでにあるメニューを並べているだけで、不良債権を2年ないし3年で処理するために雇用対策を併せてやっ ていくという一般論で、時間の観念がどうもはっきりしないわけです。3年、5年の話と、今やらなきゃいけないものが、ゴチャゴチャになっ てるという感じがいたします。

そういうことを通じて、小泉改革の実体というものがだんだん明らか になってきたなという感じがしております。

日米外相会談

【政調会長】それから、田中外相がアメリカに行かれて、パウエル国務 長官と会談をされたわけですが、伝えられている範囲では、全く形式的 な、つまり実質的な議論が何もないままに終わったというふうに思いま す。 今まで伝えられた彼女の各国の外相に対する発言から見ると、全く後退 しているというふうに言わざるをえないと思っております。

ミサイル防衛の話も、ご意見拝聴に終わってしまったということであります。私は日米首脳会談でミサイル防衛の話をしっかりするための地 ならしに行かれたんだというふうに思っておりましたので、外務省の書 いた答弁を棒読みするだけなら行った意味がなかったんじゃないかとい う感じがします。

京都議定書についても、「共感はしない」というのが彼女のせいぜい の抵抗で、明確にメッセージを伝えられた、つまり、アメリカが議定書 に賛同できないんであれば、日本だけでもやるということを明確に述べ るチャンスだったのに、結局官僚の作文をそのまま棒読みするだけで終わってしまったということであります。

随分日本で伝えられてることとギャップがあるなという気がします。 それなら最初から言わなきゃいいのにという感じがしながら報道を見て おりました。

「吊し」法案

【記者】民主党提出の法案なんですけども、33本のなかでたなざらしに なってるは大体大雑把に言うと9割ぐらいなんでしょうか。

【政調会長】成立したものがペーパーに書いてあるでしょ?それから 否決されたものがありますよね。成立と否決以外はたなざらしになって るということです。

成立が2つかな。「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律案」、これは超党派ですね、自民党も入った。これが成立。

それから、「祝日法改正案」。これは実質的には我々と同じものなんですが、形式的には撤回したあと委員長提案として出し直して成立したと。

それから「犯罪被害者基本法案」。これは実質的には否決された(審 議後政府案のみ採決=民主党賛成)と。「危険運転致死傷処罰法案」も 否決。「公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する 法律等の一部を改正する法律案」も実質的否決。

こんだけじゃないですか。あとは提出しっぱなしですよね。

ミサイル防衛

【記者】ミサイル防衛について、田中外相の立場がですね、ある意味 はっきりしたと思うんですが、「理解する」と。ヨーロッパの立場と違 うという立場がはっきりしたと思うんですが、こういう外務大臣に対して、民主党としてはどういうスタンスで向き合っていくんでしょうか。

【政調会長】彼女がアメリカに行く前に、「いろいろ聞く」と言ってい たんですね。そこが今伝えられているところではどうもよく分からない んですが、基本的にまずアメリカが何を考えているのかということを はっきりとさせるということが最低限必要なことだと思うんですね。そ れ自体がよく分からない。

例えば、我々が今やっているTMD(戦略ミサイル防衛)と今回の構想と の関係っていうのはどうなってるのかっていうのが1つありますよね。

それから、彼らは核兵器は大幅に削減していくと言ってるんですが、 それがどの程度確実なものなのか。ロシア・中国との関係をどうするのか。

そういうことについての全体の図柄が見えてこないと判断できないこ とだというふうに思います。少なくともそれを明確にするために彼女は 行ったんじゃないかと、首脳会談を前にして。それがまあ、伝えられて おりませんので、ある程度議論したけども外に出ていないとか、あるい は議論すらしなかったのか、そこですよね。

でも議論したんなら、中身はともかく、そういうふうにブリーフ(説明)はされると思いますので、結局外務省が振り付けたペーパーを読ん だだけで終わってるんじゃないかと、そんなふうに受け止めています。 ミサイル防衛については、私は予算委員会のときに申しましたが、いろんな懸念はあります。技術的可能性、集団的自衛権との関係、それか ら、あれだけコストがかかるということになると、防衛費の中身がゴ ロッと変わる話でもあるわけですね。それから、中国・ロシアに対する 影響。

しかし一方で、今までと全く違う考え方でありますので、冷戦的な発 想から抜け出るという魅力はあるんですよね。

それが夢物語なのか、少しでも実現可能性があるのかという見極めが 大事で、そのために判断材料が必要だということではないでしょうか。 私は頭から否定するつもりはありません。

せっかく担当大臣同士が話したんですから、そういう判断をするため の材料が少しでも出ればと思ったんですが、まあ、伝えられているとこ ろでは全く出てないですね。

6月12日

○使途の目的制限、将来の公表等を内容とする機密費改革法案を提出

○土地収用法—-与野党協議の結果を見て最終的に判断

○経済財政諮問会議の「骨太の方針」について、今後党内で対応を議論

○公共事業の円滑な遂行と事業の一方的な執行の防止とのバランスが重要

○刑法改正論議—-触法精神障害者の責任能力の範囲と再犯防止策の2つが論点

○郵政民営化が議論されるなかでの郵便局の業務拡大は全く不可解

ネクストキャビネット(NC)報告

【政調会長】それでは、本日のNCの報告から行います。

まず、「機密費の使用に係る文書の作成、公表等に関する法律案」(民主党議 員立法)についてですが、今日、本会議終了後、これを提出いたしました。

我々の法案の中身はすでにご承知のとおりでありまして、使途の目的を限定す ること—-これどういうわけか、政府のほうは全くこの話に乗ってこないんです が—-そして、10年、25年後の公表等の中身であります。

外務省の機密費の改革案というのは全く不十分でありますし、田中外務大臣に対して、機密費問題に関してしっかりやるんじゃないのかということで、国民的期待も高まったと思うんですが、先般出されたものは目的の限定は全くありませんし、しかも大臣が機密費を全部チェックするという、できもしないことを堂々と言っているというもので、呆れるばかりです。毎晩毎晩、徹夜で何10枚、何 100 枚の領収書を大臣自らチェックされるおつもりなんでしょうかと。

本当に馬鹿げたことを言ってるという感じがいたしますし、しかも、官房機密 費については手つかずでありますから、外務省の改革案は非常に問題が多いと思 っています。我々は、そういう点をクリアしたものを出したということでありま す。是非、各マスコミにも正当に扱っていただければありがたいと思っております。

次に、「土地収用法の一部を改正する法律案」であります。

社会資本整備部門では、政府案を修正するということで、それが容れられれば 賛成ということで、NCに上がってまいりました。

NCでは先週、佐藤環境・農水ネクスト大臣、金田厚生労働ネクスト大臣から疑問が呈されまして、今日はそれに加えて1、2の議員から同じような主旨で疑問 があるんではないかというお話がありました。

賛否両論出るなかでNCでは、この問題は重要な問題なので、一度、代表、幹事長それから政調会長、前原社会資本整備ネクスト大臣の4者で方向性について協 議させてほしいということで、私のほうで引き取りまして、先ほど5時から20分ほど4者で協議をいたしました。

結論を申し上げますと、1つは、これから与野党の協議が始まりますが、その結果がどうなるか分からないと。

もう1つは、法案自体がこの国会で採決ということになるのか、それとも参議 院も含めた全体の見通しのなかで先送りされるのか、そこも明確にはなっていな い状況です。採決が近いという説も濃厚ですが、そこもまだ不透明な部分があり ます。

従いまして、今日のところは結論は出さないということにいたしました。その うえで、与野党協議の結果を見て、最終判断をするということにいたしましたが 、その判断は私と前原ネクスト大臣に任せられたということであります。 NCでも一任の形を取り付けておりますので、最終的に与野党協議の出来具合を見て、前原さんと私で決定させていただきたいと考えております。

それから、「地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取り扱いに関する 法律案」についてであります。

これは今国会では採決しないという話だったんですが、突然出てまいりましたので、まず玄葉総務ネクスト大臣のほうから、総務部門での議論の報告がありま した。

これは、「戸籍の謄本、抄本等」、「納税証明書」、「外国人登録原票の写し 及び外国人登録原票記載事項証明書」、「住民票の写し及び住民票記載事項証明 書」、「戸籍の附票の写し」、「印鑑登録証明書」といったものについて、郵政 事業庁長官と地方公共団体との協議により規約を定めて、郵便局において取り扱えるようにするというものであります。

もう1つ言っておきますと、こういうものは市役所等に行きますと、本人じゃなくても請求できるものがほとんどなんですが、郵便局では本人しか請求できな いということにしようというものであります。

そういうたががはまってはいるんですが、果たして本人かどうかの識別をきちんとできるんだろうかとか、もし不正行為が行われたときの保証とか責任はどう なるのか、守秘義務が本当に守られるのかと。

それから、これは民間企業ではできないわけですね。「郵政官署」ということ は、郵便局のなかでも、いわゆる簡易局は除いてあるわけです。

つまり、「お役所」である郵便局にこういうものを認めてるわけで、もし完全 民営化ということになれば、こういう仕事はできないということだと思いますが 、その辺の議論を全くしないまま、これだけ先に走ってしまっていいんだろうかというような、いろんな議論が部門会議で出たということであります。

考えてみると今、参議院のほうは総務委員会は法案が確か4本残っていて、審 議日数は4日しかないと。それにこれが加わるということですので、日程的にも かなり無理をしなければいけないということで、やっぱり慎重に議論したほうが いいんじゃないかと。

それで、賛否は今日は議論をしませんでした。こういう論点があるということ は明らかになったんですが、それをいちいち結論を出して賛成とか反対とかいう ことは、現時点では決めないと。むしろやっぱり、基本的には次の国会に先送りをして、それまでにちゃんと議論をすべきだと。こういうことにいたしました。

ただ、もし強行採決といいますか、どうしても今国会で採決ということなりま すと、我々としては中身を議論する前に採決を迎えるわけで、それはとても賛成 できないと。

まあ、それは万々が一ということでありますが、我々の情報では、採決はしな いというふうに聞いておりますので、そういうことはないんだろうと思いますが 、もしそういうことになれば賛成はできないということも、方向性としては確認 をされて、この国会中は賛否は決めないと。

しかし、万が一採決されるなら、中身ということではなくてやり方について、 とても賛成はできないと。こういうことで整理をさせていただいたところであり ます。 それから、林業3法案につきましては、これも参議院のほうからはかなり日程 が混み合っているなかで、水産基本法に続いてまた林業基本法までやるのは、な かなか厳しいという見通しが述べられましたが、法案の中身としては、かなり修正も入りますし、しかも全会一致ということでもありますので、賛成ということ が確認されました。

あとは果たして参議院のほうで時間が取れるかどうかという問題になるわけで あります。

あと、「遺伝子組換え食品の認証と表示の透明性に関する法律案(仮)」(民 主党議員立法)の中間報告がありました。

これ、中身的には非常に画期的なものだというふうに思いますが、遺伝子組換 え食品のうち一定程度のものについて、「審査を経ていない組換えDNA技術を用い た食品の製造、輸入、加工、使用、調理、保存、販売を禁止する」と。

それから、「遺伝子組換え農産物の混入率の表示義務を課す」というものであ りますが、この方向で議員立法を進めるということが確認されました。 それから、「税務行政における国民の権利利益の保護に資するための国税通則 法の一部を改正する法律案」(民主党議員立法)です。

この改正案には、例えば調査の際の事前通知とか、そういった規定も入ってい るわけですが、こういう形で法律を作るということになると、徴税事務が非常に やりにくくなるのではないかと。

それは、天引きされているサラリーマンから見ると、均衡を失するんではない かという意見が一部の大臣から出まして、私のほうで、もう一度、税制調査会( 税調)あるいは、慎重論を述べておられる何人かの議員に対して、NC全体として は1人を除いて全員賛成ということでしたので、その雰囲気も伝えていただいて 、そのうえで木曜日(14日)にもう1回NCに上げてもらいたいということを申し 上げたところであります。やや慎重にやらせていただいております。

あと、「経済財政諮問会議基本方針案(素案)」が月曜日(11日)に出ました 。 明日も内閣府を呼んで勉強会をやることにしておりますが、各部門で今週中に少 し議論をしてくださいということを私のほうからお願いをしておきました。

来週になると都議選も始まりますので、なかなか時間もないかと思いますが、 最終的な案が政府のほうでまとまったところで、我が党としての考え方もある程 度出す必要があると思いますので、各大臣に検討をお願いしたところであります 。

土地収用法改正案

【記者】土地収用法ですが、部門会議から上がってきた「これならいい」という 最終的な修正の内容はどういうものかということと、今後、与野党協議をやると きに、どういう内容なら受け容れるのかという点について伺えますか。

【政調会長】実は、与野党折衝はこれからなんですね。だから、まだ手の内を明かすわけにはいかないということをご理解いただきたいと思います。

【記者】今の案のどこが気になって、どういう方向に持っていくかという基本的 考え方はどうですか。

【政調会長】1つは、今は事業の認定に当たって、第三者である審議会の意見を 聞くということになってるんですが、果たしてその審議会というのが実質的に機 能するのかどうかということがポイントじゃないかと。

だから、政府案にそういう保証があるかどうかということですね。お役所の言 うとおりの審議会では意味がないわけですから、そこがはっきり取れるのかどう かということ。

それからもう1つは、この法案からはちょっと離れますが、収用法は実際の手続きに入ったあとの話でありまして、公共事業の採択といいますか、入る前の段階が非常に重要で、我々が公共事業関連4法案を出しているのもそこのところを 強化しようと言っているわけですが、そこがどういう扱いを受けるのかと。

与党が我々の4法案に賛成してくれると言えば、収用法についても我々は賛成 できるわけですが—-まあ、もちろん4法案に賛成ということにはならないと思 いますが—-もう少し実際に公共事業を実施するうえで、公共事業の計画段階か らの理解を得るための手続きというものをどう考えるのかということについて、 何らかの担保が取れるかということだと思っています。

基本的に我々も「ごね得」みたいな、一部の人たちの抵抗によって公共事業の 円滑な遂行ができないのは問題があるということは、認識として一方で持ってお ります。

ただ、その公共事業が十分に必要性が立証されない、納得されないままで強行 されるということに対しては、好ましいことではないということも認識をしてお りまして、そこの微妙なバランスをどういうふうに取っていくかの問題だと考え ております。

【記者】党のほうで出た反対意見というのはどのような……

【政調会長】我々のところにも、メールなんかでかなり来ておりますども、市民活動家の方からは、こういう法案ができることで、例えば「立木トラスト」と か「1坪地主」とか、そういう抵抗ができなくなるんじゃないかと。そういう観点からのご批判がメールで寄せられていますし、そういうことを踏まえて、何人 かの方が発言されたということです。

それから、公共事業そのものが悪だという立場に立てば、こういう法案について納得できないということになると思いますね。我々はそういう立場には立って ないですけども。

大阪・小学生殺傷事件

【記者】大阪の小学生殺傷事件に関してですが、刑法改正とのからみで、精神障害の認定のあり方をめぐって、もうちょっと考えたほうがいいんじゃないかとい う、そういった意見は出てないんでしょうか。

【政調会長】今日は中身は全然議論してません。党に設けたこの問題の対策本部のほうで役所を呼んだときに、従来の保安処け分などの経緯の説明を受けるなかで 、いろんな意見交換はありましたけども、方向性を持った議論はしておりません 。

小泉さんは、「刑法改正も含めて」とおっしゃったと思うんですけども—-役所はそういうことは認めませんでしたが、しかしテレビなんかではそういうふうに言っている姿が映し出されていたと思いますが—-そこはあまり一時の感情に走って議論するんじゃなくて、きちんと冷静に議論をしたほうがいいというふうには思っています。

方向性がどうということはありませんが、非常に大事な、つまり一方で精神を病んだ人の人権の確保の問題ですね。しかし、今回のような悲惨な事件が起きて 、ちょっとそっちに片寄りすぎたんじゃないかという意見もあるということで、 もう1回そこのところをきちんと議論しようということです。

大きな論点は、責任能力をどういう範囲で認める、あるいは認めないのかという部分と、それから、「責任能力なし」ということで、刑法の適用がない、あるいは軽減された人で、再犯を犯す可能性があるという場合に、それに対してどう対処するのかと。

大きくその2つじゃないかなと思いますが、そういった論点整理も含めて、これから議論していこうということです。

党首討論

【記者】今日、鳩山代表から明日の党首討論について、外交問題を取り上げますという挨拶がありましたけども、その件は……

【政調会長】それは議論になりませんでした。何やるのかね?機密費なんかや ってもらいたいんだけど。言うの忘れたな。

ワンストップサービス法案

【記者】郵便局で行政サービスをやるという件ですが、郵政民営化に関して党内 の議論はどのような……

【政調会長】まだ、これからです。早急に結論が出る問題ではありませんので、 総務部門で今まで何回も議論してますが、それをちょっとスピードアップしても らおうということです。

むしろ私は、小泉総理があれだけ民営化について発言され、懇談会も民営化推 進論者がかなり集まってますよね。そこに総理の意図というのが出てると思うん ですが、そういうなかでこの法案をこの国会で上げるというのは、ちょっと分か りにくいですよね。

完全民営化すれば、サービスできないわけでしょ。もしできるんなら、農協と か簡易局と言われている、公務員ではない人たちがやっているところでもサービ スできるはずなんですが、そこは除いてあるわけですね、今回は。

それは公務員であることを前提としているわけで、そこの議論の整理はどうな ってるのかなと。ちょっと不思議な感じがしますね。

6月5日

○定義・使途の制限や将来の公表等を柱とした機密費改革法案を提出する

○個人情報保護法案—-政府案の廃案を前提に、対案を提示したい

○インサイダー取引防止の体制が不十分な現状では、金庫株解禁は妥当でない

○自身の質疑における田中外相の発言について、理事会に諮って訂正と釈明を求める

○ミサイル防衛—-冷戦以来の基本的枠組みを変えるもの、政府は十分な議論と説明を

○鳩山代表を中心に「チーム」として改革をしていくということを強調したCMになる

ネクストキャビネット(NC)報告

【政調会長】まず、「機密費の使用に係る文書の作成、公表等に関する法律案」(民主党議員立法)がまとまりました。

基本的に、前々からお話をしていたところについて法案の形にしたものが、今日のNCで通りましたので、多分明日になると思いますが、法案として提出をするということになります。

内容的には、まず機密費の定義の問題なんですが、今は機密費(報償費)というのは、政府のほうはですね、「国政の円滑な運用に資する」という、非常に漠然とした定義でありまして、そういう定義のなかで、昔は野党対策に使ったり、あるいは与党議員同士の潤滑油のように使われたということもあったように思われるわけですが、まず機密費の定義をですね、「国の安全、外交その他の国の重要な利益又は国民の生命、身体若しくは財産の安全に係る国の機密の活動に使用するための国の経費」であるということにいたしまして、目的を限定したということであります。それが1つ。

それからもう1つは、機密費についての支払記録書の作成を義務づけるということで、「支払をした職員の官職及び氏名」、「支払の年月日」、「支払金額」、「支払の相手方の氏名又は名称」、それから「支払に係る活動及当該活動が機密である具体的な理由」などを記した「機密費支払記録書」の作成を義務づける。

そして、その機密費支払記録書を、一定期間経過後に公表することを義務づけるということで、特に機密が高いと所管大臣が認めるものは25年経過後、それ以外のものは10年経過後ということで公表をいたします。

もちろん、現在の情報公開と同じように、個人の氏名とかそういうものは、25年経っても相手が生きてるというようなこともありますので、そういう場合は、塗りつぶしたりすることも当然出てくるとは思いますが、10年と25年に分類して公開すると。

これは今、諸外国は大体そうなってます。スパイ活動とかそういうものも含めてですね。そういうものは、例えばアメリカですと、25年経過したものは非公表を解除するということになっております。そういった諸外国並みに公開度を上げるということであります。

あと、機密費の改革としては、予算の問題ではないんですが、衆議院の決算行政監視委員会あるいは参議院の行政監視委員会の小委員会でチェックをするということも、考え方としては、採用しております。ただ、これは法律に書く話ではありませんので、法案には書いてありませんが、非公開の小委員会でチェックをするということを併せてすることにいたしております。

それから、従来の報償費に入っていたけれども、先程の定義に入らないものが出てまいります。それらは、1つには一般行政経費として分類し直すということになります。例えば、ホテル代とかはそうなるわけですね。

もう1つは、先程言ったように、本来、税金で払っちゃいけないようなもの、野党対策とか、与党間の潤滑油として使うものとか、そういうものは、そもそも予算がなくなるわけですから、その分も減額されるということになります。

それから、「財政構造改革についての第2次取りまとめ」について、随分議論をいたしました。金額的にかなり煮詰まってきたわけですが、今日のところは資料も回収ということにいたしました。

12〜13兆円くらいのところまでは積算ができつつあります。ただ、経済の状況にもよるんですが、プライマリー・バランス(公債費を除いた財政収支の均衡)ということになりますと、財務省の中期財政展望を基にすると、さらに数兆上積みをしなければいけないということで、そこに非常に苦しんでいるということもあります。

いずれにしましても、現段階での第2次的な取りまとめについて、各ネクスト大臣に示して、取り敢えず一区切りをつけたということであります。しかし、引き続きまだ、少し時間がありますので、そこを埋めていく作業をこれからもしていくということであります。

ネクスト大臣によっては、例えば教育関係とかですね、ほとんど減額の余地なしというふうに上がってきてるものもあります。我々の考えであれば、教育も減額できるはずだと思っておりますが、そういうところもこれから、峰崎財務金融ネクスト大臣のところを中心に、さらに詰めていただこうと、そんなふうに考えております。

あと、「個人情報の保護に関する法律案」について。これは現場の部門のほうから、かなり細かい修文案が上がってまいりましたが、我々は廃案ということを決めておりますので、あまり細かい修文案というよりは、対案を骨子で示そうということで指示をいたしました。

現場のほうにはかなりご苦労をしていただいて、かなり細かい修文案を作っていただいたわけですが、もう1度再構成して、対案の形にしようということであります。

主なところでは例えば、主務官庁に関して、政府案ですと「個人情報取扱業者が行う事業を所管する大臣」ということになっておりますが、我々の案ですと「内閣府の外局として個人情報保護委員会を設置する」と。つまり、独立した職権を行う委員会を作るということにしているということです。

他には、適用除外されるものとして、「報道の用に供する目的で個人情報を取り扱う報道機関」というふうになっておりますが、もう少し広げてですね、「表現活動の用に供する目的で個人情報を取り扱う業として報道、評論、創作その他の表現活動を行う者」というふうにいたしまして、一般の報道機関だけではなくて、フリージャーナリストとかそういう人まで含めるような形にするとか、そういった修正を行うことにしております。

いずれにしましても、こういう点も含めて、対案という形で提示をしたいと思っております。

それから、いわゆる「金庫株」の問題ですが、これについては法務部門と財務金融部門を中心にご議論いただいてきたわけですが、我々の結論としては、金庫株の解禁に反対であるということであります。

その理由ですが、基本的には、我が国の現状を見たときに、インサイダー取引防止の体制が極めて不十分であると。そういうなかで、金庫株を容認するということになると、インサイダー取引がかなり行われてしまうのではないかということであります。

そして、そういうなかで、株式市場に対する信用が失われて、かえって株価にも悪影響を及ぼしかねないということであります。

それからもう1つの理由は、この法案は一時眠ってたんですが、国会終盤になって突然また出てきたということで、審議の時間も十分に取れないということもありまして、もし我々の出している「証券取引委員会(日本版SEC)設置法案」が通るんであれば、また結論は変わってくるんですが、これが否決されるということであれば、金庫株には賛成できないということであります。

田中外相発言とミサイル防衛

【政調会長】田中外相の話がですね、さかんに言われるわけですが、5月28日の衆議院予算委員会で、田中大臣のほうからですね、私の予算委員会(15日)の質問について、いろいろお話しいただいたと。その経緯はこの前(29日)、この場でもお話をいたしましたが、理事会できちんと議論をしていただこうと思っております。

つまり、田中大臣がアーミテージ米国務副長官と会わなかった理由について、私自身は外務大臣にも総理にも質問通告をしておりません。しかし、自分に質問通告があったので、そのことと誤解をしてしまった、混同してしまったというのが、田中さんの予算委員会における釈明のお話であったわけで、そもそも事実関係の前提が違っているということであります。

それからもう1つは、「釈明」といいながら、全然「釈明」していないじゃないかと。単に事実関係を淡々と述べているだけではないかと。国会で間違った答弁をしたことについての「釈明」をきちんとしていないということで、理事会でこれから取り上げていただいて、もう1度予算委員会できちんと大臣の口からお話をいただきたいというふうに思っております。

ところで、それ以来ミサイル防衛の話がいろんな形で出てきておりますが、私は田中大臣の各国の外務大臣に対する発言等を見ておりまして、本当に理解をしたうえでお話になるんであれば、一字一句政府の方針に沿った発言を外務大臣がしなければいけないと言うつもりはありません。多少は幅を持って言われることは、あっていいんだろうと思います。大臣なんですから。

しかし、本当にきちんと理解をしたうえで言っておられるかどうかについては、首を傾げるところがあります。

いずれにしましても、今後日米首脳会談が行われるわけですが、このミサイル防衛の問題は、首脳会談の大きなテーマあると思いますので、是非それまでに政府のなかで、意思統一をしていただくということと、そして、首脳会談でお話しになる前に、まず国民に対して、国会の場で総理ないし外務大臣が、ミサイル防衛の問題についてどう考えるのかということをしっかり述べていただきたいと思っております。

このミサイル防衛の話は、実は単にミサイル防衛だけの話ではなくて、弾道弾ミサイル(ABM)制限条約をどうするのか、あるいは、戦略核の上限を2000発に下げるとブッシュ大統領が言ったという話もありますが、そういう冷戦時代以来の戦略核の恐怖の均衡というものを、考え方を根底から変える話でありますので、深い突っ込んだ話を日米首脳会談では是非していただきたいと思います。

ミサイル防衛については、いろんな難しい問題があるということも事実でありますが、1つの冷戦後の基本的考え方、枠組みを変える話だという認識のうえで、突っ込んだ議論をしていただきたい。その前提として、日本政府の考え方をきちんと固めていただきたいものだと思っております。

それから、このミサイル防衛の話に絡みますが、中国との関係をどう考えているのかということを首脳会談ではしっかり議論する必要があると思います。

ロシアとの関係は、ABM条約の取り扱いに関して、米ロ首脳間で、話し合いがこれから進んでいくんだろうと思いますが、この問題について、中国との関係をアメリカはどう考えているのか、あるいはもっと言えば、もっと一般的な意味で、ブッシュ新政権が中国に対してどういう姿勢で対峙していこうとしているのかというようなことについて、是非深い突っ込んだ議論を期待したいというふうに思っております。

その前提として、これもやはり、小泉さん自身が対中国政策—-日中だけでもいろんな懸案がありますが—-あるいはもう少し広い意味で捉えて、中国の未来というものについてどう考えるのかと。それを前提として、日中関係をどういうふうに構築しようとしているのかということについて、是非総理としてのご見識を国会の場で示していただきたいというふうに考えているところであります。

機密費改革法案

【記者】機密費改革法案は、野党共同で提出されるんですか。

【政調会長】他党への呼びかけはこれからです。できればそうしたいとは思ってますけども、今まで我々が積み上げてきたかなりの議論がありますので、時間があまり遅れるようではいけないと思っています。少なくとも今週中には出さないと、審議未了で出しただけになってしまいますので。

政府のほうも外交機密費については、外相が決裁をするというような見解が出ましたし、今週中には是非出したいと思っています。政府案について言えば、外交機密費改革案それ自体にも問題がありますが、特に官房機密費について何も語ってないですよね。そこがむしろ問題が多いわけですから、官房機密費の改革について、総理ないし官房長官がきちんと見解を出すべきだというふうに思っています。

参院選テレビコマーシャル

【記者】テレビコマーシャルの撮影で、いろいろと議論をしたということですが、それはどういった議論を……

【政調会長】「議論」じゃなくて「実演」をしたの、実演を。40分ぐらいね。

【記者】それを参院選のCMで使うと。

【政調会長】そうです。それぞれパッと代表・党首・個人が全面に出た自民党、自由党……公明党もそうですね。社民党も恐らくそうなるんでしょう。

我が党は、基本的に鳩山代表が全面に出るんですが、同時に「チーム」で改革をしていく、個人プレーじゃないんだということを強調したようなコマーシャルになると聞いています。その一環として、いろんな場での議員の活動なんかを15秒間でどんどん映していくんですが、その1つとして、NCで口から泡を飛ばして議論している場面を—-まあ、それは15秒のうち2秒ぐらいだそうですが(笑)—-40分ぐらいかけて撮ったということです。




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