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2000.04.12|国会会議録

保険業法・預金保険法等について

2000年4月12日 衆議院大蔵委員会において預金保険法等について宮沢大蔵大臣・谷垣金融監督庁長官などと議論

岡田委員 民主党の岡田克也です。

三月二十九日に引き続きまして、まず、保険業法につきまして若干の質問をさせていただきたいと思います。

三月二十九日の議論で、責任準備金の九〇%まで保護をする、そういう前提があることにつきまして、その根拠をお聞きいたしました。大蔵大臣それから大野政務次官の方からるる御返答いただきましたけれども、議事録を読み直してみてもよくわからないというのが正直なところであります。

ここで言われておりますのは、一つは、保護機構の資金を拠出する保険会社自身の健全性の確保、それからモラルハザードとの兼ね合いであるという御説明でありますが、ここのところをもう少し敷衍して御説明をいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

大野(功)政務次官 前回も議論させていただきましたけれども、九〇%の責任準備金を考える場合に、第一には、やはり保険契約というのが安心感のよりどころである。したがいまして、総世帯数の九割の者が保険契約に入っておりまして、しかもそれが安心感で、十年たって、例えば若いころから健康であったけれども十年たったら健康でなくなる、そういう場合どう考えたらいいのだろうという問題があります。それから第二に、長期的な契約でございますから、十年先、二十年先を保険契約者自身が見通して、利率がこうなるああなるということもなかなか難しい問題でございます。

それから第三に、やはり保険契約の保険の種類という問題も考えていかなきゃいけないのではないか。

保険の種類を考えます場合に、一つは例えば年金タイプの保険、もう一つは死亡タイプの保険、こういう二つで考えてみますと、例えば、先生の御質問の中には、預金保険と同じように限度で区切ったらどうかというお話もあるのではないかと思いますけれども、死亡でいいますと、死亡保険の平均が四千六百万円ぐらいでございます。年金でございましたら、ちょっと数字を調べておりませんけれども、例えば一千万、二千万で限度を設けて、毎年二百万ずつ払っていくというケースもありましょうが、例えば平均四千六百万円の死亡保険について限度を設けるということはどうなんだろうか。つまり、大黒柱と頼っている御主人さんが亡くなった場合に、そこで奥様それからお子さんがそれに頼ってしばらく生きていかなきゃいけない、こういう場合に限度を限っていいんだろうか、こういう議論がやはり出てくるような気がいたします。

そういうことによりまして、アメリカとかカナダは限度額でやっておりますが、ではなぜ率でやるのだ、こういう御質問が当然出てくると思います。この九〇%ということにつきましては、今申し上げましたようなことを考え、かつ保険審議会でもいろいろ議論をちょうだいしておりますし、またイギリスでございますと九〇%ということになっております。そういう例も参考にしたのではないかと思います。

それからもう一つ考えられますのは、いわば毀損率でございますが、東邦生命の場合でしたら毀損率が一八%ぐらいでございます。毀損率が二〇%を超えるということはめったにあり得ないんだろうと思います。その半分ぐらい、一〇%を、自己責任というか、契約者の方で負担してもらうという考え方があろうかと思います。

いずれにしましても、限度額でやるのか率でやるのか、我が国は率でやる、率を考える場合にイギリスと同じように九〇%にいたしました、こういうようなことでございます。

岡田委員 私はきょうは限度額の話はしていないので、率についてお聞きしたわけですが、今のお答えは、イギリスが九〇だから九〇にしましたという以上のお答えはなかったと思うのですね。もう一度お答えください。

大野(功)政務次官 今申し上げましたのは、イギリスも参考にしてということでございます。

もう一つ、九〇という論点は、毀損率がめったに二〇%を超えることはないだろう、そういたしますと、契約者の方の責任で負担してもらうのは一〇%かな、こういう考え方もありましょうし、やはり一番大事なのは、保険契約者の場合、二つの意味で自己責任原則が働くわけでございまして、一つは責任準備金、それからもう一つは予定利率の変更、この二つでございますから、例えば東邦生命等これまでの破綻例を見ますと、期待されておりました受取額の二割ぐらいにしかならない、こういうケースもあるわけでございます。

そこで、もう一度申し上げたいと思いますのは、安心のよりどころを例えば八〇%とか七〇%にして、期待されるものの一〇%ぐらいになっていいんだろうか、そういう安心の問題、長期契約の問題、保険の種類の問題、こういうことをやはり総合的に考えていただけないかなと思う次第でございます。

岡田委員 今二〇%と言われたのは、恐らく一時払い終身保険のことを言われたんだと思います。二十年、三十年先のことはわからないとおっしゃいましたが、確かに今の経済状況の中で二十年、三十年先を見通すことは非常に困難であります。逆に言いますと、困難であれば、それをあたかも予定利率がきちんと確保されるような前提で契約すること自身が間違っているということになりませんか。

大野(功)政務次官 結果としては、そういうことが問題になる可能性もあると思います。

しかしながら、その時点において、民間の、これも私的契約でございます、私的契約としてそのような予測を立てて、そして運用していけば、このぐらいの保険金は支払えるだろうということでございますから、だれの責任というわけにいきません。

これはやはり、そういう大変不幸な事態に陥った場合に、その処理をどうするかという問題としてとらえていただきたいと思います。

岡田委員 私は、将来きちんと確保できないものをできるかのようにして契約をすること自身が非常に問題がある、こういうふうに思うわけですが、先ほど九〇%という話をいたしました。この九〇%ということを決めたその根拠は、今お伺いしてもよくわかりませんが、仮に九〇ということが正当性があったとしても、それを決めたときには税金を投入するということはなかった、つまり、業界が負担するという前提で、しかし業界の負担というのも限界があるということで、全体のバランスの中で九〇という数字が出てきたはずであります。

しかし、今回、税金を投入するという新たな事態が起きたときに、それでも九〇%まで保証する、つまり、自己責任の範囲というのは従来どおりでいいということにする、その根拠は何なのでしょうか。

大野(功)政務次官 最終的に税金で負担する、国庫補助ということを考えておりますけれども、今一番必要なのは、先ほど申し上げました長期契約であり、安心のよりどころである保険契約をセーフティーネットの枠を拡大して保障する、こういう問題だと思います。

したがいまして、九千六百億円という政府保証枠を設けて、それを恒久化していく。御存じのとおり、四千億円につきましては、これは国庫補助あるべしということでございますが、一義的にはやはりいろいろ御審議いただくということになるわけでございます。

ですから、税金というところから出発して考えるべき話でしょうか。やはり保険というものの性格にかんがみて、国民の安心感のよりどころをセーフティーネットできちっと守ってあげる、こういう観点から私は考えていくべきだと思います。

岡田委員 今回、四千億円を投入するという話が出てきたからこれだけ議論が必要になっているというふうに思うのです。業界の中で負担をするという話であれば、それは別にそれほど国がとやかく言う話じゃない、くちばしを挟むようなことじゃないと思います。

従来、金融機関については金融システムを守るという大義名分のもとで認められたことでありますけれども、今回の場合は、直接そういう金融システムを守るという理由がない中で、なぜ生保に関して税金を投入しなければいけないのか、これは国民の率直な疑問だろうと私は思うのです。それをきちんと答えた上での税金投入じゃなければ、余りにも安易に税金投入ということに走っているのではないか、私はそういう思いの中で聞いているわけですが、大蔵大臣、国民に対して、こういう理由で我々は税金投入を決意したのだということをもう一度、説得力を持ってお話しいただけませんでしょうか。

宮澤国務大臣 大抵のことは今総括政務次官から御説明を申し上げましたが、実際に保険会社にここのところ起こっている現実の事態というものがございます。そして、それは保険機構がございまして、業界でも金を出して万一の事態に対応しようとしている、これも御存じのとおり。それについても政府はある程度助けたいと考えているわけですが、それはやはり常識的に考えまして、よく皆さんがおっしゃるように、非常に金利の急速な低下というものがあって、保険会社自身がいわば全部みずからの責めに負うべきと考えるようでない事情によって経営が非常に困難になりつつあるが、それは保険会社だけだったら問題はないわけですが、おっしゃいますように、それは金融秩序という問題とは違いますから、それによって世帯の九割の人々が頼っている契約そのものが危うくなる。こういう金利の急下降がなければそういうことは起こらなかったのではないか、それが一番の原因だろうと。せんだってからこの委員会で御質問のある、現実にそういうことが起こっている事態というものに、政府としてはやはり契約者を保護するために対応する、こういうことであると思います。

岡田委員 金利の低下によって困っているのは別に保険会社だけではなくて、一般の預金者もそれによって大変苦しんでいるわけであります。今、その金利の低下によって保険会社の経営がおかしくなり、結果的には九割の保険契約者の立場が危うくなるという話でありますけれども、この四千億円を使われるのは保険会社の全部じゃないのですね。ごく一部、つまり破綻した場合の話でありまして、こういう金利の低下の中でも立派に経営をやっておられる保険会社はたくさんある。

それから、この低金利だけが原因かといえば、それはそうじゃなくて、バブルのときの当該保険会社の行動、あるいはその以前の予定利率五・五%という高い利率、そういったことの複合的な理由の中であるわけで、私は四千億という税金を入れる理由がいまだに納得できないのです。

私は、政府自身がモラルハザードに陥っているのじゃないか。つまり、安易に金を使い過ぎているのじゃないか。もしこれが国債の発行ではなくて、もし国債の発行がない状況の中で四千億円どこか歳出を削り取って、そしてその金をこれにつぎ込むということであれば、もっと真剣な議論が私はなされたはずだと思うのです。それが安易に国債の増発で賄っているものですから、だれも文句を言わない。

そういう中で、本来であれば大蔵省がそういうことに対していろいろ言うべき立場にあるのだろうと思いますが、たまたま保険が大蔵省の所管でしたから、結局そういう立場に立って物を言う人が政府の中にいなくて、非常に安易に国債の増発に頼って四千億円という金を投入しようとしている。それが問題じゃないかというふうに私は思っているわけですが、いかがでしょうか。

宮澤国務大臣 たまたま保険会社が大蔵省の事務の所管であったからとおっしゃいましたが、それならば、ほかにどういうものがこれに類比できるようなものとして考えられるでしょうか。つまり、国民生活にこれだけの大きな影響のある、広く国民の生活に入り込んでいる、いわば自分の生活の支えになるようなもの、ほかにこういうものがございますと、それは保険会社のためではなくて、やはり救わなければならないと考えるのが自然ではないでしょうか。

確かに四千億という金をいざ支出するということ、最終的にはもしそういう場合があればそうなるわけですけれども、しかし、それは国債を発行しているからそういう予算化が安易であるといったようなところから来たのではないので、やはりここのところはそうなれば救わなければならないという、そういう性格のものであるからではないだろうか。

そのことが、たまたま一つの保険会社の無責任な経営によって起こったとかなんとかいうことでありますと、それはまた話が違ってくるわけですけれども、かなりの保険会社に共通した原因である金利の下降、あるいはもっと申せば、この何年間かにおける日本の経済界あるいは金融における一種の非常事態、そういう中で起こっているということについて、やはり政府としてもそれについての責任を明らかにする必要がある。一人二人のことではありません、国民の九割のことであるとすれば、それは政府はやはりそれなりの果たすべき務めがあるのではないか。そのことは、国債発行下の予算であるかそうでないかということに関係のある話ではないというふうに私は考えます。

岡田委員 もし仮に低金利に原因があるというのであれば、その四千億円をすべての保険会社にその契約高に応じて割り振るというなら、それは一つの答えかもしれません。しかし、この四千億円はそういうふうに使われるのではなくて、たまたま破綻をした保険会社の契約者を救うために行われるわけで、そこには当然、経営責任とか、あるいは保険契約者の自己責任というものが私は必ずあるはずだと思うのですね。そこのところがどうも納得がいかないわけであります。

それでは、ちょっと視点を変えまして、では、この四千億円を投入するということですが、これは四千億円で終わる話なんでしょうか。今までの答弁をお聞きしておりますと、将来的には国がもっと追加負担をすることがあり得るという御答弁をなさったように私は記憶をいたしますが、将来的にはどの程度の御負担までお考えなんでしょうか。

宮澤国務大臣 今政府が考えておりますところは、おっしゃいますように四千億円ということでございますけれども、もし、もし政府が予想したような規模ではないもっと大きな規模の事故が相次いで起こる、到底それでは足りないということになりましたら、冒頭に申し上げました論理から申しますれば、これは国民の九割の生活に直接に関係のある契約でございますから、その場合にはいろいろ方法は考えなければならないと思いますけれども、最終的に国がその責任に任ずる必要があるのではないかということは十分に私は議論されなければならない問題だと思います。

岡田委員 そのときに、業界と国との負担割合というのはどうなるのでしょうか。

宮澤国務大臣 先ほどちょっと岡田委員もおっしゃいましたけれども、業界は、免れて恥なきということではもちろんありません。

それなりの責任も追及されなければなりません。また、業界自身も保護機構というものを持っておって、そして一生懸命そこへ金を出して防ごうとしている事態というものは、今回も五千億円といううち千億円は業界が出すわけでございますが、そういうことは十分に行われなければなりません。政府だけがそういうことに責任を負うというわけではない。

岡田委員 一千億と四千億という話でありますが、ですから追加的な負担が出た場合の業界と国の負担割合というのはルール化されているのでしょうか。

宮澤国務大臣 追加的な負担をこういうふうにいたしますと今私は計画的に申し上げておるわけではありませんから、そういう事態になったら、政府は、やはり政府の責任というものも全くないとは言えない、そう考えるべきだろうと申し上げただけであって、それをどのように履行するかということついて今は何も考えは持っておりません。

岡田委員 ですから、一体、国がどこまで責任を負うのかということは、これ以降よくわからない。業界との関係でもわかりませんし、全体の額でどうなるかということもわからない。

そういう状況の中で、責任準備金の九〇%保護ということは前提として置かれていて、そして今後、納税者がどれだけ負担をしなければいけないかということは今後の問題であって今は何も言えないという、そういう中でこの四千億円をのめと言われても、それは非常に私どもとしても納得しがたいわけであります。全体で最大限このぐらいである、少なくともこういうルールになっているということであれば、まだわかるわけですけれども、将来この四千億が一兆、二兆、三兆までなるかもしれない。その一つの導入に、突破口になるかもしれない。そういう中でこの四千億を無条件に認めろと言われるのは、私も政治家として大変つらいものがあります。いかがでしょうか。

宮澤国務大臣 私が、今何かがありましたら四千億円を超えて政府は幾らでも負担しますと申し上げることのリスク、それから四千億円以上は一切負担いたしませんと申し上げることのリスク、両方を考えますと、大蔵大臣としては私は今のお答えをもって足りると思います。

岡田委員 納得はできませんが、次に進みます。

預金保険法の改正について、これは何度も議論をされたことでありますが、十二月の末になってペイオフの解禁が延期されるということが三党の間で決められました。

そこで、大蔵大臣のお立場ですけれども、最終的にはそのことをお認めになった、受け入れられたわけですけれども、十二月の中ごろまでの記者会見では明らかにこの延期についてはネガティブだ、あるいはそういうニュアンスでお答えになっていたというふうに思います。

三党の合意を受け入れたというのは信用組合の問題があるからという御説明もあったと思いますが、そんなことは前からわかっていたわけで、どうも納得がいかないわけですけれども、もう一度、なぜペイオフの解禁延期が必要であるというふうに判断されたのか、お聞かせいただけますでしょうか。

宮澤国務大臣 これは何度申し上げましても、賢明な岡田委員がやはり何かこれにはうそがあるのではないかとお考えらしいので、私はそれは残念に思うのですが、実際の問題として、信用組合が初めて政府の監督下に入って、初めてその検査ができる、従来からここはいろいろ問題があると言われていて、毎年十とか二十とかはつぶれたりしておる、しかしこれは政府が手の出ないところだからしようがないというのが率直なことであったと思いますが、それは現実に政府が監督をするようになる、金融監督庁や財務局が現実に検査を始めるようになりましたら、そうしたら、それはやはり政府としてきちんとしておくべきだろう。これは政府の金融のシステムの外でございます、田舎でやっているんだから政府は知りませんといったようなことではない方がいいに決まっておるわけでございますから、それならそうしようと。

ただ、金融監督庁は一年あれば大丈夫だと言ってくれたのですけれども、しかし何かがあったときに、それは破綻させるのか、あるいは早期是正させるのか、金を入れて助けてやるのかといったようなことまで、仮に六月から始めて、恐らくまだ正式には始められないでしょうから、そして三月までに全部終わっちゃえというのは、少しそれはやはり無理だろうなと私も思いました。

そうなれば、そこが今岡田委員のおっしゃるところだと思うのですが、政府・与党の出身の代議士さん方ははるかに地方の情勢を私どもより御存じですから、そこは、やはりそこまで行くのなら、もう一年貸してやってきちんとしてやろうじゃないか。そうすると、ほかに何の害があるのかね、別に何にも弊害はないでしょうとおっしゃれば、それはもっともな議論なので、五年前に十三年の三月とお約束はいたしましたが、ここへ来てそういう十分な事情があるのなら一年延ばしたって別に失うところはない、私はそう思って判断しました。

別にそういうプレッシャーに負けたわけではないし、金融審議会がずっといろいろな問題を整理していってくだすったということも大変評価していましたが、そういう新しい事態が起こって、それにベターに対応するためなら一年延ばしたって別に問題はないよなと、こう私は至極そこは、マスコミが随分何か報道しましたけれども、余りあれは私の気持ちを正確に反映していないので、信用組合は大丈夫かなということは前からあった問題でございます。

岡田委員 私は大臣の記者会見の議事録は注意深くずっと読んでおりましたので、若干余地は残していたというふうには思いますが、しかし基本的には予定どおりやるんだ、そういうトーンでお答えになっていたように思います。

今、六月に始めて三月には終わらない、そういう新しい事態だ、こうおっしゃったのですが、しかし、六月に始めて三月に全部処理が終わらないというのは、ある意味ではそれは前からわかっていた話で、そうすると大蔵大臣は、従来は六月に始めたのでは三月までに全部終わらないということには気づいておられなかったけれども、与党三党に指摘をされて、なるほどそういうことかということでお気づきになってお考えを変えた、こういうことですか。

宮澤国務大臣 必ずしも、最後はそうでございますけれども、捨ててもいいやという考え方も、捨ててもというのは大変乱暴な言葉でございますけれども、この話の中に持ち込まないでもいいというのも一つの考えだろうということは、そういう考えもしておりました。ただ、取り込むのだったらこれは間に合わない、こういう意味でございます。

岡田委員 しかし、その一年の延期によって追加的な財政負担というものは出てこざるを得ないと思うのですね。大蔵大臣は、そういうことはないのだというニュアンスで記者会見でお答えになっていたこともあるように記憶しておりますが、しかし、やはり一年おくれればそのおくれた分だけ破綻したときの金額は膨れ上がるということは十分あり得るわけで、そういう意味では追加的財政負担を抱えることになる、そういうふうに私は言わざるを得ないと思うのですが、いかがでしょうか。

宮澤国務大臣 さあ、全くないとは私も申し上げませんけれども、残っているものを見ていますと、そんな大きなものはどうもありそうもないなという気がしますし、他方で、こういうふうにしないで信用組合だけを別にしておきますと、それはそれで将来にそういう問題を残しますから、むしろそれだったら、多少何かが出てくるかもしれないけれども、それは処理をしておいた方がいい。

これは恐らく岡田委員も御推量がおつきになると思いますが、そう大きな困ったような金額が飛び出すとは私は実は思っておりません。つまり、十二年度の予算でいろいろ御承認をいただいております、そういう中でゆっくり処理できる程度の話ではないかと思いますが。

岡田委員 この話はこの辺にしたいと思いますが、私としては、年末に三党の政調会長が集まって議論をして、その結果、大蔵大臣がそれを受け入れたという姿は、見ていてやや残念な感じがいたしました。それは大蔵大臣としては十分納得ずくの上でということなんでしょうけれども、最終的にお決めになるのは大蔵大臣だと思いますので、もし本当に信用組合の問題があるということであれば、それはもっと事前に、きちんとそういうこととして国民に対しても注意を喚起しておくべきだったのじゃないか。突然出てきましたから、押し切られたという印象を与えたことは否めない、そこは非常に残念なことだというふうに私は申し上げておきたいと思います。

さて次に、この預金保険法等の一部を改正する法律案の中で、システミックリスクへの、つまり金融危機への対応のところについて幾つかお聞きをしたいと思います。

まず、百二条のところですけれども、内閣総理大臣は、「我が国又は当該金融機関が業務を行つている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認めるときは、金融危機対応会議の議を経て、当該措置を講ずる必要がある旨の認定を行うことができる。」こういうことになっております。

ここで非常に奇異に感じますのは、定義がほとんどないに等しいということであります。つまり、基本的には我が国の「信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認めるとき」、こういうことですが、我が国の信用秩序の維持に極めて重大な影響を及ぼすというのは非常に抽象的であって、これだけではどういう場合がそれに該当するのかよくわからないわけであります。これは、最終的には税金の投入まで含めた多大な財政負担を伴う一つの措置でありますから、やはりもう少し要件を明確にしておく必要があるのじゃないか、そういうふうに思いますが、なぜこういうふうな抽象的な表現になっているのでしょう。

〔委員長退席、渡辺(喜)委員長代理着席〕

大野(功)政務次官 危機管理というものの性格上、やはり余り定義をはっきりしますと、何が起こってくるかわからないことに対して柔軟に対応できない、こういう問題が一つあろうかと思います。しからば、定義がはっきりしないのに危機管理という名のもとに何でもやっていいか、これはもちろん答えはノーでございます。

したがいまして、基本的に申し上げますと、何が起こってくるかわからない、それに対応するためには、定義の方は少しあいまいさが残るかもしれないけれども、その手続においてきちっとしておこう、こういう趣旨でございます。

したがいまして、例えば「信用秩序の維持に極めて重大な支障」ということをパラフレーズいたしますと、恐らく預金の取りつけ騒ぎが連鎖反応で起こってくる、あるいは金融システムに対して一般の国民が大変な不安を感じる、あるいは資金不足になって、これも連鎖反応で他の金融機関における為替とか決済機能ができなくなってくる、こういうことが考えられますけれども、今から何が起こってくるかわからない事態に対応する、その対応の仕方として厳格な手続でやっていこう、そこが金融再生法の考え方と少し違うと思います。

岡田委員 手続をいろいろ書いてあるのはわかりますけれども、それを進める際にはやはり判断のよりどころというものが法律になければ、単に手続だけ決めても果たしてそれでいいのかということだと思います。

もちろん一般の、例えば自衛隊の出動とかそういう場合のような国民の権利義務を制限するものでは一義的にはありませんから、そこはやや弾力性を持つというのはわかりますけれども、これは余りにも何にも書いていないのじゃないか、そういう感じが否めないわけであります。

具体的にお聞きしますけれども、それじゃ、「地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがある」、地域における信用秩序の維持というのは具体的にどういうことでしょうか。

大野(功)政務次官 想定されますのは、例えば香川県とかそういうことではなくて、金融機関が破綻し、その破綻した金融機関が連鎖反応を起こして先ほど申し上げましたような現象が起こってくる、その地域のことでございます。

したがいまして、基本的には当該金融機関の営業範囲ということが一義的に考えられますけれども、なおさらにそれが拡大していく場合もあろうかと思います。

岡田委員 ある地域でのそういう、例えば取りつけ騒ぎとかあるいは金融システムが機能しなくなるということが全国に広がっていくということであればわかりますが、その地域だけそういう事態であるということが私には想像できないわけですけれども。

大野(功)政務次官 一般論として考えられますのは、大きな金融機関、全国にネットワークを張りめぐらせているような金融機関が破綻する、こういう場合には全国的なということでよくわかるのでありますが、そういう場合でも、例えば経済状況がいい、客観情勢がいいということで広がらない場合もあり得るわけでございます。

それから、小さな金融機関だから地域に限定して余り影響ないのじゃないか、こういう御議論もあろうかと思いますけれども、例えば、その地域において雇用情勢が全く悪くなってきた、こういう場合も我々は考えていかなきゃいけない。いろいろな倒産が起こって、そして雇用情勢が悪くなる、そういう場合には、やはり地域に限定して救済措置をとっていく、危機管理体制をとっていく、こういうことが必要だと思います。

岡田委員 今おっしゃったような、倒産がふえる、あるいは失業がふえるというのは、「信用秩序の維持」ということで入ってくるのですか。読めるのですか。

大野(功)政務次官 申しわけございません。信用秩序の破壊が起こってその結果そういうことが起こり得ると一行飛ばしてしまいまして、済みません。そういう前提です。

金融機関が破綻して、そしてその地域でいろいろな混乱が起こる、それがひいてはそういう雇用情勢にまで影響が及ぶ、こういう状況も想像できないわけではございません。

岡田委員 ですから問題は、「信用秩序の維持」ということだと思うのですね、あとはその結果の問題ですから。ただし、特定の地域だけ信用秩序の維持に重大な支障が生じるというようなことが非常にわかりにくい。それが全国的に波及していくということであればわかりますが、特定の地域だけ信用秩序の維持ができないというのは、私にはどういう場合を言っているのかよく理解できないわけであります。

一つの銀行がつぶれるという場合にはそれは当たらないわけですよね。

大野(功)政務次官 一つの地域で、例えば私の地域で申しわけございませんが、香川県で何かが起こる――いや、起こりません、絶対起こりませんけれども、起こるといたしました場合に、どこまでを地域で呼ぶかということは先ほど議論いたしましたけれども、それが例えば信用秩序の維持に大変な影響を及ぼして、そこでは決済も何もできない、為替業務もできない、本当にもう金融機関はシステムとして信頼できない、こういうような状況に陥る可能性があるし、また、一つの銀行が連鎖的にどんどん預金の取りつけ騒ぎみたいなのを起こしていけば、これは他の金融機関が貸付業務すらやめてしまう、貸付業務をやめるどころか、貸し付けたものを回収にかかってくる。

そういうことを考えれば、先ほど申し上げましたような雇用とか会社の倒産とか、そこまでいくわけですから、それを未然に防止することが大変大事なことではないでしょうか。そういう意味で、地域というのはやはり考えておかなければいけないことだと思います。

岡田委員 よくわからないわけでありますが、次に参りますと、もう一つは減資の場合の規定ですね。

百六条でいろいろ書いてあると思うのですが、基本的に、システミックリスクの話が一つの公益の保護のための規定だという観点に立ったときに、減資のときには、一たん資本注入するということを決めた後でも、株主総会で否決をされたときにはそれをやめる、こういう仕組みになっているわけですね。

しかし、本当に、公益である金融秩序の維持ということを目的にするのであれば、一つの銀行の株主がみずからの利益のためにそれを拒むとか、そういう余地を認めるべきではないんじゃないか、こういうふうに思いますが、非常にそこに概念の混乱が見られるように思いますが、いかがでしょうか。

大野(功)政務次官 先生御指摘のとおり、これは地域に影響するのであれば、あるいは我が国全体の信用秩序について重大な影響を及ぼすのであれば、大体、株主総会で否決することがおかしい、こういうことは当然だと思います。

そこで、減資の場合あるいは優先株発行の場合、限度枠がなくなったようなときには株主総会でやれ、この意味は、株主総会で今のような減資のケースには特別決議が必要である、三分の二の株主の了解が必要である、これを、その要件を緩和しているということでございますから、半数以上賛成すればそれで了承できる、こういう趣旨でございます。

岡田委員 質問にお答えいただいていないと思うのですけれども。なぜこういうことを株主に権利として認めなければいけないのかということをお聞きしたいのですが。

大野(功)政務次官 株主でございますから、商法上、そういう場合が生じた場合には当然株主権の行使は必要であろう、このように考えますし、今申し上げましたのは、やらなければいけないことだけれども、そういう行為をきちっとやっていく、そのために要件を緩和している。要件緩和というところが私は大変大事なことである、このように思う次第でございます。

岡田委員 その前提として、もっとわからないのは、株主総会を開いている時間なんてあるんだろうか。つまり、資本注入というのをどういうケースとしてお考えなのかというのがよくわからないのですね。非常に緊急を要するような場合であればそんな、株主を招集して株主総会を開いているなどという時間は考えにくいと思うのですが。

そもそも、この資本注入の規定というのはどういう場合を想定しておられるのですか。まず、当該金融機関は債務超過であってはいけないわけですね。この前の資本注入のように、たくさんの金融機関に対して資本注入するようなことをお考えなのか、あるいは一つ二つ、非常に危ない状況の金融機関に対して資本注入することをお考えなのか、どうも具体的にイメージがわかないのですが。

大野(功)政務次官 具体的にイメージがわくような例で、申しわけございませんが、私も御説明できないのでありますけれども、要するに、それをやらなければ信用秩序に重大な影響が及ぶ、こういうことでございます。したがいまして、債務超過ではない、しかし資本増強をしなければ大変なことになりそうだ、信用秩序に重大な影響を及ぼすような事態になりそうだ、こういうケースでございます。

では、そのケースが、具体的にイメージがわくようにどういうケースだと言われますと、先ほども御説明いたしましたが、手続面できちっとして、そこで判断していただく、こういうことでございます。

岡田委員 それから、ここの場でも他の委員からも議論があったと思いますが、危機の場合には一千万を超えて場合によっては全額預金を保護し得る、こういう仕組みになっていますね。そういう規定がなぜ必要なのかというところもよくわかりませんし、逆に言いますと、一つの銀行が倒れれば金融危機になりそうな、そういった大きな銀行の預金者というのは、結果的には、全額保護するということをあらかじめ言われているようなものじゃないか、こういう見方もできると思うのですね。

ですから、小さな金融機関は一千万までしか保護されない、その後は実際の経営状況に応じてその預金というのは割り引かれてしまうけれども、大きな銀行で、その銀行が倒れれば日本全体の金融危機になるような銀行は、安心して何千万でも何億でも預けておいても大丈夫だ、こういう議論になりかねないと思うのですが、その点はいかがお考えでしょう。

大野(功)政務次官 まず御理解いただきたいと思いますのは、一千万超、ペイオフ以上について全額保護するか、保護しないか、何割保護するか、それはすべて金融危機対応会議で決定することでございます。したがいまして、青天井でやるということではございません。

それから、もう一つ基本的な問題として御理解いただきたいのは、大変な状態になった場合、やはり関係する者に対して安心感を与えておかなければいけない。そこで、なぜ一千万超の問題が出てくるか。これはアメリカの一九九一年の、例のFRBの理事の証言でもございますけれども、全体の不安がなくなるということそれ自体が、全体のタックスペイヤーズの利益にかなうのじゃないか。そういうことも考えてみなければいけないのじゃないか。だから、その一件一件ごとに金融危機対応会議でその点を見詰めていく、ここにすべてかかっているということでございます。

岡田委員 そうすると、具体的に言いますと、ある危機が起きたときに、最初は小さな危機で、ここでいうシステミックリスクに当たらない小さな金融機関が倒れた。そこの預金者は一千万までしか基本的には保護されませんと。しかしそれがだんだん広がっていって、どこかでこれは金融危機だ、システミックリスクだということで手続を経て、そして、その後の倒れた金融機関に対しては一千万を超えて保護される状況があり得ると。だから、一つの流れの中でも、早いところは従来どおり一千万までで、途中からはもっと保護されるという、非常にアンバランスというか、同じ預金者であっても不公平な事態が起こり得ると思うのですが、ここはいかがなのでしょう。

大野(功)政務次官 理屈だけの世界で申し上げますとそういうこともあり得ると思います。

しかし、一つの銀行が倒れてそれが通常の処理になる、そしてその後また引き続いてというケースは、ちょっと考えられないと思います。そういうことが起こらないようにするのが預金保険機構の役割であるということだと思います。

理屈の上ではそういうこともあり得るのではないかと思います。

岡田委員 あと、資本注入の場合の条件ですけれども、例えば早期健全化法においては自己資本比率の状況に応じて資本増強の条件というのが書いてあるわけですけれども、ここはそのための規定は全くない、こういうことであります。そこはどういったお考えで自己資本の状況に応じて資本注入の割合を変えるというお考えをとらなかったのか、お聞きしたいと思います。

大野(功)政務次官 御指摘のように、健全化法では自己資本比率に応じた措置があるわけでございますけれども、今回の預金保険改正案では、資本増強というのはあくまでも将来の、万が一の事態に備えての例外的な措置が可能となるようにしたものである。

それからもう一つは、資本増強の申し込みは、万が一の危機的事態が起こった場合に、金融危機対応会議の議を経て内閣総理大臣の認定を受けた金融機関のみが定められた期間内に申し込むことが可能であるということでございまして、早期健全化法では、資本増強を受けたい、やる金融機関からの申し入れでございますけれども、新しい預金保険法のもとでは、いわば金融危機対応会議で、あなたは病気である、この認定をまず受けなきゃいけない、こういう手続の違いもございます。

それと、何度か冒頭から申し上げましたように、いかなる事態が起こるか、その事態に応じて柔軟に対処していこう、こういうことだろうと思います。

岡田委員 いろいろ申し上げましたが、どうも金融危機の対応のところがぴんとこないのですよね。非常にわかりにくい。私はそもそも、資本注入なんということはここに入れる必要があるのかどうかというのもかなり疑問に思うわけであります。よくわかりませんが、御答弁は以上ですから、この辺にさせていただきますが、余り安易に、相当大きな裁量を持たせて、そして税金も投入され得ることでありますから、非常に安易な感じがして違和感を持っているところでございます。

それではちょっと次に参りたいと思いますが、谷垣大臣に、ちょっと通告していないのですけれども、けさの新聞で、新しい銀行業への参入についていろいろな記事が出ておりましたけれども、基本的に谷垣大臣は大臣就任のときに、違う業種からの銀行業への参入について非常に前向きなお話を大臣就任の際にはされたと思うのですが、今、そうではないという、もっと慎重にやるべきだという議論も例えば自民党の中にもあるやに聞きますが、基本的に大臣の銀行業への新規参入についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 私個人の考え方というのはなかなか申し上げにくいのですけれども、私個人としては、今岡田委員がおっしゃいましたように、事業会社が銀行業に参入してくるということは、今までの他業種におけるノウハウと金融業というものを結びつけて、一種のシナジー効果というか、そういうものが期待できるし、またそのことが今までの金融業界に刺激も与えるのではなかろうか。

そういうことによって、新しい金融商品が開発されたり、あるいは利用者の利便にも供するということがあるのではないか、そういう関心を、金融再生委員会委員長に就任する前から私個人としては持っておりました。

ただ、そういうふうに個人として関心を持っているから、ではすぐゴーサインが出せるかと申しますと、これはやはりいろいろ検討しておかなければならない点があるのだろうと思います。今その検討すべき問題点を羅列することは差し控えさせていただきますけれども、事業会社と金融機関の距離のとり方というのは、やはり昔からある問題だろうと思います。一九二〇年代の金融恐慌におきましても、銀行が事業会社の機関銀行化することによってその傷を広げていったというようなことも経済史の本で読んだ記憶がございますし、そのあたりは今の銀行法の中にも、例えば五%ルールとか、いろいろな形で入っているわけでありますけれども、そういうあたりもやはりきちっと検討しておかなければならないであろうということを感じております。

したがいまして、今金融再生委員会では、論点の洗い出しを行いまして議論に入ったところでございまして、まだ結論が、右か左かということを出しているわけではございません。

岡田委員 今の法律でできないということなんでしょうか、それとも現行法で基本的には可能であるということなんでしょうか。

谷垣国務大臣 今の銀行法自体は、事業会社が金融機関を行うことについて原則的にノーであるというようなことは書いてございません。

ただ、私、どういう要件が書いてあったか、正確にちょっと今申し上げられないのですけれども、その今ある要件の中でいろいろ考えなければならない点はございますけれども、銀行法自体がそのことにノーという結論を出しているわけではございません。

岡田委員 そうしますと、もし今そういう申し出があれば、それに対して拒む理由はないということですね。根拠はないということですね。

谷垣国務大臣 もちろんこれは具体的な個別の申請がございましたときに、その申請する方々の能力とか、いろいろなことを調べなければならないわけでございますけれども、銀行法四条に三つの基準が書いてございます。

免許を申請する者が、銀行の業務を健全かつ効率的に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、収支の見込みが良好であること。それから、申請者が、その人的構成等に照らして、銀行の業務を的確、公正かつ効率的に遂行することができる知識及び経験を有すること。それから三番目に、これは規制緩和の関係で、当分凍結せよという要件も含んでおりますけれども、全体として、金融秩序を乱すおそれがない等適当なものであるかどうか、こういう三要件がございますから、この三要件に照らしてオーケーであるということになれば、それは出せますし、三要件に照らしてだめだということになれば、それは許可を出せない、こういうことでございます。

岡田委員 そうしますと、今再生委員会でいろいろ論点を御議論中だというお話でありましたが、その論点というのは、三要件を具体的にブレークダウンしたものとして御議論されているという意味ですか。それとも、その三要件とは別のところで、別の基準で、新しい基準をつくろうということで御議論されているということですか。

谷垣国務大臣 まだ金融再生委員会の中の議論はそこまで、率直に申し上げまして、煮詰まってきているわけではございません。諸外国の例なども調査に出しておりますが、ヨーロッパ等では、基本的に、事業会社が金融機関を営むということについてゴーサインという形でございますけれども、アメリカは、また最近においてその逆方向の規制をしているというようなこともございまして、まだ具体的に申請が出てきているわけではございませんけれども、前広にいろいろその問題点を整理し、議論をしておこう、こういうことで作業をしております。

岡田委員 申請が出てきてからルールを決めるというのでは公平ではないと思うのですね。やはりあらかじめルールがあって、今のお話を聞くと法律上はできるということのようですけれども、では法律以外にどんなルールがあるのかというのがよくわかりませんが。

いずれにしても、これだけ大きく変化している世の中で、例えば特定の事業会社が金融業を営みたいという話はもう数カ月前から具体的に出ている話で、それを今、金融再生委員会でこれから海外とかそういうことも含めて調査をされる、そして議論されるということでは、これはやはり時代の流れにどんどんおくれていくだけだと思うのですね。計画をしている事業会社から見たらとんでもない話だと私は思います。

そういう意味で、もちろんその大前提として、法律上そういう権限がないんじゃないかということもあるわけですから、早く結論を出して、そしてルールをつくっていただきたい、そういうふうに思います。いかがでしょう。

谷垣国務大臣 ちょっと私ミスリーディングな申し上げ方をしたかもしれませんが、海外調査はもう既に終えておりまして、海外調査の結果も、一応その論点の整理は終わっております。私どもも、じんぜん日を送るというようなつもりはございませんで、できるだけ早く審議をいたしまして方向を出していきたい、こう思っております。

岡田委員 こういう新しい分野の銀行業への参入ということに対して、かなりいろいろな意味で国民は期待しているというふうに私は思います。つまり、今までの銀行というもののあり方を、なかなか中からは変わっていかない部分を外から変えていく大きなきっかけになるんじゃないか、そういう期待をする声が非常にあるように思いますので、早急に御検討いただき、ルールを明確にしていただきたいと御要望申し上げておきたいというふうに思います。

それでは次に参ります。

もう一度預金保険法等の改正に戻りますが、今回ペイオフの解禁をするということになりますと、その大前提として、金融機関の経営の状況というものを預金者がきちんと把握できるという、これは一部フリクションもあるかもしれませんが、しかし、そういう前提があって自己責任という話になってくるというふうに思います。そういう意味で、金融機関の経営状況を今のこの状況で判断できるのか、より一層の情報開示が必要になってくるんじゃないか、こういうふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 ペイオフの開始が迫りますにつれて、ディスクロージャーをきちっとやっていけという委員の御趣旨は、私もそのとおりだろうと思います。

それで、ディスクロージャーを金融機関がしなければならない根拠というのはおおよそ二つあると思います。

一つは、金融機関の経営の透明性を高めていくことによって市場からのいろいろな規律も働いてまいりますので、そういう意味におきまして、経営の自己規律といいますか、自己規制といいますか、そういうものに資していこうというのが一つだろうと思います。

それから、ペイオフを実施していくということになりますと、もうこれからは国が預金の全額保護をいたしませんよということでございますから、自己責任ということになってまいりまして、そういう場合の参考資料としてやはりディスクロージャーがなきゃならない、こういうことであろうと思います。

この二つの観点がございますけれども、平成十年の金融システム改革法によりまして、銀行の業務あるいは財産の状況につきましては罰則つきの詳細なディスクロージャー規定が銀行法に設けられまして、十一年の三月期から実施されておるわけでございます。特に不良債権につきましては、十一年の三月期より、系統金融機関も含めまして全金融機関に対して、アメリカの証券取引委員会の基準に基づく開示と同様の、リスク管理債権についての連結ベースでの開示を義務化している。

それから、金融再生法におきましては、金融機関は個別行ごとに資産査定の結果を公表しなければならないと、これは米国にも例を見ない規定が置かれておりまして、主要行については十一年の三月期から、地域銀行につきましては十一年の九月期から、協同組織金融機関については十二年の三月期から、それぞれ債務者の財政状態あるいは経営成績等を基礎とした資産査定の開示が個別行ごとに行われることになっておりますのは御承知のとおりでございます。

こういった措置によりまして、不良債権額あるいは金融機関の財務内容については国際的に見ても遜色のない開示が行われているというふうに考えておりますが、今後とも適時適切な情報開示が行われていくように金融機関にも促してまいりたい、こう思っております。

岡田委員 検査というのは基本的に私は三つあると思うのです。金融機関が自分でやる自己責任原則に基づく内部管理というのがまず前提としてあって、そして会計監査法人による外部監査、そして全体を補完するものとしての金融検査、こういう三つのものがあると思うのですけれども、会計監査法人による外部監査というものがない場合、つまり、会計監査法人を置く必要がない金融機関というものが存在するわけですけれども、ここについては、では、そういうものがなくて、内部的な管理と金融検査だけで果たして実態が把握し得るのかという問題があると思いますけれども、この点についてはいかがお考えでしょう。

谷垣国務大臣 委員がおっしゃいますように、金融機関の経営の健全性については、いろいろな手段があるわけでありますけれども、まず、経営者それから監査役による内部監査によって基本的なことは本来確保さるべきことであると思います。これがまず適切に行われることを前提としまして、そこに公認会計士の外部監査や金融当局の検査によるチェックが行われるわけでありますが、このうち、外部監査につきましては、協同組織金融機関においては二千億でしたか、預金等総額が一定規模以上のものについて義務づけられておりますし、一定規模に達していない一部の信用金庫や信用組合などについては外部監査が義務づけられていない、これは委員が今おっしゃったとおりだろうと思います。

私どもとしては、こうした一部の外部監査の対象となっていない信用金庫や信用組合なども含めまして、まず第一に、おのおのの信用金庫や信用組合などが、資本増強を通じて再編や強化を図っていただいて、不良債権の抜本的処理や金融システム改革に伴う環境変化等の課題に対応できるようにする。それに引き続いて、検査や日常のモニタリングなどを通じてこういった金融機関の状況を的確に把握して、経営の健全性確保に努めていきたい。幕が上がったときに何かうみを垂れ流すようなところがたくさんあるような状況ではないようにしていきたい、こういうことでございます。

それから、協同組織金融機関の外部監査の対象の拡大の問題につきましては、去年、十二月二十一日でしたか、金融審議会の答申が出ておりまして、規模要件を大幅に引き下げていく。先ほど二千億というようなことを申し上げましたけれども、それを大幅に引き下げることが適当であるとされておりまして、今、この趣旨を踏まえて検討しているということでございます。

〔渡辺(喜)委員長代理退席、委員長着席〕

岡田委員 最後におっしゃったことは、そうすると、今は会計監査法人による外部監査を義務とされていないものについても、かなり要件をきつくすることでほとんどのものがそういう会計監査というものの対象になるようにしていこう、こういうことですか。

谷垣国務大臣 まだ最終的な結論が出ているわけではありませんけれども、先ほど申しましたのをもう少し正確に申しますと、信用金庫につきましては預金等総額が二千億円以上、それから、信用組合及び労働金庫につきましては、預金等総額が二千億円以上で、かつ員外預金比率が一五%以上というふうになっておりますが、金融審議会の答申では、この要件を大幅に引き下げることが適当である、その方向で議論をしているというふうに報告を受けております。

岡田委員 ちょっと視点を変えますが、よく地元の信用組合、信用金庫から言われることは、マニュアルどおりの検査をやられてしまうと大変だ、相手にしている中小企業は、長い間利益も出ていないような、そういう中小企業がたくさんある中で、形式的にマニュアルどおりやられてしまってはこれは大変なことになる、こういう意見もあります。それは一見もっともなんですが、では、だからといって、マニュアルどおりやらないということになれば、これはいつか来た道で、どんどん検査の意義というのは薄れていくわけで、ここをどういうふうにバランスさせようというふうにお考えでしょうか。

村井政務次官 私どもとしましては、いわゆる検査マニュアルにつきまして、マニュアルどおりという言葉の受けとめ方でございますけれども、いわゆる計数などを形式的に見るということではなくて、これはマニュアルにも実は書いてあるわけでございますけれども、例えば、借りている企業の現実のオーナーがどういう資産を持っているか、どういう事業をやっているかというようなことまで着目した検査をやれということを検査マニュアルの中でも明確に言っているわけでありまして、地域密着型の協同組織金融機関であれば、当然のことでございますけれどもその地域のいろいろな事情にも通じているわけでございますので、さような意味で、今委員御指摘のような御懸念にも十分対応できるような検査体制を私どもとろうとしており、またそういう方向での指導をしているところでございます。

岡田委員 この問題についての私の気持ちは若干複雑でありまして、今村井政務次官からそういうふうに言われますと、ひょっとしたらかなり手心検査が行われるのかな、そういう思いもあるし、しかし、余り形式的にやると確かに大変だな、そういう感じもありますので、きょうはこの辺にさせていただきたいと思います。

ありがとうございました。




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