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2000.02.24|国会会議録

外形標準課税・預金保険法について

<外形標準課税>

岡田委員 民主党の岡田克也です。先日に引き続きまして、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。

まず外形標準課税について一つお聞きしたいと思いますが、先般、私の方で、外形標準課税を考える際に、全国一律の外形標準課税というのはいかがなものかという趣旨の質問をさせていただきました。大蔵大臣にお答えをいただいたのですが、質問に対して必ずしもストレートにお答えいただかなかったように記憶しておりますので、もう一度お聞きをしたいと思います。

私は、今回の石原提案が非常に意義を持つとすれば、それは、まさしく地方自治体が課税することができるという当然のことを思い出させたことだと思います。この銀行に対する外形標準課税そのものについてはいろいろな議論があるところだと私も思いますが、しかし、そういったことは可能であるということを改めて確認、思い出させたというところに意義がある。その石原構想から出てきた、それをきっかけに外形標準課税の話がもう一度議論をされるようになったわけであります。そこで、例えば全国知事会が全国一律の外形標準課税ということを要望された。それは私は、せっかく出てきた芽を殺してしまっているのではないか、こういうふうに思います。もちろん、何でもかんでも自由にできるということではないと思います。ですから、例えば、課税の中立性を確保しなければいけないとか、あるいは中小企業者に対しての配慮をしなければいけないとか、そういった基本的な原則は法律の中で定めながら、しかし、ある程度都道府県に、税率でありますとか、あるいは課税対象でありますとか、そういったことについては選択を認めていいのじゃないか、こういうふうに考えているところでございます。

例えば、政府税調の中で、長い時間をかけながら、何を外形基準とするかということで議論をしてきております。今四つ挙がっておりますが、四つ全部かどうかはわかりませんが、例えばこの中の給与総額にするのか、資本金にするのか、あるいは事業活動によって生み出された価値にするのか、そういうこともそれぞれの都道府県に自由に選んでもらったらいいのじゃないか、そういう立法をすべきじゃないかというふうに私は考えますが、大蔵大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

宮澤国務大臣 この問題は、最近では石原知事の御提言によってにわかに注目を浴びましたが、岡田委員を含めまして私ども議員の間では長く議論されてまいりましたし、私どもの方の党内も、また政府税制調査会もずっと議論をしてこられました。

ちなみに、この私の答弁は、本当は自治大臣がなされるべき答弁だと思いますので、それも含めましてのつもりで申し上げますが、自治省としては、基本的には外形標準というものをやりたいというお立場であると私は了解をしておりますが、それに対して、通産大臣のお立場は必ずしもそうではありませんで、中小企業のことを考えると今の段階でなかなかそうい決心ができないという、そういうお立場であるように、これは、ことしになってからでなくて、しばらくの間、この間、そういうものとして私はお見受けをしております。

そうでございますから、今知事会が全国一律にやろう、それがいいとおっしゃったのは、恐らく自治省のお立場は基本的にそうであろうと思うのでございますが、その場合の自治省のお立場は、私の推測では、今岡田委員の言われましたように、四つの基準をばらばらに各府県がやりますと、課税を受けるのは一体でございますから、あるところは人数で、あるところは面積で、あるところは工場の幾つかとか、ばらばらにやられますと、課税を受ける方の立場からいうと非常に複雑になりますし、また各県の配分も複雑になるということを恐らく自治省としては懸念されておるのではないかと思います。

ですから、恐らく、今の自治省の立場は、全国一律に、必ずとはおっしゃっていないのですが、できれば、お互いに了解のできる、一つと申しますか、とにかく話し合いのできる基準でやるのが望ましい、こう思っておられるのではないか。

それに対して、通産省の今日までのお立場は、今の中小企業のことを考えると、殊に全国の法人の六〇%以上が赤字でございますから、事実上、実質的な税負担の増になるということ、その方法、時期については通産省としては慎重に考えなければならない、こう思っておられるのではないかと思います。

岡田委員 この税のタイミングの問題は確かに一つあると思います。そもそもいつ導入するかというタイミングの問題は、景気との関係では議論があるところだと私も思います。

そのタイミングの問題を今議論しているのではなくて、入れる場合の中身の問題として、私の申し上げたことは、私は地方分権あるいは地方自治という趣旨から申し上げているわけでありますが、そこは、例えば、越智大臣は今一生懸命首を振っておられますが、それはやはり、私は、中央集権的発想に立つのか、地方分権の発想に立つのかという基本的考え方の違いだろうというふうに思います。課税される企業からすれば、例えば全国的な規模で展開している企業からすればやや面倒くさいことはあるかもしれませんが、それは計算だけの問題であります。むしろ、都道府県ごとにそういった課税対象が違うということで、都道府県ごとの競争ということもその中に出てくるわけであります。それから、税率も変えていいということになれば、税率を下げることでむしろ企業誘致を図ることもあり得る。それこそ分権の考え方ではないか、私はこういうふうに思うのです。

これは基本的な入り口が違えば、議論していても、答えようのない、それは考え方の違いですねということで済んでしまうのかもしれませんが、できれば私は宮澤大臣に、そういった考え方について、頭からそれはもうないのだということじゃなくて、もう少し地方分権ということにも思いをいたした御答弁というのをいただきたかったものですから、あえて重ねてお聞かせいただいたわけでございます。もし何かございましたらおっしゃっていただきたいと思います。

宮澤国務大臣 現実の問題として考えますと、今岡田委員がタイミングの問題についてはなるほど考えなければならぬ問題もあるのかもしれないとおっしゃいましたけれども、そうしておりますうちに、実は昨日もお話のありました、財政改革というものは、しょせん中央、地方の行財政、その再配分まで及ばざるを得ない、それはもうそんなに遠い先の話ではございませんので、この話は恐らくそういう問題の一環として議論されることになるのではないかな、そういう予感を実は持っております。

岡田委員 地方分権の考え方に基づいて課税対象を変えるということについてどう思いますかというのが私の質問の趣旨だったのですが、それについてはお答えはなかったわけですので、あえて求めることはいたしません。むしろ、そこは入り口の、基本的考え方の違いだというふうに認識をさせていただきたいと思います。

ただ、この前申し上げましたように、そういう、全国一律でと言っている限り、そこには当然、では財政調整もきちんと全部しなければいけないとか、そういったことにもつながってまいります。私も財政調整をしなくていいと言っているわけじゃありませんが、それを全部至れり尽くせりでやってきたところに、地方自治体の責任というものが育たなかった、結局全部お上任せ、国任せになっている、そういうことが今までの歴史だったのじゃないか。

それに対して、石原さんの今回の話にしても、あるいは三重県における北川知事の原発の白紙撤回の話にしても、もうそういう時代じゃないよというサインが地方から上がってきている、そういうことだと私は認識をしているところでございます。ここは基本的認識の違いですから、これ以上申し上げるつもりはございません。

<預金保険法>

岡田委員 さて次に、預金保険法の話について少し御質問したいと思いますが、まず、ペイオフの解禁を延期したことについて前回御質問をし、そして大蔵大臣の方から御説明をいただきました。信用金庫、信用組合というものがあって、その処理のためには時間もかかるという御説明だったと思いますが、越智臣に同じ御質問をしたいと思います。

ペイオフ解禁を一年間延期した、その理由についてお聞きをしたいと思います。

そして、そういう信用組合の問題は、ある意味ではスケジュールとしてわかっていた話であります。それにもかかわらず、なぜ十二月になって延期をされたのか。わかっていたのならもっと前から一年延期するということをきちんとサインとして出すことが適切だったのじゃないか、そういう見方もあると思いますが、いかがでしょうか。

越智国務大臣 一般論として申し上げますと、まず信用金庫、信用組合は、協同組合組織法に基づく団体でございますから、金融機関の健全化法をつくったときに適用できなかったわけです。

組合というものは、構成員が出資をして、得が出ても分かち合う、損が出ても背負い合う。ですから、あそこには資本注入の道がなくて、劣後債的なものを出せばいいというやり方もあったのでしょうけれども、実際にやったところはございません。したがいまして、今回優先出資法の改正案を国会に出しておりまして、今度初めて資本の注入ができるようにするわけであります。

それから、信用組合に関しては、これを今まで都道府県の監督下に置いて、国に回すと言ったのが去年の七月、今から八カ月前に通った地方分権法で実はその機関の権限が中央に集まったということでございますので、そんな話は法案をつくる前からわかっていたのだから考えておけということかもしれませんけれども、役所の対応としましては、昨年の七月の法律が通って以来急いで都道府県に検査マニュアル等をお配りしてというかお見せして、都道府県の方も国に、これはあと一カ月で来るわけですけれども、行く前に都道府県の手で一通 り検査しようというのが今大体終わりかかっている、こういう状態でございます。

でも、これを引き取ってから、実は三月決算の分でやるわけですから、三月決算が固まるのは六月でございまして、七月からしか信用組合の検査に入れない。そうすると、来年の三月までに三百からの信用組合を検査して、かつそれらの対応策を打てと。健全化法を使うための優先出資法の改正案だっていつ通していただけますか、こういうことも重なりますと、私はむしろ二年延ばしてほしいということを申し上げたのです。

そうしましたら、信用組合だけやるわけにもいかないし、協同組合組織ということもあるから、信金、信組を含めて一年で何とかしろ、いわば一年で検査して、あと一年で決着をつけろと。

今まで破綻しております信用組合の処理は、一年間二十何個実は信用組合がつぶれております。大体、破綻ということで、大抵の場合に、経営者が何とか助けてくれと言ってきてから、じゃ助けますという手続が全部完了するのに九カ月かかっております。それから、じゃ、あそこの信用組合に里親になってもらって一緒になりなさいといって決まってから、実際にそういうふうに営業が全部移るのに九カ月かかる。都合一年半かかっておるものを、最大限短縮して、私は一年かかると思っています。

したがいまして、この一年で検査を何とかやります、実質は九カ月でやります、そして次の一年でそれらのものを何とかその後において破綻が起きないようにする。ペイオフというのは、何としても目標は破綻させないことでございまして、どうしても破綻せざるを得ないものがあれば早期に治療していくということでありますので、そういう意味で、ペイオフを一年延ばしていただいて何とかやれるかなというところが現状であります。

なお、銀行と名のつくところに対しましては、一年延長はあなた方には直接の影響じゃないから従来どおりのつもりでやってくださいという手紙を私は一月の半ばに出しましたところ、各業種団体、全銀協会長とか地銀協会長とかそういう方々でございますが、お手紙の趣旨、よくわかりました、まさにそのとおりです、そういうふうにやってまいりますという御返事をちょうだいいたしております。

岡田委員 手紙を出して、そのとおりやりますと言ったからそのとおりやるだろうというのは、私は余りにも安易な考え方じゃないかというふうに思いますね。そういうことがうまくできていないから、この数年間金融の問題がこれだけ大きくなってきたわけだというふうに思います。

それから、信用金庫のお話をされましたが、信用金庫の話、資本注入の話というのは、例えば前国会に出すことだって可能だったはずですね、そのことだけをとれば。

岡田委員 そこで、私は大蔵大臣にお聞きしたいと思いますけれども、大蔵大臣は、たしか十二月の十五日ぐらいまで記者会見で、一年延期でいいと思う、そういうふうにおっしゃっていたと思うのです。しかし、信用組合が検査をやって、そして破綻処理をするのにもし一年ではできないのだということを、それは事実関係ですから、その時点でおわかりになっていたはずですね。ですから、もし本当に一年でできないということであれば、もっと早い段階で延期すべきだというふうにおっしゃるべきだったのじゃないか、それが誠実な対応だったのじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。

宮澤国務大臣 今越智大臣のお話しされましたことが、実際真実であると思います。

私もその中に仕事をしていたわけでございますから、おまえ、なぜ早くそれを言わなかったのだとおっしゃいますと、自分の心理を申し上げるようなことになるのですが、先ほどのように、七月になって、信用組合も政府の移管に来年の四月からなるということになったわけでございますから、それまではそういう状態は考えていなかったということになります。ただ、金融審議会がいろいろな問題点を一つ一つ拾い上げて、ぜひ年末までにはしっかりしていただきたいということをお願いして、夏休みにその作業をしていただきました。かなり問題の整理が実際にできました。その段階で、私としては、これから国の移管になることでもあるし、三百やそこらはどうしてもあるしするのだけれども、調べてみると一件当たりの預金は平均して千万円足らずである、九九%までそうであるといったようなことも聞いておりましたから、何かあってもこれはシステミックリスクにかかわるというようなことではない、大まかに申しまして、何となく私自身心配しながら、そういうふうに考えてもよかろうという気持ちを持っておったことは確かなのでございます。

ところが、この話がだんだん、もういよいよ煮詰まるということになりまして、私どもの党でも、また与党の中でもいろいろ御議論になって、皆さん自分の地域に信用組合というものは持っておられますから、マクロには大した出来事ではないにしても、地域ではこれは実はなかなか大変な出来事で、時々政治が絡んだりする出来事でございますから、信用組合はそう気にしなくてもいいでしょうといったような金融的な発想は、同僚の代議士各位はなかなかお持ちにならない。無理もないことであります。信用組合だって大事だよ、仮に来年の四月からそうなって、もう越してことしですが、しかし七月ごろから検査はできないし、金融監督庁にそんな人間は十分にいるのかね、そして是正命令までやるとすれば、とてもそれは七月から始めて一年足らずでやれっこないだろうというようなことを、そうお考えになる代議士さんが多い。

それに反して、実は金融審議会では、学者の方、あるいはどっちかといいますと代議士のような方でない方々とでも申しますか、そういう方々の純理論みたいなものが割に勝っておりまして、仮に何かあったってそれはシステミックリスクに関係ないでしょうといったようなことの流れであった。しかし、政党の方でそういう御意見がありまして、そこまでおっしゃるとすればそれはもうまさしく、言ってみれば信用組合だから多少のことはどうなってもというような話は、実はそう大きな声でいつまでも言っていられる話でもなくなりまして、現実的な処理としては、越智大臣は本当は二年だと思っておられるわけですけれども、二年としますと、これは全体の話がまた崩れるのではないかということではあるししますから、いわゆる銀行については処置はこれで従来どおりでございますよ、信用組合と信用金庫のために一年ということでこれだけいたします、そういう決心を暮れの二十七日か二十八日、遅くなっていたしました。

というのが経緯でして、その間の報道も、時期が時期ですから、必ずしも十分でございませんでしたので、一部、何かこれは全体が崩れるのではないかというような印象を与えましたが、それはもうそうでないことは御承知のとおりでございます。

岡田委員 宮澤大臣は、今、代議士という言葉を何回も使われましたが、今回一年おくらせたことは、結局衆議院選挙の前に破綻処理をするのが難しいのじゃないか、ですから、検査はして、衆議院選挙が終わってから本格的な破綻処理に入るためではないかという憶測もあります。そういう憶測を呼んだのは、今回の不自然な延期というものが原因になっているのだというふうに私は思います。

大蔵大臣は年末の記者会見で、今回一年間おくらせたことで、破綻処理といいますかコストがふえることはないのだ、そういうふうにおっしゃっていますが、しかし、やはりこういう処理の問題で大事なのは時間との闘いでありまして、時間がたてばたつほど不良債権の額は膨れ上がるというのが今までの歴史だろうと思います。そういう意味で、コストがふえることがないという発言は根拠がないというふうに私は思いますが、いかがでしょう。

宮澤国務大臣 あるかないかというお尋ねでございましたから、大したことはないと申しました。それはやや、不謹慎のつもりで申すのではないのですが、信用組合三百足らず、それが全部ということももとよりありませんでしょうが、かなりのものが仮に破綻になる――私はそうなると言っているのではないが、としましても、その金額というものは実際知れたものだし、また一人一人の預金についても知れたものでございますから、国の金融システムそのものに危険を及ぼすような事態ではない。大まかに言って、そういう点では大したことではありませんと申しましたし、今でも思っております。

越智国務大臣 ペイオフの時期をいろいろ検討しましたが、それは選挙とは全く関係ありません。私どもとしては、今までの、そうした流れの中で、あとどれだけで一番早くできるかということを心配してやったわけでありまして、その点、明確に否定しておきます。

なお、そのために信用組合その他の処理がおくれているわけではありません。きょうも、先生のお地元近くだと思いますが、三重県の県信用組合を百五銀行に抱かせるためにどれだけ我々が苦労しているか、おわかりいただけていないのかもしれませんが、三重県下の信用組合が幾つもいろいろ提携してもうまくいかなくて、最後に、今地方銀行に信用組合の世話をしてもらうところまで、やっときょう決定してまいりました。ほかにも岡山県で三信用金庫の合併もやらせております。

一年間に二十幾つやるということは、毎月二件くらいずつ片づけなければいかないわけでございまして、それを我々が急がせたからといって、一カ月、二カ月では話はまとまりませんから。そういう意味で時間もかかりますけれども、それを何とかあと二年間で全部やり遂げるといって、夜中まで職員みんな働かせて頑張っておりますから、選挙とのそういう絡みでやったわけでは全くないことを、しっかり御認識いただきたいと思います。

岡田委員 衆議院選挙との関係というのは、そういう憶測を呼んでいるというふうに私申し上げましたが、大臣はそれを否定する権限はないはずです。つまり、それは党の方でおくらせるという話が出てきたわけでありまして、党の個々の議員全員がそういうことはないということを大臣が断言する根拠はどこにもないはずであります。そういう根拠のないことを言わないでいただきたいと申し上げておきたいと思います。

岡田委員 さて、時間が限られておりますので、預金保険法の改正について申し上げたいと思います。

システミックリスクが予想される場合の特例というのがこの法案の中に置かれておりますが、システミックリスクが発生した場合には、一千万以上も超えて全額保護される、こういう仕組みになっていると思います。ここのところが非常にわかりにくいわけでありまして、システミックリスクが発生しないような破綻の場合には、原則一千万までは全額保護するが、それ以上は保護されないことがある、しかし、システミックリスクが発生する場合には全額保護すると。預金者から見たらこれは同じですよね。同じなのに、全額保護される場合とそうでない場合があるというのは非常にわかりにくい。こういう規定がありますと、すべてシステミックリスクというふうに認定してもらった方が全額保護されるから、そっちの方がいいというインセンティブが、どうしても預金者から見ると働くということにもなりかねない。結果的には、すべて全額保護されるということになってしまうのではないか、こういうふうに思いますが、なぜこういう規定を置かれたのでしょうか。

宮澤国務大臣 これは重大な問題、大切な問題でございますので、御理解をいただいておきたいと思いますが、この規定は、まずめったに発動されることのない、いわばエマージェンシーのときの規定だというふうに考えております。そのために、勝手にこれを認定するというようなことはございませんで、今度新しく内閣にできます金融危機対応会議の議を経るということになっております。

言ってみますと、こういう規定を全く置かないということも一つの立法政策として考えられますけれども、何かの拍子にこういう問題が起こったときに、すなわち、法律第七章第百二条のような事態が起こったときに、昔でございましたら緊急勅令でしょうが、そういうことがございませんから、立法をしなければならないということでは間に合わない。したがって、こういう規定そのものはやはり置いておいた方が一種のセーフガードになるであろう。ただ極めてまれな、あるいはめったにあってはならない場合ですから、その発動についてはこれを重い条件のもとに置く、考え方としてこういうことにいたしました。

さて、そこまで決心いたしますと、あとはもう簡単でございまして、千万円とか二千万円とかの話じゃない。これは、もうみんな御心配なさいますなというような規定にするのがいいに決まっておるというような決心をしたわけです。

岡田委員 本当の意味でのシステミックリスクが発生した場合の規定としてそういうことがあるというのは、あるいは必要かもしれません。しかし、この百二条に書いてありますように、金融危機対応会議で決めるということですが、その要件というのはほとんど何も書いてないに等しいと思います。

「当該金融機関が業務を行つている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認めるときは、」ということで、これは全国でなくて地域でもいいことになっておりますし、それから「極めて重大な支障が生ずる」という非常に抽象的な表現にとどまっておりますので、ある意味では相当裁量の余地が大きい。

おっしゃるようなことであれば、もっときちんと要件を書いておくべきじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。

宮澤国務大臣 大切な問題だと申し上げましたのは、この法案あるいはこの条文の審議が国会で行われますときに、いろいろなお尋ねがあり、政府側としてそれにお答えをするということが、将来これを発動するかしないかという御議論がありましたときの一つの大切な参考になることは明らかでございますので、もしこれを細かく法制上書けまして支障がないということであればベターだろうと思いますが、その性質上、細かくそれを書くことは事実上難しい。

しかし、そうかといって野方図にちょっとのことで発動されることはならないということで、具体的にはこの金融危機対応会議にその最高判断にゆだねたのでありますけれども、そのゆだねることの意味は、ちょっとやそっとでここへ持っていってもいいという意味ではございませんで、法律にこれ以上詳しくは書くことは現実的ではありませんけれども、しかし、そんじょそこらのことでこの規定を発動するという気持ちは政府にはございません。

このことは御審議の過程で申し上げておきたいと思います。

岡田委員 続きは法案の審議のときにしたいと思いますが、少なくとも多大の国民負担を招く可能性が高い話でありますので、私は、より法律上の要件を明確にしておくべきだ、そういうふうに考えていることを最後に申し上げたいと思います。


終わります。




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