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1999.02.01|国会会議録

145回 衆議院・予算委員会

岡田委員 民主党の岡田克也です。

きょうは、時間も三十分しかございませんので、基本的な骨組みのところだけ、景気対策、経済対策に関してお聞きをしたいと思っております。今後、一般質疑の時間もございますので、大蔵大臣や経済企画庁長官もいろいろ御答弁したい場面があるかもしれませんが、ぜひ総理中心に御答弁をいただきたいというふうに最初に申し上げておきたいと思います。

そこで、来年度の経済成長でありますけれども、政府は〇・五%という見通しを示しておりますけれども、先ほど宮澤大臣から、この予算で乗り切れる、そういうお話もございました。確かに、かなり大規模な公共投資や大幅な減税をしておりますので、中身は私もいろいろ異論がありますけれども、しかし、規模的にはかなりのものを用意しているということは事実であります。

問題は、そういった、特に公共投資を中心とした官需がいかにして民需に転じていくのか、つまり、民間需要が、公共投資や減税を一つのきっかけとして、いかにしてことしの後半盛り上がっていくのかというところにあると私は思いますが、そういったところについて、総理としてどういうシナリオを考えておられるのか。ことしのいつごろにどういった需要項目がふえるという形で景気が自律的な回復軌道に乗る、そういうふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

小渕内閣総理大臣 基本的には、岡田議員御指摘のように、これから民間がどのようにワークしていくかということが非常に大きなポイントだろうと思いますが、政府としては、申し上げておりますように、十一年度には、金融システムの安定化等によりまして不良債権の処理、金融機関の再編が進んできておるわけでございまして、この辺は、国会の御協力も得て、昨年この問題についての処理ができ、そして今、現実にその後の措置について進んでおるわけでございます。

金融監督庁あるいは金融再生委員会等を通じまして、この二つの法律をいかに生かしていくかということで全力を尽くしておりますので、そういう意味の大きな金融システムの安定の方向というものについての理解は内外とも非常に高まってきておるのだろうと私は思っておりますが、引き続いて努力しなければならぬと思っております。

こうしたことが行われましても、実は実体経済がそのままに回復するとは思いませんが、しかし、その要因が取り除かれたという意味では大変意義の深いことだと思っております。

そして、政府としては、昨年の末に成立いたしました第三次補正予算のもとで切れ目なく景気回復策を実施いたしておりまして、十一年度予算におきましても、恒久的な減税を初めとして、国、地方合わせての九兆円を超える思い切った減税を実施するほか、公共事業につきましても大幅な伸びを確保するなど、積極的な財政運営を行うことといたしております。

このような諸施策と民間の真剣な取り組みが相まつれば、十一年度には我が国経済の実質成長率が〇・五%程度回復するものと実は確信をいたしておるわけでございます。今後、日本経済が豊かさの中の不況ともいうべき現在の状況を脱し、自律的に発展していくためには、経済構造改革の一層の推進を図り、経済の供給サイドの体質強化、とりわけ新事業を創出することにより良質な雇用の確保や生産性向上を図ることが重要でありまして、このため産業再生計画を過ぐる二十九日に策定いたしたところでございまして、そういった意味で、サプライサイドの問題としても積極的に取り組むことができるように、各産業界その他につきましても、私自身も、その力が自律的に大いに働いてくるように積極的に応援を申し上げていきたい、こう考えておるわけでございまして、そうしたすべての施策が有効に、効果的に、有機的に働いてくる、そのきっかけが生まれつつある、こう考えておりますので、それが実行されてこられれば最終的に〇・五%のプラス成長に向かっていけるもの、このように深く確信をいたしておるところでございます。

岡田委員 非常に多くのことを述べられましたので焦点がちょっとぼけたと思うのですが、もう少し別の聞き方をいたしますと、最終的に総理がおっしゃったことは、構造改革をやっていく、こういうお話だったと思います。

それでは聞きたいと思いますが、今いろいろ産業再生計画とか個別のことはお話しになりましたが、もし総理が、一つか二つ、せいぜい三つ以内で、今やらなければいけない構造改革はこれだということを国民に訴えるとすれば、何を言われるのでしょうか。

小渕内閣総理大臣 三つと問われますと、いろいろな観点があるんじゃないかと実は思うんです。

例えば、予算を一日も早く成立させていただいてこれを執行させていくというような問題もありますし、また雇用の問題について、現況非常に厳しい状況でありますから、これに対しての対策を実効あらしめていくというような観点のとらえ方もある。一方、規制緩和をさらに進めていかなければならないというような問題もあろうかと思います。

思い切ったそうした政策を遂行していくということに尽きると思いますが、改めて三つと問われますとなかなか絞り切れませんが、すべての政策を遂行していくということではなかろうかと思います。

岡田委員 私は、三つと言ったんじゃなくて、一つ二つ、ないしは三つということで、最大限三つの幅の中で、総理がこれだけはやりたいということをお聞きしたわけでございます。

では、もう少し限定して、この国会中に、いろいろな法案がかかってきていると思いますが、そういう中で総理が、景気回復のためにこれだけはやらなければいけない、そういうふうに認識をしておられる構造改革の法案はどれとどれか。どれとどれかと言うと二つと思われるかもしれませんが、一つでも二つでも三つでも結構でありますけれども、総理としてこれだけはやるんだ、そういう国民へのメッセージになるような御答弁をぜひいただきたいと思うんです。

今そこでいろいろ答弁をひっくり返している姿を見れば、本当に総理としてこの国の景気を回復していくために構造改革をやっていく、そういう意欲といいますか、その気が見えないわけですから、その気が見えるような答弁をいただきたいと思います。

小渕内閣総理大臣 各種の規制緩和というような問題につきましても、徹底的にこれに取り組んで処置していかなければならないんじゃないかと思いますが、重ねてでございますけれども、予算の中にすべてのことを盛り込んでおりますので、これをすべて効果的に発揮のできるようにいたしていかなければならない、そのためには、ぜひ、減税も含めましたこの予算について、一日も早くこれが執行のできるように御協力をお願いしたい、こう思っておる次第でございます。

岡田委員 私は、総理の危機感といいますか、そういうものに対して若干の心配をしている一人であります。

経済戦略会議が十二月二十三日に、日本経済再生への戦略ということで中間的な取りまとめをされました。最終的なものは今議論中だと思いますが、この中でも、三つの経済シナリオということを言っておられます。総理御存じのとおりであります。

一つは、このままいったらもう停滞シナリオだと。平均成長率は九九年から数年間一%を大きく下回る、失業率の大幅な上昇が生じる危険が強い、こういうふうに言っております。

そうならないためには、一気に構造改革を進める覚悟が必要だ、そのためには二年ぐらいの間に構造改革をやらなければいかぬ、こういうふうになっているわけであります。

しかし、二年ぐらいといっても、実際にはことしと来年ということでありますから、この国会で、この報告に盛り込まれたかなりの部分について法案にして出すというぐらいの決意がなければ、私は、ここで言う停滞シナリオになってしまう、そういうふうに総理を取り囲む学者の先生方も思っておられると思うのですけれども、そういう決意はございますか。

最終的な報告はできれば二ないし三月にちょうだいをいたしたいと思っておりますが、もとより、これを諮問した私の立場といたしますれば、これを実行いたしていかなければなりません。それを行うためには、法的な措置が行われなければ結果的には実行し得ないのでございまして、私としても、経済戦略会議の皆さんにも、かりそめにも法律としてこれを措置する場合にはどういう法律として考えていただくかということで今検討を願っておりますが、もとより、この答申を法制化していく過程におきましては、与党とのお話もございますし、またもちろん国会での御審議もいただかなければなりません。

しかし、その内容とするところは、非常に今日的な課題と同時に、中長期的な日本の将来の経済のありようについてかなり率直に申し述べられておるわけでございますので、私といたしましては、そうした御提言を十分受けとめながら、フォローアップをしながら、一つ一つ実現可能性のあるものからその措置をしていかなければならない、このように考えております。

岡田委員 私も、この中間取りまとめを読ませていただいて、中身的には同意できない部分もございます。恐らく政府の中でもかなり議論は出ると思いますね。

例えば年金のところなどは、民主党も、厚生年金の二階部分は必要である、そういうふうに考えておりますけれども、恐らく政府の中でもそういう意見はあるんだろうと思います。しかし、ここでは二階部分は民営化という結論になっておりますから、そういうところの調整は恐らく要るんだろうと思います。そういう調整を急いでやった上で、この国会に可能な限りそれを盛り込んだ法案を出すということが絶対必要なことだ、そういうふうに私は思うわけですけれども、それだけの決意というものが総理におありでしょうか。それとも、これは単に出された紙切れに終わってしまうのでしょうか。

小渕内閣総理大臣 ですから、紙切れとおっしゃられますが、本当に真剣に取り組んで描いていただいたお考えでございますから、これは、その実行について十分認識をしながら対処するということは当然の私の責務だと心得ております。

ただ、物にはプライオリティーというものもございます。と同時に、長年にわたって国会で御議論があった問題等につきましては、これは直ちにこのことが、国会をしてこれが通過するということにもなりかねない大きな問題もはらんでおりますから、これはまず与党の皆さんとも十分相談をしながら、できる限り早い機会に現実化できるものは現実化していくということは至極当然な私の責務だと心得ております。

岡田委員 ちょっと議論を整理しますと、ことし政府は〇・五%成長を言っておられるわけであります。その〇・五%成長を遂げるためには、民間需要にどこかで点火をする、火をつけるということがないと、それは公共事業だけではとてもそういうことにはならないわけであります。

それをいかにしてしていくかということが大事だというときに、構造改革をきちんとやっていくという政府の方針が出て、具体的にそういう方向に向かっていく中で、もちろん水準は低いとは思いますけれども、民間企業も設備投資をするし、何よりも消費者は将来展望が開かれるということで安心して少し消費をふやす。

先週来、所得の比較的低い方の消費性向が今落ちているという話がありましたけれども、これは、買いたいものはある、あるいは使いたいものはある、しかし、結局将来の不安があるから貯蓄に回してしまう、こういうことだと思いますから、そういう人たちが安心してお金を使うことができるような将来展望を示す、特に社会保障の年金や医療などはその典型だと思いますけれども、そういう全体の大きな流れだと思うのですね。

総理のお話を聞いていて、果たして今のお話で、そういう改革がぽんぽんとこの一年ぐらいで出てくるのかどうか、私はかなり疑問に思うわけでございます。総理は御自信がおありだと思いますけれども、その点について、もう一度総理の決意をお聞きしたいと思います。

あわせて、〇・五%成長ということを見通しとして示しておられるわけでありますけれども、この経済成長ができないときに、総理としてはどうされるおつもりなんでしょうか。

小渕内閣総理大臣 目標を設定いたして、ぜひそれが実現のために最善の努力を申し上げるということが後段のお尋ねに対する私の、決意も込めて、その努力をいたしていきたいという考え方をいたしておるわけでございます。

それから、各種の構造改革、これは行わなければならないことは当然のことだろうと思いますが、そういった意味で、これから計画的にそれぞれの構造改革を推し進めていく。産業におきましてもそうでございますし、財政につきましては、今般こうした形で将来の問題として取り組んでおりますが、いずれにいたしましても、今次予算は、ともかくことしのこの状況を乗り越えて、経済再生元年といたすべくあらゆる手法を講じて取り組ませていただいておるわけでございますので、そうしたことを実行するというところに第一の課題があると認識をいたしております。

しかし同時に、御指摘のように、各種の構造改革というものも常々頭の中に描きながら、そのスタートをいたすべき時期というものはいろいろあろうかと思いますけれども、これは念頭に必ず置きながら対処していかなければ、日本自体のすべての構造改革を行うということでなければ、今次今般の状況は乗り越えて〇・五%の経済成長が達成されたといたしましても、その後の問題の解決にはならない、こういう認識で対処いたしていかなければならぬ、こう考えております。

岡田委員 より詳しいことは一般質疑で大蔵大臣や企画庁長官とも議論させていただきたいと思いますが、私は、もしこれでうまく民需に点火しなかった場合には、これは大変なことになるだろう、そういう予感がいたします。

先ほど来の議論にもありますように、もう二の手、三の手はない状況で、例えば補正を組むとか、来年度予算も今年度並みにあるいはそれ以上に大型のものを組むとか、そういうことはほとんど余地がない状況で、これはラストチャンスだろう、ここでうまく民需に点火できなかったら、これは日本経済にとって本当に大変なことになるだろう、そういう気がいたします。

そうならないように、総理の方で、構造改革についてもテンポよく進めていただいて、国民が本当に二十一世紀に向かってこの国は大丈夫なんだ、希望があるんだというふうに、そう思えるだけの対応をしていただきたいし、もしそれができないときには私どもに政権を渡していただいて、私どもがそれをやらせていただく、そのことを申し上げておきたいと思います。

さて、ちょっと前回の続きになりますが、日米防衛協力のガイドラインについて、少し総理にお聞きしたいと思います。

実は、日米防衛協力のガイドラインの周辺事態法でありますけれども、第四条の「基本計画」という規定がございます。その第四条でこう書いてあるのですね。「内閣総理大臣は、周辺事態に際して次に掲げる措置のいずれかを実施することが必要であると認めるときは、当該措置を実施すること及び対応措置に関する基本計画の案につき閣議の決定を求めなければならない。」こういうふうに書いてあります。

周辺事態であるかないかというのは、これは恐らく日米間で事前にいろいろなすり合わせが行われて、最終的には、これは周辺事態であると考えるか考えないか、そこは認識の一致を得ることになると思います。認識の一致が得られなければ、それは周辺事態ということにならないと思うのです。

その次に、「次に掲げる措置のいずれかを実施することが必要であると認めるときは、」こういう表現になっていますね。必要であると認めるときは、基本計画について閣議の決定を求めなければいけない。必要であると認めるか認めないかは、これは内閣総理大臣の判断であります。ここで言う「必要である」というのは具体的にどういうことをいうのか、お聞かせいただきたいと思います。

これは、周辺事態が起これば総理自身が判断することでありますから、総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。――いやいや、総理に聞いているんです。総理に聞いているのを政府委員が答えるなんて、あり得ないことだと思います。

小渕内閣総理大臣 基本計画の決定につきましては、我が国の平和と安全に重要な影響を与える周辺事態に際して、対応措置の重要性にかんがみ、安全保障会議に諮ることといたしております。

法律上は、安全保障会議設置法第二条第一項第五号に規定する「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」に適当するものとして安全保障会議に諮るものでございまして、内閣総理大臣が恣意的にこの問題について判断すべきものでなく、この安保会議を通じまして、基本計画の策定につきましては今申し上げたような状況に対応してこれに諮って決定をするもの、こう理解しております。

岡田委員 私は、手続を聞いたのではございません。もちろん恣意的に総理が決めるわけではないというのはそのとおりかもしれませんが、最終的にはこれは総理の判断だと思うんですね。私は、この意味は、「必要であると認める」ということの意味は非常に重い。つまり、これは国益と国益のぶつかり合いなんです。

つまり、アメリカが例えばこの周辺事態に際して何かやりたい、日本にそれを求めてくる。日本としてはアメリカの言うことは一〇〇%いつも受け入れます、そういうお考えであれば別でありますけれども、日本としては日本の国民の権利を守らなければいけない、あるいは安全を守らなければいけない、そういう観点で、ここはぎりぎりの判断を総理大臣としては迫られる場面だと私は思うんですよ。そういう御認識はないんですか。

小渕内閣総理大臣 それは当然、最高の責任者として、我が国の平和と安全を期する上に、我が国の国益を考えて最終的な決断をいたすべきもの、そのことは当然のことながら十分自覚し対処したいと思っております。しかし、日米間におきましては、そうした事態の発生に至る間、十分な話し合いを続けておりまして、それがあるがゆえに今日まで日米間におきまして双方の国家としての信頼度がいよいよ増しておるわけでございまして、今想定されることは、日米間においてそごがあるということの前提でお話をいただいておりますが、そうしたことのないような話をその前提としては十分いたしていくということに尽きるだろうと思います。

岡田委員 周辺事態の認識などは、これは実務的に日米間で話し合いをしていけばあるいは済む話かもしれませんが、そういうもの全体をひっくるめて、いざ日本が周辺事態に際して日米協力をするのかしないのか、これは最高の政治判断であって、日米間で実務的に協議して決めるようなことじゃありません。私はそう思います。だからさっきから聞いているわけであります。

では、ちょっと時間もありますので観点を変えますけれども、例えば、ある国に対して、周辺事態が発生して、米軍がそれに対して出動する。そのときに、もちろん国連決議などがあれば比較的わかりやすいと思いますが、国連決議がない状態で米軍が動くということは当然あり得ますね。そこはいかがですか。

野呂田国務大臣 先生御案内のとおりでございますが、この法案には、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っている米軍に対する支援として後方地域支援が規定されておりますが、これは国連安保理決議の存在を要件としていないわけであります。

岡田委員 今の御答弁のように、実際には、そういう国連決議がない状態で米軍が動くということは想定される。そのときに、日本としてはあえてそれに対して協力をするのかしないのか、これは非常に重い判断だと思うんですね。

国際法的に言えば、国連決議がない状態で米軍が動くということについて、米軍はそれは自衛権の行使だというふうに言うんでしょうけれども、かなり微妙な場合があり得ることは、それは想像にかたくないわけであります。それに対して、あえて日本が協力するのかしないのか。協力しないときにどうなるのか。協力したときに、かえって日本が危険な状態に陥るかもしれません。全体ひっくるめて判断しなければいけない問題だ、そういう御認識はおありですか。

小渕内閣総理大臣 極めて重要な点だろうと思います。

今防衛庁長官が御答弁申し上げましたように、国連安保理の決議の存在を要件としておりませんが、しかし、我が国が後方地域支援をして、米軍に対して具体的ないかなる協力を実施するかについては、安保理の決議のみにかかわらず、個々の状況に応じて、国益確保の見地から我が国が主体的に判断することになり、この主体的判断の最終的な責任は内閣総理大臣が負うものと理解しております。

岡田委員 わかりました。

それでは次に、もう時間も余りございませんが、先般来、周辺事態ということで地域の概念が随分いろいろ議論をされてきております。日本周辺とはどこまでをいうのか、こういう話であります。

その話をいろいろしていく中で、従来の、極東ということに対する概念が、政府の統一見解がございます。あえて申すまでもありませんけれども、「かかる区域は、大体において、フィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であって、韓国及び中華民国」、これは今では台湾地域というふうに言われておりますが、台湾地域の「支配下にある地域もこれに含まれている。」こういうことであります。

私は、この統一見解を今読むと非常に違和感を感じる。つまり、中華民国という国は、もちろん私どもと中華民国、当時の中華民国との関係というのは、中華人民共和国との国交回復に伴って変わったわけであります。台湾地域というふうに読みかえてそのまま続けておりますけれども、しかし、わざわざここにこういうものを書く必要があるのかどうか。

私は、だからといって、台湾海峡で何らかの事態が発生してそれが周辺事態の定義に当てはまるときに、日本は常に活動できないなどということを言うつもりはありません。しかし、ここにわざわざこういうことを書くということがいろいろな疑心暗鬼を呼んでいる部分もあるんじゃないか。これはある意味では冷戦時代の産物でありまして、一方では日米安保条約の範囲をなるべく絞りたい、一方ではある程度のものを確保したい、そういう全体の妥協の中で出てきた統一見解だと思います。

私は、日米安保条約というのは日本の安全にとって重要である、これは民主党もそういうふうに考えておりますけれども、基本政策でも確認しておりますけれども、そういう観点に立てば、余り限定する、ぎりぎり縛るということもいかがかなという感じはいたしますし、特に台湾地域などという言葉をここに使うのはどうなのか、そういう気がするわけであります。そういうことについて、もう少し、冷戦期といいますか、五五年体制下でのいろいろなことについてもう一度国会で率直に議論をして、そして見直すべきものは見直していく、そういう考えはお持ちでしょうか。

高村国務大臣 極東については、昭和三十五年に一応意味を明確にするために作成されたわけでありますが、冷戦終結後も依然として不安定性、不確実性が存在している中で、日米安保条約に基づく日米安保体制の意義は不変であり、昭和三十五年の政府統一見解を含め、日米安保条約及び同条約に関する政府の立場に変更はないわけであります。

ただ、今度新たに出す周辺事態法案では、明確な地域を定めない、だからどこが入っているとか入っていないとかは言わない、こういうことで対処したい、こう思っているわけであります。

岡田委員 今度の法案で日本周辺ということについていろいろな議論がこれから専門の委員会でも議論されると思いますので、そういう中でこういう問題も含めて議論をしていったらいいんじゃないか、私はそう思っております。

それから、この極東の話だけすると何か偏ってとられるかもしれませんが、例えば事前協議の場合に、日本から直接飛び立った場合にはこれは事前協議の対象だけれども、空母に乗ってちょっと出ていってそこから飛び立った場合はいいとか、そういう統一見解も従来ございますけれども、そういうことも含めてもう少しきちんと見直して、そして日本の国の意思というものがきちんと反映できるような仕組みにしていく、そういうことが私は大事なことだと最後に申し上げて、質問を終わります。

中山委員長 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。○岡田委員 わかりました。

それでは次に、もう時間も余りございませんが、先般来、周辺事態ということで地域の概念が随分いろいろ議論をされてきております。日本周辺とはどこまでをいうのか、こういう話であります。

その話をいろいろしていく中で、従来の、極東ということに対する概念が、政府の統一見解がございます。あえて申すまでもありませんけれども、「かかる区域は、大体において、フィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であって、韓国及び中華民国」、これは今では台湾地域というふうに言われておりますが、台湾地域の「支配下にある地域もこれに含まれている。」こういうことであります。

私は、この統一見解を今読むと非常に違和感を感じる。つまり、中華民国という国は、もちろん私どもと中華民国、当時の中華民国との関係というのは、中華人民共和国との国交回復に伴って変わったわけであります。台湾地域というふうに読みかえてそのまま続けておりますけれども、しかし、わざわざここにこういうものを書く必要があるのかどうか。

私は、だからといって、台湾海峡で何らかの事態が発生してそれが周辺事態の定義に当てはまるときに、日本は常に活動できないなどということを言うつもりはありません。しかし、ここにわざわざこういうことを書くということがいろいろな疑心暗鬼を呼んでいる部分もあるんじゃないか。これはある意味では冷戦時代の産物でありまして、一方では日米安保条約の範囲をなるべく絞りたい、一方ではある程度のものを確保したい、そういう全体の妥協の中で出てきた統一見解だと思います。

私は、日米安保条約というのは日本の安全にとって重要である、これは民主党もそういうふうに考えておりますけれども、基本政策でも確認しておりますけれども、そういう観点に立てば、余り限定する、ぎりぎり縛るということもいかがかなという感じはいたしますし、特に台湾地域などという言葉をここに使うのはどうなのか、そういう気がするわけであります。そういうことについて、もう少し、冷戦期といいますか、五五年体制下でのいろいろなことについてもう一度国会で率直に議論をして、そして見直すべきものは見直していく、そういう考えはお持ちでしょうか。

高村国務大臣 極東については、昭和三十五年に一応意味を明確にするために作成されたわけでありますが、冷戦終結後も依然として不安定性、不確実性が存在している中で、日米安保条約に基づく日米安保体制の意義は不変であり、昭和三十五年の政府統一見解を含め、日米安保条約及び同条約に関する政府の立場に変更はないわけであります。

ただ、今度新たに出す周辺事態法案では、明確な地域を定めない、だからどこが入っているとか入っていないとかは言わない、こういうことで対処したい、こう思っているわけであります。

岡田委員 今度の法案で日本周辺ということについていろいろな議論がこれから専門の委員会でも議論されると思いますので、そういう中でこういう問題も含めて議論をしていったらいいんじゃないか、私はそう思っております。

それから、この極東の話だけすると何か偏ってとられるかもしれませんが、例えば事前協議の場合に、日本から直接飛び立った場合にはこれは事前協議の対象だけれども、空母に乗ってちょっと出ていってそこから飛び立った場合はいいとか、そういう統一見解も従来ございますけれども、そういうことも含めてもう少しきちんと見直して、そして日本の国の意思というものがきちんと反映できるような仕組みにしていく、そういうことが私は大事なことだと最後に申し上げて、質問を終わります。

中山委員長 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。




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