ホーム > トピックス > 国会会議録 > 第140回国会 衆議院厚生委員会

トピックス

1997.03.19|国会会議録

第140回国会 衆議院厚生委員会

岡田委員 新進党の岡田克也でございます。

戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正法案につきまして、厚生大臣初め関係の皆様に質問をしたいと思います。

まず私がここでお聞きをしたいことは、在日韓国人の皆さんのこの法律との関係の問題であります。

この問題は、もう既に本委員会を初め衆議院、参議院各委員会におきまして何度か取り上げられておりまして、私も大体議事録は拝見をさせていただいたわけでございますが、まず確認のために、外務省も含めて事実関係といいますか考え方について御質問をしたいと思います。

この援護法には、御案内のように、国籍条項あるいは戸籍条項というものが置かれておりますが、これがそもそも置かれたその立法の経緯でございます。私の理解では、朝鮮半島などの旧植民地出身者の軍人軍属に対する補償問題が将来外交交渉によって、二国間交渉によって解決されることが予定されていたので、この国籍条項、戸籍条項を置くことでこういった在日韓国人の皆さんを初め旧植民地の皆さんについては援護法の適用を外した、こういうふうに理解をしておりますが、その私の理解でよろしいでしょうか。

亀田政府委員 先生御指摘のように、援護法には国籍要件があるわけでございますけれども、この国籍要件が設けられましたのには二つ理由があるというふうに考えてございます。

一つは、この援護法自体でございますけれども、これは恩給法に準じまして制定されたわけでございますが、その恩給法に従来から国籍要件があったことということが一つであろうと考えております。

それから二つ目でございますが、ただいま先生からお話がございましたように、昭和二十七年のサンフランシスコ平和条約におきまして、朝鮮半島あるいは台湾など、いわゆる分離独立地域に属する人々の財産・請求権の問題、これにつきましては、我が国とその相手国との外交交渉、特別取り決め、こうなっておりますが、こういう形で解決をする、こういうふうに平和条約で予定をされておった、これが二つ目の理由でございます。

この二つから援護法でも国籍要件を設けたというふうに理解をいたしております。

岡田委員 今の最初の理由、恩給法にはもともと国籍条項があった、こういうことでありますが、そのとき、つまり植民地時代には朝鮮半島、旧植民地の皆さんにも恩給法の適用があったというふうに考えてよろしいのでしょうか。

亀田政府委員 戦前と申しますか植民地時代におきましては、韓国の方あるいは台湾の方も日本国籍を有しておったわけでございますので恩給法が適用になっておった、こういうふうに聞いております。

岡田委員 それでは、次に外務省に聞きたいと思います。

日韓請求権・経済協力協定、この中で、在日韓国人の皆さんの扱いでありますけれども、基本的には、在日韓国人の皆さんの「財産、権利及び利益」を除いてすべての請求権についてはいかなる請求もすることができない、こういうことになっておって、それではこの在日韓国人の皆さんの「財産、権利及び利益」とは何かというところで、合意議事録によれば、具体的には「法律上の根拠に基づき財産的価値を認められるすべての種類の実体的権利をいう」ということになっているので、したがって、法律に基づく実体的権利と言えない援護法等に基づく権利というものは結局どこからも見られなくなってしまった、こういうふうに考えてよろしいでしょうか。

別所説明員 お答えいたします。

今先生がおっしゃったとおりでございまして、日韓請求権・経済協力協定の二条で、日韓両国及びその国民の「財産、権利及び利益」並びに両国及びその国民の間の請求権に関する問題が、完全かつ最終的に解決されたということが書かれているわけでございますが、同じく二条の2の(a)では、いわゆる在日韓国人の方々につきましては、その方々の「財産、権利及び利益」には影響を及ぼすものではないと規定している一方、御指摘のとおり、ここで言いますところの「財産、権利及び利益」とは、合意議事録の2の(a)で明らかなとおり、「法律上の根拠に基づき財産的価値を認められるすべての種類の実体的権利」のみに限定されているわけでございまして、国籍条項があるということの関係で、在日韓国人からの支給請求は法律上の根拠に基づくものとは言えない、したがいまして、ここで言いますところの「財産、権利及び利益」に該当するものではない、そういう解釈でございます。

岡田委員 今の解釈は日本の外務省の解釈というか考え方でございますが、韓国の方は同じように考えているのでしょうか。別の言い方をしますと、在日韓国人の皆さんというのは韓国政府によって何らかの補償を受けているのでしょうか。

別所説明員 この協定の解釈自体につきましては、日本と韓国の間で解釈の相違はないというふうに理解しております。

岡田委員 後の方の質問はどうですか。在日韓国人の皆さんが韓国政府によって何らかの補償を受けているのか、在日韓国人以外の、今韓国に在住の皆さんとの間に何らかの扱いの違いがあるのかどうかという点についてはどうでしょうか。

別所説明員 失礼いたしました。

在日韓国人の方々につきましては、韓国政府からは補償を受けておられません。そういう意味では、韓国に在住の方々との間に差異があるというのはそのとおりでございます。

岡田委員 外務省の考え方によれば、そのことは、つまり韓国に在住の方と日本に在住の在日韓国人の皆さんの間に違いが出るのは、それはいわば韓国の国内問題である、こういうことになるのかもしれません。しかし、現実に、いわば法の谷間のような状態で在日韓国人の皆さんが、かつてはともに日本人として相手側と戦いながら、一方で日本人はこの援護法によって補償を受けている、あるいは、韓国におられる韓国人の皆さんは政府によって、日本の援護法のような手厚いものではないにしても何らかの補償を得た、その中で在日韓国人の皆さんだけが何らの補償もないまま取り残されているという事実があるわけであります。

このことはもう既に訴訟になっておりますが、例えば大阪地裁の判決では、一般の日本人と在日韓国人の皆さんを比べたときに、在日韓国人の皆さんに対して何らの補償給付を行わず、重大な差別を生じさせる取り扱いは憲法十四条に違反する疑いがあると言わざるを得ない、こういうふうに言っているわけでありますが、この判決についてどういうふうにお考えでしょうか。

亀田政府委員 御指摘の大阪地裁の判決でございますが、平成七年の十月に出てございます。この判決におきましては、憲法十四条を理由といたしまして厚生大臣が行いました援護年金の請求却下処分の取り消しを求めることはできない、こういう意味で国側の主張が認められたわけでございますが、先生今御紹介いただきましたように、この判決理由の中で、ちょっと読み上げさせていただきますと、「日韓請求権・経済協力協定の締結後においては、日韓両国のいずれからも在日韓国人に対する補償の途が閉ざされたにもかかわらず、これらの者を援護法の適用対象外としていることは、憲法十四条に違反する疑いがある」というふうに判決理由の中で述べられております。

それで、私ども厚生省の考え方でございますけれども、一つには、これまで出てまいりましたように、この日韓協定の締結によりまして、韓国人の補償の問題は在日韓国人を含めまして法的には解決済み、こういうふうに理解をいたしておるわけでございまして、したがいまして、この協定の締結によりまして我が国の方が国籍要件を見直さなければいけない、こういうような状況がこの締結によって生じたというふうには私ども考えられないわけでございます。

また、この援護法の国籍要件の合理性につきましては、平成四年の四月でございますが、台湾住民の方の請求の関係で最高裁判決が出ておりまして、援護法の国籍要件は合理的である、こういう判決になっておるところでございます。

そういうようなことから、厚生省といたしましては、大阪地裁判決の、憲法違反の疑いがある、この理由は受け入れがたい、こういうふうに考えておるところでございます。

本件につきましては、現在、大阪地裁から大阪高裁の方に係属中でございますが、私ども、法務省、外務省とも相談しながら、今申し上げましたような主張を述べておる、こういう状況でございます。

岡田委員 今、裁判中の問題ですから、ここで断定的なことは言えないだろうと思います。

憲法十四条との関係で違反しているかどうかというのは、そういう問題がもちろん今あるので裁判で争われているわけですが、それはちょっと横に置いたとして、それでは現実問題として、先ほど言いましたように在日韓国人の皆さんが、日本側はそれは協力協定が結ばれたことによって韓国側に球が渡った、こういうふうに理解をしたのだと思いますが、しかし、韓国政府からは何らの補償もされていないということをもって、現実に何の補償も得られていないというそういう現実になっているわけでありますが、そのことについてどういうふうにお考えでしょうか。

亀田政府委員 若干繰り返しになりますけれども、朝鮮等のいわゆる分離独立地域に属する方々の財産・請求権の問題につきましては、昭和二十七年のサンフランシスコ平和条約におきまして、二国間の外交交渉により解決する、こういうふうにされたわけでございまして、その後、韓国との間では、昭和四十年の日韓協定によりましてこの補償問題は在日韓国人を含めまして法的には解決済み、こういうふうになっておると承知をいたしております。

したがいまして、在日韓国人の方々につきまして、今先生からお話ございましたけれども、補償を行うというようなことは、申し上げましたようなこれまでの我が国の戦後処理の基本的な枠組みを崩すことにもなりますので、大変難しいことだというふうに考えております。

岡田委員 恐らく、サンフランシスコ平和条約を結んだときに、今のような形で在日韓国人の皆さん、日本にとどまられるということがどこまで予想されたかという問題も一つあると思います。もちろん国籍は韓国であるかもしれませんけれども、現実には日本でそのまま生活しておられるわけで、若干、法律的には国籍韓国ということですが、それだけでは割り切れない問題があることは間違いないことだというふうに私は思うわけであります。

それからもう一つは、技術的な問題かもしれませんが、在日韓国人あるいは在日朝鮮人、こういうことなんですが、それじゃ、そういうことはきちっと分けられるのか。韓国政府に、在日韓国人の皆さんに補償しなさい、こう言ったところで、日本におられる朝鮮人の皆さんあるいは韓国人の皆さん、これをきちっと分けることができるのかという問題もあるのではないかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

亀田政府委員 現実に何らかの措置をするということになりますれば、先生御指摘のような技術的な問題も出てこようかと思いますけれども、現実に私ども、国籍要件を撤廃するとか何らかの措置をするのは困難だ、こういう立場でございますので、その辺の技術的な事柄につきましては現時点では検討いたしておりません。

岡田委員 外務省に聞きたいと思います。

こういう形で、かつて日本人であった皆さんが在日韓国人ということで日本人と違う扱いを受けている、このことはやはり、自分たちは差別されているのだ、こういう気持ちにつながる、そういうことは容易に想像できるわけでありますが、そして、そのことが日本と韓国の関係というものに対してどういう影響を及ぼすだろうか。この問題にきちんと対処しておかないと、後々まで日韓両国の間に大きな傷跡を残すことになるのではないかということを私は懸念しているわけでありますが、その点について外務省としてのお考えを聞かせていただきたいと思います。

別所説明員 今先生おっしゃったような意味で、日韓関係にこの問題がどういう影響を及ぼしているか、あるいは及ぼし得るかというのはなかなか難しい問題でございますが、この問題の背景あるいは援護法が立法された当初の事情等につきましては、先ほど厚生省の方から御答弁があったとおりでございまして、私どもといたしましては、こういういろいろな事情をもとに立法された援護法ということでございますので、やはり援護法の主管官庁たる厚生省さんの御検討を、まあ御検討というか、厚生省さんがお考えになられる話ということで、私どもとしても関心は有しておりますけれども、援護法自体については私ども主管外でございますので、今のような対応でまいりたいと思います。

岡田委員 今のお話を聞くと、何となく消極的権限争いという感じを受けるわけであります。

実はこの問題、今までも議論をした中で、私も議事録を読み返してみましたが、たしか井出厚生大臣だったと思いますが、当時の厚生大臣だったと思いますが、何とかしたいと思っている、しかし法的にはなかなか難しい問題だというようなことも言われていたように記憶をしております。まさしくそういう問題ではないかというふうに思います。法律的に詰めていけば、あるいは今政府がお考えのようなことになるのかもしれません。

そこで、憲法十四条との関係その他で国籍条項や戸籍条項を憲法違反だからこれを取り消せ、こういうことになると、もちろんそういうことはできないというお答えになると思うのですが、そういった問題から一歩離れて、現実に今ある事態を何とかするために、戸籍法、援護法から少し離れるかもしれませんが、何らかの特別立法その他でこういった法律のはざまにある皆さんに対して政府としての気持ちを伝える、こういうことは十分可能なことではないか、こういうふうに私は思っているわけですが、この問題について最後に、厚生大臣、政治家としての厚生大臣の御見解を聞かせていただきたいと思います。

小泉国務大臣 戦争の傷跡が深いとつくづく思いますが、在日韓国人の方、お気の毒だと思う気持ちは同じだと思うのですが、いろいろ調べて見、国籍条項あるいは日韓の条約等を考えると、これはやむを得ないのかな、私の手に負えない、そう思っております。

岡田委員 私が申し上げましたのは、日韓協定とかあるいは援護法の世界ではなくて、今裁判でやっていることもありますからそれはそれとして、それとは別の観点で何らかの日本政府としての誠意を伝えることができないか、こういうことを申し上げたわけであります。

台湾については、若干ケースは違いますけれども、ある意味では同じようなことについて特別立法をしたわけでありますが、そういうお考えは政府にはありませんでしょうか。厚生大臣。

亀田政府委員 台湾につきましては、厚生省でとった措置ではございませんけれども、日中共同声明によりまして日華条約が失効した、そういうことで平和条約に基づくところの二国間の外交交渉というものが不可能になっておる状態、そういうことに着目して、二百万円だったと思いますが、弔慰金あるいは見舞金を支給した、こういうふうに聞いておりますけれども、韓国につきましては、先ほどから申し上げておりますように、日韓協定というものがございまして、それによってこの問題については完全かつ最終的に解決をした、こういうふうに私ども理解をしておるところでございますので、そういう状況において、別途の何らかの措置をするということも、これは大変難しい問題ではなかろうかというふうに率直に感じておるところでございます。

岡田委員 恐らく局長に聞けばそういうお答えしか返ってこないのはやむを得ないと思います。

ただ、先ほど申し上げましたように、そういう従来の法律の考え方ではなくて、現実にしかし両国の谷間に入ってしまっていることについて、何らかの、援護法の体系とは少し離れたところの考え方で対処するという道があってもいいのではないか、そういうふうに考えて御質問申し上げたわけでございます。

この点につきまして、ぜひ厚生大臣にも御検討いただければありがたいと思います。いつも歯切れのいい大臣ですから、少し前進が見られるかなと思って質問させていただきましたが、先ほどのお答えで大変残念でありました。しかし、なお検討を続けていただきたい、御要望申し上げておきたいと思います。

さて、話題をちょっとかえたいと思いますが、昨日の財政構造改革会議において、これからの財政再建に向けての非常に重要な取り決めといいますか、決定がなされたというふうに理解をしております。

財政構造改革五原則というものが決められた、こういうことでありますが、その中で、今世紀中の三年間を集中改革期間として制度改革を断行する、こういうことが書かれているわけであります。もちろんその中にはいろいろな項目があるわけでありますが、社会保障分野についてもこの五原則というものは当然該当するというふうに考えますが、今の時点で、厚生大臣、この財政構造改革で示された五原則について、特に今申し上げました三年間で集中して制度改革を断行するという考え方について、どのような感想をお持ちでしょうか。

小泉国務大臣 昨日の財政構造改革、総理が示された五つの原則、これはみんな閣僚懇談会でも賛成しましたけれども、容易ならぬ改革だなと。むしろ平時において革命的な改革と言ってもいい厳しい改革姿勢、原則を打ち出している。特に社会保障関係、これは総合的な見直しが必要だし、総論としては皆賛成するのですけれども、いざ各論でこの原則を推し進めていくと、これは理解を得るのによほどのエネルギーが要るなという率直な印象を受けました。こういう厳しい原則を打ち出して財政構造改革をやらなければならない、いよいよ本格的に火だるまになるような気持ちでやらざるを得ないなという印象を持ちました。

岡田委員 やや余分なことですが、この五原則の中で、「あらゆる長期計画について、その大幅な縮減を行う。」こう書いてありますが、これは例えば厚生省のゴールドプランも含まれるのでしょうか。

羽毛田政府委員 今お話のございました「あらゆる長期計画」というものの中にゴールドプラン、新ゴールドプランも含まれるかという点でございますが、まだ具体的にそのことにつきましての御論議というのはございませんけれども、公共事業を初めとするあらゆる長期計画ということでございますから、ゴールドプラン、新ゴールドプランにつきましても、そのような観点からの見直しというものを私ども検討課題としてちょうだいをしているというふうに考えざるを得ないと思います。

岡田委員 ここには「縮減」と書いてありますが、一方で介護法案も今審議中でありますが、ゴールドプランについてもし適用があるということになりますと、これは介護法案の検討の前提が変わってくるということを申し上げておかなければいけないと思います。この点はまた介護法案の質疑のときに触れたいと思います。

さて、社会保障について触れたところで、いろいろなことが書いてございます。その中で、「一定の収入以上の高齢者への公的年金、医療等の給付の見直し」を行うというくだりがございます。これは私、方向としては当然のことだというふうに考えておりますが、技術的にはかなり難しい問題を含むのではないかというふうに懸念をしているところでございます。

例えば、公的年金の中にも任意のものがあります。国民年金基金などでありますが、そういう場合に、国民年金基金に基づいて年金の給付を受けている高所得者に対しても適用されるということになるのでしょうか。

矢野政府委員 この国民年金基金というのは強制適用ではございません、これは任意で加入していただく、こういう制度でございまして、したがいまして、高額所得者だから加入してはいけませんとか、あるいは給付を制限するということについては、これは非常に問題があるのではないか。したがいまして、あくまで一定の収入以上の者に対する年金給付の見直しというのは、これはやはり強制適用の公的年金の受給者に限る問題だ、そういう認識をしております。

岡田委員 私もそういうことだろうと思うのですが、そうしますと、例えば厚生年金の報酬比例部分について、高額所得者であれば給付制限が行われることはあるということになりますね。例えば同じだけの高額所得を得ていながら、自営業者の場合にはそういう部分がありませんから、それはみずから国民年金基金に加入されるか、あるいは他の貯蓄に回っているのだと思いますが、そういう場合には給付制限がなくて、そして、厚生年金に入っておられる方には報酬比例部分も含めて給付制限があるということになりますと、ここに不公平という問題が出てくると思うのですが、この点についてはどういうふうにお考えなんでしょうか。

矢野政府委員 国民年金基金は、これは自助努力の一種、つまり、自分で自分の年金をもらうために毎月掛ける、事前積み立てで、自分が積み立てたものに対して直接年金をいただく、こういう仕組みでございまして、これに対しまして厚生年金本体は、これは世代間扶養の仕組みというのが非常に仕組みとしては強うございまして、つまり若い現役の人たちの保険料で年金が賄われる、こういうことに基本的な仕組みとしてなったわけですね。

したがいまして、年金がなければ生活できない、そういうことでない、ちゃんと収入もある、こういう方に対して若い人の保険料を充てるということについては、そこまで必要ないのじゃないかというのが、この一定の収入以上のある方については年金給付を制限をする、こういう考え方の背後にある考え方だと思うのですね。したがって、そこは、自助努力の一種で自分のための年金を積み立てている、そういう国民年金基金と、そういう世代間扶養の仕組みをとっている厚生年金というのはおのずから違うということで、分けて考えるべきではないか、こう思います。

岡田委員 厚生年金の保険料も安くはありません。将来自分は高所得であるがゆえに年金を受けられない、にもかかわらず保険料をたくさん取られる、それぐらいなら厚生年金に入るの嫌だ、こういう声もある意味では上がってくるかもしれない。いずれにしても、かなりいろいろな意味で難しさを含んだ問題かなというふうに私は思っておりまして、ぜひそういった点も含めてしっかりした御検討をいただきたいというふうに考えております。

それから、年金と医療の調整の問題がございます。
 一部報道では、そういうものも今回含まれているという報道も事前にはなされていたように記憶しておりますが、今回のこの昨日決まったペーパーの中では、そういった文言は出てこないように思いますが、例えば入院患者さんに対する年金の給付を制限する、そういったことについては検討の対象にはなっていないのでしょうか。

矢野政府委員 これは、厚生省として社会保障の構造改革を進めるということで、以前からいろいろ検討、研究をしておりまして、そういう中の一項目としまして、医療、福祉、年金、こういったそれぞれの制度を縦割りで見るのじゃなくて横で相互の調整をする、そういうこともこれからの非常に重要な課題だという認識をしておりまして、そういう重複給付にならないような何らかの調整を図っていく必要がある、こういう認識で今後検討を進めていきたいと思っております。

岡田委員 ぜひ御検討いただきたいと思います。

それから、この中で、「企業年金、個人年金等についての自助努力を促すための方策」を検討する、こういうことであります。

私も国民年金基金に入っておりまして、何となく官がやっているから効率が悪いかもしれないなと思いながらも、しかし入っているのは、税金がかからないからなんですね。そういう意味で、個人年金と比べて非常に大きな、競争条件が一緒でないという問題があります。もしこれからこういった個人年金等についてさらに活用していこうということであれば、競争条件を同じにしておかなければ当然そういったことの導入は進まないわけでありまして、そういった税制を含め、官がやっているものと民間がやっているものについての競争条件をそろえていくということについて、基本的な厚生省のお考えはいかがでございましょうか。

矢野政府委員 老後の所得保障といった場合に、公的年金がその中核になるというのは言うまでもないわけですけれども、これにあわせまして企業年金それから個人の自助努力、こういった組み合わせでもって老後生活を乗り切る、この三本柱でいくのだというのはおおむねあちこちで指摘されていることじゃなかろうかと思います。

それで、特に公的年金が、将来的には、出生率の低下とか財政経済構造が変わってきたというようなことで非常に厳しくなってくる、そういうことになりますと、企業年金とか個人の自助努力に期待される部分がより多くなってくる、こういう方向にならざるを得ないと思います。

私どもとしては、そういった企業年金の役割が非常に重要になってくるということで、厚生省で直接担当していますのは厚生年金基金でございますけれども、厚生年金基金の普及ですとか、その体質の強化ということでいろいろ努めているところでございます。

それから、企業年金によってもカバーされない人たちというのがどうしても出てくるわけですね。例えば中小零細企業ですとか、あるいは転職を頻繁にされますと企業年金の網からこぼれてしまうということでございまして、最終的には受け皿としては個人年金にならざるを得ない、こういうことでございまして、この個人年金につきましては、御指摘のとおり、制度としてもまだまだ問題が多い、課題が多いと思っております。

そういう意味で、公的年金、企業年金、自助努力、自助努力の一つとしての個人年金、これがバランスよく整備されて発展する、こういうことを私ども期待して努力しておるわけでございます。そういう意味で、競争条件を同じにするというのはちょっといかがなものか、むしろ、その三つがしっかりタイアップすることによって高齢化社会を乗り切る、こういうふうに進めたい、こう思っておるわけでございます。

岡田委員 私は、そこは基本的に考え方が違います。民ができることは民にやらせる、民がどうしてもできない、採算ベースに乗らないようなもの、あるいは非常にリスクの大きいようなものは官がやるというのが基本的な考え方であるべきで、そういう意味では、私は、国民年金基金などもう要らない、同じ競争条件にして民間にやらせるべきだというふうに思いますし、場合によっては厚生年金の報酬比例部分だって、そこまで何で官がやるのか、そういう気がいたします。高い保険料を取られて、将来のためにたくさんもらえますから今我慢しなさいという生活スタイルを官が押しつけているというふうにも言えるわけでありまして、そういう意味で、私は、ぜひ厚生大臣に、年金制度そのものについて、継ぎはぎじゃなくて、もう少し抜本的にメスを入れていただきたい。

考え方の最初のところの入り方が、今の御説明ではなくて、民でできることは基本的に民にやらせるのだ、それに、できないところについて官が補うのだという考え方で年金の世界についても御検討いただきたい、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 今の岡田委員の指摘、これは当然、抜本的改革の中で、そのような案を検討せざるを得ないと思います。どうなるにせよ、そういう考え方、今出てきていますし、今後、年金積立金の自主運用も今要求していますし、これが実現すればまた別の方法も考えなければいかぬ。

時に、財政構造改革の中で五つの原則を出しましたけれども、この橋本内閣の方針を突き進めていきますと、年金にしても医療にしてもかなり大改革をしないとこれは実現不可能という面もありますから、今までの方式の延長線ではもう済まないな、いろいろな考え方を組み入れながら本格的な改革案を提示しないとこのような大構造改革はできないのではないかな、そう考えています。

岡田委員 それから、この昨日のペーパーの中で、老人の医療保険制度についての記述がございません。これは基本的には従来の制度を維持していく、こういうふうにお考えなんでしょうか。老人の医療保険だけ従来とは切り離して別の制度として組み立てていくという選択肢も従来の審議会の議論の中では選択肢としてあったというふうに私は理解しておりますが、そういうものを排除するお考えなんでしょうか。

羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。

その前に、先ほど長期計画の中に新ゴールドプランは入るかというお尋ねで、末端的にそこの部分だけお答えを申し上げましたが、そういう意味では、今回の五原則の中に新ゴールドプランも入ってはおると思いますけれども、今回の五原則を踏まえまして、一方において、新ゴールドプランにつきましては、御案内のように、介護保険制度の導入というものを踏まえて着実に基盤整備を進めなければいかぬという大命題がございますので、そういった五原則の考え方の検討をも踏まえまして、一方においてそういう介護保険制度導入ということを踏まえた、基盤整備の必要性ということを踏まえた幅広い検討を行っていくという意味で申し上げたつもりでございます。

それから、今の、老人保健制度の見直し、抜本的な改正ということが欠落をしておるのではないかという点でございます。

これにつきましても、既に関係審議会等の御議論も、介護保険制度の施行時までには老人保健制度を抜本的に見直すべきであるという御議論もいただいておりますし、また、与党における医療保険制度の改革協議会におきましても、一つの大きなテーマとして、老人保健制度の抜本的な見直しはやるということで御議論をいただいているところでございます。したがいまして、そういった検討の結果を踏まえまして、私どもとしても、その老人保健制度の抜本的な改革ということについては取り組んでまいるというのが基本的な姿勢でございます。

今回の財政構造改革会議でお示しをいただきました「歳出の改革と縮減の具体的方策を議論するに当たっての基本的考え方」という中におきましても、高齢化の進展に伴い大幅に増大していくことが見込まれる社会保障給付の改革という形で大きくとらえられておられますので、その一環として、この老人保健制度の抜本改革につきまして私どもも鋭意取り組んでまいらなければならない、こんなふうに考えておるところでございます。

岡田委員 それから、この中で、医療保険改革の中で「患者負担の見直し」というのが書かれております。患者負担の見直しにつきましては、今、国会に提出中の医療保険制度改革法案の中でもそういったものが書かれているわけでありますが、ここで新たにさらに患者負担の見直しということが出てきたということは、今提案中のその患者負担の見直しにさらに上乗せをしてといいますか、さらなる患者負担について検討していく、そういうふうなお考えだというふうに受け取れるわけですが、それじゃ、どういう方向でその患者負担について見直しをされるお考えであるのでしょうか。

小泉国務大臣 昨日の総理の提示した財政構造改革五原則の中でも、今の医療保険制度法案と介護保険制度の法案は成立するという前提なんです。その前提のもとに、当然、この国会中でも構造改革案が出てくると思います。成立した後そのままでいいとは思っていない、そういう中でまた見直し問題が当然私は出てくると思います。

岡田委員 そのままでいいとは思っていないということであれば、今国会提出の法案の中にそういうものも含めて、盛り込んで提出すべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 いろいろな案というのはもう前から言われたことがほとんどです。それができなかった。今回、この医療保険法案が出たからこそ、私は、いろいろな構造改革案が出てきてもう猶予はできないなという状況になってきたと思うのです。いわば今回の患者負担の見直しの案、これが構造改革の促進案になっていると私は思います。そういう意味において、この法案は成立してこれでよしとする法案ではありません。段階的に総合的に改革をしなければいかぬという、その一環として今医療保険改革を出している。その中で必ず構造改革案は出てくるし、もうせざるを得ない状況です。当然、今のような案でよしとは、いいという声だけでは終わらないと私は思っています。

岡田委員 大臣みずから今の案では十分とは言えない、こういうことであれば、本来であれば十分な案を御提示されるのが政府としての責任ではないか、こういうふうに私は思っております。

さて、全体のこの改革のスケジュールでありますけれども、この文書によれば、「政治主導で、一切の聖域を設けずに検討を進めていくこととし、五月中旬までに検討結果をとりまとめ、財政構造改革会議に報告するものとする。」こういうふうに書いてございます。ということは、この社会保障の分野あるいは医療の分野についても五月中旬までに検討結果を取りまとめるというスケジュールで作業が進む、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。

小泉国務大臣 今、その財政構造改革会議、そして企画委員会とかいうものを設けて、これから検討していくということであります。いずれ、私も含めて厚生省担当者が呼ばれると思います。その中で私は考えを聞いてみたいと思っております。今のところ、こういう方向でやるということでありますので、これから各論に入っていくと思います。その中でかんかんがくがくの議論が行われると思います。それを私どもいろいろ意見を聞きながら、または自分たちの考えを言いながら、五月中旬にどういうものが出てくるのか、また、どういうものを出さなければならないのかということをこれからの議論の中で決めていかなければならぬと思っております。

岡田委員 五月中旬に何らかの結論がこの財政構造改革会議として得られるのであれば、今回の医療保険制度改革についてもそれを盛り込んで国会に提出されても十分審議には間に合うのではないか、こういうふうに私は考えております。せっかく法律が出てきて審議して、それが何らかの形で成立したとしても、その直後に政府みずからが、いや違うのだ、本当はこれがいいのだということでまた出し直しをされるということになりますと、一体国会の審議は何だったのか、こういうことになりますので、私としては、五月中旬というふうに総理初め閣僚の皆さんも集まって御決意をされたわけでありますから、それを踏まえて、負担増も含めて医療制度改革についての成案というものが出てくるべきだ、こういうふうに思っているところでございます。

最後に、このところにつきまして大臣の御感想をお聞きしまして、私の質問を終わりたいと思います。

高木(俊)政府委員 今お話がございましたように、この具体策につきましては財政構造改革会議の中の企画委員会の中で検討がなされていくというふうに聞いております。これは、この中に「患者負担の見直し」という項目があるわけでありますが、これは大きくは、「医療については、「国民医療費の伸びを国民所得の伸びの範囲内とする。」との目標を引き続き堅持し、このため与党医療保険改革協議会の検討も踏まえた」、イロハニと項目がありまして、このニに「患者負担の見直し」こういうふうに書いてございます。これは先ほど大臣から御答弁ありましたように、現在提出されている改正法案の成立を期した上でこういうものを検討していく、こういう順序になっておりまして今のようなことであります。

そういう中での患者負担の見直しの中身でありますけれども、これは今申し上げたようなことで、「国民医療費の伸びを国民所得の伸びの範囲内とする。」という目標、これとの関連で考えますと、一つには、いわゆる公的な保険給付の中で賄うべき分野、それとまた保険給付外で賄うべき分野、こういったようないわゆる公的医療保険の守備範囲をどういうふうにしていくべきなのか、あるいはまたその際の負担の仕組みはどうあるべきか、こういった患者負担の見直しと申しましても、そういった制度全体の枠組みのあり方の問題としてこういうような問題を幅広く検討していくというふうな問題として盛り込まれているというふうに私どもは理解をしております。

岡田委員 終わります。




TOP