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1992.04.10|国会会議録

123回 衆議院・厚生委員会

牧野委員長 これより会議を開きます。

内閣提出、産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律案を議題といたします。

これより質疑に入ります

質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田克也君。

岡田(克)委員 産業廃棄物の問題は、近年景気拡大が続く中で、大きな社会問題化していると思います。これに対して、昨年の廃棄物処理法改正によって、その減量化・再生利用の促進あるいは処理業者等に対する規制の強化を行ったところでございます。しかし、規制強化のみでは、現実に不足している産業廃棄物の処理施設の安定的な供給あるいは産業廃棄物の適正処理の推進、こういうものを同時にしていかなければ片手落ちと言えると思います。このような観点から、本法案が提案されたことは大変望ましいことであり、厚生省初め関係者の皆様の御努力に対しまして敬意を表する次第であります。

以下、本法案の基本的な点について幾つか質問をしたいと思っております。

まず、この法案の前提になりました産業廃棄物の現状について、基本的なことを聞きたいと思うわけでありますが、現在産業廃棄物は年間どのぐらい排出されており、そのうちいわゆる産業廃棄物処理業者が処理しているものはどのぐらいあるのか、できましたら主要な産業廃棄物の種類に言及をしながら御説明をいただければありがたいと思います。

小林(康)政府委員 産業廃棄物の排出量につきましては、詳細の調査を昭和六十年度に行っておりますが、総量で三億一千二百万トン排出をされております。主なものといたしましては、汚泥、動物のふん尿、建設廃材、鉱滓などでございます。この排出量が平成二年度には三億五千九百万トンになっていると推定をしておるところでございます。

次に、お尋ねの産業廃棄物処理業者が処理をしている割合でございますが、焼却等の中間処理の段階では処理業者が二〇%分担をしておりますし、埋め立ての最終処分の段階につきましては全体量の七五%を処理業者が処理をしている、こういう状況でございます。

岡田(克)委員 ただいま御説明があったわけでありますが、それでは、その産業廃棄物処理業者が処理をしておるその施設である産業廃棄物処理施設が今全国的にどの程度不足をしているのか、こういった点について御説明をお伺いしたいと思います。

小林(康)政府委員 産業廃棄物処理施設の中でも最終処分場の不足が著しいわけでございますが、この最終処分場につきまして、現在稼働しています施設の残っております容量、これを昭和六十年度の排出量に照らし合わせながら何年分残っているか、こういう計算をいたしますと、全国で一年半程度の容量を持っているという状況でございます。産業廃棄物の排出量は年々ふえておりますので、施設は現在でも不足ぎみでございますが、今後とも不足は拡大していく傾向にあるというふうに見ております。

岡田(克)委員 ただいま一・五年という御説明がありましたが、これはある意味では驚くべきことでありまして、しかもそれが次第に産業廃棄物の量が拡大していくということでありますと、一体数年後にはどうなるのか、こういう気がするわけであります。

そのためにも処理施設の建設というものが急がれるわけでありますが、例えば今後十年間で新たな産業廃棄物の処理施設、一体どの程度建設することが必要と厚生省は考えておられるのか、御説明をお伺いしたいと思います。

小林(康)政府委員 今後の産業廃棄物処理施設の必要量、金額で試算をしてみてございます。

今後十年間に産業廃棄物が伸びていく伸び方といたしまして、西暦二〇〇〇年に五億トンになるという仮定をいたしまして、そして平成三年度からスタートをしてございます第七次の廃棄物処理施設の整備計画の基礎数字をもとに試算をいたしますと、今後十年間に必要になります産業廃棄物の整備費、公共関与によります建設費が八千八百五十億円程度、それから民間産業廃棄物処理業者によります施設整備費が二兆八千四百億、合計いたしますと三兆七千億程度の施設整備を行っていく必要があるというように試算をしております。

岡田(克)委員 三兆七千億円ということであります。そこでこの法案の必要性ということが出てくるわけでありますが、この法案成立によって一体具体的にどういう効果があるのかということを大臣に簡単で結構ですからお聞きするとともに、事務方に具体的な財政、税制上の措置についてお話しをいただきたいと思います。

山下国務大臣 今お話ございましたように、現今のごみ処理ということは極めて国家的な施策として大切な問題でございますので、法律にはいろいろなことが盛り込んでありますが、その中でも比較的に即効性のある財政上、税制上の優遇措置をいろいろと盛り込んであるわけでございます。

具体的に申し上げますと、特定施設についてのNTT・Cタイプ融資、つまり無利子とかあるいは低利子等を含んだこれらの政策的な融資、それから認定計画に基づく公害防止上の設備についての税制上の特別償却という優遇措置、あるいは周辺の公共施設の一体的整備についての地方財政措置や国庫補助配分についての、例えば道路の拡張とか緑地帯等を設けるとか、そんなこともこの中に盛り込んでございます。さらに、債務保証などの振興財団を通じた支援措置、これらのことがこの法律にはあるわけでございます。

このようにいたしまして、各般にわたる総合的な措置によって、改正廃棄物処理法による規制の強化と相まって、緊急の政策課題である産業廃棄物の処理施設の確保が図られることを私ども期待をいたしておるわけでございます。

岡田(克)委員 今大臣からかなり詳しく御説明をいただきましたので、それで結構でございます。

そこで、この法案を読んでおりまして、いま一つ具体的なこの法案の対象になる特定施設のイメージがわかないものですから、この点について少しお聞きをしたいと思います。

この法案の第四条で「整備計画の認定等」という規定がありまして、「特定施設の整備の事業を行おうとする者は、当該特定施設の整備の事業に関する計画を作成しこ主務大臣に提出して認定を受ける、こういうことになっております。この認定をする際の基準というものがこの三条に言う「基本指針」、こういうことになると思うのであります。

この「基本指針」というのは、具体的には第三条の第二項で、「次に掲げる事項を定めるものとする。」としていろいろ書いてあるわけであります。第一号から第七号まで書いてございますが、では具体的に「基本指針」でこの一号から七号に書いてあることについてどういったことが書かれる予定なのか、これが第四条に基づく「整備計画の認定等」に当たっての基準になることでありますので、非常に大事だと思いますので、お伺いをしたいと思います。

小林(康)政府委員 お尋ねのございました第三条で言います「基本指針」の具体的内容につきましては、今後関係省庁とともに具体的に詰めるという内容でございますが、現在の時点で概括的な方向、考え方を申し上げますと、例えば自然的、経済的、社会的条件から見て相当と認められる地域であること、特定施設の施設の内容や面積または能力を基準とした規模の要件を明示すること、それから一部の施設としての機能を発揮するための配置や運営に関する要件、さらに第六号で「環境の保全その他」という項を立てでございますが、これにつきましては、必要に応じまして環境への影響を調査検討すること等の環境の保全に関すること、これらの方針に加えまして、災害の防止など国土の保全に関すること、地域の雇用の促進に関すること、地域の中小産業廃棄物処理業者への配慮に関することなどについて定めることを予定しているところでございます。

さらに、「特定周辺整備地区の指定及び施設整備方針」の策定に関する事項につきましては、特定施設を整備するのにふさわしい計画的な施設整備が行われること、地域の振興または整備に関する計画との調和を図ること、都市計画その他の公共施設整備に関する事業の計画との整合性がとれたものとなるよう配慮することなど定めることを予定をしておりまして、これによりまして特定施設の円滑な、かつ合理的な整備に関する基本方針を定める、こういうことにしておるところでございます。

岡田(克)委員 ただいまの説明でまだちょっとイメージがわかないわけですが、例えばこの第三条第二項の第二号に「特定施設の立地並びに規模及び配置に関する事項」、こういうのがございますが、例えば規模について言えば、大きなものがいいのか小さなものがいいのか、この法律ではどういうものを念頭に置いて建設の促進といいますか推進を図ろうとしているのか、その辺がどうもよくわからないところがあるわけでございます。この点についてもう少し補足的に御説明いただければありがたいと思います。

小林(康)政府委員 規模につきましては、その地域での必要性あるいは立地の面から考えましての限度等がございますので、それぞれの計画ごとに定めるべき事柄、一律にその規模以上でなければいけないあるいは小規模の方がいいという問題ではないというふうに考えております。したがいまして、規模を定めるに当たりまして配慮すべき事項、及びその規模で施設計画を行います場合に、その周辺でとるべき面積の物の考え方ですとか配置に対する基本的な事項、一般的な指針になる事柄を定めるという予定をしておるところでございます。

岡田(克)委員 先ほど今後十年間で三・七兆円の投資が必要である、こういうお話があったと思いますが、この法律ができることによってその三・七兆円のどの程度をカバーするのか、そしてカバーする部分というのは、限界的な部分なのかあるいはかなりいいところをこの法律によってモデル的につくっていくということなのか、その辺の基本的な考え方はどうなんでしょうか。

小林(康)政府委員 今回の新法化基づきます特定施設の整備は、全国的にモデルになるようなレベルの高い、かつ周辺整備にも配慮した施設整備を行うというのが一つの大きなねらいでございます。

具体的にどの程度の事業になるか、これからそれぞれの地域ごとに具体の計画を検討していくという段階でございまして、幾つか当面事業化したいという候補になっておるところはございますが、例えば十年間という期間をとりまして、その期間で全体としてどの程度の計画が見込めるかにつきましては、まだこれからの課題でございます。制度ができましてから、その制度の周知徹底に努め、こうした制度を活用しての模範的な施設整備が進められるよう、それが牽引となりまして他の処理施設のレベルも上がり、全体として安心できる産業廃棄物の処理施設の整備が進むよう、こう心がけていきたいというふうに考えております。

岡田(克)委員 ただいまの御説明でよくわかりました。

三・七兆円のうちのどの程度カバーするかというのは、これから十年間でどのくらい予算がとれるかということにも関係してくるわけでありますから、厚生省にも頑張っていただいて、我々も頑張って少しでも予算の獲得をしたい、こう思っているところでございます。

さて、この産業廃棄物処理施設の不足ということを考えた場合に、地域的なばらつきの問題というのが一つあると思います。特に首都圏とかあるいは近畿圏、中部圏といったいわゆる大都市圏において産業廃棄物処理施設の不足が深刻である、こういうふうに思うわけでございますが、こういった大都市圏における処理施設の不足状況について厚生省の御説明をお伺いしたいと思います。

小林(康)政府委員 大都市圏では、出ます産業廃棄物の量が多い一方、土地利用が高度に進んでいるということもございまして、特に最終処分場の確保が困難な状況でございます。現在の最終処分場施設の残っております容量、全国平均で一五年分程度でございますが、首都圏ではこれが半年分、近畿圏では大阪湾広域臨海環境整備センター、俗にフェニックス計画と言っておりますが、これが動き始めましたので二年分、中部圏では一年半分というような容量というふうに推計をされておりまして、最終処分場の確保問題は特に大都市圏で深刻になっているという状況でございます。

岡田(克)委員 実は、私は三重県でありますが、三重県も大都市圏ということになっております。特に三重県の場合には中部圏と近畿圏に狭まれておりまして、三重県の中でも西の部分、つまり我々の言う伊賀地区というところは、どちらかというと近畿圏であります。それから、我々の言う北勢地区というところは名古屋に近接をしておりまして、両大都市圏の影響を非常に受けるわけでございます。

三重県に限らず、大都市圏周辺の産業廃棄物処理施設の不足が深刻であるというのは今の御説明にあったところでありますが、もしそういうことだとすると、この法案第四条の整備計画の認定に当たりまして、そういった大都市圏における特定施設が特に不足するということでありますから、これについて特に優先をして認定をしていくべきではないか、こういうふうに思うわけであります。この点に対するお考えを聞かせていただきたいと思います。

小林(康)政府委員 本法案によります特定施設の整備計画の認定は、主務大臣が定めます基本指針に照らして判断をするという制度でございます。この認定につきましては、整備計画に記載をされております特定施設の公平姓及び公開性に留意をして行うことにしております。

御要望があれば、できるだけそのすべてにこたえるというのが私どもの基本姿勢でございますけれども、仮に申請が多く出てまいりまして、この制度で用意をいたします財政的支援措置のための予算を超えるというような状況もあります場合には、お話のございましたような緊急性も考慮をして整備計画の認定を行うことになろうというふうに考えております。

岡田(克)委員 現実に不足をしております大都市圏の整備計画の認定について、ぜひ十分な御配慮をいただきたいと思うわけでございます。

それからもう一つの問題点といたしまして、広域的な処理の問題がございます。

これは大臣にも御見解をお伺いしたいと思っているわけでございますが、そもそも国がこういった法律をつくって、全国的に産業廃棄物の処理施設の建設を促進していこう、こういう考え方に立ったわけでありますから、その法律の趣旨からいいますと、この法律の運用に当たっても都道府県域を越えるような、それぞれの都道府県ではなくて、それを越えるような広域的な処理を行う施設について何らかの運用上の配慮があってしかるべきではないか、こういう気がするわけでありますが、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

山下国務大臣 産廃の処理施設の設置につきましては、全国的にだんだん難しくなりつつあるわけでございます。特に、ごみを捨てる県があれば、今度はこれを受け入れる県があるし、まちまちでございます。したがいまして、その処理施設の整備につきましては緊急の課題であると考えておりまして、特定地域の整備計画の認定に当たっては、その整備計画に記載された特定施設、例えば地域的な公平性とか情報の公開性とか、そういうことに留意をしながら、さらにその緊急性ということを十分考慮をいたしまして認定を行うことといたしております。

いずれにいたしましても、今申し上げましたように、広く全国的な見地から産廃の施設を確保できるように配慮してまいらなければならないと思っております。

岡田(克)委員 前向きの答弁をいただきまして、大変ありがとうございました。

俗に言う持ち込みといいますか、自分の都道府県以外の地域から持ってこられるのは困る、そういうように考える都道府県が多いというのも現実でありまして、また、そう考えることについて、それなりの理由があるということも私は承知をしております。しかし、現実に一部の都道府県においては、みずからの地域内から排出される産業廃棄物を処理するだけの能力がない、建設を促進しようと思っても現実にその余地がない、こういう現実があることもまた事実でありますから、こういった点について、広域処理を推進するような観点での運用をぜひお願いを申し上げる次第でございます。

次に、この法律の中で産業廃棄物処理事業振興財団に関する規定がございます。この財団は、債務保証事業あるいは助成金交付事業を行うということになっておりますが、今申し上げましたそれぞれの二つの事業について当面どの程度の事業規模をお考えなのか、御説明をいただきたいと思います。

小林(康)政府委員 産業廃棄物処理振興財団は、民間事業者の出捐金等から成ります基金を設けまして、その運用益を中心として業務を行うという制度を予定をしております。

この基金の規模につきましては、総額百二十から百三十億円程度を目標としておりまして、その分担といたしましては、平成四年度からの五年間で国及び地方公共団体から四十億円程度、民間事業者からこの二倍程度のものを予定をしておるところでございます。

個々の事業の配分につきましてはこれからでございますが、総枠といたしましては、今申し上げました百二十ないし百三十億の基金をもとにしての事業を目標に、現在検討しておるところでございます。

岡田(克)委員 ただいまの御説明ですと、総額が百二十億から百三十億、そのうち国と地方で四十億、民間が残りの八十億強、こういうことだったとお聞きをしたわけでありますが、大分景気の方も悪くなってまいりましたし、民間の方の負担も大変だと思うわけであります。民間事業者がこういった八十億、百億近いお金を提供をするという具体的なめどは立っているのでしょうか。

小林(康)政府委員 民間事業者からの拠出金は八十ないし九十億を目標にしておりまして、企業の活動を支援をするこの制度でございますので、企業そのものも適切な出捐を行い、円滑な事業運営を担うべきであるという観点から、現在関係の産業界と話し合いをしておるところでございます。まだまとまっているという段階ではございませんけれども、協力が得られますよう鋭意努力をしてまいりたいというふうに考えております。

岡田(克)委員 私も民間企業がこの程度の資金協力をするのは必要なことである、こう思っておりますけれども、産業廃棄物の排出といいますか、そういうものについて、それぞれ業種ごとの多い少ない、あるいは関係の深い浅いというのは当然あるわけでありますし、そういった点も踏まえて、なるべく公平な観点からその負担が行われることを望みたいと思います。同時に、民間事業者に対しましては、この法律の趣旨というものをよく御理解いただいて、高い観点から、不景気であって大変だとは思いますけれども、ぜひ御協力をいただきたい、こういうふうに御要望を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

ありがとうございました。




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