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2010.04.05|TALK-ABOUT [ブログ]

G8外相会合―外相同士の有用な議論の場


 

6a012875742179970c01347fd4e90097_2前回お話ししたハイチの支援国会合に先立って、G8外相会合がカナダでありました。

普通ですと、G8サミット(首脳会合)が行われる1カ月くらい前に行われてきたのですが、今回は3カ月前ということで、それ自身が、かなり独立した会合になりました。

私は、実質的には初めて参加したのですが、大変興味深いものでした。

サミット参加国の外相が一堂に会して、8つの国とそれに加えてEU(欧州連合)ということで、9人の代表が1日半かけて議論を行いました。

いろいろなやり方がありますが、今回は議長国であるカナダ政府の意向があって、会場には9人の代表とプラス1人ずつということで、基本的にお役所から人が出ました。机に座っているのは18人で、周りには人はいません。そして、その18人の中で発言権があるのは、代表者9人だけでした。

1日半やりますと、私があまり親しくない外務大臣もまだいたわけですが、だいぶお互い親しくなってきました。

そういう中で、私として特に力を入れて議論をしたのが、核の問題です。

「核の役割を低減させる。そして、『核なき社会』を目指して具体的に進めていく」そういう表現は、いずれもオバマ大統領のプラハ演説(2009年4月)に出てくるわけですが、そのことを是非入れたいと思って頑張りました。

この問題だけで60分くらい議論していたと思います。しかし、なかなかそれは、他の外務大臣に受け入れられることはありませんでした。

フランスは核兵器が使われなくても、核で攻撃することを決して否定していませんし、自分自身の問題として核を減らす努力はしていますが、しかし、それは他国から言われてやることではなく、核の役割を減ずることも、基本的に考えていないということで、特にフランスのクシュネール外務大臣は、大変強硬に言われました。

フランスのクシュネール外務大臣は、1週間ほど前に日本に来ていただいてお話をさせてもらいましたが、NGOの「国境なき医師団」の創設者の1人です。

本来、NGOでずっとやってきた方ですから、彼自身の意見はおそらく少し違うはずです――私が雑談のときに、あなたの本当の考え方は違うのではないかと語りかけたときも、少し複雑な顔をしましたので、多分そうではないかと思います――。

フランスのサルコジ大統領は、フランスの国家として、ある意味では、ド・ゴール元大統領以来、国威発揚としての核という視点がどうしてもあるのではないかという感じがしました。

G8外相会合の結果の文章は、コンセンサス(全会一致)方式で、1人でも反対したら出来ないため、結局私の意見は受け入れられませんでした。

しかし、G8の中には、核保有国と核を持っていない国とがありますが、しっかりと深い議論ができたことは良かったと思います。私も、その60分の間に5、6回発言しました。他の外相とそれぞれやりあうような形になりました。

これ以上頑張ると、「初めて来た日本の外相はちょっと変わっているのではないか」という印象を持たれても困りますので、今回はそこそこのところでやむを得ないことにしました。

しかし、こういう真剣な議論を外務大臣同士が行うことは、私は非常に有用だと感じました。

それにしても、カナダでは、ホテルと会場は30分くらい離れていました。ホテルは、オタワの中心部にある非常に古いホテルでしたが、会場は、少し離れたゴルフ場のゲストハウスでした。

なぜそういったところを会場にしたのか、本当のところはわかりませんが、ただ、カナダのキャノン外務大臣の選挙区であったことは事実です。どこも同じような発想になるのかな、という感じがしないではありませんでした。

もう1つ残念だったことは、ホテルの売店でカエルの置物を探したのですが、売っていませんでした。ホテルの中に、動物のいろいろな置物を売っている売店がありましたので、そこへ行ってカエルは売っていないかと尋ねたところ、「うちは、北極圏の動物の置物を販売しているので、カエルはない」と言われました。

確かに平温動物であるカエルは、北極圏では生息できないだろうと変に納得しました。

会議中は忙しかったので、ホテルの売店しか探せなくて、カエルが見つからなかったことは残念でした。

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